JP2006075101A - 昆布様調味料又は飲食品及びその製造方法 - Google Patents

昆布様調味料又は飲食品及びその製造方法 Download PDF

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律彰 山田
Tomohiro Kodera
智博 小寺
Tomohiko Yamanaka
智彦 山中
Hidehiko Wakabayashi
秀彦 若林
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Abstract

【課題】高級昆布だしに近い、口腔への上品な広がりを有する昆布様調味料又は飲食品を得る方法を提供すること。
【解決手段】昆布様調味料又は飲食品にアスパラギン酸及び/又はその塩を添加する。
【選択図】なし

Description

本発明は、アスパラギン酸及び/又はその塩を添加することを特徴とする、呈味質において口腔への上品な広がりを有し、苦味やカドの無い、嗜好性に富んだ昆布様調味料又は飲食品又及びその製造方法に関する。
昆布抽出物いわゆる昆布だしはすまし汁、そばつゆ、うどんつゆ、てんつゆ、雑炊など広く日本料理に用いられている。昆布葉体および昆布だしの成分は、窒素化合物、糖類、無機成分など個々の成分についての研究事例があり、それらの含量は明らかにされている(非特許文献1−6)。特に、昆布だしの「うま味」を示す成分はグルタミン酸塩であり「うま味」は一価グルタミン酸イオンの味であることが報告されている(非特許文献1)。グルタミン酸塩のうちナトリウム塩が「味の素」として商品化され、現在まで汎用性のあるうま味調味料として広く普及し、利用されている。
池田は非特許文献1の中で、昆布だし中の呈味成分はグルタミン酸であるとし、マンニット、食塩、塩化カリウムなどは昆布だしの呈味成分ではないとしている。しかし、清水らはグルタミン酸ナトリウム単独では昆布の味を呈さないことに着目し、昆布だし中にグルタミン酸以外の呈味成分が存在するのではないかと研究を重ね、それぞれ単独では昆布だしの味を呈さないマンニット、塩化カリウム、グルタミン酸塩が特定の比率で存在するとき昆布だしの味を呈することを発見した(特許文献1)。現在ではグルタミン酸ナトリウム、マンニット、塩化カリウムが昆布の呈味を決める3成分であるとされ、グルタミン酸ナトリウム、マンニット、塩化カリウムからなる組成物が昆布様調味料として広く応用されている。
アスパラギン酸の呈味については、等モル濃度においてグルタミン酸の0.071倍のうま味を呈することが知られており(非特許文献7)、アスパラギン酸の食品への利用については、グルタミン酸ナトリウムと核酸からなる調味料の呈味質を、アスパラギン酸ナトリウムを添加することにより、グルタミン酸ナトリウムに近づける方法(特許文献2)、果実様フレーバーにグルタミン酸、アスパラギン酸、アラニン及び/又はスレオニンを配合することにより果実風味を増強する方法(特許文献3)、塩化カリウムの呈味をマスクするために塩化アンモニウム、乳酸カルシウム、アスパラギン酸、グルタミン酸を特定の比率で配合した食塩代替調味料(特許文献4)、アルギニン等塩基性アミノ酸、コハク酸との併用による食塩味の増強方法(特許文献5)、野菜磨砕物含有酸性調味料の風味、色調劣化防止法(特許文献6)、昆布を酸性下で抽出し、活性炭処理後、限外ろ過または電気透析処理により、昆布ミネラル調味料を製造する方法(特許文献7)が開示されているが、後述する本発明の、高級昆布エキスに見られる口腔への上品な広がりを付与する効果についてはいずれの文献においても全く言及はない。特許文献7には、粉末状昆布ミネラルの構成要件の一部として、アスパラギン酸が0.5重量部以下、グルタミン酸が1.5重量部以下との記載があるが、後述する、「アスパラギン酸及び/又はその塩を添加する」、「遊離グルタミン酸と遊離アスパラギン酸のモル比を所定の範囲に調整する」という本発明の技術的思想についての記載は全くないし、「より高級昆布だしに近い、口腔への上品な広がりを有する昆布様調味料又は飲食品を得る」という後述する本発明の課題を解決する方法についての示唆もない。
