(全体構成)
図34は混練機の縦断面図、図35は図34のY−Y断面図である。ただし、図35には図34に示す加水器Sの図示は省略してある。図36は一部断面で示す図34の平面図である。
混練機1は図34、図36に示すように一方の端部に原料の入口2aを有し、他方の端部に原料を混練した混練物の出口2bを有するトラフ2中に電動機3で同方向に同回転速度で駆動される平行する2本の横軸の回転軸4,5を有する。回転軸4の両端のジャーナル4a,4bは軸受装置14、軸受ユニット9に支持されている。回転軸5の両端のジャーナル部5a,5bは軸受装置15、軸受ユニット11に支持されている。回転軸4,5は両端のジャーナル部4a,4b及び5a,5b間に夫々偏心部4c,5cを有する。偏心部4c、5cの周囲に夫々同様に軸方向において多数の混練部材6,7(図1参照)を備えている。混練部材6,7を備えた回転軸4,5をロータ19,21と称する。
原料の入口2aはトラフ2の長手方向(ロータ19,21の軸方向)の一方端の上面に開口している。混練物の出口2bはトラフ2の他方端の底部に開口している。
混練機1が押出し機能を有する場合は出口2b寄りにおいて回転軸4,5には混練部材と同ねじれ方向で混練物を図34において右方へ送るねじ羽根(不図示)を設けると共に、図34の右端においてトラフ2に成形ダイス(不図示)を設ける。本実施例は混練のみを目的とした混練機の実施例であり、出口側にねじ羽根を有しない。
トラフ2は図35に示すように上部開口部2cを除いて混練部材6,7を取り囲むように壁面を構成したトラフ本体2dと、上部開口部2cを開放可能に閉じてあるトラフ蓋2eを有する。入口2aでは上部開口部2cが拡幅されている。トラフ2の上部開口部2cはトラフ本体2dのほぼ全長にわたっている。上部開口部2cを閉塞するトラフ蓋2eに上記原料の入口2aが設けてある。トラフ本体2dの長手方向の両端には端板2f,2gが固定されている。端板2gには回転軸4,5の一端を軸封する軸封部材8例えばグランドパッキンが設けてある。また、端板2gに回転軸4,5を支持する軸受を有する軸受ユニット9,11が固定されている。端板2fには回転軸4,5の他端側を軸封する軸封部材12、例えばグランドパッキンが設けてある。
トラフ2を支持するベッド13上に設けた軸受装置14,15により回転軸4,5の他端は夫々支持されている。この軸受装置14,15を貫通した回転軸4,5の他端には図37に示すギア16,17が固定してある。ギア16,17は同ピッチで歯数が等しい。ギア16,17に噛合うギア18が電動機3の出力軸端に固定されている。電動機3はベッド13に固定されている。
図34に示すように、加水器Sが入口2aと出口2b間に設けてある。加水器Sは混合された飛灰等と固化剤例えばセメントを加湿するために、トラフ2内へ水等を送り込むものである。
この混錬機1は電動機3が駆動されるとギア18からギア16,17に回転が伝えられ、ロータ19,21は同方向に同一回転速度で回転する。入口2aから投入された飛灰等と固化剤はロータ19,21の回転により混合されて出口2b側へ送られ加水器Sによる加湿後混錬された混練物は出口2bに到って排出される。
(混練部材の配置と符号の付け方)
図1においてロータ19,21の中心線は水平面上にある。各ロータ19,21は軸方向の一個所(オーバフロープレート22の両側にまたがる混練部材6−9と6−10、及び、7−9と7−10間)を除いて等間隔で混練部材6,7を有する。混練部材6は回転軸4に設けられ、混練部材7は回転軸5に設けてある。図2に示すように、回転軸4,5の偏心部4c,5cはジャーナル4a,4bの中心C41,C51(回転中心)偏心中心C42,C52をとおる中心線を有する円筒形である。混練部材6,7は偏心部4c,5cの外周に固定されている。混練部材6,7の軸方向の位置による区別をするために各混練部材6,7にハイホンと図1において左方から右方へ順序数を付した添付号を付加する。その添付号の数字は図1において丸囲みしたロットNO.及び角囲みしたロットNO.として示してある。例えば、図1において、最も左側の混練部材は符号を6−1,7―1と表わし左から19番目は符号を6−19(6−19a,6−19b),7―19(7−19a,7−19b)(添符号a,bについては後述)と表す。なお、角囲みしたロットNO.10A〜30Aを付した混練部材6−ia及び7−ia(i:10・・・30)はロットNO.10〜30を付した混練部材6−ib及び7−ib(i:10・・・30)よりも△Pだけ軸方向右方にオフセットしている。
図1の場合は軸方向に配列されている複数の混練部材は偏心部4c,5c回りのスパイラル面上に設けられている。これらのスパイラル面はリードは一定であるが可変のリードを取ってもよい。このスパイラル面のリードが一定の場合(以下の説明は総てリードが一定の場合についての説明である。)で混練部材6,7の軸方向ピッチが一定であるため、混練部材6−i,7−iと6−(i+1),7(i+1)(i:10・・・29)のリードも一定である。本例では軸方向で隣接する混練部材6−i,7−iと6−(i+1),7−(i+1)(i:10・・・29)のリード角は360度÷8=45度となっている。ただし、後述するように偏心部4c,5c回りのこれらの混練部材の位置するスパイラル面は軸方向の位置の場所夫々においてねじれ方向が異なる。
(オーバフロープレート)
図1ではオーバフロープレート22は偏心部4c,5cの軸方向に対して直交する金属板である。このオーバフロープレート22はトラフ本体2d又はトラフ蓋2eに取り付けられている。オーバフロープレート22はトラフ2の断面を限定するもので図34に示すようにトラフ蓋2eの下面から垂下している。オーバフロープレート22の下縁の位置は(ご記入願います。)オーバフロープレート22はトラフ2の上部開口部2c側をとおって入口2a下から出口2b側へ混練物が一度に大量に流れるのを制限するものである。
混練物は入口2a側から出口2b側へオーバフロープレート22の下を潜って移動する。
オーバフロープレート22は他の実施例としてトラフ2の長手方向における位置は同一でトラフ2の下方を部分的に閉塞するようにしてもよい。
このようにすると、混練物は入口2a側から出口2b側へオーバフロープレート22をのり越えて移動する。その際、のり越える量が規制される。
上述のように、オーバフロープレート22は入口2aの出口2bに近い側の端部に設けられ、トラフ2の断面を制限して入口2aから直接混練物が第2群の混練部材6−10から6−30、及び7−10から7−30へ向わないようにするものである。オーバフロープレート22があるため、入口2aから投入された原料は第1群の混練部材6−1から6−9、及び7−1から7−9で混練されることなく第2群の混練部材へ送られてしまうことが防止される。即ち、オーバフロープレート22があるため、第1群の混練部材6−1から6−9、及び、7−1から7−9は原料の混練を必要なだけ行ってから第2群の混練部材6−10から6−30、及び、7−10から7−30へ送ることができるものである。尚:ここで第1群の混練部材により原料が混練されると記載したが原料が乾燥状態である場合は混合されるということである。
(ロータの構成)
図1に示すように多数の混練部材6,7は第1の回転軸4の偏心部4cと第2の回転軸5の偏心部5c軸方向において同一位置又はほぼ同一の位置(後述)に設けられている。混練部材6,7は第1の回転軸4、第2の回転軸5の夫々の偏心部4c,5cに偏心部の中心を中心として偏心部4c,5cの軸方向の同一範囲内では同じねじれ方向にねじれたスパイラル面上で軸方向において多数設けられている。このスパイラル面は一定のリードを有するが軸方向で次第にリードを変化させてもよい。また回転軸4,5の軸方向で隣接する混練部材6,7間には間隙が設けてある。
