JP2006074950A - センサレスモータ駆動回路 - Google Patents

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辰治 中井
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Abstract

【課題】モータの回転信号と簡易なカウンタを用いて、外付け部品の増加やICのチップ面積の増大などの負担なく、且つ回転数変化に自動的に追従するノイズマスク信号を発生することができる、センサレスモータ駆動回路を提供すること。
【解決手段】逆起比較信号に基づいて形成された合成周波数信号に同期したスロープ信号を発生し、そのスロープ信号の所定レベルや合成周波数信号の変化点などに応じてノイズマスク信号を生成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、センサレスモータの駆動回路に関し、特にロータの回転位置検出とノイズマスク信号の生成に関する。
HDD、FDDのスピンドルモータやビデオカメラのシリンダモータとして、ホール素子などの回転位置検出素子を用いない、三相センサレスモータが、その構造上の簡単さやコスト低減などの特徴から、広く使用されるようになってきている。
この三相センサレスモータの駆動においては、ホール素子などの回転位置検出素子を用いないことから、通常、モータの逆起電力を利用してロータの回転位置を検出することが行われている。
三相センサレスモータの駆動時には、電流経路が順次切り替わるが、その電流経路の切り替わりに伴って電磁ノイズ(以下、ノイズ)が発生する。このノイズは、モータの逆起電力にも重畳されるから、回転位置の検出を正しく行うために、ノイズの発生時点に合わせてノイズをマスクすることが必要となる。
従来では、ノイズの発生するタイミングに合わせてノイズをマスクを行うために、外付けのコンデンサや抵抗による時定数回路や大規模なカウンタなどを用いて、ノイズマスクのための時間設定を行っていた(特許文献1参照)。
しかし、外付けのコンデンサや抵抗による時定数回路や大規模なカウンタなどを用いることにより、外付け部品の増加やICのチップ面積の増大などによってコストアップの要因となっていた。また、モータの回転数の変化に応じて時定数回路やカウンタの設定を変更する必要があり、且つその回転数変化時に不連続な動作を生じるという問題もあった。
特開平8−116689号公報
そこで、本発明は、モータの回転信号と簡易なカウンタを用いて、外付け部品の増加やICのチップ面積の増大などの負担なく、且つ回転数変化に自動的に追従するノイズマスク信号を発生することができる、センサレスモータ駆動回路を提供することを目的とする。
請求項1のセンサレスモータ駆動回路は、ロータと複数相の駆動コイルを有するステータとを持つセンサレスモータを駆動するためのセンサレスモータ駆動回路において、
出力トランジスタ回路を含み前記複数相の駆動コイルに駆動電流を供給する出力アンプと、
前記複数相の駆動コイルの各相電圧と前記複数相の駆動コイルの中点電圧とを比較して、ロータ位置を検出するための各相毎の逆起比較信号を生成する逆起検出比較回路と、
前記逆起比較信号に含まれ得るスパイクノイズをマスクするためのマスク信号を受けて、マスクされた整形逆起比較信号を生成すると共に、該整形逆起比較信号に基づいて駆動基準信号及び合成周波数信号を生成する駆動信号合成回路と、
前記合成周波数信号に同期したスロープ状の立ち上がり部分及び立ち下がり部分を有するスロープ信号を発生し、少なくとも前記スロープ信号の所定レベルに応じて前記マスク信号を生成するマスク信号生成回路と、
前記駆動基準信号に基づく駆動信号を前記出力アンプに供給する相分配回路と、を有することを特徴とする。
請求項2のセンサレスモータ駆動回路は、ロータと複数相の駆動コイルを有するステータとを持つセンサレスモータを駆動するためのセンサレスモータ駆動回路において、
