JP2006064800A - エレクトロクロミック表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 断線や短絡が起こりにくく、かつ、表示したのちのメモリ性を確保できるエレクトロクロミック表示装置を提供する。
【解決手段】 エレクトロクロミック表示装置において、対向電極が、第一の電極と第一の電極に接してその下に設けられた第二の電極との積層構造よりなり、エレクトロクロミック表示装置の稼働中に、第一の電極が表示用組成物中に溶解し得、第二の電極が表示用組成物中に溶解しないものである。あるいは、少なくとも第二の電極の側面部の上端まで絶縁膜で覆われているか、または、第二の電極が第一の電極より大きく、第一の電極の析出過電圧が第二の電極の析出過電圧より小さい。
【選択図】 なし
【解決手段】 エレクトロクロミック表示装置において、対向電極が、第一の電極と第一の電極に接してその下に設けられた第二の電極との積層構造よりなり、エレクトロクロミック表示装置の稼働中に、第一の電極が表示用組成物中に溶解し得、第二の電極が表示用組成物中に溶解しないものである。あるいは、少なくとも第二の電極の側面部の上端まで絶縁膜で覆われているか、または、第二の電極が第一の電極より大きく、第一の電極の析出過電圧が第二の電極の析出過電圧より小さい。
【選択図】 なし
Description
本発明は、たとえば銀のように、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質を使用するエレクトロデポジション型ディスプレイ等のエレクトロクロミック表示装置に関する。
従来、電子ペーパ、ペーパーライクディスプレイ、デジタルペーパなどと呼ばれ、電界により光学的吸収や光学的反射を変化させて像表示を行う表示装置が提案されている。
電界により光学的吸収や光学的反射が変化する素子としては、色と電気的特性の双方が異なる半球を合わせた回転粒子を絶縁性液体とともに内包したマイクロカプセル、電気泳動粒子を分散させた溶媒を着色し、この溶媒を内包したマイクロカプセル(たとえば特許文献1参照。)、2色性色素とスメクチック液晶とを含む液晶/高分子複合膜などがある。これらの技術を使用した表示装置は、メモリ性を有し、電源が無くても像情報を保持でき、反射型表示装置であるため、紙の代替として期待されている。電極のある基板として、たとえばPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等を使用できるので、薄くて、軽く、曲げることが可能な表示装置である。
また、近年、電圧の変化による物質の色変化を利用したエレクトロクロミック表示装置について、紙なみのコントラスト、白色度を実現できるエレクトロデポジション型ディスプレイも提案されている。特に、エレクトロクロミック型ディスプレイのうち、透明電極上で銀が析出、溶解するエレクトロデポジション型エレクトロクロミック表示装置(以下、EDDともいう)は高い反射率が得られることが特徴である。このEDDは、ハロゲンを含む支持電解質とともにハロゲン化銀が表示用組成物中に溶解しており、この銀が所定の電位によって透明電極に析出することで発色させるものである(特許文献2,3参照。)。また、逆の電位によって透明電極上の銀が再溶解することで消色させる。
さらに、この表示用組成物とともに、白色の多孔質の背景板を用いたり、白色の無機顔料を分散した固体電解質を用いる方法で、背景部の反射率、白色度を高め、高コントラスト、高白色度を実現する方法も提案されている(たとえば特許文献4,5参照。)。
また、対向電極の構成においては、Pt/Ag/カーボンの積層により、電極端面を鋭角な部分をなくすことで、表示の安定動作を実現させる方法が提案されている(たとえば特許文献6参照。)。
特開平01−086116号公報(特許請求の範囲)
米国特許4,240,716号(クレーム)
米国特許4,240,717号(クレーム)
特開平11−101994号公報(特許請求の範囲)
2002−258327)号公報(特許請求の範囲)
特開2000−47268号公報(特許請求の範囲)
しかしながら、EDDでは、表示に伴い、対向電極から金属が溶解するため、対向電極について、局所的に溶解が進むことにより断線が生じるという問題がある。たとえばパッシブマトリックス駆動を用いる対向電極は100〜300μmと細く、対抗電極の一部で、他の部分に比べ局所的に溶解がより進むと、断線が発生し、表示の欠陥となる。
これに対抗するため上述のごとく電極を積層構造とすることも考えられるが、下部の電極で局所的に溶解が進めば、同様に断線してしまい、効果は少ない。また、特許文献6に記載の積層構造では、対向電極の構成材料が溶解する問題はなくなるが、この場合には、対向電極からの金属の溶解がないために、表示電極に析出した金属が再溶解するのを妨げることができず、表示したのちのメモリ性(無電界状態の表示の保持)がないといった問題があった。
さらに、金属が角張った部分には、電界集中による過度の金属溶解の問題や、発色性物質の析出が集中することから、対抗電極の角の部分に樹枝状の析出物が生じ、短絡を起こす問題も知られている。
本発明は、このような問題を解決し、断線や短絡が起こりにくく、かつ、表示したのちのメモリ性を確保できるエレクトロクロミック表示装置を提供することを目的としている。本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。
なお、本明細書で、積層された電極構造について、上部と言う場合は、表示電極側からこの積層構造を見た場合に手前にあることを意味し、下部と言う場合は、表示電極側からこの積層構造を見た場合に手前側ではない方にあることを意味する。
本発明に係る一態様によれば、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質を含む表示用組成物を、透明表示電極と対向電極との間に配し、透明表示電極と対向電極との間の通電により、発色性物質を発色または消色させることにより表示を行うエレクトロクロミック表示装置において、対向電極が、第一の電極と第一の電極に接して設けられた第二の電極との積層構造よりなり、透明表示電極側から第一の電極および第二の電極を見た場合に、第一の電極が手前にあり、エレクトロクロミック表示装置の稼働中に、第一の電極が表示用組成物中に溶解し得、第二の電極が表示用組成物中に溶解しないものであるエレクトロクロミック表示装置が提供される。
本発明形態により、断線が起こりにくく、かつ、表示したのちのメモリ性を確保できるエレクトロクロミック表示装置が得られる。
