JP2006062244A - 電動射出成形機の可塑化移動装置及びノズルタッチ方法 - Google Patents

電動射出成形機の可塑化移動装置及びノズルタッチ方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、油圧アクチュエータを用いた簡単な構成で、ノズルタッチ圧を高精度且つ高応答性で制御することのできる、電動射出成形機の可塑化移動装置及びノズルタッチ方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 油圧シリンダ20により射出装置2を移動する。油圧ポンプ24と油圧シリンダ20の間の通路30に切替弁38を設ける。通路30の開閉及び油圧ポンプ24の作動を制御装置26により制御して油圧シリンダ20への作動油の供給を制御し、射出装置2の移動及びノズルタッチ圧を制御する。
【選択図】 図1

Description

本発明は射出成形機の可塑化移動装置に係り、特に電動射出成形機において樹脂を溶融しながら金型に対して射出するため射出装置を移動する可塑化移動装置を有する電動射出成形機の可塑化移動装置及びそのような可塑化移動装置により行なわれるノズルタッチ方法に関する。
従来の可塑化移動装置の一例として、減速機付き電動機(モータ)により駆動されるボールネジ軸とこれに係合するボールナットにより推力を得る移動機構により射出装置(可塑化装置)を移動する可塑化移動装置がある。射出装置は、樹脂を溶融するシリンダと、シリンダ内で溶融した樹脂を計量しノズルから吐出するためのスクリュとを有しており、ノズルを金型の樹脂供給部に押し付けて金型内に溶融樹脂を射出注入する。
ノズルを金型に押し付けることをノズルタッチと称し、ノズルタッチ時のノズルの金型に対する押し付け力をノズルタッチ圧と称する。溶融樹脂を金型に射出注入する際には、溶融樹脂は高圧に加圧されているため、この射出圧力に負けないようなノズルタッチ圧が必要となる。上述の電動機とボールネジにより駆動する可塑化移動装置では、電動機の駆動により射出装置を金型に向けて移動し、射出装置をバネを介して金型に対して押圧することによりバネの弾性変形力を利用してノズルタッチ圧を得る。
ここで、ノズルタッチ圧は金型が閉じている際、例えば樹脂充填工程及び保圧工程では高圧が必要である。一方、成形品の取り出し時や樹脂計量工程のように金型を開いている間はノズルタッチ圧を高圧とする必要はなく、ノズルタッチ圧に起因した金型の変形を防止するためにノズルタッチ圧を低減する必要がある。すなわち、金型を開いている間は、可動金型による押圧力が固定金型に作用しないため、固定金型に対するノズルタッチ圧が高いと固定金型が変形する等の不具合が生じるため、これを回避するためにノズルタッチ圧を低減する必要がある。このようなノズルタッチ圧の低減を「脱圧」と称する。
また、成形条件によっては、ノズルタッチさせたまま金型を開いて成形品を取り出す際に、ノズル付近の十分に固化していない樹脂が成形品と切り離されずに糸を引いた状態となる「糸引き現象」が生じることがある。そこで、「糸引き現象」の発生を防止するために、いわゆる「後退成形」という成形方法を採用することがある。「後退成形」では、充填工程及び保圧工程以外の工程において射出装置を後退させて機械的にノズルタッチを解除させ、強制的にノズル部分の樹脂と金型内の樹脂とを分離することにより、「糸引き現象」を防止する。
以上のように、連続成形を行なう場合、ノズルタッチ圧を樹脂充填時の高圧と型開時の低圧又は大気圧との間で繰り返し変化させることとなる。
特開2000−71287号公報
上述のようにバネの弾性変形力を利用してノズルタッチ圧を得る場合、ノズルタッチ圧を変化させるために、電動機を駆動してボールネジ軸を回転させ、ボールネジナットを移動することにより、バネの押し付け力を変化させる。連続成形の場合、このようなノズルタッチ圧の変化を成形の各サイクル毎に行なう。したがって、ボールネジナットはボールネジ軸上の一定の場所で繰り返し往復移動することとなり、ボールネジ軸が局部的に大きく摩耗して寿命が低下するという問題がある。
