JP2006065243A - 平版印刷版原版 - Google Patents

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Abstract

【課題】 平版印刷版原版をあいだに合紙を挟むことなく積層して搬送及び保存に供しても、オーバーコート層の表面にキズが入ることを防止し、汚れや白キズのない高品質の画像を形成することの可能な平版印刷版原版を提供する。
【解決手段】 親水性表面を有するアルミニウム支持体上に、光又は熱によりラジカルを発生する化合物と、重合性化合物と、赤外線吸収剤とを含有するネガ型記録層と、水溶性樹脂からなるオーバーコート層とを順次設けてなる平版印刷版原版であって、該オーバーコート層の表面と該支持体裏面との動摩擦係数が0.2〜0.7の範囲にあることを特徴とする。このような動摩擦係数は、アルミニウム支持体の裏面側にバック層を設けることで容易に達成することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、平版印刷版原版に関し、特に、コンピュータ等のディジタル信号から直接製版できるいわゆるダイレクト製版用の平版印刷版原版に関する。
近年におけるレーザーの発展は目ざましく、特に、近赤外線から赤外線領域に発光領域を持つ固体レーザーや半導体レーザーでは、高出力・小型化が進んでいる。したがって、コンピュータ等のディジタルデータから直接製版する際の露光光源として、これらのレーザーは非常に有用である。
前述の赤外線領域に発光領域を持つ赤外線レーザーを露光光源として使用する。赤外線レーザ用ネガ型平版印刷版原版に利用される記録方式としては、光又は熱により発生した酸を開始剤として、酸による架橋反応を生起させて露光部の記録層を硬化させ画像部を形成する方式、、熱により発生したラジカルを開始剤として重合反応を生起させて露光部の記録層を硬化させ画像部を形成する方式、赤外線吸収剤として染料を含み、赤外線を吸収した染料からの電子移動により発生したラジカルを開始剤として重合反応を生起させて露光部の記録層を硬化させ画像部を形成する方式などが挙げられる。
このようなネガ型の画像形成材料は、赤外線レーザ照射のエネルギーにより記録層の可溶化を起こさせるポジ型に比較して画像形成性が低く、架橋或いは重合などの硬化反応を促進させて強固な画像部を形成するため、現像工程後にバーニング処理或いはベーキング処理と呼ばれる加熱処理を行うのが一般的である。
しかしながら、上述の記録層を設けてなる平版印刷版原版に、アルミニウム支持体を用いる場合には、熱伝導性が良好な支持体への熱拡散が著しく、赤外線レーザ照射によるエネルギーが支持体に拡散して、画像形成のための架橋形成反応又は重合反応の開始・促進に効率よく利用されず、充分な感度及び画像部強度が得られないという問題があった。
また、重合反応により画像部を形成するネガ型記録層を備える平版印刷版原版には、ネガ型記録層上に、重合反応を阻害する空気を遮断する機能を有するオーバーコート層を設けることが一般的である。このような構造の平版印刷版原版を多数枚積層して、搬送に供すると、オーバーコート層の表面に、当該オーバーコート層とアルミニウム支持体との間の摩擦が引き金となって、キズができることがある。このように、オーバーコート層にキズが発生すると、その箇所の酸素遮断機能が失われるため、重合阻害が起こり画像部において白キズが発生するという問題を有していた。
さらに、オーバーコート層にキズが発生する様な外力が加わると、ネガ型記録層の機械的な強度が不充分である場合にはネガ型記録層の応力を受けた箇所から所望されない硬化反応が生起して、その結果、非画像部において汚れが発生するという問題をも有していた。
平版印刷版原版表面と支持体裏面との摩擦による傷付き防止の観点から、ゾルゲル反応液と高分子化合物と可塑剤とを含有する、滑り性に優れたバックコート層が提案されているが(例えば、特許文献1参照。)、バックコート層にポリマーや可塑剤を必須とするため、平版印刷版原版の積層体を形成し、全自動製版機にセットして連続的に供給して使用する場合などに、合紙を挟まない状態で実用するには、なお改良の余地があった。
現状では、キズの発生を防止するために、平版印刷版原版と該平版印刷版原版の記録層に当接し、保護する機能を有する合紙とを積層させて運搬することが行われている。この様な平版印刷版原版と合紙とを、交互に積層して、供給された平版印刷原版をレーザー製版機で連続的に製版する場合は、合紙を取り除く作業が必要となり、作業効率が悪くなる。また全自動製版装置では、剛直なアルミニウム支持体からなる平版印刷版原版と、厚さが薄く、腰のない合紙とを共に搬送可能な装置とする必要が有り、装置の価格も高くなり、搬送故障発生の危険も増大するため、合紙の挟み込みのない状態でもキズの発生が無いネガ型平版印刷原版が切望されている。
特開平8−240914号公報
上記従来技術の欠点を考慮してなされた本発明の目的は、合紙の挟み込みのない状態で平版印刷版原版を積層して搬送及び保存に供する場合であっても、オーバーコート層の表面にキズが入ることを防止することで、非画像部における汚れや画像部における白キズのない高品質の画像を形成することの可能な平版印刷版原版を提供することにある。
本発明者らは、アルミニウム支持体裏面とオーバーコート層表面との摩擦に起因するオーバーコート層表面のキズの発生を防止する手段について鋭意検討を行い、アルミニウム支持体裏面とオーバーコート層表面との間の動摩擦係数が、キズの発生に大きく影響を及ぼしているとの知見より、該動摩擦係数を所定の範囲に制御することで上記問題点を解決しうることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の平版印刷版原版は、親水性表面を有するアルミニウム支持体上に、光又は熱によりラジカルを発生する化合物と、重合性化合物と、放射線吸収剤とを含有するネガ型記録層と、水溶性樹脂からなるオーバーコート層とを順次設けてなる平版印刷版原版であって、該オーバーコート層の表面と該支持体裏面との動摩擦係数が0.2〜0.7の範囲にあることを特徴とする。
好ましい態様は、前記アルミニウム支持体の記録層を有する面と反対側(支持体裏面)の最表面に、バック層を設けることであり、より好ましい態様は前記アルミニウム支持体のバック層に、少なくとも1種の有機フッ素化合物、例えば、フッ素置換アルキル基を有するシランカップリング剤やフッ素系界面活性剤など、を含有することである。
このように、本発明の平版印刷版原版によれば、動摩擦係数が上記範囲にある場合、アルミニウム支持体裏面とオーバーコート層表面との摩擦が低減されるため、オーバーコート層表面にキズが発生することを防止することができる。従って、非画像部における汚れや、画像部における白キズのない高品質の画像を形成することが可能である。
また、本発明の平版印刷版原版により積層体を形成し、保存する場合であっても、動摩擦係数が上記範囲にあるため、上記したようにキズの発生を防止することができ、合紙を特に必要としない。このため、平版印刷版原版と合紙とを交互に積層するといった余分な工程及び材料を節約できる。その結果、レーザー製版機で連続的に製版する場合に、合紙を取り除く作業が不要となり、作業効率が向上する。また全自動製版装置では、装置の価格も安くなり、搬送故障発生の危険も減少する等の大きな効果が得られるという利点をも有するものである。
本発明によれば、合紙の挟み込みのない状態で平版印刷版原版を積層して搬送及び保存に供する場合であっても、オーバーコート層の表面にキズが入ることを防止することで、非画像部における汚れや画像部における白キズのない高品質の画像を形成することの可能な平版印刷版原版を提供することができる。
以下、本発明の平版印刷版原版について詳細に説明する。
[平版印刷版原版]
本発明の平版印刷版原版は、アルミニウム支持体上に、光又は熱によりラジカルを発生する化合物と、重合性化合物と、赤外線吸収剤と、を含有するネガ型記録層及び水溶性樹脂からなるオーバーコート層を設けてなる平版印刷版原版であって、該オーバーコート層の表面と該支持体裏面との動摩擦係数が0.2〜0.7の範囲にあることを特徴とする。動摩擦係数が0.2以下であると版材を多数枚積層して運搬する際に、版材同士が滑って荷崩れを起こす懸念が生じ、0.7を超えるとキズ防止効果が低下する傾向にあるため、いずれも好ましくない。特に好ましい動摩擦係数は、0.3〜0.6の範囲である。
このように、本発明の平版印刷版原版は、オーバーコート層の表面にキズが発生することを防止する観点から、アルミニウム支持体裏面に対するオーバーコート層表面の動摩擦係数を上記のような特定範囲に規定している。そこで、まず、本発明の平版印刷版原版に用いられるアルミニウム支持体と所望により設けられるバック層について説明する。
本発明の平版印刷版原版に使用される支持体は、アルミニウムおよびアルミニウム合金からなる板状物であり、また、紙やプラスチックの両面にアルミニウムやアルミニウム合金の板状物を貼り合わせたものが用いられる。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板およびアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下のものが好ましい。本発明に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来公知公用の素材、例えばJISA1050、JIS A1100、JIS A3003、JIS A3103、JIS A3005などで規定されるアルミニウムを適宜利用することが出来る。本発明に用いられるアルミニウム板の厚みは、通常およそ0.1mm〜0.6mm程度である。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。まず、アルミニウム板の表面は粗面化処理されるが、その方法としては、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法および化学的に表面を選択溶解させる方法がある。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などと称せられる公知の方法を用いることが出来る。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸または硝酸電解液中で交流または直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように機械的粗面化法と電気化学的粗面化法の両者を組み合わせた方法も利用することが出来る。
このように粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては多孔質酸化皮膜を形成するものならばいかなるものでも使用することができ、一般には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲にあれば適当である。中でも、硫酸を電解質とし、英国特許第1,412,768号明細書に記載されているような高電流密度で陽極酸化する方法および米国特許第4,211,619号明細書に記載されているような低濃度の硫酸水溶液中で陽極酸化する方法が好ましく、硫酸の濃度が5〜20質量%、溶存アルミニウムイオンの濃度が3〜15質量%、温度25〜50℃の電解液中で5〜20A/dm2の電流密度で直流で陽極酸化する方法が最も好ましい。
ネガ型記録層側の陽極酸化皮膜の量は、耐刷性を確保し、平版印刷版の非画像部への傷、印刷時の傷部分へのインキの付着を防止する上で、1.0g/m2以上が好適であるが、より好ましくは2.0〜6.0g/m2の範囲である。陽極酸化皮膜を1.0g/m2以上とすることにより、いわゆる「傷汚れ」が生じ難くなる。
なお、記録層側の陽極酸化処理は感光性平版印刷版の支持体の印刷に用いる面に施されるが、電気力線の裏周りにより、該支持体の裏面にも、アルミの端部に厚く、中央部に薄い形の分布で0.01〜3g/m2の陽極酸化皮膜が形成されるのが一般的である。