混練部材6−1から6−7及び7−1から7−7は偏心部4c,5cの半径方向の片側にのみ突出して設けられている。混練部材6−1から6−7及び7−1から7−7で偏心部4c,5cの軸方向において同一位置にある混練部材6−iと7−i(i:1・・・7)は偏心部4c,5cの中心に関して90度位相を異にしている。
混練部材6−8から6−30、及び、7−8から7−30においては軸方向同一位置又はほぼ同一位置にある混練部材は各偏心部4c,5cの直径をわたる両側に夫々突出して設けられている。そして、軸方向においてほぼ同一位置にある第1の回転軸4の偏心部4cに設けられた第1の混練部材6−iと第2の回転軸5の偏心部5cに設けられた第2の混練部材7−i(i:8・・・30)は偏心部4c,5cの周方向において90度位相を異にしている。
ここで偏心部4c,5cの軸方向で同一位置又はほぼ同一位置にある混練部材6−iaと6−ib,7−iaと7−ibについて説明する。
例えば図1のJ矢視図を示す図6(J)において、混練部材6−10aと7−10aは偏心部4c,5cの軸方向において同一位置にある。また、混練部材6−10bと7−10bも同様に偏心部4c,5cの軸方向において同一位置にある。偏心部4c,5cの軸方向から見てほぼ同一位置にあって偏心部4c,5cの直径をわたる両側に夫々突出している混練部材は混練部材6−10aと6−10b及び7−10aと7−10bである。ここで、軸方向でほぼ同一位置にある混練部材6−10aと6−10b、7−10aと7−10bは偏心部4c,5cの軸方向において△Pだけオフセットしている(図1参照)。このオフセット量△Pは本例では5ミリメートルとなっている。従って、混練部材6−10a,7−10aの回転軸4,5を中心に回転したとき画く平面と、混練部材6−10b,7−10bが回転軸4,5を中心に回転したときに画く平面は偏心部4c,5cの軸方向でオフセット量だけ離れている。
ただし、このオフセット量△Pは軸方向における混練部材6−10aと6−10bの重なり、7−10aと7−10bの重なりがなくならない大きさである。
混練部材6−9と6−10、及び、7−9と7−10との偏心部4c,5cについての軸方向ピッチのみ、他の各混練部材間の同ピッチよりも大きい。混練部材6−9と6−10、及び、7−9と7−10間の軸方向ピッチを除く混練部材6−iと6−(i+1)、7−iと7−(i+1)の軸方向のピッチP=32ミリメートルで何れも等しい。
上記を含めて同様に、偏心部4c,5cの軸方向において同一位置又はほぼ同一位置にあり、偏心部4c,5cの直径をわたる混練部材6−iaと6−ib、及び、7−iaと7−ib(i:8・・・30)の内一方の半径方向に突出する混練部材6−iaと7−ia又は6−ibと7−ibとは偏心部4c,5cの軸方向で同一位置にある。そして混練部材6−iaと6−ib、及び、7−iaと7−ib(i:10・・・30)は偏心部4c,5cの軸方向において△Pだけオフセットしている。即ち、第2群の添符号aとbを付したロットNo.同一の混練部材は偏心部4c,5cの軸方向において△Pだけオフセットしている。
オフセット△Pの量は偏心部4c,5cの軸方向においてピッチPをおいて隣接する混練部材6−iと6−(i+1)及び7−iと7(i+1)(i:10,11・・・29)について、混練部材6−10から6−30、及び、7−10から7−30の直径をdとすると
P>d>△P
にオフセット△Pが選択されている。従って、第2群の混練部材は軸方向において隣接する混練部材6−iaと6−(i+1)a、及び、7−iaと7−(i+1)aが接触することはない。同様に混練部材6−ibと6−(i+1)b、及び、7−ibと7−(i+1)bは接触することはない。
ここで図1の図面について説明する。図1はロータ19,21を示す平面図である。図1の下方に示す丸囲みの数字1から30は混練部材6,7の軸方向の位置を示している。回転軸4,5に軸直角に設けた丸囲みの数字1から30の夫々をとおる線が一部を除いて夫々混練部材6,7の中心線と重なるように混練部材6,7が位置する。上記丸囲みの数字の夫々をとおる線から軸方向に△Pだけオフセットして混練部材6−ia,7−ia(i:10・・・30)が位置している。混練部材6−ib,7−ib(i:10・・・30)は丸囲みの数字10から30をとおる回転軸4,5に軸直角な線上にその中心線が重なる。
なお、上記丸囲みの数字を示す必要がある場合は、同数字を括弧で囲んで用いるものとする。また、図1中には混練部材6,7の夫々すべてに引出線を用いて混練部材に符号を附さないが、必要により図1に明示してある混練部材6,7の軸方向位置はロットNo.で示す丸囲みの数字を附して示す。例えば、ロットNo.12の位置の混練部材は偏心部4cに設けたものは符号6にハイフォンを付し且つロットNo.12を加えて混練部材6−12と表わす。同様に偏心部5cに設けた混練部材は符号7にハイフォンを付し且つロットNo.12を加えて混練部材7−12と表わす。また、偏心部4c,5cの軸方向ではほぼ同位置に位置して偏心部4c,5cの直径をわたる両側に突出する混練部材はaとbを添符号とし、例えば混練部材6−12a,6−12b,7−12a,7−12b等と表現する。
次に混練部材について更に説明する。
(第1群の混練部材)
先ず第1群の混練部材6−1から6−9までについて説明する。図1に示すように混練部材6−1から6−8b,6−9bは偏心部4cの周囲に軸方向に設けるスパイラル面上に位置している。本例ではスパイラル面は右ねじれである。混練部材6−8a,6−9aは前述のスパイラル面に対して180度位相が異なるようにして偏心部4cの周囲に設けたスパイラル面上にある。本例では偏心部4cの直径を70ミリメートルとして上述のスパイラル面のリードは夫々256ミリメートルである。
混練部材6−1から6−9までの各隣接する混練部材の軸方向のピッチは32ミリメートルである。上記混練部材6−1から6−9、7−1から7−9は夫々が平板状である。上述のスパイラル面に板面の中心線6c,7c(図2(A)参照)を一致させて且つ、板面をスパイラル面に沿わせている。この中心線6c,7cは偏心部4c,5cの夫々の中心C42,C52から偏心部4c,5cの半径方向にのびる直線と一致している。
ここで板面は平板であるので、混練部材の先端又は根本又は中間の何れかをスパイラル面に沿わせることになる。本例では、スパイラル面に混練部材6−1から6−9及び,7−9から7−9の先端を沿わせてある。なお、混練部材6−1から6−9及び7−1から7−9を上記スパイラル面と一致するねじ羽根を切り取った形の構成としてもよい。
図11は図2(A)のイ矢視図である。図12は図11のロ矢視図である。図11、図12に示すように混練部材6−1は中心線6cが偏心部4cの軸方向の中心線C42Lと交叉している。そして、混練部材6−1はその根本を偏心部4cに固定されている。混練部材6−1の偏心部4cへの固定は例えば、混練部材6−1の根本に中心線6cをとおるおねじを一体に附加し、このおねじを偏心部4cの外周に設けた偏心部4cの半径方向のめねじにねじ込むことにより固定される。
図11では混練部材6−11は偏心部4c上のスパイラル面に沿う板状である。しかし、第1群のねじ羽根がこれに限定される訳ではなく、他の混練部材としては、図11に示される板面がパネル面に沿うのではなく、板面をスパイラル面に交叉、例えばスパイラル面に対して直角としてもよい。また、混練部材6−1としては丸棒、角棒等も採用できる。要するに攪拌力と送り力を混練機にどのように作用させるかにより定まる。
図2(A)に示すように、混練部材6−1の偏心部4cの周方向での位置は回転軸4の回転中心C41と偏心部4cの中心C42を結ぶ偏心方向を示す線4dに対して回転軸4の回転方向R1の方向へ67.5度進んだ位置に混練部材6−1の中心線6cがある。また、混練部材7−1は混練部材6−1と偏心部4c,5cの軸方向で同位置にある。混練部材6−1と7−1は夫々の偏心部4c,5cの周方向での位相が90度異なっている。
