JP2006075727A - 塵埃捕集用の成形フィルタ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 塵埃粒子の捕集性とガス通気性に優れた成形フィルタ、及び筒状体のフィルタの外面側の密度を内面側の密度よりも大きくし、かつ筒状体各部においてフィルタ性能が一定な塵埃捕集用の成形フィルタの製造方法を提供する
【解決手段】 塵埃捕集用の成形フィルタ1は、塵埃粒子の通過を阻止するための緻密な表面微細孔構造21と、通気性を確保するための疎な内部細孔構造22とを有する。成形フィルタ1の製造方法は、無機繊維と無機系バインダとを含むスラリーを中空の型枠に接触させながら、スラリーを吸引してスラリー中の固形成分を型枠上に堆積させることにより有底の筒状体を形成させる成形工程と、型枠から筒状体を離間させた後、筒状体の外側表面に均一に温風を当てることによって、筒状体の外側表面から液体成分が蒸発する状態で筒状体を乾燥させる乾燥工程とを有する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、塵埃捕集用の成形フィルタ及びその製造方法に関する。
近年、環境汚染が地球規模で問題になり、日本でも大気汚染防止法によって煤塵の排出基準を規模別に定めている。ゴミ焼却炉、窯炉、石炭ボイラなどでは、集塵機に取り付けるフィルタ材により、出口含塵濃度を排出基準以下に落とさなければならない。この種の含塵ガスは、ガス温度が高くて酸性物質を多量に含むため、これらの熱設備用のフィルタ材は耐熱・耐酸性であることが必要である。このため、フィルタ材の素材に、耐熱・耐酸性の高いテトラフルオロエチレン(PTFE)繊維、ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維、ポリイミド繊維、アラミド繊維などのニードルパンチフェルトを用いることが一般的である。
耐熱性フィルタ材の素材はさらに改良されており、PTFE繊維と0.1〜1デニールの細いガラス繊維とを配合し、これらをニードルパンチングで一体化した複合フェルト(例えば、特許文献1、2参照)が提案されている。また、PPS繊維、アラミド繊維、PTFE繊維などの耐熱性の有機繊維とガラス繊維とを部分的に接着させたフィルタ材(例えば、特許文献3参照)についても検討されている。
耐熱性フィルタ材に関して、無機繊維製のニードルフェルトは、一般に使用繊維が硬くて脆く、カーディングやニードルパンチングの工程で切断して繊維が脱落しやすく、作業環境の悪化および生産効率の低下という問題が発生しがちである。また、ニードルフェルト中にガラス繊維を多量に混入すると、表面に露出したガラス繊維が酸性雰囲気中で劣化しやすく、酸性物質を多量に含む含塵ガスを処理すると比較的短期間でフィルタ交換を要するので不経済である。一方、有機繊維を多量に含むと耐熱性が低下する。
このような無機繊維製のフィルタ材に関する上記の問題に関しては、ロックウールやセラミックスファイバなどの無機繊維と無機系バインダとからなる均質の筒状体に形成すると共に、低温乾燥処理において、筒状体の内部に挿入したエアーパイプから雰囲気温度より20〜30℃高い空気を吹き出して筒状体内面側の密度を大きく、または雰囲気温度より20〜30℃低い空気を吹き出して筒状体外面側の密度を大きくした後に硬化させる成形フィルタ(例えば、特許文献4参照)が提案されている。これにより、酸性雰囲気中で劣化しにくく且つ耐熱性が高くて長期間使用可能となる。
また、特許文献4には、ロックウールやセラミックスファイバなどの無機繊維と無機系バインダとを水に分散し、全体が均質になるまで攪拌して懸濁状態で安定させ、得たスラリー中に中空型枠を浸漬するかまたは型枠にスラリーを流し込み、該型枠の内部から吸引してスラリー中の固形成分を減圧脱水して型枠の外側または内側に抄き上げ、該型枠の多孔周面に応じて有底の筒形状に成形した後に型枠から筒状体を取り外し、低温乾燥処理によって筒状体を所望の密度および通気性に定め、さらに高温で硬化させる成形フィルタの製造法についても提案されており、この方法により生産効率が高いうえに作業環境を悪化させることが少なくなる。
