JP2006061152A - 酵母及びカビ検出用のプライマー、酵母及びカビの検出方法、及び酵母及びカビ検出用キット - Google Patents

酵母及びカビ検出用のプライマー、酵母及びカビの検出方法、及び酵母及びカビ検出用キット Download PDF

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Abstract

【課題】迅速且つ精度の高い方法で、食品、医薬品、香粧品等の製品中に存在する酵母やカビを幅広く検出する技術を提供すること。
【解決手段】下記(i)及び(ii)のプライマーからなるプライマー対を、酵母及びカビ検出用のプライマー対として使用して、各種製品に存在する酵母やカビを検出する:(i)塩基配列(5'-GCCATGCGTGTCTAAGTATAAG-3')又はその特定の変異塩基配列、及び(ii)塩基配列(5'-TAGGGGAGAGATTTGAATGAAC-3')又はその特定の変異塩基配列。
【選択図】なし

Description

本発明は、酵母及びカビ検出用のプライマーに関する。より詳細には、カビ及び酵母を幅広く検出できるように設計されているプライマーに関する。更に、本発明は、該プライマーを利用した酵母及びカビの検出方法及び酵母及びカビ検出用キットに関する。
酵母やカビは、自然界に広く分布しており、食品等の原材料や生活環境中に存在している。この酵母及びカビが、食品、医薬品、香粧品等の製品に混入すると、これらの製品の劣化や腐敗を引き起こすことがある。特に近年、食品分野では、低糖化、天然添加物使用、無殺菌又は低温殺菌等を謳った製品が脚光を浴びており、これに伴って酵母及びカビによる変敗が引き起こされる割合が増大してきている(非特許文献1参照)。
そのため、食品、医薬品、香粧品等の製品を生産・管理する上で、酵母やカビの混入の有無を判定することが不可欠となっている。特に、食品の分野では、製造から出荷までの時間の短縮が求められており、迅速にカビや酵母の汚染の検査を実施することが必要とされている。
現在、製品への酵母やカビの混入の有無を検査する方法としては、一般的にプレートを用いた培養法が用いられている。しかしながら、この培養法では、検査に48時間以上もの時間を要するため、迅速な判定ができないという問題点がある。
一方、培養法に比べて迅速に真菌の混入を判定できる方法として、真菌由来DNAに特異的なDNA合成プライマーを使用してPCRを行い、増幅された真菌由来DNA断片を検出する方法(以下、PCR法と記す)が知られている(非特許文献2、特許文献1及び2)。しかしながら、非特許文献2のPCR法では、真菌の内、酵母を検出できるが、カビを検出することができないという欠点がある。また、特許文献1や2のPCR法では、DNA合成プライマーが食品成分(特に、大豆、ブドウ、キウイ等の植物成分)に由来するDNAとハイブリダイズしてしまうため、食品成分を含有する製品に対する酵母やカビの混入の判定には適用できないという欠点がある。
このような従来技術を背景として、迅速且つ精度の高い方法で、酵母やカビを幅広く検出する技術の開発が切望されている。
J. Antibact. Antifung. Agents Vol.27, No. 12, 1999, p.803〜809 Journal of Food Protection, Vol. 67, No. 2, 2004, p.357-364 特開平6−339399号公報 特開平6−339400号公報
本発明は、迅速且つ精度の高い方法で、食品、医薬品、香粧品等の製品中に存在する酵母やカビを幅広く検出する技術を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく日夜研究を重ねた結果、幅広い酵母やカビの18SrRNA遺伝子に対して特異的にハイブリダイズできるポリヌクレオチドの塩基配列として、(i)塩基配列(5'-GCCATGCGTGTCTAAGTATAAG-3')(配列番号1)又はその特定の変異塩基配列、及び(ii)塩基配列(5'-TAGGGGAGAGATTTGAATGAAC-3')(配列番号2)又はその特定の変異塩基配列を見出した。更に、これらのポリヌクレオチドは、植物又は動物の18SrRNA遺伝子や細菌の16SrRNA遺伝子とはハイブリダイズしないこと、及びプライマーとしてPCRに使用し得ることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、更に改良を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる酵母及びカビ検出用のプライマー、酵母及びカビ検出用のプライマー対、酵母及びカビの検出方法、及び酵母及びカビ検出用キットである:
項1. 配列番号1で示される塩基配列、又は該塩基配列において、第1〜12位の塩基の3個以下が置換、及び/又は5'末端側に10個以下の塩基が付加されている塩基配列からなる、酵母及びカビ検出用プライマー。
項2. 配列番号2で示される塩基配列、又は該塩基配列において、第1〜12位の塩基の3個以下が置換、及び/又は5'末端側に10個以下の塩基が付加されている塩基配列からなる、酵母及びカビ検出用プライマー。
項3. 項1に記載のプライマー及び項2に記載のプライマーからなる、酵母及びカビ検出用のプライマー対。