本発明に係る他の一態様によれば、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質を含む表示用組成物を、透明表示電極と対向電極との間に配し、透明表示電極と対向電極との間の通電により、発色性物質を発色または消色させることにより表示を行うエレクトロクロミック表示装置において、対向電極が、第一の電極と第一の電極に接して設けられた第二の電極との積層構造よりなり、透明表示電極側から第一の電極および第二の電極を見た場合に、第一の電極が手前にあり、下記の条件(1),(2)のいずれか一方またはその両方が成立するエレクトロクロミック表示装置が提供される。
(1)少なくとも第二の電極の側面部の上端まで絶縁膜で覆われていること。
(2)透明表示電極側から第一の電極および第二の電極を見た場合に、第二の電極の投影面積が第一の電極の投影面積より大きく、第一の電極の析出過電圧が第二の電極の析出過電圧より小さいこと。
本発明態様により、短絡が起こりにくく、かつ、表示したのちのメモリ性を確保できるエレクトロクロミック表示装置が得られる。なお、本発明に係るエレクトロクロミック表示装置は、上記態様を同時に充足してもよい。
いずれの態様においても、第一の電極の表面を除いて絶縁膜で覆われていること、第二の電極が電気化学反応に不活性な物質からなること、発色性物質が銀を含むことが好ましい。第二の電極の一部がスルーホール中の充填物となっていてもよい。
本発明により、断線や短絡が起こりにくく、かつ、表示したのちのメモリ性を確保できるエレクトロクロミック表示装置を提供できる。
以下に、本発明の実施の形態を図、実施例等を使用して説明する。なお、これらの図、実施例等および説明は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。図中、同一の符号は同一の要素を意味する。
本発明に係るエレクトロクロミック表示装置は、透明表示電極を設けた表示電極側基板と対抗電極を設けた対抗電極側基板とを、透明表示電極と対抗電極とが相対するようにして対向させ、その間に、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質を含む表示用組成物を配し、透明表示電極と対抗電極との間の通電により、発色性物質を発色または消色させることにより表示を行うエレクトロクロミック表示装置である。
図1は、本発明に係るエレクトロクロミック表示装置の表示パネルの模式的横断面図である。図1において、表示パネル1は、対向する表示電極側基板3と対抗電極側基板5のそれぞれに設けられた透明表示電極2と対抗電極4との間に、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質を含む表示用組成物6が配されている。矢印は、表示パネル1の表示を人が見る方向を表す。透明表示電極2と対抗電極4とは、それぞれストライプ状で、矢印の方向から見た場合にはストライプ形状が互いに直交した配置になっている。基板3,5の内側周辺部には、表示用組成物6を囲んでシールするシール壁7が設けられている。
本発明の課題の一つである対抗電極における断線を例示すると図2のようになる。図2は一本の対抗電極4を長手方向に直交する方向から見た、模式的側面図である。電気は図の左側から供給されるものとする。このとき、対抗電極4の一部で、他の部分に比べ、局所的に溶解がより進むことにより、欠損部分21が生じることがある。このような欠損部分が生じると、欠損部分21より右側では通電不能となり、表示欠損が生じる。たとえば、一本の対抗電極の全体で100画素を構成する場合に、左側から数えて21番目の画素に該当する個所が欠損した場合には、22〜100番目までの画素が表示不能となる。
また、本発明の他の課題である対抗電極における短絡を例示すると図3のようになる。図3は対抗電極4を長手方向から見た模式的側面図である。このとき、対抗電極4の角の部分で樹枝状の析出物31による短絡が生じると、一方の対抗電極に通電した場合に、もう一方の対抗電極も通電されることになり、表示異常が生じる。なお、短絡は対抗電極と表示電極との間でも生じ得る。
本発明に係るエレクトロクロミック表示装置は、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質を含む表示用組成物を、透明表示電極と対向電極との間に配し、透明表示電極と対向電極との間の通電により、発色性物質を発色または消色させるものであるが、この対向電極が、第一の電極と第一の電極に接して設けられた第二の電極との積層構造よりなり、透明表示電極側から第一の電極および第二の電極を見た場合に、第一の電極が手前にあり、エレクトロクロミック表示装置の稼働中に、第一の電極が表示用組成物中に溶解し得、第二の電極が表示用組成物中に溶解しないものであるという特徴を有する。
エレクトロクロミック表示装置の稼働中に、第一の電極が表示用組成物中に溶解し得、第二の電極が表示用組成物中に溶解しないものであれば、第一の電極が溶解して物理的に断線した状態になり、その部分での表示に異常が生じたとしても、第二の電極による通電が可能であるため、断線の問題を回避できる。
なお、本発明において、溶解し得るかどうかや溶解しないかどうかは、具体的にエレクトロクロミック表示装置を使用した場合について判断されるが、モデル的に試験することも可能である。この場合の溶解物は不純物として存在している程度のppmオーダーのものを含むものではない。たいていの場合は、目視下形状の変化が認められる程度の変化で把握することができる。
第一の電極も第二の電極も共に、銀、金、白金、アルミニウム、銅、パラジウム、ニッケル、クロム、タングステン等の金属、または、これらの合金、ポリアニリン、ポリピロール等の導電性ポリマー、ITO、FTO、SnO2といった金属酸化物あるいはカーボン等であり得るが、上記の「溶解」はその構成金属のすべてについて成立する必要はなく、最初に溶けだしてくる物質について評価すれば十分である。なお、このような場合、表示用組成物中の発色性物質も、第一の電極から溶解する物質と同じ物質であることが好ましい。すなわち、第一の電極がAgからなる場合には、表示用組成物がAg+イオンを含んでいることが好ましい。表示電極に析出した金属等の発色性物質が再溶解するのを妨げることができ、表示したのちのメモリ性(無電界状態の表示の保持)を発揮できるからである。
あるいは、この対向電極が、第一の電極と第一の電極に接して設けられた第二の電極との積層構造よりなり、透明表示電極側から第一の電極および第二の電極を見た場合に、第一の電極が手前にあり、下記の条件(1),(2)のいずれか一方またはその両方が成立するという特徴を有する。