陽極酸化処理を施された後、アルミニウム表面は必要により親水化処理が施される。本発明に使用される親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、第3,181,461号、第3,280,734号および第3,902,734号に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。この方法に於いては、支持体がケイ酸ナトリウム水溶液中で浸漬処理されるかまたは電解処理される。
他に、特公昭36−22063号公報に開示されている弗化ジルコン酸カリウムおよび米国特許第3,276,868号、第4,153,461号および第4,689,272号に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
上記の如く表面処理されたアルミニウム支持体上に後述のネガ型記録層を形成することで、本発明の平版印刷版原版を作成するが、記録層を塗設する前に必要に応じて、有機または無機の下塗り層が設けられていてもかまわない。
〔2〕支持体裏面処理
本発明の特徴である、記録層と反対側の支持体裏面とオーバーコート層表面の動摩擦係数を0.2〜0.7の範囲とするためには、支持体裏面を修飾することが好ましい。動摩擦係数を下げる裏面処理としては、アルミニウム支持体裏面に、記録層側と同じ様に全面に均一に陽極酸化皮膜を0.6g/m2以上形成する方法、アルミニウム支持体裏面に、表面滑り性制御のためのバック層を設ける方法などが挙げられ、バック層を設ける方法がより有効であり、好ましい。
最初にアルミニウム支持体裏面に、記録層側と同じ様に全面に均一に陽極酸化皮膜を0.6g/m2以上形成する方法について記載する。
支持体裏面に設けられる陽極酸化皮膜の厚みは、0.6g/m2以上であれば有効であり、性能上の観点からはその上限には特に制限はないが、皮膜形成時の電力などのエネルギー、形成に要する時間などを考慮すれば6g/m2程度であればよく、実用的な好ましい皮膜量は0.7g〜6g/m2であり、より好ましい範囲としては1.0g〜3g/m2である。
陽極酸化皮膜の量は、蛍光X線を用い、Al23のピークを測定し、ピーク高さと被膜量の検量線により、換算することができる。
本発明において、アルミニウム支持体の面に陽極酸化皮膜が全面に設けられ、その量が0.6g/m2以上であることは、平版印刷版原版におけるアルミニウム支持体の記録層と反対側の陽極酸化皮膜を有する面の中央部と、その中央部を通り、処理方向(Machine Direction)に直交する方向(Transverse Direction)における両端から各々5cmの端部について、いずれもが陽極酸化皮膜量0.6g/m2以上であることにより確認される。
次にアルミニウム支持体裏面に、表面滑り性制御のためのバック層を設ける方法について記載する。本発明におけるバック層としては、形成後の表面と、オーバーコート層表面との動摩擦係数が0.2〜0.7の範囲となる限りにおいて、どのような組成のものを用いてもよいが、特に、以下に詳述する有機金属化合物又は無機金属化合物を加水分解及び重縮合させて得られる金属酸化物と、コロイダルシリカゾルとを含むバック層が好ましい。バック層の成分及び該成分の含有量等を調整することにより、オーバーコート層表面との動摩擦係数を0.2〜0.7の範囲とすることが可能である。
より具体的には、有機金属化合物あるいは無機金属化合物を水および有機溶媒中で、酸、またはアルカリなどの触媒で加水分解、及び縮重合反応を起こさせたいわゆるゾル−ゲル反応液により形成されるバック層が好ましい。
バック層形成に用いる有機金属化合物あるいは無機金属化合物としては、例えば、金属アルコキシド、金属アセチルアセトネート、金属酢酸塩、金属シュウ酸塩、金属硝酸塩、金属硫酸塩、金属炭酸塩、金属オキシ塩化物、金属塩化物およびこれらを部分加水分解してオリゴマー化した縮合物が挙げられる。
金属アルコキシドはM(OR)nの一般式で表される(Mは金属元素、Rはアルキル基、nは金属元素の酸化数を示す)。具体例としては、例えば、Si(OCH34、Si(OC254、Si(OC374、Si(OC494、Al(OCH33、Al(OC253、Al(OC373、Al(OC493、B(OCH33、B(OC253、B(OC373、B(OC493、Ti(OCH34、Ti(OC254、Ti(OC374、Ti(OC494、Zr(OCH34、Zr(OC254、Zr(OC374、Zr(OC494などが挙げられ、その他にも、例えば、Ge、Li、Na、Fe、Ga、Mg、P、Sb、Sn、Ta、Vなどのアルコキシドが挙げられる。さらに、CH3Si(OCH33、C25Si(OCH33、CH3Si(OC253、C25Si(OC253などのモノ置換珪素アルコキシドも用いられる。
これらの有機金属化合物あるいは無機金属化合物は単独、または二つ以上のものを組み合わせて用いることができる。これらの有機金属化合物あるいは無機金属化合物のなかでは金属アルコキシドが反応性に富み、金属−酸素の結合からできた重合体を生成しやすく好ましい。それらのうち、Si(OCH34、Si(OC254、Si(OC374、Si(OC494、などの珪素のアルコキシド化合物が安価で入手し易く、それから得られる金属酸化物の被覆層が優れており特に好ましい。また、これらの珪素のアルコキシド化合物を部分加水分解して縮合したオリゴマーも好ましい。この例としては、約40質量%のSiO2を含有する平均5量体のエチルシリケートオリゴマーが挙げられる。
さらに、前記珪素のテトラアルコキシ化合物の一個または二個のアルコキシ基をアルキル基や反応性を持った基で置換したいわゆるシランカップリング剤を、これら金属アルコキシドと併用することも好ましい例として挙げられる。
本発明におけるバック層とオーバーコート層の動摩擦係数を小さくするために添加するシランカップリング剤としては、前記珪素のテトラアルコキシ化合物における一個または二個のアルコキシ基を炭素数4〜20の長鎖アルキル、フッ素置換アルキル基などの疎水性の置換基で置換したシランカップリング剤が挙げられ、特にフッ素置換アルキル基を有するシランカップリング剤が好ましい。この様なシランカップリング剤の具体例としては、CF3CH2CH2Si(OCH33、CF3CF2CH2CH2Si(OCH33、CF3CH2CH2Si(OC253、が挙げられ、市販品では信越化学株式会社製LS−1090等が挙げられる。上記フッ素置換アルキル基で置換されたシランカップリング剤は、本発明における有機フッ素化合物に包含される。
このようなシランカップリング剤の好ましい含有量は、バック層全固形分の5〜90質量%であり、より好ましく10〜80質量%の範囲である。
他方、バック層のゾル−ゲル塗布液を形成する際に有用な触媒としては有機、無機の酸およびアルカリが用いられる。その例としては、塩酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、フッ素、リン酸、亜リン酸などの無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、グリコール酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、フロロ酢酸、ブロモ酢酸、メトキシ酢酸、オキサロ酢酸、クエン酸、シュウ酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、アスコルビン酸、安息香酸、3,4−ジメトキシ安息香酸のような置換安息香酸、フェノキシ酢酸、フタル酸、ピクリン酸、ニコチン酸、ピコリン酸、ピラジン、ピラゾール、ジピコリン酸、アジピン酸、p−トルイル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキセン−2,2−ジカルボン酸、エルカ酸、ラウリン酸、n−ウンデカン酸、アスコルビン酸などの有機酸、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物、アンモニア、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカリが挙げられる。
他にスルホン酸類、スルフィン酸類、アルキル硫酸類、ホスホン酸類、およびリン酸エステル類など、具体的には、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチル酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、リン酸フェニル、リン酸ジフェニルなどの有機酸も使用できる。
これらの触媒は単独または二種以上を組み合わせて用いることができる。触媒は原料の金属化合物に対して0.001〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.05〜5質量%の範囲である。触媒量がこの範囲より少ないとゾル−ゲル反応の開始が遅くなり、この範囲より多いと反応が急速に進み、不均一なゾル−ゲル粒子ができるため、得られる被覆層は剥離しやすいものとなる。
ゾル−ゲル反応を開始させるには更に適量の水が必要であり、その好ましい添加量は原料の金属化合物を完全に加水分解するのに必要な水の量の0.05〜50倍モルが好ましく、より好ましくは0.5〜30倍モルである。水の量がこの範囲より少ないと加水分解が進みにくく、この範囲より多いと原料が薄められるためか、やはり反応が進みにくくなる。
ゾル−ゲル反応液には更に溶媒が添加される。溶媒は原料の金属化合物を溶解し、反応で生じたゾル−ゲル粒子を溶解または分散するものであればよく、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの低級アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトンなどのケトン類が用いられる。またバック層の塗布面質向上等の目的でエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコールおよびジプロピレングリコールなどのグリコール類のモノまたはジアルキルエーテルおよび酢酸エステルを用いることができる。これらの溶媒の中で水と混合可能な低級アルコール類が好ましい。ゾル−ゲル反応液は塗布するのに適した濃度に溶媒で調製されるが、溶媒の全量を最初から反応液に加えると原料が希釈されるためか加水分解反応が進みにくくなる。そこで溶媒の一部をゾル−ゲル反応液に加え、反応が進んだ時点で残りの溶媒を加える方法が好ましい。
ゾル−ゲル反応液を含むバック層において、下記に示す界面活性剤等の添加剤を配合することにより、摩擦係数を調整することができる。本発明におけるバック層に添加する界面活性剤としては、カルボン酸、スルホン酸、硫酸エステル及び燐酸エステルのいずれかを有するアニオン型の界面活性剤;脂肪族アミン、第4級アンモニウム塩のようなカチオン型の界面活性剤;ベタイン型の両性界面活性剤;又は、ポリオキシ化合物の脂肪酸エステル、ポリアルキンレンオキシド縮合型、ポリエチレンイミン縮合型の様なノニオン型界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられるが、特にフッ素系界面活性剤が好ましい。
さらに好ましい界面活性剤は、本発明における有機フッ素化合物に包含される、分子内にパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系の界面活性剤である。かかるフッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどのアニオン型、パーフルオロアルキルベタインなどの両性型、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩などのカチオン型及びパーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基及び親水性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基、親水性基及び親油性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基含有ウレタンなどの非イオン型が挙げられる。更にこれらの中でも前記フルオロ脂肪族基が下記一般式(1)で表される基であることが好ましい。