特公平2−14456号公報 特公平2−36704号公報 特許第2594844号公報 特開2003−103126号公報
特許文献4に記載されている成形フィルタ及びその製造方法は、筒状体の乾燥を、筒状体の内部に挿入したエアーパイプによって空気を筒状体内面に吹き付ける方法、もしくは、熱風乾燥機や赤外線乾燥機等に入れる方法によって行う。
しかし、前者の方法では、空気はエアーパイプの先端から吹き出し、筒状体の底部に当ってから内面に沿って逆向きに流れ、筒状体の開口より排気される。このため、筒状体の内面が均一に乾燥できず、筒状体の各部で密度にばらつきが生じる虞がある。これにより、フィルタ性能にばらつきが発生する。
また、後者の方法の場合では、乾燥機の中の温度は略一定であるため、筒状体全体が略均一に乾燥されるが、筒状体のフィルタとして外面側を内面側よりも密度が大きくなるように形成することはできない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、塵埃粒子の捕集性とガス通気性に優れた成形フィルタ、及び筒状体のフィルタの外面側の密度を内面側の密度よりも大きくし、かつ筒状体各部においてフィルタ性能が一定な塵埃捕集用の成形フィルタの製造方法を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するための本発明に係る塵埃捕集用の成形フィルタの第1の特徴構成は、塵埃粒子の通過を阻止するための緻密な表面微細孔構造と、通気性を確保するための疎な内部細孔構造とを有する点にある。
つまり、この構成によれば、塵埃粒子の通過を阻止するための緻密な表面微細孔構造と、通気性を確保するための疎な内部細孔構造とを併せ持つため、ダスト等の塵埃粒子の捕集性及びガス通気性を向上させることができる。これにより、圧力損失を高くすることなく、高濃度の塵埃粒子を除去することが可能となる。
本発明に係る塵埃捕集用の成形フィルタの第2特徴構成は、前記表面微細孔構造が筒部の外側表面に位置し、前記内部細孔構造が筒部の内側に位置する有底の筒状体に形成されている点にある。
つまり、この構成によれば、筒状体のフィルタの外面側の密度を内面側の密度よりも大きくすることができるため、外側表面にダスト等の塵埃粒子を保持するろ過層を形成させると共に内側に十分な通気性を確保する高気孔率構造を形成させることができる。これにより、塵埃粒子の捕集性と十分なガス通気性を確保することができる。
本発明に係る塵埃捕集用の成形フィルタの第3特徴構成は、前記表面微細孔構造及び前記内部細孔構造は、疎密度がフィルタ表面側の密状態から内部側の疎状態に連続的に変化するように形成されている点にある。
つまり、この構成によれば、疎密度が連続的に変化するように形成されているから、塵埃粒子の捕集性と十分なガス通気性とをより向上させることができる。
本発明に係る成形フィルタの製造方法の第1特徴手段は、無機繊維と無機系バインダとを含むスラリーを中空の型枠に接触させながら、前記スラリーを吸引して前記スラリー中の固形成分を前記型枠上に堆積させることにより有底の筒状体を形成させる成形工程と、前記型枠から前記筒状体を離間させた後、前記筒状体の外側表面に均一に温風を当てることによって、前記筒状体の外側表面から液体成分が蒸発する状態で前記筒状体を乾燥させる乾燥工程とを有する点にある。
つまり、この手段によれば、筒状体の外側面に均一に温風を当てるため、液体成分は筒状体の外側表面から均一に蒸発し、拡散していく。このため、筒状体の外側面の密度を内側面の密度に比べて大きくすることができ、筒状体の外側に粒子間隔の緻密な層を形成させることができる。
また、筒状体各部において乾燥状態のばらつきが生じることがなく、均一に液体成分を蒸発させることができる。したがって、筒状体各部において筒状体の外側面と内側面との密度の差を一定にすることができるため、フィルタ性能が一定な成形フィルタを提供することができる。
本発明に係る成形フィルタの製造方法の第2特徴手段は、前記筒状体の筒軸芯方向と交差する方向から温風を当てる点にある。
つまり、この手段によれば、筒状体の筒軸芯方向に対して同等の温風を均一に当てることができるため、筒状体各部において乾燥状態のばらつきが生じることがなく、均一に液体成分を蒸発させることができる。
