JP2006063766A - 建物の耐震改修構造及び耐震改修方法 - Google Patents

建物の耐震改修構造及び耐震改修方法 Download PDF

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Abstract

【課題】既設の古い建物の耐震改修を行う耐震改修構造及び建物の耐震改修方法として、きわめて簡単で、コストも安価で、しかも耐震改修の効果がすぐれている手段を実現する。
【解決手段】耐震改修構造では、既設の建物の柱3に沿うように、減衰装置7を上端に設けた鉛直支持柱6から成る減衰装置付き鉛直支持柱5を建物の1階において基礎2の上に、又は建物の2階以上の階の床の上に立設し、前記減衰装置7は、免震ゴム14を有するものであり、前記鉛直支持柱6の立設される階の上位の階の梁4に固定しないようにする。
【選択図】図1

Description

本発明は、建物の耐震改修構造及び建物の耐震改修方法に関し、耐震性を簡単に強化するための建物の耐震改修構造及び耐震改修方法に関する。
現在では、建物を新設する場合に高いレベルの耐震強度を満たす必要があるが、既設の古い建物では、このような高いレベルの耐震強度は求められていなかった。従って、古い建物については耐震強度を上げるために、耐震改修を行う必要がある。
建物の耐震性向上のために用いられる免震ゴムは周知である(特許文献1参照)。図8は、現在、新築の建物で採用されている耐震構造及びその施工法を示している。この耐震構造では、地面位置(グランドレベル)Gから下方に全体的に凹状のコンクリート基礎構造体33が構築されており、このコンクリート基礎構造体33の上に、複数の減衰装置34(例えば、免震用のゴムを有する減衰装置)が配置されている。そして、建物35は、この減衰装置34の上に配置されている。このような耐震構造は、例えば、特許文献2〜4においてすでに公知である。
図9は、既設の古い建物を耐震改修を行う耐震改修構造及び建物の耐震改修方法を説明する図である。これは、図9(a)に示すように、建物の柱36に沿って仮設用支柱37を1本又は数本立てて柱36が支える建物の重量を梁38を介して支持し、この状態で建物の柱36を上下方向に所定の間隔だけ切断して除去し、この間隔部分に免震用のゴム40を有する減衰装置39を装架して、図9(b)のように構成される。このような耐震構造は、特許文献5においてすでに公知である。
特開2001−164791号公報 特開2001−288930号公報 特開2003−003690号公報 特開2003−155837号公報 特開2002−061413号公報
図8に示す耐震構造及びその施工法は、建物35の全体を凹状のコンクリート基礎構造体33と複数の減衰装置39で支持するために、耐震性は優れている。しかしながら、これは、建物35を新築する際に施工する構造として適しているが、既設の古い建物を耐震改修を行う耐震改修構造及び建物の耐震改修方法として適用するのは困難である。
即ち、図8に示す耐震構造及びその施工法を既設の古い建物に適用する場合は、建物35全体を仮設の補強基礎(図示せず)で支持しておいて、その下方に、凹状のコンクリート基礎構造体33を構築して、さらに複数の減衰装置34を設置しなくてはならないので、大きい建物となればなるほど、施工コストが高くなり、又技術的な点でも困難さを伴う。
図9(a)、(b)に示す耐震改修構造及び建物の耐震改修方法は、古い建物に適用する手段としては比較的に簡単であるので、採用し易い。しかしながら、図9(c)に示すように、減衰装置39には上方から建物の荷重Wがかかるので、減衰装置39を構成する免震用ゴム40が縮んでしまう。その結果、梁38のうち柱36に結合している付近が下方に曲がって、建物の構造に歪みが生じ、強度上も好ましくない場合が生じやすい。
