JP2006067812A - 新規な醸造用酵母 - Google Patents

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Akira Teruya
亮 照屋
Kenichi Higa
賢一 比嘉
Shinji Higa
眞嗣 比嘉
Tadaaki Tokashiki
唯章 渡嘉敷
Masami Ikehata
真美 池端
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Abstract

【課題】泡盛および焼酎製造に用いられる醸造用酵母は、アルコール生産量が高く、得られる蒸留酒の香味が豊かであり、かつ高温や高クエン酸濃度等の環境下でも増殖可能な性質を持つことが望ましい。また、近年明らかになったバニリンの前駆体である4−ビニルグアヤコールをもろみ中に高濃度蓄積する特性を併せ持つ酵母であることがより望ましい。
【解決手段】フェルラ酸脱炭酸能を有し、優れたクエン酸耐性を有すると共に、同クエン酸濃度の高い環境下における高温(40℃)での増殖能が高い、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)に属する新規醸造用酵母7146及び7150(特許微生物寄託センター受領番号NITE AP-17、NITE AP-18)を提供する。焼酎および泡盛の製造にこれらの株を使用すれば、バニリンや4−VG濃度の高い個性的な製品を得ることが可能となる。

Description

本発明はサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)に属し、フェルラ酸脱炭酸能を有する新規醸造用酵母7146及び7150に関する。
泡盛は沖縄県特産の焼酎であり、黒麹を使用した全麹仕込を行い、単式蒸留によって得られることを特徴とする。また県内の泡盛は、常圧蒸留によって製造されることがほとんどであり、その長期貯蔵酒はクースと呼ばれ、芳醇で甘い芳香を有し、泡盛の高級酒として珍重されている。近年の研究でクースの甘い香りがバニリンに起因することが明らかにされている。バニリンは、原料のタイ米に含まれるフェルラ酸が黒麹菌のフェルラ酸エステラーゼによって遊離し、蒸留工程でその一部分が4-VGに脱炭酸されて泡盛中に留出し、熟成の工程を経て生成するものと考えられている。
現在、酒類醸造に使用されている酵母の中で、ワイン酵母やビール酵母の中にはフェルラ酸脱炭酸能を有する株が存在することが知られている。これらの酵母は焼酎及び泡盛もろみのような酸度の高い環境下での生育は困難である。また泡盛に用いられている101号酵母や他の焼酎用酵母では、フェルラ酸脱炭酸能が欠けている。
特許第3176842号 特許第3090613号
日本において穀類を原料とする酒類は、原料収穫後の秋から冬にかけてその生産が行われてきた。気温の低い時期に酒類の生産が行われるのは、原料収穫期に由来することの他に、もろみ中の酵母にとって好適な条件で発酵が行えることが大きい。糖質を原料とするもろみに酵母を接種すると、直ちに発酵するとともに炭酸ガスと発酵熱を生ずる。もろみ品温が適温に保たれている間は、酵母は順調に増殖するが、高すぎると酵母自身の活性が低下し、後のアルコール収得量や酒質に悪影響を与える。したがって、気温の低い冬期はもろみ品温の管理が行いやすく、酒類生産は冬期を中心に行われてきた。
しかし、現代の焼酎製造は年間を通して生産が行える体制になっており、輸入タイ米を原料とする泡盛は年間を通じて生産されている。従って泡盛および焼酎製造に用いられる醸造用酵母は、アルコール生産量が高く、得られる蒸留酒の香味が豊かであり、かつ高温や高クエン酸濃度等の環境下でも増殖可能な性質を持つことが望ましい。
本発明者らは上述の課題を解決すべく、各実験を実施し、研究を重ねた。その結果、フェルラ酸脱炭酸酵素を有し、クエン酸耐性を有し、クエン酸高濃度含有培地における高温下での増殖能を持つ酵母を見いだした。本発明は、高クエン酸濃度及び高温等、酵母に過酷な条件下において、フェルラ酸を効率良く4-VGに変換する酵母を提供することを目的とする。
1.フェルラ酸脱炭酸能を持つ酵母を選抜するため、沖縄県工業技術センター保有の酵母約120株の中で、アルコールを高生産する16株について発酵試験を行った。試験条件は、県内酒造所で製麹された麹を用い、麹仕込量120g、汲み水割合170%、発酵温度25℃、発酵期間14日間の条件で行った。熟成もろみの4-VG及びフェルラ酸の測定は、もろみ10mlを3000 rpmで遠心分離し、得られた上清を0.45μmのメンブレンフィルターで濾過後、小関らの方法(小関ら:醸協,89,408-411(1994))を改変し、高速液体クロマトグラフィーで測定した。すなわち、カラムはWakosil-II 5C18 (4.6mm×250mm和光純薬製)を用い、45分間で50mM酢酸緩衝液(pH4.0)/アセトニトリル(10/90)から(60/40)までのリニアグラジエントによる溶出条件であり、検出波長はフェルラ酸が320nm、4-VGは280nmに設定した。 酸度、pH及びガスクロマトグラフィー法によるアルコール濃度は(国税庁所定分析法注解)に従って測定した。発酵試験における熟成もろみの分析結果を表1に示した。アルコール及び4-VGを著量生産した株は7146及び7150株であり、泡盛101号酵母と同程度にアルコールを生産し、4-VGを101号酵母の約10倍蓄積した。
Figure 2006067812
2.選抜株とその他酵母についてクエン酸耐性試験を行った。すなわち、上記1.において選抜した7146及び7150株、清酒酵母、焼酎酵母及びワイン酵母それぞれをYPD培地(2%グルコース、1%酵母エキス、2%ポリペプトン)を用い30℃で2日間前培養して酵母菌体を得、得られた酵母菌体を2%クエン酸を含むYPD培地に植菌し、30℃で8日間静置培養を行った。この際、各酵母の増殖の指標として、660nmにおける吸光度(クエン酸耐性)を測定した。結果を表2に示す。なお、クエン酸耐性の評価は、培養8日目の660nmにおける吸光度が、0.5未満のものを−、0.5以上1.0未満のものを+、1.0以上1.5未満のものを++、1.5以上のものを+++とする基準で表2に示した。表2から、30℃においてSH-1、OC-2、泡盛101号酵母及び選抜株は良く増殖していた。また40℃では選抜株の吸光度が1.5以上であり、高クエン酸濃度かつ高温下での増殖能が高いことが判明した。
Figure 2006067812
3.菌学的諸性質上記1.において分離した7146及び7150株の菌学的性質を調べるために、以下の研究を実施した。
3−(1).形態学的性質YPD培地を用い、7146、7150及び泡盛101号酵母をそれぞれ30℃、2日間培養し、顕微鏡を用いて形態観察を行った。結果を表3に示した。それぞれの菌株は直径が4〜8μmであり、卵形であった。また形成したコロニーはクリーム色を呈し、周縁は円滑であった。
Figure 2006067812
3−(2).炭素源発酵性15種類の糖質を用いた発酵性試験を行った。酵母エキス0.5%、リペプトン0.5%からなる培地にBTBを少量添加し、発酵管を入れた試験管に2mlずつ分注して、121℃、10分間滅菌後、更に6%に調整した糖溶液を1ml添加して105℃で15分間滅菌した。これにYPD培地で一晩培養した培養液の10倍希釈溶液30μlを添加し、30℃で30日間培養して炭酸ガスの有無を確認した。結果を表4に示した。試験を行った全ての菌株にラフィノースとガラクトースの発酵性が確認された。またα-MGでは、7150株は培養7日目に、7146株は培養20日後に炭酸ガスの発生を認めた。
Figure 2006067812
3−(3).選抜酵母をYPD培地で培養し、対数増殖後期の菌体を集菌後、(鈴木健一郎:微生物の分類・同定実験法)に従い精製DNAを調整し、25SrDNA(D1/D2)領域をPCRにより増幅した。得られたPCR産物を精製し、ABI PRISM Cycle Sequencing kit(Applied BioSystem社)を使用したサイクルシークエンシング法によりシークエンス反応を行った。精製したシークエンス反応物について、ABI PRISM 310 Genetic Analyzer(Applied BioSystem社)を用いて電気泳動を行い、575bpの塩基配列を決定した。決定した塩基配列の相同性検索は、BLASTプログラム(日本DNAデータバンク)、RDP-II(Ribosomal Database Project-II)で行い、種の同定を行った。塩基配列結果を表5に示す。相同性が最も高い上位4種は、いずれもS.cerevisiaeであり、7146株と7150株はS.cerevisiaeである可能性が高いという結果を得た。
Figure 2006067812
選抜株7146及び7150株と泡盛101号酵母についてそれぞれ2kg仕込の発酵試験を行った。麹は県内酒造所製麹を用い、麹仕込量は原料換算で2kg、汲み水歩合160%、発酵期間14日間、発酵温度25℃で発酵試験を行った。
図1は発酵試験におけるアルコール濃度の推移である。もろみ中のアルコール濃度は、7146、7150とも発酵初期の立ち上がりが速く、最終的に101号酵母と同程度にアルコールを生産した。
図2は発酵試験における4-VG濃度の推移である。 7146株と7150株のもろみ中における4-VG量は、発酵が進むにつれて4-VGが蓄積され、最終的に10 ppmを越えた。これに対し、101号酵母ではこのような変化は認められず、最終4-VG産生量は2 ppmに留まった。
図3は発酵試験におけるフェルラ酸濃度の推移である。 7146株と7150株のもろみ中におけるフェルラ酸量は、発酵の経過に伴い減少した。特に酵母の対数増殖期から定常期に入った5日目以降の減少は特に著しかった。これに対して101号酵母では、発酵の経過と共にもろみ中のフェルラ酸が減少しないことから、7146株と7150株がフェルラ酸脱炭酸能を有し、101号酵母に比較してもろみ中の4-VG産生能が高いということが判明した。
発酵試験におけるアルコール濃度の推移である。(実施例1) 発酵試験における4-VG濃度の推移である。(実施例2) 発酵試験におけるフェルラ酸濃度の推移である。(実施例3)