特開平6−38703 特開昭56−88776 特開昭60−227654 特開平11−187841 特開2002−345430 特開2002−209550 特開平3−262457 池田、東京化学学会誌30、p820(1908) 大石ら、日本水産学会誌27、p598(1961) 大石ら、日本水産学会誌27,p601(1961) 大石ら、日本水産学会誌39、p317(1973) 大石ら、日本水産学会誌39、p323(1973) 佐藤ら(日本水産学会誌46、p749(1980) S.Yamaguchi, et al、 Journal of Food Science Vol.36、p846(1971)
グルタミン酸ナトリウムを主とした昆布だし3成分を多く含む市販の昆布エキスは、昆布の呈味は再現しているものの、高級昆布だしに見られる口腔への上品な広がりが非常に少なく、単調な呈味である。その為、より高級昆布だしに近い、口腔への上品な広がりを有する昆布様調味料又は飲食品を得ることが本発明の課題である。
本発明者らは、特許文献1に記載されているグルタミン酸ナトリウム、マンニット、塩化カリウムの3成分のみでは、高級昆布エキスの有する口腔への上品な広がりは得られないことに着目し、昆布だし中に3成分以外のキー成分が存在するのではないかと考えるに至り研究を行った。その結果、高級昆布から抽出しただし中の遊離アミノ酸として、グルタミン酸の他にアスパラギン酸も多量に存在することを見出し、このアスパラギン酸が口腔への上品な広がりをもたらすことで昆布の高級感を付与していることを発見した。実際、高級感がなく呈味の単調な市販の昆布エキスにアスパラギン酸ナトリウムを一定量添加することで、口腔への上品な広がりを有する高級感ある昆布エキスを得ることに成功した。また、グルタミン酸ナトリウム、マンニット、塩化カリウムの3成分にアスパラギン酸ナトリウムを配合することで、より高級昆布エキスに近い再構成エキスを得ることに成功した。更に、アスパラギン酸ナトリウムの代わりに、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、もしくはアスパラギン酸単独でも使用可能であることを発見した。また、アスパラギン酸ナトリウムを一定量添加し高級感の付与された市販の昆布エキスを用いることで、料理すなわちすまし汁などにおいて、口腔への上品な広がりを有する高級感があり嗜好性に富む食品を製造できることを発見し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下に記載する通りである。
(1)原料として昆布加工品を含む昆布様調味料又は飲食品の製造において、アスパラギン酸及び/又はその塩を昆布加工品の乾燥重量1g当り0.0001〜50ミリモル添加する昆布様調味料又は飲食品の製造方法。
(2)アスパラギン酸及び/又はその塩を添加することにより、昆布様調味料又は飲食品中の遊離グルタミン酸と遊離アスパラギン酸のモル比をグルタミン酸:アスパラギン酸=9:1〜4:6に調整する(1)記載の昆布様調味料又は飲食品の製造方法。
(3)カリウム及び/若しくはその塩、グルタミン酸及び/若しくはその塩、アスパラギン酸及び/若しくはその塩及び糖アルコールを含有する昆布様調味料又は飲食品であって、昆布様調味料又は飲食品中のカリウム、遊離グルタミン酸、遊離アスパラギン酸、糖アルコールのモル比がカリウム:遊離グルタミン酸=1〜20:1かつ糖アルコール:カリウム、遊離グルタミン酸、糖アルコールのモル数の合計=0.1〜0.75:1かつ遊離グルタミン酸:遊離アスパラギン酸=9:1〜4:6の範囲内である昆布様調味料又は飲食品。
本発明により、グルタミン酸単独または昆布だし3成分の配合、あるいは低級昆布エキスの配合では得られない高級昆布特有の上品な口腔への広がりを有する昆布様調味料又は飲食品を製造することができ、昆布様調味料又は昆布の味風味を特徴とする飲食品の品質向上が可能となる。
本発明における昆布様調味料及び飲食品は、グルタミン酸又はその塩及び糖アルコール及びカリウム塩からなる飲食品を原料として含むもの、あるいは昆布粉末(乾燥昆布粉砕物)、昆布ペースト(昆布磨砕物)、昆布エキス(昆布水溶性抽出物)、昆布エキスの濃縮物、昆布エキスの乾燥物等の昆布加工品を原料として含むものである。
本発明におけるグルタミン酸の塩は、グルタミン酸ナトリウム、グルタミン酸カリウム、グルタミン酸マグネシウム、グルタミン酸アンモニウム、あるいはそれらの混合物が例示される。糖アルコールはマンニット、マルチット、キシリット、ソルビット、あるいはそれらの混合物が例示される。カリウム塩は有機塩、無機塩いずれでもよく、塩化カリウム、グルタミン酸カリウム、リン酸水素カリウム、炭酸カリウム等が例示される。