また、ボールネジによる駆動機構はバネの圧縮を利用するために、応答性が悪く短時間にノズルタッチ圧を大きく変化させることができない。また、バネの弾性変形力を精密に制御することが難しく、ノズルタッチ圧を精度よく短時間で変化させることができない。さらに、バネが繰り返し圧縮されるため、バネの寿命が短いといった問題がある。
本発明は上述の問題に鑑みなされたものであり、油圧アクチュエータを用いた簡単な構成で、ノズルタッチ圧を高精度且つ高応答性で制御することのできる可塑化移動装置を有する電動射出成形機及びノズルタッチ方法を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために、本発明によれば、射出成形機に設けられた射出装置を金型に対して移動するための可塑化移動装置を有する電動射出成形機の可塑化移動装置であって、該射出装置を移動するための駆動源として設けられた液圧アクチュエータと、該液圧アクチュエータを駆動するための両方向回転可能なポンプとモータで構成された液圧源と、該液圧源と前記液圧アクチュエータとの間に接続され、前記液圧源から吐出される作動媒体を前記液圧アクチュエータに供給して前記射出装置を前記金型に向かう方向に移動するための第1の作動媒体通路と、前記液圧源と前記液圧アクチュエータとの間に接続され、前記液圧源から吐出される作動媒体を前記液圧アクチュエータに供給して前記射出装置を前記金型から離間する方向に移動するための第2の作動媒体通路と、前記第1の作動媒体通路に設けられ、前記第1の作動媒体通路を開閉して作動媒体の流れを制御する切替弁と、前記液圧源及び前記切替弁の動作を制御する制御装置とを有することを特徴とする電動射出成形機の可塑化移動装置が提供される。
上述の電動射出成形機の可塑化移動装置は、前記切替弁と前記液圧アクチュエータとの間の作動媒体の圧力を検出し、検出信号を前記制御装置に供給する圧力検出器をさらに有し、前記制御装置は、前記圧力検出器で検出した圧力が入力装置にて設定された設定値になるように、該検出信号に基づいて前記切替弁の動作を制御することが好ましい。また、前記切替弁は、前記液圧源から前記液圧アクチュエータへ向かう作動媒体の流れに対する逆止弁としての機能を有することが好ましい。
さらに、前記設定値は少なくとも高圧設定値、及び、低圧設定値の2つの設定値を含むことが好ましい。上述の電装射出成形機において、計量工程完了後、若しくは冷却工程中に前記低圧設定値を用いて制御することとしてもよい。あるいは、充填工程中には、前記高圧設定値を用いて制御することとしてもよい。
また、前記制御装置は、少なくともスクリュの仕様値、検出された充填圧値、及び検出された背圧値のうちの一つの値を基に、前記設定値を算出することとしもよい。また、前記制御装置は、冷却工程開始から所定の時間が経過した後、前記射出装置の後退動作若しくはノズルタッチ圧の低圧制御の少なくとも一方の制御を行なうこととしてもよい。
また、上述の本発明による電装射出成形機の可塑化移動装置において、前記制御装置は、計量工程開始から所定の時間が経過した後、前記射出装置の後退動作若しくはノズルタッチ圧の低圧制御の少なくとも一方の制御を行なうこととしてもよい。また、前記液圧アクチュエータは往復動可能な液圧シリンダであり、該液圧シリンダは、前記第1の作動媒体通路から作動媒体が供給されると前記射出装置を前記金型に向かう方向に移動し、前記第2の作動媒体通路から作動媒体が供給されると前記射出装置を前記金型から離間する方向に移動するように、前記射出装置と前記金型の固定部との間に取り付けられることとしてもよい。
また、本発明によれば、電装射出成形機の可塑化移動装置においてノズルを金型に当接させるためのノズルタッチ方法であって、モータを駆動し、該モータの駆動によって、液圧源から作動媒体を液圧アクチュエータに供給し、該液圧アクチュエータに供給された作動媒体の圧力を圧力検出器により検出し、該圧力検出器にて検出された圧力検出値に基づいて切替弁を制御することを特徴とするノズルタッチ方法が提供される。