出力トランジスタ回路を含み前記複数相の駆動コイルに駆動電流を供給する出力アンプと、
前記複数相の駆動コイルの各相電圧と前記複数相の駆動コイルの中点電圧とを比較して、ロータ位置を検出するための各相毎の逆起比較信号を生成する逆起検出比較回路と、
前記逆起比較信号に含まれ得るスパイクノイズをマスクするためのマスク信号を受けて、マスクされた整形逆起比較信号を生成すると共に、該整形逆起比較信号に基づいて駆動基準信号及び合成周波数信号を生成する駆動信号合成回路と、
前記合成周波数信号に同期したスロープ状の立ち上がり部分及び立ち下がり部分を有するスロープ信号を発生するスロープ信号合成回路と、
少なくとも前記スロープ信号の所定レベルに応じて前記マスク信号を生成するマスク信号生成回路と、
前記駆動基準信号及び前記スロープ信号が入力され、前記各相毎整形逆起比較信号と前記スロープ信号とに基づいて、立ち上がり部及び立ち下がり部にスロープが付された駆動信号を生成し、前記出力アンプに供給する相分配回路と、を有することを特徴とする。
請求項3のセンサレスモータ駆動回路は、請求項1または2に記載のセンサレスモータ駆動回路において、前記センサレスモータは三相モータであり、
前記合成周波数信号は三相の整形逆起比較信号を合成して得た、デューティ比50%で2π/3周期の信号であり、
前記スロープ信号は、前記合成周波数信号の変化点に同期して下限値から上限値の方向に及びもしくは上限値から下限値の方向に向けて変化することを特徴とする。
請求項4のセンサレスモータ駆動回路は、請求項1〜3のいずれかに記載のセンサレスモータ駆動回路において、前記マスク信号は、前記合成周波数信号の変化点と前記スロープ信号の所定レベルに応じて生成されることを特徴とする。
請求項5のセンサレスモータ駆動回路は、請求項4に記載のセンサレスモータ駆動回路において、前記マスク信号は、前記合成周波数信号の変化時点から、下限値方向へ変化するスロープ信号が所定レベルに達する時点までの期間に発生されることを特徴とする。
請求項6のセンサレスモータ駆動回路は、請求項2に記載のセンサレスモータ駆動回路において、前記センサレスモータは三相モータであり、
前記合成周波数信号は三相の整形逆起比較信号を合成して得た、デューティ比50%で2π/3周期の信号であり、
前記スロープ信号合成回路は、クロックをカウントし、前記合成周波数信号の変化点に同期して下限値から上限値の方向に及びもしくは上限値から下限値の方向に向けて変化するディジタルスロープ信号を発生するカウンタと、前記ディジタルスロープ信号をアナログスロープ信号に変換して前記三相分配回路にスロープ信号として入力するディジタル・アナログ変換回路とを有し、
前記マスク信号生成回路は、少なくとも前記ディジタルスロープ信号の所定ビット以上の上位ビットを利用して、前記マスク信号を生成することを特徴とする。
請求項7のセンサレスモータ駆動回路は、請求項6に記載のセンサレスモータ駆動回路において、前記マスク信号生成回路は、前記ディジタルスロープ信号の所定ビット以上の上位ビットがいずれかは零でないことに基づいてマスク信号を生成することを特徴とする。
請求項8のセンサレスモータ駆動回路は、請求項6に記載のセンサレスモータ駆動回路において、前記マスク信号生成回路は、マスク信号を、前記合成周波数信号の変化時点から、下限値方向へ変化するスロープ信号が所定レベルに達する時点までの期間に発生されることを特徴とする。
請求項9のセンサレスモータ駆動回路は、請求項6〜8のいずれかに記載のセンサレスモータ駆動回路において、前記カウンタは、前記合成周波数信号の立ち上がりに同期して下限値から上限値の方向へ向けてカウントアップし、その立ち下がりに同期して上限値から下限値の方向へ向けてカウントダウンする第1ディジタルスロープ信号と、前記合成周波数信号の立ち上がりに同期して上限値から下限値の方向へ向けてカウントダウンし、その立ち下がりに同期して下限値から上限値の方向へ向けてカウントアップする第2ディジタルスロープ信号とを発生する、所定ビット数のアップダウンカウンタと、