(1)少なくとも第二の電極の側面部の上端まで絶縁膜で覆われていること。
(2)透明表示電極側から第一の電極および第二の電極を見た場合に、第二の電極の投影面積が第一の電極の投影面積より大きく、第一の電極の析出過電圧が第二の電極の析出過電圧より小さいこと。なお、本発明で、「上端」と言う場合は、表示電極側から第二の電極を見た場合に手前にある端を意味する。
このような、二層構造の対抗電極であれば、表示用組成物中の発色性物質が第一の電極から溶解する物質と同じ物質であれば、第一の電極の存在により、表示電極に析出した発色性物質が再溶解するのを妨げることができ、表示したのちのメモリ性(無電界状態の表示の保持)を発揮できる。
また、少なくとも第二の電極の側面部の上端まで絶縁膜で覆われていれば、少なくとも第二の電極を介する短絡を抑制することができる。第一の電極の表面を除いて絶縁膜で覆われていれば、第一の電極を介する短絡も抑制することができるのでより好ましい。なお、この場合には、第二の電極が物理的に溶出しがたくなるので、第二の電極の溶出防止の観点からは、透明表示電極側から第一の電極および第二の電極を見た場合に、第二の電極の投影面積が第一の電極の投影面積より大きく、第一の電極の析出過電圧が第二の電極の析出過電圧より小さいと言う条件は、必ずしも充足されなくてもよい。
また、透明表示電極側から第一の電極および第二の電極を見た場合に、第二の電極の投影面積が第一の電極の投影面積より大きいと、第一の電極の範囲を超えて電界を生じさせることができるので、第一の電極の角張った部分における電界集中を抑制でき、従って角張った部分における発色性物質の析出集中による短絡を防止できる。また、このとき該第一の電極の析出過電圧を第二の電極の析出過電圧より小さくしておくことにより、第二の電極上への発色性物質の析出を防止することができ、従って第二の電極を介する短絡を防止できる。本発明において、析出過電圧は、本発明に係る発色性物質が析出する際の過電圧を意味し、使用されるエレクトロクロミック表示装置について実際に測定することによって求められる。
なお、第二の電極上の絶縁膜が薄ければ、透明表示電極側から第一の電極および第二の電極を見た場合に、第二の電極の投影面積が第一の電極の投影面積より大きいと、第一の電極の範囲を超えて電界を生じさせることが可能となる場合があるため、第二の電極が絶縁膜で覆われている場合にあっても、絶縁膜が薄ければ、透明表示電極側から第一の電極および第二の電極を見た場合に、第二の電極の投影面積が第一の電極の投影面積より大きいことが好ましい場合もあり得る。また、上記両者の形態を共に満足していてもよいことは言うまでもない。
本発明に係る積層体の構造の一例を示すと、図4のようになる。図4は、本発明に係るエレクトロクロミック表示装置の対抗電極周りを例示する模式的側断面図である。第一の電極41と第二の電極42とは積層されて対抗電極4を構成している。透明表示電極側から第一の電極および第二の電極を見た場合(すなわち、図4の矢印の方向に見た場合)に、第一の電極が手前にある。すなわち、第二の電極に対し、第一の電極が上部にある。第二の電極の投影面積44が第一の電極の投影面積43より大きくなっている。第二の電極42の周囲は絶縁膜で覆われておらず、対抗電極側基板5上にある。
このような構造において、エレクトロクロミック表示装置の稼働中に、第一の電極が表示用組成物中に溶解し得、第二の電極が表示用組成物中に溶解しないものであれば、上記説明のごとく、第一の電極が溶解して物理的に断線した状態になっても他の部分での表示が妨げられることはなくなる。この様子はたとえば図6のように例示することができる。図6は、図2と同様、対抗電極4を長手方向に直交する方向から見た、模式的側面図である。第一の電極41の一部で、他の部分に比べ、局所的に溶解がより進むことにより、欠損部分21が生じている。しかしながら、第二の電極42では欠損部分が生じないため、対抗電極4の全体に渡って通電が妨げられることがない。さらに、この構造では、第一の電極41から金属の溶解が可能なため、表示電極に析出した金属が再溶解するのを妨げることができ、従って、表示したのちのメモリ性も確保される。
図4では、透明表示電極側から第一の電極および第二の電極を見た場合に、第二の電極の投影面積が第一の電極の投影面積より大きい。断線防止の観点からは、必ずしもこの通りである必要はないが、短絡防止の観点からは、第一の電極の周囲に第二の電極による電界を生じさせることができ、これにより、角張った部分における電界集中を抑制して、過度の金属溶解や金属析出の集中を緩和することが可能になる。この場合、第一の電極の析出過電圧が第二の電極の析出過電圧より小さければ、第二の電極上に発色性物質の析出が生じることがなくなるので、第二の電極を介する短絡について心配する必要がなくなる。
本発明に係る積層体の構造の他の例を示すと、図5,7,8のようになる。図5は第二の電極の側面まで完全に絶縁膜51で覆った場合、図7は、第一の電極の側面の一部まで絶縁膜51で覆った場合、図8は、第一の電極の表面を除いて完全に絶縁膜51で覆った場合を例示している。
図7,8の場合は図5の場合に比べて第二の電極の溶出をより効果的に防止できる。また、第二の電極の角張った部分が絶縁膜で覆われるため、第二の電極に金属の析出が生じ得る条件であっても、第二の電極についての電界集中による過度の金属溶解や金属析出の集中を緩和または防止することが可能となる。なお、図7,8の場合のように、絶縁膜による被覆により、表示用組成物中への第二の電極の溶出をほぼ完全に防止できる場合には、第二の電極の電気抵抗が実用的に充分なほど低い限り、透明表示電極側から第一の電極および第二の電極を見た場合に、第二の電極の投影面積が第一の電極の投影面積より大きいことは必ずしも必要ではない。
なお、本発明において、第二の電極は第一の電極と接して設けられているが、図9に示すように、スルーホールの充填物91が存在している場合もこの「接する」条件に含まれている。すなわち充填物91は第二の電極42の一部をなす。この場合の第二の電極の投影面積も符号44の部分を意味するが、この場合も、絶縁膜による被覆により、表示用組成物中への第二の電極の溶出をほぼ完全に防止できるので、第二の電極の電気抵抗が実用的に充分なほど低い限り、透明表示電極側から第一の電極および第二の電極を見た場合に、第二の電極の投影面積が第一の電極の投影面積より大きいことは必ずしも必要ではない。