上述の本発明によれば、液圧アクチュエータに作動媒体を供給する第1の作動媒体通路に切替弁を設け、切替弁の開閉を制御するだけの簡単な構成で、ノズルタッチ圧を精度高く所望の圧力に制御して保持することができる。また、液圧アクチュエータを用いているため、ボールねじのように摩耗する部品は必要なく、作動寿命の長い移動機構を実現することができる。
次に、本発明の第1実施例について図1を参照しながら説明する。図1は本発明の第1実施例による電動射出成形機に設けられた可塑化移動装置の全体構成を示す図である。
図1に示す可塑化移動装置は、電動射出成形機に設けられた射出装置2を移動するために設けられる。射出装置2は成形機のシャーシ4上で、固定金型6を支持する固定プラテン8に対して移動可能に支持される。移動金型10は、固定金型6に対して移動可能に設けられ、移動金型10を固定金型6に押し付けて金型を閉じた状態で樹脂充填工程及び保圧工程が行なわれ、移動金型10を固定金型6から離して金型を開いた状態で成形品の取り出し工程及び樹脂計量工程が行われる。
射出装置2は溶融した樹脂を計量して押し出すためのスクリュ12を有しており、スクリュ12の先端にノズル14が設けられている。このノズル14の先端から溶融樹脂が吐出される。溶融樹脂を金型に注入し充填する充填工程では、射出装置2を固定プラテン8に向けて移動し、ノズル14を固定金型10又は固定プラテン8の注入部に対して押し付ける(ノズルタッチ)。
本実施例による可塑化移動装置は、上述の射出装置2を移動するための移動機構であり、液圧アクチュエータとしての油圧シリンダ20と、油圧シリンダ20に作動媒体である作動油を供給する油圧回路22と、作動油の油圧(作動媒体の液圧)を発生する液圧源としての両回転可能な油圧ポンプ24と、油圧ポンプ24を制御する制御装置26とを有する。油圧ポンプ24は、本実施例では逆回転可能な電動機としてのインダクションモータ28により駆動される。
油圧シリンダ20のシャフト20aの先端は固定プラテン8に固定されており、油圧シリンダ20の後側に油圧ポンプ24によって圧力のかけられた作動油を油圧配管である通路30(第1の作動油通路)を介して供給することで、射出装置2全体は固定プラテン8(すなわち金型)に向かって移動する(この方向を前方と称する)。一方、油圧シリンダ20の前側に油圧ポンプ24によって圧力のかけられた作動油を通路32(第2の作動油通路)を介して供給することにより、射出装置2全体は固定プラテン8(すなわち金型)から離れる方向に移動する(この方向を後方と称する)。
通路30はポンプ24の一方の吸入吐出口24a(第1の吸入吐出口)に接続され、通路32は油圧ポンプ24のもう一方の吸入吐出口24b(第2の吸入吐出口)に接続される。ポンプ24は、インダクションモータ28の回転方向を切り替えることにより、吸入吐出口24a,24bのいずれか一方から作動油を吸入し他方から吐出して油圧を発生することができる。インダクションモータ28は制御装置26により制御され、回転方向は制御装置26により切り替えられる。なお、油圧ポンプ24はタンク34から作動油を吸引して吐出口24a,24bのいずれか一方から作動油を吐出することもできる。
また、通路30は油圧シリンダ20の前側油室20bへ接続され、通路32は油圧シリンダ20の後側油室20cへ接続される。ここで、前側油室20b内をシャフト20aが貫通しているため、前側油室20bの断面積は後側油室20cの断面積より小さい。しかしながら、ノズルタッチ力を発生する際に、作動油が供給される側を前側にすることで、射出装置2上に油圧シリンダ20を配置することができ、成形機をコンパクトにすることができる。
油圧シリンダ20の前側に作動油を供給する通路30の途中には、圧力センサ36とブロック式切替弁38とが設けられる。ブロック式切替弁38は、制御装置26からの信号に基づいて作動油の通路30を開閉する切替弁である。すなわち、油圧シリンダ20の前側に作動油を供給して射出装置2を前方に移動し、ノズルタッチさせてノズルタッチ圧を発生させる際には、切替弁38は制御装置26により開弁され、作動油は油圧ポンプ24の吸入吐出口24bから切替弁38を通って油圧シリンダ20に供給される。
