JP2006073285A - 捲回式二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】軽量化及び電解液使用量の減少を図ることができ、かつ、電池容量の低下を抑制することができる捲回式二次電池を提供する。
【解決手段】リチウムイオン二次電池20は、電池容器7及び正負極板がセパレータを介して捲回された電極群6を有している。電極群6の捲回中心には、中空円筒状の軸芯1が使用されている。軸芯1の中空部分には、ポリプロピレン樹脂製の棒状部材21が挿入されている。寸法及び重さから算出した棒状部材21の比重は0.90となる。電池容器7内には、比重がおよそ1.2の非水電解液16が注液されている。棒状部材21は、電池容器7内に非水電解液16を注液後、軸芯1の中空部分に挿入される。棒状部材21分の非水電解液16が不要となり、棒状部材21の挿入で押し出された非水電解液16が電極群6内に浸潤する。
【選択図】図1

Description

本発明は捲回式二次電池に係り、特に、正負極板がセパレータを介して中空状の軸芯の周囲に捲回された電極群を電解液に浸潤させた捲回式二次電池に関する。
従来、正負極板がセパレータを介して捲回された捲回式二次電池はさまざまな用途で使用されている。中でも、捲回式リチウム二次電池は高エネルギー密度であるメリットを活かして、主にVTRカメラやノート型パソコン、携帯電話等のポータブル機器に使用されている。一方、電気自動車用や電力貯蔵用として高容量、高出力、更には高出力密度を目的とする大型の捲回式リチウム二次電池の研究開発が活発に行われている。特に、自動車産業界においては、環境問題に対応すべく、動力源としてモータを用いる方式の電気自動車や内燃機関とモータとの両方を用いるハイブリッド方式の電気自動車の開発が進められており、その一部は既に実用化されている。
一般に、小型の捲回式リチウム二次電池では、電極群の捲回中心に軸芯は使用されていない。ところが、高容量、高出力を目的とした大型の捲回式リチウム二次電池では、電極面積の大型化が図られているため、電極群が大きくなると共に、安全性を確保するために安全機構等が配置されるので、電池全体が非常に重くなる。これに伴い、電池にかかる振動、衝撃等が電極群に及ぼす影響が大きくなるため、電極群を固定しておくことが重要となる。電極群の固定には、中空状の軸芯を用いるのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。電極群の作製時には、軸芯の中空部分に捲回装置の捲回軸を挿入して軸芯にトルクをかけながら正負極板が軸芯の周囲に捲回される。また、通常、軸芯の中空部分から電解液が注液され電極群が電解液に浸潤される。このため、軸芯の中空部分にも電解液が満たされる。
特開2001−126769号公報
しかしながら、捲回式リチウム二次電池では、大型化に伴う電池の重量増加のため、出力密度の低下を招き、高出力密度という特徴が薄れてきている。特に、軸芯の中空部分を満たしている電解液は、軸芯自体を介して電極群と隔離されているため、リチウム二次電池の電極反応に寄与していないと考えられ、この電解液分で余分な重量増加が生じている。電解液の使用量を単に減少させると電極群に電解液が浸潤しなくなるため、電極反応が円滑に進行せず電池容量が低下する。また、リチウム二次電池では、電解液がコスト高のため、電解液の使用量が増大する程、リチウム二次電池のコスト高を招く、という問題もある。
上記事項に鑑み本発明は、軽量化及び電解液使用量の減少を図ることができ、かつ、電池容量の低下を抑制することができる捲回式二次電池を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、正負極板がセパレータを介して中空状の軸芯の周囲に捲回された電極群を電解液に浸潤させた捲回式二次電池において、前記軸芯の中空部分には、前記電解液より小さい比重の部材が内蔵されており、前記部材は、前記電解液に前記電極群を浸潤させた後に前記軸芯の中空部分に挿入されたものであることを特徴とする。
本発明の捲回式二次電池では、軸芯の中空部分に電解液より小さい比重の部材が内蔵されているため、部材分の電解液が不要となるので、電解液の使用量を減少させることができ、不要となった電解液より部材の重量が小さくなるので、電池全体の軽量化を図ることができると共に、電解液に電極群を浸潤させた後に軸芯の中空部分に部材が挿入されたため、軸芯の中空部分から電解液が押し出され電極群内に略均等に浸潤するので、電極反応が円滑となり電池の初期容量の低下やバラツキを防止することができる。