この場合、スルーホールに埋め込む導電体に使用する材料としては、上記の第二の電極としての要件を充足させることが必要であるが、スルーホールの部分が他の部分に比べて細いことから、表示組成物中への溶出の少ないものを選択することが好ましい。また、スルーホールへの充填のし易さも考慮すべきであろう。この観点からは、金属(Ag, Pt, Pd, Ag-Pd, Au, Ni, Cu等)またはカーボンのペーストを用いることが好ましい。
本発明に係る積層体の構造は、本発明の要件を充足する限り、上記に限らずどのようなものでもよい。図10〜12に、本発明に係る積層体の構造のさらに他の例を示す。
図10は、第一の電極41および第二の電極42が、第一の電極の表面を除いて対抗電極側基板5内に設けられている様子を表している。この場合、対抗電極側基板5が絶縁膜として機能する。
図11は、透明表示電極側から第一の電極および第二の電極を見た場合に第二の電極の投影面積が第一の電極の投影面積より大きい点以外は図8と同じ構成を示す図である。第一の電極と第二の電極と同時にエッチングしその隙間に絶縁膜を埋め込めるため、一般的には図8の構成の方が作製が容易であるが、図11では、第二の電極上の絶縁膜が薄ければ、透明表示電極側から第一の電極および第二の電極を見た場合に、第二の電極の投影面積が第一の電極の投影面積より大きいので、第一の電極の範囲を超えて電界を生じさせることが可能となる場合がある点で有利である場合がある。
図12は、図9と同様の構成において、スルーホールの充填物91と第二の電極42が共に対抗電極側基板5内に設けられた様子を表している。
酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質としては、公知の材料を用いることができる。たとえば、タングステン酸化物やビオロゲンおよびその誘導体、あるいは、ビスマス、銅、銀、リチウム、鉄、クロム、ニッケル、カドミウム等の電析可能なイオンを含有する化合物を挙げることができる。特に、電析により高コントラストな表示が可能なエレクトロデポジション表示装置においては、発色性物質としてハロゲン化銀を用いることが好ましい。
ハロゲン化銀としては、フッ化銀(AgF)、塩化銀(AgCl)、臭化銀(AgBr)、ヨウ化銀(AgI)を用いることができる。なお、溶解性の観点からヨウ化銀を用いるのが好ましい。また、ハロゲン化銀の濃度は0.05〜8.0moL/Lが好ましい。
表示用組成物には、これらの発色性物質のほかに、発色性物質の溶解性や反応性を調整するために、他の支持電解質が含まれていてもよい。ハロゲン化銀を溶解するための、ハロゲンを含む支持電解質としては、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化リチウム、臭化リチウム、塩化リチウムなどの公知の材料を用いることができる。なお、エレクトロクロミック表示装置の表示速度やハロゲン化銀の溶解性の観点からは、アンモニウム塩を用いるのが好ましい。また、この支持電解質はハロゲン化銀の濃度に対して、0.5〜2モル倍の範囲にあることが好ましい。
また、他の支持電解質としては、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、チオシアン酸イソシアネート、チオシアン酸アンモニウム、硫化ナトリウムなどの、過塩素酸塩、チオシアン酸塩、硫酸塩、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、乳酸、サリチル酸等、公知の材料が挙げられる。
これら発色性物質や支持電解質を溶解する溶媒としては、酸化還元反応によるガスの発生を抑制する意味で非プロトン極性溶媒が好ましい。具体的には、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジエチルホルムアミド(DEF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAA)、N−メチルプロピオン酸アミド(MPA)、N−メチルピロリドン(NMP)、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ヘキサメチルリン酸トリアミド、スルホラン、アセトニトリル(AN)、2−エトキシエタノール(EEOH)、2−メトキシエタノール(MEOH)、ジオキソラン(DOL)、エチルアセテート(EA)、テトラヒドロフラン(THF)、メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)、ジメトキシエタン(DME)、γ−ブチロラクトン(GBL)等を用いることができ、これらを混合使用してもよい。
本発明に係る表示用組成物には、非表示部の色を整えるために、着色剤が含まれていてもよい。コントラスト向上のためには白色顔料を添加することが好ましい場合が多い。白色顔料としては二酸化チタン、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、酸化ジルコニウム等が挙げられるが、隠蔽率の観点から二酸化チタンを用いるのが好ましい。その他、酸化鉄等の無機顔料や銅フタロシアニン顔料やキナクリドン顔料などの有機顔料を使用することもできる。顔料濃度としては、表示用組成物中5〜100重量%添加することができる。
なお、本発明に係る表示用組成物は、液状からゲル状あるいは完全な固体状までに渡る形態を有し、一般的には電解質である。液状の表示用組成物をゲル状あるいは固体状とするためには、ポリビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキサイドのゲルポリマーなどの公知の材料を含ませてもよい。
あるいは、モノマーを重合、架橋させてポリマーを形成してもよい。モノマーとしては、(A)単官能モノマーとして、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレートなど、(B)2官能モノマーとして、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジクアクリレートなど、(C)3官能モノマーとして、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレートなど、(D)4官能モノマーとして、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートなど、(E)6官能モノマーとして、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどの公知の材料が挙げられる。また、モノマー中のアルキル鎖長は任意でよい。なお、本発明はこれら材料に限定されるものではない。
