JP2006070214A - 難燃性ポリエステル系人工毛髪 - Google Patents

難燃性ポリエステル系人工毛髪 Download PDF

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Toshiyuki Masuda
増田  敏幸
Hiroyuki Shinbayashi
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Abstract

【課題】
通常のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度など繊維物性を維持し、セット性、触感、透明性に優れ、極めて高い難燃性を有するポリエステル系人工毛髪を提供する。
【解決手段】
ポリエステルに臭素化エポキシ系難燃剤および臭素化リン酸エステル系難燃剤を含んでなる組成物、さらには、アンチモン化合物を含んでなる組成物を溶融紡糸することにより、通常のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度など繊維物性を維持し、セット性、触感、透明性に優れ、極めて高い難燃性を有する難燃性ポリエステル系人工毛髪が得られる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリエステルに臭素化エポキシ系難燃剤および臭素化リン酸エステル系難燃剤を含んでなる組成物、さらには、アンチモン化合物を含んでなる組成物から形成された難燃性ポリエステル系人工毛髪に関する。さらに詳しくは、耐熱性、強伸度などの繊維物性を維持し、セット性、触感、透明性に優れ、極めて高い難燃性を有する難燃性ポリエステル系人工毛髪に関するものである。
ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステルからなる繊維は、高融点、高弾性率で優れた耐熱性、耐薬品性を有していることから、カーテン、敷物、衣料、毛布、シーツ地、テーブルクロス、椅子張り地、壁装材、人工毛髪、自動車内装資材、屋外用補強材、安全ネットなどに広く使用されている。
一方、かつら、ヘアーウィッグ、付け毛、ヘアーバンド、ドールヘアーなどの頭髪製品においては、従来、人毛や人工毛髪(モダクリル繊維、ポリ塩化ビニル繊維)などが使用されてきている。しかし、人毛の提供は困難になってきており、人工毛髪の重要性が高まってきている。人工毛髪素材として、難燃性の特長を生かしてモダクリルが多く使用されてきたが、耐熱温度の点では不十分であった。近年になり、耐熱性に優れるポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルを主成分とする繊維を用いた人工毛髪繊維が提案されるようになってきた。しかしながら、人工毛髪素材として使用するにあたっては、安全性の観点から難燃性付与が必要となってきている。従来のポリエステル繊維は、易燃性であるため、ポリエステル繊維の難燃性を向上させようとする試みは種々なされており、たとえばリン原子を含有する難燃性モノマーを共重合させたポリエステルからの繊維にする方法や、ポリエステル繊維に難燃剤を含有させる方法などが知られている。
前者の難燃性モノマーを共重合させる方法としては、たとえば、リン原子が環員子となっていて熱安定性の良好なリン化合物を共重合させる方法(特許文献1)、また、カルボキシホスフィン酸を共重合させる方法(特許文献2)、ポリアリレートを含むポリエステルにリン化合物を配合または共重合させる方法(特許文献3)などが提案されている。前記難燃化技術を人工毛髪に適用したものとしては、たとえばリン化合物を共重合させたポリエステル繊維が提案されている(特許文献4)。しかしながら、人工毛髪には高い耐燃性が要求されるため、これらの共重合ポリエステル繊維を人工毛髪に使用するには、その共重合量を多くしなければならず、その結果、ポリエステルの耐熱性が大幅に低下し、溶融紡糸が困難になったり、火炎が接近した場合、着火・燃焼はしないが、溶融・ドリップするという別の問題が発生する。
一方、後者の難燃剤を含有させる方法としては、ポリエステル繊維に、微粒子のハロゲン化シクロアルカン化合物を含有させる方法(特許文献5)、臭素原子含有アルキルシクロヘキサンを含有させる方法(特許文献6)などが提案されている。前記ポリエステル繊維に難燃剤を含有させる方法では、充分な耐燃性を得るために、含有処理温度を150℃以上の高温にすることが必要であったり、含有処理時間を長時間にする必要があったり、あるいは大量の難燃剤を使用しなければならないといった問題があり、繊維物性の低下や生産性の低下、製造コストがアップするなどの問題が発生する。
