JP2006065302A - 反射防止構造およびこの反射防止構造を有する光学部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 表面に微細な凹部が形成された反射防止面を有する反射防止構造であって、 前記反射防止面を占める前記凹部の割合が、前記反射防止面の有効面積に対して10%〜90%の範囲であり、前記凹部は相互に連結されていてもよい基本形状からなり、前記基本形状が、平均深さ30nm〜200nmかつ平均直径80nm〜400nmであり、前記基本形状の前記反射防止面における配置が実質的に不規則であることを特徴とする反射防止構造、そのような反射防止構造を有する光学部材、この反射防止構造を形成するための原型、その製造方法、および複製用型の製造方法。
【選択図】 図1
Description
本発明による反射防止構造は、表面に微細な凹部が形成された反射防止面を有する反射防止構造であって、前記反射防止面を占める前記凹部の割合が、前記反射防止面の有効面積に対して10%〜90%、好ましくは25%〜75%、の範囲であり、前記凹部は相互に連結されていてもよい基本形状からなり、前記基本形状が、平均深さ30nm〜200nm、好ましくは60nm〜180nm、かつ平均直径80nm〜400nm、好ましくは100nm〜300nmであり、、前記基本形状の前記反射防止面における配置が実質的に不規則であること、を特徴とするものである。
本発明による反射防止構造を形成するための原型は、表面に微細な凹部が形成された反射防止面を有する反射防止構造を形成するための原型であって、基材と、前記基材上に形成された微細凹部とからなり、前記反射防止面を占める凹部の割合が、該反射防止面の有効面積に対して10%〜90%の範囲であり、前記凹部は相互に連結されていてもよい基本形状からなり、前記基本形状が、平均深さ30nm〜200nmかつ平均直径80nm〜400nmであり、前記基本形状の前記反射防止面における配置が実質的に不規則であること、を特徴とするものである。
本発明による反射防止構造を形成するための原型の製造方法は、前記の原型を製造するにあたり、基材の表面に、所望により交互吸着法を用いて下地層を形成し、次いで、前記下地層上に微粒子を固定化することによって微細凸部を形成し、さらに前記微細な凸部が反転して賦形化された樹脂性ネガ型を作成する工程を含むことを特徴とする。
(1) 基材
本発明では任意の基材を用いることができるが、交互吸着法による下地層の形成が容易であるものが好ましい。このような基材としては、例えばガラス等の無機材料、ニッケルなどの金属、各種の高分子化合物等の有機材料を用いることができる。この基材は、透明性を有するものであっても不透明のものであってもよいが、本発明による原型および/または複製用型(詳細後記)を製造する際に紫外線硬化型樹脂を適用する場合、基材側からの露光が可能になることから、透明性を有する基材が好ましい。
下地層の形成は、交互吸着法を用いて行うことができる。ここで、交互吸着法とは、基材を正の電解質ポリマー水溶液と負の電解質ポリマー水溶液に交互に浸漬することによって、基板上に、正の電解質ポリマーからなる薄膜と負の電解質ポリマーからなる薄膜を交互に生成させることからなる方法をいう。このような交互吸着法では、通常、必要であれば浸漬に先立って表面に初期電荷を与えた基板を、正の電解質ポリマー水溶液と負の電解質ポリマー水溶液に交互に浸漬することにより、その浸漬回数に応じた層数の多層構造物が形成させることが可能になる。