本発明に用いるアスパラギン酸、アスパラギン酸塩は発酵法、酵素法、抽出法などにより製造後精製されたものが異風味付与しないという点で好ましく、食品添加物グレードのものがより好ましいが、昆布だし(利尻昆布1等など)、大豆蛋白加水分解物、小麦蛋白加水分解物、乳蛋白加水分解物、酵母エキス等食材に含まれるアスパラギン酸、アスパラギン酸塩であっても構わない。すなわち食材中の遊離アスパラギン酸と遊離グルタミン酸のモル比が9:1以上、好ましくは8:2以上であるようなアスパラギン酸を多く含む食材を添加してもよい。添加するアスパラギン酸、アスパラギン酸塩の形状は、溶液、ペースト、粉末、顆粒、結晶、固体などいかなる形状のものでもよい。アスパラギン酸塩はナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、塩酸塩、アルギニン塩、リジン塩などいかなる塩でもよいし、それらの組み合わせでもよいが、アスパラギン酸ナトリウム等食品用途のものが好ましい。
本発明においては、原料として昆布加工品を含む昆布様調味料又は飲食品を製造する場合、アスパラギン酸及び/又はその塩を昆布加工品の乾燥重量1g当り0.0001〜50ミリモル、好ましくは0.0005〜10ミリモル添加する必要があり、より好ましくは昆布様調味料又は飲食品中の遊離グルタミン酸と遊離アスパラギン酸のモル比をグルタミン酸:アスパラギン酸=9:1〜4:6に調整する必要があり、さらに好ましくは8:2〜5:5に調整する必要がある。アスパラギン酸及び/又はその塩の添加量が上記の範囲を下回ると口腔への上品な広がりは充分には付与されず、上回ると強い広がりにより呈味力価が損なわれ、高級昆布様の好ましさが低下する。
また、グルタミン酸若しくはその塩及びアスパラギン酸若しくはその塩及び糖アルコール及びカリウム塩からなる昆布様調味料又は飲食品の場合は、昆布様調味料又は飲食品中のカリウム、遊離グルタミン酸、遊離アスパラギン酸、糖アルコールのモル比がカリウム:遊離グルタミン酸=1〜20:1かつ糖アルコール:(カリウム、遊離グルタミン酸、糖アルコールのモル数の合計)=0.1〜0.75:1かつ遊離グルタミン酸:遊離アスパラギン酸=9:1〜4:6の範囲にあることが好ましく、カリウム:遊離グルタミン酸=2.5〜20:1かつ糖アルコール:(カリウム、遊離グルタミン酸、糖アルコールのモル数の合計)=0.25〜0.75:1かつ遊離グルタミン酸:遊離アスパラギン酸=1:0.25〜1の範囲にあることがより好ましい。尚、昆布様調味料又は飲食品中のカリウム、遊離グルタミン酸、糖アルコールのモル比は特許文献1記載と同様である。
昆布様調味料又は飲食品中の遊離グルタミン酸、遊離アスパラギン酸の測定は、アミノ酸アナライザー(日立アミノ酸アナライザーL8500等)、HPLCで測定すればよい。また、昆布加工品の乾燥重量とは、粉末状のものはそのまま、粉末以外の固形状のものはミキサーで粉砕後、ペースト状、液状のものは海砂とともに、1〜10gをるつぼ又は陶器製の皿に入れて105℃4時間で加熱乾燥した際の乾燥減量を指す。
本発明においては、いかなる昆布加工品、及びそれらの混合物の利用が可能であり、口腔への上品な広がりを有する高級感のある高級昆布様調味料又は飲食品が得られる。また、昆布だし3成分にアスパラギン酸ナトリウムを配合することで、より高級昆布エキスに近い再構成エキスを得ることができる。更には、これらを用いることにより、料理すなわちすまし汁などにおいて、口腔への上品な広がりを有する高級感があり嗜好性に富む食品を製造することができる。
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。本発明は、この実施例により何ら限定されない。