項4. 下記(i)及び(ii)のプライマーからなる項3に記載の酵母及びカビ検出用のプライマー対:
(i)配列番号1で示される塩基配列からなるプライマー、及び
(ii)配列番号2で示される塩基配列からなるプライマー。
項5. 検出対象となる酵母及びカビが、サッカロマイセス・ショレビッシェ、ピキア・アノマラ、カンディダ・ファマタ、デバリオマイセス・ハンセニイ、ジグロサッカロマイセス・ロウキシ、カンディダ・インターメディア、クラビスポラ・ルジタニエ、クルイベロマイセス・ラクティス、シゾサッカロマイセス・ポンブ、ピキア・メンブラニファシエンス、ペニシリウム・オブラタム、ペニシリウム・サブロサム、アスペルギルス・ニガー、フサリウム・クルークウェレンス、ジェオトリカム・カンディダム、アルターナリア・アルタネータ、アウレオバシディウム・プルランス、クラドストリウム・クラドスポリオイドス、ユウロチウム・ハーバリオラム、及びタラロマイセス・バシリスポラスよりなる群から選択される少なくとも1種である、項3又は4に記載の酵母及びカビ検出用プライマー対。
項6. 検査対象物中の酵母及びカビを検出する方法であって、
(1)検査対象物に含まれるDNAを抽出する工程、
(2)前記工程(1)抽出されたDNAを鋳型として、請求項3乃至5のいずれかに記載のプライマー対を用いてPCRを行なう工程、及び
(3)増幅されたDNA断片を検出する工程、を含有する検出方法。
項7. 検査対象物が食品である、項6に記載の判定方法。
項8. 項3乃至5のいずれかに記載のプライマー対を含有する、酵母及びカビ検出用キット。
本発明において、「酵母及びカビの検出」(「酵母及びカビ検出」や「酵母及びカビを検出」等の表記も同義)とは、酵母とカビが共存している場合であれば酵母とカビの双方を検出することを意味し、また、酵母及びカビの何れか一方が存在している場合には、酵母及びカビの何れか一方を検出することを意味する。
(I)酵母及びカビ検出用のプライマー及びプライマー対
本発明の酵母及びカビの検出用プライマーは、植物又は動物の18SrRNA遺伝子や細菌の16SrRNA遺伝子とはハイブリダイズすることなく、酵母及びカビの18SrRNA遺伝子に対して特異的にハイブリダイズできるものである。このような特性により、本発明のプライマーは、通常のPCRに供されることにより、酵母及びカビの18SrRNA遺伝子を検出可能に増幅するが、同じ条件のPCRに供されることにより植物及び動物の18SrRNA遺伝子を検出可能に増幅しないプライマーである。
本発明は、このような酵母及びカビ検出用のプライマーとして、以下の塩基配列からなるプライマー(以下、プライマー1と記す)を提供する:
(a)配列番号1で示される塩基配列、又は
(b)配列番号1で示される塩基配列において、第1〜12位にある塩基の内3個以下の塩基が置換、及び/又は5'末端側に10個以下の塩基が付加されている塩基配列。
また、本発明は、上記プライマー1の他に、酵母及びカビ検出用のプライマーとして、以下の塩基配列からなるプライマー(以下、プライマー2と記す)を提供する:
(c)配列番号2で示される塩基配列、又は
(d)配列番号2で示される塩基配列において、第1〜12位にある塩基の内3個以下の塩基が置換、及び/又は5'末端側に10個以下の塩基が付加されている塩基配列。
当該プライマー1又は2は、それぞれ配列番号1又は2で示される各塩基配列において、第1〜12位にある塩基の内、3個以下の塩基が置換されていてもよいが、このように塩基が置換される場合、置換される塩基の数は、好ましくは2個以下、更に好ましくは1個である。このような態様で塩基が置換されているものであれば、植物又は動物の18SrRNA遺伝子や細菌の16SrRNA遺伝子とはハイブリダイズすることなく、酵母及びカビの18SrRNA遺伝子に対して特異的にハイブリダイズして、プライマーとしての作用を発揮できる。
また、当該プライマー1又は2は、それぞれ配列番号1又は2で示される各塩基配列の5'末端側に10個以下の塩基が付加されている塩基配列からなるポリヌクレオチドであってもよいが、このように塩基が付加される場合、5'末端側に付加される塩基の数は、好ましくは1〜5、更に好ましくは1である。このような態様で塩基が付加されたものであっても、配列番号1及び2で示される塩基配列からなるプライマーと同様の作用を発揮することが可能である。
なお、当該プライマー1又は2は、それぞれ配列番号1又は2で示される塩基配列において、第1〜12位にある塩基の内、3個以下の塩基が置換されており、更に5’末端側に10個以下の塩基が付加されている塩基配列からなるポリヌクレオチドであってもよい。
当該プライマー1として、好ましくは(a)配列番号1で示される塩基配列からなるものである。また、当該プライマー2として、好ましくは(c)配列番号2で示される塩基配列からなるものである。
なお、当該プライマー1又は2には、上記する塩基配列に相補的な塩基配列からなるものも含まれる。
本発明の酵母及びカビの検出用プライマーは、植物又は動物の18SrRNA遺伝子や細菌の16SrRNA遺伝子とはハイブリダイズすることなく、酵母及びカビの18SrRNA遺伝子に対して特異的にハイブリダイズでき、PCRに供されることにより酵母及びカビの18SrRNA遺伝子を特異的に検出可能に増幅できる。