前記第1ディジタルスロープ信号を変換して第1アナログスロープ信号を発生する第1ディジタル・アナログ変換器と、
前記第2ディジタルスロープ信号を変換して第2アナログスロープ信号を発生する第2ディジタル・アナログ変換器とを備えて、
前記第1アナログスロープ信号及び前記第2アナログスロープ信号とを前記スロープ信号として、前記三相分配回路に入力することを特徴とする。
請求項10のセンサレスモータ駆動回路は、請求項9に記載のセンサレスモータ駆動回路において、前記マスク信号は、前記第1ディジタルスロープ信号が前記合成周波数信号の変化時点から下限値方向へ変化して所定レベルに達する時点までの期間及び、前記第2ディジタルスロープ信号が前記合成周波数信号の変化時点から下限値方向へ変化して所定レベルに達する時点までの期間に発生されることを特徴とする。
本発明によれば、逆起比較信号に基づいて形成された合成周波数信号に同期したスロープ信号を発生し、そのスロープ信号の所定レベルや合成周波数信号の変化点などに応じてマスク信号を生成する。これにより、外付け部品の増加やICのチップ面積の増大などの負担なく、且つ回転数変化時にも自動的に追従するノイズマスク信号を発生することができる。
また、センサレスモータの出力電流を穏やかに切り替えるためのスロープ信号を利用するから、新たな負担を少なくして、出力電流のスロープ切替とノイズマスクとを同時に達成することができる。
また、スロープ信号合成回路は、逆相関係のスロープ信号を発生するアップダウンカウンタとそれぞれのスロープ信号をアナログ信号に変換するD/A変換器とにより構成され、マスク信号生成回路は、アップダウンカウンタのカウント値を利用するから、回路構成も共通になり、且つ回路構成もIC化に好適になる。
以下、本発明のセンサレスモータ駆動回路の実施例について、図を参照して説明する。なお、以下の実施例では、センサレスモータとして三相モータを例に説明するが、その他の多相モータにも適用可能である。
図1は、本発明の実施例に係るセンサレスモータ駆動回路の構成を示す図である。また、図2は、その動作を説明するための第1のフローチャートである。
図1において、三相センサレスモータ10は、複数極(例えば、4極)の磁極を有するマグネットロータ(回転子)と、三相(U相、V相、W相)の巻線(駆動コイル)を有するステータ(固定子)とを有し、各U、V、W相の端子と三相巻線の中点の端子が設けられている。
出力アンプ20は、センサレスモータ10の三相の駆動コイルに駆動電流を供給するものであり、出力トランジスタ回路を含んでいる。その出力トランジスタ回路は、例えばMOSトランジスタやバイポーラトランジスタなどのトランジスタを用いて三相ブリッジに構成されており、各トランジスタはそれぞれ駆動信号Uh〜Wlにより制御される。これにより、センサレスモータ10への電流経路が切り替わる。
逆起検出比較回路30は、センサレスモータ10の各相電圧Vu、Vv、Vwと中点電圧Vctrが入力され、各相電圧Vu、Vv、Vwを中点電圧Vctrとそれぞれ比較して、U相逆起比較信号Vuc、V相逆起比較信号Vvc、W相逆起比較信号Vwcを発生する。これらU相、V相、W相逆起比較信号Vuc、Vvc、Vwcに基づいてマグネットロータの位置検出が行われる。ただ、これらU相、V相、W相逆起比較信号Vuc、Vvc、Vwcには、図2に例示されるように、出力アンプ20での電流経路の切り替わりや電流レベルの変化などに伴って発生され得るスパイクノイズSPが含まれている。