図2(A)に示すように、偏心部5cの回転軸5の回転中心C51に対して偏心部5cの中心C52は直上に有り、偏心部4cの回転軸4の回転中心C41に対する偏心方向と偏心部5cの回転軸5の回転中心C52に対する偏心方向とは同方向である。即ち、偏心部4c,5cは第1、第2の回転軸4,5の回転中心C41,C51を中心とする回転方向に関して同位相となっている。そして、偏心部4c,5cの中心C42,C52の回転中心C41,C51からの偏心量は同一である。
偏心部5cの偏心方向を示す線5dに対して混練部材7−1の中心線7cは回転軸5の回転方向R2の方向に90度+67.5度進んだ位置にある。即ち、混練部材7−1は混練部材6−1よりも回転方向に関して90度位相が進んでいる。
各混練部材6−2から6−8b,6−9bも偏心部4c回りの混練部材6−1が位置する同一の1リードのスパイラル面上にある。偏心部5c上において、このスパイラル面に対して90度位相が異なる同リードのスパイラル面上には混練部材7−1から7−8b,7−9bが位置している(図1、図2(A)から図6(I)参照)。混練部材6−1から6−8b,6−9b及び7−1から7−8b,7−9bの存在する上記偏心部4c,5c上のスパイラル面は夫々ねじれ方向が右ねじれであり、混練部材6−8a,6−9a、及び、7−8a,7−8aが存在する偏心部4c,5c上のスパイラル面は混練部材6−8b,6−9b、及び、7−8b,7−8bが存在するスパイラル面とはねじれ方向が同方向であるが180度位相が異なっている。
上述において、混練部材の形状としては混練部材6−1について述べたが、第1群の混練部材6−1から6−9、及び、7−1から7−9は混練部材6−1と同様な板状である。そして、混練部材6−1から6−9、及び、7−1から7−9は隣り合う部分は軸方向において間隔を置いて配置されている。
第1群の混練部材の出口寄りには第2群の混練部材が配設される。本例ではオーバフロープレート22を第1群の混練部材と第2群の混練部材の境としているが、この境は回転軸の軸方向においてオーバフロープレートに対して前後してもよい。ただし、その範囲は入口の出口寄りの側から入口の出口寄りの側を出口側へ向って越えて入口近くまでの範囲である。オーバフロープレート22を用いない場合も、第1群の混練部材と第2群の混練部材の境は上記同様であり、回転軸の軸方向において選択の幅がある。
(第2群の混練部材)
次に第2群の混練部材6−10から6−30、及び、7−10から7−30の形状及び配列について述べる。
図13は図6(J)のハ矢視図、図14は図13のニ矢視図である。混練部材6−10bは棒状である。混練部材6−10bは本例では偏心部4cの中心C42をとおる偏心部4cの半径方向の中心線6eを中心線とする円筒形であって先端は面取りされている。混練部材6−10bの根本側は例えばおねじが設けられており、このおねじを偏心部4cの外周に設けた半径方向のめねじにねじ込むことにより、混練部材6−10bは偏心部4cに固定されている。
第2群の混練部材6−10から6−30、及び、7−10から7−30の夫々の形状は同一であって同様に偏心部4c,5cに固定されている。
第2群の混練部材6−10から6−30、及び、7−10から7−30の配列について説明する。既に述べたように、混練部材6−10から6−30、及び、7−10から7−30は偏心部4c,5cの直径をわたる両側において軸方向のほぼ同一位置にある。混練部材6−iaと6−ib、及び、7−iaと7−ib(i:10・・・30)は軸方向で見て偏心部4c,5cの直径をわたる両側へ突出している。ここで、混練部材6−iaと6−ib、及び、7−iaと7−ib(i:10・・・30)が軸方向のほぼ同一位置にあるとは、例えば、図1に示すように混練部材6−10aと6−10bが偏心部4cの軸方向で△Pオフセットしていることを意味している。このオフセット△Pがなく、混練部材6−10aと6−10bが偏心部4cの軸方向の同一位置にあってもよい。
次に混練部材6−10から6−30、及び、7−10から7−30の配列ついて述べる。ここで、混練部材6−iaと6−ib、及び、7−iaと7−ib(i:10・・・30)は偏心部4c,5cの軸方向同一位置にあるとして説明する。混練部材6−iaと6−ibは夫々偏心部4c上のスパイラル面上に位置している。ここで、混練部材6−iaが存在する上記スパイラル面と混練部材6−ibが存在するスパイラル面は位相が180度異なっている。混練部材7−iaと7−ibについても同様である。なお、上記オフセット△Pが混練部材6−iaと6−ib又は7−iaと7−ib間にある場合は、偏心部4c,5c上において混練部材6−ia,7−iaと6−ib,7−ibが位置するニ重のスパイラル面のリードが180度分異なるのに加えて更にリード△P相違すると考えてもよい。
軸方向において同一位置にある第1の偏心部4cに設けられた第1の混練部材6−10から6−30と第2の偏心部5cに設けられた第2の混練部材7−10から7−30は偏心部4c,5cの周方向において90度位相を異にしている。
第1の混練部材6−10から6−30の第1の偏心部4cを中心とする半径方向の長さと、第2の混練部材7−10から7−30の第2の偏心部5cを中心とする半径方向の長さの和は第1、第2の回転軸4,5の軸間距離よりも大で、回転中第1、第2の混練部材6,7が互に干渉しない長さで且つ第1の混練部材6と第2の回転軸5の偏心部5cと干渉しない長さ又は第2の混練部材7が第1の回転軸4の偏心部4cと干渉しない長さを有する。
第2群の混練部材6,7の形状としては既に述べた中空丸棒の他に角棒、先端に平板を有する柄付パッド等各種の棒状のものが選択できる。しかし、丸棒が製作上、保守上安価である。実施例では丸棒を採用し、総ての第1の混練部材6と第2の混練部材7の長さを等しくした。ここで、混練部材6,7の長さとは回転軸4,5の偏心部4c,5cの中心C42,C52から半径方向において各混練部材6−10から6−30、7−10から7−30の先端までの長さのことをいう。
混練部材6−10から6−30と7−10から7−30の長さを等しくした場合において、混練部材6−10から6−30、7−10から7−30が第1、第2の偏心部4c,5cの中心C42,C52を結ぶ線の同じ側で上記偏心部4c,5cの中心C42,C52を結ぶ線に対して夫々45度の位置において最も接近する(後述)ので、混練部材6−10から6−30、7−10から7−30の選択し得る長さの最大長は混練部材6−10から6−30、7−10から7−30の先端が第1、第2の偏心部4c,5cの軸方向に直角な平面上で、第1、第2の偏心部4c,5cの軸方向から見た幅(丸棒の場合直径)が夫々等しくdとし、第1、第2の回転軸4,5の軸間距離をCDとすると、
オフセット△P=0として
(CD/2)/cos45°−d/2となる。
混練部材6,7は第1、第2の回転軸4,5の偏心部4c,5cの夫々の中心線を中心として同じねじれ方向にねじれたスパイラル面上で軸方向に多数設けてある(以下、単にスパイラル面というときは回転軸の偏心部4c又は5cの中心を中心とするスパイラル面を指す)。この第1の回転軸4の偏心部4c上の2重のスパイラル面と第2の回転軸5の偏心部5c上の2重のスパイラル面のリードは同リードである。このスパイラル面は等リード又は可変のリードの何れも採用できる。また一つの偏心部4c又は5c上の2重のスパイラル面の1つと他の1とは180度+α位相が異なっている。ここでαはオフセット△Pに対応する位相差である。
(軸封部保護効果)
原料の入口2aの開口範囲はロータ19,21の軸方向において、図1に示すように混練部材6−2,7−2よりも右方から混練部材6−10,7−10よりも手前である。そして入口2aの開口範囲には混練部材6−3,7−3から6−9,7−9が位置している。混練部材6−1,7−1,6−2,7−2はこれらの混練部材が右ねじれのスパイラル面上にあることによるリードによって原料が軸封部材12へ向うのを防止している。この混練部材は軸方向で2組でなくそれ以上でもよい。