アスパラギン酸の塩として市販の食品添加物グレードのアスパラギン酸ナトリウムを用い、市販の各種昆布エキスに添加して、呈味性を評価した。市販の昆布エキスとしては、「こんぶM(原体エキスタイプ)」(味の素社製)、「エキスメイト こんぶK」(味の素社製)、「こんぶT」(味の素社製)の他に、更に3種類の市販昆布エキスを用い、固形分1%(昆布エキス乾燥重量1g/dl)となる水溶液を作成した。水溶液中の遊離グルタミン酸量および遊離アスパラギン酸量を測定し、モル比がグルタミン酸:アスパラギン酸=9:1、8:2、7:3、6:4、5:5、4:6、3:7、2:8となるようにアスパラギン酸ナトリウムを0.0005〜3.3501ミリモル添加して官能評価を行った。比較対照として利尻昆布1等より抽出した高級昆布だしを、固形分1%に調整してコントロールとした。尚、利尻昆布1等の高級昆布だし中含まれるグルタミン酸とアスパラギン酸は、モル比がグルタミン酸:アスパラギン酸=6.2:3.8であった。官能評価は、口腔への上品な広がりと全体としての呈味バランスがいかに基準に近いかという点に着目し、それを「高級昆布様の好ましさ」と表現して訓練されたパネルにより評価を行った。評価基準は、利尻昆布1等の高級昆布だしを「++++」、市販昆布エキス(A)の無添加時を「±」とした。官能評価結果を表1に示す。
表1に示すように、各商品のコンセプト上、各種市販エキスの高級昆布様の好ましさは様々であり、エキス中のグルタミン酸とアスパラギン酸の比率も様々であるが、そこへアスパラギン酸ナトリウムを添加することによりいずれの市販エキスにおいても口腔への上品な広がりが付与され、さらに苦味やカドのとれた呈味バランスの良いエキスとなった。すなわち、アスパラギン酸ナトリウムの添加により、各種市販昆布エキスは顕著に高級昆布様の好ましさが付与された。しかし、アスパラギン酸ナトリウムの添加量が過剰である場合、強い広がりにより呈味力価が損なわれ、高級昆布様の好ましさが低下する傾向が見られた。つまり、アスパラギン酸ナトリウムを0.0005〜1.2554ミリモル添加し、グルタミン酸ナトリウム:アスパラギン酸ナトリウム=9:1〜4:6、好ましくは8:2〜5:5に調整することにより、高級昆布様の好ましさが付与された。
Figure 2006075101
昆布だし3成分であるマンニット、塩化カリウム、グルタミン酸ナトリウムの最適配合モル比は、マンニット:塩化カリウム:グルタミン酸ナトリウム=5:4:1である(特開平6−38703)。そこで、この比率で3成分を含む固形分1%の単純水溶液を調製した。ここに水溶液中のグルタミン酸ナトリウム:アスパラギン酸ナトリウム=9:1、8:2、7:3、6:4、5:5、4:6、3:7、2:8となるように市販の食品添加物グレードのアスパラギン酸ナトリウムを添加して官能評価を行った。評価基準は、アスパラギン酸ナトリウム無添加時を「±」とした。
表2に示すように、昆布だし3成分のみの溶液では口腔への上品な広がりは全くなく、高級昆布様の好ましさは感じられなかったが、アスパラギン酸ナトリウムを添加することにより顕著に口腔への上品な広がりが付与された。すなわち、アスパラギン酸ナトリウムの添加により、昆布だし3成分の水溶液には顕著に高級昆布様の好ましさが付与された。しかし、アスパラギン酸ナトリウムの添加量が過剰である場合、強い広がりにより呈味力価が損なわれ、全体のバランスがくずれることにより高級昆布様の好ましさが低下する傾向が見られた。つまり、アスパラギン酸ナトリウムを添加し、グルタミン酸ナトリウム:アスパラギン酸ナトリウム=9:1〜4:6、好ましくは8:2〜5:5となるように調整することにより、高級昆布様の好ましさが付与された。
Figure 2006075101
市販昆布エキスとして「エキスメイト こんぶK」を、アスパラギン酸を多く含む食材として高級昆布だしである利尻昆布1等の3%だし(グルタミン酸:アスパラギン酸=6.2:3.8)を使用し、市販昆布エキス固形分1%(昆布エキス乾燥重量1g/dl)となる水溶液に高級昆布だしを添加してアスパラギン酸含量を高めることで高級昆布様の上品な広がりが付与されるかを検討した。市販昆布エキスへ高級昆布だしを添加する比率は、市販昆布エキス:高級昆布だし=4:0、4:1、4:2、4:3、4:4とした。尚、この実験で用いた高級昆布だし中のアスパラギン酸含量は1.87mM(昆布だし乾燥重量1g当り0.0623ミリモル)である。官能評価結果を表3に示す。