Figure 2006065243
(前記一般式(1)中、R2及びR3は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個のアルキル基を表し、Xは単結合もしくは2価の連結基を表し、mは0以上の整数、nは1以上の整数を表す。)
このようなフッ素系界面活性剤はバック層中に0.5〜10質量%程度含まれていることが好ましい。
本発明のバック層の厚さは0.1〜8μmの範囲が好ましい。厚さ0.1μm未満ではアルミ支持体裏面の表面滑り性制御の効果は十分ではなく、厚さが8μmを越えると印刷中、印刷周辺で用いられる薬品によってバック層が溶解したり、あるいは膨潤したりして厚みが変動し、印圧が変化して印刷特性を劣化させる。
バック層をアルミニウム支持体の裏面に被覆するには種々の方法が適用できる。バック層成分にシリカゲル等の微粒子を添加した後、例えば適当な溶媒に溶解して、または乳化分散液にして塗布、乾燥する方法、例えば予めフィルム状に成形したものを接着剤や熱でアルミニウム支持体に貼り合わせる方法および溶融押し出し機で溶融皮膜を形成し、支持体に貼り合わせる方法等が挙げられるが、上記の塗布量を確保する上で最も好ましいのは溶液にして塗布、乾燥する方法である。ここで使用される溶媒としては、特開昭62−251739号公報に記載されているような有機溶剤が単独あるいは混合して用いられる。
バック層塗布液を支持体表面に塗布する手段としては、バーコーター、ロールコーター、グラビアコーター、あるいはカーテンコーター、エクストルーダ、スライドホッパー等公知の計量塗布装置を挙げることができるが、アルミニウム支持体裏面に傷を付け無い点からカーテンコーター、エクストルーダ、スライドホッパー等の非接触型定量コーターが特に好ましい。
バック層に対するオーバーコート層の動摩擦係数の測定方法は、公知の任意の方法を用いることができるが、特に、JIS P 8147に提示されている方法が簡易でかつ実用的に充分な精度で測定できる。
<ネガ型記録層>
本発明の平版印刷版原版におけるネガ型記録層は、ラジカル重合層である。ラジカル重合層には、(A)赤外線吸収剤と(B)ラジカル発生剤(ラジカル重合開始剤)と発生したラジカルにより重合反応を起こして硬化する(C)ラジカル重合性化合物とを含有し、好ましくは、更に、(D)バインダーポリマーを含有する。
このようなネガ型記録層の画像形成機構としては、まず、赤外線レーザ露光の光、及び/又は(A)赤外線吸収剤が吸収した赤外線を熱に変換し、この際発生した熱により、オニウム塩等の(B)ラジカル重合開始剤が分解し、ラジカルを発生するか、或いは、赤外線を吸収した(A)赤外線吸収剤からトリアジン等の(B)ラジカル重合開始剤への電子移動により、ラジカルを発生する。記録層中に存在する(C)ラジカル重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有し、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれたものであり、前記(B)ラジカル重合開始剤から発生したラジカルにより、連鎖的に重合反応が生起し、露光領域が硬化し、画像形成する。
[(A)赤外線吸収剤]
本発明の平版印刷版原版におけるネガ型記録層は、赤外線を発するレーザで画像記録可能な構成を有する。このようなネガ型記録層には、赤外線吸収剤を用いることが記録感度の観点から好ましい。赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能を有しており、露光光源の波長に適する化合物を適宜選択して用いればよい。この際発生した熱により、ラジカル発生剤や酸発生剤が分解し、ラジカルや酸を発生する。本発明において使用される赤外線吸収剤は、波長760nmから1200nmに吸収極大を有する染料又は顔料である。
染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、例えば、特開平10−39509号公報の段落番号[0050]〜[0051]に記載のものを挙げることができる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。更に、シアニン色素が好ましく、特に下記一般式(I)で示されるシアニン色素が最も好ましい。
Figure 2006065243
一般式(I)中、X1は、ハロゲン原子、又はX2−L1を示す。ここで、X2は酸素原子、又は硫黄原子を示し、L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。ネガ型記録層塗布液の保存安定性から、R1及びR2は、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、更に、R1とR2とは互いに結合し、5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar1、Ar2は、それぞれ同じでも異なっていても良く、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基を示す。Y1、Y2は、それぞれ同じでも異なっていても良く、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R3、R4は、それぞれ同じでも異なっていても良く、置換基を有していても良い炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R5、R6、R7及びR8は、それぞれ同じでも異なっていても良く、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Z1-は、対アニオンを示す。ただし、構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合には、Z1-は必要ない。好ましいZ1-は、ネガ型記録層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(I)で示されるシアニン色素の具体例としては、特願平11−310623号明細書の段落番号[0017]〜[0019]に記載されたものを挙げることができる。
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。これらの顔料の詳細は、特開平10−39509号公報の段落番号[0052]〜[0054]に詳細に記載されており、これらを本発明にも適用することができる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
ネガ型記録層中における、上述の染料又は顔料の含有量としては、ネガ型記録層の全固形分重量に対し、0.01〜50質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、更に染料の場合には、0.5〜10質量%が最も好ましく、顔料の場合には、1.0〜10質量%が最も好ましい。
前記含有量が、0.01質量%未満であると、感度が低くなることがあり、50質量%を超えると、平版印刷用原版とした場合の非画像部に汚れが発生することがある。
[(B)重合開始剤]
本発明の平版印刷版原版のネガ型記録層に用いられる重合開始剤は、後述する(C)重合性化合物の硬化反応を開始、進行させる機能を有し、熱により分解してラジカルを発生する熱分解型のラジカル発生剤、赤外線吸収剤の励起電子を受容してラジカルを発生する電子移動型のラジカル発生剤、又は、励起した赤外線吸収剤に電子移動してラジカルを発生する電子移動型のラジカル発生剤など、エネルギーを付与することでラジカルを生成させるものであればいかなる化合物を用いてもよい。
例えば、オニウム塩、活性ハロゲン化合物、オキシムエステル化合物、ボレート化合物などが挙げられる。これら複数の異なるラジカル発生機構を有する化合物を併用して用いてもよい。本発明における重合開始剤としては、感度と生保存性との両立といった観点からオニウム塩が好ましく、中でも、スルホニウム塩が特に好ましい。
本発明において好適に用いられるスルホニウム塩重合開始剤としては、下記一般式(II)で表されるオニウム塩が挙げられる。
Figure 2006065243
一般式(II)中、R11、R12及びR13は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、又は炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z11-はハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、カルボキシレートイオン、及びスルホン酸イオンからなる群より選択される対イオンを表し、好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、カルボキシレートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
以下に、一般式(I)で表されるオニウム塩の具体例([OS−1]〜[OS−12])を挙げるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2006065243
Figure 2006065243
上記したものの他、特開2002−148790公報、特開2002−148790公報、特開2002−350207公報、特開2002−6482公報に記載の特定の芳香族スルホニウム塩も好適に用いられる。
本発明の平版印刷版原版のネガ型記録層に、重合開始剤として好ましい前記高感度のスルホニウム塩重合開始剤を用いることにより、ラジカル重合反応が効果的に進行し、形成された画像部の強度が非常に高いものとなる。従って、後述する水溶性保護層の高い酸素遮断機能とあいまって、高い画像部強度を有する平版印刷版を作製することができ、その結果、耐刷性が一層向上する。また、スルホニウム塩重合開始剤はそれ自体が経時安定性に優れていることから、作製された平版印刷版原版を保存した際にも、所望されない重合反応の発生が効果的に抑制されるという利点をも有することになる。
本発明に用いられる(B)重合開始剤は、上記スルホニウム塩重合開始剤に限定されず、他の公知の重合開始剤(他のラジカル発生剤)を任意に選択して用いることができる。
他のラジカル発生剤としては、スルホニウム塩以外の他のオニウム塩、トリハロメチル基を有するトリアジン化合物、過酸化物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、キノンジアジド、活性ハロゲン化合物、オキシムエステル化合物、トリアリールモノアルキルボレート化合物などが挙げられ、中でも、高感度であることから、オニウム塩が好ましい。また、上記のスルホニウム塩重合開始剤を必須成分として、これらの重合開始剤(ラジカル発生剤)を併用することもできる。
本発明において好適に用い得る他のオニウム塩としては、ヨードニウム塩及びジアゾニウム塩が挙げられる。本発明において、これらのオニウム塩は酸発生剤ではなく、ラジカル重合の開始剤として機能する。
本発明における他のオニウム塩としては、下記一般式(III)及び(IV)で表されるオニウム塩が挙げられる。
Figure 2006065243