すなわち、温風は筒状体から蒸発した液体成分を含みながら流れるため、液体成分量が同等な温風をできるだけ同時に筒状体に当てることにより、温風の湿度状態を均一にすることができ、筒状体各部における液体成分の蒸発速度を均一にすることができる。
なお、複数の筒状体を乾燥させる際には、筒状体毎に接触する温風の液体成分量が異なる場合も考えられるが、温風は筒状体の筒軸芯方向と交差する方向から当てるため、それぞれの筒状体の各部においては液体成分量が同等な温風を当てることができる。
本発明に係る成形フィルタの製造方法の第3特徴手段は、前記筒状体の筒軸芯を中心として前記筒状体を回転させながら温風を当てる点にある。
つまり、この手段によれば、温風を筒状体の外面全体に均一に当てることができる。このため、筒状体各部における筒状体の外側面を均一に乾燥でき、かつ内側面との密度の差をより均一にすることができる。
本発明に係る成形フィルタの製造方法の第4特徴手段は、前記成形工程では、前記筒状体の1個分に相当する量の無機繊維と無機系バインダとを含むスラリーが収容された原料容器から前記型枠にスラリーを供給する点にある。
つまり、この手段によれば、筒状体の1個分に相当する量の無機繊維と無機系バインダとを含むスラリーにより1つの成形フィルタを作製するため、それぞれの成形フィルタの無機繊維と無機系バインダの量を均一にすることができる。これにより、個々の成形フィルタの性能を一定にすることが容易にできる。
本発明に係る成形フィルタの製造方法の第5特徴手段は、前記成形工程では、前記原料容器内のスラリーの全量を吸引して前記型枠に供給した後、前記型枠からの吸引を継続する点にある。
つまりこの手段によれば、スラリーを型枠に供給した後も、所定時間型枠から吸引を継続することにより、型枠上に堆積したスラリーの固形成分に残存する液分を外側表面に移動させることができるため、その液分の移動に伴い、液分中の無機系バインダも外側表面に移動させることができる。そして、その後の乾燥工程を経ることにより、筒状体の外側面の密度をより緻密にし、内側面の密度をより疎にすることができる。
本発明に係る成形フィルタは、その模式図として図5に示すように塵埃捕集用であって、塵埃粒子の通過を阻止するための緻密な表面微細孔構造21と、通気性を確保するための疎な内部細孔構造22とを有するものである。これにより、ダスト等の塵埃粒子の捕集性及びガス通気性を向上させることができるため、圧力損失を高くすることなく、高濃度の塵埃粒子を除去することが可能となる。また、本発明に係る成形フィルタは、前記表面微細孔構造21が筒部の外側表面に位置し、前記内部細孔構造22が筒部内側に位置する有底の筒状体に形成されているものが好ましい。これにより、フィルタの厚み方向に密度差を設けることができるため、外側表面にダスト等の塵埃粒子を保持するろ過層を形成させると共に内側に十分な通気性を確保する高気孔率構造を形成させることができる。
さらに、塵埃粒子の捕集性とガス通気性という相反する特性を共に向上させるために、前記表面微細孔構造21及び前記内部細孔構造22は、疎密度がフィルタ表面側の密状態から内部側の疎状態に連続的に変化するように形成させることもできる。
本発明に係る成形フィルタの一例を図1に示すと、成形フィルタ1は、有底の筒状体であって、高温の塵挨を捕集するのに適した一体成形の無機質フィルタである。また、成形フィルタ1は、一体成形である有底の筒状体であるから、フェルト製品のように使用に際して縫製する必要がなく、寸法安定性が良好であって長期間の使用が可能であり、寸法安定性がより増すことで所定の強度保持率を数年間に亘って維持できる。そして、成形フィルタ1は、従来の織布フィルタでは適用できない250〜1000℃の雰囲気下での使用が可能であるため、製錬所、鋳造工場、ガラス工場、セメント工場におけるボイラ設備、流動床や集塵機、ゴミ焼却炉、窯炉、冶金工業などの分野や、ディーゼル発電、石炭火力発電、バイオマス発電等の発電システムから発生する排ガスの集塵等に使用できる。成形フィルタ1には、その後端にフランジ部1aを形成すると取り付け易くなるので好ましい。
