JP2006057601A - 建設機械の冷却装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷却ファンを反転させるために油圧モータの回転方向が切り換えられるとき、モータ駆動圧のサージ発生やキャビテーション発生が起きないようにする。
【解決手段】コントロールバルブ31による作動油の流れ方向の切り換え時に、制御部20がエンジン21とモータ速度制御バルブ32とを制御し、エンジン21の回転数と油圧モータ24の回転数とを予め定められた設定回転数まで低下させるようにした建設機械の冷却装置。
【選択図】図2

Description

本発明は油圧ショベル等の建設機械の冷却装置に関するものであり、特に、エンジンを冷却する冷却ファンの正転・反転の切り換えが可能で、且つ、ファン反転切換時に於けるモータ駆動圧のサージ及びキャビテーションを防止できるようにした建設機械の冷却装置に関するものである。
従来、油圧ショベル等の建設機械では、エンジン及びラジエータの冷却に、油圧モータにより冷却ファンを一方向に回転させ、この冷却ファンの回転によって起こされる風で冷却するようにした構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
又、冷却ファンを一方向に回転させている冷却構造では、風を送る方向が一方向であることから、枯葉やゴミ等が冷却風と共にラジエータ等に送り込まれ、目詰まりを起こす場合もある。そこで、この冷却ファンの回転方向を正逆2方向に切り換えできるようにし、冷却ファンの反転で逆風を起こさせ、この逆風でラジエータ等に詰まったゴミを吸い出して排出させるようにした冷却構造も知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開平11−158917号公報。 特開平10−68142号公報。
しかしながら、特許文献2記載の発明のように、冷却ファンの回転に油圧モータを使用している場合、油圧モータの回転方向が切り換えられるとき、モータ駆動圧のサージ発生やキャビテーション発生等の問題が考えられるが、従来、これらの点については何ら考慮がされていなかった。
そこで、冷却モータを反転させるために、油圧モータの回転方向が切り換えられるとき、モータ駆動圧のサージ発生やキャビテーション発生が起きないようにするために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、エンジンと、該エンジンにより回転される油圧ポンプと、該油圧ポンプから供給される作動油の流れを駆動源として回転駆動する油圧モータと、該油圧モータの回転軸と一体に回転してエンジン冷却用の風を起こす冷却ファンと、前記作動油が流れる向きを正方向から負方向に切り換えて前記油圧モータの回転を逆転させるコントロールバルブと、前記油圧モータ内を流れる前記作動油の量を調節して前記油圧モータの回転速度を制御するモータ速度制御手段と、前記コントロールバルブによる前記作動油の流れの方向の切り換え時に、前記エンジンと前記モータ速度制御手段とを制御し、前記エンジンの回転数と前記油圧モータの回転数を予め定められた設定回転数まで低下させる制御手段とを備えた建設機械の冷却装置を提供する。
この構成によれば、冷却ファンを反転させる目的で油圧モータを反転切換する時に油圧モータ内に発生し易いモータ駆動圧のサージ防止及びキャビテーションを防止するため、コントロールバルブによる作動油の流れの方向の切り換え時に、エンジンの回転数と油圧モータの回転数を予め定められた設定回転数まで低下させる。
請求項2記載の発明は、上記モータ速度制御手段の上記調整操作を、上記制御手段からの信号で動作するソレノイドを用いてなる建設機械の冷却装置を提供する。
この構成によれば、制御手段からの信号でソレノイドを制御すると、このソレノイドがモータ速度制御手段を操作して、油圧モータの回転速度が調節される。
請求項1記載の発明は、冷却ファンの反転切換時に油圧モータ内に発生し易いモータ駆動圧のサージ防止及びキャビテーションを防止することができる。
請求項2記載の発明は、制御手段からの信号出力でソレノイドを制御し、該ソレノイドでモータ速度制御手段を操作すると、油圧モータに流れる作動油の流量を調節することができるので、請求項1記載の発明の効果に加えて、モータ速度の調節を簡単に行うことができる。
以下、本発明に係る建設機械の冷却装置について、好適な実施例をあげて説明する。冷却ファンを反転させるために油圧モータの回転方向が切り換えられるとき、該油圧モータ内にモータ駆動圧のサージ発生やキャビテーション発生が起きないようにするという目的を、コントロールバルブによる作動油の流れの方向の切り換え時に、制御手段がエンジン及びモータ速度制御手段を制御し、エンジンの回転数と油圧モータの回転数を予め定められた設定回転数まで低下させるようにして実現した。