本発明の酵母及びカビの検出用プライマーは、幅広い酵母及びカビの18SrRNA遺伝子に対してハイブリダイズできるので、その検出対象となる菌については、酵母又はカビに分類されるものであれば特に制限されるものではない。好ましい検出対象の菌の一例として、食品、医薬品又は香粧品に混入して腐敗や劣化の原因となっている酵母やカビを挙げることができる。このような酵母及びカビとしては、好ましくは、子のう菌門(Ascomycota)に属する酵母及びカビが挙げられる。より具体的には、サッカロマイセス属(Saccharomyces)、ピキア属(Pichia)、カンディダ属(Candida)、デバリオマイセス属(Debaryomyces)、ジグロサッカロマイセス属(Zygosaccharomyces)、クラビスポラ属(Clavispora)、クルイベロマイセス属(Kluyveromyces)、シゾサッカロマイセス属(Schizosaccharomyces)等の酵母や、ペニシリウム属(Penicillium)、アスペルギルス属(Aspergillus)、フサリウム属(Fusarium)、ジェオトリカム属(Geotrichum)、アルターナリア属(Alternaria)、アウレオバシディウム属(Aureobasidium)、クラドストリウム属(Cladosporium)、ユウロチウム属(Eurotium)、タラロマイセス属(Talaromyces)等のカビが例示される。
特に、本発明の酵母及びカビ検出用のプライマーは、植物成分等の食品成分共存下でも、食品成分由来のDNAにハイブリダイズすることなく、酵母及びカビの18SrRNA遺伝子に対して特異的にハイブリダイズできる。このような本発明の格別の効果に鑑みれば、本発明の酵母及びカビ検出用のプライマーは、食品に混入して腐敗や劣化の原因となっている酵母及びカビ(以下、食品汚染菌ともいう)の検出に好適に使用できる。
本発明の酵母及びカビ検出用のプライマーの検出対象となる食品汚染菌としては、具体的には、サッカロマイセス・ショレビッシェ(Saccharomyces cerevisiae)、ピキア・アノマラ(Pichia anomala)、カンディダ・ファマタ(Candida famata)、デバリオマイセス・ハンセニイ(Debaryomyces hansenii)、ジグロサッカロマイセス・ロウキシ(Zygosaccharomyces rouxii)、カンディダ・インターメディア(Candida intermedia)、クラビスポラ・ルジタニエ(Clavispora lusitaniae)、クルイベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、シゾサッカロマイセス・ポンブ(Schizosaccharomyces pombe)、ピキア・メンブラニファシエンス(Pichia membranifaciens)等の酵母;ペニシリウム・オブラタム(Penicillium oblatum)、ペニシリウム・サブロサム(Penicillium sabulosum)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、フサリウム・クルークウェレンス(Fusarium crookwellense)、ジェオトリカム・カンディダム(Geotrichum candidum)、アルターナリア・アルタネータ(Alternaria alternata)、アウレオバシディウム・プルランス(Aureobasidium pullulans)、クラドストリウム・クラドスポリオイドス(Cladosporium cladosporioides)、ユウロチウム・ハーバリオラム(Eurotium herbariorum)、タラロマイセス・バシリスポラス(Talaromyces bacillisporus)等のカビが例示される。
本発明の酵母及びカビ検出用のプライマー(プライマー1及びプライマー2)は、その塩基配列に基づいて、公知の合成方法に従って調製することができる。
本発明の酵母及びカビ検出用のプライマーのプライマー1とプライマー2は、それぞれ別個に酵母及びカビの検出に使用してもよいが、好ましくはこれらを組み合わせて酵母及びカビ検出用のプライマー対として使用することができる。
(II)酵母及びカビの検出方法
また、本発明は、プライマー1及びプライマー2から構成される「酵母及びカビ検出用のプライマー対」を使用して、検査対象物中の酵母及びカビを検出する方法を提供する。本発明に係る酵母及びカビの検出方法は、下記工程(1)〜(3)を含有することを特徴とするものである。
(1)検査対象物に含まれるDNAを抽出する工程、
(2)前記工程(1)抽出されたDNAを鋳型として、上記酵母及びカビ検出用のプライマー対を用いてPCRを行なう工程、及び
(3)増幅されたDNA断片の有無を検出する工程。
検査対象物
本判定方法における検査対象物は、酵母及びカビの存在の判定が必要とされるものであれば、その種類については特に制限されない。また、当該検査対象物の形態についても、液状、固形状、半固形状等の何れであってもよい。好ましくは液状又は半固形状の形態のものである。液状又は半固形状の形態のものは酵母及びカビの生育に適しているので、これらの形態の検査対象物における酵母及びカビの存在を判定することは極めて重要である。
