JP2006068307A - 紙軸、紙製マドラー、紙製スプーンおよび紙製ナイフ - Google Patents

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Abstract

【課題】 紙製マドラー、紙製スプーンあるいは紙製ナイフ又は紙軸において、プラスチックの使用量をできる限り少なくすることにより、使用後の廃棄などにおいて自然環境に与える負荷をできる限り小さくすることを目的とする。
【解決手段】 紙製マドラー1は、軸部2の両端部が圧縮成形により偏平部3,4となされている。圧縮前の紙軸は、シート状の紙材を複数回巻回して接着することにより形成される。偏平部3.4形成後、表面に耐水性を備えるシロキサン結合を有するガラスを適用して固化する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、耐水性あるいは耐熱水性さらには硬度に優れ、コーヒー、紅茶など飲食品に用いられるマドラーやスプーンあるいはカステラや羊羹などの菓子を切るナイフに好適な紙軸並びに、この紙軸を用いたマドラー、スプーンおよびナイフに関するものである。
紙軸は、更紙などを巻回して形成され、通常は綿棒などの軸に用いられている。綿棒に用いられる紙軸は人が手で取り扱うため、高い耐水性や耐熱水性さらには硬度といったものを要求されることはない。
一方、コーヒー、紅茶などの流動性のある飲食品をかき混ぜるマドラーや、ヨーグルトなどの水分を多く含む食品などをすくい上げるスプーンに対しては、紙材を巻回してなる紙軸を用いたものは不向きである。
さらに、カステラなどを切るナイフでは、紙よりも高い硬度を要求されるのは明らかであり、一見硬度の低い紙軸を加工してもナイフとすることはできないように考えられる。
一般に、耐水性や耐熱水性、さらには硬度といったものを要求されるマドラー、スプーンあるいはナイフでは、金属やプラスチックが使われる。
しかし、使い捨てのマドラーやスプーンあるいはナイフといったものにプラスチックを大量に使用すると環境に対する負担が大きくなる。
従来は、上記の問題点を解決するために、マドラー(撹拌用スティック)やスプーンの材料としてプラスチックを紙に漉き込んだものを用いていた。または、紙軸の表面にプラスチックをコーティングしたり、含浸したりして、耐水性や耐熱水性を向上させ、それをマドラーやスプーンの材料として用いていた(特許文献1)。
特開2003−79505号公報
以上のように従来の紙軸においては、耐水性や耐熱水性を紙軸に付与するためにプラスチックを使用するという状況に変わりはない。そのため、環境負荷の低減という点ではまだ不十分であるという問題点がある。
本発明は上記の問題点を解消するためになされたものであり、耐水性や耐熱水性さらには硬度を紙軸に付与する際に石油由来のプラスチックの使用量をできる限り減らすことにより、石油の使用量を減らして環境負荷を低減することを目的とする。
第1の課題解決手段による紙軸は、シート状の紙材を複数回巻回して接着するとともに、表面に耐水性を備える酸化珪素を適用して固化しているものである。
第2の課題解決手段による紙軸は、第1の課題解決手段の構成に加えて、酸化珪素がシロキサン結合を有するガラスを含むものである。
第3の課題解決手段による紙軸は、第1または第2の課題解決手段の構成に加えて、紙材を接着する接着剤が、酸化珪素を構成するための材料と反応して耐水性が向上するものである。
第4の課題解決手段による紙軸は、第1から第3の課題解決手段のいずれかの構成に加えて、紙材の緊度が0.6以下であり、部分的に圧縮された圧縮部を備えるものである。
第5の課題解決手段による紙軸は、第1から第3の課題解決手段のいずれかの構成に加えて、紙材が巻回された中心部に中空部を備え、部分的に圧縮された圧縮部をさらに備えるものである。
第6の課題解決手段による紙軸は、第5の課題解決手段の構成に加えて、部分的に圧縮された圧縮部が両先端部に設けられている。
第7の課題解決手段による紙軸は、第1から第6の課題解決手段のいずれかの構成に加えて、紙材の接着される面に印刷が施されているものである。
第8の課題解決手段による紙製マドラーは、第4から第7の課題解決手段のいずれかの紙軸を用い、圧縮部が紙軸の先端部に設けられた偏平部であるものである。