本発明に係る成形フィルタの製造方法は、無機繊維と無機系バインダとを含むスラリーを中空の型枠に接触させながら、前記スラリーを吸引して前記スラリー中の固形成分を前記型枠上に堆積させることにより有底の筒状体を形成させる成形工程と、前記型枠から前記筒状体を離間させた後、前記筒状体の外側表面に均一に温風を当てることによって、前記筒状体の外側表面から液体成分が蒸発する状態で前記筒状体を乾燥させる乾燥工程とを有するものである。これにより、筒状体の外側に粒子間隔の緻密な層を形成させ、内側に粒子間隔の疎な層を形成させることができると共に、筒状体各部における筒状体の外側面と内側面との密度の差を一定にすることができる。
以下、本発明に係る成形フィルタ1の製造方法について、具体的な一例を示して説明する。
本発明の成形フィルタ1の製造方法で使用する無機繊維は、特に限定されないが、ロックウールや、繊維径が3〜4μm程度のアルミナシリケート繊維、シリカ繊維等のセラミックスファイバ、さらにはチタン酸アルカリ繊維、ガラス繊維、炭素繊維等が例示できる。
ロックウールは、岩石や製鉄等の副産物である鉱滓を主原料とし、これをコークスと共に1500〜1600℃の高温で溶融し、遠心力や圧縮空気で吹き飛ばして繊維化する。ロックウールは、繊度4デシテックス程度の細い鉱物繊維の集合体である。
アルミナシリケート繊維は、高純度のアルミナとシリカを電気溶融してからスピニング法で繊維化し、この際にZrOなどの金属酸化物を添加してもよい。アルミナシリケート繊維は、繊維長が長く、ショット含有率が少ないセラミックスファイバである。シリカ繊維は、ガラス繊維の原繊維から可溶性成分または有機分を除去した後に焼成して製造する。好適なシリカ繊維は、Eガラス、ソーダシリカガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダケイ酸ガラス、ソーダライム系ガラスなどから短繊維または長繊維を製造し、これらの繊維を酸処理して可溶性成分を溶出してから焼成してシリカ骨格を形成させ、例えばシリカ分は約95%以上に達する。
一方、無機系バインダは、コロイダルシリカ、アルミナゾル、ベントナイト、重リン酸アルミニウム、アルミナセメント、低融点ガラス、結晶化低融点ガラス等が使用可能である。コロイダルシリカは、シロキサン結合の表面にシラノール基を持った単粒子高分子シリカゲルであり、ゲル化させると、高分子の単粒子がシラノール基の縮合脱水反応を起こしてシロキサン結合鎖を形成し、多量体化して純粋なシリカゲルになる。アルミナゾルは、含有するアルミナ粒子が極度に高い陽性電荷を帯びており、陰性電荷を帯びた物質の表面に急速に吸着され、その物質の表面に他の陰性物質を固着する。
本発明の成形フィルタ1の製造方法に使用するスラリーは、無機繊維及び無機系バインダを水等に分散させたものである。すなわち、無機繊維及び無機系バインダを水と共に貯槽に入れ、攪拌によって全体を均質にし、懸濁状態で安定したスラリーとする。この際、懸濁液の粘度調整のために、少量の有機バインダや安定剤等を添加することもできる。貯槽における攪拌には、通常、スクリュ型攪拌機やプロペラ型攪拌機などを使用し、例えば、無機繊維がアルミナシリケート繊維やシリカ繊維等のセラミックスファイバの場合には3時間程度攪拌することが好ましい。
また、無機繊維は全量の1〜30wt%、無機系バインダは70〜99wt%であることが好ましい。この無機繊維が全量の1wt%よりも少なくなると、成形フィルタとして所定の耐熱性を得ることができず、伸びが小さいうえに経時的な強度劣化が大きい。一方、無機繊維は30wt%よりも多くしても、コストの上昇の割りには成形フィルタの物性が良化せず、製造コストの点で不利となる。
このようにして得られた無機繊維と無機系バインダとを含むスラリーを図2に示すような中空の型枠2に接触させながら吸引し、スラリー中の固形成分を型枠2上に堆積させることにより有底の筒状体3を形成させることができる。なお、型枠2の外観形状は、得るべき筒状体3の形状に応じ、図2に示すような有底の円筒形や、横長の筒形、広口の袋形、異形断面の中空形等、任意に設定可能である。また、型枠2では、通常、筒状体3の周端を肉厚のフランジ部4に加工して変形を防いでいる。型枠2の寸法は比較的大きく、例えば、全長500〜3000mm、内径30〜200mm、外径40〜220mm、フランジ部の外径45〜240mm、重量0.5〜10kgである。