従って、図9(a)、(b)に示すように耐震改修構造及び建物の耐震改修方法を採用する場合は、減衰装置39にかかる建物の荷重、梁の寸法や強度等を調査、算出して、柱36の切断すべき間隔や減衰装置39の材料等を選択し決める等きわめて面倒な作業が必要であり、しかも将来、メインテナンスにおいて減衰装置39を交換する作業等も手間がかかる等の問題がある。
本発明は、上記従来知られている耐震改修構造及び建物の耐震改修方法の問題点を解決することを目的とするものであり、既設の古い建物の耐震改修を行う耐震改修構造及び建物の耐震改修方法として、きわめて簡単で、コストも安価で、しかも耐震改修の効果がすぐれている手段を実現することを課題とする。
本発明は上記課題を解決するために、減衰装置を設けた減衰装置付き鉛直支持柱又は減衰装置付き鉛直支持壁を、建物の柱及び壁とは別に立設し、既設の建物の耐震性を向上させる耐震改修構造であって、前記減衰装置は、前記建物の柱が崩壊した際に、前記減衰装置を設けた減衰装置付き鉛直支持柱又は減衰装置付き鉛直支持壁が、前記柱が支えていた建物の荷重を受け止める構成であることを特徴とする建物の耐震改修構造を提供する。
本発明は上記課題を解決するために、減衰装置を上端に設けた減衰装置付き鉛直支持柱又は減衰装置付き鉛直支持壁を、建物の基礎又は床の上の複数箇所に立設した既設の建物の耐震性を向上させる耐震改修構造であって、前記複数箇所に設けた複数の減衰装置は、前記鉛直支持柱又は前記鉛直支持壁の立設される階の上位の階の構造物に固定されている構成、固定されていない構成、又は固定されている構成と固定されてない構成の両方を含む構成であることを特徴とする建物の耐震改修構造を提供する。
本発明は上記課題を解決するために、減衰装置を設けた減衰装置付き鉛直支持柱又は減衰装置付き鉛直支持壁を、建物の柱及び壁とは別に立設し、既設の建物の耐震性を向上させる耐震改修方法であって、前記減衰装置は、前記建物の柱が崩壊した際に、前記減衰装置を設けた減衰装置付き鉛直支持柱又は減衰装置付き鉛直支持壁が、前記柱が支えていた建物の荷重を受け止めることを特徴とする建物の耐震改修方法を提供する。
本発明は上記課題を解決するために、減衰装置を上端に設けた減衰装置付き鉛直支持柱又は減衰装置付き鉛直支持壁を、建物の基礎又は床の上の複数箇所に立設し、既設の建物の耐震性を向上させる耐震改修方法であって、前記複数箇所に設けた複数の減衰装置は、前記鉛直支持柱又は前記鉛直支持壁の立設される階の上位の階の構造物に固定する、固定しない、又は一部は固定し残りは固定しないことを特徴とする建物の耐震改修方法を提供する。
前記固定されていない構成である減衰装置については、前記上位の階の梁との間に隙間を形成する構成としてもよい。
前記減衰装置は、免震ゴム、防震バネ、油圧緩衝器、慣性減衰器、転動減衰器又は滑動減衰器を利用してもよい。
本発明は以上のような構成であるから、次のような効果が生じる。
(1)建物の柱の側に鉛直支持柱を立設し、その上端に減衰装置(例えば、免震ゴムを有する減衰装置)を設けるというきわめて簡単な構成であるから、既設の古い建物の耐震改修を行う耐震改修構造及び建物の耐震改修方法として、簡単且つ低コストで施工可能である。
(2)地震発生の際に建物の柱が破壊したら初めてその柱の側の鉛直支持柱とその上端の減衰装置により建物の梁を受けて建物の重量を支持する構成であるから、真に必要な際に強力な耐震改修効果を発揮することが可能となる。又、建物の梁の水平方向の揺れが加わっても、転動減衰器や滑動減衰器を設ければ、剪断力が鉛直支持柱に加わらない。
(3)減衰装置は、その上方の梁に対して軽く接するか、或いは隙間をおいて設けることができるので、簡単に交換することができ、定期的なメインテナンスも容易である。
本発明に係る建物の耐震改修構造及び建物の耐震改修方法を実施するための最良の形態を実施例に基づき図1〜6を参照して、以下、説明する。