当該検査対象物として、具体的には、食品、医薬品、香粧品、及びこれらの原材料等を挙げることができる。当該食品の具体例としては、乳酸菌飲料、牛乳、乳飲料、果汁飲料、茶類、栄養飲料、炭酸飲料、清涼飲料、発酵乳、ヨーグルト、ソース、ゼリー、レトルト食品等が挙げられる。また、当該医薬品の具体例としては、散剤、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、注射剤、流エキス剤、軟膏等が挙げられる。更に、当該香粧品の具体例としては、乳液、クリーム、ローション、オイル等が挙げられる。
酵母及びカビの誤検出を抑制するという観点から、本発明の検出方法における検査対象物には、酵母及びカビを使用して製造された成分が含まれていないものが望ましい。例えば、検査対象物が食品である場合、該食品は、酵母やカビを使用して製造された発酵食品以外の食品であることが望ましい。
上記検査対象物の中でも、特に食品は、その商品価値が鮮度に大きく作用されるので、品質管理上、迅速で精度の高い方法で酵母及びカビの汚染の有無を判定することが求められている検査対象物である。また、上記酵母及びカビ検出用のプライマー対は、植物成分等の食品成分共存下でも、食品成分由来のDNAにハイブリダイズすることなく、酵母及びカビの18SrRNA遺伝子に対して特異的にハイブリダイズできるので、食品中の酵母及びカビの検出に特に有用である。これらの事項に鑑みれば、本判定方法において、好ましい検査対象物として食品が挙げられる。
食品の中でも、特に、乳酸菌飲料、発酵乳、ヨーグルト等の食品は、酵母及びカビによる汚染が特に問題となる食品であり、酵母及びカビの混入の検査を迅速且つ高い精度で実施することが強く求められている。本検出方法によれば、これらの食品に対して特に高い精度で酵母及びカビの検出が可能であるので、これらの食品は、特に好ましい検査対象物である。
工程(1)
工程(1)では、検査対象物に含まれるDNAの抽出を行なう。
DNAの抽出は、検査対象物の種類や形態等に応じて、公知のDNA抽出方法を適宜採用して実施すればよい。例えば、検査対象物の形態が液状の場合であれば、検査対象物にガラスビーズ液を添加し、80〜100℃程度で1〜15分間程度加熱した後、冷却し、次いでマルチビーズショッカー等で破砕し、その後、市販のDNA抽出キット等でDNA抽出を行なうことにより、DNA抽出物を得ることができる。また、例えば、半固体状又は固体状の場合であれば、該検査対象物を水等により液状にした後に、上記DNA抽出処理を実施すればよい。
上記抽出処理により得られたDNA抽出物に、RNAやタンパク質等が含まれている場合には、必要に応じて、更にDNAの精製処理を行ってもよい。
本検出方法において、通常、検査対象物1g当たりに100cfu(colony forming unit)程度以上の酵母及びカビが存在する場合、上記条件でDNA抽出を行なうことにより検査対象物の酵母及びカビの存在について判定可能な程度のDNAを抽出できる。
一方、検査対象物中の酵母及びカビが上記菌数よりも少ない場合であれば、DNA抽出操作の前に、検査対象物中の酵母及びカビを人為的に増菌させることによって、酵母及びカビの検出に必要とされる量のDNAが抽出可能になる。このように、検査対象物に含まれる酵母及びカビを人為的に増菌させることは、検出感度が高められるだけでなく、検査対象物中の死菌(酵母及びカビ)が検出の精度に及ぼす影響を最小限にするという利点も得られる。
検査対象物に含まれる酵母及びカビを増菌する方法としては、例えば、検査対象物の所定量を真菌増殖用培地中に入れ、これを酵母及びカビの生育環境条件下で保持する方法が挙げられる。より具体的には、次の方法が例示される。YPD培養液のような真菌増殖用液体培地に適量の検査対象物を入れ、25℃程度で培養する。培養時間は、検査対象物中に存在する酵母及びカビの菌数によっても異なるが、通常12〜96時間程度とすればよい。使用した検査対象物中に酵母及びカビが存在している場合、得られた培養液中の酵母及びカビの菌数が増加している。この培養液を上記DNA抽出処理に供すればよい。
検査対象物の種類によっても異なるが、例えば、検査対象物100g当たり3〜10cfu程度の酵母が含まれている場合であれば、該検査対象物を上記条件で20時間程度培養することにより、検出必要量のDNAが得られる程度に酵母を増菌させることができる。また、例えば、検査対象物100g当たりの酵母の菌数が1〜3cfu程度の場合であれば、上記条件において、培地に添加する検査対象物の量を増やしたり、培養時間を延長させたりすればよい。
工程(2)
工程(2)では、前記工程(1)抽出されたDNAを鋳型として、上記酵母及びカビ検出用のプライマー対を用いてPCRを行なう。当該PCRの条件は、目的DNA断片を検出可能な程度に増幅することを限度として特に制限されず、使用する装置等に応じて適宜設定することができる。使用されるPCR装置としては、例えば、ブロックタイプ、リアルタイムPCRタイプ等の市販の装置が挙げられる。迅速にDNAを増幅するためにはキャピラリータイプのリアルタイムPCR装置を用いることが好ましい。
例えば、リアルタイムPCR装置を使用する場合であれば、当該PCRの条件の一例として、以下の条件が例示される:
<反応液>例えば、Takara Ex TaqTMR-PCR Version (Takara Bio社製)に付属のPCR反応液
<PCRサイクル条件>
2本鎖DNAの熱変性条件:95℃で5秒間、
プライマーの一本鎖DNAへのアニーリング条件:54℃で10秒間、
DNA伸長条件:72℃で20秒間、
サイクル回数:35サイクル程度。
工程(3)
工程(3)では、増幅されたDNA断片を検出する。増幅されたDNA断片を検出する方法は、特に制限されず、公知のDNA断片検出方法を使用できる。例えば、PCR産物をアガロースゲル電気泳動により分離し、エチジウムブロマイド、サイバーグリーンI等の核酸染色剤で核酸染色することにより、DNA断片を検出することができる。また、前記工程(2)において、リアルタイムPCR装置を用いてPCRを行なう場合は、該装置の検出システムにより自動的に短時間で増幅されたDNAの有無が確認される。例えば、PCR反応液中にサイバーグリーンIを添加した場合では、サイバーグリーンIが二本鎖DNAに結合したときに発する蛍光値から増幅産物量をサイクル毎にモニター可能であり、更に、PCR後に融解曲線分析を行なうことによりPCR産物が目的のDNA断片であるかどうかを確認できる。判断が困難な場合は、増幅産物の大きさをアガロースゲル電気泳動により確認すればよい。
増幅されたDNA断片が存在する場合、アガロースゲル電気泳動であれば、250〜270塩基対程度の大きさの位置にバンドが検出される。
本工程で検出されたDNA断片の有無を指標として、検査対象物中の酵母及びカビの存在を判定することができる。本工程において、DNA断片が検出された場合、検査対象物には酵母及びカビが存在していると判定される。一方、DNA断片が検出されなかった場合、検査対象物には酵母及びカビが存在していないと判定される。
検査対象物中の酵母及びカビを更に精度よく検出する必要がある場合には、PCR増幅DNA断片が酵母及びカビの18SrRNA遺伝子に由来するものであることを確認してもよい。この確認方法としては、例えば、PCR増幅DNA断片の塩基配列を常法により決定し、その塩基配列を公知のDNAデータベースの塩基配列と比較する方法が例示される。
(III)酵母及びカビ検出用キット
本発明の酵母及びカビ検出用キットは、前記する検査対象物中の酵母及びカビの検出方法に用いられるキットであり、上記酵母及びカビ検出用のプライマー対を含有するものである。本発明の酵母及びカビ検出用キットにおいて、上記酵母及びカビ検出用のプライマー対は、プライマー1とプライマー2の混合物であってもよく、またこれらのプライマーが別個に収容されていてもよい。当該酵母及びカビ検出用キットには、上記酵母及びカビ検出用のプライマー対の他に、PCRやPCR増幅DNA断片を検出するのに必要な試薬類を更に含んでいてもよい。
本発明の酵母及びカビ検出用のプライマーは、植物又は動物の18SrRNA遺伝子や細菌の16SrRNA遺伝子とはハイブリダイズすることなく、幅広い酵母及びカビの18SrRNA遺伝子に対して特異的にハイブリダイズできる。本発明のプライマーは、PCRに供されることにより、酵母及びカビの18SrRNA遺伝子を検出可能に増幅するが、植物及び動物の18SrRNA遺伝子を検出可能に増幅しないので、酵母及びカビの検出に有用である。
従って、本発明の酵母及びカビ検出用のプライマー対を使用する、酵母及びカビの検出方法は、酵母及びカビの感染検査の一次スクリーニングとして実用できる。即ち、本発明の検出方法により酵母及びカビの存在が確認された場合には、食品の製造工程や製品に対する適切な措置をより迅速に執ることができる。また、必要に応じて、本発明の酵母及びカビの検出方法に組み合わせて、PCR増幅DNA断片の塩基配列解析を行なうことにより、菌種を同定することもできる。
また、食品中の酵母及びカビの検出において、従来の真菌一般を広く検出できるプライマーを使用する場合は、目的真菌以外の混入生物のDNAや食品由来のDNAまで検出されるが、本発明の酵母及びカビ検出用プライマーを用いることにより、食品汚染酵母及びカビを検出できると共に、食品汚染酵母及びカビ以外の混入生物由来のDNAや食品由来のDNAを実質的に検出せずに、高精度での酵母及びカビの検出が行なえる。
以下、本発明を実施例をもって詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって制限されるものではない。
実施例1(食品汚染酵母及びカビ、並びにその他生物由来DNAとの反応性の確認)
下記実験により、配列番号1で示される塩基配列からなるDNAプライマーと、配列番号2で示される塩基配列からなるDNAプライマーとのプライマー対(Y18r230)の各生物の由来のDNAに対する反応性を調べた。
1. プライマーの合成
配列番号1で示される塩基配列からなるDNAプライマー、及び配列番号2で示される塩基配列からなるDNAプライマーをDNA合成機により調製した。
2.各種菌株、植物、及び動物由来のDNAの調製
酵母及びカビ由来DNAの調製