型枠2は、ステンレス鋼の筒体5が全面多孔状のパンチングメタルからなり、パンチングの径は直径2〜5mmであり、該筒体の内周面にステンレス鋼のメッシュ6を筒状に張り付ける。型枠2は、例えば、筒体5の外周を覆う筒状カバー7を有し、該カバーの周端を筒体5の周端と気密に接続する。また、型枠2のカバー7には、水封式真空ポンプ8と回収タンク9とが接続されている。そして、水封式真空ポンプ8を稼動させると、型枠2のカバー7と筒体5との間が減圧状態になって液体成分を吸引するため、例えば、型枠2内へスラリーを流し込んだり、型枠2を貯槽のスラリー中に浸漬することにより、スラリー中の固形成分を筒体5の内周面に堆積させることができる。そして、吸引により回収したスラリーは回収タンク9に貯留される。
なお、水封式真空ポンプ8の稼働時間は、通常は、回収タンク9に回収された液量が一定となるように設定している。
実際には、筒状体3の1個分に相当する量の無機繊維や無機バインダを含むスラリーを原料容器15から型枠2に供給しながら吸引し、スラリー中の無機繊維や無機系バインダ等の固形成分を型枠2上に堆積させる。この方法は、筒状体3の1個分に相当する量の無機繊維や無機バインダを含むスラリーをそれに対応する一つの型枠2に供給するものであるため、スラリーの濃度や量が変動しても型枠2上に堆積する固形成分の量が変動せず、形成される筒状体3の無機繊維や無機系バインダ等の量が個々の筒状体で異なる虞が生じない。
なお、筒状体3の1個分に相当する量のスラリーを収容する原料容器15の上方側には、上記のようにスラリーを調合し、十分な容量のスラリーを貯蔵できる貯槽(図示しない)が設けられている。そして、回収タンク9に貯留されたスラリー液は、固形成分をほとんど含んでいないため、回収し、貯槽(図示しない)においてスラリー調合用に再利用することができる。
また、原料容器15には、必ずしも筒状体3の1個分に相当する量のみのスラリーを貯蔵しておく必要はなく、例えば、複数個分に相当する量のスラリーを貯蔵しつつ、水封式真空ポンプ8の稼動時間や回収タンク9への回収液量を制御してスラリーを型枠2に供給することもできる。なお、この場合には、筒状体3の1個分に相当する量のみのスラリーを貯蔵して型枠2に供給する場合に比べると、形成される個々の筒状体3が有する無機繊維や無機系バインダ等の量に差が生じ易くなるため、品質がばらつく虞も想定される。
スラリーを供給しながら減圧吸引してスラリー中の固形成分を型枠2上に堆積させる場合には、一般に、減圧度が49〜101kPa、処理時間が10〜40秒程度で脱液することができる。そして、原料容器15内の筒状体3の1個分に相当するスラリーの全量を吸引して型枠2に供給し、堆積させた後も、所定時間前記型枠2からの吸引を継続することが好ましく、例えば、スラリーの型枠2への供給時間を30秒とした場合には、スラリー供給後の水封式真空ポンプ8の稼動は15秒程度継続すればよい。これにより、型枠上に堆積したスラリーの固形成分に残存する液分を外側表面に移動させることができるため、その液分の移動に伴い、液分中の無機系バインダも外側表面に移動させることができる。
なお、筒体5、メッシュ6、カバー7は、通常、2個の半割り型からなり、両半割り型を開くと筒状体3の脱枠を容易にすることができる。
形成された筒状体3は、型枠2から離間させた後、図3に示すような乾燥装置10によって、筒状体3の外側表面に均一に温風を当てることによって、筒状体3の外側表面から液体成分が均一に蒸発する状態で筒状体3を乾燥させる。乾燥装置10は、空気を温めるヒータ11と、ヒータ11によって温められた空気を筒状体3に送るためのファン12と、筒状体3と接触した空気から液体成分を除去する冷却部13とを有して構成される。
なお、上下に配置された各筒状体3は、図示しない支持手段によって保持されている。
ヒータ11は、例えば、筒状体3と接触する温風が40〜50℃程度になるように空気を温める。また、ヒータ11の種類は、特に限定はされないが、電気ヒータ等が好ましく適用できる。