駆動信号合成回路40は、入力されるU相、V相、W相逆起比較信号Vuc、Vvc、Vwcからマスク信号MASKを用いてマスクをかけて、スパイクノイズSPを除去したU相、V相、W相整形逆起比較信号Vucm、Vvcm、Vwcmを得る。この整形逆起比較信号Vucm、Vvcm、Vwcmを用いて正しい回転位置を検出する。また、整形逆起比較信号Vucm、Vvcm、Vwcmに基づいて、駆動信号Uh〜Wlの元となる駆動基準信号Uha〜Wlaを発生する。この駆動基準信号Uha〜Wlaは、各相の上側及び下側用の6種類である。
また、駆動信号合成回路40は、U相、V相、W相整形逆起比較信号Vucm、Vvcm、Vwcmを合成して、合成周波数信号FGを発生する。この合成周波数信号FGは、図2に示されるように、三相の整形逆起比較信号Vucm、Vvcm、Vwcmと同期し、例えばデューティ比50%で2π/3周期の信号である。
アップダウンカウンタ60と第1D/A変換器71、第2D/A変換器72とで、スロープ信号合成回路が構成されている。このスロープ信号合成回路は、合成周波数信号FGとクロックCLKが入力され、合成周波数信号FGに同期したスロープ状の立ち上がり部分及び立ち下がり部分を有する2つのスロープ信号A1、A2(D1、D2)を発生する。このスロープ信号A1、A2は、図2に示されるように、相補的に変化する、第1アナログスロープ信号A1と第2アナログスロープ信号A2とからなる。なお、クロックCLKは、駆動信号合成回路40から供給されることとしているが、所定の周波数であれば他の回路から供給されてもよく、また独立にクロック発生回路を設けても良い。
アップダウンカウンタ60は、所定ビット数(例えば、6ビット)の出力値を持つ第1ディジタルスロープ信号D1及び第2ディジタルスロープ信号D2を発生する。第1、第2ディジタルスロープ信号D1、D2は、合成周波数信号FGの変化点、即ち立ち上がり及び立ち下がり、に同期して、一方(例えばD1)は上限値に向けてカウントアップを開始し、他方(例えばD2)は下限値に向けてカウントダウンを開始する。そして、次の合成周波数信号FGの変化点で、一方(例えばD1)はその時点のカウント値から下限値に向けてカウントダウンを開始し、他方(例えばD2)は零値から上限値に向けてカウントアップを開始する。なお、上限値あるいは下限値に達したときは次の変化点までその状態を維持する。
第1D/A変換器71は、第1ディジタルスロープ信号D1を第1アナログスロープ信号A1に変換し、第2D/A変換器72は、第2ディジタルスロープ信号D2を第2アナログスロープ信号A2に変換する。
三相分配回路50は、駆動信号合成回路40からの駆動基準信号Uha〜Wlaと、第1、第2アナログスロープ信号A1、A2とに基づいて、各相の上側及び下側用の駆動信号Uh〜Wlを生成し、出力アンプ20に供給する。この各駆動信号Uh〜Wlは、対応する相に応じた位相を有し、立ち上がり部及び立ち下がり部にスロープが付されている。
マスク信号生成回路80は、第1ディジタルスロープ信号D1、第2ディジタルスロープ信号D2、及び合成周波数信号FGが入力される。
第1ディジタルスロープ信号D1の所定ビットb3以上の全ビットb3〜b5が‘0’の状態、または、第2ディジタルスロープ信号D2の所定ビットb3以上の全ビットb3〜b5が‘0’の状態を検出する。そして、この検出結果を用いて、図2に示されるように、プリマスク信号Pmaskを形成する。即ち、プリマスク信号Pmaskは、第1、第2ディジタルスロープ信号D1、D2の所定ビットb3以上の上位ビットb3〜b5がいずれかは零でないことに基づいて生成される。
このプリマスク信号Pmaskを、駆動信号合成回路40へ供給するマスク信号として用いても良い。この場合には、マスク信号生成回路80は、第1,第2スロープ信号D1、D2の所定レベルに応じてマスク信号を生成することになる。