図1〜3は、本発明の実施例1を説明する図である。図1(a)は、本発明に係る耐震改修構造及び建物の耐震改修方法を適用する前の状態の既設の建物を示し、図1(b)は、本発明に係る耐震改修構造及び建物の耐震改修方法を適用した後の状態の建物を示す。
この実施例1の建物1は、基礎2の上に複数の柱3が立設され、柱3間に梁4が設けられた建築構造物である。この実施例1の耐震改修構造及び建物の耐震改修方法は、図1(b)に示すように、建物1の1階において、基礎2上に減衰装置付き鉛直支持柱5を立設する構成である。即ち、鉛直支持柱6の上に減衰装置7を設けた減衰装置付き鉛直支持柱5を、基礎2の上に立設したものである。Gは地面位置(グランドレベル)を示している。
鉛直支持柱6は、図2(a)に示すように、鉛直支持柱6から基礎2(基礎コンクリート)内に延びるように鉄筋8を入れたコンクリート支柱9を立設する。或いは、図2(b)(図2(b)の上の図はH型鋼10を水平に切断した断面図)に示すように、鉛直支持柱6をH型鋼10から構成し、その下端に固着したベースプレート11をボルト12で予め基礎2(基礎コンクリート)内に埋設したナット13、或いは既設コンクリートに後で打ち込むあと施工アンカーに螺着することで固定して立設する。
図2(c)に示す建物の柱3と鉛直支持柱6との水平方向の間隔d1に対して、図2(d)に示す建物の柱3と鉛直支持柱6との水平方向の間隔d2を大きくすると、要するに、建物の柱3に対して鉛直支持柱6を大きく離して立設すると、図2(e)に示すように、建物1の上方からの荷重Wが、柱3及び柱3と梁4との結合部近辺に作用するために、梁4に剪断力が作用し曲がって、破壊の原因となる。
本発明では、これを防止するために、鉛直支持柱6は、図2(c)に示すように、建物の柱3に近接し鉛直支持柱6を立設する構成とすることが好ましい。間隔d1は、建物規模にもよるが、50〜200mm程度とするとよい。
図3(a)、(b)は、鉛直支持柱6の上に減衰装置7を取り付けた状態を示す図である。減衰装置7は、免震用ゴム14に上下に上部支持板15と下部支持板16を取り付けて成る構成である。
図3(a)、(b)に示す鉛直支持柱6は、図2(a)に示すようなコンクリート支柱9であるが、その上端にナット17が埋設されており、さらに取付板18の突起片19が埋設され取付板18が固定されている。減衰装置7の下部支持板16は、ボルト20をナット17に螺着することで固定され、これにより、減衰装置7が鉛直支持柱6に固定される。
減衰装置付き鉛直支持柱5は、図3(a)、(c)に示すように、減衰装置7の上部支持板が2階の梁4(1階より上位の階の構造部物に相当する。)に、固定することなく軽く自然状態で接するように設ける。或いは、減衰装置付き鉛直支持柱5は、図3(b)、(d)に示すように、2階の梁4に対して小さな隙間sをあけて設ける。この隙間sは、建物1の崩壊に影響しない程度の通常発生する地震程度では、減衰装置7が2階の梁4に接触しない、例えば20〜50mm程度の寸法である。
(作用)
本発明に係る耐震改修構造の作用を説明する。通常生じる程度の地震(建物の柱3が崩壊しない程度の震度の地震)では、減衰装置7は、その減衰作用を発揮しなくてもよい。そのため、前述のとおり図3(b)、(d)に示すように、隙間sを設け、通常の地震程度では、2階の梁4が減衰装置7に接触しないようにしてもよい。
大きな震度の地震が発生し柱3が崩壊したような場合に、図3(e)に示すように、2階の梁4が減衰装置7の上部支持板15の上に乗ってしまうと、減衰装置7が建物1の荷重Wを受けて、免震ゴム14は鉛直方向及び水平方向の振動を減衰する機能を発揮し、減衰装置付き鉛直支持柱5は建物1が崩落しないように支持する。
(実施例1の変形例)