この場合において、部材の材質をポリオレフィン系樹脂としてもよい。また、部材を棒状とすれば、軸芯の中空部分に部材を容易に内蔵させることができる。このとき、部材を密封された中空状とすれば、捲回式二次電池を更に軽量化することができる。
本発明によれば、軸芯の中空部分に電解液より小さい比重の部材が内蔵されているため、電解液の使用量を減少させることができ、電池全体の軽量化を図ることができると共に、電解液に電極群を浸潤させた後に軸芯の中空部分に部材が挿されたため、軸芯の中空部分から電解液が押し出され電極群内に略均等に浸潤するので、電池容量の低下を防止することができる、という効果を得ることができる。
以下、図面を参照して、本発明を適用した円筒型リチウムイオン二次電池の実施の形態について説明する。
(構成)
図1に示すように、本実施形態の円筒型リチウムイオン二次電池20は、ニッケルメッキが施されたスチール製で有底円筒状の電池容器7及び帯状の正負極板がセパレータを介して断面渦巻状に捲回された電極群6を有している。
電極群6の捲回中心には、ポリプロピレン樹脂製で中空円筒状の軸芯1が使用されている。軸芯1の寸法は、本例では、外径9mm、内径7mm、高さ114.3mmに設定されている。軸芯1の中空部分には、ポリプロピレン樹脂製で中実(断面略円形)の棒状部材21が挿入(内蔵)されている。棒状部材21の寸法は、本例では、直径6.5mm、高さ114mmに設定されている。なお、ポリプロピレン樹脂の密度はおよそ0.91g/cmである。このため、水の密度と対比すると比重は0.91となり、後述する非水電解液の比重より小さくなる。
電極群6の上側には、軸芯1のほぼ延長線上に正極板からの電位を集電するためのアルミニウム製の正極集電リング4が配置されている。正極集電リング4は、軸芯1の上端部に固定されている。正極集電リング4の周囲から一体に張り出している鍔部周縁には、正極板から導出された正極リード片2の端部が超音波溶接されている。正極集電リング4の上方には、正極外部端子となる円盤状の電池蓋が配置されている。電池蓋は、蓋ケース12と、蓋キャップ13と、気密を保つ弁押え14と、内圧上昇により開裂する開裂弁11とで構成されており、これらが積層されて蓋ケース12の周縁をカシメることで組立てられている。正極集電リング4の上部には複数枚のアルミニウム製リボンを重ね合わせて構成した2本の正極リード板9のうち1本の一端が固定されており、蓋ケース12の下面には他の1本の一端が溶接されている。2本の正極リード板9の他端同士は溶接で接続されている。
一方、電極群6の下側には負極板からの電位を集電するための銅製の負極集電リング5が配置されている。負極集電リング5の内周面には軸芯1の下端部外周面が固定されている。負極集電リング5の外周縁には、負極板から導出された負極リード片3の端部が溶接されている。負極集電リング5の下部には電気的導通のための銅製の負極リード板8が溶接されており、負極リード板8は電池容器7の内底部に溶接されている。電池容器7の寸法は、本例では、外径40mm、内径39mmに設定されている。
電池蓋は、絶縁性及び耐熱性のEPDM樹脂製ガスケット10を介して電池容器7の上部にカシメることで固定されている。このため、リチウムイオン二次電池20の内部は密封されている。また、電池容器7内には、非水電解液16が注液されている。非水電解液16には、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとの体積比1:1の混合溶媒中にリチウム塩として6フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1モル/リットル溶解したものが用いられている。用いた非水電解液16の比重は、およそ1.2である。なお、リチウムイオン二次電池20には、電池温度の上昇に応じて電気的に作動する、例えば、PTC(Positive Temperature Coefficient)素子や、電池内圧の上昇に応じて正極又は負極の電気的リードが切断される電流遮断機構は配置されていない。
電極群6は、正極板と負極板とがこれら両極板が直接接触しないように、セパレータを介して軸芯1の周囲に捲回されている。セパレータには、本例では、幅107.5mm、厚さ40μmの多孔質ポリエチレン製フィルムが使用されている。正極リード片2と負極リード片3とは、それぞれ電極群6の互いに反対側の両端面に配置されている。電極群6及び正極集電リング4の鍔部周面全周には、絶縁被覆が施されている。絶縁被覆には、ポリイミド製の基材の片面にヘキサメタアクリレートの粘着剤が塗布された粘着テープが用いられている。粘着テープは鍔部周面から電極群6外周面に亘って一重以上巻かれている。正極板、負極板、セパレータの長さを調整することで、電極群6の直径が38±0.1mmに設定されている。