圧力センサ36は通路30の油圧を検出して、検出信号を制御装置26に送信する。圧力センサ36は油圧シリンダ20の近傍の通路30に設けられており、圧力センサ36により検出した油圧は油圧シリンダ20内の油圧にほぼ等しい。したがって、制御装置26は圧力センサ36からの検出信号により油圧シリンダ20内の油圧を認識することができる。油圧シリンダ20の前側の油圧により、射出装置2を前方に移動してノズル14を押し付けるノズルタッチ圧が発生するので、圧力センサ36の検出信号はノズルタッチ圧を表す信号でもある。
油圧ポンプ24が作動し且つ切替弁38が開かれて油圧シリンダ20が作動して射出装置2が前方に移動し、ノズルタッチが行なわれてから引き続き作動油が油圧シリンダ20の前側に供給されると、油圧シリンダ20内の油圧は上昇し、これによりノズルタッチ圧は上昇する。ノズルタッチ圧が所望の圧力となった時点で、すなわち、圧力センサ36の検出信号が所定のレベルとなった時点で、制御装置26は切替弁38を閉じるように制御する。これにより、油圧シリンダ20の前側には油圧が保持され、ノズルタッチ圧も所望の圧力のまま保持されるとともに、インダクションモータ28の動作も停止する。
ノズルタッチ圧を低減する際には、インダクションモータ28を逆回転させることにより油圧ポンプ24は逆回転され、且つ切替弁38が開かれる。これにより、油圧シリンダ20内の前側の作動油は切替弁38を介して油圧ポンプ24の吸入吐出口24aに流入し、吸入吐出口24bから通路32に吐出され、油圧シリンダ20の後側に供給される。切替弁38の開弁時間を制御することにより、ノズルタッチ圧を制御することができる。また、インダクションモータ28を停止させた状態で、切替弁38の開閉を制御することでも、ノズルタッチ圧を所望の圧力まで低減させることができる。
なお、通路30の圧力センサ36と切替弁38との間にはリリーフ弁である安全弁42(第1の安全弁)が接続されており、油圧シリンダ20の前側の油圧が過度に上昇した際に、油圧を逃がすようになっている。また、油圧シリンダ20の前側に作動油が供給されて油圧シリンダ20が作動する際には、油圧シリンダ20の後側の作動油は通路32を流れて吸入吐出口24bから油圧ポンプ24に吸引され、吸入吐出口24aから通路30に吐出され、切替弁38を介して油圧シリンダ20の前側に供給される。
射出装置2を後退させる際には、インダクションモータ28の回転を反対向きとし、ポンプ24の吸入吐出口24bから作動油を吐出して通路32を介して油圧シリンダ20の後側に作動油を供給する。この際、切替弁38が開かれ、油圧シリンダ20の前側の作動油は切替弁38を介し油圧ポンプ24に吸引され、通路32を通じて油圧シリンダ20の後側に供給される。通路32の途中にはリリーフ弁である安全弁46(第2の安全弁)が接続されており、油圧シリンダ20の後側の油圧、すなわち通路32内の油圧が過度に上昇した際に、油圧を逃がすようになっている。
上述の油圧回路22では、弁又はバルブの数が少ないのでシステム構成が簡素化されコンパクトになる。また、バルブ動作によるノイズの影響が少ない。さらに、油圧回路22は、油圧配管が簡素化されているため作動油漏れを起こすおそれのある部分が少なく、信頼性に優れている。
また、上述の油圧回路22では、油圧シリンダ20の前側あるいは後側の高圧の作動油は一旦油圧ポンプ24に吸入されてから油圧ポンプにより吐出される。この際、余分な作動油のみがタンク34に戻される。したがって、高圧の作動油が直接タンクに戻されることはない。高圧の作動油を直接タンクに34に戻した場合、タンク34内の油面が波打って作動油に空気が混入するおそれがある。特にタンク34を小さくした場合には、空気の混入の可能性がより高くなる。しかし、本実施例における油圧回路22では高圧の作動油が直接タンク34に戻ることはないため、これに起因する空気の混入を防止することができる。