このように、従来のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度などの繊維物性を維持し、セット性、難燃性に優れた人工毛髪は、いまだ得られていないのが実状である。
特公昭55−41610号公報 特公昭53−13479号公報 特開平11−124732号公報 特開平3−27105号公報 特公平3−57990号公報 特公平1−24913号公報
本発明は、前述のごとき従来の問題を解決し、通常のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度など繊維物性を維持し、セット性、触感、透明性に優れ、極めて高い難燃性を有するポリエステル系人工毛髪を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ポリエステルに臭素化エポキシ系難燃剤および臭素化リン酸エステル系難燃剤を含んでなる組成物、さらには、アンチモン化合物を含んでなる組成物を溶融紡糸することにより、通常のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度など繊維物性を維持し、セット性、触感、透明性に優れ、極めて高い難燃性を有する難燃性ポリエステル系人工毛髪が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ポリアルキレンテレフタレートおよびポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの1種以上からなるポリエステル(A)100重量部に対し、臭素化エポキシ系難燃剤(B)3〜25重量部、臭素化リン酸エステル系難燃剤(C)2〜15重量部を溶融混練して得られる組成物から形成されたポリエステル系人工毛髪であり、好ましくは、(A)成分が、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種のポリマーである上記ポリエステル系人工毛髪、(B)成分が、下記一般式(1)で表される構造を有する臭素化エポキシ系難燃剤である上記性ポリエステル系人工毛髪、
Figure 2006070214
(式中、nは1〜150を示す)
(C)成分が、トリス(ブロモエチル)ホスフェート、トリス(ブロモプロピル)ホスフェート、トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(ブロモブチル)ホスフェート、トリス(ジブロモブチル)ホスフェート、トリス(ブロモネオペンチル)ホスフェート、トリス(ジブロモネオペンチル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、下記一般式(2)、(3)で表されるリン酸エステルよりなる群から選ばれた少なくとも1種である上記ポリエステル系人工毛髪であり、
Figure 2006070214
(式中、R1は水素または炭素数1〜10の直鎖または分岐を含むアルキル基、mは0〜5を示す)
Figure 2006070214
(式中、R2は水素または炭素数1〜10の直鎖または分岐を含むアルキル基、Aはo−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、ビフェニル基、4,4’−(2,2−イソプロピリデン)ジフェニル基、pは1〜9を示す、rは0〜5を示す)
さらには、(D)成分として三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種のアンチモン化合物を含む組成物からなる上記ポリエステル系人工毛髪に関する。
また、上記難燃性ポリエステル系人工毛髪は非捲縮生糸状であり、原着されており、単繊維繊度が10〜100dtexであることが好ましい。
本発明によると、通常のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度など繊維物性を維持し、セット性、触感、透明性に優れ、極めて高い難燃性を有するポリエステル系人工毛髪が得られる。
本発明では、難燃剤として(B)および(C)成分を併用することにより、効果が得られる。(B)成分を単独で使用した場合、難燃性を得ることはでき、自己消火性を有するが、分解温度が(A)成分より高いため、短時間ではあるが燃焼する傾向がある。また、溶融粘度の低下は小さく、紡糸加工性には問題ないが、配合比率や混練条件により若干の不透明性を示すことがある。(C)成分を単独で使用すると、分解温度が(A)成分よりも低いため、接炎したとき、(A)成分より早く分解し、臭素を発生して優れた難燃性を示すが、紡糸工程で加熱溶融した場合、(A)成分の可塑剤として働くため、組成物の溶融粘度が低くなり、紡糸加工性が低下する。また、(A)成分と混合した場合、(A)成分との親和性がよいことから、(B)成分を混合した場合に比べ、透明性が良好となり、優れた発色性を示す。
