JP2006065536A - 歩行者用交通信号機 - Google Patents

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Abstract

【課題】信号機に対する興味を確実に高め、表示を一層注目させることが可能な歩行者用交通信号機の提供を課題とする。
【解決手段】前面に発光面を有するケーシングと、ケーシング内に配設される発光手段5と、外部環境の情報に関連付けた複数の画像データを記憶する画像データ記憶手段13と、現在の外部環境の情報を検出する情報検出手段14と、検出された情報に関連する画像データを画像データ記憶手段13から選択する画像データ選択手段15と、画像データ選択手段15によって選択された画像データに基づき、動的に変化する絵柄を前面パネルに表示する動画表示制御手段16とを備える。
【選択図】 図3

Description

本発明は、歩行者用交通信号機に関するものであり、特に横断者等の絵柄が表示される歩行者用交通信号機に関するものである。
従来、歩行者用交通信号機は、信号機内部に電球を配し、赤色及び青色に着色された別々の発光面上に、横断者などの形状をした絵柄を表示するとともに、内部に配設した電球の点灯状態を切り替えることで、横断可能状態および横断禁止状態を表現している。
ところで、従来の歩行者用交通信号機においては、表示される絵柄は横断可能状態と禁止状態を表現する二種類のみであるため、非常に単調であり、歩行者の意識を集めることが難しかった。また、表示されている色の意味が判らない者(たとえば幼児)や色覚の認識が困難な者にとっては、信号の状態を識別できなかったり、誤認させる恐れもあった。
そこで、本出願人は、絵柄を動的に表示させる歩行者用交通信号機を先に提案した(特許文献1)。これによれば、絵柄を経時的に変化させることで動的に表現し、発光面上で動く絵柄を視覚的に認識させるものである。また、上記文献には、横断禁止状態、及び横断可能状態に切替わるまでの時間を算出するとともに、それらの残時間を、絵柄が表示される側の反対の領域(たとえば、横断可能状態において、横断禁止状態の絵柄が表示される領域)に表示する技術が開示されている。
特許第3400446号公報
しかし、特許文献1によれば、提供される情報は信号の横断可能・禁止状態のいずれかでしかなく、動画表示によって経時的に絵柄を変化させたとしても、毎日歩行者用交通信号機を利用する歩行者にとっては、いずれ単調・マンネリ化してしまう恐れがあった。また、残時間を表示させるだけでは、信号待ちにて発生する歩行者のストレスを緩和するのに十分とは言えず、さらに多機能な表示を行う歩行者用交通信号機が望まれていた。
そこで、本発明は、上記の実状に鑑み、信号機に対する注目度を確実に高め、より多機能な表示を行う歩行者用交通信号機の提供を課題とする。
本発明にかかる歩行者用交通信号機は、「前面に発光面を有するケーシングと、該ケーシング内に配設される発光手段と、気温、騒音、湿度、大気汚染度、または天気などの外部環境の情報に関連付けた複数の画像データを記憶する画像データ記憶手段と、現在の外部環境の情報を検出する情報検出手段と、該情報検出手段によって検出された前記外部環境の情報に関連する前記画像データを前記画像データ記憶手段から選択する画像データ選択手段と、該画像データ選択手段によって選択された前記画像データを基に動的に変化する絵柄を前記発光面に表示させる動画表示制御手段とを備える」ものである。
ここで、「発光手段」とは、放射される光の態様を変化させることにより、歩行者の注意を促すものであり、例えばLED(発光ダイオード)を挙げることができる。
従って、本発明の歩行者用交通信号機によれば、動画表示制御手段によって、発光面に表示される絵柄を経時的に変化させる。これにより、絵柄が動的に表示され、歩行者は、動く絵柄を視覚的に認識することが可能となる。特に、発光面に表示される絵柄は、外部環境に関する情報に応じて選択され、表示される構成である。このため、歩行者に、現在の外部環境(気温、騒音、湿度、天気など)に関する新たな情報を提供することが可能となる。また、これらの新たな情報は、別途発光面を設けることなく、従来より横断可能・禁止状態の絵柄を表示していた発光面を用いる構成のため、装置を大型化することなく情報を提供することが可能である。