また、上述の油圧回路22では、油圧シリンダ20の前側からの作動油を油圧ポンプ24を介して油圧シリンダ20の後側に戻している。ここで、油圧シリンダ20の前側からの作動油をタンク34に戻してから、油圧ポンプ24で吸引して吐出して油圧シリンダ20の後側に供給する場合、圧抜き分の作動油(油圧シリンダ20の前側の作動油)をタンクに戻してから、油圧ポンプで吸引して吐出する必要があり、射出装置の後退動作を開始するにはタンクへの作動油の戻りを待たなければならない。しかし、上述の本実施例による油圧回路22では、作動油は油圧ポンプ24に戻って直ちに吐出されるので、直ちに後退動作を開始でき、成形のサイクル時間を短縮することができる。
以上のように、本実施例ではブロック式切替弁38を通路30に設け、圧力センサ36からの検出信号に基づいて制御装置26によりブロック式切替弁38の開閉を制御するだけの簡単な構成で、ノズルタッチ圧を所望の圧力に制御して保持することができる。また、ブロック式切替弁38の開閉で精度よくノズルタッチ圧を制御することができる。
また、油圧シリンダ20の前側と後側の作動油を油圧ポンプを介して循環するだけなので、油圧ポンプ24の吸入圧は大気圧より高い油圧シリンダ20での圧力となり、圧縮比が低減されるため効率的に油圧ポンプ24を作動させることができる。あるいは、インダクションモータを小さくすることができる。また、作動油の圧力を大気圧に戻してから(すなわちタンク34に戻してから)再び加圧する必要がなく、作動油の発熱も抑えられるので、作動油の劣化を抑制することができる。
また、油圧回路22には作動油の流れを制限するような絞りは設けられていないため、油圧シリンダ20の圧力制御の応答性がよく、例えば、後述の後退成形時の射出装置2の後退動作を迅速に行なうことができる。さらに、作動油の発熱を抑えることもできる。
また、圧力センサ36の検出信号に基づいて切替弁38の開閉と油圧ポンプ24の回転方向の切替えを行い作動油の流れを切替えるため、圧力スイッチ等を用いて圧力を制御する油圧制御回路に比較すると回路構成が簡単になる。
さらに、油圧アクチュエータ(油圧シリンダ20)を用いているため、ボールネジのように摩耗する部品は必要なく、作動寿命の長い移動機構を実現することができる。
次に、本発明の第2実施例について、図2を参照しながら説明する。図2は本発明の第2実施例による電動射出成形機に設けられた可塑化移動装置の全体構成を示す図である。なお、図2において、図1に示す構成部品と同等な部品には同じ符号を付し、その説明は省略する。
図2に示す可塑化移動装置は、図1に示す可塑化移動装置と基本的に同じ構成であるが、ブロック式切替弁38がチェック弁式切替弁48となっている点が異なる。すなわち、本実施例による可塑化移動装置では、油圧シリンダ20の前側に作動油を供給するための通路30にチェック弁式切替弁48が設けられている。
チェック弁式切替弁48を用いることにより、切替弁48が何らかの故障により閉じたまま、あるいは制御装置26の故障により切替弁48が閉じたままで、油圧ポンプ24の吸入吐出口24bから作動油が供給され続けた場合であっても、チェック式切替弁48のチェック弁を介して高圧の作動油を安全弁42を介してタンク34に逃がすことができる。すなわち、なんらかの故障で、油圧ポンプ24と切替弁48との間に過度の高圧が発生する事態となっても、チェック弁式切替弁48を用いることにより、過度の高圧を逃がすことができ、安全性が向上する。
なお、本実施例では通路30と通路32との間に逆止弁40,44が設けられており、2つの逆止弁40,44の間の部分はドレン通路45によりタンク34に接続されている。この逆止弁40,44及びドレン通路45は、油圧シリンダ20の前側と後側の容積の違いに起因する作動油の循環量の過不足を調整するためのドレン回路を形成している。例えば射出装置2を前進させる際に、配管30より前側油室20bへ作動油が供給されるとともに、後側油室20cからは作動油が吐出される。この場合、後側油室20cの断面積が前側油室20bの断面積より大きいため、後側油室20cから吐出される作動油の量は、前側油室20bへ供給される作動油の量より多くなる。一方、射出装置2を前進させるため、ポンプ24より作動油が配管30へ供給され続けると、配管30内の作動油の圧力が高くなり、配管30内の作動油が配管30a伝って、配管32の逆止弁44を開くように作用する。そして、逆止弁44が開くと、後側油室20cより吐出された作動油が逆止弁44、ドレン通路45を通ってタンク34へ戻される。したがって、配管30及び配管32の作動油の過不足分を調整することができる。
