JP2006062404A - 空気入りタイヤ - Google Patents

空気入りタイヤ Download PDF

Info

Publication number
JP2006062404A
JP2006062404A JP2004244181A JP2004244181A JP2006062404A JP 2006062404 A JP2006062404 A JP 2006062404A JP 2004244181 A JP2004244181 A JP 2004244181A JP 2004244181 A JP2004244181 A JP 2004244181A JP 2006062404 A JP2006062404 A JP 2006062404A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rubber
group
tread
parts
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004244181A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4501591B2 (ja
Inventor
Takuei Tsuji
拓衛 辻
Motofumi Sai
源文 崔
Daisuke Kanari
大輔 金成
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yokohama Rubber Co Ltd
Original Assignee
Yokohama Rubber Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yokohama Rubber Co Ltd filed Critical Yokohama Rubber Co Ltd
Priority to JP2004244181A priority Critical patent/JP4501591B2/ja
Publication of JP2006062404A publication Critical patent/JP2006062404A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4501591B2 publication Critical patent/JP4501591B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)
  • Tires In General (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】 タイヤトレッド溝部の少なくとも溝底部分に強固に接合したブチルゴム含有の被覆層を配設した空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】 ジエン系ゴムから成るタイヤトレッド部材において、トレッドに形成される溝の少なくとも溝底部分を、ハロゲン化ブチルゴムを10重量部以上含むゴム100重量部に対して下記式(1)で規定される化合物を0.5〜10重量部含むゴムで被覆したことを特徴とする空気入りタイヤ。
【化1】
Figure 2006062404

(式中、Zは、活性水素含有基を表わし、Xは、置換基を有していてもよく、かつSO2、O、NおよびSからなる群から選ばれる少なくとも1種を含んでもよい、炭素数1〜24個の有機基を表わし、Aは、活性水素を有さず、かつ置換基を有していてもよい炭素数1〜24個の有機基を表わし、nは、1〜4の整数を表わす。)
【選択図】 図1