また、本発明にかかる歩行者用交通信号機は、「前面に発光面を有するケーシングと、該ケーシング内に配設される発光手段と、日時に関連付けた複数の画像データを記憶する画像データ記憶手段と、現在の日時を検出する日時検出手段と、該日時検出手段によって検出された前記日時に関連する前記画像データを前記画像データ記憶手段から選択する画像データ選択手段と、該画像データ選択手段によって選択された前記画像データを基に動的に変化する絵柄を前記発光面に表示させる動画表示制御手段とを備える」ものである。
ここで、「日時」とは、朝・昼・夕方・夜などの時間帯、日付、時間、曜日、月、年、祝日、記念日を例示することができる。
本発明の歩行者用交通信号機によれば、発光面に表示される絵柄は、日時に関連付けた画像データに基づくため、歩行者は、表示されている絵柄を見ることで、動く絵柄を視覚的に認識できることに加え日時に関する情報を得ることも可能となる。さらに、日時が変わると表示される絵柄が更新される(現在の日時が検出されると、その結果に応じて画像データが選択され、これに基づいて表示される絵柄が変更される)構成であるため、毎日歩行者用交通信号機を利用する歩行者にとっても、情報がマンネリ化することなく、信号機に対する注目度を向上させ、その注目度を維持させることができる。また、日時検出手段が時間帯に関する情報を検出する場合においては、例えば朝方や夕方などの西日が当たる時間帯に、比較的大きなサイズの絵柄を表示する画像データを選択することで視認性を向上させ、より安全性の高い歩行者用交通信号機を提供することも可能となる。また、この場合において、発光面の絵柄に相当する表示部分の発光手段を光らせ、背景に相当する表示部分の発光手段を光らせない(黒く表示する)表示形態を採った場合には、夜などの発光体の視認性が向上する時間帯に、朝/夕方よりも比較的小さなサイズの絵柄を表示する画像データを選択することで、より低消費電力である歩行者用交通信号機を提供することも可能である。さらに、子供の通学時間帯などに、例えば子供を模した画像や動物の絵柄を表現する画像データを選択し、これに基づいた絵柄を表示することで、子供達の信号機に対する注目度を向上させることができるばかりではなく、車の運転者などに通学時間帯であることを印象付けることにより、安全意識の向上を啓蒙することができ、より安全性の高い歩行者用交通信号機を提供することも可能である。
さらに、本発明にかかる歩行者用交通信号機は、「前面に発光面を有するケーシングと、該ケーシング内に配設される発光手段と、複数の画像データが記憶された画像データ記憶手段と、乱数発生手段と、該乱数発生手段の出力に基づいて任意の画像データを前記画像データ記憶手段から選択する画像データ選択手段と、該画像データ選択手段によって選択された前記画像データを基に動的に変化する絵柄を前記発光面に表示させる動画表示制御手段とを備える」ものである。
本発明の歩行者用交通信号機によれば、発光面に表示される絵柄は、乱数発生手段の出力に基づいて、複数の画像データが記憶された画像データ記憶手段より任意に選択される構成である。このため、表示される絵柄の内容がランダムであるため、次に表示される絵柄の予想が難しく、絵柄の変動に対する歩行者の期待感が高まる。従って、信号機に対する歩行者の注目度を確実に向上させることが可能となる。
ところで、本発明において、「横断禁止状態から横断可能状態に切替わるまでの残時間、及び横断可能状態から横断禁止状態に切替わるまでの残時間を夫々算出する残時間算出手段と、該残時間算出手段によって算出された前記残時間に関する数字または図柄を前記発光面に表示させる残時間表示手段と、前記横断禁止状態に前記画像データ選択手段によって選択された前記画像データを基に静的な絵柄を前記発光面に表示させる静止画表示制御手段とをさらに具備し、前記発光面は、前記横断可能状態の絵柄を表示する横断可能領域と、前記横断禁止状態の絵柄を表示する横断禁止領域とに区画され、前記残時間表示手段は前記横断可能領域または前記横断禁止領域のうち前記絵柄が表示される反対側の領域に対して前記残時間に関する数字または図柄を表示させる」ものとすることができる。
本発明の歩行者用交通信号機によれば、歩行者は、横断が可能か否かの認識情報に加え、横断可能な残時間または横断禁止状態の残時間情報を得ることが可能となる。従って、横断可能時間が残り少なくなった際の危険な駆け込み行為を抑制し、また、横断禁止時の待ち時間に起因するストレスを緩和することができる。さらに、本発明によれば、静止画表示制御手段を備えるため、横断禁止時において、横断可能領域には経時的に表示が変化する残時間情報を表示しつつ、横断禁止領域に表示される絵柄は静止画とすることができる。従って、横断可能状態での絵柄の表示(動画表示)とのコントラストが鮮明になるため、歩行者に横断禁止の意識を強く与えることができる。また、これにより、色の意味が判らない者や色覚の認識が困難な者にとっても、信号の識別を容易にし、誤認を低減することができる。