本実施例では、通路30に切替弁48を設けて、充填工程及び保圧工程において切替弁46を閉じておくことにより、油圧シリンダ20の前側の圧力を保持してノズルタッチ圧を高圧に保持する。したがって、切替弁46が閉じている間は、油圧ポンプ24を駆動せずに停止することができる。これにより、油圧ポンプ24の駆動時間を低減することがで、インダクションモータ28の消費電力を低減することができる。また、ノズルタッチ圧を低圧に保持する際にも、切替弁46を閉じて油圧ポンプの駆動を停止するか、アイドリング駆動とすることもできる。
次に上述の第1及び第2実施例による可塑化移動装置を用いた射出成形機により行なわれる成形工程について説明する。
図3は上述の実施例による可塑化移動装置が設けられた射出成形機において行なわれる成形工程の一例を示すフローチャートである。図3に示す成形工程は「ノズルタッチ力圧抜き成形工程」と称され、金型を開く際にノズルタッチ圧を低減する成形工程である。金型を開く際にノズルタッチ圧を低減することを「脱圧」と称する。
まず、ステップS1において、射出装置(射出ユニット)2を前進させ、ノズルタッチを行い、ノズルタッチ圧を所望の高圧にする。この際、通路30側に作動油が供給されるように油圧ポンプ24を作動させ、且つ切替弁38,48を開くことにより作動油を油圧シリンダ20の前側に供給する。圧力センサ36の検出信号に基づいてノズルタッチ圧が所望の高圧となった時点で油圧ポンプ24を停止し、且つ切替弁38,48を閉じる。これにより、油圧シリンダ20の前側の油圧は保持され、ノズルタッチ圧も高圧に保持される。ここで、高圧とは充填工程及び保圧工程において、溶融樹脂がノズル14と固定金型6との間から漏れ出ないような接触圧力である。なお、切替弁38,48を閉じた後は、油圧ポンプの作動は停止されるか、あるいはアイドリング駆動が行なわれる。
ノズルタッチ圧が所望の値に保持されたまま、ステップS2において充填工程が行われ、溶融した樹脂が射出装置2からノズル14を介して金型に注入され、充填される。充填工程が終了すると、ステップS3において保圧工程が行われ、金型に充填された樹脂に圧力が加えられたまま保持される。これにより金型内全体に溶融樹脂が充填される。
ステップS3の保圧工程が終了すると、処理はステップS4,S5,S7に移行する。ステップS4では冷却工程が行われ、金型を冷却することで金型内の溶融樹脂を冷却して固化する。冷却工程が開始されると同時に遅延カウントが開始される。遅延カウントが終了した時点、すなわち遅延時間に達すると、ステップS5において切替弁38,48を開き且つ油圧ポンプを逆転させて駆動し、射出装置2を後退させる(「冷却中後退」)。続いて、ステップS6においてタイマのカウントが開始され、続いて行なわれる「脱圧」を開始するまでの時間を計測する。また、金型において冷却工程が行なわれている間、射出装置2ではステップS7においてスクリュ12を回転しながら後退させて溶融樹脂の計量工程を行なう。
なお、「冷却中後退」を行なう場合は、射出装置2が冷却工程において後退してノズルタッチ圧は解除されるので、後述のステップS8〜S11における脱圧は行なわれない。また、冷却中後退ではなく、計量工程が終了してから射出装置2の後退(「計量後後退」)を行なってもよい。また、後述のステップS8〜S11においてノズルタッチ圧を低圧とする「脱圧」を行なう場合は、上述のステップS4における遅延カウンタ及びステップS5の「冷却中後退」又は「計量後後退」は行なわれない。本実施例では、「冷却中後退」を行なうモードと、「計量後後退」を行なうモードと、「脱圧」のみを行なうモードのうちいずれかのモードを選択することができる。また、「冷却中後退」、「計量後後退」、又は「脱圧」を行なうタイミングはそれぞれタイマのカウント値により設定することができる。
