JP2006054765A - 増幅器及び差動型分布増幅器 - Google Patents

増幅器及び差動型分布増幅器 Download PDF

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Abstract

【課題】マッハツェンダ型LN光変調器を駆動するための増幅器等として使用される増幅器に関し、高利得特性を持ち、かつ、出力段の差動型分布増幅器の入力側動作バイアスポイントを容易に調整できるようにする。
【解決手段】ソースフォロア回路部68には電流源を設けず、ソースフォロアトランジスタ11、14のソースを本発明の差動型増幅器の第1実施形態69の入力端子18、19に接続する。差動型増幅器69の入力側伝送線路20、21の終端抵抗22、23の接続点25にソースフォロア回路部68に必要な電流源70を接続する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、マッハツェンダ型LN(ニオブ酸リチウム)光変調器を駆動するための増幅器等として使用して好適な増幅器及び差動型分布増幅器に関する。
近年、大容量光通信に向けた電子デバイスの開発が行われている。特に、TDM(時分割多重)光通信の進展に伴い、40Gb/s以上のビットレートのデータ信号を光ファイバを用いて送信しようという試みがなされている。このような高速の電気信号を光信号に変換するためには、マッハツェンダ型LN光変調器を用いることが考えられる。
マッハツェンダ型LN光変調器を駆動するためには、高出力かつ高利得な広帯域増幅器が必要である。差動型分布増幅器は、帯域が伝送線路の遮断周波数で決まるため、広帯域増幅器として注目されている。また、トランジスタのゲート幅を大きくすることができるため高出力性にも優れている。
但し、光通信システムの送信部のマルチプレクサの出力信号(光信号に変換すべき電気信号)をマッハツェンダ型LN光変調器を駆動するために必要な電圧振幅に増幅するには大きな利得の増幅器が必要となる。差動型分布増幅器は、差動利得がせいぜい10dB程度であり、利得が不十分であることが問題であった。
この問題を解決するために、差動型分布増幅器の前段に集中定数型差動増幅器を設けた構成の増幅器が提案されている(例えば、特許文献1)。前段の集中定数型差動増幅器で差動型分布増幅器の利得が足りない分を補うとする構成である。このような構成の増幅器を用いる場合、前段の集中定数型差動増幅器と差動型分布増幅器との接続点においては、インピーダンス整合を行う必要がある。
即ち、一般に、前段の集中定数型差動増幅器の出力インピーダンスは高く、例えば、200Ωであり、差動型分布増幅器の入力インピーダンスは低く、例えば、50Ωであるため、これらの接続部分においては、インピーダンス整合を行う必要があり、インピーダンス変換器が必要となる。
このようなインピーダンス変換器として、よく用いられるのがソースフォロワ回路である。但し、ソースフォロワ回路を使用する場合には、ソースフォロアトランジスタに電流を流すための電流源を配置する必要がある。同一の集積回路内に、この電流源を作りこむ場合、トランジスタや抵抗素子を用いて構成される。
図12は集中定数型差動増幅器と差動型分布増幅器との間にソースフォロア回路を挿入した従来の増幅器の一例を示す回路図である。図12中、1、2は差動入力信号DIN、/DIN用の入力端子であり、1は正相入力信号DIN用の入力端子、2は逆相入力信号/DIN用の入力端子である。
3は差動入力信号DIN、/DINを増幅する集中定数型差動増幅器、4はインピーダンス変換回路部であるソースフォロア回路部、5は従来の差動型分布増幅器である。6、7は差動出力信号DOUT、/DOUT用の出力端子であり、6は正相出力信号DOUT用の出力端子、7は逆相出力信号/DOUT用の出力端子である。