このように、本発明の歩行者用交通信号機によれば、情報検出手段の出力に基づいて画像データ選択手段により画像データが選択され、この選択された画像データに基づいて発光面に絵柄が表示されるため、歩行者に、信号機の状態に関する情報に加え、外部環境の情報も提供できる。さらに、検出される情報に基づき信号機の表示状態が変化するため、毎日歩行者用交通信号機を利用する歩行者に対しても、単調・マンネリ感を与えることなく、常に信号機に対する注目度を高く保つことができる。従って、歩行者の安全意識の向上に著しく寄与するものである。さらに、新たな発光面を設けることなく、すなわち従来の表示形式を変更することなく適用できる構成のため、設置に要する費用も比較的安価にできることに加え、信号表示状態を確認する歩行者にとっても、複数種類の発光面を眺めることなく瞬時に横断可否情報と外部環境に関する情報とを把握することができ、速報性に優れた情報システムを提供できるとともに安全性を向上させることもできる。
以下、本発明の実施形態である歩行者用交通信号機について、図1乃至図8に基づき説明する。図1及び図2は、歩行者用交通信号機の構成を示す斜視図と分解斜視図であり、図3は歩行者用交通信号機の機能的構成を示すブロック図であり、図4乃至図7は歩行者用交通信号機の各種表示形態を示す説明図であり、図8は歩行者用交通信号機における処理の流れを示すフローチャートである。
図1及び図2に示すように、本実施形態の歩行者用交通信号機1(以下、信号機1と称す)は、前面に二つの窓部2が形成された略直方体形状のケーシング3と、ケーシング3の窓部2を内側から塞ぐ2枚の前面パネル4と、前面パネル4の後方に設けられ複数の発光手段5が取り付けられた基板6と、個々の発光手段5を制御する制御手段7とから構成されている。
ケーシング3は、前側部材8と後側部材9とから構成される。なお、ケーシング3の材質としては、木材やプラスチック、または金属などが例示できる。前側部材8には前面に二つの窓部2が設けられ、後側部材9には上部に接続口10が設けられている。前側部材8と後側部材9とは、左右一端側がヒンジ11によって回動可能に取り付けられており、他端側は係止金具12によって係止されている。なお、接続口10には、電柱又は支柱(図示しない)から伸びるアームが連結され、電力供給線や信号を送受信するための信号線(図示しない)が配線されるようになっている。
前面パネル4は、透明または半透明の板状部材であり、発光手段5から発せられる光が前面パネル4を透過して外部に放射される。つまり、前面パネル4が本発明の発光面に相当する。ここで、前面パネル4に半透明の板状部材を用いた場合は、発光手段5から発せられた光が拡散され、発光面に表示された絵柄の輪郭を滲ませる効果がある。これにより、絵柄の輪郭や動きを滑らかに表示することができる。特に、本実施形態においては、前面パネル4は横断可能領域Gと横断禁止領域Sとの二つの領域に区画されている。横断可能領域Gとは、横断可能状態において、横断可能を表現する絵柄が表示される領域であり、横断禁止領域Sとは、横断禁止状態において、横断禁止を表現する絵柄が表示される領域である。
本実施例における発光手段5としては、発光ダイオードが適用されている。発光ダイオードとは、電流を流すと発光する半導体素子の一種である。アノードとカソードの2つの端子を持ち、これらに順方向(通常はアノードが正、カソードが負となるような電圧)のバイアス電圧を印加すると、素子内に電流が流れ、光を放射する。本実施形態では特に、色の3原色であるR(赤)、G(緑)、B(青)の夫々の色を発生させる3つの発光ダイオードを一つにパッケージングした砲弾型素子を用いている。砲弾型素子である発光手段5は、これら3つの色を混色させ、多様な色彩を表現することが可能である。発光ダイオードの特色としては、低消費電力、省スペース、長寿命などが挙げられ、これらを信号機1に用いることで、メンテナンス性を著しく向上させている。