Description

本発明は、長期間の使用に堪える空気入りタイヤに関し、更に詳細には、タイヤトレッドに形成される溝の少なくとも溝底部分に耐クラック性および耐候性に良好な特定のハロゲン化ブチルゴムの被覆層を配設した空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤのトレッドでは、走行末期になるとその溝底部分にオゾンクラックが発生することがある。溝底にクラックが生じることで、水分等がベルト部分に侵入し易くなり、それがトレッドセパレーションの原因ともなる。また、クラックの発生が無くても、溝底は、ベルトまでのゲージが薄いので、高温多湿な地域ではやはり水分の浸透によりベルトセパレーションの原因となることがある。一方、ブチルゴムは、耐候性に優れているので、オゾンクラックの抑制や水分の浸透防止に有効であることが知られているが、ジエン系ゴムとの接着性に劣るので、これをジエン系ゴムから成るトレッドゴムの被覆層として使用すると、ジエン系ゴムとの界面で剥離を起こすという欠点があった。
従来、特に、重荷重用の空気入りタイヤのトレッドゴムにおいて、長期にわたる走行疲労や石噛みなどに起因する溝底クラックの発生を防止するため、その溝底部分にトレッドゴムとは異なる高硬度ゴムを配設することが、先行技術として特許文献1により提案されている。しかし、その溝底部分に配設する高硬度ゴムとしてブチルゴムを用いることは、上記したようなジエン系ゴムより成るトレッドゴムとの接着性等の問題があって、未だ実現されていない。
また、空気入りラジアルタイヤにおいて、高温高湿度の地域で使用されるときに、トレッドに形成された主溝の溝底から水分や酸素などが侵入して、スチールコード層の接着層が破壊されることによってベルトの耐久性が低下することを防止するために、トレッドに形成される主溝に酸素が透過しにくいブチルゴムより成る被覆ゴム層を少なくとも溝底に配設することが、同様に、先行技術として特許文献2により提案されている。しかしながら、かかる技術においても、依然として、トレッドの溝底におけるジエン系ゴムとブチルゴムとの接着性の問題は解消されていない。
特開2002−307911号公報 特開2000−153701号公報
よって、本発明では、本発明者等によって先に開発された特定の化合物をハロゲン化ブチルゴムに対して所定量配合するときは、ジエン系ゴムとの接着性が大幅に改善されたブチルゴムが得られるとの知見に基づいて、空気入りタイヤのトレッドに形成される溝の少なくとも溝底部分に、かかる耐クラック性および耐候性に良好なハロゲン化ブチルゴムと上記特定の化合物とを配合したブチルゴムから成る被覆層を配設した空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明によれば、ジエン系ゴムの単独または二種以上のブレンドから成るゴム組成物を用いたタイヤトレッド部材において、トレッドに形成される溝の少なくとも溝底部分を、ハロゲン化ブチルゴムを10重量部以上含むゴム100重量部に対して下記式(1):
Figure 2006062404
(式中、Zは、活性水素含有基を表わし、Xは、置換基を有していてもよく、かつ、SO2、O、NおよびSからなる群から選ばれる少なくとも1種を含んでもよい、炭素数1〜24個の有機基を表わし、Aは、活性水素を有さず、かつ置換基を有していてもよい炭素数1〜24個の有機基を表わし、nは、1〜4の整数を表わす。)
で規定される化合物を0.5〜10重量部含むゴムで被覆したことを特徴とする空気入りタイヤが提供される。
本発明にしたがって、前記所定の化合物を所定量配合して含むハロゲン化ブチルゴムの被覆層を、空気入りタイヤのジエン系ゴムから成るトレッド部に形成される溝の少なくとも溝底部分に配設すると、当該被覆層がトレッドの溝部と強固に接合してその部位を覆うため、タイヤの長期使用に当たっても、当該トレッドの溝部におけるオゾンクラックの発生が無く、かつその部位での水分の浸透を防止するという優れた効果を奏する。
本発明では、ハロゲン化ブチルゴムに対して前記した特定の化合物を所定量配合するときは、当該ハロゲン化ブチルと従来使用のジエン系ゴムとの間の接着性が極めて向上するとの知見を得、かかる配合から成るハロゲン化ブチルゴムの被覆層を、特に長期使用を目的とする空気入りタイヤにおいてオゾンクラックの発生が問題となる、トレッドの溝部の少なくとも溝底部分に配設する態様を提案するものである。
本発明における空気入りタイヤのトレッド部材には、通常のジエン系ゴム、例えば、天然ゴム(NR)、あるいはポリイソプレンゴム(IR)、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、または各種ブタジエンゴム(BR)などの合成ゴムが単独で、あるいは二種以上がブレンドして使用される。一方、当該トレッド部材のトレッドに形成される溝の少なくとも溝底部分に配設される被覆層を構成するゴムには、これらのジエン系ゴムに、一般に耐候性が良好で、オゾンガスや水分の耐透過性に優れたハロゲン化ブチルゴム、例えば、臭素化ブチルゴムまたは塩素化ブチルゴムを10重量部以上、好ましくは20重量部以上含むゴムが使用される。当該被覆層を構成するゴムには、ハロゲン化ブチルゴムが100重量部、つまり全部がハロゲン化ブチルゴムから構成されていてもよい。このハロゲン化ブチルゴムが10重量部未満配合されたゴムでは、所期のオゾンガスや水分の耐透過性に優れたゴムとならないので、好ましくない。
本発明における前記被覆層を構成するゴムには、当該被覆層ゴム100重量部に対して以下の一般式で示される化合物を0.5〜10重量部、好ましくは2〜7重量部の量で配合される。かかる化合物は、ハロゲン化ブチルゴムとジエン系ゴムとを共架橋化して、これら両ゴム間を強固に接合する役割を有する。この配合量が0.5重量部未満では所期の接合効果が発揮できず、また逆に10重量部を超えると、それ以上接合力を向上することができなくなるばかりか、セット性が低下し被覆層の剥離の原因となるので、好ましくない。
Figure 2006062404
(式中、Zは、活性水素含有基を表わし、Xは、置換基を有していてもよく、かつ、SO2、O、NおよびSからなる群から選ばれる少なくとも1種を含んでもよい、炭素数1〜24個の有機基を表わし、Aは、活性水素を有さず、かつ置換基を有していてもよい炭素数1〜24個の有機基を表わし、nは、1〜4の整数を表わす。)
本発明で使用する上記化合物について説明する。
式中、Zは、活性水素含有基を表す。Zは、活性水素含有基であれば特に限定されないが、本発明で用いる被覆層のハロゲン化ブチルゴムにおけるジエン系ゴムに対する接着性を強化する点で、有する活性水素が1個または2個である活性水素含有基であることが好ましい。有する活性水素が1個または2個である活性水素含有基としては、例えば、チオール基、カルボキシル基、イミノ基、アミノ基が挙げられる。イミノ基としては、例えば、−NHR2(式中、R2は、炭素数1〜20個の有機基を表す。)が挙げられる。より具体的には、例えば、−NHC65などが挙げられる。
また、Zで表される活性水素含有基は、本発明でのゴム組成物が加硫される加硫温度を考慮して選択することができる。例えば、Zがカルボキシル基のような電子吸引性の高い基である場合には、後述する熱解離(マレイミド化合物の脱離)が起こり易くなるため、加硫温度を低くすることができる。
Xは、置換基を有していてもよく、かつ、SO2、O、NおよびSからなる群から選ばれる少なくとも1種を含んでもよい、炭素数1〜24個の有機基を表す。より具体的には、Xは、非環状脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基、複素環基、アルキル芳香族基などであるが、中でも芳香族基または複素環基が好ましい。Xの価数は、上記式(1)からも分かるように、(1+n)価である。置換基は、特に限定されない。