本願発明において使用可能な微粒子(3)としては、例えば有機または無機の各種微粒子材料をすることができる。本発明では、好ましくはシリカ微粒子、(メタ)アクリル系高分子微粒子、スチレン系高分子微粒子、スチレン−ブタジエン系高分子微粒子等を使用することができる。ここで、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」および「メタクリル」の両者を意味する。この微粒子は、本発明による反射防止構造および原型の形成された微細な凹部となる基本形状の素になることから、その大きさおよび形状は、目的とする反射防止構造および原型に応じて決定することができる。基本形状の大きさがそろっている本発明による反射防止構造および原型を得る場合には、粒径がそろった微粒子を使用することが好ましい。大きさが異なる二種の基本形状が混在した反射防止構造を目的とするときは、粒径がそろった比較的大きな微粒子と粒径がそろった比較的小さな微粒子とを併用することができる。
微粒子の付着後に、微粒子が付着した表面に対して、加熱処理および/またはオーバーコート処理を行うことが好ましい。このことによって、微粒子の付着強度が向上するとともに、微粒子によって構成される凸部の裾部の逆テーパ形状が解消されて、この原型から複製用型を製造することが容易になる。加熱条件およびオーバーコート処理の条件は、微粒子および/または下地の種類や内容および付着強度等を考慮して定めることができる。例えば、微粒子として高分子微粒子を用いる場合の加熱条件としては、200℃以下、特に、40℃〜150℃が好ましい。
本発明では、この微細な凸部を形成した後、さらにこの微細な凸部が反転して賦形化された樹脂製の原型を作成する。例えば、図2(a)に示される表面に微細な凸部が形成された型(N1)を用いて、図2(b)に示されるような凸部形状が反転して賦形化された原型(P1)を作成する。
本発明による複製用型の製造方法は、前記の原型から複製用型を製造する方法であって、前記の原型を用意し、この原型から金属メッキ法によって本発明の反射防止構造を複製するための金属製ネガ型を得ること、を特徴とするものである。
本発明による光学部材は、前記の反射防止構造を有するものである。
(表面に微細な凸部を有する型(以下、「微細凸部型」という)の作製)
塩化ナトリウムを0.1Mの濃度で含むポリジアリルジメチルアンモニウム塩(アルドリッチ社製、商品名:PDDA)0.4%水溶液および塩化ナトリウムを0.1Mの濃度で含むポリスチレンスルホン酸塩(アルドリッチ社製、商品名:PSS)0.4%水溶液を用意した。
透過率測定により、反射防止性と防眩性を備えた型であることを確認した。走査型電子顕微鏡で表面を観察した結果、微粒子による凸部は1933個/100μm2の密度でランダムに分布し、凸部の基本形状の直径の最大値、最小値、平均値は、それぞれ163nm、109nm、138nmであり、少なくとも10%以上の凸部の基本形状が独立していることを確認した。凸部の基本形状の高さの最大値、最小値、平均値は、それぞれ125nm、80nm、97nmであった。また、同様に断面を観察した結果、凸部の裾部がテーパ形状であることを確認した。また、凸部の基本形状の平均高さは101nmであった。
上記微細凸部型に対してアクリル系光重合性材料を主体とする組成物を用い、2P法(光重合法)により樹脂製の原型を作製した。
透過率測定により、この原型は未処理の樹脂板と比較して透過率が1.2%向上していることを確認した。また、電子顕微鏡観察の結果、この原型は、前記微細凸部型の凸部が反転した形状の凹部を有していることを確認した。
上記樹脂性の原型上にニッケル蒸着によりニッケルの薄層を形成した。これを用いてニッケルメッキを施して複製用型を作製した。
(微細凸部型の作製)
ポリマーエマルジョンの固形分濃度16%に調製して用いたこと以外は実施例1と同様にして微細凸部型を作製した。
透過率測定により、微細凸部型は反射防止能を有することを確認した。走査型電子顕微鏡観察の結果、微粒子による凸部は1689個/100μm2の密度でランダムに分布し、凸部の直径の最大値、最小値、平均値は、それぞれ163nm、82nm、140nmであり、少なくとも10%以上の凸部が独立していることを確認した。凸部の高さの最大値、最小値、平均値は、それぞれ118nm、67nm、99nmであった。また、同様に断面を観察した結果、凸部の裾部がテーパ形状であることを確認した。また、凸部の基本形状の平均高さは105nmであった。