この場合の重合開始剤としては、アゾ系重合開始剤、過酸化物などの公知の材料が挙げられる。モノマーは、表示用組成物中5〜20重量%添加するのが好ましい。一方、重合開始剤はモノマー100重量部に対し、0.5〜30重量部添加するのが好ましい。また、重合は、熱、光、電子線など任意の方法により行うことができる。
表示用組成物用の原料液の電極間への封入は、塗工、真空注入、転写などの成形プロセスと、熱硬化、光硬化、熱融着などのシールプロセスを組み合わせることで実現できる。
透明表示電極は、表示を行うため可視光に対する透過率を高くする必要があり、表示電極側基板表面に、たとえばITO(インジウム錫酸化物)、FTO(フッ素ドープ酸化錫)、SnO2といった導電性材料を蒸着、または塗布することで作製される。また、これらの導電性材料層と表示電極側基板との間に、酸化ケイ素、酸化アルミニウムなどの無機材料層、ポリアミドなどの有機材料膜を形成してもよい。これにより、導電性材料層の密着性向上、ガスや溶媒に対するバリヤ性向上といった効果が得られる。像の表示は、上記電極間の通電により、表示電極の近傍の発色性物質が電気化学的な酸化または還元反応により発色することで行われる。
第一の電極と第二の電極とに使用する材料としては、導電性のある物質であり、本発明の趣旨に反しない限り特に制限はなく、たとえば、銀、金、白金、アルミニウム、銅、パラジウム、ニッケル、クロム、タングステン等の金属、または、これらの合金、ポリアニリン、ポリピロール等の導電性ポリマー、ITO、FTO、SnO2といった金属酸化物、あるいは、カーボン等を用いることができる。第一の電極と第二の電極の形成は、これらの材料に適した公知の手法を用いることができ、例えば、スパッタ、真空蒸着等、メッキ、電解重合等があげられる。また、可能な場合には、これらの材料の単独ないし混合粉体のペーストを使用した塗布膜やその焼結体により電極を形成することができる。
特に、銀の析出、溶解により表示を行うエレクトロクロミック表示装置では、第一の電極が銀を含んでいると、第一の電極からも銀イオンが溶出するため、常に銀イオンが補充される状態となることから、表示速度が速く、高いコントラストが得られるため有利である。
また、第二の電極については、第二の電極が電気化学反応に不活性な物質からなることが好ましい。ここで、本発明に係る「電気化学反応に不活性な物質」とは、エレクトロクロミック表示装置における発色、消色を行う電圧の印加において、第二の電極が、溶解により目に見えるような変形を生じないことを意味する。特に、銀の析出、溶解により表示を行う場合、具体的には、Pt, Ti, Ni, ITO, FTO,カーボン等を挙げることができる。または、これらの粒子をバインダーで結合したものでもよい。第二の電極は、これら金属を積層した多層からなっていてもよい。
第一の電極および第二の電極の厚さとしては特に制限はない。0.01〜10μm程度を例示することができる。なお、第一の電極については、より具体的には、0.1〜10μmの銀を使用することが好ましい。この銀の膜厚は、エレクトロクロミック表示装置を作製する前の段階〜作製後のいずれの段階かで確認すれば十分である。このことにより、表示用組成物中の銀イオンの濃度を高く保て、高コントラスト、高白色度の装置を作製し易い。
電極の積層方法としては、蒸着やメッキにより基板上に作製した金属をエッチング等によりパターニングした基板上に、スパッタ、蒸着、メッキにより金属を成膜する方法を適宜組み合わせることができる。
本発明に係る絶縁膜としては、上記のごとく電極を保護できれば、その絶縁膜の成膜方法やパターニング方法については特に限定されない。絶縁膜の材料としては、SiO2、Al2O3、Ta2O5、ZrO2などの酸化物、SiN、AlN、Si3N4などの窒化物、あるいは、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリマーなどが挙げられる。これら絶縁膜は、蒸着、スパッタ、スクリーン印刷法、スプレー塗布法、ホットスタンプ、あるいはキャスト法、蒸着、スパッタ後のエッチング、レジストのパターン露光、現像などの公知の手法によって形成することができる。あるいは、熱可塑性樹脂を熱融着させてもよい。基板を絶縁膜として使用してもよい。
透明表示電極と対抗電極とは、通常基板の上に直接または、基板との間の密着性を向上させる等の目的で設けられる層を介して配される。表示電極側基板の材質としては透明であることが必要であり、石英ガラス、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス等の透明ガラスを用いることが可能であるが、これに限定されず、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル樹脂類、ポリアミド、ポリカーボネート、酢酸セルロース等のセルロースエステル類、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等のフッ素ポリマー類、ポリオキシメチレン等のポリエーテル類、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、メチルペンテンポリマー等のポリオレフィン類、シクロオレフィン樹脂及びポリイミドアミドやポリエーテルイミド等のポリイミド類等を例として挙げることができる。
なかでも、光透過性と極性溶媒に対する耐性を考えた場合、ガラス基板、熱可塑性ポリエステル樹脂またはシクロオレフィン系樹脂製の基板を用いることが好ましい。
対抗電極側基板の材質は必ずしも透明である必要はなく、石英ガラス、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス等の透明ガラス、金属、セラミックの他、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル樹脂類、ポリアミド、ポリカーボネート、酢酸セルロース等のセルロースエステル類、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素ポリマー類、ポリオキシメチレン等のポリエーテル類、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、メチルペンテンポリマー等のポリオレフィン類、シクロオレフィン樹脂及びポリイミド−アミドやポリエーテルイミド等のポリイミド類を挙げることができる。
なかでも、極性溶媒に対する耐性を考えた場合、ガラス基板、熱可塑性ポリエステル樹脂またはシクロオレフィン系樹脂製の基板を用いることが好ましい。