以上のことから、(B)および(C)成分を併用することで、本発明の効果が発現される。
本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪は、ポリアルキレンテレフタレートおよびポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの1種以上からなるポリエステル(A)、臭素化エポキシ系難燃剤(B)および臭素化リン酸エステル系難燃剤(C)を含んでなる組成物、さらに、アンチモン化合物(D)を含んでなる組成物を溶融紡糸した繊維である。
本発明に用いられるポリエステル(A)に含まれるポリアルキレンテレフタレートまたはポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルとしては、たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレートおよび/またはこれらのポリアルキレンテレフタレートを主体とし、少量の共重合成分を含有する共重合ポリエステルがあげられる。
前記主成分とするとは、80モル%以上含有することをいう。
前記共重合成分としては、たとえばイソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スぺリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの多価カルボン酸、それらの誘導体、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルなどのスルホン酸塩を含むジカルボン酸、その誘導体、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトンなどがあげられる。
前記共重合ポリエステルは、通常、主体となるテレフタル酸および/またはその誘導体(たとえばテレフタル酸メチル)と、アルキレングリコールとの重合体に少量の共重合成分を含有させて反応させることにより製造するのが、安定性、操作の簡便性の点から好ましいが、主体となるテレフタル酸および/またはその誘導体(たとえばテレフタル酸メチル)と、アルキレングリコールとの混合物に、さらに少量の共重合成分であるモノマーまたはオリゴマー成分を含有させたものを重合させることにより製造してもよい。
前記共重合ポリエステルは、主体となるポリアルキレンテレフタレートの主鎖および/または側鎖に前記共重合成分が重縮合していればよく、共重合の仕方などには特別な限定はない。
前記ポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの具体例としては、たとえばポリエチレンテレフタレートを主体とし、ビスフェノールAのエチレングリコールエーテルを共重合したポリエステル、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルを共重合したポリエステルなどがあげられる。
前記ポリアルキレンテレフタレートおよび共重合ポリエステルは、1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、共重合ポリエステル(ポリエチレンテレフタレートを主体とし、ビスフェノールAのエチレングリコールエーテルを共重合したポリエステル、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルを共重合したポリエステルなど)が好ましく、これらは2種以上混合したものも好ましい。
(A)成分の固有粘度としては、0.5〜1.4、さらには0.6〜1.2であるのが好ましい。固有粘度が0.5未満の場合、得られる繊維の機械的強度が低下する傾向が生じ、1.4をこえると、分子量の増大に伴い溶融粘度が高くなり、溶融紡糸が困難になったり、繊度が不均一になる傾向が生じる。
本発明に用いられる臭素化エポキシ系難燃剤(B)は、一般式(1)で表される構造を有するものであれば、とくに限定はなく、使用することができる。
(B)成分の具体例としては、
Figure 2006070214
Figure 2006070214
Figure 2006070214
などの両末端未封止型臭素化エポキシ系難燃剤、
Figure 2006070214
Figure 2006070214
などの片末端封止型臭素化エポキシ系難燃剤、
Figure 2006070214