一般式(III)中、Ar21とAr22は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下のアリール基を示す。このアリール基が置換基を有する場合の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、又は炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z21-はZ11-と同義の対イオンを表す。
一般式(IV)中、Ar31は、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下のアリール基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、炭素原子数12個以下のアリールオキシ基、炭素原子数12個以下のアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のジアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のアリールアミノ基又は、炭素原子数12個以下のジアリールアミノ基が挙げられる。Z31-はZ11-と同義の対イオンを表す。
以下に、本発明において、好適に用いることのできる一般式(III)で示されるオニウム塩([OI−1]〜[OI−10])、及び一般式(IV)で示されるオニウム塩([ON−1]〜[ON−5])の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2006065243
Figure 2006065243
Figure 2006065243
本発明において重合開始剤(ラジカル発生剤)として好適に用いることのできるオニウム塩の具体例としては、特開2001−133696号公報に記載されたもの等を挙げることができる。
なお、本発明において用いられる重合開始剤(ラジカル発生剤)は、極大吸収波長が400nm以下であることが好ましく、更に360nm以下であることが好ましい。このように吸収波長を紫外線領域にすることにより、平版印刷版原版の取り扱いを白灯下で実施することができる。
本発明における重合開始剤としては、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上の重合開始剤を併用する場合は、例えば、好適に用いられるスルホニウム塩重合開始剤のみを複数種用いてもよいし、スルホニウム塩重合開始剤と他の重合開始剤を併用してもよい。
スルホニウム塩重合開始剤と他の重合開始剤とを併用する場合の含有比(質量比)としては、100/1〜100/50が好ましく、100/5〜100/25がより好ましい。
本発明における重合開始剤の総含有量は、感度及び印刷時の非画像部に汚れの発生の観点から、ネガ型記録層を構成する全固形分に対し0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは1〜20質量%である。
また、重合開始剤は、他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよい。
[(C)ラジカル重合性化合物]
本発明におけるネガ型記録層に使用されるラジカル重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。この様な化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつものであってもよい。
モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類及びチオール類との付加反応物、更に、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類及びチオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換えた化合物群を使用する事も可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであるラジカル重合性化合物であるアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、イタコン酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エステル、マレイン酸エステルの具体例は、特願平11−310623号明細書の段落番号[0037]〜[0042]に記載されており、これらを本発明にも適用することができる。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926、特公昭51−47334、特開昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240、特開昭59−5241、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有する化合物を挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(V)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
一般式(V)
CH2=C(R21)COOCH2CH(R22)OH
(ただし、R21及びR22は、H又はCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
更に、特開昭63−277653,特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有するラジカル重合性化合物類を用いても良い。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートをあげることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合物等もあげることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
これらのラジカル重合性化合物について、どの様な構造を用いるか、単独で使用するか併用するか、添加量はどうかといった、使用方法の詳細は、最終的な記録材料の性能設計にあわせて、任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上がこのましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものが良く、更に、異なる官能数・異なる重合性基を有する化合物(例えば、アクリル酸エステル系化合物、メタクリル酸エステル系化合物、スチレン系化合物等)を組み合わせて用いることで、感光性と強度の両方を調節する方法も有効である。
大きな分子量の化合物や、疎水性の高い化合物は感度や膜強度に優れる反面、現像スピードや現像液中での析出といった点で好ましく無い場合がある。また、ネガ型記録層中の他の成分(例えばバインダーポリマー、開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、ラジカル重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上化合物の併用によって、相溶性を向上させうることがある。
また、支持体、オーバーコート層等の密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。画像記録層中のラジカル重合性化合物の配合比に関しては、多い方が感度的に有利であるが、多すぎる場合には、好ましく無い相分離が生じたり、画像記録層の粘着性による製造工程上の問題(例えば、記録層成分の転写、粘着に由来する製造不良)や、現像液からの析出が生じる等の問題を生じうる。
これらの観点から、ラジカル重合性化合物の好ましい配合比は、多くの場合、記録層を構成する組成物全成分に対して5〜80質量%、好ましくは20〜75質量%である。また、これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。そのほか、ラジカル重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択でき、更に場合によっては下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施しうる。
[(D)バインダーポリマー]
本発明に係る感光層には、膜性向上の観点からバインダーポリマーを含有することが好ましい。膜性を向上させる機能を有するバインダーポリマーであれば、アクリル系バインダー、スチレン系バインダー、ブチラール系バインダー、ウレタン系バインダー等種々のものを使用することがすることができる。なかでも、後述する分子内にエチレン性不飽和二重結合を有する基及び/又は分子内にアルカリ可溶性基を有するバインダーポリマーが、好適に使用できる。
これら好ましい2種の基は、共重合成分として同一分子内に有しているものを用いてもよく、それぞれ独立に有している2種以上のバインダーを併用してもよいが、エチレン性不飽和二重結合を有する基に加えて、さらに、アルカリ可溶性基を有する構造単位を共重合成分として含むバインダーポリマーが好ましい。
(エチレン性不飽和二重結合を有する基)
エチレン性不飽和二重結合を有する基としては、ラジカルにより重合することが可能な基であれば特に限定されないが、α−置換メチルアクリル基[−OC(=O)−C(−CH2Z)=CH2、Z=ヘテロ原子から始まる炭化水素基]、アクリル基、メタクリル基、アリル基、スチリル基が挙げられ、この中でも、アクリル基、メタクリル基が好ましい。
バインダーポリマー中のエチレン性不飽和二重結合の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、感度と保存性との両立の観点からは、バインダーポリマー1gあたり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは1.0〜7.0mmol、最も好ましくは2.0〜5.5mmolである。
(アルカリ可溶性基)
また、バインダーポリマーに含まれるアルカリ可溶性基としては、バインダーポリマーのアルカリ性現像液に対する溶解性の観点から、下記(1)〜(6)からなる群より選択されるアルカリ可溶性基が好ましく挙げられ、ここに挙げるアルカリ可溶性基の少なくとも1種を含む構造単位をもつバインダーポリマーが好ましい。
(1)フェノール性水酸基(−Ar−OH)
(2)スルホンアミド基(−SO2NH−R)
(3)置換スルホンアミド系酸基(以下、「活性イミド基」という。)
〔−SO2NHCOR、−SO2NHSO2R、−CONHSO2R〕
(4)カルボン酸基(−CO2H)
(5)スルホン酸基(−SO3H)
(6)リン酸基(−OPO32
上記(1)〜(6)中、Arは置換基を有していてもよい2価のアリール連結基を表し、Rは水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
上記(1)〜(6)より選ばれるより選ばれるアルカリ可溶性基(酸性基)を有する構造単位は、1種のみである必要はなく、同一の酸性基を有し、互いに異なる2種以上の構造単位を共重合させたものであってもよく、互いに異なる酸性基を有する構造単位を2種以上共重合させたものであってもよい。
バインダーポリマー中のアルカリ可溶性基の含有量(中和滴定による酸価)は、現像カスの発生防止及び耐刷性の観点から、バインダーポリマー1g当たり、好ましくは0.1〜3.0mmol、より好ましくは0.2〜2.0mmol、最も好ましくは0.45〜1.0mmolである。
バインダーポリマーにアルカリ可溶性基を導入する態様としては、ポリマー中に、下記一般式(i)で表される構造単位を含む態様が挙げられる。
Figure 2006065243
(一般式(i)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群より選択される2以上の原子を含み構成され、その原子数が2〜82である連結基を表す。Aは酸素原子又は−NR3−を表し、R3は水素原子又は炭素数1〜10の一価の炭化水素基を表す。nは1〜5の整数を表す。)