(第2群の混練部材が配置されるスパイラル面のねじれ方向)
混練部材6−10から6−23、及び、7−10から7−23まで右ねじれのスパイラル面上にある。
混練物の出口2bの開口範囲はほぼ端板2g位置から、ほぼ混練部材6−25,7−25の位置までである。混練部材6−23,7−23から6−24,7−24まででは混練部材は逆方向にリードを付されている。即ち、第1、第2の回転軸4,5の偏心部4c,5c上の夫々の左ねじれのスパイラル面上にある。この左ねじれのスパイラル面のリードは前述の右ねじれのスパイラル面のリードとおなじである。
混練物の出口2b上の混練部材6−24,7−24から6−28,7−28は第1、第2の回転軸4,5の偏心部4c,5c上の夫々の右ねじれのスパイラル面上にある。この右ねじれのスパイラル面のリードは混練部材6−10から6−23、7−10から7−23が配置されている右ねじれのスパイラル面のリードとおなじである。
混練部材6−28,7−28から6−30,7−30は第1、第2の回転軸4,5の偏心部4c,5c上の夫々の左ねじれのスパイラル面上にある。
上記において混練部材6−10から6−30、7−10から7−30は軸方向に隣り合う混練部材間に間隙を有する。
第1群の混練部材6−1から6−9、及び、7−1から7−9についての位相についても第2群の位相表示と同様に順序数を用いて示してある。
図2(A)から図10(Q)は回転軸4,5のある一定位置における各混練部材6−1から6−17、及び、7−1から7−17を示してある。混練部材6−18から6−30、及び、7−18から7−30については軸方向から見た図は示さないが、軸方向から見た図は位相が同一ならば上記図と同様に表わされる。
上記構成の作用をのべる。
(第1群の混練部材の作用)
電動機3が付勢されるとギア18が回転し、ギア18はその回転をギア16,17に伝える。そこで回転軸4,5は同方向に等速で回転する。即ち、ロータ19,21は図示矢印R1、R2の方向に等速回転する。以下、ロータ19,21の回転方向は特にことわらない限り図示矢印R1,R2とする。
第1群の混練部材6−1,7−1から6−9,7−9の内混練部材6−1,7−1について説明する。図15から図23は第1群の混練部材の内混練部材6−1から6−8、及び、7−1から7−8を図1の右方から左方を見た図である。ただし、混練部材6−8,7−8については混練部材6−8b,7−8bのみを示す。即ち、偏心部4c,5c上の各々1つのスパイラル面上に存在する混練部材6−1から6−8b、及び、7−1から7−8bを示している。
混練部材6−1から6−8b、及び、7−1から7−8bの夫々には図において部材上に直接ロットNO.を付してある。隣接する混練部材6−i,6−(i+1)及び7−i及び7−(i+1)(i:1・・・7)は周方向で45度離れている。偏心部4c,5cの軸方向で、同一位置にある混練部材の作用は同様であるので、ロットNO.1の混練部材、即ち、混練部材6−1,7−1について作用を説明する。
入口2aから投入された原料が入口2a下のロータ19,21を覆っているとする。
図15に示すように偏心部中心C42,C52が回転軸4,5の回転中心C41,C51の直上にある位置を始点として説明する。図15においてロータ19,21が図示矢印R1,R2の同一方向に回転すると、偏心部4c,5cの偏心部中心C42,C52は回転軸4,5の回転中心C41,C51を中心にして回転する。混練部材6−1,7−1は偏心部中心C42,C52が回転中心C41,C51を中心にして回転した角度だけ回転すると同時に偏心部中心C42,C52の移動につれて変位する。
図15から図16に示すように偏心部中心C42が回転軸4の回転中心C41を中心して22.5回転すると混練部材6−1は右真横に向く。同時に偏心部中心C42は図15の位置から右方及び下方に変位する。この変位の大きさは偏心量をexとすると右方へexsin22.5°、下方へex(1−cos22.5°)である。
また混練部材7−1は図15から図16に示すように偏心部5cの中心C52が回転中心C51の右斜め下方から回転中心C51を中心にして22.5度回転するので、図16の如く偏心中心C52の真下にくる。このときの混練部材7−1の変位は混練部材6−1と同じ方向で同じ大きさである。即ち、偏心中心C42,C52の変位と同量の変位が混練部材6−1,7−1に生ずる。
上述のように、本発明の実施例の混練部材は従来のように回転軸の回転中心を中心に単に回転するだけでなく、変位が生ずる。そしてトラフ2の内壁に面する混練部材7−1の先端は図15から図16への混練部材7−1の移動につれてトラフ2の内壁側へ近ずく。
図16から図17に示すように回転軸4,5が更にR1,R2方向に45度回転すると、偏心中心C42,C52は回転軸の中心C41,C51を中心にして45度回転する。混練部材6−1の中心は図16に示す偏心中心C42をとおり右方へ向う横方向から偏心中心C42をとおる右下方45度の位置となる。混練部材7−1の中心は図16に示す偏心中心C52をとおる直下の方向から偏心中心C52をとおる左下方45度の位置となる。
図17の状態では混練部材6−1,7−1は接近する。しかし、回転軸4,5は同方向R1,R2の方向に回転しているので、回転軸4,5が図17の位置から回転すると混練部材6−1,7−1は互に遠のく。
図17の位置から回転軸4,5が45度回転すると偏心中心C42,C52は回転中心C41,C51を中心に45度回転し、図18の位置となり、混練部材6−1,7−1は回転して混練部材6−1は偏心中心C42の直下に来ると共に混練部材7−1は中心線が偏心中心C52をとおり、偏心部4cに向かって真横を向く。このとき、混練部材6−1,7−1は夫々上から下へ偏位する。そして左右方向は一旦図17の右方へ移動するが図17と同じ位置に戻る。
図16から図23は回転軸4,5がR1,R2方向へ45度宛回転した位置における混練部材6−1から6−8b、及び、7−1から7−8bを示している。
図15から図23まで回転軸4,5が回転し、図23から図15へ回転軸4,5が夫々22.5度回転すると、ロータ19,21は図15の状態から1回転したことになる。
各混練部材6−2から6−8b、及び、7−2から7−8bは混練部材6−1,7−1と同様に運動する。
図15に示すように混練部材6−2,6−3、及び、7−4,7−5の先端は回転中心C41,C51から最も遠い位置にある。混練部材6−6,6−7、及び、7−1,7−8の先端は回転軸4,5の回転中心C41,C51から最も近い。そして、混練部材6−2,6−3から6−6,6−7、及び、7−4,7−5から7−1,7−8の間にある混練部材6−4,6−1,6−5,6−8、及び、7−3,7−6,7−7,7−2の先端の回転中心C41,C51からの距離は混練部材6−2,6−3、及び、7−4,7−5の先端の回転中心C41,C51からの距離よりも次第に近くなるが混練部材6−6,6−7、及び、7−1,7−8の先端の回転中心C41,C51からの距離よりは大きい。
偏心部4c,5cの軸方向で同一位置にある混練部材6−1,7−1は原料を互に混合する作用を有する。即ち、図17において混練部材6−1は回転中心C41を中心にして回転し先端がaからbまで回転中心C41を中心にして円弧abを画く。
円弧ab内の原料は混練部材6−1により混合される。混練部材6−1が円弧ab内から去った後は、すぐ続いて混練部材7−1は回転中心C51を中心にして回転し先端がbからaまで回転中心C51を中心にして円弧baを画く。この回転により、円弧ab内と円弧ba内の重なり部分は混練部材が重ねてつづいて通過する。