Figure 2006070214
などの両末端封止型臭素化エポキシ系難燃剤などが挙げられる。これらは1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記(B)成分の使用量は、(A)成分100重量部に対し、3〜25重量部が好ましく、4〜24重量部がより好ましく、5〜23重量部がさらに好ましい。使用量が3重量部より少ないと難燃効果が不十分となり、25重量部より多いと機械的特性、耐熱性、耐ドリップ性が損なわれる。
本発明に用いられる臭素化リン酸エステル系難燃剤(C)は、一般に用いられているものであれば、とくに限定はなく、使用することができる。
(C)成分の具体例としては、トリス(ブロモエチル)ホスフェート、トリス(ブロモプロピル)ホスフェート、トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(ブロモブチル)ホスフェート、トリス(ジブロモブチル)ホスフェート、トリス(ブロモネオペンチル)ホスフェート、トリス(ジブロモネオペンチル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、
Figure 2006070214
などの一般式(2)で表される臭素化リン酸エステル系難燃剤、
Figure 2006070214
Figure 2006070214
Figure 2006070214
などの一般式(3)で表される臭素化リン酸エステル系難燃剤などが挙げられる。これらは1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記(C)成分の使用量は、(A)成分100重量部に対し、2〜15重量部が好ましく、3〜14重量部がより好ましく、4〜13重量部がさらに好ましい。使用量が2重量部より少ないと難燃効果が不十分となり、15重量部より多いと機械的特性、耐熱性、耐ドリップ性が損なわれる。
(B)および(C)成分を配合することにより難燃性は発現されるが、シリコン系の繊維処理剤を使用した場合や可燃性繊維と混合使用した場合、十分な難燃性を得るには至らない場合が発生するが、(D)成分を配合することにより難燃効果が著しく向上し、十分な難燃性を得ることができる。
本発明に用いられるアンチモン化合物(D)は、一般に用いられているものであれば、とくに限定はなく、使用することができる。
(D)成分の具体例としては、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウムなどが挙げられる。これらは1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、必要に応じてエポキシ化合物、シラン化合物、イソシアネート化合物、チタネート化合物等で表面処理されてもよい。
上記(D)成分の使用量は、(A)成分100重量部に対し、0.5〜10重量部が好ましく、0.6〜9重量部がより好ましく、0.7〜8重量部がさらに好ましい。使用量が0.5重量部より少ないと、難燃効果の向上が小さく、10重量部より多いと、加工安定性、外観性、透明性が損なわれる。
本発明に使用するポリエステル系組成物は、たとえば、(A)、(B)および(C)成分、さらには、(D)成分をドライブレンドした後、種々の一般的な混練機を用いて溶融混練することにより製造することができる。
前記混練機の例としては、たとえば一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどがあげられる。これらのうちでは、二軸押出機が、混練度の調整、操作の簡便性の点から好ましい。
本発明のポリエステル系人工毛髪は、前記ポリエステル系組成物を通常の溶融紡糸法で溶融紡糸することにより製造することができる。
すなわち、たとえば、押出機、ギアポンプ、口金などの温度を270〜310℃とし、溶融紡糸し、紡出糸条を加熱筒に通過させたのち、ガラス転移点以下に冷却し、50〜5000m/分の速度で引き取ることにより紡出糸条が得られる。また、紡出糸条を冷却用の水を入れた水槽で冷却し、繊度のコントロールを行なうことも可能である。加熱筒の温度や長さ、冷却風の温度や吹付量、冷却水槽の温度、冷却時間、引取速度は、吐出量および口金の孔数によって適宜調整することができる。
得られた紡出糸条は熱延伸されるが、延伸は紡出糸条を一旦巻き取ってから延伸する2工程法および巻き取ることなく連続して延伸する直接紡糸延伸法のいずれの方法によってもよい。熱延伸は、1段延伸法または2段以上の多段延伸法で行なわれる。熱延伸における加熱手段としては、加熱ローラ、ヒートプレート、スチームジェット装置、温水槽などを使用することができ、これらを適宜併用することもできる。