表1に示す各菌株をYPD培地を用いて培養した。なお、これらの酵母及びカビ(糸状菌)は、食品汚染の代表的な原因菌である。培養して得られた酵母については、GenTLE Kit(Takara Bio社製)を用いてDNA抽出を行なった。また、培養して得られた糸状菌については、培養液にガラスビーズ液を添加し、99℃程度で1〜15分間程度加熱した後、冷却し、次いでマルチビーズショッカー等で破砕した後、GenTLE Kitを用いてDNAの抽出を行なった。得られた各DNA溶液中のDNA量を測定し、各酵母及びカビ由来のDNAの濃度を1ng/μLに調節して、被験DNA溶液とした。
細菌由来DNAの調製
表1に示す各細菌株を、それぞれの細菌に適合する培地で培養した。培養して得られた各細菌について、公知の方法(アルカリSDS法)を用いてDNA抽出を行なった。得られた各DNA溶液中のDNA量を測定し、各細菌由来のDNAの濃度を200pg/μL程度に調節して、被験DNA溶液とした。
植物由来DNAの調製
コスモバイオ社から購入したダイズ、トウモロコシ及びコムギのDNAを用いて、被験DNA溶液を調製した。ダイズ及びトウモロコシ由来のDNAについては、DNA濃度を3ng/μL程度に調節して、被験DNA溶液とした。また、コムギ由来のDNAについては、DNA濃度を8ng/μL程度に調節して、被験DNA溶液とした。また、メロン、ミカン、ブドウ、リンゴ及びキウイから、ISOPLANT II kit(ニッポンジーン社製)を用いてDNA抽出して、抽出されたDNA濃度をそれぞれ3ng/μL程度に調節して、被験DNA溶液とした。
動物由来DNAの調製
ヒトMCF-7細胞(大日本製薬社製)からDNeasy Tissue Mini Kit(キアゲン社)を用いてヒトDNAを抽出した。得られたDNA溶液中のDNA量を測定し、DNAの濃度を3ng/μL程度に調節して、被験DNA溶液とした。ウシ及びニワトリ由来の精製DNAはCeMines社から購入し、ブタ由来のDNAはGeneScan社から購入した。ウシ、ニワトリ及びブタ由来のDNAを用いて、各DNAの濃度3ng/μL程度の被験DNA溶液を調製した。
3.PCRによるDNA増幅
上記各被験DNA溶液1μLをPCR反応用キットであるTakara Ex TaqTMR-PCR Version (Takara Bio社、Otsu、Japan)の説明書に従って、総量20μLのPCR反応液を調製した。即ち、2μLの10×R-PCR Buffer(Mg2+free)、0.16μLの250mM Mg2+Solution for R-PCR、0.4μLのdNTP Mixture(各10mM)、0.2μLのTaKara EX TaqTM R-PCR(5 units/μL)、0.8μLの0.125%SYBRTMGreenI (Fmc Bioproducts社、Rockland、USA)、1 μLのDNAプライマー液(配列番号1のDNAプライマー及び配列番号2のDNAプライマーを各々5μM含有)及び16.44μLの蒸留水を含む19μLの溶液に、被験DNA溶液1μLを加えて総量20μLにしたPCR反応液を調製した。
PCRによるDNAの増幅は、ロシュ・ダイアグノスティックス社のLightCyclerを用いて次のように行った。即ち、初期変性を95℃で1分間行なった後、95℃で5秒間、54℃で10秒間、及び72℃で20秒間の蛍光測定(PCRによる増幅産物の測定)を1サイクルとして、これを35サイクル行った。次いで、増幅産物の融解曲線分析のために、97℃で0秒、60℃で10秒後、0.2℃/秒の速度で97℃まで昇温させると同時に連続的に蛍光測定により各温度に対する増幅産物の二本鎖DNA量を測定し、最後に40℃まで降温させた。
PCR終了後、融解曲線解析を同PCR装置上のソフトウェアで行い、増幅産物のTm値を求めることで特異的な増幅産物の有無を判定した。さらに、Mupidミニゲル泳動槽(ADVANCE社)を用いて1.8%アガロースゲルによる電気泳動を行い、エチジウムブロマイド溶液でゲルを染色して、目的バンドの増幅の有無を確認することにより、増幅DNA断片の有無を確認した。
4.結果
得られた結果を表1に示す。表中+は電気泳動によりバンドが検出されたことを示し、マイナスはバンドが検出されなかったことを示す。表1に示す結果から、配列番号1のプライマーと配列番号2のプライマーとのセットを用いたPCRにより、食品汚染の代表的な原因菌である19種の酵母及びカビの18SrRNA遺伝子に由来するDNA断片を特異的に増幅できることが判明した。また、他の細菌類や、植物、動物に由来するDNAを増幅しないことも判明した。以上の結果から、本発明の酵母及びカビ検出用のプライマー対を使用することにより、食品を初めとする検査対象物から、酵母及びカビを分離培養することなく一度のPCRで酵母及びカビの存在を判定可能であることが明らかとなった。
Figure 2006061152
参考試験例1
特許文献1に開示されているプライマー対(B2F:5'-ACTTTCGATGGTAGGATAG-3'、及びB4R:5'-TGATCGTCTTCGATCCCCTA-3')(以下、「プライマー対(B2FB4R)」と記す)によるカビ由来DNA及び植物由来DNAの検出の可否について、検討するため、下記の試験を行った。
上記実施例と同様の方法で、Saccharomyces cerevisiae(NBRC 0282)、Aspergillus niger(ATCC 9642)、Glycine max(ダイズ)、Zea mays(トウモロコシ)、Triticum aestivum(コムギ)、Malus sp.(リンゴ)、Vitis sp.(ブドウ)、及びActinidia sp.(キウイ)由来のDNAを調製した。これらのDNAとプライマー対(B2FB4R)を用いて、上記実施例1と同様の方法で、PCRによるDNA増幅を行い、増幅DNA断片の有無を確認した。