表3に示すように、市販昆布エキスにアスパラギン酸を多く含む食材である高級昆布だしを配合し、市販昆布エキスの乾燥重量1g当りアスパラギン酸を0.084〜0.210ミリモル(混合液の乾燥重量1g当り0.048〜0.056ミリモル)添加し、グルタミン酸ナトリウム:アスパラギン酸ナトリウム=9.4:0.6〜8.3:1.7となるように調整することにより、高級昆布様の上品な広がりが顕著に付与され、高級昆布だしの配合比を増やすにつれてより高級昆布様の好ましさが増した。すなわち、アスパラギン酸そのものを添加するのではなく、アスパラギン酸含量の高い高級昆布だしを用いることによっても、市販昆布エキスに高級昆布様の好ましさを付与することが可能である。
Figure 2006075101
市販の昆布エキスとして「エキスメイト こんぶK」(味の素社製)を用いて、表4に示した配合のすまし汁を調製した。醤油区分には濃口醤油をコントロールとして用い、濃口醤油に比べてアスパラギン酸含量が多いとされる大豆蛋白加水分解物(以下HVPとする)で代替することにより高級昆布様の上品な広がりが付与されるかを検討した。評価基準は、濃口醤油使用時を「+」とした。ちなみに、濃口醤油のアスパラギン酸含量は3.68ミリモル/dlでグルタミン酸含量は8.36ミリモル/dl、HVP(a)はアスパラギン酸18.63ミリモル/dl、グルタミン酸26.71ミリモル/dl、HVP(b)はアスパラギン酸15.78ミリモル/dl、グルタミン酸22.36ミリモル/dl、HVP(c)はアスパラギン酸15.10ミリモル/dl、グルタミン酸23.31ミリモル/dlである。官能評価結果を表5に示す。
表5に示すように、醤油区分にアスパラギン酸含量の高い各種HVPを用いることにより、うま味の増加と共に高級昆布様の上品な広がりが顕著に付与され、用いたHVPのアスパラギン酸含量が高いほど高級昆布様の好ましさが増した。すなわち、アスパラギン酸そのものを添加するのではなく、アスパラギン酸含量の高い食材を添加または代替使用することによっても、市販昆布エキスもしくはそれを用いた食品に対して高級昆布様の好ましさを付与することが可能である。
Figure 2006075101
Figure 2006075101
「エキスメイト こんぶK」(味の素社製)の固形分1%水溶液に、水溶液中のグルタミン酸ナトリウム:アスパラギン酸もしくはその塩=7:3となるように、アスパラギン酸単独、アスパラギン酸ナトリウム一水和物、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム二水和物をそれぞれ添加して官能評価を行った。評価基準は実施例1と同基準である。アスパラギン酸もしくはその塩を添加する量は、実施例1記載の最適添加比率に従った。官能評価結果を表6に示す。
表6に示すように、アスパラギン酸塩はいずれの塩を添加した場合も口腔への上品な広がりが付与され、高級昆布様の呈味を呈していた。従って、アスパラギン酸塩としてはナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム、リジン、アルギニンなどいかなるカチオンを有するアスパラギン酸塩もしくはそれらの混合物でも使用が可能である。また、アスパラギン酸単独を用いた場合には、若干の酸味を呈するものの口腔への上品な広がりは十分に付与されており、pHを調整することで更に好ましい呈味となるため、アスパラギン酸単独もしくはその塩との混合物でも使用が可能である。
Figure 2006075101
市販の昆布エキスとして「エキスメイト こんぶK」(味の素社製)、および市販昆布エキス(A)、(C)を用い、これらに実施例1記載の最適添加量のアスパラギン酸ナトリウムを配合した。すなわち、各昆布エキス中の遊離グルタミン酸と遊離アスパラギン酸のモル比が「エキスメイト こんぶK」についてはグルタミン酸:アスパラギン酸=7:3となるよう、昆布エキス(A)、(C)についてはグルタミン酸:アスパラギン酸=6:4となるようアスパラギン酸ナトリウムを添加した。これらを用いて表7に示した配合のすまし汁を調製し、アスパラギン酸ナトリウムを配合しない場合との呈味比較を行った。また、比較対照として利尻昆布1等より抽出した高級昆布だしを用いて同様にすまし汁を調製した。評価基準は、利尻昆布1等の高級昆布だし使用すまし汁を「++++」、市販昆布エキス(A)のアスパラギン酸無添加時のすまし汁を「±」とした。官能評価結果を表8に示す。