第9の課題解決手段による紙製スプーンは、第4から第7の課題解決手段のいずれかの紙軸を用い、圧縮部が紙軸の先端部に設けられた偏平部であり、偏平部が椀型に成形されているものである。
第10の課題解決手段による紙製ナイフは、第4から第7の課題解決手段のいずれかの紙軸を用い、圧縮部を紙軸の側部に備え、圧縮部を刃先として使用するものである。
第1の課題解決手段の紙軸によれば、酸化珪素により紙軸に耐水性を持たせることができ、自然界に普遍的に存在する酸化珪素を用いプラスチックの使用量を減らすことにより石油資源の使用を減らして環境負荷を低減することができるという効果がある。
第2の課題解決手段の紙軸によれば、シロキサン結合を有するガラスを含むことにより耐熱水性と硬度とを向上させてマドラーやスプーンやナイフといった耐熱水性や強度が必要な用途への適性を向上させることができるという効果がある。
第3の課題解決手段の紙軸によれば、接着剤の耐水性が向上することにより、紙軸の耐水性をさらに向上させることができるという効果がある。
第4の課題解決手段の紙軸によれば、紙材の緊度を0.6以下とすることにより、圧縮による圧縮部の紙材の微少な破れを起こしにくくして、偏平部の形成による耐水性や耐熱水性の低下を抑制することができるという効果がある。さらに、紙材への酸化珪素の適用により紙軸の曲げ強度が向上するという効果がある。
第5の課題解決手段の紙軸によれば、巻回された紙材の中心部が中空であることにより、圧縮による圧縮部の紙材の微少な破れを起こしにくくして、偏平部の形成による耐水性や耐熱水性の低下を抑制することができるという効果がある。
第6の課題解決手段の紙軸によれば、両先端部が圧縮された圧縮部により中空部がなくなるかもしくは狭くなるため紙軸の中への虫などの異物進入を防ぐことができるという効果がある。
第7の課題解決手段の紙軸によれば、印刷面が直接コーヒーなどの内容物に接しないため衛生感が向上するという効果がある。
第8の課題解決手段の紙製マドラーによれば、使用後に紙としてのリサイクルが可能であり、また廃棄する場合にもプラスチックの含有量が少ないため紙材が腐敗すれば表面では酸化珪素が残るだけであるので環境負荷を小さくできるという効果がある。
第9の課題解決手段の紙製スプーンによれば、使用後に紙としてのリサイクルが可能であり、また廃棄する場合にもプラスチックの含有量が少ないため紙材が腐敗すれば表面では酸化珪素が残るだけであるので環境負荷を小さくできるという効果がある。
第10の課題解決手段の紙製ナイフによれば、使用後に紙としてのリサイクルが可能であり、また廃棄する場合にもプラスチックの含有量が少ないため紙材が腐敗すれば表面では酸化珪素が残るだけであるので環境負荷を小さくできるという効果がある。
(第1実施形態)
以下、この発明の第1実施形態による紙軸について図1乃至図4を用いて説明する。図1は第1実施形態による紙軸を用いた紙製マドラーの構成を示す斜視図であり、図2は側面図、図3は上面図、図4は底面図である。紙製マドラー1は、軸部2の下側端部に偏平部3を、上側端部に偏平部4を備える。
紙製マドラー1を製造するには、例えば、長方形に打ち抜きまたは切り抜きした紙材の片面の一長辺近傍に接着剤を塗布して、一長辺に対向する他長辺から、接着剤を塗布した片面を内側に巻き込むように巻回して、先ず紙軸を形成する。
接着剤としては、例えばポリビニルアルコールや耐水性を向上させた変性でんぷんなど人体に無害な材質を選択する。また、接着剤の材質は、後述するガラスコーティング液と反応して耐水性および耐熱性の少なくとも一方が向上するものが好ましい。例えば、ポリビニルアルコールはOH基がアルコキシシランと反応して耐水性を向上するので好ましい。
図3および図4に示すように、偏平部3,4は、円形の軸を一方向に圧縮して成型されている。そのため、用いる紙材の緊度は0.6以下であることが好ましい。緊度が低いほどプレスなどの圧縮加工の際に変形しやすく、紙材の微少な破れも生じにくいため微少な紙の破れによる耐水性や耐熱水性の低下を防止することができる。