上記は他の混練部材6−2から6−7、及び、7−2から7−7のある夫々の軸方向位置で行われる。混練部材6−1から6−7、及び、7−1から7−7は既に述べたように板状で先端が偏心部4c,5cの回りのスパイラル面上に位置する。そして、隣接する混練部材間は軸方向において間が置かれている。それ故、混合される原料は混練部材6−1から6−8b、及び、7−1から7−8bまで送られるが、隣接する混練部材間が軸方向において間がおかれているため、この軸方向の間をくぐりぬけた混合物は送り方向の下流側に隣接する混練部材により混合されながら送られる。全体として混練部材6−1から6−8b、及び、7−1から7−8b、更に混練部材6−9b,7−9bを加えての作用を見ると原料を攪拌して混合し乍、オーバフロープレート22側へ送る。
各混練部材6−2から6−8b、及び、7−2から7−8bについては混練部材6−1,7−1の作用と異なる点は、混練部材の先端のトラフ2の内壁面からの距離が異なることである。回転軸の軸方向の同一位置にある混練部材は偏心中心C42,C52から先端までの距離は等しい。そこで、回転中心C41,C51から先端までの距離が、混練部材6−1,7−1よりも大きい混練部材6−2,6−3,7−4,7−5にあっては、混練部材6−1,7−1よりも、よりトラフ2の内壁面に近い処にある原料を混合する。同距離が混練部材6−1よりも小さい混練部材6−5から6−8bは混練部材6−1よりも混合する原料の範囲が小さく、同距離が混練部材7−1より大きい混練部材7−2から7−7は混練部材7−1よりも混合する原料の範囲が大きい。
図1に付記したように混練部材6−1から6−9b及び7−1から7−9bの先端の回転中心C41,C51の半径方向長さ(回転半径)r1,r2は軸方向において変化する。図1においてr1は混練部材6−1から6−9b、r2は混練部材7−1から7−9bの回転半径を示す。このため、第1群の混練部材6−1から6−9及び7−1から7−9は図1において原料を左方から右方へ送り乍強弱の混合を行う。従って、仮に原料に既に加水されていて、混練された場合において、固化したとしても、回転半径が一定の混練部材に比して起動トルクが小さくてすむ。この点は後述の第2群の混練部材についても同様である。
入口2a真下の原料は加水されていないので混合するのみである。そして、入口2aから過大な原料供給がなされてもオーバフロープレート22があるため、第1群の混練部材で混合される原料が第2群の混練部材側へ送られる量は制限される。
混練部材6−8,6−9、及び、7−8,7−9は偏心部4cの直径をわたる両側へ突出しており、混練部材6−8は6−8aと6−8b、6−9は6−9aと6−9b、及び、7−8は7−8aと7−8b、7−9は7−9aと7−9bと夫々1組宛となっている。混練部材6−9bは混練部材6−1から6−8bが位置する偏心部4c回りのスパイラル面上にある。このスパイラル面とは180度位相を異にした同リードの偏心部4c回りのスパイラル面上には混練部材6−8a,6−9aが存在する。混練部材7−9bは混練部材7−1から7−8bが位置するスパイラル面上にある。
板状の混練部材6−8,6−9、及び、7−8,7−9は夫々右方向にねじれたスパイラル面(本例では右ねじれの二重)上に板面が沿って配設されているため、混練部材6−8,6−9、及び、7−8,7−9は、単純にいえば偏心部4c,5cの軸方向で原料の攪拌と送りが混練部材6−1から6−7、及び、7−1から7−7の各混練部材の2倍の作用を行う。
上記で混練部材6−8a,7−8aを無視して偏心部4c,5c回りの一重のスパイラル面上に混練部材6−1から6−8b、及び、7−1から7−8bがあるとして説明した点があるのは混練部材6−7から6−8b間又は7−7から7−8間の原料の送り、攪拌の作用は混練部材6−7又は7−7の作用によるものであるからである。
混練部材6−8,6−9、及び、7−8,7−9の動きは第2群の混練部材6−10から6−23、及び、7−10から7−23の各作用と類似しているので第2群の混練部材の作用の説明を援用する。
(第2群の混練部材)
混練部材の先端が画く軌跡は円である。そして混練部材の画く軌跡は円内である。ロータが回転するとき、一方のロータの混練部材の画く軌跡に他方のロータの混練部材の画く軌跡が重なる。このとき、一方のロータの混練部材と共にその回りの混練物が一体的に回転すると仮定すると、他方のロータの混練部材の先端がこの混練物中に軌跡を画く。このように、ロータと一体的に混練物が回転したとした場合の混練部材先端によって該混練物に画かれる軌跡についても以下の説明において言及する。
ロータと共に混練物が回転するとして混練部材の先端によって混練物に画かれる軌跡を明らかにすることは、混練作用を明確にするのに有用である。
次に第2群の混練部材の説明をする。混練部材6−10から6−30、及び、7−10から7−30の内軸方向の一個所において行われる混練の様子を説明する。図24から図33はロータ19,21が1回転した場合の混練の様子を示す。図24から図33は軸方向の一個所、例えば混練部材6−10,7−10の混練の様子を示している。図24から図33は図1の左方から右方を見る図面(J矢視図)である。
ロータ19は混練部材6−10a,6−10bが回転中心C41と偏心中心C42間の距離である偏心量exを動径として揺動するものであるが、回転中心C41から見ると混練部材6−10a,6−10bの各部は回転中心C41から半径方向の線上の点であり、該各部は回転中心C1を中心として円を画く。例えば混練部材6−10bの先端は円C1を画く。混練部材7−10aの先端は円C2を画く。混練部材7−10bの先端は円C3を画く。混練部材6−10aの先端は円C4を画く。円C1から円C4へ順に円の直径が小さくなっている。混練部材6−10a,6−10b、及び、7−10a,7−10bの半径方向の中心線C43,C53は偏心中心C42,C52をとおっている。偏心部4c,5cは偏心中心C42,C52を夫々中心とする円形である。そして、混練部材6−10aと6−10bは偏心部4cの直径をわたる両側へ等しい長さで突出している。混練部材7−10a,7−10bは偏心部5cの直径をわたる両側へ等しい長さで突出している。
他の混練部材6−8,6−9、6−11から6−30、及び、7−8,7−9、7−11から7−30の夫々の半径方向の中心線も偏心部4c,5cの偏心中心C42,C52上にあり、偏心部4c,5cの直径をわたる両側に等しい長さで突出している。総ての混練部材6−1から6−30、及び、7−1から7−30は偏心中心C42,C52から先端までの距離が等しい。それ故混練部材の長さが一定である。
混練部材6−1から6−30、及び、7−1から7−30は順次位相がずれているので回転中心C41,C51から混練部材6−i,7−i(i:1・・・30)の先端までの距離は位相の相違に従って異なる。例えば、混練部材6−10a,6−10bに関していえば、この混練部材の中心線C43と回転中心C41と偏心中心C42を結ぶ線L1とのなす角は22.5°であるので回転中心C41から混練部材6−10bの先端までの距離は第2群の混練部材の中での最長の一つである。また、回転中心C41から混練部材6−10aの先端までの距離は混練部材の中での最短の一つである。従って、図1において、同位相の混練部材例えば、混練部材6−10aと6−18aの先端はロータ19が回転すると回転中心C41を中心にして同一径の円C4を画く。
図24において、偏心中心C42,C52は回転中心C41,C52の真上にある。この位置を原点とする。このとき、混練部材6−10bが回転中心C41をとおる垂直線L1から矢印R1の方向に22.5度、混練部材7−10bが回転中心C51をとおる水平線L2から矢印R2の方向に22.5度傾いている。
図24から図25に示すようにロータ19,21が回転中心C41,C51を中心にして原点位置から矢印R1、R2の方向に夫々22.5度回転すると、偏心中心C42,C52は回転中心C41,C51を中心にして同角度22.5回転する。各混練部材6−10a,6−10b,7−10a,7−10bは回転中心C41と偏心中心C42間の偏心量ex、回転中心C51と偏心中心C52間の偏心量exを夫々アームとして回転中心C41,C51を中心として揺動し、揺動方向の前面の混練物を押す。各混練部材6−10a,6−10b,7−10a,7−10bの回転方向の後方には各混練部材6−10a,6−10b,7−10a,7−10bの移動の軌跡として空間ができることになるがこの空間には混練物が送り込まれる。