得られたアガロースゲルによる電気泳動パターンを図1に示す。また、参考のために、実施例1において、同一のDNAを使用した場合のアガロースゲルによる電気泳動パターンについても、図1に併せて示す。この結果、特許文献1のプライマー対(B2FB4R)では、植物由来のDNA(増幅産物は約680bp)を検出してしまうため、食品中の酵母やカビの検出には不適であることが確認された。
実施例2(食品中の酵母及びカビ由来18S rRNA遺伝子の検出)
酵母及びカビに汚染されていないことを前もって確認済みの市販の乳酸菌飲料に、指標菌として酵母Clavispora lusitaniae NBRC 10059株と、糸状菌Talaromyces bacillisporus NBRC 8397株を、それぞれ食品1mL当たり1×101 , 1×102 , 1×103, 1×104 cfu程度となるように添加したもの、及び無添加のものを調製した。
Clavispora lusitaniae NBRC 10059株を添加したサンプルはGenTLE Kit(Takara Bio社製)を用いてDNA抽出を行なった。一方、Talaromyces bacillisporus NBRC 8397株を添加したサンプルには、ガラスビーズ液を添加し、99℃程度で1〜15分程度加熱した後、冷却し、次いでマルチビーズショッカー等で破砕した後、GenTLE Kitを用いてDNA抽出を行なった。得られた各種DNA溶液4μLを試料とし、実施例1と同様の方法でPCRを行い、PCR増幅DNA断片の有無を確認した。アガロースゲルによる電気泳動パターンを図2に示す。
図2の(A)には、Clavispora lusitaniae NBRC 10059株を用いて試験した結果を示す。図2(A)のレーン1及び9はDNA marker(φ×174 Hae III digest, TaKaRa Bio社製)である。レーン2はテンプレートDNAを添加していないNegative controlであり、レーン3はClavispora lusitaniae NBRC 10059株の精製DNA 200pgを使用したPositive controlである。レーン4は、酵母又はカビを添加しなかったサンプルである。またレーン5、6、7及び8は、乳酸菌飲料にClavispora lusitaniae NBRC 10059株をそれぞれ1×101 , 1×102 , 1×103, 1×104 cfu添加したサンプルである。
また、図2の(B)には、Talaromyces bacillisporus NBRC 8397株を用いて試験した結果を示す。図2(B)のレーン1及び9はDNA marker(φ×174 Hae III digest, TaKaRa Bio社製)である。レーン2はテンプレートDNAを添加していないNegative controlであり、レーン3はTalaromyces bacillisporus NBRC 8397株の精製DNA 200pgを使用したPositive controlである。レーン4は、酵母又はカビを添加しなかったサンプルである。またレーン5、6、7及び8は、乳酸菌飲料にTalaromyces bacillisporus NBRC 8397株をそれぞれ1×101 , 1×102 , 1×103, 1×104 cfu添加したサンプルである。
図2(A)から明らかなように、乳酸菌飲料1mL当たり100cfu程度の酵母が存在する場合、前記PCR条件で、該酵母由来のDNAを検出できた。また、図1(B)から分かるように、乳酸菌飲料1mL当たり100cfu程度糸状菌が存在する場合、前記PCR条件で、該糸状菌由来のDNAを検出可能であった。
実施例3(食品中に微量に存在する酵母由来18S rRNA遺伝子の検出)
酵母及びカビに汚染されていないことを前もって確認済みの市販の乳酸菌飲料と発酵乳に代表的な食品汚染酵母であるClavispora lusitaniae NBRC 10059株を指標菌として、各々食品300ml当たり4、70、480cfu程度となるように添加したもの及び、無添加のものを調製した。それぞれ食品重量と等量(300ml)のYPD液体培地(クロラムフェニコール100μg / mL入り)を加え、25℃で20時間、振蘯培養した。
得られた培養液を1.3mL採取し、8000×gで1分間遠心した後、上清を除き、沈殿物を回収した。得られた沈殿物から、GenTLE Kit(Takara Bio社製)を用いDNA抽出を行なった。得られたDNA溶液4μLを試料とし、実施例1と同様の方法でPCRを行い、PCR増幅DNA断片の有無を確認した。アガロースゲルによる電気泳動パターンを図3に示す。
図3(A)に乳酸菌飲料の場合の電気泳動パターンを示す。図3(A)のレーン1及び8はDNA marker(φ×174 Hae III digest, TaKaRa Bio社製)である。レーン2はテンプレートDNAを添加していないNegative controlであり、レーン3は酵母を添加せずに20時間培養したサンプルである。またレーン4はClavispora lusitaniaeNBRC 10059株の精製DNAを200pg加えたもの(Positive control)である。レーン5、6及び7は乳酸菌飲料に酵母を添加して20時間培養したサンプルである。