本発明のポリエステル系人工毛髪には、必要に応じて、耐熱剤、光安定剤、蛍光剤、酸化防止剤、静電防止剤、顔料、可塑剤、潤滑剤などの各種添加剤を含有させることができる。顔料を含有させることにより、原着繊維を得ることができる。
このようにして得られる本発明のポリエステル系人工毛髪は、非捲縮生糸状の繊維であり、その繊度は、通常、10〜100dtex、さらには20〜90dtexであるのが、人工毛髪に適している。また、人工毛髪としては、160〜200℃で美容熱器具(ヘアーアイロン)が使用できる耐熱性を有しており、着火しにくく、自己消火性を有していることが好ましい。
本発明のポリエステル系人工毛髪が原着されている場合、そのまま使用することができるが、原着されていない場合、通常のポリエステル系繊維と同様の条件で染色することができる。
染色に使用される顔料、染料、助剤などとしては、耐候性および難燃性のよいものが好ましい。
本発明のポリエステル系人工毛髪は、美容熱器具(ヘアーアイロン)を用いたカールセット性に優れ、カールの保持性にも優れる。また、繊維表面の凹凸により、適度に艶消されており、人工毛髪として使用することができる。さらに、繊維表面処理剤、柔軟剤などの油剤を使用し、触感、風合を付与して、より人毛に近づけることができる。
また、本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪は、モダアクリル繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ナイロン繊維など、他の人工毛髪素材と併用してもよいし、人毛と併用してもよい。
つぎに、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、特性値の測定法は、以下のとおりである。
(強度および伸度)
インテスコ社製、INTESCO Model201型を用いて、フィラメントの引張強伸度を測定する。長さ40mmのフィラメント1本をとり、フィラメントの両端10mmを、接着剤を糊付けした両面テープを貼り付けた台紙(薄紙)で挟み、一晩風乾させて、長さ20mmの試料を作製する。試験機に試料を装着し、温度24℃、湿度80%以下、荷重1/30gF×繊度(デニール)、引張速度20mm/分で試験を行ない、強伸度を測定する。同じ条件で試験を10回繰り返し、平均値をフィラメントの強伸度とする。
(透明性)
長さ30cm、総繊度10万dtexのトウフィラメントを太陽光のもと、目視により、標準フィラメント(ポリエチレンテレフタレートからなる総繊度10万dtexのトウフィラメント)と比較評価する。
○:標準フィラメントと同レベルである
△:標準フィラメントに比べ、わずかに濁りがある
×:標準フィラメントに比べ、明らかに濁りがある
(触感)
長さ30cm、総繊度10万dtexのトウフィラメントを手で触り、フィラメント表面のベタツキ感を評価する。
○:ベタツキ感なし
△:若干ベタツキ感がある
×:ベタツキ感がある
(難燃性)
繊度約50dtexのフィラメントを150mmの長さに切り、0.7gを束ね、一方の端をクランプで挟んでスタンドに固定して垂直に垂らす。有効長120mmの固定したフィラメントに20mmの炎を3秒間接炎させ、燃焼させて評価する。
−燃焼性−
◎:残炎時間が0秒(着火しない)
○:残炎時間が3秒未満
△:残炎時間が3〜10秒
×:残炎時間が10秒以上
−耐ドリップ性−
◎:ドリップ数が0
○:ドリップ数が5以下
△:ドリップ数が6〜10秒
×:ドリップ数が11以上
(限界酸素指数)
16cm/0.25gのフィラメントを秤量し、端を軽く両面テープでまとめ、懸撚器で挟み撚りをかける。十分に撚りがかかったら、試料の真中を二つに折り2本を撚り合わせる。端をセロテープ(登録商標)で止め、全長7cmになるようにする。105℃で60分間前乾燥を行ない、さらにデシケーターで30分以上乾燥する。乾燥したサンプルを所定の酸素濃度に調整し、40秒後8〜12mmに絞った点火器で上部より着火し、着火後点火器を離す。5cm以上燃えるか、3分以上燃え続けた酸素濃度を調べ、同じ条件で試験を3回繰り返し、限界酸素指数とする。
(アイロンセット性)
ヘアーアイロンによるカールセットのしやすさ、カール形状の保持性の指標である。フィラメントを180℃に加熱したヘアーアイロンにかるく挟み、3回扱き予熱する。このときのフィラメント間の融着、櫛通り、フィラメントの縮れ、糸切れを目視評価する。つぎに、予熱したフィラメントをヘアーアイロンに捲きつけ、10秒間保持し、アイロンを引き抜く。このときの抜きやすさ(ロッドアウト性)、抜いたときのカールの保持性を目視評価する。
(製造例1)