電極群6を構成する負極板は、負極集電体として厚さ10μmの圧延銅箔を有している。圧延銅箔の両面には、負極活物質としてリチウムイオンを吸蔵、放出可能な非晶質炭素粉末を含む負極合剤が塗着されている。負極合剤には、例えば、非晶質炭素粉末の90重量部に対して、バインダ(結着材)のポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFと略記する。)の10重量部が配合されている。圧延銅箔に負極合剤を塗着するときには、分散溶媒のN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記する。)が用いられる。圧延銅箔の長寸方向一側の側縁には、幅30mmの負極合剤の未塗着部が形成されている。未塗着部は櫛状に切り欠かれており、切り欠き残部で負極リード片3が形成されている。隣り合う負極リード片3の間隔が50mm、負極リード片3の幅が5mmに設定されている。負極板は、乾燥後、厚さ70μmとなるように、加熱可能なロールプレス機でプレス加工され、幅105mmに裁断されている。
一方、正極板は、正極集電体として厚さ20μmのアルミニウム箔を有している。アルミニウム箔の両面には、正極活物質としてリチウム遷移金属複酸化物を含む正極合剤が塗着されている。正極合剤には、例えば、リチウム遷移金属複酸化物の100重量部に対して、導電材の鱗片状黒鉛の10重量部及びバインダのPVDFの5重量部が配合されている。アルミニウム箔に正極合剤を塗着するときには、分散溶媒のNMPが用いられる。アルミニウム箔の長寸方向一側の側縁には、負極板と同様に幅30mmの正極合剤の未塗着部が形成されており、正極リード片2が形成されている。隣り合う正極リード片2の間隔が50mm、正極リード片2の幅が5mmに設定されている。正極板は、乾燥後、厚さ90μmとなるように、負極板と同様にプレス加工され、幅99mmに裁断されている。
(電池組立)
リチウムイオン二次電池20の組立は以下の手順で行う。まず、正負極板をセパレータを介して軸芯1の周囲に捲回装置で捲回し電極群6を作製する。このとき、捲回装置の捲回軸を軸芯1の中空部分に挿入して、軸芯1にトルクをかけながら捲回する。電極群6の両端面からそれぞれ導出されている正極リード片2及び負極リード片3を正極集電リング4及び負極集電リング5にそれぞれ溶接した後、電池容器7内に電極群6を挿入する。負極集電リング5に予め溶接した負極リード板8を電池容器7の内底部に溶接し、正極集電リング4及び電池蓋を正極リード板9で接続する。電池容器7内に非水電解液16を軸芯1の中空部分から注液して電極群6を非水電解液16に浸潤させた後、軸芯1の中空部分に棒状部材21を挿入する。非水電解液16の注液量は棒状部材21の体積分を考慮して設定する。その後、電池蓋を電池容器7の上部にかしめ固定することで、リチウムイオン二次電池20の組立を完成させる。
(作用等)
次に、本実施形態のリチウムイオン二次電池20の作用等について説明する。
本実施形態のリチウムイオン二次電池20では、軸芯1の中空部分に、比重が非水電解液16より小さい棒状部材21が挿入されている。このため、軸芯1の中空部分が非水電解液16より軽量の棒状部材21で占められるので、リチウムイオン二次電池20の軽量化を図ることができる。これにより、リチウムイオン二次電池20の出力密度(単位重量あたりの出力)の向上を図ることができる。また、本実施形態のリチウムイオン二次電池20では、電池容器7内に非水電解液16が注液された後、軸芯1の中空部分に棒状部材21が挿入される。これにより、非水電解液16が軸芯1の中空部分から押し出され電極群6内に略均等に浸潤する(しみこむ)ため、活物質の利用率が向上して電極反応が円滑に進行するので、電池の初期容量を向上させバラツキを抑制することができる。
また、本実施形態のリチウムイオン二次電池20では、軸芯1の中空部分にポリプロピレン樹脂製の棒状部材21が挿入されているため、棒状部材21に相当する分の非水電解液16の使用量を減少させることができる。棒状部材21に用いられるポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂のコストは、例えば、1kgあたり100〜150円であるのに対し、非水電解液16のコストは1kgあたり数千円である。このため、ポリプロピレン樹脂製の棒状部材21と比較してコスト高の非水電解液16の使用量が減少するので、電池全体のコスト高を抑制することができる。