基板6には、発光手段5を取り付けるための取付孔(図示しない)が一定の間隔で格子状に設けられており、これらの取付孔に発光手段5の電極端子が嵌挿されている。このため、発光面全域から均等な光を放射させることができるとともに、各発光手段5における光の放射態様を変化させることにより、絵柄領域と背景領域とを視覚的に区別させることができるようになっている。
図3に示すように、制御装置7は、外部の装置に対して通信可能な機能を有するコンピュータ等から構築されている。機能的な構成として、前面パネル4に、現在の外部環境の情報に即した絵柄を選択するための画像データ記憶手段13、情報検出手段14、及び画像データ選択手段15を備えている。画像データ記憶手段13は、外部環境の情報(例えば、気温、騒音、湿度、大気汚染度、天気など)に関連付けた複数の画像データを記憶するものである。情報検出手段14は、現在の外部環境の情報を検出するものであり、具体的には、気温計(外気温)、音響センサ(騒音)、湿度計(湿度)、外部気象情報センターからの情報取得(天気、霧、大気汚染度等)などが例示できる。画像データ選択手段15は、情報検出手段14の出力に基づき、現在の外部環境の情報に即した絵柄を表示させる画像データを、画像データ記憶手段13より選択するものである。すわなち、図4(a)、(b)、及び図7に示すように、情報検出手段14が現在の外部環境の情報(ここでは、図4(a)天気=雨、図4(b)天気=晴れ、図7天気=曇り)を検出すると、画像データ選択手段15によって、画像データ記憶手段13に記憶された複数の画像データの中から、情報検出手段14の検出結果と関連のある画像データが選択される。そして、選択された画像データに基づき、動画表示制御手段16または静止画表示制御手段19によって、前面パネル4の横断可能領域Gまたは横断禁止領域Sに絵柄20,22,31が表示される。
動画表示制御手段16は、画像データ選択手段15によって選択された画像データに基づき、横断可能状態において、前面パネル4の横断可能領域Gに、絵柄20、22を動的に表示させるものである。より詳しくは、絵柄20、22の絵柄領域に対応する発光手段5を青く発光させ、絵柄20の背景領域21,23に対応する発光手段5を非発光とする。さらに、図5(a)〜(c)に示すように、横断可能領域Gに表示される絵柄を絵柄24→25→26と経時的に変化させ、動的に表現する。これにより、絵柄(キャラクター)が歩いているかのように見せることができる。なお、横断可能状態及び横断禁止状態の切換えは、制御信号認識手段17によって認識された外部制御信号を基に、切替制御手段18によって行われる。
また、静止画表示制御手段19は、切替制御手段18によって、横断可能状態から横断禁止状態に切り替えられると、静止画表示制御手段19は、画像データ選択手段15によって選択された画像データに基づく絵柄31(図7参照)を、前面パネル4の横断禁止領域Sに静的に表示する。詳細には、画像データに基づく絵柄31の絵柄領域に対応する発光手段5を赤く発光させ、絵柄31の背景32に対応する発光手段5を非発光とする。
ところで、上記の信号機1において、情報検出手段14の替わりに、日時情報を検出する日時検出手段27を適用することもできる(図3参照)。日時検出手段27の検出する日時情報としては、朝・昼・夕方・夜などの時間帯、日付、時間、曜日、月、年、祝日、記念日などが例示できる。これによれば、歩行者に、横断の可否状態を伝達すると同時に時間帯や日付などに関する情報も提供できる。例えば、図6(a)に示すように、通学時間帯などに、画像データ選択手段15によって、児童の興味を喚起させやすい絵柄28(ここでは“動物”)を表示させる画像データが選択される構成とすることができる。これにより、歩行者である児童の、信号機1に対する注目度を向上させることができるばかりではなく、車の運転者や大人の歩行者にとっても、通学時間帯であることを印象付けることにより児童への配慮を促し、安全意識の向上を啓蒙することができる。
また、上記の信号機1において、情報検出手段14の替わりに、乱数発生手段29を適用することもできる。この構成によれば、画像データ選択手段15は、乱数発生手段29の出力に基づいて、画像データ記憶手段13より、任意の画像データを選択する。動画表示制御手段16は、選択された画像データに基づいて、前面パネル4の横断可能領域Gに絵柄30を表示させる(図6(b)参照)。さらに、動画表示制御手段16は、表示された絵柄30を経時的に変化させる(例えば左右に揺れる、など)ことで、絵柄30を動的に表現する。この構成によれば、表示される絵柄30の表示内容がランダムであるため、次に表示される絵柄の予想が難しく、絵柄の変動に対する歩行者の期待感が高まる。従って、信号機1に対する歩行者の注目度をより一層向上させることができる。