攪拌機、温度計、滴下装置、及び塩酸回収装置およびコンデンサーを有する2Lの反応装置に、2,4,6−トリブロモフェノール1323.0g、オキシ塩化リン307.0g、塩化マグネシウム2.8g、キシレン16.0gを充填し、撹枠しながら3時間かけて200℃まで加熱し、その後1時間反応させた。この時発生する塩酸は、塩酸回収装置に回収した。その後、温度200℃、圧力350mmHgで6時間処理して、窒素雰囲気下、100℃まで冷却した後、常圧に戻した。得られた反応混合物にレゾルシン106.5g、塩化アルミニウム7.8gを追加充填し、3時間かけて160℃まで加熱し、1時間反応させた。この時発生する塩酸は、同様に塩酸回収装置に回収した。次いで、温度160℃、圧力350mmHgで4時間反応させた後、反応粗生成物696.9gを得た。上記反応粗生成物にキシレン206.0gを添加した後、2.5重量%塩酸水溶液275.0gを添加し、85℃にて1時間攪拌した。1時間静置した後、水相と製品を含む粗生成物とに分離した。次いで、得られた粗生成物に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.69gと炭酸ナトリウム4.6gとを添加し、85℃まで加熱し、1時間攪拌を行った。さらに、85℃の水275gを添加し、10分間攪拌した後、静置分離した。得られた粗生成物を水275.0gで洗浄した後、100mmHg、140℃で2時間かけて溶媒を除去し、50mmHg、140℃で4時間かけて水蒸気蒸留により低沸点物を除去することにより、外観が白色粉末の臭素化リン酸エステル1を得た。
(製造例2)
攪拌機、温度計、滴下装置、及び塩酸回収装置およびコンデンサーを有する2Lの反応装置に、2,6−ジメチルフェノール490.2g、オキシ塩化リン307.0g、塩化マグネシウム2.8g、キシレン16.0gを充填し、撹枠しながら3時間かけて160℃まで加熱し、その後1時間反応させた。この時発生する塩酸は、塩酸回収装置に回収した。その後、温度160℃、圧力350mmHgで4時間処理して、窒素雰囲気下、100℃まで冷却した後、常圧に戻した。得られた反応混合物にテトラブロモビスフェノールA526.6g、塩化アルミニウム7.8gを追加充填し、3時間かけて200℃まで加熱し、1時間反応させた。この時発生する塩酸は、同様に塩酸回収装置に回収した。次いで、温度200℃、圧力350mmHgで6時間反応させた後、反応粗生成物696.9gを得た。上記反応粗生成物にキシレン206.0gを添加した後、2.5重量%塩酸水溶液275.0gを添加し、85℃にて1時間攪拌した。1時間静置した後、水相と製品を含む粗生成物とに分離した。次いで、得られた粗生成物に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.69gと炭酸ナトリウム4.6gとを添加し、85℃まで加熱し、1時間攪拌を行った。さらに、85℃の水275gを添加し、10分間攪拌した後、静置分離した。得られた粗生成物を水275.0gで洗浄した後、100mmHg、140℃で2時間かけて溶媒を除去し、50mmHg、140℃で4時間かけて水蒸気蒸留により低沸点物を除去することにより、外観が白色粉末の臭素化リン酸エステル2を得た。
(実施例1〜10)
表1に示す比率の組成物を、水分量100ppm以下に乾燥し、着色用ポリエステルペレットPESM6100 BLACK(大日精化工業(株)製、カーボンブラック含有量30%、ポリエステルは(A)成分に含まれる)2部を添加してドライブレンドし、二軸押出機に供給し、280℃で溶融混練し、ペレット化したのちに、水分量100ppm以下に乾燥させた。ついで、溶融紡糸機を用いて280℃でノズル径0.5mmの丸断面ノズル孔を有する紡糸口金より溶融ポリマーを吐出し、口金下30mmの位置に設置した水温50℃の水浴中で冷却し、100m/分の速度で巻き取って未延伸糸を得た。得られた未延伸糸に対し、85℃に加熱したヒートロールを用いて4倍に延伸し、200℃に加熱したヒートロールを用いて熱処理を行い、30m/分の速度で巻き取り、単繊維繊度が50dtex前後のポリエステル系繊維(マルチフィラメント)を得た。
Figure 2006070214
*1:ポリエチレンテレフタレート、日本ユニペット(株)製
*2:臭素化エポキシ系難燃剤、阪本薬品工業(株)製
*3:臭素化エポキシ系難燃剤、東都化成(株)製
*4:トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、大八化学工業(株)製
*5:臭素化リン酸エステル1(製造例1)
Figure 2006070214
*6:臭素化リン酸エステル2(製造例2)
Figure 2006070214