更に、本実施形態のリチウムイオン二次電池20では、棒状部材21の材質にポリプロピレン樹脂が用いられている。このポリプロピレン樹脂が非水電解液16に対して不活性(非水電解液中で安定)なため、リチウムイオン二次電池20の使用時の劣化等を防止することができる。また、棒状部材21が棒状のため、リチウムイオン二次電池20の製造時に、軸芯1の中空部分に棒状部材21を容易に挿入することができる。
これに対して従来のリチウムイオン二次電池では、軸芯の中空部分が非水電解液で満たされており、この非水電解液は、軸芯自体を介して電極群と隔離されているため、電池反応に寄与していないと考えられる。このため、電池内に余分な非水電解液を保持することとなり、重量が増加して出力密度が低下する。また、コスト高の非水電解液を余分に使用するため、リチウムイオン二次電池のコスト高を招く。本実施形態のリチウムイオン二次電池20では、これらの問題を解決するものである。
なお、本実施形態のリチウムイオン二次電池20では、軸芯1の中空部分にポリプロピレン樹脂製で断面略円形の棒状部材21を挿入する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図2に示すように、密封された中空棒状(断面略リング状)の中空部材25を用いてもよい。中空部材25は、ポリプロピレン樹脂製の円筒材26を有している。円筒材26の寸法は、外径6.5mm、内径4.5mm、高さ112mmに設定されている。円筒材26の両端にはポリプロピレン樹脂製で断面略凸状の栓材27が溶着されており、中空部材25は密封されている。このため、中空部材25の寸法は直径6.5mm、高さ114mmとなる。棒状部材21に変えて中空部材25を軸芯1の中空部分に挿入することで、中空部材25内の中空部分に相当するポリプロピレン樹脂が不要となるので、リチウムイオン二次電池20を更に軽量化することができる。
また、本実施形態のリチウムイオン二次電池20では、棒状部材21、中空部材25の材質にポリプロピレン樹脂を用いる例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。棒状部材21、中空部材25は、非水電解液16より小さい比重であればよく、例えば、ポリエチレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂を用いてもよい。
更に、本実施形態では、軸芯1の中空部分に挿入する部材として断面略円形の棒状部材21、断面略リング状の中空部材25を例示したが、本発明は部材の形状やその作製法に限定されるものではないことを確認している。例えば、断面が多角形状の部材を軸芯1の中空部分に挿入するようにしてもよい。また、本実施形態では、棒状部材21、中空部材25の1本を挿入する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数本、例えば、2本の棒状部材21を挿入してもよい。
また更に、本実施形態では言及していないが、棒状部材21、中空部材25を軸芯1に固定するようにしてもよい。このことは、例えば、軸芯1の上部に樹脂製の栓材等を配置することや、棒状部材21、中空部材25の外径を一端から他端方向に漸減するように形成しておき、一端を軸芯1の中空部分に嵌合させることで実現することができる。このようにすれば、非水電解液16より小さい比重の棒状部材21、中空部材25を軸芯1の中空部分に挿入したときに浮き上がることを防止することができる。
更にまた、本実施形態のリチウムイオン二次電池20では、正極活物質にリチウム遷移金属複酸化物、負極活物質に非晶質炭素、導電材に鱗片状黒鉛、非水電解液16にエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとの混合溶媒にLiPFを溶解させたものをそれぞれ例示したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、通常リチウムイオン二次電池に使用される材料を用いてもよい。
また、本実施形態では、正負極板を軸芯1の周囲に捲回した円筒型リチウムイオン二次電池20を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、正負極板が捲回された捲回式二次電池の一般に適用することが可能である。このような捲回式二次電池としては、例えば、ニッケル水素電池、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池等を挙げることができる。更に、電池の形状についても特に制限されるものではなく、例えば、円筒型以外に角型等としてもよい。