マスク信号生成回路80には、合成周波数信号FGも入力されるから、合成周波数信号FGとプリマスク信号Pmaskとを用いてマスク信号MASKを形成できる。この場合には、具体的には、合成周波数信号FGの変化点からプリマスク信号Pmaskが高(H)レベルからLレベルに移るまでの間だけ高レベルとなる出力信号を得るようにして、その出力信号によってマスク信号MASKを形成することができる。
また、マスク信号生成回路80において、マスク信号MASKは、合成周波数信号FGの変化時点から、下限値方向へ変化するスロープ信号が所定レベルに達する時点までの期間に発生されるように形成することができる。この場合には、具体的には、マスク信号MASKは、第1ディジタルスロープ信号D1が合成周波数信号FGの変化時点から下限値方向へ変化して所定レベル(b3〜b5がLレベル)に達する時点までの期間及び、第2ディジタルスロープ信号D2が合成周波数信号FGの変化時点から下限値方向へ変化して所定レベル(b3〜b5がLレベル)に達する時点までの期間に発生されるようにして、形成できる。このように、スロープ信号に加えて合成周波数信号FGを用いる場合には、マスク信号MASAKの幅をプリマスク信号Pmaskよりも拡げることができる。
また、マスク信号MASKの幅は、アップダウンカウンタ60のフルカウントとなるカウント数の設定に応じて変更することができるし、また、所定レベルの設定を変えることによっても変更することができる。
以上のように構成される本発明のセンサレスモータの動作を、図1、図2を参照して説明する。
センサレスモータ10の各相電圧Vu、Vv、Vw及び中点電圧Vctrが、逆起検出比較回路30に入力されて、比較結果であるU相、V相、W相逆起比較信号Vuc、Vvc、Vwcが発生され、駆動信号合成回路40に供給される。
これら逆起比較信号Vuc、Vvc、Vwcには、スパイクノイズSPが含まれ得る。駆動信号合成回路40において、そのスパイクノイズSPをマスク信号MASKでマスクして除去し、整形逆起比較信号Vucm、Vvcm、Vwcmを生成する。
駆動信号合成回路40から、整形逆起比較信号Vucm、Vvcm、Vwcmに基づいて、駆動信号Uh〜Wlの元となる駆動基準信号Uha〜Wlaを発生し、三相分配回路50に供給する。
整形逆起比較信号Vucm、Vvcm、Vwcmを論理合成して合成周波数信号FGを形成し、この合成周波数信号FGをアップダウンカウンタ60及びマスク信号生成回路80に供給する。また、アップダウンカウンタ60には、クロックCLKも供給される。
アップダウンカウンタ60からの6ビットの第1ディジタルスロープ信号D1は、合成周波数信号FGの立ち上がり変化点からカウントアップを開始し上限値に向けてカウントアップを継続する一方、合成周波数信号FGの立ち下がり変化点からカウントダウンを開始し下限値に向けてカウントダウンを継続する。また、6ビットの第2ディジタルスロープ信号D2は、合成周波数信号FGの立ち上がり変化点からカウントダウンを開始し下限値に向けてカウントダウンを継続する一方、合成周波数信号FGの立ち下がり変化点からカウントアップを開始し上限値に向けてカウントアップを継続する。この第1、第2ディジタルスロープ信号D1、D2は、第1、第2D/A変換器71、72で変換され、第1、第2アナログスロープ信号A1、A2になる。
駆動基準信号Uha〜Wlaと、第1、第2アナログスロープ信号A1、A2とに基づいて、三相分配回路50は対応する相に応じた位相で、立ち上がり部及び立ち下がり部にスロープが付されている各相の上側及び下側用の駆動信号Uh〜Wlを生成し、出力アンプ20に供給する。出力アンプ20から、駆動信号Uh〜Wlにしたがってセンサレスモータ10に駆動電流を供給する。
マスク信号生成回路80では、入力される第1ディジタルスロープ信号D1の上位ビットb3〜b5と第2ディジタルスロープ信号D2の上位ビットb3〜b5がいずれかは零(Lレベル)でないときに、プリマスク信号Pmaskを発生する。即ち、第1ディジタルスロープ信号D1が所定値以上で且つ第2ディジタルスロープ信号D2が所定値以上のときにプリマスク信号Pmaskが発生する。