表8に示すように、いずれの市販エキスに対してアスパラギン酸ナトリウムを添加した場合も、口腔への上品な広がりが付与され、苦味やカドのとれた呈味バランスの良いすまし汁を製造することができた。すなわち、アスパラギン酸ナトリウムを添加した各種市販昆布エキスを用いることにより、顕著に高級昆布様の好ましさが付与されたすまし汁などの昆布エキスを使用した食品を製造することができた。
Figure 2006075101
Figure 2006075101
昆布エキスを使用した風味調味料である「ほんだしこんぶだし」(味の素社製)を用いて、表9の配合のすまし汁を調整した。そこへ、アスパラギン酸ナトリウムを添加し、添加しない場合との呈味比較を行った。添加したアスパラギン酸ナトリウムの量は、すまし汁中の遊離アミノ酸モル比が、グルタミン酸:添加アスパラギン酸=9:1、8:2、7:3となるようにした。官能評価結果を表10に示す。
表10に示すように、アスパラギン酸ナトリウムの添加により上品な広がりが付与され、顕著に高級昆布様の好ましさが増したすまし汁を製造することができた。また、アスパラギン酸ナトリウムには至適の添加量が存在するが、当検討においてはいずれの場合も高級昆布様の好ましさは増していた。すなわち、昆布エキスを含む風味調味料にアスパラギン酸ナトリウムを添加することにより、顕著に高級昆布様の好ましさが付与されたすまし汁などの食品を製造することが可能である。
Figure 2006075101
Figure 2006075101
比較例
アスパラギン酸ナトリウムは、グルタミン酸ナトリウムの1/10弱程度のうま味を呈することが単純水溶液系の実験において知られている(非特許文献7)ため、1/10弱程度のグルタミン酸ナトリウムを用いることによりアスパラギン酸ナトリウムと同様に高級感付与効果が得られるかどうかの検討を行った。「エキスメイト こんぶK」(味の素社製)の固形分1%水溶液に、水溶液中のグルタミン酸:アスパラギン酸=7:3となるように、アスパラギン酸ナトリウムを添加した。また、アスパラギン酸ナトリウムの替わりにグルタミン酸ナトリウムを少量添加し、官能評価により前者との比較を行った。グルタミン酸ナトリウムの添加量は、前者におけるアスパラギン酸ナトリウム添加モル量の、1/20、1/10、1/5量とした。官能評価結果を表11に示す。
表11に示すように、アスパラギン酸ナトリウムの添加により口腔への上品な広がりが顕著に付与されたが、うま味の増加はほとんど感じられなかった。一方、グルタミン酸ナトリウムを添加することにより顕著にうま味が増加したものの、広がりはほとんど付与されず、無添加と同レベルであった。従って、混合溶液中においてアスパラギン酸ナトリウムはうま味をほとんど呈さず、口腔への上品な広がりを顕著に付与し、このような効果は添加したアスパラギン酸ナトリウムと同レベルのうま味を有するとされている量のグルタミン酸ナトリウム添加では代替できないことが示された。
Figure 2006075101
本発明によれば、グルタミン酸単独または昆布だし3成分の配合、あるいは低級昆布エキスの配合では得られない高級昆布特有の上品な口腔への広がりを有する昆布様調味料又は飲食品を製造することができ、昆布様調味料又は昆布の味風味を特徴とする飲食品の品質向上が可能となることより、本発明は食品分野において極めて有用である。

Claims (3)

  1. 原料として昆布加工品を含む昆布様調味料又は飲食品の製造において、アスパラギン酸及び/又はその塩を昆布加工品の乾燥重量1g当り0.0001〜50ミリモル添加する昆布様調味料又は飲食品の製造方法。
  2. アスパラギン酸及び/又はその塩を添加することにより、昆布様調味料又は飲食品中の遊離グルタミン酸と遊離アスパラギン酸のモル比をグルタミン酸:アスパラギン酸=9:1〜4:6に調整する請求項1記載の昆布様調味料又は飲食品の製造方法。
  3. カリウム及び/若しくはその塩、グルタミン酸及び/若しくはその塩、アスパラギン酸及び/若しくはその塩及び糖アルコールを含有する昆布様調味料又は飲食品であって、昆布様調味料又は飲食品中のカリウム、遊離グルタミン酸、遊離アスパラギン酸、糖アルコールのモル比がカリウム:遊離グルタミン酸=1〜20:1かつ糖アルコール:カリウム、遊離グルタミン酸、糖アルコールのモル数の合計=0.1〜0.75:1かつ遊離グルタミン酸:遊離アスパラギン酸=9:1〜4:6の範囲内である昆布様調味料又は飲食品。
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