Xとしては、例えば、エチレン基、ヘキサメチレン基(−(CH2)6−)、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、キシリル基、イミダゾール環を有する2価の基、ナフタレン環を有する2価の基、下記式(a)で表される2価の基、下記式(b)で表される3価の基が挙げられる。中でも、o−フェニレン基、p−フェニレン基、下記式(a)で表される2価の基、下記式(b)で表される3価の基、下記式(c)で表される2価の基が好ましい。
Figure 2006062404
(式中、R3は炭素数1〜24個の有機基を表す。)
また、Xも、Zと同様に、本発明でのゴム組成物が加硫される加硫温度を考慮して選択することができる。
本発明で用いる前記化合物の製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、チオール基と上記Zで表される活性水素含有基とを有する化合物と、下記式(2)で表されるマレイミド化合物とを用い、前記マレイミド化合物の炭素原子間の二重結合に前記チオール基を付加させる方法を用いることができる。
Figure 2006062404
(式中、Aは、式(1)中と同様の意味である。)
上記方法において、上記Zで表される活性水素含有基がチオール基よりも反応性が高いものである場合には、この活性水素含有基を適当な保護基で保護してから反応させるなどの方法を採ればよい。
上述した方法に用いられるチオール基と上記Zで表される活性水素含有基とを有する化合物としては、例えば、チオサリチル酸、2−アミノエタンチオール、2−ピリジンチオール、4−ピリジンチオール、2−アミノベンゼンチオール、4−アミノベンゼンチオール、4−ヒドロキシベンゼンチオール、2−メルカプトイミダゾール、2−メルカプトイミダゾリン、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−5−メチルベンゾイミダゾール、2−メルカプト−5−メトキシベンゾイミダゾール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、5−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、メタンジチオール、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、1,10−デカンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,9−ノナンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、トルエン−3,4−ジチオール、3,6−ジクロロ−1,2−ベンゼンジチオール、1,5−ナフタレンジチオール、1,2−ベンゼンジメタンチオール、1,3−ベンゼンジメタンチオール、1,4−ベンゼンジメタンチオール、4,4′−チオビスベンゼンチオール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、1,5−ジメルカプト−3−チアペンタン、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール(トリメルカプト−トリアジン)、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、2−フェニルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ポリチオール(例えば、チオコールまたはチオールで変性されたゴムおよび/または樹脂)が挙げられる。
中でも、芳香族性チオール、複素環式チオールが、熱による解離を起こし易いという点で好ましい。具体的には、例えば、チオサリチル酸、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、2−フェニルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、トリメルカプト−トリアジン、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾールが好適に挙げられる。特に、チオサリチル酸、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、2−フェニルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンは、固体で臭気がないため取扱い易いという点、および、熱による解離を起こし易いという点で好ましい。
上述した方法に用いられる上記式(2)で表されるマレイミド化合物としては、従来公知のN−置換マレイミドとして公知のものが挙げられる。具体的には、例えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−ジクロロヘキシルマレイミド等のN−アルキル基置換マレイミド;N−シクロヘキシルマレイミド等のN−シクロアルキル基置換マレイミド;N−フェニルマレイミド等のN−芳香族基置換マレイミドが好適に挙げられる。中でも、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミドが安価に入手することができる点で好ましい。
上述した方法は、より具体的には、例えば、チオール基と上記Zで表される活性水素含有基とを有する化合物に、上記式(2)で表されるマレイミド化合物を、モル比で、0.90から1.10倍、好ましくは0.95〜1.05倍加え、有機溶媒中、室温から150℃で、1〜24時間攪拌する方法が、好適に挙げられる。
前記有機溶媒は、チオール基と上記Zで表される活性水素含有基とを有する化合物および上記式(2)で表されるマレイミド化合物の両者を溶解することができるものであれば、特に限定されない。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、N−メチル−2−ピロリドン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミドが好適に挙げられる。中でも、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミドが高い溶解性を示す点で好ましい。反応終了後、減圧下で有機溶剤を濃縮除去することにより本発明の化合物が得られる。
本発明で用いる化合物の好適な具体例としては、上述したチオール基と上記Zで表される活性水素含有基とを有する化合物と、上記式(2)で表されるマレイミド化合物とのそれぞれの具体例の組み合わせから得ることができる化合物が挙げられる。より具体的には、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンとN−フェニルマレイミドとから得ることができる下記式(3)で表される化合物、チオサリチル酸とN−フェニルマレイミドとから得ることができる下記式(4)で表される化合物、2−フェニルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンとN−フェニルマレイミドとから得ることができる下記式(5)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2006062404