一般式(i)におけるR1は、水素原子又はメチル基を表し、特にメチル基が好ましい。
一般式(i)におけるR2で表される連結基は、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群より選択される2以上の原子を含み構成され、その原子数が2〜82であり、好ましくは2〜50であり、より好ましくは2〜30である。ここで示す原子数は、当該連結基が置換基を有する場合には、その置換基を含めた原子数を指す。
より具体的には、R2で表される連結基の主骨格を構成する原子数が、1〜30であることが好ましく、3〜25であることがより好ましく、4〜20であることが更に好ましく、5〜10であることが最も好ましい。なお、本発明における「連結基の主骨格」とは、一般式(I)におけるAと末端COOHとを連結するためのみに使用される原子又は原子団を指し、特に、連結経路が複数ある場合には、使用される原子数が最も少ない経路を構成する原子又は原子団を指す。したがって、連結基内に環構造を有する場合、その連結部位(例えば、o−、m−、p−など)により算入されるべき原子数が異なる。
また、より具体的には、アルキレン、置換アルキレン、アリーレン、置換アリーレンなどが挙げられ、これらの2価の基がアミド結合やエステル結合で複数連結された構造を有していてもよい。
鎖状構造の連結基としては、エチレン、プロピレン等が挙げられる。また、これらのアルキレンがエステル結合を介して連結されている構造もまた好ましいものとして例示することができる。
この中でも、一般式(i)におけるR2で表される連結基は、炭素原子数3から30までの脂肪族環状構造を有する(n+1)価の炭化水素基であることが好ましい。より具体的には、任意の置換基によって一個以上置換されていてもよいシクロプロパン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、ジシクロヘキシル、ターシクロヘキシル、ノルボルナン等の脂肪族環状構造を有する化合物を構成する任意の炭素原子上の水素原子を(n+1)個除き、(n+1)価の炭化水素基としたものを挙げることができる。また、R2は、置換基を含めて炭素数3から30であることが好ましい。
脂肪族環状構造を構成する化合物の任意の炭素原子は、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子から選ばれるヘテロ原子で、一個以上置き換えられていてもよい。耐刷性の点で、R2は縮合多環脂肪族炭化水素、橋架け環脂肪族炭化水素、スピロ脂肪族炭化水素、脂肪族炭化水素環集合(複数の環が結合又は連結基でつながったもの)等、2個以上の環を含有してなる炭素原子数5から30までの置換基を有していてもよい脂肪族環状構造を有する(n+1)価の炭化水素基であることが好ましい。この場合も炭素数は置換基が有する炭素原子を含めてのものである。
2で表される連結基としては、特に、連結基の主骨格を構成する原子数が5〜10のものが好ましく、構造的には、鎖状構造であって、その構造中にエステル結合を有するものや、前記の如き環状構造を有するものが好ましい。
2で表される連結基に導入可能な置換基としては、水素を除く1価の非金属原子団を挙げることができ、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N'−アルキルウレイド基、N',N'−ジアルキルウレイド基、N'−アリールウレイド基、N',N'−ジアリールウレイド基、N'−アルキル−N'−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N'−アルキル−N−アルキルウレイド基、N'−アルキル−N−アリールウレイド基、N',N'−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N',N'−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N'−アリール−N−アルキルウレイド基、N'−アリール−N−アリールウレイド基、N',N'−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N',N'−ジアリール−N−アリールウレイド基、N'−アルキル−N'−アリール−N−アルキルウレイド基、N'−アルキル−N'−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基及びその共役塩基基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SO3H)及びその共役塩基基、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、N−アシルスルファモイル基及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(aryl))及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(aryl))及びその共役塩基基、アルコキシシリル基(−Si(Oalkyl)3)、アリーロキシシリル基(−Si(Oaryl)3)、ヒドロキシシリル基(−Si(OH)3)及びその共役塩基基、ホスホノ基(−PO32)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノ基(−PO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノ基(−PO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノ基(−PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−PO3H(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノ基(−PO3H(aryl))及びその共役塩基基、ホスホノオキシ基(−OPO32)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPO3H(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノオキシ基(−OPO3H(aryl))及びその共役塩基基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルボリル基(−B(alkyl)2)、ジアリールボリル基(−B(aryl)2)、アルキルアリールボリル基(−B(alkyl)(aryl))、ジヒドロキシボリル基(−B(OH)2)及びその共役塩基基、アルキルヒドロキシボリル基(−B(alkyl)(OH))及びその共役塩基基、アリールヒドロキシボリル基(−B(aryl)(OH))及びその共役塩基基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
本発明の平版印刷版原版では、ネガ型記録層の設計にもよるが、水素結合可能な水素原子を有する置換基や、特に、カルボン酸よりも酸解離定数(pKa)が小さい酸性を有する置換基は、耐刷性を下げる傾向にあるので好ましくない。一方、ハロゲン原子や、炭化水素基(アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基)、アルコキシ基、アリーロキシ基などの疎水性置換基は、耐刷を向上する傾向にあるのでより好ましく、特に、環状構造がシクロペンタンやシクロヘキサン等の6員環以下の単環脂肪族炭化水素である場合には、このような疎水性の置換基を有していることが好ましい。これら置換基は可能であるならば、置換基同士、又は置換している炭化水素基と結合して環を形成してもよく、置換基は更に置換されていてもよい。
一般式(i)におけるAがNR3−である場合のR3は、水素原子又は炭素数1〜10の一価の炭化水素基を表す。このR3で表される炭素数1〜10までの一価の炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−ノルボルニル基等の炭素数1〜10までの直鎖状、分枝状、又は環状のアルキル基が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、インデニル基等の炭素数1〜10までのアリール基、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1個含有する炭素数1〜10までのヘテロアリール基、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、キノリル基等が挙げられる。
アルケニル基の具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基等の炭素数1〜10までの直鎖状、分枝状、又は環状のアルケニル基が挙げられる。
アルキニル基の具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−オクチニル基等の炭素数1〜10までのアルキニル基が挙げられる。Rが有してもよい置換基としては、Rが導入し得る置換基として挙げたものと同様である。但し、Rの炭素数は、置換基の炭素数を含めて1〜10である。
一般式(i)におけるAは、合成が容易であることから、酸素原子又は−NH−であることが好ましい。
一般式(i)におけるnは、1〜5の整数を表し、耐刷の点で好ましくは1である。
以下に、一般式(i)で表される繰り返し単位の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
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一般式(i)で表される繰り返し単位は、バインダーポリマー中に1種類だけであってもよいし、2種類以上含有していてもよい。本発明における特定バインダーポリマーは、一般式(i)で表される繰り返し単位だけからなるポリマーであってもよいが、通常、他の共重合成分と組み合わされ、コポリマーとして使用される。コポリマーにおける一般式(i)で表される繰り返し単位の総含有量は、その構造や、ネガ型記録層組成物の設計等によって適宜決められるが、好ましくはポリマー成分の総モル量に対し、1〜99モル%、より好ましくは5〜40モル%、更に好ましくは5〜20モル%の範囲で含有される。
コポリマーとして用いる場合の共重合成分としては、ラジカル重合可能なモノマーであれば従来公知のものを制限なく使用できる。具体的には、「高分子データハンドブック−基礎編−(高分子学会編、培風館、1986)」記載のモノマー類が挙げられる。このような共重合成分は1種類であってもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明おけるバインダーポリマーは、前記一般式(i)で表される繰り返し単位を含む特定のポリマーのみを用いてもよいし、この特定のポリマーと他の公知のバインダーポリマーとを1種以上併用して、混合物として用いてもよく、また、特定ポリマーを含まない公知のバインダーポリマーを1種以上用いてもよい。前記一般式(i)で表される繰り返し単位を含む特定のポリマーと他の公知のバインダーポリマーとを併用する場合、他のバインダーポリマーは、バインダーポリマー成分の総質量に対し1〜60質量%、好ましくは1〜40質量%、更に好ましくは1〜20質量%の範囲で用いられる。
併用できる他のバインダーポリマーとしては、従来公知のものを制限なく使用でき、具体的には、本技術分野においてよく使用されるアクリル主鎖バインダーや、ウレタンバインダー、スチレン主鎖バインダー等、従来公知のバインダーポリマーを併用することもできる。