ステップS6において、所定のカウントを終了したら、ステップS8において、切替弁38,48を開いて油圧シリンダ20の前側の油圧を低減し、ノズルタッチ圧を低圧とする「脱圧」を行なう。ここで、低圧とは計量工程において背圧がかかった場合に溶融樹脂がノズル14と固定金型6との間から漏れ出ないような圧力である。この際、ステップS9において圧力センサ36からの検出信号が所定の低圧を示すようになるまで切替弁38,48を開いておくか、ステップS10のように設定時間だけ切替弁38,48を開いて低圧とすることができる。
ノズルタッチ圧が所定の低圧となったら、ステップS11において切替弁38,48を閉じる。続いて、ステップS12において可動金型10を移動して金型を開き、金型から成形品を取り出して、今回の成形工程を終了する。
以上の成形工程に用いられているノズルタッチ方法では、圧力設定値を複数段設けることで、切替弁を閉じてノズルタッチ圧を高圧に保持し、その後、切替弁を開くことによりノズルタッチ圧を低減し、ノズルタッチ圧が所定の低圧となったところで切替弁を閉じて低圧を保持することができる。したがって、切替弁の操作だけでノズルタッチ圧を制御することができ、機械的な移動動作などが不要であり、簡単な構成でノズルタッチ圧を制御することができる。
また、高圧の設定値と低圧の設定値は、予め定められているスクリュの仕様値を基に算出してもよく、成形中に検出される充填圧の検出値や背圧の検出値を基に算出するようにしてもよい。
図4は上述の実施例による可塑化移動装置が設けられた射出成形機において行なわれる成形工程の一例を示すフローチャートである。図4に示す成形工程は「ノズルタッチ力タッチバック成形工程」と称され、金型を開く際に射出装置2を後退させてノズル14を固定金型6から一旦切り離す成形工程である。
ステップS1〜S8までは、図3に示す「ノズルタッチ力圧抜き成形工程」と同じである。ステップS8において切替弁38,48が開かれると、ステップS21において油圧ポンプ24(インダクションモータ28)が駆動され(ステップS1とは反対に駆動)、油圧シリンダ20の前側の作動油は油圧ポンプ24により油圧シリンダ20の後側に移送される。これにより、ステップS22において射出装置2が後退し、ノズル14は固定金型6から離れる。ステップS22における射出装置の後退は、上述の「計量後後退」に相当する。その後、ステップS12において可動金型10を移動して金型を開き、金型から成形品を取り出して、今回の成形工程を終了する。
以上の成形工程に用いられているノズルタッチ方法では、切替弁を閉じてノズルタッチ圧を高圧に保持し、その後、金型を開く前に切替弁を開いて油圧ポンプを逆転することにより射出装置を後退させてノズルタッチを解除する。したがって、切替弁の操作と油圧ポンプの操作だけでノズルタッチ圧を制御することができ、機械的な移動動作などが不要であり、簡単な構成でノズルタッチを制御することができる。
なお、本実施例では油圧シリンダを用いた例について説明したが、圧縮空気などで駆動されるエアシリンダを油圧シリンダの代わりに用いてもよい。
本発明の第1実施例による電動射出成形機に設けられた可塑化移動装置の全体構成を示す図である。 本発明の第2実施例による電動射出成形機に設けられた可塑化移動装置の全体構成を示す図である。 「ノズルタッチ力圧抜き成形工程」のフローチャートである。 「ノズルタッチ力タッチバック成形工程」のフローチャートである。
符号の説明
2 射出装置
4 シャーシ
6 固定金型
8 固定プラテン
10 可動金型
12 スクリュ
14 ノズル
20 油圧シリンダ
22 油圧回路
24 油圧ポンプ
26 制御回路
28 インダクションモータ
30,32 通路
34 タンク
36 圧力センサ
38 ブロック式切替弁
40,44 逆止弁
42,46 安全弁