図4は、実施例1の変形例1を説明する図である。図4(a)は、1階のスペース部21には、仕切壁や柱3が設けられていない、いわゆるピロティータイプの建物22を示している。図4(b)は、このようなピロティータイプの建物22の1階部分に、実施例1と同様に、減衰装置付き鉛直支持柱5を複数本、立設してなる耐震改修構造及び建物22の耐震改修方法を示す図である。
このようなピロティータイプの建物22の場合は、1階における建物22の外周囲に設けた柱3や壁のみで、建物の2階以上の荷重を支える構造の建物であるから、地震の際には、減衰装置付き鉛直支持柱5を立設すると、きわめて耐震効果が高くなる。
図5は、実施例1の変形例2を説明する図である。この変形例2は、図5(a)に示すように、減衰装置付き鉛直支持柱5に加えて減衰装置付き鉛直支持壁23を、1階の基礎2の上に立設した耐震改修構造及び建物の耐震改修方法を説明する図である。図5(b)は、図5(a)のA−A断面を示す断面図であり、1階の平面の状態が示されている。図5(c)は、減衰装置付き鉛直支持柱5に加えて減衰装置付き鉛直支持壁23の斜視図である。
減衰装置付き鉛直支持壁23は、鉛直支持壁24の上に減衰装置25を配置して成るものであり、鉛直支持柱6の代わりに鉛直支持壁24にしたという点で相違するが、その機能等については、基本的には減衰装置付き鉛直支持柱5と同じである。
減衰装置7は、鉛直支持壁24の上に配設されるから、例えば、平面的に見て長細い免震ゴム26を上部支持板27及び下部支持板28間に装着して成る構成である。変形例2では、このような構成の減衰装置付き鉛直支持壁23を、例えば、図5(b)に示すように、配置する構成としている。29は仕切壁である。
そして、減衰装置25の上部支持板27が、その上の階の梁4に軽く接する程度又は隙間(実施例1の隙間sと同じ程度)をもって減衰装置付き鉛直支持壁23を配設する構成は、実施例1と同様である。なお、この変形例2では、減衰装置付き鉛直支持柱5に加えて減衰装置付き鉛直支持壁23を立設しているが、減衰装置付き鉛直支持壁23だけ立設した構成としてもよいことは言うまでもない。
図6(a)は、実施例1の変形例3を説明する図である。この変形例3は、実施例1において、図6(a)に示すように、2階以上の階では、部分的に補強用の補強壁30(「そで壁」ともいう。)を配置した構成である。
この補強壁30により、2階以上の階に比べて1階では意図的に強度が弱くなるようにして、地震の際に発生する変形が1階に集中するようにして、柱3が崩落しても、本発明の耐震改修構造及び耐震改修方法を採用し、減衰装置付きの鉛直支持柱5により、2階以上が落階しないような構成としている。
図6(b)は、実施例1の変形例4を説明する図である。この変形例4は、変形例3と同様であり、変形例2において、2階以上の階では、部分的に補強壁30を配置し、2階以上の階に比べて1階では意図的に強度が弱くなるようにして、地震の際に発生する変形が1階に集中するようにして、柱が崩落しても、1階に設けた本発明の耐震改修構造により、減衰装置付きの鉛直支持柱5及び減衰装置付き鉛直支持壁23で2階以上が落階しないように支持する構成である。
図7は、本発明の実施例2を説明する図である。この実施例2は、建物の1階ではなく2階以上の階(図7の例では5階)に本発明の減衰装置付き鉛直支持柱5及び減衰装置付き鉛直支持壁23、或いはそのいずれかを設けた耐震改修構造及び耐震改修方法である。
この実施例2における減衰装置付き鉛直支持柱5及び減衰装置付き鉛直支持壁23は、それぞれ実施例1及びその変形例1、2で利用したものと同じである。そして、減衰装置7の上部支持板がその上位の階の梁4(減衰装置付き鉛直支持柱5又は減衰装置付き鉛直支持壁23の設けられた階の上位の階の構造物に相当する。)に軽く接する程度又は隙間をもって、減衰装置付き鉛直支持柱5、或いは減衰装置付き鉛直支持壁23を配設する構成についても実施例1及びその変形例1、2と同じである。