このプリマスク信号Pmaskと合成周波数信号FGの変化点とを用いて、マスク信号MASKを発生する。即ち、マスク信号MASKは、第1ディジタルスロープ信号D1が合成周波数信号FGの変化時点から下限値方向へ変化して所定レベル(b3〜b5がLレベル)に達する時点までの期間及び、第2ディジタルスロープ信号D2が合成周波数信号FGの変化時点から下限値方向へ変化して所定レベル(b3〜b5がLレベル)に達する時点までの期間に発生される。
このように、合成周波数信号FGに同期したスロープ信号D1、D2を発生し、そのスロープ信号D1、D2の所定レベルや合成周波数信号FGの変化点などに応じてマスク信号MASKを生成する。これにより、外付け部品の増加やICのチップ面積の増大などの負担なく、且つ回転数変化にも自動的に追従するマスク信号MASKが発生される。
また、センサレスモータの出力電流を穏やかに切り替えるためのスロープ信号D1、D2を利用するから、新たな負担を少なくして、出力電流のスロープ切替とノイズマスクとを同時に達成することができる。
図3〜図6は、センサレスモータ10の種々の回転速度時における、マスク信号の関連について示すタイミングチャートである。
図3は、低速度の場合における例を示している。この図3の例のように、低速度の場合には、アップダウンカウンタ60のカウント値である第1ディジタルスロープ信号D1、第2ディジタルスロープ信号D2が上限値や下限値に達したときに、その後合成周波数信号FGの変化点が発生する時点までは、その上限値や下限値にとどまった状態になる。その後の合成周波数信号FGの変化点から、第1ディジタルスロープ信号D1、第2ディジタルスロープ信号D2は、上限値から下限値へ向けて、また下限値から上限値へ向けて変化していく。
図3でのマスク信号MASKは、合成周波数信号FGの変化時点において上限値にある、第1ディジタルスロープ信号D1あるいは第2ディジタルスロープ信号D2のカウント値が減少し、所定レベル(b3〜b5がLレベル)に達する時点までの期間に発生する。したがって、マスク信号MASKの発生している時間は、センサレスモータ10の回転速度に応じて自動的に変更される。また、マスク信号MASKの幅は、設定された最大値になる。
図4は、中速度の場合における例を示している。この図4の例は、図2にて説明したと同様であるので、再度の説明は省略する。
図5は、中速度の状態から、加速して高速度になった場合の例を示している。この図5では、時点t1までは中速度で回転しており、時点t1で加速して高速度になった事例を示している。
時点t1の次の合成周波数信号FGの変化時点で、下限値の方向に減少していた第1ディジタルスロープ信号D1は下限値(零値)にセットされその後上限値に向けて上昇する一方、上限値の方向に増加していた第2ディジタルスロープ信号D2は減少方向に転じて下限値に向けて減少する。
その後は、合成周波数信号FGの変化点が短い時間間隔で発生するので、それに応じてマスク信号MASKの幅が短くなり、その発生場所も移動する。
図6は、高速度の状態から、減速して中速度になった場合の例を示している。この図6では、時点t2までは高速度で回転しており、時点t2で減速して中速度になった事例を示している。
時点t2の次の合成周波数信号FGの変化点が、時点t2以前のときよりも遅く現れるので、時点t2で下限値の方向に減少していた第1ディジタルスロープ信号D1は下限値(零値)に達した後は下限値に止まっており、次の合成周波数信号FGの変化点から上限値に向けて上昇する。一方、時点t2で上限値の方向に増加していた第2ディジタルスロープ信号D2はそのまま増加を続け、次の合成周波数信号FGの変化点で減少方向に転じて下限値に向けて減少する。
その後は、合成周波数信号FGの変化点が中速度に応じた時間間隔で発生するので、それに応じてマスク信号MASKの幅が広くなり、その発生場所も移動する。