当該化合物をハロゲン化ブチルゴムとジエン系ゴムの両者を含有するゴム組成物に配合し、硫黄で加硫させると、以下の反応が起こり、両ゴムの共架橋が実現できる。具体的には、先ず、当該化合物とハロゲン化ブチルゴムとを含有するゴム組成物を加熱すると、化合物の活性水素含有基と、ハロゲン化ブチルゴムの炭素−臭素結合とが反応して、化合物がゴムの主鎖と結合する(下記式中の反応1)。次いで、反応1後の組成物に、ジエン系ゴムと硫黄とを添加し、更に加熱すると、ジエン系ゴムが硫黄により架橋すると共に、ゴムの主鎖と結合した化合物から、熱により解離してマレイミド化合物が脱離して、チオール基を発生させ、発生したチオール基とジエン系ゴムの二重結合とが反応して結合する(下記式中の反応2)。このようにして、ハロゲン化ブチルゴムとジエン系ゴムの両者を共架橋することができる。
Figure 2006062404
ここで、当該化合物は、活性水素含有基を分子内に1個のみ有しているので、加硫時の加硫温度に達する前の加熱過程において、その活性水素含有基がゴムと反応しても、架橋は起こらず、スコーチ等の問題がない。また、酸化マグネシウムを含有する場合には、上記反応で発生する酸を捕捉するため、スコーチが防止される。一方、当該化合物は、マレイミド化合物で保護されたチオール基を分子内に有しており、このマレイミド化合物は一定温度範囲(例えば、160〜180℃)で脱離するので、加硫温度をその温度範囲に設定すれば、加硫時において加硫温度に達したときに、速やかに架橋が起こる。そして、脱離したマレイミド化合物は、ラジカル捕捉剤として働くため、加硫温度を高くした場合(例えば、200℃)であっても、ラジカルによるゴムの主鎖の分解を抑制することができるので、熱安定性に優れる。
本発明における前記被覆層を構成するゴム組成物には、上記ゴム成分と上記化合物に加えて、通常、ゴム組成物に配合される加硫または架橋剤、加硫または架橋促進剤、カーボンブラック等の補強剤、各種オイル、老化防止剤、充填剤、可塑剤などタイヤ用の各種配合剤を配合することができる。その際に、更に、酸化マグネシウムを配合することが好ましい。酸化マグネシウムは、前述した化合物の活性水素含有基とゴムにおける活性水素含有基との反応の際に発生する酸を捕捉して、スコーチを防止する作用を有する。
かかる配合物は、汎用のゴム用混練機、例えば、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー等で混練した後、次いで押出機によって所要の厚さに押出してゴムシートとし、これを適当な大きさに切断して所望のトレッド部材における溝部の少なくとも溝底部分に配設し、最終的には、当該被覆層が、タイヤ成形時の熱架橋によってトレッドの溝部と強固に接合して所望の効果が発揮されることとなる。
本発明では、前記ゴムシートの厚さは、通常、0.5〜4mm、好ましくは1〜2mm厚とすることが望ましく、また、当該ゴムシートから成る被覆層は、図1の(a)、(b)または(c)に示すように、タイヤトレッドの溝部の溝底部分、溝底と溝周辺部分あるいは溝部を含むトレッド表面全体にわたって配設することができる。本発明での当該ゴム被覆層の形成は、長期に渡るオゾンクラック及び水の浸透を防止するため、最低限、少なくともトレッド溝部の溝底部分に施工することが必要である。
以下、従来例、実施例および比較例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲をこれら実施例に限定するものでないことは言うまでもない。
化合物−1の合成
チオサリチル酸15.4g(0.1モル)、N−フェニルマレイミド17.3g(0.1モル)およびメチルエチルケトン150gを反応器に仕込み、90℃で5時間反応させた。反応終了後、反応物を減圧下90℃で濃縮して、前記式(4)で表わされる化合物−1を32.5g得た(収率99%)。
化合物−2の合成
2−フェニルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン23.6g(0.1モル)、N−フェニルマレイミド34.6g(0.2モル)およびジメチルホルムアミド150gを反応器に仕込み、90℃で5時間反応させた。反応終了後、反応物を減圧下100℃で濃縮して、前記式(5)で表わされる化合物−2を56.3g得た(収率97%)。
各種試験法
1)トレッドゴムとの剥離試験: JIS K6256(布とゴムとの剥離試験)に準拠して、以下で作製した試験片を50mm/分の速度で剥離することによって剥離試験を行った。結果は、比較例1を100として指数で表示した。指数が大なる程剥離力が大きいことを示す。併せて、剥離後の剥離面における剥離形態を目視で観察した。
試験片の作製: 先ず、以下の表1の従来例における配合組成よりなるトレッド用ゴム組成物を得、これを1.2mm厚のゴムシートに押出して未加硫トレッド用ゴム片とした。次いで、以下の表1の従来例、比較例および実施例における配合組成より成る各例の接着対象ゴム組成物を得、これらをそれぞれ1.2mmの厚さで前記未加硫トレッド用ゴム片に積層し、更に、各ゴムシートに0.8mmの厚さの乗用車用カーカス材(糸:50本/5cm)を両側に積層して、長さ150mm以上×幅100mmの未加硫積層ゴム片とした。この時、試験機の掴みしろとするために長手方向に端から60mmまでセロファンを挟み込んでおいた。これらの積層ゴム片を150℃で45分間加硫し、16時間放置した後、幅が25mmと成るように切断して、試験片とした。
2)クラック発生試験: トレッドの溝底部分を覆う形に試験ゴムを配設した11R22.5サイズのリブ基調から成る下記の試験タイヤを22.5×8.25サイズのリムに装着し、700kPaで空気をインフレートし、1707mm径の試験機のドラム上で荷重26.73kN、速度45km/hで10,800km走行させ、走行後のトレッドと試験ゴムの界面を目視で観察し、クラック発生の有無を記録した。
試験タイヤの作製: 試験タイヤは、リブ基調のものとし、予め、成形、加硫後に溝となるトレッド部材の上面位置に、厚さ2mm、幅25mm程度の所定のゴム組成よりなるゴムシートを周方向に巻付けて配設したグリーンタイヤとし、これを成形、加硫することによって試験タイヤを作製した。前記トレッド部材のゴム組成は、以下の表1の従来例として示す配合とし、また、その溝底部分に配設したゴムシートのゴム組成は、以下の表1の従来例、実施例および比較例に示す各配合から成るものであった。
3)セット性試験: JIS K6262に準拠して試験した。以下の表1の従来例、比較例および実施例に示す配合組成から成る未加硫ゴム組成物を、金型にて150℃、30分間加硫して、直径29.0mm、厚さ12.5mmの円柱状サンプルを作製し、当該サンプルを70℃、22時間、圧縮率25%で放置後、取り出して、サンプルの厚さを測定して永久歪を求めた。
実施例、比較例および従来例
上記試験の結果を、以下の表1に示す。
Figure 2006062404
上記表1の結果によれば、本発明の空気入りタイヤでは、ジエン系ゴムから構成されるタイヤトレッドに形成される溝の所定部位に、特定の化合物を所定量含むハロゲン化ブチルゴムの被覆層を配設すると、その被覆層が加硫時に強力に当該トレッドゴムと架橋接合して、その結果、当該被覆層が、トレッドの溝部におけるオゾンクラックの発生や水分の浸透を長期にわたり阻止して、タイヤのベルトセパレーションを防止するという優れた効果を奏する。
本発明になる特定組成の被覆層を、タイヤトレッドの溝底部分(a)、溝底および溝周辺部分(b)、および溝部を含むタイヤトレッドの上面全体(c)に形成した態様の空気入りタイヤの断面模式図を示す。