このような場合であっても、バインダーポリマー総質量1gあたりのエチレン性不飽和二重結合の総含有量は前記した範囲と同様であることが好ましい。即ち、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは1.0〜7.0mmol、最も好ましくは2.0〜5.5mmolである。
また、このようなバインダーポリマー総質量1gあたりの総酸価は0.45〜3.6mmolの範囲であることが好ましい。
本発明におけるバインダーポリマーの質量平均分子量は、皮膜性(耐刷性)や、塗布溶剤への溶解性の観点から、好ましくは2,000〜1,000,000、より好ましくは10,000〜300,000、最も好ましくは20,000〜200,000の範囲である。
また、このようなバインダーポリマーのガラス転移点(Tg)は、保存安定性、耐刷性、及び感度の観点から、好ましくは70〜300℃、より好ましくは80〜250℃、最も好ましくは90〜200℃の範囲である。
バインダーポリマーのガラス転移点を高めるため手段としては、その分子中に、アミド基やイミド基を含有することが好ましく、特に、メタクリルアミドやメタクリルアミド誘導体を含有することが好ましい。
本発明におけるネガ型記録層組成物中でのバインダーポリマーの合計量(総量)は、適宜決めることができるが、記録層組成物中の不揮発性成分の総質量に対し、通常、10〜90質量%であり、好ましくは20〜80質量%、更に好ましくは30〜70質量%の範囲である。
[その他の成分]
本発明においては、記録層に、更に、必要に応じてこれら以外に種々の化合物を添加してもよい。例えば、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料も好適に用いることができる。
これらの着色剤は、画像形成後、画像部と非画像部の区別がつきやすいので、添加する方が好ましい。なお、添加量は、ネガ型記録層塗布液全固形分に対し、0.01〜10質量%の割合である。
また、本発明においては、塗布液の調製中或いは保存中においてラジカル重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、全組成物の重量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程でネガ型記録層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.1質量%〜約10質量%が好ましい。
また、本発明におけるネガ型記録層塗布液中には、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号や特開平3−208514号に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号、特開平4−13149号に記載されているような両性界面活性剤を添加することができる。
非イオン面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
両性界面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等が挙げられる。
上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤のネガ型記録層塗布液中に占める割合は、0.05〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
更に、本発明におけるネガ型記録層塗布液中には、必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル等が用いられる。
<平版印刷版原版の製造方法>
本発明の平版印刷版原版は、上述の支持体上に、通常上記各成分を溶媒に溶かして塗布することによりネガ型記録層を形成することで製造される。
ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン、水等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。これらの溶媒は単独又は混合して使用される。溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
また塗布、乾燥後に得られる支持体上の記録層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、平版印刷版原版についていえば一般的に0.5〜5.0g/m2が好ましい。塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。塗布量が少なくなるにつれて、見かけの感度は大になるが、画像記録の機能を果たすネガ型記録層の皮膜特性は低下する。
<オーバーコート層>
本発明の平版印刷版原版においては、ラジカル重合性の化合物を含むネガ型記録層の上に、オーバーコート層を設ける。このような記録層は、通常、露光を大気中で行うが、オーバーコート層は、記録層中で露光により生じる画像形成反応を阻害する大気中に存在する酸素や塩基性物質等の低分子化合物の記録層への混入を防止し、大気中での露光による画像形成反応の阻害を防止する。従って、このようなオーバーコート層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性が低いことであり、更に、露光に用いる光の透過性が良好で、記録層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できることが望ましい。
このような、オーバーコート層に関する工夫が従来よりなされており、米国特許第3,458,311号、特公昭55−49729号に詳しく記載されている。オーバーコート層に使用できる材料としては例えば、比較的、結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いることがよく、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸などのような水溶性ポリマーが知られているが、これらのうち、ポリビニルアルコールを主成分として用いることが、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性的にもっとも良好な結果を与える。オーバーコート層に使用するポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテル、及びアセタールで置換されていても良い。また、同様に一部が他の共重合成分を有していても良い。
ポリビニルアルコールの具体例としては71〜100%加水分解され、重合度が200から2400の範囲のものを挙げることができる。具体的には、株式会社クラレ製のPVA−102、PVA−103、PVA−104、PVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8、KL−506、KL−318、等が挙げられる。
本発明のオーバーコート層は、支持体裏面との摩擦係数を制御するとの観点から界面活性剤を添加するのが好ましい。界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレンステアレート等のポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート等のソルビタンアルキルエステル類、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレート等のモノグリセリドアルキルエステル類等のノニオン界面活性剤;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩類、ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ペンチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ヘキシルナフタレンスルホン酸ナトリウム、オクチルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルナフタレンスルホン酸塩類、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩類、ドデシルスルホン酸ソーダ等のアルキルスルホン酸塩類、ジラウリルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸エステル塩類等のアニオン界面活性剤;ラウリルベタイン、ステアリルベタイン等のアルキルベタイン類、アミノ酸類等の両性界面活性剤が使用可能である。
特に好ましい界面活性剤としてはポリオキシエチレンヒマシ油エーテル系界面活性剤が挙げられる。ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル系界面活性剤の主成分である、ヒマシ油は、トウゴマの種子から圧搾法によって得られる、植物性の不乾性油である。種子全体に対して35〜57%の油が含まれる。成分は不飽和カルボン酸のリシノール酸を約85%含有する。リシノール酸は末端のカルボキシル基と12位にヒドロキシル基、9位に不飽和2重結合を有する、ステアリン酸誘導体である。ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル界面活性剤は、このヒマシ油の主成分である、リシノール酸にエチレンオキシドを付加させて合成する、ノニオン系界面活性剤の総称である。付加反応過程で、条件によりリシノール酸のヒドロキシ基とカルボン酸基が反応し、ポリエステルとなり、分子量が1万から2万にもなる、高分子を含む界面活性剤も形成できる。
また、リシノール酸のグリセロールにエチレンオキシドを付加したタイプの界面活性剤も含まれる。
本発明において使用に適したポリオキシエチレンヒマシ油エーテル界面活性剤は、HLB=10.0〜16.0、好ましくは、11.0〜15.0である。HLBが10.0より小さいと、水溶性が低く、ポリビニルアルコールの水溶液に添加した時、濁りを生じる。また、HLBが16より大きい場合は、親水性が高すぎて、保護層の吸湿性が増す。また、ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル界面活性剤の重量平均分子量は、800〜5000、好ましくは1000〜3000である。重量平均分子量が小さすぎると、摩擦係数低下の効果が少なくなり、逆に大きくなりすぎると溶解性が低下する。
このようなポリオキシエチレンヒマシ油エーテル界面活性剤の具体例としては、竹本油脂株式会社製パイオニンD−225、パイオニンD−240−W、パイオニンD−230、パイオニンD−236、パイオニンD−225−K、花王株式会社製エマノーンCH−25、エマノーンCH−40、エマノーンCH−60等を挙げることが出来る。
ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル界面活性剤の添加量は保護層全固形分の1.0〜10質量%、好ましくは2.0〜6.0質量%で有る。添加量が少なくなると、摩擦係数低下の効果が小さくなり、添加量が多過ぎると保護層の塗布性が劣化し、塗布ムラを生じる。
更に、オーバーコート層に他の機能を付与することもできる。例えば、露光に使う光(例えば、本発明の平版印刷版原版であれば波長760nmから1200nm程度の赤外線)の透過性に優れ、かつ露光に係わらない波長の光を効率良く吸収しうる、着色剤(水溶性染料等)の添加により、感度低下を起こすことなく、セーフライト適性を更に高めることができる。