次に、紙軸の下側端部および上側端部をプレスすることにより、紙軸の一部を圧縮して偏平部3,4が形成される。この偏平部が即ち圧縮部である。なお、プレスを行う際に、紙軸を例えば60℃〜100℃の温度に加熱することもできる。
次に、ガラスコーティングについて説明する。ガラスコーティングの前に、下地処理を施してもよく、また直接紙材にガラスコーティングを行ってもよい。下地処理としては、例えば接着剤としても使用するポリビニルアルコールや変性でんぷんあるいはカルボキシメチルセルロースやアルギン酸ナトリウムなどが用いられる。
ガラスコーティングの基本となるものは、シロキサン結合を形成する材料である。例えばアルコールなどに溶解したアルコキシシランがシロキサン結合、例えばポリシロキサンの材料となる。アルコキシシランとしてはメチルトリメトキシシランやテトラエトキシシランなどが例として挙げられる。アルコール類としてはエタノールやi−プロパノール、グリコール類としてはエチレングリコールなどがある。
例えば、テトラエトキシシランSi(OCをイソプロピルアルコールに溶解したものを紙製マドラー1の外周表面から含浸させて紙製の紙製マドラー1の中に含まれている水分と反応させてシリコン酸化物を形成しセルロースを補強する。
その際に、例えば特許第2538527号公報に記載されているように、ホウ素イオンの存在下でハロゲンイオンを触媒として作用させ、反応を促進することが好ましい。ホウ素イオンとしては、例えばトリエトキシボランなどが用いられる。また、フッ素イオン源には例えばフッ化水素アンモニウムやフッ化ナトリウムなどが好適に用いられる。
また、その他の触媒としては、酢酸や燐酸などの酸触媒、アンモニア等のアルカリ触媒、金属キレート化合物、ホウ酸等のホウ素化合物、アミン系シランカップリング剤などが挙げられる。
さらに、例えば特許第3020934号公報に記載されているように、オルガノポリシロキサンを含む主剤と、金属アルコキシドまたはアルコキシシランとホウ素イオンとハロゲンイオンを含む硬化触媒液とを含む混合液を用いてコーティング処理を施すことが好ましい。
(第2実施形態)
また、図5および図6に示すように、プレス成形の形状を変えることによって紙製スプーンを形成することができる。図5は紙製スプーンの構成を示す正面図であり、図6は紙製スプーンの側面図である。
図5および図6に示す紙製スプーン6は、軸部2の下側端部および上側端部に偏平部8,4を備える。
図5および図6に示すように、紙軸を形成した後、軸部2の下側端部つまり偏平部8の成形を外周部よりも中央部が窪んだ凹状にすることのより、スプーンの機能である液体や粉体を掬う機能を持たせることができる。そして、プレス加工とともに角を切断することにより正面から見た形状を楕円形と成し、スプーンが液体や粉体を掬うという機能を向上させている。
第2実施形態のおいても、第1実施形態と同様に耐水性や耐熱水性を持たせるためにガラスコーティングが施される。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態による紙製ナイフについて図7から図11を用いて説明する。第1および第2実施形態では長方形に打ち抜きまたは切り抜いた紙材を巻回して紙軸を形成したが、紙軸は用途に応じて種々の形状に切り抜いたものを用いることができる。図7は紙材の形状を示す平面図である。紙材5は、右下隅および左下隅を切り取られている。右下隅は右辺の中央下寄りから円弧を描いて切り線がは入り、円弧に続いて真っ直ぐ下へ切り取られた形状を呈している。一方、左下隅は左辺中央下寄りから右下に向けて直線で斜めに切り取られている。このような紙材5を右辺から巻き始め左辺に向かって巻いていくと、図8に示すように、下側では中央部に中空部8が形成される。また、このような中空部8は紙材を長方形に切っていても緩く巻くことによって形成可能である。
中空部8を形成することによってプレス成形後の広がりを大きく(偏平部を薄く)することができる。言い換えると、偏平部の紙軸の軸方向に対して垂直な断面をみたとき、偏平部の縦と横の長さの違いを大きくし易くなるということである。
また、左下隅を切り取ることにより、紙軸が巻き上がったときに紙軸の下側端部の紙材の量を減らすことができる。そのため紙製ナイフの先端を尖らせたり薄くしたりといったことが行いやすくなる。