Claims (3)

  1. ジエン系ゴムの単独または二種以上のブレンドから成るゴム組成物を用いたタイヤトレッド部材において、トレッドに形成される溝の少なくとも溝底部分を、ハロゲン化ブチルゴムを10重量部以上含むゴム100重量部に対して下記式(1)で規定される化合物を0.5〜10重量部含むゴムで被覆したことを特徴とする空気入りタイヤ。
    Figure 2006062404
    (式中、Zは、活性水素含有基を表わし、Xは、置換基を有していてもよく、かつ、SO2、O、NおよびSからなる群から選ばれる少なくとも1種を含んでもよい、炭素数1〜24個の有機基を表わし、Aは、活性水素を有さず、かつ置換基を有していてもよい炭素数1〜24個の有機基を表わし、nは、1〜4の整数を表わす。)
  2. 前記式(1)で規定される化合物のXが芳香族基または複素環基である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記式(1)で規定される化合物のZがチオール基、イミノ基もしくはアミノ基、またはカルボキシル基であることを特徴とする、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
JP2004244181A 2004-08-24 2004-08-24 空気入りタイヤ Expired - Fee Related JP4501591B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004244181A JP4501591B2 (ja) 2004-08-24 2004-08-24 空気入りタイヤ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004244181A JP4501591B2 (ja) 2004-08-24 2004-08-24 空気入りタイヤ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006062404A true JP2006062404A (ja) 2006-03-09
JP4501591B2 JP4501591B2 (ja) 2010-07-14