この移動の軌跡としての空間への送り込みは各混練部材6−10a,6−10b,7−10a,7−10bの移動方向の前面からの一部回り込みと、次に述べる軸方向からの移動による送り込みである。混練部材6−10bは6−10aよりも先端の回転半径(回転中心から先端までの距離をいう)が大きいから、混練部材6−10bは6−10aよりもより広範囲に混練物を混練する。
第2群の混練部材はロータ19では混練部材6−10aから6−23a、6−10bから6−23bまで夫々が回転軸4の偏心部4cを中心とする右ねじれの2重のスパイラル面上にある。及びロータ21においては混練部材7−10aから7−23a、7−10bから7−23bまで夫々が回転軸5の偏心部5cを中心とする右ねじれの2重のスパイラル面上にある。そこで、混練部材6−10a,6−10b,7−10a,7−10bから6−23a,6−23b,7−23a,7−23bまでは図1において混練物を左方から右方へ送る作用を有する。従って、ロットNo.10から23番目の各混練部材の夫々の位置において混練物は入口2a側から出口2b方向へ軸方向の送り力を受けている。
図25に示すようにロータ19,21が原点位置から22.5度回転すると混練部材6−10bと7−10aは先端が接近する。このとき、回転軸4,5の中心を結ぶ線L2に対して混練部材6−10b,7−10aは共に角45度をなしている。混練部材6−10bと7−10aの先端が互いに干渉しないように混練部材6−10bと7−10aの先端間に回転軸4,5の中心を結ぶ線L2方向で隙間tを設けてある。
図25からロータ19,21が回転すると、混練部材7−10aの移動の軌跡(円C2の円弧c21,c22内)上には混練部材6−10bが混練部材6−10bの前進側の混練物を押し出すと共に入口2a側から出口2b側方向の軸方向から送られる混練物が進入する。混練部材6−10a,7−10bは離れているので互に作用し合うことなく夫々混練を行う。
図26に示すようにロータ19,21が原点位置から角67.5度回転すると、原点位置よりも以前から回転中心C51を中心にして回転した混練部材7−10aの先端が画いた円C2の円弧c21,c22内の混練部材7−10aの軌跡中の混練物の一部は重ねて混練部材6−10bによって混練される。そして、混練部材6−10bが該円弧c21,c22の外側へ出るまでに曲線dが混練部材7−10aにより混練物が一度だけ混練される領域eと混練部材7−10aにより一度混練された混練物の一部が混練部材6−10bにより二度混練される領域fの境となる。詳しくは、領域fでは混練部材7−10aの移動により、混練部材7−10aの移動方向の前方から後方に回り込んだ混練物が2回目の混練を受け軸方向に送られてくる混練物が初めての混練を受ける。
図27に示すようにロータ19,21が原点位置から112.5度(図26の位置から角45度)回転すると混練部材6−10bと7−10bは先端が接近する。このとき、回転軸4,5の中心を結ぶ線L2に対して混練部材6−10b,7−10bは共に角45度をなしている。混練部材6−10bと7−10bの先端は互いに干渉しない。何故ならば、図25を参照して、混練部材6−10b,7−10aが線L2に対して夫々角45度をなして接近すると混練部材6−10bと7−10a間にはtの隙間がある。一方、図27では混練部材6−10b,7−10bは線L2に対して角45度をなして接近する場合、混練部材6−10bの回転半径は図25と図27では同一であり、回転中心C51から混練部材7−10bの先端までの距離(円C3の半径)は図25における回転中心C51から混練部材7−10aまでの距離(円C2の半径)よりも小さいからである。
図27の位置から、ロータ19,21がわずかに回転すると、混練部材6−10bの先端の移動の軌跡の回転軸4の中心C41を中心とする円弧C1上の点hに混練部材7−10bの先端がくる。ロータ19,21が更に回転すると混練部材6−10bの移動の軌跡(円C1の円弧C21,h)上では混練部材7−10bが混練部材7−10bの前進側で混練物を押し出すと共に入口2a側から出口2b側方向の軸方向から送られる混練物が進入する。混練部材6−10a,7−10aは離れているので互に作用し合うことなく夫々混練を行う。
図28に示すようにロータ19,21が原点位置から157.5度回転すると、点hから混練部材6−10bの移動した軌跡i内に混練部材7−10bが入り込んで来るので、混練部材6−10bの移動方向の前面から後方に回り込んだ混練物の一部及び混練部材6−10bの移動した軌跡i内へ入口2a側から出口2b側方向の軸方向から送られて来る混練物の一部は混練部材6−10bに混練された後に混練部材7−10bにより混練される。混練部材6−10aと7−10aは離れているので互いに作用し合うことなく夫々混練を行う。
図28において混練部材6−10bの先端の軌跡である回転軸4を中心とする円弧C1より該円弧C1内へ、混練部材7−10bは進入を深くして行く。図28に点hから始まる混練部材7−10bの先端が混練することにより生ずる混練物に画く軌跡である曲線jよりも混練部材6−10bに近い側は混練部材7−10bにより混練物は混練されない。単純にいえば曲線jと混練部材6−10bとの間は混練部材6−10bのみが作用し混練部材7−10bは進入せず混練の作用もしない。
図24から図28の説明で分かるように図28に示す混練部材6−10a,6−10bの右側に示す曲線jの回転軸4側の領域は1つの混練部材6−10bによって混練物が1回混練される領域であり、曲線jと円C1の間の領域kが2つの混練部材6−10b,7−10bによって混練物が重ねて混練される領域である。ただし、重ねて混練されるのは、混練部材6−10bの移動方向の前面から後方に回り込んだ混練物であり、軸方向に送られる混練物は始めて混練される。
図29に示すようにロータ19,21が図24の状態(原点位置)から202.5度、図28の状態から45度回転する際、混練部材7−10bは回転軸4,5の中心を結ぶ線L2からは混練部材6−10bの移動の軌跡への入り込み長さを減少させて行く。
このとき、混練部材6−10aと7−10bは先端が接近する。このとき、回転軸4,5の中心を結ぶ線L2に対して混練部材6−10a,7−10bは共に45度の角度をなしている。混練部材6−10aと7−10bの先端は互に干渉しない。なんとなれば、混練部材6−10aの先端が画く円はC4である。また混練部材7−10bの先端が画く円はC3である。図25に示すように一方端が当らないようにしてある混練部材6−10bの先端が画く円はC1、混練部材7−10aの先端が画く円はC2である。そして円C1,C2の夫々の半径は円C3,C4の夫々の半径よりも大きいからである。
図29の位置からロータ19,21がわずかに回転すると、混練部材7―10bの先端の移動の軌跡の回転軸5の中心C51を中心とする円C3と円C4の交点o(オー)に混練部材6−10aの先端が来る。
更に、ロータ19,21が図29の位置から回転すると、円C3,C4の交点oから混練部材7−10bの移動した軌跡m内に混練部材6−10aが入り込んでくるので混練部材7−10bの移動した軌跡m内へ混練部材7−10bの移動方向の前面から後方へ回り込んだ混練物の一部及び入口2a側から出口2b側方向の軸方向から来る混練物の一部は混練部材6−10aにより混練される。混練部材6−10b,7−10aは離れているので互いに作用しあうことなく混練を行う。
図30に示すように図29から回転軸4,5が45度回転する際、混練部材6−10aの先端が混練部材7−10bと共に混練物が移動するとした場合に混練物上に生ずる軌跡であるpで示す曲線よりも混練部材7−10bに近い側は混練部材6−10aの移動の軌跡外となる。単純にいえば曲線pと混練部材7−10bとの間は混練部材7−10bのみが作用し混練部材6−10aは進入せず混練の作用もしない。