また、図3(B)に発酵乳の場合の電気泳動パターンを示す。図3(B)のレーン1及び8はDNA marker(φ×174 Hae III digest, TaKaRa Bio社製)である。レーン2はテンプレートDNAを添加していないNegative controlであり、レーン3は酵母を添加せずに20時間培養したサンプルである。またレーン4はClavispora lusitaniaeNBRC 10059株の精製DNAを200pg加えたもの(Positive control)である。レーン5、6及び7は発酵乳に上記真菌を添加して20時間培養したサンプルである。
図3(A)に示すように、市販乳酸菌飲料300mLあたり4cfu程度以上のClavispora lusitaniae NBRC 10059株(指標菌)が存在する場合、DNA抽出前の食品中の該真菌を増菌するための培養時間を20時間以上に設定すれば、前記PCR条件によってその真菌DNAを検出できることが分かった。また、同様に図3(B)に示すように、発酵乳300mLあたり4cfu程度以上のClavispora lusitaniae NBRC 10059株(指標菌)が存在する場合、DNA抽出前の食品中の該真菌を増菌するための培養時間を20時間以上に設定すれば、前記PCRによって、その真菌由来DNAを検出できることが分かった。
図1は、参考試験例の結果(電気泳動パターン)を示す図である。図1において、左側のレーン番号1−8には、特許文献1のプライマー対(B2FB4R)を使用した場合の結果が示されており、右側のレーン番号1−8には、本発明のプライマー対(Y18r230)を使用した場合の結果が示されている。なお、図中の矢印の約260bp及び約680bpはPCR産物の大きさを示している。 図2は、実施例2の結果(電気泳動パターン)を示す図である。(A)は、乳酸菌飲料中に存在する酵母Clavispora lusitaniae NBRC 10059株由来のDNAを検出した結果を示し、(B)は、乳酸菌飲料中に存在するカビTalaromyces bacillisporus NBRC 8397株由来のDNAを検出した結果を示す。なお、図中の矢印の約260bpはPCR産物の大きさを示している。 図3は、実施例3の結果(電気泳動パターン)を示す図である。(A)は、乳酸菌飲料中に微量に存在する酵母由来のDNAを検出した結果を示し、(B)は、発酵乳中に微量に存在する酵母由来のDNAを検出した結果を示す。なお、図中の矢印の約260bpはPCR産物の大きさを示している。

Claims (8)

  1. 配列番号1で示される塩基配列、又は該塩基配列において、第1〜12位の塩基の3個以下が置換、及び/又は5'末端側に10個以下の塩基が付加されている塩基配列からな
    る、酵母及びカビ検出用プライマー。
  2. 配列番号2で示される塩基配列、又は該塩基配列において、第1〜12位の塩基の3個以下が置換、及び/又は5'末端側に10個以下の塩基が付加されている塩基配列からな
    る、酵母及びカビ検出用プライマー。
  3. 請求項1に記載のプライマー、及び請求項2に記載のプライマーからなる、酵母及びカビ検出用のプライマー対。
  4. 下記(i)及び(ii)のプライマーからなる請求項3に記載の酵母及びカビ検出用のプライ
    マー対:
    (i)配列番号1で示される塩基配列からなるプライマー、及び
    (ii)配列番号2で示される塩基配列からなるプライマー。
  5. 検出対象となる酵母及びカビが、サッカロマイセス・ショレビッシェ、ピキア・アノマラ、カンディダ・ファマタ、デバリオマイセス・ハンセニイ、ジグロサッカロマイセス・ロウキシ、カンディダ・インターメディア、クラビスポラ・ルジタニエ、クルイベロマイセス・ラクティス、シゾサッカロマイセス・ポンブ、ピキア・メンブラニファシエンス、ペニシリウム・オブラタム、ペニシリウム・サブロサム、アスペルギルス・ニガー、フサリウム・クルークウェレンス、ジェオトリカム・カンディダム、アルターナリア・アルタネータ、アウレオバシディウム・プルランス、クラドストリウム・クラドスポリオイドス、ユウロチウム・ハーバリオラム、及びタラロマイセス・バシリスポラスよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項3又は4に記載の酵母及びカビ検出用プライマー対。
  6. 検査対象物中の酵母及びカビを検出する方法であって、
    (1)検査対象物に含まれるDNAを抽出する工程、
    (2)前記工程(1)抽出されたDNAを鋳型として、請求項3乃至5のいずれかに記載のプライマー対を用いてPCRを行なう工程、及び
    (3)増幅されたDNA断片を検出する工程、を含有する検出方法。
  7. 検査対象物が食品である、請求項6に記載の判定方法。
  8. 請求項3乃至5のいずれかに記載のプライマー対を含有する、酵母及びカビ検出用キット。
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