Claims (3)

  1. TTC染色性試験、菌体を200〜300程度になるように滅菌水で希釈し、TTC下層培地に30℃、2日間培養したコロニーにTTC上層培地を溶解後45℃程度にして静かに重層し、固まった後30℃で2〜3時間培養し、コロニーの染色性を確認した時に赤色を呈することを特徴とするサッカロマイセス・セレビシエに属する醸造用酵母。
  2. 請求項1に記載の醸造用酵母は下記の菌学的性質を示す。(A)YPD培地を用い、30℃で2日間培養したときの菌の形態。1.栄養細胞の大きさ:4〜8μm2.栄養細胞の形状:卵型3.増殖の形態:出芽(B)YPD寒天培地を用い30℃で2日間培養したときの菌の形態。1.形態:円2.隆起:凸円状3.周縁:円滑4.大きさ(直径):2〜3mm5.色調:白色で不透明6.表面:円滑で光沢あり(C)酵母の12番染色体上に位置するリボゾームDNAラージサブユニットの中のD1/D2領域を用いた塩基配列解析において、D1/D2領域575bpの遺伝子配列とサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のD1/D2領域の塩基配列との相同性が99%以上である。
  3. 請求項1または2に記載の醸造用酵母(サッカロマイセス・セレビシエ)は7146及び7150(特許微生物寄託センター受領番号NITE AP-17、NITE AP-18)である。

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