Family

ID=36109270

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004244181A Expired - Fee Related JP4501591B2 (ja) 2004-08-24 2004-08-24 空気入りタイヤ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4501591B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015116838A (ja) * 2013-12-16 2015-06-25 東洋ゴム工業株式会社 空気入りタイヤ
JP2015523277A (ja) * 2012-07-31 2015-08-13 ブリヂストン アメリカズ タイヤ オペレイションズ エルエルシー 積層体を備えるタイヤ
US11702555B2 (en) 2014-11-12 2023-07-18 The Yokohama Rubber Co., Ltd. Pneumatic tire, manufacturing device for pneumatic tire, and method of manufacturing pneumatic tire

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01269601A (ja) * 1988-04-20 1989-10-27 Yokohama Rubber Co Ltd:The 空気入りタイヤ
JPH0245202A (ja) * 1988-08-06 1990-02-15 Sumitomo Rubber Ind Ltd タイヤ
JPH04136049A (ja) * 1990-09-26 1992-05-11 Sanshin Chem Ind Co Ltd ゴム組成物
JPH11301210A (ja) * 1998-04-20 1999-11-02 Sumitomo Rubber Ind Ltd 保護膜被覆タイヤ
JP2003252872A (ja) * 2002-03-01 2003-09-10 Yokohama Rubber Co Ltd:The チオールとマレイミドとの付加体
JP2003335751A (ja) * 2002-05-21 2003-11-28 Yokohama Rubber Co Ltd:The ジチオカルバミン酸とマレイミドとの付加体
JP2006062405A (ja) * 2004-08-24 2006-03-09 Yokohama Rubber Co Ltd:The 空気入りタイヤ
JP2006063112A (ja) * 2004-08-24 2006-03-09 Yokohama Rubber Co Ltd:The タイヤ用ゴム組成物及びそれを使用した空気入りタイヤ