次に、本実施形態に従って作製したリチウムイオン二次電池20の実施例について説明する。なお、比較のために作製した比較例のリチウムイオン二次電池についても併記する。
(実施例1)
実施例1では、軸芯1の中空部分に棒状部材21を挿入した。この棒状部材21の重さは3.4gであった。寸法及び重さから算出した棒状部材21の密度は0.90g/cmとなり、水(4°C)の密度0.999g/cmとすると、棒状部材21の比重は0.90となる。従って、棒状部材21の比重は、非水電解液16の比重1.2より小さくなる。
(実施例2)
実施例2では、棒状部材21を中空部材25に変える以外は実施例1と同様にした。この中空部材25の重さは1.8gであった。寸法及び重さから算出した中空部材25の(見掛け)密度は0.48g/cmとなり、比重は0.48となる。従って、中空部材25の比重は非水電解液16の比重より小さくなる。
(比較例1)
比較例1では、軸芯1の中空部分に棒状部材21、中空部材25をいずれも挿入しない以外は実施例1と同様にした。従って、比較例1のリチウムイオン二次電池は、軸芯1の中空部分に非水電解液が満たされた従来の電池である。
<試験・評価>
実施例及び比較例の各電池について、電池重量の測定を行った後、電池容量、電池抵抗を測定した。電池容量の測定では、電池を25±2°Cの雰囲気にて1時間率(1C)で定電流定電圧充電(上限電圧4.1V)を3時間した後、1時間率(1C)の定電流で2.7Vまで放電したときの放電容量を測定した。電池抵抗の測定では、電池を25±2°Cの雰囲気にて1時間率で4.1V定電圧充電を3時間して満充電状態とした後、1A、3A、6Aの電流値でそれぞれ11秒間放電し、5秒目の電池電圧を測定した。各電流値に対して電圧値をプロットしたときの直線の傾きの絶対値を電池抵抗とした。下表1に電池重量、電池容量、電池抵抗の測定結果を示す。
Figure 2006073285
表1に示すように、軸芯1の中空部分に棒状部材21、中空部材25をいずれも挿入していない比較例1のリチウムイオン二次電池の重量が331.7gであったのに対し、棒状部材21、中空部材25をそれぞれ挿入した実施例1、実施例2のリチウムイオン二次電池20では、重量がそれぞれ330.4g、328.8gとなり、いずれも軽量化することができた。また、電池容量は、比較例1の電池では7.9Ahであったのに対し、実施例1、実施例2の電池ではいずれも8.1Ahとなり、容量の増加が認められた。これは、軸芯1内に棒状部材21、中空部材25を挿入することで、中空部分から押し出された非水電解液16が電極群6内に略均等にしみこみ、正負極の活物質の利用率が向上したためであると考えられる。更に、電池抵抗は、実施例1、実施例2のいずれでも比較例1と同じ数値を示した。従って、軸芯1に棒状部材21、中空部材25を挿入しても、電池出力には影響を及ぼさないことから、出力密度を向上させることができることが判明した。
本発明は、軽量化及び電解液使用量の減少を図ることができ、かつ、電池容量の低下を抑制することができる捲回式二次電池を提供するため、捲回式二次電池の製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
本発明を適用した実施形態の円筒型リチウムイオン二次電池を示す断面図である。 円筒型リチウムイオン二次電池の軸芯の中空部分に挿入可能な中空部材を示す断面図である。
符号の説明
1 軸芯
6 電極群
16 非水電解液(電解液)
20 円筒型リチウムイオン二次電池(捲回式二次電池)
21 棒状部材(部材)
25 中空部材(部材)

Claims (4)

  1. 正負極板がセパレータを介して中空状の軸芯の周囲に捲回された電極群を電解液に浸潤させた捲回式二次電池において、前記軸芯の中空部分には、前記電解液より小さい比重の部材が内蔵されており、前記部材は、前記電解液に前記電極群を浸潤させた後に前記軸芯の中空部分に挿入されたものであることを特徴とする捲回式二次電池。
  2. 前記部材は、材質がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の捲回式二次電池。
  3. 前記部材は、棒状であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の捲回式二次電池。
  4. 前記部材は、密封された中空状であることを特徴とする請求項3に記載の捲回式二次電池。
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