図1は、本発明に係る建設機械の冷却装置を適用した油圧ショベルを示す。図1に於いて、油圧ショベル10は、下部走行体11と、この下部走行体11上に旋回機構12を介して旋回可能に取れ付けられている上部旋回体13とを備えている。又、上部旋回体13には、その前方一側部に運転室(キャブ)14が設けられていると共に、前方中央部に土砂の掘削、その他の作業を行う作業機構18が設けられている。更に、作業機構18は、バケット17を支持するブーム15及びアーム16と、これらを作動させる各種の油圧シリンダ、リンクロッド等からなるアクチュエータとから構成されている。
図2に、本発明に係る建設機械の冷却装置に於ける要部回路構成を示す。図2に於いて、冷却装置19は、油圧ショベル10の上部旋回体13上に搭載されている。冷却装置19には、装置全体の制御を行うプログラムが組み込れているマイクロコンピュータで構成された制御手段としての制御部(CPU)20と、原動機であるエンジン21と、このエンジン21の駆動を制御するECM(電子制御モジュール)22と、エンジン21を駆動源として駆動される油圧ポンプ23と、この油圧ポンプ23から吐出される圧油(作動油)の流れを駆動源として回転する油圧モータ24と、リレー25等で構成されている。
又、制御部20には、スロットルバルブ26、ファンリバーススイッチ27、エンジン21の始動を行うキースイッチ28、モニタ29、リバースセンサ30、コントロールバルブ31のソレノイド31a、モータ速度制御バルブ32のソレノイド32a、リレー25のソレノイド25a等が接続されている。
油圧モータ24は出力軸24aを有し、この出力軸24aに冷却ファン33が一体回転可能に取り付けられている。この油圧モータ24と油圧ポンプ23との間には、前記コントロールバルブ31とモータ速度制御バルブ32が配設されている。
前記コントロールバルブ31は、制御部20からの信号で駆動されるソレノイド31aの操作により、正転位置Aと逆転位置Bとに切り換えできるようになっている。そして、コントロールバルブ31が、図2中に示す正転位置Aに切り換えられているとき、油圧ポンプ23から吐出された作動油は油圧モータ24内を正方向に流れ、該油圧モータ24が正方向に回転する。反対に、逆転位置Bに切り換えられると、作動油は油圧モータ24内を逆方向に流れ、該油圧モータ24が負方向に回転する。
ファンリバーススイッチ27は、油圧モータ24の回転を正方向から負方向に切り換える信号を、外部から制御部20に入力するスイッチである。このファンリバーススイッチ27は、通常、オフ状態に保持されており、オペレータ等によって押下されるとオン状態に切り換わり、押下力が取り除かれると再びオフ状態に自動復帰するモーメンタリー式のスイッチである。従って、該ファンリバーススイッチ27は、エンジン21を再始動させたときには、常にオフの状態にあり、これにより油圧モータ24及び後述する冷却ファン33は常に正方向回転でスタートする設定になっている。
モータ速度制御バルブ32は、制御部20からの信号で駆動されるソレノイド32aの操作により、油圧モータ24内を流れる作動油の流量を調節し、油圧モータ24の回転速度及び冷却ファン33の回転速度を制御する。
スロットルバルブ26は、制御部20の信号出力に従ってエンジン21の出力を調節する。モニタ29は、冷却装置19の動作状態を外部表示する。
リレー25は、ゲートスイッチ35及びレバーロックソレノイド36と共に作業機構操作禁止ロック手段37を構成しているものである。この作業機構操作禁止ロック手段37は、作業機構18の操作が一時的に行えなくなるようにするためのもので、レバーロックソレノイド36に電流が流されているときには作業機構18の操作は自由に行え、レバーロックソレノイド36の電流が断たれると、電流が断たれている間、作業機構18の操作が行えなくなるというように、作業機構18の操作が一時的にロックされる構造になっている。尚、ゲートスイッチ35は、オペレータが作業機構18を操作する操作レバー(不図示)に連動するスイッチであり、操作レバーが操作位置に動かされるとオフからオンに切り換わってレバーロックソレノイド36が通電されて作業可能となり、非操作位置に再び戻されるとオンからオフに切り換わり、レバーロックソレノイド36の通電が断たれて作業禁止になる。
図3及び図4は、制御部20が処理する制御動作を示し、図3がエンジン21の冷却用水の温度tが設定温度T以上になると、コントロールバルブ31による作動油の方向、すなわち油圧モータ24の回転が逆方向に回転するのを禁止するファン反転禁止処理ルーチンで、キースイッチ28がオンで制御回路用の電源が供給されると実行される。図4は、油圧モータ24と共に冷却ファン33の回転が反転し、これによってエンジン21に対する冷却能力が低下することが予想されるときに、更に作業機構18が操作されてエンジン21に新たな負荷が加わり、これによってエンジン21がオーバーヒートするのを防止する作業機構操作禁止ロック処理ルーチンで、キースイッチ28がオンで制御回路用の電源が供給されると実行される。