本発明においては、前記した平版印刷版原版のオーバーコート層の表面と支持体裏面との動摩擦係数が重要な要件となる。ここで、支持体裏面とは、記録層を設けなかった側の支持体最表面を指し、バック層を有しない場合には、支持体裏面とオーバーコート層との間で、バック層を有する場合には、バック層最表面とオーバーコート層の表面の間での動摩擦係数が測定される。本発明では、JIS P 8147に提示されている方法による値を採用している。動摩擦係数は二つの表面の相対的な値であり、このオーバーコート層の物性に応じて、支持体裏面側の表面物性を調整し、両者の間の動摩擦係数を好ましい範囲内とすることが重要である。
上記のようにして作製された平版印刷版原版は、通常、像露光、現像処理を施される。
像露光に用いられる活性光線の光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。また、i線、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。レーザービームとしてはヘリウム・ネオンレーザー、アルゴンレーザー、クリプトンレーザー、ヘリウム・カドミウムレーザー、KrFエキシマレーザー等が挙げられる。本発明においては、近赤外から赤外領域に発光波長を持つ光源が好ましく、固体レーザ、半導体レーザが特に好ましい。
また、レーザの出力は100mW以上が好ましく、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザデバイスを用いることが好ましい。また、1画素あたりの露光時間は20μ秒以内であることが好ましい。ネガ型記録層に照射されるエネルギーは10〜300mJ/cm2であることが好ましい。
像露光後、本発明の平版印刷版原版は、好ましくは、水又はアルカリ性水溶液にて現像される。
なお、本発明においては、レーザー照射後直ちに現像処理を行ってもよいが、レーザー照射工程と現像工程との間に加熱処理工程を設けることもできる。加熱処理条件は、80℃〜150℃の範囲で、10秒〜5分間行うことが好ましい。この加熱処理により、レーザー照射時、記録に必要なレーザーエネルギーを減少させることができる。
現像液としては、アルカリ性水溶液が好ましく、好ましいpH領域としては、10.0〜13.5の範囲が挙げられ、10.5〜13.0の範囲のアルカリ性水溶液により現像処理することが更に好ましい。アルカリ性水溶液としてpH10.0未満のものを用いると非画像部に汚れが生じやすくなる傾向があり、pH13.5を超える水溶液により現像処理すると画像部の強度が低下するおそれがある。
現像液として、アルカリ性水溶液を用いる場合、本発明の平版印刷版原版の現像液及び補充液としては、従来公知のアルカリ水溶液が使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウム及び同リチウム等の無機アルカリ塩が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン等の有機アルカリ剤も用いられる。
これらのアルカリ剤は単独又は2種以上を組み合わせて用いられる。
更に、自動現像機を用いて現像する場合には、現像液と同じもの又は、現像液よりもアルカリ強度の高い水溶液(補充液)を現像液に加えることによって、長時間現像タンク中の現像液を交換することなく、多量の平版印刷版原版を処理できることが知られている。本発明においてもこの補充方式が好ましく適用される。
現像液及び補充液には現像性の促進や抑制、現像カスの分散及び印刷版画像部の親インキ性を高める目的で必要に応じて種々の界面活性剤や有機溶剤等を添加できる。
現像液中には界面活性剤を1〜20質量%加えることが好ましく、より好ましくは、3〜10質量%の範囲である。界面活性剤の添加量が1質量%未満であると現像性向上効果が充分に得られず、20質量%を超えて添加すると画像の耐摩耗性など強度が低下するなどの弊害が出やすくなる。
好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系及び両性界面活性剤が挙げられる。具体的には、例えば、ラウリルアルコールサルフェートのナトリウム塩、ラウリルアルコールサルフェートのアンモニウム塩、オクチルアルコールサルフェートのナトリウム塩、例えば、イソプロピルナフタレンスルホン酸のナトリウム塩、イソブチルナフタレンスルホン酸のナトリウム塩、ポリオキシエチレングリコールモノナフチルエーテル硫酸エステルのナトリウム塩、ドデンルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩、メタニトロベンゼンスルホン酸のナトリウム塩などのようなアルキルアリールスルホン酸塩、第2ナトリウムアルキルサルフェートなどの炭素数8〜22の高級アルコール硫酸エステル類、セチルアルコールリン酸エステルのナトリウム塩などの様な脂肪族アルコールリン酸エステル塩類、たとえばC1733CON(CH3)CH2CH2SO3Naなどのようなアルキルアミドのスルホン酸塩類、例えば、ナトリウムスルホコハク酸ジオクチルエステル、ナトリウムスルホコハク酸ジヘキシルエステルなどの二塩基性脂肪族エステルのスルホン酸塩類、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムメトサルフエートなどのアンモニウム塩類、例えば、ステアラミドエチルジエチルアミン酢酸塩などのアミン塩、例えば、グリセロールの脂肪酸モノエステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸モノエステルなどの多価アルコール類、例えば、ポリエチレングリコールモノナフチルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(ノニルフェノール)エーテルなどのポリエチレングリコールエーテル類などが含まれる。
好ましい有機溶剤としては、水に対する溶解度が約10質量%以下のものが挙げられ、更に好ましくは水に対する溶解度が5質量%以下のものから選ばれる。たとえば1−フェニルエタノール、2−フェニルエタノール、3−フェニルプロパノール、1,4−フェニルブタノール、2,2−フェニルブタノール、1,2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、o−メトキシベンジルアルコール、m−メトキシベンジルアルコール、p−メトキシベンジルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール及び3−メチルシクロヘキサノール等を挙げることができる。有機溶媒の含有量は、使用時の現像液の総重量に対して1〜5質量%が好適である。その使用量は界面活性剤の使用量と密接な関係があり、有機溶媒の量が増すにつれ、界面滑性剤の量は増加させることが好ましい。これは界面活性剤の量が少ない状態で、有機溶媒の量を多く用いると有機溶媒が溶解せず、従って良好な現像性の確保が期待できなくなるからである。
更に、現像液及び補充液には必要に応じて、消泡剤、硬水軟化剤のような添加剤を含有させることもできる。硬水軟化剤としては、例えば、Na227、Na533、Na339、Na24P(NaO3P)ΡO3Na2、カルゴン(ポリメタリン酸ナトリウム)などのポリリン酸塩、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、ナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1,2−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1,3−ジアミノ−2−プロパノールテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのようなアミノポリカルボン酸類の他、2−ホスホノブタントリカルボン酸−1,2,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;2−ホスホノブタノントリカルボン酸−2,3,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1−ホスホノエタントリカルボン酸−1,2,2、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのような有機ホスホン酸類を挙げることができる。このような硬水軟化剤の最適量は、使用される硬水の硬度及びその使用量に応じて変化するが、一般的には、使用時の現像液中に0.01〜5質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%の範囲で含有させうる。
更に、自動現像機を用いて、該平版印刷版を現像する場合には、処理量に応じて現像液が疲労してくるので、補充液又は新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させてもよい。この場合、米国特許第4,882,246号に記載されている方法で補充することが好ましい。
このような界面活性剤、有機溶剤及び還元剤等を含有する現像液としては、例えば、特開昭51−77401号に記載されている、ベンジルアルコール、アニオン性界面活性剤、アルカリ剤及び水からなる現像液組成物、特開昭53−44202号に記載されている、ベンジルアルコール、アニオン性界面活性剤、及び水溶性亜硫酸塩を含む水性溶液からなる現像液組成物、特開昭55−155355号に記載されている、水に対する溶解度が常温において10質量%以下である有機溶剤、アルカリ剤、及び水を含有する現像液組成物等が挙げられ、本発明においても好適に使用される。
以上記述した現像液及び補充液を用いて現像処理された印刷版は、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理される。本発明の平版印刷版の後処理としては、これらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
近年、製版・印刷業界では製版作業の合理化及び標準化のため、印刷用版材用の自動現像機が広く用いられている。この自動現像機は、一般に現像部と後処理部からなり、印刷用版材を搬送する装置と各処理液槽とスプレー装置とからなり、露光済みの印刷版を水平に搬送しながら、ポンプで汲み挙げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現像処理するものである。また、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロール等によって印刷版原版を浸漬搬送させて処理する方法も知られている。このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じて補充液を補充しながら処理することができる。また、電気伝導度をセンサーにて感知し、自動的に補充することもできる。
また、実質的に未使用の処理液で処理するいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。
以上のようにして得られた平版印刷版は所望により不感脂化ガムを塗布したのち、印刷工程に供することができるが、より一層の高耐刷力の平版印刷版としたい場合にはバーニング処理が施される。
平版印刷版をバーニングする場合には、バーニング前に特公昭61−2518号、同55−28062号、特開昭62−31859号、同61−159655号の各公報に記載されているような整面液で処理することが好ましい。
その方法としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる塗布等が適用される。また、塗布した後でスキージ又はスキージローラーで、その塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与える。
整面液の塗布量は、一般に、0.03〜0.8g/m2(乾燥重量)が適当である。
整面液が塗布された平版印刷版は必要であれば乾燥された後、バーニングプロセッサー(例えば、富士写真フイルム(株)より販売されているバーニングプロセッサー:BP−1300)等で高温に加熱される。この場合の加熱温度及び時間は、画像を形成している成分の種類にもよるが、180〜300℃の範囲で1〜20分の範囲が好ましい。