上記の基板は、いずれの場合も、容易に曲がらないような高剛性の基板にすることも、可撓性を持ったフィルム状の構造体とすることも可能である。
次に本発明の実施例および比較例を詳述する。
[実施例1]
ガラス基板(コーニング社製#7059、厚さ0.7mm)上に、第二の電極としてITO膜(10Ω/□)を成膜し、さらに第一の電極として、厚さ約0.2μmの銀を積層した。次に、第一の電極と第二の電極とをストライプ状(ライン幅300μm、ライン間隔30μm)にパターニングした後、二酸化ケイ素を成膜し、表面を研磨して、図8に示す対向電極を作製した。一方、表示電極として、別のガラス基板上に成膜したITO電極を、ストライプ状(ライン幅300μm、ライン間隔30μm)にパターニングした。
ガラス基板(コーニング社製#7059、厚さ0.7mm)上に、第二の電極としてITO膜(10Ω/□)を成膜し、さらに第一の電極として、厚さ約0.2μmの銀を積層した。次に、第一の電極と第二の電極とをストライプ状(ライン幅300μm、ライン間隔30μm)にパターニングした後、二酸化ケイ素を成膜し、表面を研磨して、図8に示す対向電極を作製した。一方、表示電極として、別のガラス基板上に成膜したITO電極を、ストライプ状(ライン幅300μm、ライン間隔30μm)にパターニングした。
この2枚の電極を、互いのストライプ電極が直交するように、厚さ50μmのボンダインTX8030(住友化学製)で貼り合わせ、240×320ドットの表示セルを作製した。
プロピレンカーボネート(PC)とエチレンカーボネート(EC)の混合溶媒(体積比率4:6)に、ヨウ化銀(1.0moL/L)、ヨウ化アンモニウム(1.0moL/L)、チオシアン酸アンモニウム(1.0moL/L)を溶解して電解液を調製した。
この電解液4.3gに対し、モノマー(2−ヒドロキシ1,3−ジメタクリロキシプロパン(701):新中村化学製)0.5g、オリゴマー(1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルアクリレート(EA−5521):新中村化学製)0.1gおよびシアノレジン(CR−S:信越化学製)0.1gを溶解した。この混合物に、さらに、プロピレンカーボネート(PC)とエチレンカーボネート(EC)の混合溶媒(体積比率4:6)に重合開始剤V−65(和光純薬製)を2.5重量%溶解した液500μLを混合し、その後、二酸化チタン:CR−58(石原産業製)を40重量%分散し、表示用組成物用の液体を調製した。
電極間にこの表示用組成物用液体を注入し、温度80℃、40分加熱することで表示用組成物を形成し、シート型表示装置用パネルを作製した。
このシート型表示装置用パネルについて、ITO電極の50本目と対向電極50本目にある画素のみを、過剰に発色性物質である銀が析出する条件で繰り返し動作させたところ、この画素は焼付けを起こし、正常に表示できなくなったが、焼付けを起こした画素以外は、正常に表示ができることを確認した。
この結果から、実施例1のシート型表示装置用パネルでは、繰返し表示によって欠陥画素が発生した場合でも、表示品質の低下を最小限に抑えられることが理解できる。また、適切に銀が析出する条件で繰返し動作を行ったところ、1万回の動作後も良好な表示が得られた。
[比較例1]
対向電極において第二電極を用いないこと以外は、実施例1と同様にシート型表示装置用パネルを作製した。
対向電極において第二電極を用いないこと以外は、実施例1と同様にシート型表示装置用パネルを作製した。
ITO電極の50本目と対向電極50本目にある画素のみを、過剰に銀が析出する条件で繰り返し動作させたところ、この画素は焼付けを起こし、正常に表示できなくなった。さらに、焼付けを起こした50画素目以降の画素でも、表示ができなくなり、表示にライン状の欠陥が発生した。
この結果から、比較例1のシート型表示装置用パネルでは、繰返し表示によって欠陥画素が発生した場合、画素欠陥がそのままライン欠陥に結び付き、表示品質の低下が大きいことが理解できる。
[実施例2]
二酸化ケイ素による絶縁膜を形成しない以外は、実施例1と同様にシート型表示装置用パネルを作製した。
二酸化ケイ素による絶縁膜を形成しない以外は、実施例1と同様にシート型表示装置用パネルを作製した。
このシート型表示装置用パネルについて、ITO電極の50本目と対向電極50本目にある画素のみを、過剰に銀が析出する条件で繰り返し動作させたところ、この画素は焼付けを起こし、正常に表示できなくなったが、焼付けを起こした画素以外は、正常に表示ができることを確認した。
なお、適切に銀が析出する条件で繰返し動作を行ったところ、約4000回の動作後、非選択点以外も表示されるようになった。表示セルを分解したところ、隣接するストライプ状電極間が短絡していることが確認された。
[実施例3]
対向電極における第二の電極として、ITO膜の代わりに、Pt膜(厚さ約0.1μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、シート型表示装置用パネルを作製した。
対向電極における第二の電極として、ITO膜の代わりに、Pt膜(厚さ約0.1μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、シート型表示装置用パネルを作製した。
ITO電極の50本目と対向電極50本目にある画素のみを、過剰に銀が析出する条件で繰り返し動作させたところ、この画素は焼付けを起こし、正常に表示できなくなったが、焼付けを起こした画素以外は、正常に表示ができることを確認した。また、適切に銀が析出する条件で繰返し動作を行ったところ、1万回の動作後も良好な表示が得られた。
[実施例4]
ガラス基板(コーニング社製#7059、厚さ0.7mm)上に、第二の電極としてITO膜(10Ω/□)を成膜し、ストライプ状(ライン幅310μm、ライン間隔20μm)にパターニングした。
ガラス基板(コーニング社製#7059、厚さ0.7mm)上に、第二の電極としてITO膜(10Ω/□)を成膜し、ストライプ状(ライン幅310μm、ライン間隔20μm)にパターニングした。
さらに、第一の電極として、銀微粒子40重量部、カーボン微粒子50重量部、ポリフッ化ビニリデン10重量部を成分とした、厚さ約5μmの複合電極を、ストライプ状(ライン幅270μm、ライン間隔60μm)に塗布形成し、図4に示す対向電極を作製した。
以下、実施例1と同様にしてシート型表示装置用パネルを作製した。第二の電極(ITO膜)の析出過電圧は約0.6V、第一の電極の析出過電圧は0.05V以下であった。