上記微細凸部型に対してアクリル系光重合性材料を主体とする組成物を用い、2P法(光重合法)により樹脂性の原型を作製した。
透過率測定により、樹脂製ネガ型は未処理の樹脂板と比較して透過率が1.6%向上していることを確認した。また、電子顕微鏡観察の結果、この原型は、微細凸部型を反映した凹部を有していることを確認した。
上記樹脂製の原型上にニッケル蒸着によりニッケルの薄層を形成した。これを用いてニッケルメッキを施して金属製複製用型を作製した。
(微細凸部型の作製)
固形分濃度24%に調製したJSR0693の代わりに、固形分濃度を18%に調製したシリカ微粒子分散液(触媒化成工業(株)社製、商品名:スフェリカスラリー120)を用いた以外は、実施例1と同様にして反射防止構造を有する微細凸部型を作製した。
透過率測定により、微細凸部型は反射防止能を有することを確認した。走査型電子顕微鏡観察の結果、微粒子による凸部の基本形状は1822個/100μm2の密度でランダムに分布し、凸部の直径の最大値、最小値、平均値は、それぞれ143nm、80nm、130nmであり、少なくとも10%以上の凸部の基本形状が独立していることを確認した。凸部の高さの最大値、最小値、平均値は、それぞれ120nm、71nm、108nmであった。また、同様に断面を観察した結果、凸部の基本形状の裾部がテーパ形状であることを確認した。また、凸部の基本形状の平均高さは、118nmであった。
上記微細凸部型に対してアクリル系光重合性材料を主体とする組成物を用い、2P法(光重合法)により樹脂製の原型を作製した。
透過率測定により、樹脂製の原型は未処理の樹脂板と比較して透過率が1.4%向上していることを確認した。また、電子顕微鏡観察の結果、樹脂製の原型は、微細凸部型を反映した凹部を有していることを確認した。
上記樹脂製の原型上にニッケル蒸着によりニッケルの薄層を形成した。これを用いてニッケルメッキを施して金属製複製用型を作製した。
(微細凸部型の作製)
実施例1と同様にして、6層の(PDDA/PSS)と1層のPDDA複合膜を10cm角のフレネルレンズシート上に形成した。実施例2で用いた固形分濃度16%のポリマーエマルジョンを用い、実施例1と同様にしてポリマー微粒子層を形成した。この基板を50℃で2分間処理した後に、実施例1と同様にしてオーバーコート層〔即ち、5層の(PDDA/PSS)〕を形成することによって微細凸部型を得た。
走査型電子顕微鏡により、処理済フレネルレンズシート表面は実施例2と同様の凸部の分布状態にある反射防止構造を有していることを確認した。
上記微細凸部型に対してアクリル系光重合性材料を主体とする組成物を用い、2P法(光重合法)により樹脂製原型を作製した。
電子顕微鏡観察の結果、樹脂製原型は、実施例2と同様に微細凸部型を反映した凹部を有していることを確認した。
上記樹脂性の原型上にニッケル蒸着によりニッケルの薄層を形成した。これを用いてニッケルメッキを施して反射防止構造を有する金属製の複製用型を作製した。
(微細凸部型の作製)
50インチサイズのリアプロジェクションテレビ用のフレネルレンズ金型を市販の洗剤で洗浄し、実施例1と同様にして、6層の(PDDA/PSS)と1層のPDDAとの複合膜を金型表面に成膜した。
上記微細凸部を有するフレネルレンズ金型を用いて、2P法(光重合法)により微細凹部を有するフレネルレンズシートを複製した。少なくとも50枚の連続複製が可能であった。
透過率測定の結果、微細凹部を有さないフレネルレンズシートと比較して反射率が約1.6%低減していることがわかった。走査型電子顕微鏡観察の結果、微粒子による凹部は3866個/100μm2の密度でランダムに分布し、凹部の基本形状の直径の最大値、最小値、平均値は、それぞれ141nm、100nm、121nmであり、少なくとも10%以上の凹部の基本形状が、凸状の境界を有し独立していることを確認した。凹部の基本形状の深さの最大値、最小値、平均値は、それぞれ120nm、64nm、91nmであった。
(微細凸部型の作製)