このように、マスク信号MASKの幅は1つ前の合成周波数信号FGの変化点に応じて決まる。したがって、センサレスモータ10の回転速度に応じた幅のマスク信号を発生するから、センサレスモータ10をその回転数の変化に対しても安定して駆動することができる。
なお、以上の実施例では、駆動信号Uh〜Wlは立ち上がり部、立ち下がり部にスロープが付されたものについて説明したが、本発明はスロープ部分を持たない駆動信号に対しても適用することができる。この場合には、図1の第1、第2アナログスロープ信号を発生するための第1、第2D/A変換器71、72が省略でき、また、三相分配回路50は駆動基準信号Uha〜Wlaに基づいて、スロープ部分を持たない駆動信号Uh〜Wlを形成する。
本発明の実施例に係るセンサレスモータ駆動回路の構成を示す図 本発明の動作を説明するための第1のフローチャート 低速度の場合におけるタイミングチャート 中速度の場合におけるタイミングチャート 中速度から高速度に加速する場合におけるタイミングチャート 高速度から中速度に減速する場合におけるタイミングチャート
符号の説明
10 センサレスモータ
20 出力アンプ
30 逆起検出比較回路
40 駆動信号合成回路
50 三相分配回路
60 アップダウンカウンタ
71 第1D/A変換器
72 第2D/A変換器
80 マスク信号生成回路
Vuc、Vvc、Vwc 逆起比較信号
FG 合成周波数信号
Pmask プリマスク信号
MASK マスク信号
D1、D2 第1、第2ディジタルスロープ信号
A1、A2 第1、第2アナログスロープ信号
Uh〜Wl 駆動信号

Claims (10)

  1. ロータと複数相の駆動コイルを有するステータとを持つセンサレスモータを駆動するためのセンサレスモータ駆動回路において、
    出力トランジスタ回路を含み前記複数相の駆動コイルに駆動電流を供給する出力アンプと、
    前記複数相の駆動コイルの各相電圧と前記複数相の駆動コイルの中点電圧とを比較して、ロータ位置を検出するための各相毎の逆起比較信号を生成する逆起検出比較回路と、
    前記逆起比較信号に含まれ得るスパイクノイズをマスクするためのマスク信号を受けて、マスクされた整形逆起比較信号を生成すると共に、該整形逆起比較信号に基づいて駆動基準信号及び合成周波数信号を生成する駆動信号合成回路と、
    前記合成周波数信号に同期したスロープ状の立ち上がり部分及び立ち下がり部分を有するスロープ信号を発生し、少なくとも前記スロープ信号の所定レベルに応じて前記マスク信号を生成するマスク信号生成回路と、
    前記駆動基準信号に基づく駆動信号を前記出力アンプに供給する相分配回路と、を有することを特徴とする、センサレスモータ駆動回路。
  2. ロータと複数相の駆動コイルを有するステータとを持つセンサレスモータを駆動するためのセンサレスモータ駆動回路において、
    出力トランジスタ回路を含み前記複数相の駆動コイルに駆動電流を供給する出力アンプと、
    前記複数相の駆動コイルの各相電圧と前記複数相の駆動コイルの中点電圧とを比較して、ロータ位置を検出するための各相毎の逆起比較信号を生成する逆起検出比較回路と、
    前記逆起比較信号に含まれ得るスパイクノイズをマスクするためのマスク信号を受けて、マスクされた整形逆起比較信号を生成すると共に、該整形逆起比較信号に基づいて駆動基準信号及び合成周波数信号を生成する駆動信号合成回路と、
    前記合成周波数信号に同期したスロープ状の立ち上がり部分及び立ち下がり部分を有するスロープ信号を発生するスロープ信号合成回路と、
    少なくとも前記スロープ信号の所定レベルに応じて前記マスク信号を生成するマスク信号生成回路と、
    前記駆動基準信号及び前記スロープ信号が入力され、前記各相毎整形逆起比較信号と前記スロープ信号とに基づいて、立ち上がり部及び立ち下がり部にスロープが付された駆動信号を生成し、前記出力アンプに供給する相分配回路と、を有することを特徴とする、センサレスモータ駆動回路。