ファン12は、従来公知のものを適用することができ、その形状、羽根の枚数等は特に限定されるものではない。また、乾燥装置10に設置するファン12の数は、特に制限はなく、乾燥させる筒状体3の数、大きさ等によって、任意に決めることができる。
冷却部13は、筒状体3からの蒸発した液体成分を含む空気を冷却することにより、液体成分をドレンとして除去するものであり、これにより乾燥装置10内が飽和することなく、筒状体3からの液体成分の蒸発速度を一定に保つことができる。
このような乾燥装置10によって、筒状体3の外側表面に均一に温風を当てて乾燥させることにより、筒状体3中の液体成分は、外側に移動し蒸発する。そして、この時、液体成分の移動に伴い、水に分散している無機系バインダも外側に移動するため、筒状体3の外側面の密度を内側面の密度に比べて大きくすることができ、筒状体3の外側に粒子間隔の緻密な層を形成させることができる。
また、乾燥装置10は、空気が循環しているため、筒状体3の外側から蒸発した液体成分は、滞ることなく拡散していく。このため、筒状体3の各部における乾燥状態にばらつきが生じることがなく、均一に液体成分を蒸発させることができる。よって、筒状体3各部において筒状体3の外側面の密度、及び外側面と内側面との密度の差を一定にすることができるため、各部において成形フィルタのフィルタ性能を一定にすることができる。
乾燥装置10において、筒状体3を乾燥させる際には、温風を筒状体3の筒軸芯方向と交差する方向から当てることが好ましい。これにより、筒状体3の筒軸芯方向に対して温分量が同等の温風を均一に当てることができるため、筒状体各部における乾燥状態にばらつきが生じることがなく、均一に液体成分を蒸発させることができる。
また、筒状体3は、筒状体3の筒軸芯を中心として回転させながら温風を当てることもできる。これにより、温風を筒状体の外面全体に均一に接触させることができるため、筒状体3の各部における筒状体3の外側面の密度、及び外側面と内側面との密度の差をより均一にすることが可能となる。
このような成形フィルタの製造方法は、成形工程において、スラリー中の固形成分を型枠2に堆積させる際には、外側に吸引しながら行うため、固形成分は型枠2の外側から内側に向かって堆積しつつ、堆積層の隙間を外側部分から埋めていく。これにより、筒状体3の外側表面の固形成分の堆積量を多くすることができる。そして、乾燥工程においては、筒状体3の外側表面に均一に温風を当てて、筒状体3の外側表面から液体成分が蒸発する状態で乾燥させることにより、液体成分の蒸発に伴い、液体成分中に分散している無機系バインダ等も外側表面に移動させることができる。
したがって、上記の一連の工程により、筒状体3の外側面の密度を内側面の密度に比べて大きくすることができ、筒状体3の外側表面に微細な表面微細孔構造を形成させ、かつ内部側に疎な内部細孔構造を形成させることができる。
以下、本発明に係る成形フィルタ1の製造方法の実施例について説明する。
無機繊維としてアルミナ46wt%、シリカ54wt%からなる繊維径3μmのアルミナシリケート繊維を用い、無機系バインダとしてコロイダルシリカ(商品名:スノーテックス、日産化学工業製)を用いる。
アルミナシリケート繊維1.3wt%と、コロイダルシリカ35.9wt%と、有機バインダ及び安定剤を含む水溶液7.8wt%と、水55wt%とを混合し、2または3段スクリュの攪拌機に送り込み、この攪拌機において3時間ゆっくりと攪拌し、セラミックスファイバを均等に分散させて、スラリーを作製した。得られたスラリーは懸濁状態で安定していた。
このスラリーを、図2に示す中空の型枠2の中に流し込み、水封式真空ポンプ8を稼動させて、減圧度99kPa、減圧時間30秒で減圧化した。この減圧処理により、型枠のカバー7と筒体5との間から液体成分を吸引してスラリー中の固形成分を脱水し、型枠2の内周側に堆積させた後、さらに水封式真空ポンプ8を15秒間継続して稼動させて、筒状体3を形成させた。得られた筒状体3は、型枠2の内周面に対応する有底の円筒形に成形されていた。