図9から図11に示すように、紙製ナイフ9は、略中央部から下側端部にかけて偏平部10を有する。この偏平部10は断面三角形状となっていて三角形の頂点部分を刃先として用いてカステラや羊羹などの比較的柔らかいものを切断するのに適している。
次に、上側端部の圧縮部であるが、ここでは偏平にするのではなく、均等に円筒状に圧縮をかけられる。それにより、紙軸の上端部に外径の小さいところができる。これにより、上側端部の中心部に、もし中空部が形成されていてもそれを塞ぐことができる。
第3実施形態においてもガラスコーティングを行う点に関しては第1実施形態と同様に行われる。なお、第1乃至第3実施形態のいずれにおいても紙材に印刷を施すことができる。例えば、図7の斜線部分の領域11に印刷される。紙軸では印刷がはげ落ちる可能性が小さいため、プラスチックに比べて印刷適正が高い。さらに、印刷面の外側に紙材がくるように、つまりマドラーやスプーンの使用時に印刷面が直接対象物にふれるのを避けるのが好ましい。印刷されるインキの材料として人体に無害なものを用いている場合でも使用する者に非衛生的であるような感じを与える可能性を避けうるからである。そのために、紙材5が印刷面の上に一枚被るようにするか、または、最外層の紙材5の接着面に印刷を施すことが好ましい。印刷面の上に紙材5が被るようにする場合でも接着される面に印刷が施されることに変わりはない。
本発明の第1実施形態による紙製マドラーの一構成例を示す斜視図である。 図1の紙製マドラーの側面図である。 図1の紙製マドラーの上面図である。 図1の紙製マドラーの底面図である。 本発明の第2実施形態による紙製スプーンの一構成例を示す正面図である。 図5の紙製マドラーの側面図である。 本発明の第3実施例のよる紙製ナイフの材料である紙材の形状を示す平面図である。 図7の紙材を巻いて形成される紙軸の上面図である。 図8に示す紙軸から形成された紙製ナイフの正面図である。 図8の紙製ナイフの側面図である。 図8のI−I線断面図である。
符号の説明
1 紙製マドラー、2 軸部、3,4,7,10 偏平部、5 紙材、8 中空部。

Claims (10)

  1. シート状の紙材を複数回巻回して接着するとともに、表面に耐水性を備える酸化珪素を適用して固化していることを特徴とする紙軸。
  2. 前記酸化珪素がシロキサン結合を有するガラスを含むことを特徴とする、請求項1記載の紙軸。
  3. 前記紙材を接着する接着剤が、前記酸化珪素を構成するための材料と反応して耐水性が向上するものであることを特徴とする、請求項1または請求項2記載の紙軸。
  4. 前記紙材の緊度が0.6以下であり、部分的に圧縮された圧縮部を備えることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の紙軸。
  5. 前記紙材が巻回された中心部に中空部を備え、部分的に圧縮された圧縮部をさらに備える、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の紙軸。
  6. 前記部分的に圧縮された圧縮部が両先端部に設けられていることを特徴とする、請求項5記載の紙軸。
  7. 前記紙材の接着される面に印刷が施されていることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の紙軸。
  8. 請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の紙軸を用い、前記圧縮部が紙軸の先端部に設けられた偏平部であることを特徴とする紙製マドラー。
  9. 請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の紙軸を用い、前記圧縮部が紙軸の先端部に設けられた偏平部であり、前記偏平部が椀形に成形されていることを特徴とする紙製スプーン。
  10. 請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の紙軸を用い、前記圧縮部を紙軸の側部に備え、前記圧縮部を刃先として使用することを特徴とする紙製ナイフ。
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