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01269601A (ja) * 1988-04-20 1989-10-27 Yokohama Rubber Co Ltd:The 空気入りタイヤ
JPH0245202A (ja) * 1988-08-06 1990-02-15 Sumitomo Rubber Ind Ltd タイヤ
JPH04136049A (ja) * 1990-09-26 1992-05-11 Sanshin Chem Ind Co Ltd ゴム組成物
JPH11301210A (ja) * 1998-04-20 1999-11-02 Sumitomo Rubber Ind Ltd 保護膜被覆タイヤ
JP2003252872A (ja) * 2002-03-01 2003-09-10 Yokohama Rubber Co Ltd:The チオールとマレイミドとの付加体
JP2003335751A (ja) * 2002-05-21 2003-11-28 Yokohama Rubber Co Ltd:The ジチオカルバミン酸とマレイミドとの付加体
JP2006062405A (ja) * 2004-08-24 2006-03-09 Yokohama Rubber Co Ltd:The 空気入りタイヤ
JP2006063112A (ja) * 2004-08-24 2006-03-09 Yokohama Rubber Co Ltd:The タイヤ用ゴム組成物及びそれを使用した空気入りタイヤ

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015523277A (ja) * 2012-07-31 2015-08-13 ブリヂストン アメリカズ タイヤ オペレイションズ エルエルシー 積層体を備えるタイヤ
JP2015116838A (ja) * 2013-12-16 2015-06-25 東洋ゴム工業株式会社 空気入りタイヤ
US11702555B2 (en) 2014-11-12 2023-07-18 The Yokohama Rubber Co., Ltd. Pneumatic tire, manufacturing device for pneumatic tire, and method of manufacturing pneumatic tire

Also Published As

Publication number Publication date
JP4501591B2 (ja) 2010-07-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2904590C (en) Methods for crosslinking polymer compositions in the presence of atmospheric oxygen
RU2118333C1 (ru) Вулканизуемая серой резиновая композиция, способ ее вулканизации, антиреверсионный сореагент для вулканизации и промышленный продукт
JPH0859898A (ja) 発癌性のニトロソアミン先駆体を含まない、結合用ゴムとして機能するゴム組成物
TW201718772A (zh) 熱塑性彈性體組成物及其製造方法
US7705077B2 (en) Rubber composition for steel cord and steel cord coated thereby
JP4501591B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP5262052B2 (ja) タイヤ用ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ
JPS6151041A (ja) ゴム組成物
JPH08511049A (ja) 硫黄加硫ゴム組成物中の亜鉛錯体
JP2007224140A (ja) タイヤインナーライナー用ゴム組成物
JP2006062405A (ja) 空気入りタイヤ
US7566755B2 (en) Compound and composition produced by using such compound
WO2008020604A1 (fr) Agent de formulation pour vulcanisation de caoutchouc contenant un composé de sel aminé de disulfure contenant un groupe d'acide carboxylique, procédé de production de celui-ci, composition de caoutchouc contenant celui-ci et pneu utilisant celui-ci pour le revêtement de ceinture et/ou la gomme d
US7981971B2 (en) Compounding agent for rubber vulcanization containing amino alcohol salt compound of carboxylic acid group-containing disulfide and method of production of the same and rubber composition containing the same
JP4556552B2 (ja) タイヤ用ゴム組成物及びそれを使用した空気入りタイヤ
WO2008023616A1 (fr) Composition de caoutchouc
JP2006063124A (ja) タイヤサイドウォール用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ
JP2011012043A (ja) 加硫ゴム組成物に動的耐久性を付与する新規加硫促進剤
EP3397666B1 (en) Polyolefin grafted polydiene polymers, and methods of making and using same
JP4525044B2 (ja) マレイミド付加体およびそれを含有する組成物
JP7428878B2 (ja) 加硫剤、ゴム組成物、加硫ゴム
JP2003252872A (ja) チオールとマレイミドとの付加体
US7662891B2 (en) Amine salt compound of carboxylic acid having thermal dissociation portion and compounding agent for rubber vulcanization and rubber composition containing the same
JP4294066B2 (ja) カルボン酸基含有ジスルフィドのアミノアルコール塩化合物を含む金属接着用ゴム組成物
JP2004263041A (ja) 加硫ゴムの分解方法、それにより回収される分解ゴムおよびその分解ゴムを含有する分解ゴム組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070604

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100330

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100331

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100412

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130430

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130430

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130430

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees