JP2006071498A - 振動ジャイロ - Google Patents

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郁 永井
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Abstract

【課題】慣性力検出信号に含まれるノイズ成分を可及的に低減し、慣性力検出に際して高い分解能を得ることが可能な振動ジャイロを提供する。
【解決手段】振動子1の静電容量の変化を電圧変化に変換して出力するCV変換回路40を備え、このCV変換回路40は、演算増幅器41の負帰還部にキャパシタ42と抵抗43とが並列に接続された電流検出型のものであって、負帰還部のキャパシタ42の容量値と抵抗43の抵抗値とで決まるカットオフ周波数をfc、振動子1が励振駆動される駆動モード周波数をfoとしたとき、(fo/fc)≧20となるように設定されている。
また、(fo/fc)は200以下となるように設定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、振動ジャイロに関し、詳しくは、静電容量検出型の振動子を用いて慣性力を検出する振動ジャイロに関する。
従来の振動ジャイロの一つに、慣性力を静電容量の変化として検出する静電容量検出型の振動子を備えるとともに、この振動子を励振駆動する発振回路部と、振動子の検出出力に基づいて慣性力の大きさに応じた信号を生成する信号処理回路部とを設けた構成を有する振動ジャイロがある(例えば、特許文献1参照)。
上記の静電容量検出型の振動子は、慣性力により振動状態が変化した場合における、振動子に設けた検出電極間の静電容量の変化を検出して出力するものである。
そして、この振動子に対して発振回路部から駆動信号が与えられることにより、振動子は所定の駆動振動方向に沿って往復振動を行う。また、振動子からは駆動振動方向の振動量に応じた信号が発振回路部に帰還されるため、発振回路部は自励発振し、再び駆動信号が振動子に与えられる。これにより、振動子は、発振回路部から与えられる駆動信号の周波数(以下、駆動モード周波数foという)と同じ自己共振周波数で振動が持続される。
この状態で振動子の駆動振動方向に直交する方向を回転軸とした慣性力が加わると、振動子は駆動振動方向および回転軸の両方向に直交する方向に沿ってコリオリ力が発生し、振動子の振動方向が変化する。この場合のコリオリ力の振動周波数は、上記の駆動モード周波数foと同じになる。
そして、このコリオリ力による振動変位により振動子の検出電極間の静電容量が変化するので、この静電容量の変化が検出信号として信号処理回路部に入力される。信号処理回路部は、振動子の静電容量の変化を電圧変化に変換した後、同期検波、平滑化などの所定の信号処理を行って慣性力の大きさに応じた直流電圧をもつ慣性力検出信号を出力する。
ところで、上記の信号処理回路部には、振動子で検出される静電容量の変化を電圧変化に変換して出力するために、従来より電流検出型のCV変換回路が使用されている(例えば、非特許文献1参照)。この電流検出型のCV変換回路(以下、単に「CV変換回路」という)は、演算増幅器の負帰還部に、キャパシタと抵抗とを並列に接続することにより構成されている。
かかる構成を有するCV変換回路は、一種のノイズ低減用のノイズフィルタとして機能し、そのカットオフ周波数fc以上の周波数では、周波数が高くなるほどノイズ透過率を低下させるという特性を有している。
すなわち、カットオフ周波数fc以上の周波数ではカットオフ周波数fcから離れるほどCV変換時に透過する電圧ノイズ(以下、CV変換電圧ノイズという)を低減させるという特性を有している。
しかしながら、従来技術では、このようなCV変換回路の特性に着目して駆動モード周波数foとCV変換回路のカットオフ周波数fcとの関係について十分な検討を加えたものは見当たらず、そのため、CV変換回路を通過した後の検出信号に含まれるCV変換電圧ノイズが大きく、その結果、信号処理回路部から最終的に出力される慣性力検出信号に含まれるノイズ成分も大きくなり、慣性力検出の際の分解能が低いという問題点がある。
すなわち、従来は、カットオフ周波数fcが駆動モード周波数foに対して十分に小さくなるようには設定されていないので、CV変換回路の駆動モード周波数foにおけるCV変換電圧ノイズの透過率が高く、それ以降の同期検波や平滑化などの処理を行う際のノイズ成分が大きくなり、慣性力を検出する際の分解能を高めることができないのが実情である。