ITO電極の50本目と対向電極50本目にある画素のみを、過剰に銀が析出する条件で繰り返し動作させたところ、この画素は焼付けを起こし、正常に表示できなくなったが、焼付けを起こした画素以外は、正常に表示ができることを確認した。また、適切に銀が析出する条件で繰返し動作を行ったところ、1万回の動作後も良好な表示が得られた。
[比較例2]
対向電極における第二電極を用いないこと以外は、実施例4と同様にシート型表示装置用パネルを作製した。
対向電極における第二電極を用いないこと以外は、実施例4と同様にシート型表示装置用パネルを作製した。
ITO電極の50本目と対向電極50本目にある画素のみを、過剰に銀が析出する条件で繰り返し動作させたところ、この画素は焼付けを起こし、正常に表示できなくなった。さらに、焼付けを起こした50画素目以降のラインでも、表示ができなくなり、表示にライン状の欠陥が発生した。
[比較例3]
対向電極における第二電極として、ITO膜の代わりに、Ag膜(厚さ約0.2μm)を用いたこと以外は、実施例4と同様にして、シート型表示装置用パネルを作製した。第二の電極、第一の電極の析出過電圧は0.05V以下であった。
対向電極における第二電極として、ITO膜の代わりに、Ag膜(厚さ約0.2μm)を用いたこと以外は、実施例4と同様にして、シート型表示装置用パネルを作製した。第二の電極、第一の電極の析出過電圧は0.05V以下であった。
このシート型表示装置用パネルについて、繰返し動作を行ったところ、約3000回の動作後、非選択点以外も表示されるようになった。表示セルを分解したところ、隣接するストライプ状電極間が短絡していることが確認された。
なお、上記に開示した内容から、下記の付記に示した発明が導き出せる。
(付記1)
酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質を含む表示用組成物を、透明表示電極と対向電極との間に配し、当該透明表示電極と当該対向電極との間の通電により、当該発色性物質を発色または消色させることにより表示を行うエレクトロクロミック表示装置において、
当該対向電極が、第一の電極と当該第一の電極に接して設けられた第二の電極との積層構造よりなり、
当該透明表示電極側から当該第一の電極および第二の電極を見た場合に、当該第一の電極が手前にあり、
当該エレクトロクロミック表示装置の稼働中に、当該第一の電極が当該表示用組成物中に溶解し得、当該第二の電極が当該表示用組成物中に溶解しないものである
エレクトロクロミック表示装置。
酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質を含む表示用組成物を、透明表示電極と対向電極との間に配し、当該透明表示電極と当該対向電極との間の通電により、当該発色性物質を発色または消色させることにより表示を行うエレクトロクロミック表示装置において、
当該対向電極が、第一の電極と当該第一の電極に接して設けられた第二の電極との積層構造よりなり、
当該透明表示電極側から当該第一の電極および第二の電極を見た場合に、当該第一の電極が手前にあり、
当該エレクトロクロミック表示装置の稼働中に、当該第一の電極が当該表示用組成物中に溶解し得、当該第二の電極が当該表示用組成物中に溶解しないものである
エレクトロクロミック表示装置。
(付記2)
酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質を含む表示用組成物を、透明表示電極と対向電極との間に配し、当該透明表示電極と当該対向電極との間の通電により、当該発色性物質を発色または消色させることにより表示を行うエレクトロクロミック表示装置において、
当該対向電極が、第一の電極と当該第一の電極に接して設けられた第二の電極との積層構造よりなり、
当該透明表示電極側から当該第一の電極および第二の電極を見た場合に、当該第一の電極が手前にあり、
下記の条件(1),(2)のいずれか一方またはその両方が成立するエレクトロクロミック表示装置。
酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質を含む表示用組成物を、透明表示電極と対向電極との間に配し、当該透明表示電極と当該対向電極との間の通電により、当該発色性物質を発色または消色させることにより表示を行うエレクトロクロミック表示装置において、
当該対向電極が、第一の電極と当該第一の電極に接して設けられた第二の電極との積層構造よりなり、
当該透明表示電極側から当該第一の電極および第二の電極を見た場合に、当該第一の電極が手前にあり、
下記の条件(1),(2)のいずれか一方またはその両方が成立するエレクトロクロミック表示装置。
(1)少なくとも当該第二の電極の側面部の上端まで絶縁膜で覆われていること。
(2)当該透明表示電極側から当該第一の電極および第二の電極を見た場合に、当該第二の電極の投影面積が当該第一の電極の投影面積より大きく、当該第一の電極の析出過電圧が当該第二の電極の析出過電圧より小さいこと。
(付記3)
酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質を含む表示用組成物を、透明表示電極と対向電極との間に配し、当該透明表示電極と当該対向電極との間の通電により、当該発色性物質を発色または消色させることにより表示を行うエレクトロクロミック表示装置において、
当該対向電極が、第一の電極と当該第一の電極に接して設けられた第二の電極との積層構造よりなり、
当該透明表示電極側から当該第一の電極および第二の電極を見た場合に、当該第一の電極が手前にあり、
当該エレクトロクロミック表示装置の稼働中に、当該第一の電極が当該表示用組成物中に溶解し得、当該第二の電極が当該表示用組成物中に溶解しないものであり、
下記の条件(1),(2)のいずれか一方またはその両方が成立するエレクトロクロミック表示装置。
酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質を含む表示用組成物を、透明表示電極と対向電極との間に配し、当該透明表示電極と当該対向電極との間の通電により、当該発色性物質を発色または消色させることにより表示を行うエレクトロクロミック表示装置において、
当該対向電極が、第一の電極と当該第一の電極に接して設けられた第二の電極との積層構造よりなり、
当該透明表示電極側から当該第一の電極および第二の電極を見た場合に、当該第一の電極が手前にあり、
当該エレクトロクロミック表示装置の稼働中に、当該第一の電極が当該表示用組成物中に溶解し得、当該第二の電極が当該表示用組成物中に溶解しないものであり、