*7:三酸化アンチモン、平均粒子径3μm、日本精鉱(株)製
*8:アンチモン酸ナトリウム、平均粒子径3.5〜5.5μm、日産化学(株)製
得られた繊維を用いて、強伸度、透明性、触感、難燃性、アイロンセット性を評価した結果を表2、3に示す。
Figure 2006070214
Figure 2006070214
(比較例1〜3)
表4に示す比率の組成物を、水分量100ppm以下に乾燥し、実施例と同様にして、単繊維繊度が50dtex前後のポリエステル系繊維(マルチフィラメント)を得た。
Figure 2006070214
得られた繊維を用いて、強伸度、透明性、触感、難燃性、アイロンセット性を評価した結果を表3に示す。
表2、3に示したように、比較例に対し、実施例では、臭素化エポキシ系難燃剤および臭素化リン酸エステル系難燃剤、さらには、アンチモン化合物を使用することで、耐熱性、強伸度などの繊維物性、透明性、触感、アイロンセット性などの低下がなく、極めて高い難燃性を示すことが確認された。従って今回の臭素化エポキシ系難燃剤および臭素化リン酸エステル系難燃剤、さらには、アンチモン化合物を使用した人工毛髪用繊維は、従来の人工毛髪用繊維に比べ、ポリエステルの機械的特性、熱的特性を維持したまま、透明性、触感、セット性、難燃性が改善された人工毛髪として有効に用いることが可能となることを確認した。

Claims (7)

  1. ポリアルキレンテレフタレートおよびポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの1種以上からなるポリエステル(A)100重量部に対し、臭素化エポキシ系難燃剤(B)3〜25重量部および臭素化リン酸エステル系難燃剤(C)2〜15重量部を溶融混練して得られる組成物から形成された難燃性ポリエステル系人工毛髪。
  2. (A)成分が、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種のポリマーである請求項1記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪。
  3. (B)成分が、下記一般式(1)で表される構造を有する臭素化エポキシ系難燃剤である請求項1または2記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪。
    Figure 2006070214
    (式中、nは1〜150を示す)
  4. (C)成分が、トリス(ブロモエチル)ホスフェート、トリス(ブロモプロピル)ホスフェート、トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(ブロモブチル)ホスフェート、トリス(ジブロモブチル)ホスフェート、トリス(ブロモネオペンチル)ホスフェート、トリス(ジブロモネオペンチル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、下記一般式(2)、(3)で表されるリン酸エステルよりなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪。
    Figure 2006070214
    (式中、R1は水素または炭素数1〜10の直鎖または分岐を含むアルキル基、mは0〜5を示す)
    Figure 2006070214
    (式中、R2は水素または炭素数1〜10の直鎖または分岐を含むアルキル基、Aはo−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、ビフェニル基、4,4’−(2,2−イソプロピリデン)ジフェニル基、pは1〜9を示す、rは0〜5を示す)
  5. (A)、(B)および(C)成分からなる組成物に、さらにアンチモン化合物(D)が混合された請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維。
  6. (D)成分が、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種のアンチモン化合物であり、(A)成分100重量部に対し、0.5〜10重量部配合してなる請求項5記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪。
  7. 単繊維繊度が10〜100dtexである請求項1〜6のいずれかに記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪。
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