  3. 前記センサレスモータは三相モータであり、
    前記合成周波数信号は三相の整形逆起比較信号を合成して得た、デューティ比50%で2π/3周期の信号であり、
    前記スロープ信号は、前記合成周波数信号の変化点に同期して下限値から上限値の方向に及びもしくは上限値から下限値の方向に向けて変化することを特徴とする、請求項1または2に記載のセンサレスモータ駆動回路。
  4. 前記マスク信号は、前記合成周波数信号の変化点と前記スロープ信号の所定レベルに応じて生成されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のセンサレスモータ駆動回路。
  5. 前記マスク信号は、前記合成周波数信号の変化時点から、下限値方向へ変化するスロープ信号が所定レベルに達する時点までの期間に発生されることを特徴とする、請求項4に記載のセンサレスモータ駆動回路。
  6. 前記センサレスモータは三相モータであり、
    前記合成周波数信号は三相の整形逆起比較信号を合成して得た、デューティ比50%で2π/3周期の信号であり、
    前記スロープ信号合成回路は、クロックをカウントし、前記合成周波数信号の変化点に同期して下限値から上限値の方向に及びもしくは上限値から下限値の方向に向けて変化するディジタルスロープ信号を発生するカウンタと、前記ディジタルスロープ信号をアナログスロープ信号に変換して前記三相分配回路にスロープ信号として入力するディジタル・アナログ変換回路とを有し、
    前記マスク信号生成回路は、少なくとも前記ディジタルスロープ信号の所定ビット以上の上位ビットを利用して、前記マスク信号を生成することを特徴とする、請求項2に記載のセンサレスモータ駆動回路。
  7. 前記マスク信号生成回路は、前記ディジタルスロープ信号の所定ビット以上の上位ビットがいずれかは零でないことに基づいてマスク信号を生成することを特徴とする、請求項6に記載のセンサレスモータ駆動回路。
  8. 前記マスク信号生成回路は、マスク信号を、前記合成周波数信号の変化時点から、下限値方向へ変化するスロープ信号が所定レベルに達する時点までの期間に発生されることを特徴とする、請求項6に記載のセンサレスモータ駆動回路。
  9. 前記カウンタは、前記合成周波数信号の立ち上がりに同期して下限値から上限値の方向へ向けてカウントアップし、その立ち下がりに同期して上限値から下限値の方向へ向けてカウントダウンする第1ディジタルスロープ信号と、前記合成周波数信号の立ち上がりに同期して上限値から下限値の方向へ向けてカウントダウンし、その立ち下がりに同期して下限値から上限値の方向へ向けてカウントアップする第2ディジタルスロープ信号とを発生する、所定ビット数のアップダウンカウンタと、
    前記第1ディジタルスロープ信号を変換して第1アナログスロープ信号を発生する第1ディジタル・アナログ変換器と、
    前記第2ディジタルスロープ信号を変換して第2アナログスロープ信号を発生する第2ディジタル・アナログ変換器とを備えて、
    前記第1アナログスロープ信号及び前記第2アナログスロープ信号とを前記スロープ信号として、前記三相分配回路に入力することを特徴とする、請求項6〜8のいずれかに記載のセンサレスモータ駆動回路。
  10. 前記マスク信号は、前記第1ディジタルスロープ信号が前記合成周波数信号の変化時点から下限値方向へ変化して所定レベルに達する時点までの期間及び、前記第2ディジタルスロープ信号が前記合成周波数信号の変化時点から下限値方向へ変化して所定レベルに達する時点までの期間に発生されることを特徴とする、請求項9に記載のセンサレスモータ駆動回路。
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