バーニング処理された平版印刷版は、必要に応じて適宜、水洗、ガム引き等の従来行なわれている処理を施こすことができるが、水溶性高分子化合物等を含有する整面液が使用された場合にはガム引きなどのいわゆる不感脂化処理を省略することができる。
このような処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
以下、本発明を以下の実施例に従って説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されない。
[支持体の作成]
99.5%以上のアルミニウムと、Fe:0.30%、Si:0.10%、Ti:0.02%、Cu:0.013%を含むJIS A 1050合金の溶湯を清浄化処理を施し、鋳造した。清浄化処理には、溶湯中の水素などの不要なガスを除去するために脱ガス処理し、セラミックチューブフィルタ処理をおこなった。鋳造法はDC鋳造法で行った。凝固した板厚500mmの鋳塊を表面から10mm面削し、金属間化合物が粗大化してしまわないように550℃で10時間均質化処理を行った。
次いで、400℃で熱間圧延し、連続焼鈍炉中で500℃60秒中間焼鈍した後、冷間圧延を行って、板厚0.30mmのアルミニウム圧延板とした。圧延ロールの粗さを制御することにより、冷間圧延後の中心線平均表面粗さRaを0.2μmに制御した。その後、平面性を向上させるためにテンションレベラーにかけた。
その後、平版印刷版支持体とするための表面処理を行った。
まず、アルミニウム板表面の圧延油を除去するため10%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃30秒間脱脂処理を行い、30%硫酸水溶液で50℃30秒間中和、スマット除去処理を行った。
次いで、支持体と感光層の密着性を良好にし、かつ非画像部に保水性を与えるため、支持体の表面を粗面化する、いわゆる、砂目立て処理を行った。1%の硝酸と0.5%の硝酸アルミを含有する水溶液を45℃に保ち、アルミウェブを水溶液中に流しながら、間接給電セルにより電流密度20A/dm2、デューティー比1:1の交番波形でアノード側電気量240C/dm2を与えることで電解砂目立てを行った。その後10%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃30秒間エッチング処理を行い、30%硫酸水溶液で50℃30秒間中和、スマット除去処理を行った。
更に、耐摩耗性、耐薬品性、保水性を向上させるために、陽極酸化によって支持体に酸化皮膜を形成させた。電解質として硫酸20%水溶液を35℃で用い、アルミウェブを電解質中に通搬しながら、間接給電セルにより14A/dm2の直流で電解処理を行うことで2.5g/m2の陽極酸化皮膜を作成した。同時にアルミニウム裏面側にも陰極を配置し、電流密度を1A/dm2、において陽極酸化皮膜の厚さが、1.3g/m2になるように支持体Aを作製した。この支持体を実施例1及び比較例3に用いる。
また砂目側の陰極、電流密度はそのままにして、裏面側の陰極を除き支持体を作製した。この時の裏面の陽極酸化皮膜は、アルミニウム板の中央部で約0.2g/m2、端部で約0.5g/m2であった。この条件で陽極酸化皮膜を形成した支持体Bを比較例1に用いる支持体とする。以上により作成したアルミニウム支持体表面(記録層形成側)のRa(中心線表面粗さ)は0.5μmであった。なお、陽極酸化被膜の量は、「裏面AD量」として下記表1に記載した。
[バック層の形成]
次に、裏面の陽極酸化皮膜がアルミニウム板の中央部で約0.2g/m2、端部で約0.5g/m2であった支持体Bの基板の裏面に下記のゾル−ゲル反応液(1)をバーコーターで塗布し、80℃で1分間乾燥し、乾燥後の塗布量が70mg/m2のバック層を設け、支持体A−1〜5とした。これらを実施例2〜6に用いる支持体とした。また、バック層形成に際して、フルオロ脂肪族基を側鎖に有する高分子界面活性剤を添加しない以外は同様にして支持体B−1を作製し、比較例2に用いる支持体とした。
ゾル−ゲル反応液(1)
・テトラエチルシリケート 50g
・水 20g
・メタノール 15g
・リン酸 0.05g
上記成分を混合、攪はんすると約5分で発熱が開始した。60分間反応させた後、以下に示す液を加えることによりバックコート塗布液を調製した。
・ピロガロールホルムアルデヒド縮合樹脂 4g
(M.W.2000)(有機高分子化合物)
・ジブチルフタレート(可塑剤) 5g
・メタノールシリカゾル 50g
(コロイダルシリカゾル、日産化学工業(株)製,メタノール30%)
・フルオロ脂肪族基を側鎖に有する高分子界面活性剤(表1に記載) 1.5g
・メタノール 800g
次に、下記組成のゾル−ゲル反応液(2)を作成し、ゾルゲル反応液(1)と同様にバーコーターで塗布し、80℃で1分間乾燥し、乾燥後の塗布量が70mg/m2のバック層を設けた支持体A−6〜7を作製した。これらを実施例7〜8に用いた。
ゾル−ゲル反応液(2)
・シランカップリング剤(表1に記載の化合物) 50g
・水 20g
・メタノール 15g
・リン酸 0.05g
上記成分を混合、攪はんすると約5分で発熱が開始した。60分間反応させた後、以下に示す液を加えることによりバックコート塗布液を調製した。
・ピロガロールホルムアルデヒド縮合樹脂(M.W.2000)(有機高分子化合物)
4g
・ジブチルフタレート(可塑剤) 5g
・メタノールシリカゾル 50g
(コロイダルシリカゾル、日産化学工業(株)製,メタノール30%)
・メタノール 800g
[ネガ型記録層の形成]
次に、下記感光層塗布液を調整し、上記の各アルミニウム支持体(A、A−1〜A−8、B)にワイヤーバーを用いて塗布した。乾燥は、温風式乾燥装置にて115℃で34秒間行い、平版印刷版原版を得た。乾燥後の被覆量は1.3g/m2であった。
<感光層塗布液>
・赤外線吸収剤(IR−1) 0.074g
・重合開始剤(OS−12) 0.280g
・添加剤(PM−1) 0.151g
・重合性化合物(AM−1) 1.00g
・バインダーポリマー(BT−1) 1.00g
・エチルバイオレット(C−1) 0.04g
・フッ素系界面活性剤 0.015g
(メガファックF−780−F 大日本インキ化学工業(株)、
メチルイソブチルケトン(MIBK)30質量%溶液)
・メチルエチルケトン 10.4g
・メタノール 4.83g
・1−メトキシ−2−プロパノール 10.4g
なお、重合開始剤(OS−12)は、前述の一般式(II)で表されるオニウム塩の化合物例として挙げられているものを指す。
上記感光層塗布液に用いた赤外線吸収剤(IR−1)、添加剤(PM−1)、重合性化合物(AM−1)、バインダーポリマー(BT−1)、及びエチルバイオレット(C−1)の構造を以下に示す。
Figure 2006065243
この記録層上に下記の素材からなる、オーバーコート層(OC−1)を乾燥塗布重量が1.5g/m2となるように塗布し、120℃で1分間乾燥させ、平版印刷版原版を得た。
<オーバーコート層組成物>
・ポリビニルアルコール 6.0g
(PVA−203、クラレ(株)製(ケン化度88モル%、重合度300)
・EMALEX710(日本エマルジョン(株)製、界面活性剤) 0.1g
・Luvitec VA64W 0.4g
(ビニルピロリドン、酢酸ビニル共重合体ICP製)
・パイオニンD−230 0.2g
(竹本油脂(株)製、ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル)
・水 100.0g
また、上記、OC−1の組成から、パイオニンD−230を除いた以外は、OC−1と同じ組成のオーバーコート層を(OC−2)として、OC−1と同様に塗布乾燥させ、平版印刷原版を得た。
[露光]
得られたネガ型平版印刷版原版[P]を、水冷式40W赤外線半導体レーザを搭載したCreo社製Trendsetter3244VFSにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、版面エネルギー100mJ/cm2、解像度175lpiの条件でベタ画像と0.5%〜99.5%の網点画像を露光した。
[現像処理]
露光した網点画像を富士写真フイルム(株)製自動現像機LP−940Hを用い現像処理した。現像液は、富士写真フイルム(株)製DH−Nの1:4水希釈液(25℃におけるpH12.05)を用いた。補充液は富士写真フイルム(株)製DH−NRの1:4を用いた。現像浴の温度は30℃とした。また、フィニッシャーは、富士写真フイルム(株)製GN−2の1:1水希釈液を用いた。
[評価]
得られたネガ型平版印刷版原版[P]をあいだに合紙を挟むことなく積層して積層体を形成した。
JIS P 8147に提示されている方法に準じて測定したネガ型平版印刷版原版[P]のオーバーコート層と裏面の間の動摩擦係数を表1に示した。
(耐キズ性)
形成されたネガ型平版印刷版原版[P]の積層体を、カセットにセットし、セッティング部分から露光部、そして現像部にオートローダーにて搬送して、上記自動現像機に搬送し、現像を行ない、その際のキズの発生状態を評価する方法であり、評価尺度としては、下記の判定基準が用いられる。なお、露光及び現像の条件は上記の通りである。評価結果を表1に示す。
○:キズが見られない
△:かすかにキズが見られる
×:十分にキズがわかる
(画像の汚れ性評価)
上記の耐キズ性の評価に供されたネガ型平版印刷版原版[P]を、露光、現像後、引続き、ハイデルベルグ(株)製印刷機ハイデルSOR−Mにて、市販の油性インキを用いて印刷した。この際、非画像部に汚れが発生するかどうかを目視にて観察し、画像の汚れ性の指標とした。なお、露光及び現像の条件は上記の通りである。評価結果を表1に示す。
○:汚れが見られない
△:かすかに汚れが見られる
×:十分に汚れがわかる
Figure 2006065243
表1に明らかなように、本発明の平版印刷版原版は、いずれも、耐キズ性に優れ、あいだに合紙を挟むことなく積層して搬送及び保存したのち、画像形成した場合であっても、非画像部における汚れのない高品質の画像を形成しうることがわかる。また、このような効果は、フッ素系界面活性剤やシランカップリング剤を添加したバック層を形成することで容易に達成できることがわかる。一方、動摩擦係数が高すぎる比較例の各平版印刷版原版はいずれも耐キズ性に劣り、非画像部に汚れが生じていた。
実施例1と比較例3との対比において、同じ支持体を用いていても、オーバーコート層との関連で、動摩擦係数が本発明の範囲外となるものは、本発明の効果を達成し得ないことがわかる。

Claims (3)

  1. 親水性表面を有するアルミニウム支持体上に、光又は熱によりラジカルを発生する化合物と、重合性化合物と、赤外線吸収剤とを含有するネガ型記録層と、水溶性樹脂からなるオーバーコート層とを順次設けてなる平版印刷版原版であって、該オーバーコート層の表面と該支持体裏面との動摩擦係数が0.2〜0.7の範囲にあることを特徴とする平版印刷版原版。
  2. 前記アルミニウム支持体の記録層を有する面と反対側の最表面にバック層を有し、前記オーバーコート層の表面とバック層表面との動摩擦係数が0.2〜0.7の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版原版。
  3. 前記バック層に、少なくとも1種の有機フッ素化合物を含有することを特徴とする請求項2に記載の平版印刷版原版。
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JP2007262125A (ja) * 2006-03-27 2007-10-11 Okamoto Kagaku Kogyo Kk 感光性組成物およびそれを用いた平版印刷原版

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