さらに、図3に示すように、制御装置7は、横断禁止及び横断可能状態の残時間を表示させる残時間算出手段33及び残時間表示手段34をさらに備える。残時間算出手段33は、横断可能状態における横断禁止状態に移行するまでの残時間T1と、横断禁止状態における横断可能状態に移行するまでの残時間T2とを算出する手段である。残時間表示手段34は、残時間算出手段33によって算出された残時間T1,T2に基づき、T1、T2を表現する図形35,36(図4、図7参照)を前面パネル4の横断禁止領域Sまたは横断可能領域Gに表示させるものである。詳細には、横断可能状態において、残時間T1に応じて図形35の絵柄領域に対応する発光手段5を青く発光させ、図形35の背景37に対応する発光手段5を非発光とする。同様に、横断禁止状態において、残時間T2に応じて図形36の絵柄領域に対応する発光手段5を赤く発光させ、図形36の背景38に対応する発光手段5を非発光とする。
次に、本実施形態の信号機1の動作を、図3のブロック図、図4乃至図7の説明図、及び図8のフローチャートに基づいて説明する。まず、切替制御手段18に入力される外部制御信号が、横断可能状態への切替を指示したか否かを判断する。横断可能状態への切替指示があった場合には(ステップS1においてYES)、情報検出手段14によって、現在の外部環境の情報が検出される(ステップS2)。検出された情報に基づいて、画像データ選択手段15によって、画像データ記憶手段13より、画像データが選択される(ステップS3)。そして、残時間算出手段33のタイマーによって計時を開始し(ステップS4)、横断可能状態に移行する。横断可能状態に移行すると、画像データ選択手段15によって選択された画像データに基づき、絵柄24〜26(図5参照)が、動画表示制御手段16によって、前面パネル4の横断可能領域Gに、動的に表示される(ステップS5)。具体的には、図5(a)〜(c)に示すように、横断可能領域Gに表示される絵柄を経時的に変化(絵柄24→25→26)させて表示することにより、今の状態が歩行可能な状態であることを歩行者に知らせる。そして、それとともに、残時間算出手段33によって算出された残時間T1に基づいて、残時間表示手段34により、横断禁止領域Sにおいて、残時間T1を表現する図形35(図4参照)の絵柄領域に対応する発光手段5を青く発光させ、図形35の背景37に対応する発光手段5を非発光とする(ステップS6)。
その後、横断可能状態において、外部制御信号により点滅の指示があった場合には(ステップ7においてYES)、絵柄24〜26の絵柄領域に対応する発光手段5を点滅させる(ステップ8)。点滅表示が示す意味は、横断可能状態から横断禁止状態に移行することを歩行者に伝達し、歩行者を安全に且つ確実に横断禁止状態に導くための表示である。これにより、横断可能時間が極めて短くなってから(点滅状態)の横断など、危険な横断を抑制することができる。
外部制御信号により、横断禁止状態に移行する指示があった場合(ステップS9においてYES)には、情報検出手段14によって、現在の外部環境の情報が検出される(ステップS10)。検出された情報に基づいて、画像データ選択手段15によって、画像データ記憶手段13より、画像データが選択される(ステップS11)。そして、残時間算出手段33のタイマーによって計時を開始し(ステップS12)、横断禁止状態に移行する。横断禁止状態に移行すると、画像データ選択手段15によって選択された画像データに基づき、絵柄31(図7参照)が、静止画表示制御手段19によって、前面パネル4の横断禁止領域Sに、静的に表示される(ステップS13)。具体的には、絵柄31の絵柄領域に対応する発光手段5が赤く発光し、絵柄31の背景32に対応する発光手段5を非発光とする。そして、それとともに、残時間算出手段33によって算出された残時間T2に基づいて、残時間表示手段34により、横断可能領域Gに、残時間T2を表現する図形36が表示される。すなわち、図形36の絵柄領域の対応する発光手段5を赤く発光させ、図形35の背景38に対応する発光手段5を非発光とする(ステップS14)。横断可能領域Gに表示される図形35は、残時間T2に応じて経時的に変化することで、歩行者に残時間T2を伝達する。なお、この場合、図7に示すように、前面パネル4の横断禁止領域Sの絵柄31は変化することなく、静止画表示制御手段19によって一定の状態に保たれる。これにより、西日などによって前面パネル4の表示の視認性が低下する場合、もしくは色覚の認識が困難な者が表示を確認する場合においても、横断禁止状態と横断可能状態との誤認の可能性が極めて低減され得るため、より安全性の高い信号機1を提供できる。