先ず、図3のファン反転禁止処理ルーチンについて説明する。キースイッチ28がオンで制御回路用の電源が供給されると、制御部20の制御が開始され、システムの初期化を行う(ステップS1)。又、この初期化では、ファンリバーススイッチ27がオフであるのに加えて、制御部20による制御で自動正転制御が行われ、コントロールバルブ31は正転位置Aに初期配置される。従って、エンジン21の初期始動及び再始動時、油圧モータ24及び冷却ファン33は、常に正方向回転を行う。
次に、ファンリバーススイッチ27がオンになった時(ステップS2)、若しくは制御部20による自動反転制御が有効になった時(ステップS3)、エンジン21に設けられた冷却水温度センサからECM22を介して制御部20に送られて来ている冷却水の温度値tがオーバーヒートの危険がある設定温度T以上になっているか否かを判定する(ステップS4)。
ここで、冷却水の温度値tが設定温度Tよりも低い場合(t<T)、制御部20はファン反転切換時に於けるモータ駆動圧のサージ防止及びキヤビテーションを防止するために、切換時の油圧モータ24及び冷却ファン33の回転数を低速にすべく、エンジン21の回転数をスロットルバルブ26のエンジン出力調節に関係なく、予め設定されている最低速度の回転数NLとなるように、ECM22に信号を出力する。これと同時に、モータ速度制御バルブ32のソレノイド32aに油圧モータ24及び冷却ファン33の回転数が最低速になるように信号を出力する。これにより、エンジン21の回転が最低の目標回転数NLに切り換えられると同時に、油圧モータ24及び冷却ファン33の回転数が最低速の状態となる(ステップS5,S6)。
更に、制御部20はエンジン21の回転が最低の目標回転数NLに切り換えられ、油圧モータ24及び冷却ファン33の回転数が最低速の状態となった後に、コントロールバルブ31のソレノイド31aに切り換え信号を出力する(ステップS7)。切り換え信号を受けたソレノイド31aは、コントロールバルブ31を図2に示す正転位置Aから逆転位置Bに移動させる。これにより、油圧ポンプ23から吐出されて油圧モータ24の内部を流れる作動油の向きが反対方向に切り換わり、油圧ポンプ24及び冷却ファン33の回転を反転させる(ステップS8)。その結果、反転時に於けるエンジン21のオーバーヒートと、油圧モータ24及びファン反転切換時のサージ及びキヤビテーションを防止することができる。
一方、ステップS4で冷却水の温度値tが設定温度T以上であると判定された場合(t≧T)、制御部20はコントロールバルブ31のソレノイド31aに切り換え信号は出力せず、コントロールバルブ31による、油圧モータ24の内部を流れる作動油の方向切り換えを禁止する。これにより、冷却ファン33も正方向の回転を続け、冷却ファン33が反転することによってエンジン21に対する冷却能力が低下するのを抑える。又、そのファン反転禁止態様になっている旨をモニタ29に表示する(ステップS9)。
又、ステップS8及びステップS9からは、再びステップS2に戻り、同じ処理を繰り返す。
従って、このファン反転禁止処理ルーチンの場合では、エンジン21を冷却するための冷却用水の温度tが、オーバーヒートの危険性がある設定温度T以上になっているとき、制御手段である制御部20はコントロールバルブ31による作動油の方向の切り換え、すなわち冷却ファン33と共に一体に回転する油圧モータ24の反転を禁止し、この冷却ファン33が反転することによってエンジン21に対して冷却能力が低下するのを抑えることができる。
又、コントロールバルブによる作動油の流れの方向の切り換え時に、エンジンの回転数と油圧モータの回転数を予め定められた設定回転数まで低下させて、モータ駆動圧のサージ及びキャビテーションを防止することができる。
次に、図4の作業機構操作禁止処理ルーチンについて説明する。キースイッチ28がオンで制御回路用の電源が供給されると、制御部20の制御が開始され、システムの初期化を行う(ステップS11)。又、この初期化では、ファンリバーススイッチ27がオフであるのに加えて、制御部20による制御で自動正転制御が行われ、コントロールバルブ31は正転位置Aに初期配置される。従って、エンジン21の初期始動及び再始動時、油圧モータ24及び冷却ファン33は、常に正方向回転を行う。