この実施例2は、既設の建物で時々見られる、1階から途中の階(図7の例では、4階)までは、十分な補強構造(例えば、十分にH型鋼31等で補強している柱構造32等)を採用しているがそれより上の階では、さほど十分な補強構造を採用していないような建物等に、特に適している。
以上の実施例1(変形例1〜4も含め)、実施例2では、減衰装置7として免震用ゴム14、26、40等を用いた例を説明したが、減衰装置7として免震用ゴム以外の減衰装置を利用してもよい。図10は、実施例1、2の減衰装置7において、免震用ゴム14、26、40に替えて採用できる減衰装置の例を説明する図である。
図10(a)〜(e)に示す減衰装置41〜45は、その下部が鉛直支持柱6に固定され、その上部が上位の階の梁4に固定されている。しかし、これらの減衰装置41〜45は、シリンダ部46とピストン部47が互いに上下方向に相対的に移動しかつエネルギーを吸収して減衰する装置である。
シリンダ部46を、そのフランジ48を取付板18を介して鉛直支持柱6にボルト締めして固定されており、ピストン部47をそのフランジ49を上位の階の梁4にボルト締めして固定されている。もちろん、逆にシリンダ部46を梁4に固定し、ピストン部47を鉛直支持柱6に固定してもよい。
図10(a)の減衰装置41は、シリンダ部46内にゴム50(又は塑性物)を装入し、通常はピストン部47を隙間sを介して又は介さずに上方に位置する構成としたものである。図10(b)の減衰装置42は、シリンダ部46内にコイルバネ51(又は皿バネ)等を装入したバネ減衰器である。
図10(c)の減衰装置43は、シリンダ部46とピストン部47で油圧減衰器とした構成である。図10(d)の減衰装置は44、ピストン部47の軸部をネジ軸52として構成し、その先端に慣性体53を設け、ネジ軸52をシリンダ部46の蓋54に螺合して成る慣性減衰器である。図10(e)の減衰装置45は、ピストン部47の先端55をシリンダ部46に設けたゴム、プラスチック、金属等で形成された摩擦体56に対して直動して互いに摩擦する摩擦減衰器としたものである。
以上の減衰装置を利用した耐震改修構造では、大きな震度の地震が発生し柱3が崩壊したような場合に、次のような作用が生じる。図10(a)に示す減衰装置41では、ピストン部47がシリンダ部46内にゴム50(又は塑性物)を押圧して減衰機能を発揮する。図10(b)に示す減衰装置42では、ピストン部47が、コイルバネ51(又は皿バネ)を圧縮して減衰機能を発揮する。
図10(c)に示す減衰装置43では、ピストン部47がシリンダ部46内の油を押して細孔通路57から背面側に矢印に示すように流して油圧緩衝を行う。図10(d)の減衰装置44では、ピストン部47の移動により慣性体53が回動し減衰作用を行う。図10(e)の減衰装置ではピストン部47の先端をシリンダ部46の摩擦体56に押し込み摩擦力により減衰作用を行う。
図11(a)〜(c)は、本発明の実施例3を説明する図である。図11(a)〜(c)に示す実施例3は、いずれも鉛直支持柱6(鉛直支持壁24であっても同様であるので本実施例では鉛直支持柱6で説明する。)の上端に減衰装置が取り付けられており、この減衰装置は、2階の梁4が乗って当接しても相対的に転動可能又は滑動可能な構成とした点を特徴とする。
即ち、大きな地震が発生して柱3が崩壊したような場合に、2階の梁4が鉛直支持柱6の上端の減衰装置の上に乗って、さらに横方向の揺れや振動が加わると、鉛直支持柱6に剪断力を加わって鉛直支持柱6自体が崩壊する可能性が生じる。この解決手段として、鉛直支持柱6の上端に取り付けた減衰装置は、2階の梁4に対して相対的に転動可能又は滑動可能な構成として剪断力が鉛直支持柱6に加わらず、しかも減衰される構成とした点である。