その後、外部制御信号により、横断可能状態に移行する指示があった場合には(ステップS15においてYES)、ステップS2の処理に戻り、S2〜S14の処理を繰り返す。
以上のように、本例の信号機1は、画像データ記憶手段13、情報検出手段14、及び画像データ選択手段15を備えることにより、外部環境の情報に即した画像データに基づく絵柄20,22を選択することができる。そして、動画表示制御手段16及び静止画表示制御手段19によって、前面パネル4に、画像データに基づく絵柄20、31が動的(または静的)に表示される。これにより、歩行者は、横断の可否状態に関する情報に加え、外部環境に関する情報も即座に得ることができる。さらに、毎日信号機1を利用する歩行者にとっても、表示内容がマンネリ化・単調化することなく、歩行者の信号機1に対する注目度を高い状態のまま維持することができる。
特に、動画表示制御手段16によって、横断可能領域Gに表示される絵柄20を動的に表示(絵柄24→25→26)するため、絵柄20が何を表現しているのを明確に認識させることができる。つまり、色の意味を把握しづらいもの(幼児や色覚異常者)に対しても、絵柄20の動的表現により、横断可能状態を確実に伝達することができる。
さらに、本例では、横断禁止状態において、横断禁止領域Sに表示される絵柄31は、静止画表示制御手段19によって静的に表示されるため、横断可能状態における絵柄20とのコントラストがより鮮明となる。従って、横断禁止の意識をより強く歩行者に対して伝達することができる。また、残時間算出手段33と残時間表示手段34とを備えることにより、横断禁止状態までの残時間T1及び横断可能状態までの残時間T2を視覚的に認識することができる。従って、横断禁止状態の信号待ちにて生じる歩行者のストレスを緩和し、横断可能状態の残時間T1が残り少なくなった際の危険な駆け込み行為を抑制することも可能となる。
また、画像データは、画像データ選択手段15から外部の環境に則して選択される構成のため、視認性が下がる時間帯(または天気、大気汚染時)の時には比較的サイズの大きな、すなわち発光する発光手段5の数が比較的多い絵柄20を表示させることで、歩行者の信号表示状態に関する視認性を向上させ、歩行者のより安全な道路横断状況を実現することができる。また、発光体の視認性が向上する時間帯において、絵柄20のサイズを元の通常サイズに戻すことにより、信号機1の消費する電力を効率化することができる。
一方、外部環境の情報を表示させるための専用の前面パネル4を別途設ける必要が無いため、信号機1の設置に要する費用を安価にできる。また、1種類の前面パネル4にて横断可否状況と外部環境の情報とを表示できる、すなわち、多種類の前面パネル4を注視することなく、一種類の前面パネル4を一瞥するだけで外部環境の情報を得ることができるため、速報性に優れた情報システムを提供できるとともに、安全性を向上させることができる。特に、本例では、各発光手段5として発光ダイオードを採用しているため、光の指向性が強く、広視野角性を達成している。従って、より多くの歩行者に、確実に信号状態を伝達することができる。さらに、発光ダイオードは比較的長寿命であるため、メンテナンスにかかる手間と費用を減らすことができる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の改良及び設計の変更が可能である。
例えば、上記実施形態においては、発光手段5として砲弾型素子に内蔵した発光ダイオードを採用する場合を示したが、エレクトロルミネッセンス素子(EL素子)やフィールドエミッション技術を利用したディスプレイデバイスを利用する構成としてもよい。EL素子を利用したディスプレイとは、発光体をガラス基板に蒸着し、基板にかける電圧を制御して表示を行なうもので、低電力で高い輝度を得ることができ、視認性、応答速度、消費電力の点で優れている。フィールドエミッション技術を利用したディスプレイとは、平面状の電子放出源から真空中に電子を放ち、蛍光体にぶつけて発光させる(いわゆるブラウン管の技術を小さな画素に適用したもの)表示体である。ただし、これらの技術は、経済性や寿命、耐候性の面では発光ダイオードに劣るものであるため、発光ダイオードを用いることがより好ましい。
上記実施形態では、人間または動物を模した絵柄20を動的に表現する方法として、横断可能領域Gの略中央で主に手足に該当する部分を経時的に変化させることにより、動的状態を表現したが、横断可能領域Gの一端から他端へスクロールするように、横断可能領域G全体を使って表現してもよい。また、人間や動物以外(例えば植物やマークなど)の絵柄20であれば、左右に揺動させることで表現してもよい。要するに、横断禁止状態において横断禁止領域に表示された静止した絵柄31との対比がはっきりするものであれば、いかなるものであってもよい。
また、上記実施形態では、外部制御信号によって表示状態が切り替えられるものを例示したが、押しボタンを設け、横断禁止状態の間に押しボタンが操作されると、操作されてから一定時間経過した後に、横断可能状態に移行させるようにしても良い。さらに、押しボタンが操作されると、画像データ選択手段15によって、画像データ記憶手段13に記憶された複数の画像データの中から新たな画像データを選択し、絵柄として表示させる構成としても良いし、さらに、横断可能状態に移行するまでの残時間T3を残時間表示手段34によって表示させてもよい。これによれば、歩行者は、押しボタンが正常に機能していることを視覚的に認識できるため、待ち時間にて生じるストレスを効果的に緩和できる。特に、押しボタンの操作によって選択される画像データがランダムである場合には、歩行者は、表示される絵柄に対して期待感が高まり、たとえ急いでいたり面倒であったりして信号の切替わりが待ちきれない場合であっても、立ち止まって押しボタンを使用することが期待できる。従って、歩行者の安全に対する意識を向上させることができる。
上記実施形態では、画像データ選択手段15は、横断可能状または横断禁止状態に切替わった時のみ画像データを選択する構成としたが、これに限定されるものではなく、点滅状態に移行したときにも選択し、表示を変更する構成としてもよい。これによれば、歩行者は、横断可能時間が残り少なくなっていることを、より明確に感じることができる。ただし、通常、点滅状態の時間は短く、また、急いで横断歩道を渡り終える必要があるため、あまりに信号表示に注視させることは好ましくない。従って、上記の実施形態のように、絵柄領域の発光手段5を点滅させるのみに留め、絵柄20の絵柄領域そのものは変更しないことがより好ましい。
また、上記実施形態において、点滅状態に移行した際においても、絵柄20を動的に表示(絵柄24→25→26)する構成としたが、動的表示を停止させ、静的に表示する構成としても良い。この構成によれば、横断禁止状態が差し迫っていることを、歩行者に対してより明確に伝達できるため、一層安全性の高い信号機1を提供できる。
上記実施形態では、朝方や夕方などの西日が当たる時間帯に、比較的大きな絵柄を表示する画像データを選択する構成を例示したが、絵柄20の大きさは変えずに、輝度を明るくする構成としても良い。同様にして、夜などの発光物の視認性が向上する時間帯には、絵柄20の輝度を朝/夕方よりも落とす構成としてもよい。発光ダイオードで消費される電力は、発光する発光ダイオードの数だけではなく輝度によっても変化するため、周囲の明るさに応じて輝度を調節することで、電力の消費が効率化され、より低消費電力である信号機1を実現できる。
また、上記実施形態では、絵柄20(または絵柄31)の絵柄領域に対応する発光手段5のみを青く(または赤く)発光させ、絵柄領域の背景21(または32)に対応する発光手段5を非発光としたが、絵柄領域20、31に対応する発光手段5を黄色く発光させ、背景21(または32)に対応する発光手段5を青く(または赤く)発光させる構成としても良い。ただし、本実施形態によれば、発光する発光手段5の数を比較的少なくすることができるため、より消費電力を低減することが可能となり、また、発光部分と非発光部分との輝度の差(コントラスト)が顕著になるため、絵柄20,31に対する視認性を向上させることもできる。
上記実施形態では、横断可能領域Gと横断禁止領域Sとが別個に設けられた2灯式の歩行者用交通信号機を例示したが、これに限定されるものではなく、横断可能領域Gと横断禁止領域Sとが同じ発光領域で表示される一灯式の歩行者用交通信号機に適用しても良い。ただし、上記実施形態によれば、横断可能状態と横断禁止状態とを表現する絵柄を別個の表示領域(横断可能領域Gと横断禁止領域S)を用いて表示するため、色の意味を判断し難い者や、色の識別が困難な者にとっても横断の可否判断が容易であり、より安全性の高い信号機1を提供できる。