実施例3と同様にして作製した微細凸部型に、フッ素系シランカップリング剤(GE東芝シリコーン社製、XC98−B2472)をイソプロピルアルコールで10倍希釈した溶液をスピンコートし、150℃で15分間熱処理した。目視にて反射防止能を保持していることを確認した。また、1μlの水滴を用いて測定した水接触の値が131°であったことから、フッ素系シランカップリング剤がコーティングされていることを確認した。
上記微細凸部型を用いて2P(光重合法)により微細凹部付き樹脂複製品を作製した。複製は、少なくとも100回可能であった。透過率測定の結果、平均して1.3%透過率が向上していることがわかった。
2 基材シート
3 微粒子
Claims (17)
- 表面に微細な凹部が形成された反射防止面を有する反射防止構造であって、
前記反射防止面を占める前記凹部の割合が、前記反射防止面の有効面積に対して10%〜90%の範囲であり、
前記凹部は相互に連結されていてもよい基本形状からなり、前記基本形状が、平均深さ30nm〜200nmかつ平均直径80nm〜400nmであり、前記基本形状の前記反射防止面における配置が実質的に不規則であることを特徴とする、反射防止構造。 - 前記凹部の直径の頻度分布が狭いものである、請求項1に記載の反射防止構造。
- 前記凹部の直径の頻度分布が、頻度が最も高い凹部との直径の差が75nm以内である凹部の個数が、頻度が最も高い凹部との直径の差が300nm以内である凹部の個数の70%以上の狭いものである、請求項2に記載の反射防止構造。
- 前記凹部の総数に対する、相互に連結されていない前記凹部の割合が、10%以上である、請求項1に記載の反射防止構造。
- 請求項1に記載の反射防止構造を有する、光学部材。
- 幾何学的光学機能形状の表面に請求項1に記載の反射防止構造を有する、請求項5に記載の光学部材。
- 請求項1に記載の反射防止構造を有する、ディスプレイ装置。
- 幾何学的光学機能形状の表面に請求項1に記載の反射防止構造を有する、請求項7に記載のディスプレイ装置。
- 請求項1に記載の反射防止構造を有する、太陽電池パネル。
- 幾何学的光学機能形状の表面に請求項1に記載の反射防止構造を有する、請求項9に記載の太陽電池パネル。
- 表面に微細な凹部が形成された反射防止面を有する反射防止構造を形成するための原型であって、
基材と、
前記基材上に形成された微細凹部とからなり、
前記反射防止面を占める凹部の割合が、該反射防止面の有効面積に対して10%〜90%の範囲であり、
前記凹部は相互に連結されていてもよい基本形状からなり、前記基本形状が、平均深さ30nm〜200nmかつ平均直径80nm〜400nmであり、前記基本形状の前記反射防止面における配置が実質的に不規則であることを特徴とする、反射防止構造を形成するための原型。 - 請求項11に記載の原型を製造するにあたり、
基材の表面に、所望により交互吸着法を用いて下地層を形成し、
次いで、前記下地層上に微粒子を固定化することによって微細凸部を形成する工程を含むことを特徴とする、反射防止構造を形成するための原型の製造方法。 - 前記基材を正の電解質ポリマー水溶液に浸漬する工程と負の電解質ポリマー水溶液に浸漬する工程を組み合わせることによって、前記交互吸着法による下地層の形成が行われる、請求項12に記載の原型の製造方法。
- 前記下地層上へ微粒子分散液を適用することによって微粒子を付着させる工程を含む、請求項13に記載の原型の製造方法。
- 微粒子の付着後に、微粒子が付着した表面に対して、加熱処理および/またはオーバーコート処理を行う、請求項12に記載の原型の製造方法。
- 微粒子によって構成される凸部の裾部が実質的に逆テーパ形状ではない、請求項12に記載の原型の製造方法。
- 請求項11に記載の原型から複製用型を製造する方法であって、
請求項11に記載の原型を用意し、
前記原型から金属メッキ法によって請求項1記載の反射防止構造を複製するための金属製ネガ型を得ることを特徴とする、複製用型の製造方法。
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