筒状体3は、型枠2から離間させた後、図3に示す乾燥装置10によって、筒状体3の外側表面に40〜50℃の温風を2日間当てながら筒状体3を乾燥させて、図4(a)に示すような全長1030mm、内径90mm、外径120mm、フランジ部の外径160mmの成形フィルタ1を作製した。
得られた成形フィルタ1について、図4(a)に示すように成形フィルタ各部(1)〜(5)の筒軸芯を中心とした角度0°、90°、180°、270°の各部分をサンプリングし、模式図として図4(b)に示すように3mm程度の厚みを有するフィルタ表面とフィルタ内部との嵩密度を測定した。その結果、表1及び表2に示すようにフィルタ表面の各部の嵩密度が略均一であり、またフィルタ表面の嵩密度が内部の嵩密度に比べて大きくなっており、筒状体各部におけるフィルタ表面の嵩密度と内部の嵩密度との差も略一定であることが分かった。
すなわち、成形フィルタ1は、その構造の模式図として図5に示すように、目的とするダスト等の微粒子物質をフィルタ表面に保持してろ過層24を形成する表面微細孔構造21、十分な通気性を確保する高気孔率の内部細孔構造22、表面微細孔構造21と内部細孔構造22とを接続する中間層23、を有することにより、十分なガス通気性とダスト等の微粒子物質の捕集性とを併せ持つものとすることができる。
このため、成形フィルタ1を用いることにより、高温下においても高濃度の微粒子物質を高い圧力損失(フィルタの目詰まり)を生じずに除塵することが可能となる。
Figure 2006075727
Figure 2006075727
本発明の成形フィルタの製造方法によって得られる成形フィルタは、製錬所、鋳造工場、ガラス工場、セメント工場におけるボイラ設備、流動床や集塵機、ゴミ焼却炉、窯炉、冶金工業などの分野や、ディーゼル発電、石炭火力発電、バイオマス発電等の発電システムから発生する排ガスの集塵等、様々な用途に使用できる。
本発明に係る成形フィルタの製造方法によって製造する成形フィルタを示す概略斜視図 本発明に係る成形フィルタの製造方法で用いる成形用装置を説明する図 本発明に係る成形フィルタの製造方法で用いる乾燥装置を説明する図 本実施例によって製造した成形フィルタを説明する図 本発明に係る成形フィルタの製造方法によって製造した成形フィルタの構造を説明する模式図
符号の説明
1 成形フィルタ
2 型枠
3 筒状体
15 原料容器
21 表面微細孔構造
22 内部細孔構造

Claims (8)

  1. 塵埃粒子の通過を阻止するための緻密な表面微細孔構造と、通気性を確保するための疎な内部細孔構造とを有する塵埃捕集用の成形フィルタ。
  2. 前記表面微細孔構造が筒部の外側表面に位置し、前記内部細孔構造が筒部の内側に位置する有底の筒状体に形成されている請求項1に記載の塵埃捕集用の成形フィルタ。
  3. 前記表面微細孔構造及び前記内部細孔構造は、疎密度がフィルタ表面側の密状態から内部側の疎状態に連続的に変化するように形成されている請求項1または2に記載の塵埃捕集用の成形フィルタ。
  4. 無機繊維と無機系バインダとを含むスラリーを中空の型枠に接触させながら、前記スラリーを吸引して前記スラリー中の固形成分を前記型枠上に堆積させることにより有底の筒状体を形成させる成形工程と、
    前記型枠から前記筒状体を離間させた後、前記筒状体の外側表面に均一に温風を当てることによって、前記筒状体の外側表面から液体成分が蒸発する状態で前記筒状体を乾燥させる乾燥工程とを有する成形フィルタの製造方法。
  5. 前記筒状体の筒軸芯方向と交差する方向から温風を当てる請求項4に記載の成形フィルタの製造方法。
  6. 前記筒状体の筒軸芯を中心として前記筒状体を回転させながら温風を当てる請求項4または5に記載の成形フィルタの製造方法。
  7. 前記成形工程では、前記筒状体の1個分に相当する量の無機繊維と無機系バインダとを含むスラリーが収容された原料容器から前記型枠にスラリーを供給する請求項4〜6のいずれか1項に記載の成形フィルタの製造方法。
  8. 前記成形工程では、前記原料容器内のスラリーの全量を吸引して前記型枠に供給した後、前記型枠からの吸引を継続する請求項7に記載の成形フィルタの製造方法。
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