45 ドレン通路
48 チェック弁式切替弁

Claims (10)

  1. 射出成形機に設けられた射出装置を金型に対して移動するための可塑化移動装置を有する電動射出成形機の可塑化移動装置であって、
    該射出装置を移動するための駆動源として設けられた液圧アクチュエータと、
    該液圧アクチュエータを駆動するための両方向回転可能なポンプとモータで構成された液圧源と、
    該液圧源と前記液圧アクチュエータとの間に接続され、前記液圧源から吐出される作動媒体を前記液圧アクチュエータに供給して前記射出装置を前記金型に向かう方向に移動するための第1の作動媒体通路と、
    前記液圧源と前記液圧アクチュエータとの間に接続され、前記液圧源から吐出される作動媒体を前記液圧アクチュエータに供給して前記射出装置を前記金型から離間する方向に移動するための第2の作動媒体通路と、
    前記第1の作動媒体通路に設けられ、前記第1の作動媒体通路を開閉して作動媒体の流れを制御する切替弁と、
    前記液圧源及び前記切替弁の動作を制御する制御装置と
    を有することを特徴とする電動射出成形機の可塑化移動装置。
  2. 請求項1記載の電動射出成形機の可塑化移動装置であって、
    前記切替弁と前記液圧アクチュエータとの間の作動媒体の圧力を検出し、検出信号を前記制御装置に供給する圧力検出器をさらに有し、
    前記制御装置は、前記圧力検出器で検出した圧力が入力装置にて設定された設定値になるように、該検出信号に基づいて前記切替弁の動作を制御することを特徴とする電動射出成形機の可塑化移動装置。
  3. 請求項1又は2記載の電動射出成形機の可塑化移動装置であって、
    前記切替弁は、前記液圧源から前記液圧アクチュエータへ向かう作動媒体の流れに対する逆止弁としての機能を有することを特徴とする電装射出成形機の可塑化移動装置。
  4. 請求項2記載の電装射出成形機の可塑化移動装置であって、
    前記設定値は少なくとも高圧設定値、及び、低圧設定値の2つの設定値を含むことを特徴とする電装射出成形機の可塑化移動装置。
  5. 請求項4記載の電装射出成形機の可塑化移動装置であって、
    計量工程完了後、若しくは冷却工程中に前記低圧設定値を用いて制御することを特徴とする電装射出成形機の可塑化移動装置。
  6. 請求項4記載の電装射出成形機の可塑化移動装置であって、
    充填工程中には、前記高圧設定値を用いて制御することを特徴とする電装射出成形機の可塑化移動装置。
  7. 請求項2記載の電装射出成形機の可塑化移動装置であって、
    前記制御装置は、少なくともスクリュの仕様値、検出された充填圧値、及び検出された背圧値のうちの一つの値を基に、前記設定値を算出することを特徴とする電装射出成形機の可塑化移動装置。
  8. 請求項1乃至7のうちいずれか一項記載の電装射出成形機の可塑化移動装置であって、
    前記制御装置は、冷却工程開始から所定の時間が経過した後、前記射出装置の後退動作若しくはノズルタッチ圧の低圧制御の少なくとも一方の制御を行なうことを特徴とする電装射出成形機の可塑化移動装置。
  9. 請求項1乃至7のうちいずれか一項記載の電装射出成形機の可塑化移動装置であって、
    前記制御装置は、計量工程開始から所定の時間が経過した後、前記射出装置の後退動作若しくはノズルタッチ圧の低圧制御の少なくとも一方の制御を行なうことを特徴とする電装射出成形機の可塑化移動装置。
  10. 電装射出成形機の可塑化移動装置においてノズルを金型に当接させるためのノズルタッチ方法であって、
    モータを駆動し、
    該モータの駆動によって、液圧源から作動媒体を液圧アクチュエータに供給し、
    該液圧アクチュエータに供給された作動媒体の圧力を圧力検出器により検出し、
    該圧力検出器にて検出された圧力検出値に基づいて切替弁を制御する
    ことを特徴とするノズルタッチ方法。
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