例えば、上記の非特許文献1の構成の場合、駆動モード周波数fo=8.94kHz、カットオフ周波数fc=1.77kHzであり、その比は(fo/fc)≒5.1となる。このように、従来は、駆動モード周波数foに対するカットオフ周波数fcが低く設定されていないため、CV変換回路の駆動モード周波数foにおけるCV変換電圧ノイズのノイズ透過率が高く(ピークに対して約−14dB)、その結果、慣性力検出を行う際に十分な分解能を得ることができない。
特開平10−221083号公報 土屋 智由 著 「多結晶シリコンヨーレートセンサ」 R&D Review of Toyota CRDL 2001年9月 Vol.36 No.3 p41〜p46
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、慣性力検出信号に含まれるノイズ成分を可及的に低減し、慣性力検出に際して高い分解能を得ることが可能な振動ジャイロを提供することを課題とする。
背景技術において説明したように、振動子から出力される静電容量の変化を示す検出信号の周波数は駆動モード周波数foと同じであり、また、CV変換回路の特性として、検出信号に含まれるCV変換電圧ノイズは、カットオフ周波数fcから離れるほど小さくなる傾向を示す。
したがって、静電容量変化を検出する場合に障害となるCV変換電圧ノイズを低減するためには、カットオフ周波数fcに対して駆動モード周波数foを十分に高く設定するか、あるいはCV変換回路のカットオフ周波数fcを駆動モード周波数foに対して十分に低く設定すればよいと推察される。現実には、駆動モード周波数foは、振動子の構成などの要因によって自ずと決定されることが多いため、CV変換回路のカットオフ周波数fcを、駆動モード周波数foに対して十分に低く設定すればよいと考えられる。本発明は、かかる知見に基づいてさらに実験、検討を行うことにより完成されたものである。
すなわち、本発明(請求項1)の振動ジャイロは、
慣性力を静電容量の変化として検出する静電容量検出型の振動子と、
前記振動子を励振駆動する発振回路部と、
前記振動子の検出出力に基づいて慣性力の大きさに応じた信号を生成する信号処理回路部とを備えた振動ジャイロにおいて、
前記信号処理回路は、前記振動子の静電容量の変化を電圧変化に変換して出力するCV変換回路を備え、
前記CV変換回路は、演算増幅器の負帰還部にキャパシタと抵抗とが並列に接続された電流検出型のものであって、前記負帰還部のキャパシタの容量値と抵抗の抵抗値とで決まるカットオフ周波数をfc、前記振動子が前記発振回路部により励振駆動される駆動モード周波数をfoとしたとき、(fo/fc)≧20となるように設定されていること
を特徴としている。
また、請求項2の振動ジャイロは、請求項1記載の発明の構成において、(fo/fc)≦200となるように設定されていることを特徴としている。
本発明(請求項1)の振動ジャイロは、CV変換回路のカットオフ周波数fcと振動子が励振駆動される駆動モード周波数foとの関係が(fo/fc)≧20となるように設定されているので、CV変換回路のカットオフ周波数fcは駆動モード周波数foに対して十分に低い値になる。
そのため、駆動モード周波数foを有する静電容量変化の検出信号がCV変換回路で電圧に変換される際に、同じ駆動モード周波数foを有するCV変換電圧ノイズが検出感度や応答性に影響を及ぼすことなく大きく低減され、CV変換回路を通過する検出信号のS/N比が改善される。
その結果、信号処理回路部の最終段から出力される慣性力検出信号に含まれるノイズ成分も大幅に低減(平均的に約20dB以下に低減)され、慣性力検出に際して高い分解能を得ることが可能になる。
また、請求項2の振動ジャイロは、(fo/fc)≦200となるように設定されているので、請求項1記載の発明の効果に加えて、CV変換回路が正常に動作する上で必要な帰還抵抗の抵抗値Rfの最大値を補償することができる。
以下、本発明の実施例を示して、その特徴とするところをさらに詳しく説明する。
図1は本発明の実施例にかかる振動ジャイロの全体構成を示すブロック図である。
この実施例の振動ジャイロは、慣性力を静電容量の変化として検出する静電容量検出型の振動子1、この振動子1を駆動する発振回路部2、および振動子1からの検出出力に基づいて慣性力の大きさに応じた慣性力検出信号を生成する信号処理回路部3を備えている。
振動子1は、例えば半導体微細加工技術を用いて基板表面に微細な機械構造体を形成する、いわゆる表面マクイロマシニング法などの方法により製作されるものであって、シリコン材料やガラス材料などから形成された振動基板からなる振動体11を備えている。
そして、この振動体11には、これを駆動する第1駆動電極12、および第2駆動電極13、振動体11の振動状態を監視して発振回路部2にフィードバックする第1モニタ電極14、および第2モニタ電極15、および振動体11のコリオリ力による振動変位を静電容量の変化として検出する第1検出手段16、および第2検出手段17が形成されている。なお、第1検出手段16、および第2検出手段17は、それぞれ一対の検出電極を対向配置することにより形成されている。
また、発振回路部2は、振動子1を共振素子とした閉ループの自励発振回路として作用するものであり、第1CV変換回路21、および第2CV変換回路22、第1差動増幅回路23、第1フィルタ回路24、位相調整回路25、AGC回路26、および反転回路27を備えている。
さらに、信号処理回路部3は、第3CV変換回路31、第4CV変換回路32、第2差動増幅回路33、第2フィルタ回路34、第1移相回路35、第2移相回路36、同期検波回路37、平滑回路38、および増幅回路39を備えている。
上記構成を備えた振動ジャイロについて、まず全体的な動作について説明し、次に第1CV変換回路21、第2CV変換回路22、第3CV変換回路31、および第4CV変換回路32の作用についてさらに詳しく説明する。
振動子1の第1駆動電極12、および第2駆動電極13に対して発振回路部2から駆動モード周波数foをもつ互いに逆相の駆動信号がそれぞれ与えられることにより、振動子1は所定の駆動振動方向に沿って往復振動を行う。このとき、振動子1の駆動振動方向の振動量に応じた第1モニタ電極14、および第2モニタ電極15の容量変化は、第1CV変換回路21、および第2CV変換回路22によりこれに対応した電圧値をもつ第1モニタ信号、および第2モニタ信号に変換される。
これらの第1モニタ信号、および第2モニタ信号は互いに逆相の信号になるように構成されているから、次段の第1差動増幅回路23により一つのモニタ信号に増幅変換される。このモニタ信号は、第1フィルタ回路24によって不要成分が除去された後、位相調整回路25で自励発振に必要な位相調整が行われてAGC回路26に入力される。なお、第1フィルタ回路24の出力は第1移相回路35を介して同期検波回路37にも入力される。
AGC回路26は、振動子1の駆動振動方向の振動振幅が一定となるように増幅率が自動調整されて所定の振幅をもつ駆動信号(駆動モード周波数fo)が形成される。そして、第1駆動電極12には、この駆動信号が反転回路27を介して印加されるとともに、第2駆動電極13には駆動信号が直接に印加される。したがって、第1駆動電極12、および第2駆動電極13に加わる駆動信号は互いに逆相になっており、駆動効率が高められている。
このように、第1モニタ電極14、および第2モニタ電極15で得られる信号から駆動信号を生成して第1,第2駆動電極12,13に印加することにより、発振回路部2は閉ループの自励発振回路が構成され、振動子1の振動体11は、発振回路部2から出力される駆動信号(駆動モード周波数fo)と同じ周波数の自己共振周波数で振動を継続する。
この状態で振動子1の駆動振動方向に直交する方向を回転軸とした角速度等の慣性力が加わると、振動子1は駆動振動方向および回転軸の両方向に直交する方向に沿ってコリオリ力が発生し、振動子1の振動方向が変化する。そして、このコリオリ力による振動変位により、振動子1の第1検出手段16、および第2検出手段17を構成する各一対の検出電極間の静電容量が変化するので、この静電容量の変化が検出信号として出力される。
なお、この場合のコリオリ力による振動の周波数は、上記の駆動モード周波数foと同じになる。また、その際に第1モニタ電極14、および第2モニタ電極15に発生する容量変化と、コリオリ力による振動に伴って第1検出手段16、および第2検出手段17に発生する容量変化との間には、90°の位相差が生じている。
また、振動子1で検出された静電容量の変化は信号処理回路部3に入力されるので、信号処理回路部3の第3CV変換回路31、および第4CV変換回路32は、第1検出手段16、および第2検出手段17で検出される静電容量の変化をその大きさに対応した電圧信号に変換する。この両検出信号は互いに逆相になるように構成されていることから、第2差動増幅回路33によって一つの信号に差動増幅され、続いて、第2フィルタ回路34で不要成分が除去された後、第2移相回路36を介して同期検波回路37に入力される。
ここで、第1移相回路35と第2移相回路36とは、各回路35,36を通過した信号の相互間で90°の位相差が生じるように予め設定されているため、第1移相回路35を通過したモニタ信号と、第2移相回路36を通過した検出信号とは同相(あるいは逆相)になる。そして、同期検波回路37は、第1移相回路35から出力されるモニタ信号を基準位相として、第2移相回路36から出力される検出信号を同期検波するため、同期検波回路37からはコリオリ力に基づく検出信号が取り出される。
そして、同期検波回路37から取り出されるコリオリ力に基づく検出信号は半波整流された状態であることから、平滑回路38に入力されて慣性力の大きさに応じた直流電圧に平滑化され、さらに、この信号は増幅回路39で増幅されて慣性力検出信号として出力される。
次に、この実施例の振動ジャイロにおける上記の第1,第2,第3,第4CV変換回路21,22,31,32の作用についてさらに詳しく説明する。なお、以下では、第1,第2,第3,第4CV変換回路21,22,31,32を単にCV変換回路と総称し、符号40で示す。
上述のCV変換回路40は、電流検出型のものであり、図2に示すように、演算増幅器41の負帰還部にキャパシタ42と抵抗43とを並列に接続することにより構成されている。
そして、この構成のCV変換回路40は、図3に示すように、一種のノイズフィルタとして機能し、キャパシタ42の容量値Cfと抵抗43の抵抗値Rfとで決まるカットオフ周波数fc(=1/(2π・Cf・Rf))以上では、周波数が高くなるほどノイズ透過率が6dB/Octで低下する特性を有している。
すなわち、カットオフ周波数fc以上では、カットオフ周波数fcから離れるほどCV変換電圧ノイズを低減させる。
なお、CV変換回路40のCV変換ノイズの透過率Gは、下記の数式1で与えられる。
Figure 2006071498
また、このCV変換回路40は、図4に示すように、静電容量変化を電圧変化に変換する際の感度(以下、CV変換感度という)が周波数に依存する特性を備えている。このCV変換感度はコリオリ力による振動を検出する感度に対応している。そして、カットオフ周波数fc以下では、周波数が小さくなるのに伴ってCV変換感度が次第に小さくなる傾向を示す一方、カットオフ周波数fc以上ではCV変換感度は一定値になる。
なお、CV変換回路40のCV変換感度(dVout/dCs)は、下記の数式2で与えられる。
Figure 2006071498
なお、数式2において、Csは振動子1の容量、Vrefはバイアス電圧、VoutはCV変換回路40の出力、Rfは負帰還の抵抗値、Cfは負帰還の容量値である。
そして、数式2において、1/(2π・Cf・Rf)<<foの場合には、下記数式3のようにCV変換感度は一定になる。
Figure 2006071498
図3,図4および数式1、数式2、および数式3から分かるように、駆動モード周波数foは、振動子1の構成などの要因によって自ずと決定されることが多いことを考慮すれば、CV変換回路40のカットオフ周波数fcを駆動モード周波数foに対して十分に低く設定することにより、駆動モード周波数foでのCV変換感度を一定に保ったまま、CV変換電圧ノイズの駆動モード周波数fo成分を大幅に低減することができる。その結果、慣性力の検出感度や応答性に影響を及ぼすことなく、慣性力検出信号に含まれるノイズ成分を低減することが可能になる。
具体的に、CV変換回路40のカットオフ周波数fcと、駆動モード周波数foとの比(fo/fc)を変化させた場合に信号処理回路部3で得られる慣性力検出信号に含まれるノイズ成分の関係を調べた結果を図5に示す。
なお、ここでは、駆動モード周波数fo=15kHz、負帰還用のキャパシタ42の容量値Cf=6pFに設定し、負帰還用の抵抗43の抵抗値Rfを10MΩ〜96MΩまで変化させることにより、カットオフ周波数fcの値を変えるようにした。なお、慣性力検出感度はいずれの条件でも一定となるように設定している。
図5に示したように、慣性力検出信号に含まれるノイズ成分を十分に低減するためには、(fo/fc)≧20となるように設定すればよいことが分かる。
なお、今回は、図5の結果を得る際に設定した条件とは少し異なるが、CV変換回路40(21,22,31,32)の容量値Cf=10pF、抵抗値Rf=100MΩに設定した。このときのカットオフ周波数fc=160Hzとなっている。また、駆動モード周波数fo=15kHzに設定されており、(fo/fc)≒100で、(fo/fc)≧20の条件を満たしている。そして、このとき、駆動モード周波数foでのCV変換感度を一定に保ったままCV変換電圧ノイズの駆動モード周波数fo成分は約40dB程度低減される。
また、平滑回路38〜増幅回路39の帯域幅B=50Hzとすると、同期検波以前の信号のうち、fo±B=15kHz±50Hzの信号成分が信号処理回路部3の最終段から慣性力検出信号として出力されるので、慣性力検出信号に含まれるノイズ成分を低減することが可能になり、慣性力検出に際して高い分解能を得ることが可能になる。