図11(a)に示す減衰装置58は、複数の鋼球61を回転可能に設けた転動減衰器59を利用したものである。この転動減衰器59は、その基板にマトリクス状に複数の凹状の鋼球保持器60を設け、この鋼球保持器60に内に鋼球61を回転可能に保持する構成としたものである。
このような減衰装置58によれば、地震の際に2階の梁4が減衰装置58上に乗っていかなる水平方向に揺れても、梁4は鋼球61の上で転動するので、剪断力は鉛直支持柱6に直接は作用しない。そして、鋼球61は鋼球保持器60内で回転するが、その際、鋼球61に対して鋼球保持器60の回転摩擦抵抗が若干働くので、滑動する2階の梁4に対して減衰作用も生じる。
図11(b)に示す減衰装置62は、複数のローラ63を回転可能に設けた転動減衰器64を利用したものである。この転動減衰器64は、基枠65内に並列された複数のローラ63を回転可能に設けた構成としたものである。
このような減衰装置62によれば、地震の際に2階の梁4がローラ63の上に乗って水平方向に揺れても、その揺れの方向がローラ63のほぼ軸方向以外であれば、2階の梁はローラ63上で転動するから、剪断力は鉛直支持柱6に直接は作用しない。そして、ローラ63が基枠65に対して回転する際に回転摩擦抵抗を受けるので、滑動する2階の梁4に対して減衰作用も生じる。
図11(c)に示す減衰装置66は、滑動減衰器67を利用したものである。この滑動減衰器67は、鉛直支持柱6の頂面に下部テフロンシート68(「テフロン」は登録商標名である。)を貼り付け、その上に、下面に上部テフロンシート69を貼り付けた支持ブロック部材70を載置する構成とする。
支持ブロック部材70は、大きな地震が発生した際に2階の梁4を支えるものであり、下部テフロンシート68と上部テフロンシート69は互いに当接する構造となっている。支持ブロック部材70と鉛直支持柱6とを板バネ等(図示しない。)で軽く結合し、支持ブロック部材70が鉛直支持柱6からずれ落ちない構成としてもよい。
このような減衰装置66によれば、地震の際に2階の梁4が支持ブロック部材70上に乗っていかなる水平方向に揺れても、上下の2枚のテフロンシート69、68相互間で滑動するために2階の梁4の横揺れによる剪断力は鉛直支持柱6に直接は作用しない。そして、上下の2枚のテフロンシート69、68の滑り抵抗により、滑動する2階の梁4に対して減衰作用も生じる。
以上、本発明を実施するための最良の形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることは言うまでもない。
本発明に係る建物の耐震改修構造及び耐震改修方法は、以上のような構成であるから、中古の建物を耐震改修しリニューアルするような場合に適切である。
本発明の実施例1を説明する図である。 実施例1の要部を説明する図である。 実施例1の要部を説明する図である。 実施例1の変形例1を説明する図である。 実施例1の変形例2を説明する図である。 (a)は実施例1の変形例3を説明する図であり、(b)は実施例1の変形例4を説明する図である。 本発明の実施例2を説明する図である。 新設の建物に適用されている公知の耐震改修構造及び耐震改修方法である。 既設の建物に適用されている公知の耐震改修構造及び耐震改修方法である。 本発明に利用可能な各種の減衰装置の構造、作用を説明する図である。 本発明の実施例3の3つの異なった態様を説明する図であり、(a)〜(c)の左側の図はそれぞれ側面図であり、(a)、(b)の右側の図はA−A断面図であり、(c)の右側の図は要部拡大図である。
符号の説明
1 建物
2 基礎
3 柱
4 梁
5 減衰装置付き鉛直支持柱
6 鉛直支持柱
7 減衰装置
8 鉄筋
9 コンクリート支柱
10 H型鋼
11 ベースプレート
12 ボルト
13 ナット
14 免震用ゴム