図30に示すようにロータ19,21が原点位置から247.5度回転すると、混練部材7−10bも同角度回転し、混練部材7−10bの移動の軌跡mへ混練部材6−10aの247.5度回転の移動の軌跡qの一部が入り込む。そこで図29から図30までに混練部材6−10aが混練部材7−10bの移動の軌跡mへ入り込むときの混練部材6−10aが作用した範囲と作用しない範囲は図30に画く曲線pが境となる。
図26、図30を見れば分かるように、図26において、混練部材6−10aは回転軸4から回転軸5とは反対方向を向いて回転軸4,5の中心を結ぶ線L2の延長線上にある。図30において混練部材6−10aは線L2上にあって回転軸4から回転軸5の方を向いている。即ち、混練部材6−10aと6−10bは軸4を中心にして線L2及びその延長線上で図26と図30では左右に入替っている。同様に混練部材7−10a,7−10bは図26と図30では上下に入替っている。
そして、混練部材6−10a,6−10b、及び、7−10a,7−10bの配置は回転中心C41,C51から右斜めへオフセットしている。このオフセットの方向は回転中心C41,C51と偏心中心C42,C52を結ぶ線の方向であって、線L2から22.5度の方向である。そしてオフセットの向きは図26では回転中心C41,C51から右斜め上向き、図30では回転中心C41,C51から左斜め下向きである。
このため図26で示す混練部材7−10aの移動の軌跡に入り込んで混練部材6−10bが混練物を混練する領域fは図30に示す混練部材7−10bの移動の軌跡に入り込んで混練部材6−10aが混練物を混練する領域rよりも大きい。このように軸方向において同一又はほぼ同一個所において一方の偏心部に設けた混練部材が他方の偏心部に設けた混練部材が混練した領域に入り込む範囲は、回転軸の回転位置によって異なる。従って、混練物は一様に混練されるのではなく練り合わせの程度に変化を受けながら混練されるものである。
図30に示す状態から回転軸4,5が45度、原点位置から292.5度回転すると図31に示すように混練部材6−10a,7−10aは接近する。
図31から回転軸4,5が45度、原点位置から337.5度回転すると、混練部材6−10と7−10は垂直、水平方向を向いて直交し図32の如くなる。
図32から回転軸4,5が22.5度、原点位置から360度回転すると、図33に示すように混練部材6−10と7−10は図24の原点位置と同様になる。
かくして図33に示すように混練部材6−10a,6−10b,7−10a,7−10bが図24から図33まで360度回転すると、混練部材6−10a,6−10bの移動の軌跡は回転中心C41を中心についてみると夫々が回転軸4を除いた円C1,C4内となる。同様に混練部材7−10a,7−10bの移動の軌跡は回転軸5を除いた円C2,C3内となる。
そして、ロータ19,21が一回転する間に円C1,C4内の混練部材6−10a,6−10bの軌跡に対して円C2,C3内の軌跡が重なる部分においては、混練部材6−10aと7−10a、6−10aと7−10b、6−10bと7−10a、6−10bと7−10bの何れかの組合せが混練を行うので、この範囲の混練物は回転軸4,5の軸方向において同一位置にある異なる2本の混練部材によって混練される。
混練部材6−10a,6−10b,7−10a,7−10bが1回転する間の混練物が異なる2本の混練部材により混練する範囲は回転軸回りの混練物は、回転軸と共に回動移動するとして、図33に示すように90度位相を異にするこばん形の曲線v1,v2,w1,w2の外側の範囲の如くになる。なお、符号v1は図29ではj、w1は図30ではp、wは図26ではdとして用いられた符号に相当する。
この曲線v1,v2及びw1,w2に囲まれるこばん形は回転中心C41,C51から見ると夫々異形のこばん形であるが、偏心中心C41,C51から見ると夫々点対称のこばん形である。
この曲線v1,v2の内側、w1,w2の内側の混練物は混練部材の回転及び偏心部の揺動回転により混練されるが、仮に一旦固化すると、この形状を保ったまま回転することもあり得る。
このことより、曲線v1,v2及びw1,w2で囲まれた形の板状パドルを偏心部4c,5cの軸方向に重ねてロータを構成するようにしてもよい。
曲線v1,v2内の混練物は混練部材6−10a,6−10bによってのみ混練される。又、曲線w1,w2内の混練物は混練部材7−10a,7−10bによってのみ混練される。
混練物が軸方向の一個所で異なる混練部材により2度混練される範囲は
(1)混練部材7−10aが混練した後に混練部材6−10bが混練する(図24〜図27参照)ときは、円C2を円C1が切る範囲。
(2)混練部材6−10bが混練した後に混練部材7−10bが混練する(図27〜図29参照)ときは、円C1を円C3が切る範囲。
(3)混練部材7−10bが混練した後に混練部材6−10aが混練する(図29〜図31参照)ときは、円C3を円C4が切る範囲。
(4)混練部材6−10aが混練した後に混練部材7−10aが混練する(図31〜図33、図24、図25参照)ときは、円C4を円C2が切る範囲。
と異なる混練部材6−10bと7−10a、6−10bと7−10b、6−10aと7−10b、6−10aと7−10aにより混練される。この混練の態様は先に混練を行った混練部材が混練した混練物の一部が先ず混練した混練部材の軌跡に入り込む混練部材により混練されるものである。
上記(1)〜(4)の2つの混練部材が作用する範囲である円C2を円C1が切る範囲、円C1を円C3が切る範囲、円C3を円C4が切る範囲、円C4を円C2が切る範囲は夫々面積が異なる。従って、軸方向の一個所におけるロータ19,21の対向部においては、ロータ19,21の1回転中において変化を与えた混練が行われる。
(ばらけ防止効果)
図1において、混練部材6−24,7−24は混練部材6−23,7−23を含めて偏心部4c,5cを中心とする左ねじれのスパイラル面上にある。混練部材6−24,7−24は出口2bの入口側寄りの縁の真上にある。混練部材6−24,7−24は入口2a側から出口2b側へ軸方向に送られて来る混練物に抗して逆方向に混練物を押し返す力を生ずるので入口側の混練物を密にする。そこで混練部材6−10,7−10から6−23,7−23で送られてくる混練物が疎になって混練効果が低下するのを防止することができる。従って、混練部材6−24,7−24の作用により密な混練物が入口2a側から出口2b側へ向う。
(ばらけ効果)
混練部材6−25,7−25から6−28,7−28まではこれらの混練部材が回転軸4,5を中心とする右ねじれのスパイラル面上にあるので、混練物は図1において右方へ送る力を受けて、出口2bが下方で開放されていることにより、ばらけさせられて出口2bから落下する。
(出口側軸封保護効果)
出口2b側の軸封部材8寄りでは混練部材6−28,7−28から6−30,7−30まではこれらの混練部材が偏心部4c,5cを中心とする左ねじれのスパイラル面上にあるので混練物を押し戻す作用があり混練物は少なくとも軸封部材8を加圧することなく出口2bに向かって落下する。これによって軸封部材8に向って混練部材が押し込まれてくることなく、軸封部材8の耐久性を増すことができる。
混練効果をみると本発明の実施例では、二本の回転軸の夫々において軸方向で同一位置にある混練部材が90度位相を異にして同回転速度で同方向に回転するため、混練物が混ぜ合わせられる効果が大きい。特に軸方向の一個所において混練部材の先端側で混練物の一部を回転中心から先端までの長さが異なる2本の混練部材で混ぜ合わせるため、更には、軸方向の各個所における混練部材の回転中心から先端までの長さが多様であるため、混練の効果は大である。