下記の条件(1),(2)のいずれか一方またはその両方が成立するエレクトロクロミック表示装置。
(1)少なくとも当該第二の電極側面部の上端まで絶縁膜で覆われていること。
(2)当該透明表示電極側から当該第一の電極および第二の電極を見た場合に、当該第二の電極の投影面積が当該第一の電極の投影面積より大きく、当該第一の電極の析出過電圧が当該第二の電極の析出過電圧より小さいこと。
(付記4)
前記第一の電極の表面を除いて絶縁膜で覆われている、付記2または3に記載のエレクトロクロミック表示装置。
前記第一の電極の表面を除いて絶縁膜で覆われている、付記2または3に記載のエレクトロクロミック表示装置。
(付記5)
前記第二の電極の一部がスルーホール中の充填物となっている、付記1〜4のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示装置。
前記第二の電極の一部がスルーホール中の充填物となっている、付記1〜4のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示装置。
(付記6)
前記第二の電極が電気化学反応に不活性な物質からなる、付記1〜5のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示装置。
前記第二の電極が電気化学反応に不活性な物質からなる、付記1〜5のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示装置。
(付記7)
前記発色性物質が銀を含む、付記1〜6のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示装置。
前記発色性物質が銀を含む、付記1〜6のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示装置。
1 表示パネル
2 透明表示電極
3 表示電極側基板
4 対抗電極
5 対抗電極側基板
6 表示用組成物
7 シール壁
21 欠損部分
31 樹枝状の析出物
41 第一の電極
42 第二の電極
43 第一の電極の投影面積
44 第二の電極の投影面積
51 絶縁膜
91 スルーホールの充填物
2 透明表示電極
3 表示電極側基板
4 対抗電極
5 対抗電極側基板
6 表示用組成物
7 シール壁
21 欠損部分
31 樹枝状の析出物
41 第一の電極
42 第二の電極
43 第一の電極の投影面積
44 第二の電極の投影面積
51 絶縁膜
91 スルーホールの充填物
Claims (5)
- 酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質を含む表示用組成物を、透明表示電極と対向電極との間に配し、当該透明表示電極と当該対向電極との間の通電により、当該発色性物質を発色または消色させることにより表示を行うエレクトロクロミック表示装置において、
当該対向電極が、第一の電極と当該第一の電極に接して設けられた第二の電極との積層構造よりなり、
当該透明表示電極側から当該第一の電極および第二の電極を見た場合に、当該第一の電極が手前にあり、
当該エレクトロクロミック表示装置の稼働中に、当該第一の電極が当該表示用組成物中に溶解し得、当該第二の電極が当該表示用組成物中に溶解しないものである
エレクトロクロミック表示装置。 - 酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質を含む表示用組成物を、透明表示電極と対向電極との間に配し、当該透明表示電極と当該対向電極との間の通電により、当該発色性物質を発色または消色させることにより表示を行うエレクトロクロミック表示装置において、
当該対向電極が、第一の電極と当該第一の電極に接して設けられた第二の電極との積層構造よりなり、
当該透明表示電極側から当該第一の電極および第二の電極を見た場合に、当該第一の電極が手前にあり、
下記の条件(1),(2)のいずれか一方またはその両方が成立するエレクトロクロミック表示装置。
(1)少なくとも当該第二の電極の側面部の上端まで絶縁膜で覆われていること。
(2)当該透明表示電極側から当該第一の電極および第二の電極を見た場合に、当該第二の電極の投影面積が当該第一の電極の投影面積より大きく、当該第一の電極の析出過電圧が当該第二の電極の析出過電圧より小さいこと。 - 酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質を含む表示用組成物を、透明表示電極と対向電極との間に配し、当該透明表示電極と当該対向電極との間の通電により、当該発色性物質を発色または消色させることにより表示を行うエレクトロクロミック表示装置において、
当該対向電極が、第一の電極と当該第一の電極に接して設けられた第二の電極との積層構造よりなり、
当該透明表示電極側から当該第一の電極および第二の電極を見た場合に、当該第一の電極が手前にあり、
当該エレクトロクロミック表示装置の稼働中に、当該第一の電極が当該表示用組成物中に溶解し得、当該第二の電極が当該表示用組成物中に溶解しないものであり、
下記の条件(1),(2)のいずれか一方またはその両方が成立するエレクトロクロミック表示装置。
(1)少なくとも当該第二の電極側面部の上端まで絶縁膜で覆われていること。
(2)当該透明表示電極側から当該第一の電極および第二の電極を見た場合に、当該第二の電極の投影面積が当該第一の電極の投影面積より大きく、当該第一の電極の析出過電圧が当該第二の電極の析出過電圧より小さいこと。 - 前記第一の電極の表面を除いて絶縁膜で覆われている、請求項2または3に記載のエレクトロクロミック表示装置。
- 前記第二の電極の一部がスルーホール中の充填物となっている、請求項1〜4のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示装置。
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WO2012017864A1 (ja) * | 2010-08-02 | 2012-02-09 | シャープ株式会社 | 表示素子、表示装置および表示方法 |
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2004
- 2004-08-25 JP JP2004244740A patent/JP2006064800A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20071106 |