15 上部支持板
16 下部支持板
17 ナット
18 取付板
19 取付板の突起片
20 ボルト
21 ピロティータイプの建物の1階のスペース部
22 ピロティータイプの建物
23 減衰装置付き鉛直支持壁
24 鉛直支持壁
25 減衰装置
26 免震ゴム
27 上部支持板
28 下部支持板
29 仕切壁
30 補強壁(そで壁)
31 H型鋼
32 柱構造
33 凹状のコンクリート基礎構造体
34 減衰装置
35 建物
36 建物の柱
37 仮設用支柱
38 建物の梁
39 減衰装置
40 免震用ゴム
41〜45 減衰装置
46 シリンダ部
47 ピストン部
48、49 フランジ
50 ゴム
51 コイルバネ
52 ネジ
53 慣性体
54 シリンダ部の蓋
55 シリンダ部先端
56 摩擦体
57 細孔通路
58 減衰装置
59 転動減衰器
60 鋼球保持器
61 鋼球
62 減衰装置
63 ローラ
64 転動減衰器
65 基枠
66 減衰装置
67 滑動減衰器
68 下部テフロンシート
69 上部テフロンシート
70 支持ブロック部材
G 地面位置(グランドレベル)
W 建物の荷重

Claims (8)

  1. 減衰装置を設けた減衰装置付き鉛直支持柱又は減衰装置付き鉛直支持壁を、建物の柱及び壁とは別に立設し、既設の建物の耐震性を向上させる耐震改修構造であって、
    前記減衰装置は、前記建物の柱が崩壊した際に、前記減衰装置を設けた減衰装置付き鉛直支持柱又は減衰装置付き鉛直支持壁が、前記柱が支えていた建物の荷重を受け止める構成であることを特徴とする建物の耐震改修構造。
  2. 減衰装置を上端に設けた減衰装置付き鉛直支持柱又は減衰装置付き鉛直支持壁を、建物の基礎又は床の上の複数箇所に立設した既設の建物の耐震性を向上させる耐震改修構造であって、
    前記複数箇所に設けた複数の減衰装置は、前記鉛直支持柱又は前記鉛直支持壁の立設される階の上位の階の構造物に固定されている構成、固定されていない構成、又は固定されている構成と固定されてない構成の両方を含む構成であることを特徴とする建物の耐震改修構造。
  3. 前記固定されていない構成である減衰装置は、前記上位の階の梁との間に隙間が形成されていることを特徴とする請求項2記載の建物の耐震改修構造。
  4. 前記減衰装置は、免震ゴム、防震バネ、油圧減衰器、摩擦減衰器、慣性減衰器、転動減衰器又は滑動減衰器であることを特徴とする請求項1又は2記載の建物の耐震改修構造。
  5. 減衰装置を設けた減衰装置付き鉛直支持柱又は減衰装置付き鉛直支持壁を、建物の柱及び壁とは別に立設し、既設の建物の耐震性を向上させる耐震改修方法であって、
    前記減衰装置は、前記建物の柱が崩壊した際に、前記減衰装置を設けた減衰装置付き鉛直支持柱又は減衰装置付き鉛直支持壁が、前記柱が支えていた建物の荷重を受け止めることを特徴とする建物の耐震改修方法。
  6. 減衰装置を上端に設けた減衰装置付き鉛直支持柱又は減衰装置付き鉛直支持壁を、建物の基礎又は床の上の複数箇所に立設し、既設の建物の耐震性を向上させる耐震改修方法であって、
    前記複数箇所に設けた複数の減衰装置は、前記鉛直支持柱又は前記鉛直支持壁の立設される階の上位の階の構造物に固定する、固定しない、又は一部は固定し残りは固定しないことを特徴とする建物の耐震改修方法。
  7. 前記固定されていない構成である減衰装置については、前記上位の階の梁との間に隙間を形成することを特徴とする請求項6記載の建物の耐震改修方法。
  8. 前記減衰装置は、免震ゴム、防震バネ、油圧緩衝器、摩擦減衰器、慣性減衰器、転動減衰器又は滑動減衰器を利用することを特徴とする請求項5、6又は7記載の建物の耐震改修方法。
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