本発明の歩行者用交通信号機の構成を示す斜視図である。 歩行者用交通信号機の構成を示す分解斜視図である。 歩行者用交通信号機の機能的構成を示すブロック図である。 歩行者用交通信号機の横断可能状態における絵柄の表示形態を示す説明図である。 歩行者用交通信号機の横断可能状態における絵柄の動的表示を示す説明図である。 歩行者用交通信号機の横断可能状態における絵柄の別の表示形態を示す説明図である。 歩行者用交通信号機の横断禁止状態における絵柄の表示内容を示す説明図である。 歩行者用交通信号機における処理の流れを示すフローチャートである。
符号の説明
1 歩行者用交通信号機
3 ケーシング
4 前面パネル(発光面)
5 発光手段
13 画像データ記憶手段
14 情報検出手段
15 画像データ選択手段
16 動画表示制御手段
19 静止画表示制御手段
27 日時検出手段
29 乱数発生手段
33 残時間算出手段
34 残時間表示手段

Claims (4)

  1. 前面に発光面を有するケーシングと、
    該ケーシング内に配設される発光手段と、
    気温、騒音、湿度、大気汚染度、または天気などの外部環境の情報に関連付けた複数の画像データを記憶する画像データ記憶手段と、
    現在の外部環境の情報を検出する情報検出手段と、
    該情報検出手段によって検出された前記外部環境の情報に関連する前記画像データを、前記画像データ記憶手段から選択する画像データ選択手段と、
    該画像データ選択手段によって選択された前記画像データを基に、動的に変化する絵柄を前記発光面に表示させる動画表示制御手段と
    を備えることを特徴とする歩行者用交通信号機。
  2. 前面に発光面を有するケーシングと、
    該ケーシング内に配設される発光手段と、
    日時に関連付けた複数の画像データを記憶する画像データ記憶手段と、
    現在の日時を検出する日時検出手段と、
    該日時検出手段によって検出された前記日時に関連する前記画像データを、前記画像データ記憶手段から選択する画像データ選択手段と、
    該画像データ選択手段によって選択された前記画像データを基に、動的に変化する絵柄を前記発光面に表示させる動画表示制御手段と
    を備えることを特徴とする歩行者用交通信号機。
  3. 前面に発光面を有するケーシングと、
    該ケーシング内に配設される発光手段と、
    複数の画像データが記憶された画像データ記憶手段と、
    乱数発生手段と、
    該乱数発生手段の出力に基づいて、任意の画像データを前記画像データ記憶手段から選択する画像データ選択手段と、
    該画像データ選択手段によって選択された前記画像データを基に、動的に変化する絵柄を前記発光面に表示させる動画表示制御手段と
    を備えることを特徴とする歩行者用交通信号機。
  4. 横断禁止状態から横断可能状態に切替わるまでの残時間、及び横断可能状態から横断禁止状態に切替わるまでの残時間を夫々算出する残時間算出手段と、
    該残時間算出手段によって算出された前記残時間に関する数字または図柄を前記発光面に表示させる残時間表示手段と、
    前記横断禁止状態時に、前記画像データ選択手段によって選択された前記画像データを基に、静的な絵柄を前記発光面に表示させる静止画表示制御手段と
    をさらに具備し、
    前記発光面は、前記横断可能状態の絵柄を表示する横断可能領域と、前記横断禁止状態の絵柄を表示する横断禁止領域とに区画され、
    前記残時間表示手段は、前記横断可能領域または前記横断禁止領域のうち、前記絵柄が表示される反対側の領域に対して前記残時間に関する数字または図柄を表示させる
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の少なくともいずれか一つに記載の歩行者用交通信号機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113744547A (zh) * 2021-09-28 2021-12-03 深圳市鹏城交通网络股份有限公司 一种图形化显示智能可变新型人行信号灯

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