ところで、上述のように(fo/fc)の値は下限が20であることを示したが、(fo/fc)の上限は、負帰還の抵抗値Rfにより自ずと決定される。すなわち、演算増幅器41の反転入力端子(−)の入力インピーダンスは理想的には無限大であるので、いま仮に抵抗値Rfが無限大になっているとすると、反転入力端子(−)の電位が不定になってしまい、回路が正常に動作しなくなる。このため、演算増幅器41の出力側から反転入力端子(−)に何らかの電荷を供給するためには、負帰還の抵抗値Rfを有限の大きさに設定する必要がある。
そして、CV変換回路40のカットオフ周波数fcは、前述のように負帰還の容量値Cfと抵抗値Rfとに依存するので、CV変換回路40が正常に動作するために必要な抵抗値Rfの最大値によって(fo/fc)の上限値も定まることになる。そして、この(fo/fc)の上限値は、今までの経験や実験結果などを考慮すれば、(fo/fc)≦200に設定することが望ましい。
なお、上記の実施例では、駆動効率を高めるために2つの駆動電極(第1駆動電極12、第2駆動電極13)を設け、また、これに応じて互いに位相が反転したモニタ信号や検出信号が得られるように2つのモニタ電極(第1モニタ電極14、第2モニタ電極15)、2つの検出手段(第1検出手段16、第2検出手段17)を設けるようにしているが、これらは必ずしも2つある必要はなく、単一とすることも可能である。
また、上記の実施例においては、発振回路部2が、振動子1を共振素子として利用する自励発振回路として構成されているが、本発明において、発振回路部2はこれに限定されるものではなく、例えば外部に発振器を設け、この発振出力を振動子1に印加する他励発振回路を適用することもできる。
なお、本発明はさらにその他の点においても上記実施例に限定されるものではなく、振動子を励振駆動する発振回路部や、振動子の検出出力に基づいて慣性力の大きさに応じた信号を生成する信号処理回路部、振動子の静電容量の変化を電圧変化に変換して出力するCV変換回路などの具体的な構成などに関し、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
上述のように、本発明によれば、慣性力検出信号に含まれるノイズ成分を可及的に低減し、慣性力検出に際して高い分解能を得ることが可能になる。
したがって、本発明は、手振れ防止カメラやカーナビゲーション装置などに使用される振動ジャイロの分野に広く適用することが可能である。
本発明の実施例にかかる振動ジャイロの全体構成を示すブロック図である。 本発明の振動ジャイロに使用されるCV変換回路の回路構成図である。 図2のCV変換回路におけるCV変換電圧ノイズの周波数依存性を示す特性図である。 図2のCV変換回路におけるCV変換感度の周波数依存性を示す特性図である。 カットオフ周波数fcと駆動モード周波数foとの比(fo/fc)と慣性力検出信号に含まれるノイズ成分との関係を調べた実験結果を示す特性図である。
符号の説明
1 振動子
2 発振回路部
3 信号処理回路部
11 振動体
12 第1駆動電極
13 第2駆動電極
14 第1モニタ電極
15 第2モニタ電極
16 第1検出手段
17 第2検出手段
21 第1CV変換回路
22 第2CV変換回路
23 第1差動増幅回路
24 第1フィルタ回路
25 位相調整回路
26 AGC回路
27 反転回路
31 第3CV変換回路
32 第4CV変換回路
33 第2差動増幅回路
34 第2フィルタ回路
35 第1移相回路
36 第2移相回路
37 同期検波回路
38 平滑回路
39 増幅回路
40 CV変換回路
41 演算増幅器
42 キャパシタ
43 抵抗
Cf 負帰還の容量値
Rf 負帰還の抵抗値
fc カットオフ周波数
fo 駆動モード周波数

Claims (2)

  1. 慣性力を静電容量の変化として検出する静電容量検出型の振動子と、
    前記振動子を励振駆動する発振回路部と、
    前記振動子の検出出力に基づいて慣性力の大きさに応じた信号を生成する信号処理回路部とを備えた振動ジャイロにおいて、
    前記信号処理回路は、前記振動子の静電容量の変化を電圧変化に変換して出力するCV変換回路を備え、
    前記CV変換回路は、演算増幅器の負帰還部にキャパシタと抵抗とが並列に接続された電流検出型のものであって、前記負帰還部のキャパシタの容量値と抵抗の抵抗値とで決まるカットオフ周波数をfc、前記振動子が前記発振回路部により励振駆動される駆動モード周波数をfoとしたとき、(fo/fc)≧20となるように設定されていること
    を特徴とする振動ジャイロ。
  2. (fo/fc)≦200となるように設定されていることを特徴とする請求項1記載の振動ジャイロ。
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