上述において各混練部材6,7は軸方向に間隔を置いて設けてある。そして、回転軸4,5の回転速度は同一で同方向に回転する。そして各混練部材6,7の回転中心から先端までの長さを多様とすることにもかかわらず、個別の部材として各混練部材6,7は長さも大きさも同一にすることができる。尚、太さは軸方向の場所において異にすることもできる。製作上の点からは各混練部材6,7は長さ及び太さを同一にすることでコスト低減となる。混練部材6,7の断面は丸棒が製作上有利であるが角棒その他の断面でもよい。
混練部材6−10から6−30、及び、7−10から7−30の偏心部4c,5cへの取付けは混練部材の根本を少なくとも丸棒としてこの丸棒におねじを設け、偏心軸4c,5cに設けためねじにねじ込むようにする。又は混練部材の根本に偏心部4c,5cの外面に接するフランジを設け、このフランジに取付穴を設け、この取付穴を挿通するボルトを偏心部4c,5cにねじ込むようにしてもよい。
実施例ではトラフ2を箱形のトラフ本体2dとし、トラフ本体2dにロータ19,21があるようにして回転軸4,5をトラフ2を挿通してトラフ外で軸受支持した。そして、トラフ蓋2eをトラフ本体2dに開閉できるように取り付けたので、混練部材6,7の摩耗、損傷に対する保守はトラフ蓋2eを開くだけで総て行うことができ、保守が容易である。
(偏心の作用効果)
図15に示す回転中心C41と偏心中心C42を結ぶ直線の延長線が偏心部4c外周と交叉する点を点a1,a2とすると、回転中心C41から点a1までの長さは、回転中心c1から点a2までの長さより短い。それ故回転中心C41を中心とし点a1をとおる円a3を画くと円a3内に偏心部4cが納まる。円a3内の偏心部4cで占められない領域が生ずる。この領域をa4,a5とする。領域a4とa5は点a1,a2を結ぶ線の延長線が境界となっている。
回転軸4が回転すると、回転中心C41を中心とし偏心量exを動径として偏心部4cは回転する。すると、偏心部4cに押されて、領域a4内の混練物は領域a4内から円a3を越えて外方へ向う。一方領域a5は偏心部4cの回転中心C41の回転により拡大しようとするので混練物は領域a5を埋めようとする。混練物は軸方向に送られているので、領域a4から押し出された混練物は混練部材により混練される。領域a5を埋めるのは主として軸方向に送られてくる混練物である。
上記作用は偏心部4cが回転中心C41を中心として一回転する間ほぼ一様である。従って、この偏心部4cがあることにより、混練機のほぼ全長にわたり、偏心部4c自体による攪拌による混合、混練がよく行われる。偏心部5cについても偏心部4cの上記作用効果と同様の作用効果を生ずる。
混練機を停止して操業を例えば明朝まで休止する前に、通常、原料を供給することなく混練機の空運転を行う。空運転を続行することにより、トラフ2中の混練物は、ロータ19,21による軸方向へ混練物を送る作用により、出口2bから排出される。このとき、軸方向の1個所の混練部材、例えば混練部材6−10,7−10で見ると、図24から図33に示すように、混練部材6−10bの先端は円C1を画く。空運転によっても、円C1とトラフ2の内壁との間は少なくともトラフ2の下方では混練されない混練物が残り、混練部材6−10bの先端はこの混練物が固化する際に固着されるおそれがある。特に、混練部材6−10bがトラフ2内の下部に来ると、固化が進行しようとする混練物が付着し、この混練物の固化により、混練部材6−10bの先端が固化した混練物に固着される。混練部材6−10aの先端は円C4を画くが混練部材6−10bの先端が画く円C1よりも直径が小さいので、混練部材6−10aは固化する混練物からは離れている。
同様に混練部材7−10aの先端が画く円C2は混練部材7−10bの先端が画く円C3よりも大きいので、混練部材7−10aの先端はトラフ2の内壁下部で混練物と固着し易いが、混練部材7−10bの先端はトラフ2の内壁下部の混練物と固着するおそれは少ない。
従来、軸方向の同一個所において回転軸から半径方向に突出させた複数の混練部材は棒状の場合に回転軸の中心から先端までの半径方向長さが同一であった。そのため、本実施例の場合よりもより多数の混練部材の先端が、トラフ内壁内に残る混練物が固化した際、この混練物に固着するおそれが大きかった。そのため、ロータを回転する起動トルクを運転トルクよりも著しく多くしておく必要があった。
この実施例によれば、混練機の空運転を行った後における先端が残留混練物の固化に従って固着する混練部材の数が減少するため、起動トルクに抗する支配的なトラフ内壁近くで固着する混練部材の数が少ないので、この固着した混練部材と混練物に大きな力を加え易い。それ故、固着後における起動トルクを小さくできる。
(他の実施例)
図38、図39はロータの他の実施例の側面図、図40は図38のR矢視図、図41は図39のS矢視図を示す。図38はロータ21、図39はロータ19を示す。この実施例は第1群の混練部材6,7をねじ羽根6A,7Aとしたものである。その他の構成は前述した実施例と同様である。
ねじ羽根6A,7Aはトラフ2の端板2fから図示されないオーバフロープレート22(図1参照)を越えて混練部材6−13,7−13近くまで存在する。なお、オーバフロープレート22がない場合は第2群の混練部材の始まる位置近くまで存在する。
偏心部4c,5cは前実施例同様同方向(同位相)に回転軸4,5の回転中心から変位している。ねじ羽根6A,7Aは回転軸4,5の偏心部4c,5cの中心を中心とする右ねじれのスパイラル面を有する。ねじ羽根6A,7Aのピッチは夫々が等ピッチであり、両者は同リードである。
原料の入口2aの下方に配列される部材は各偏心部の中心を中心として同じねじれ方向にねじれた夫々一重のスパイラル面を有する同ピッチのねじ羽根6A,7Aであって、第1の回転軸4の偏心部4cに設けられた第1のねじ羽根6Aと第2の回転軸5の偏心部5cに設けられた第2のねじ羽根7Aは軸方向で同一位置にある。そして、第1のねじ羽根6Aのねじ山は第2のねじ羽根7Aのねじの谷はこれらのねじ羽根の対向部において、対向している。当然第1のねじ羽根6Aのねじの谷は第2のねじ羽根7Aのねじ山はこれらのねじ羽根の対向部において対向している
第1のねじ羽根6Aの第1の回転軸4の偏心部4cの中心からの半径と第2のねじ羽根7Aの第2の回転軸5の偏心部5cの中心からの半径との和は第1、第2の回転軸4,5の軸間距離よりも大で、第1のねじ羽根6Aが第2の回転軸5の偏心部5cと干渉しない大きさ、又は第2のねじ羽根7Aが第1の回転軸4の偏心部4cと干渉しない大きさを有する。
上記において、ねじ羽根6A,7Aの外径は同径である。ただし、ねじ羽根6Aの外径と、ねじ羽根7Aの外径を異にしてもよい。
上記において、ねじ羽根6A,7Aのピッチを可変としてもよい。ただし、軸方向同一位置においてねじ羽根6A,7Aはピッチが等しくなければならない。ねじ羽根6A,7Aのピッチを可変とする例としては、出口側へ向って次第にピッチを小さくする。又は出口側に向って次第にピッチを大にする等が選択できる。ねじ羽根6A,7Aのピッチを出口側に向って次第に小さくすると、ねじ羽根6A,7Aで送られる原料は圧縮される。ねじ羽根6A,7Aのピッチを出口側へ向って次第に大きくすると、ねじ羽根6A,7Aで送られる原料はばらけさせられる。
このねじ羽根を採用すると、断続的に板状の混練部材6−1から6−9、及び7−1から7−9を設けた場合におけるよりも、原料を攪拌したり、混合したりする作用は小さくなるが原料を軸方向に送る力は大きくなる。それ故粉体に近い原料のような送り難い原料に対してねじ羽根は適当である。
(偏心部の位相)
上述の各実施例では、第1の回転軸4の偏心部4cと第2の回転軸5の偏心部5cの位相を同位相とした。この位相は相違させることも出来る。例えば、偏心部4cと5cの位相差を90度以外の他の角度とする選択も可能である。このように、偏心部4c,5cがあると、実施例と同様に偏心部4c,5c回りの混練部材6,7はふれ回るので位相差にかかわらず混練物はよく混練され、空運転後の混練物の混練部材への固着時の起動トルクを小さくできる。