次に、ファンリバーススイッチ27がオンになった時(ステップS12)、若しくは制御部20による自動反転制御が有効になった時(ステップS13)、制御部20はファン反転切換時に於けるモータ駆動圧のサージ防止及びキヤビテーションを防止するため、切換時の油圧モータ24及び冷却ファン33の回転数を低速にすべく、スロットルバルブ26のエンジン出力調節に関係なく、予め設定されている最低速の回転数NLにするように、ECM22に信号を出力する。これと同時に、モータ速度制御バルブ32のソレノイド32aに油圧モータ24及び冷却ファン33の回転数が最低速になるように信号を出力する。これにより、エンジン21の回転が最低の目標回転数NLに切り換えられると同時に、油圧モータ24及び冷却ファン33の回転数が最低速の状態となる(ステップS14,S15)。
更に、制御部20はエンジン21の回転が最低の目標回転数NLに切り換えられ、油圧モータ24及び冷却ファン33の回転数が最低速の状態となった後に、コントロールバルブ31のソレノイド31aに切り換え信号を出力する(ステップS16)。切り換え信号を受けたソレノイド31aは、コントロールバルブ31を図2に示す正転位置Aから反転位置Bに移動させる。これにより、油圧ポンプ23から吐出されて油圧モータ24の内部を流れる作動油の向きが反転し、冷却ファン33の回転を反転させる(ステップS17)。その結果、反転時に於けるエンジン21のオーバーヒートと、油圧モータ24の反転切換時に油圧モータ24内に発生し易いモータ駆動圧のサージ及びキヤビテーションを防止することができる。
一方、ファンリバーススイッチ27がオンになった時(ステップS12)、若しくは制御部20による自動反転制御が有効になった時(ステップS13)、制御部20は、リレー25に切り換え信号を出力し、リレー25の可動接点25bを接点25c側から接点25d側に切り換え、レバーロックソレノイド36への電流を断つ(ステップS18)。これにより、冷却ファン33の回転が反転されているとき、作業機構18の操作は禁止される。
又、ステップS17及びステップS18からは、再びステップS12に戻り、同じ処理を繰り返す。
従って、この作業機構操作禁止処理ルーチンの場合では、冷却ファン33の回転が反転し、これによってエンジン21に対する冷却能力が低下することが予想されるとき、作業機構18が操作されるのを禁止し、エンジン21に新たな負荷が加わってオーバヒートするのを防ぐことができる。
又、コントロールバルブによる作動油の流れの方向の切り換え時に、エンジンの回転数と油圧モータの回転数を予め定められた設定回転数まで低下させて、油圧モータ24内に発生し易いモータ駆動圧のサージ及びキャビテーションを防止することができる。
尚、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
本発明の冷却装置を適用した油圧ショベルの全体側面図。 本発明の一実施の形態に於ける冷却装置の要部構成回路図。 同上実施形態装置の制御部に於けるファン反転禁止処理ルーチンの一例を示すフローチャート。 同上実施形態装置の制御部に於ける作業機構操作禁止処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
符号の説明
18 作業機構
19 冷却装置
20 制御部(制御手段)
21 エンジン
23 油圧ポンプ
24 油圧モータ
25 リレー
26 スロットルバルブ
27 ファンリバーススイッチ
30 リバースセンサ
31 コントロールバルブ
31a ソレノイド
32 モータ速度制御バルブ(モータ速度制御手段)
32a ソレノイド
33 冷却ファン
35 ゲートスイッチ
36 レバーロックソレノイド
37 作業機構操作禁止ロック手段

Claims (2)

  1. エンジンと、
    該エンジンにより回転される油圧ポンプと、
    該油圧ポンプから供給される作動油の流れを駆動源として回転駆動する油圧モータと、
    該油圧モータの回転軸と一体に回転してエンジン冷却用の風を起こす冷却ファンと、
    前記作動油が流れる向きを正方向から負方向に切り換えて前記油圧モータの回転を逆転させるコントロールバルブと、
    前記油圧モータ内を流れる前記作動油の量を調節して前記油圧モータの回転速度を制御するモータ速度制御手段と、
    前記コントロールバルブによる前記作動油の流れの方向の切り換え時に、前記エンジンと前記モータ速度制御手段とを制御し、前記エンジンの回転数と前記油圧モータの回転数を予め定められた設定回転数まで低下させる制御手段、
    とを備えたことを特徴とする建設機械の冷却装置。
  2. 上記モータ速度制御手段の上記調整操作を、上記制御手段からの信号で動作するソレノイドを用いてなる請求項1記載の建設機械の冷却装置。
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