ソースフォロア回路部4において、8は電源電圧VDD1(例えば、−1.8V)を供給するVDD1電源線、9は電源電圧VSS1(例えば、−3.3V)を供給するVSS1電源線である。10は集中定数型増幅器3の正相出力信号が与えられるソースフォロア回路であり、11はソースフォロアトランジスタ、12は電流源である。13は集中定数型増幅器3の逆相出力信号が与えられるソースフォロア回路であり、14はソースフォロアトランジスタ、15は電流源である。
ソースフォロアトランジスタ11は、ドレインをVDD1電源線8に接続し、ゲートを集中定数型差動増幅器3の正相出力端子16に接続し、ソースを電流源12の電流入力端子及び差動型分布増幅器5の正相入力端子18に接続されており、電流源12は、電流出力端子をVSS1電源線9に接続している。
ソースフォロアトランジスタ14は、ドレインをVDD1電源線8に接続し、ゲートを集中定数型差動増幅器3の逆相出力端子17に接続し、ソースを電流源15の電流入力端子及び差動型分布増幅器5の逆相入力端子に接続しており、電流源15は、電流出力端子をVSS1電源線9に接続している。
差動型分布増幅器5において、20、21は第1、第2の入力側伝送線路であり、20は正相入力信号伝送線路、21は逆相入力信号伝送線路である。22は正相入力信号伝送線路20の終端抵抗、23は逆相入力信号伝送線路21の終端抵抗、24は電源電圧VSS2(例えば、−2.8V)を供給するVSS2電源線であり、終端抵抗22、23の接続点25は、VSS2電源線24に接続されている。
26、27は第1、第2の出力側伝送線路であり、26は正相出力信号伝送線路、27は逆相出力信号伝送線路である。28、29は負荷抵抗、30は電源電圧VDD2(例えば、−0.8V)を供給するVDD2電源線であり、負荷抵抗28、29の接続点31は、VDD2電源線30に接続されている。
32、33、34は差動増幅器をなす基本回路セルであり、35〜58はインダクタ、59〜64はソースフォロア回路部4から出力される差動出力信号を入力側伝送線路20、21を介して差動入力信号として受けて差動動作を行うトランジスタ(以下、差動トランジスタという)、65〜67は電流源である。
差動トランジスタ59は、ゲートをインダクタ35、36の接続点に接続し、ドレインをインダクタ53、54の接続点に接続し、ソースを電流源65の電流入力端子に接続している。差動トランジスタ60は、ゲートをインダクタ41、42の接続点に接続し、ドレインをインダクタ47、48の接続点に接続しソースを電流源65の電流入力端子に接続している。電流源65は、電流出力端子をVSS2電源線24に接続している。
差動トランジスタ61は、ゲートをインダクタ37、38の接続点に接続し、ドレインをインダクタ55、56の接続点に接続し、ソースを電流源66の電流入力端子に接続している。差動トランジスタ62は、ゲートをインダクタ43、44の接続点に接続し、ドレインをインダクタ49、50の接続点に接続し、ソースを電流源66の電流入力端子に接続している。電流源66は、電流出力端子をVSS2電源線24に接続している。
差動トランジスタ63は、ゲートをインダクタ39、40の接続点に接続し、ドレインをインダクタ57、58の接続点に接続し、ソースを電流源67の電流入力端子に接続している。差動トランジスタ64は、ゲートをインダクタ45、46の接続点に接続し、ドレインをインダクタ51、52の接続点に接続し、ソースを電流源67の電流入力端子に接続している。電流源67は、電流出力端子をVSS2電源線24に接続している。
特表平10−510970号公報
図13及び図14は図12に示す従来の増幅器が有する問題点を説明するための回路図である。ソースフォロア回路部4が有する電流源12、15は、ソースフォロアトランジスタ11、14に電流を流すためのものであり、トランジスタや抵抗素子を用いて構成される。
電流源12、15は、それぞれ、高周波的には、図13に示すように、寄生抵抗Rと寄生容量Cの並列回路と看做すことができ、差動型分布増幅器5の高周波特性に悪影響を与える。例えば、差動型分布増幅器5の入力インピーダンスが低下したり、また、差動型分布増幅器5の利得が低下したりする。
即ち、図12に示す従来の増幅器をマッハツェンダ型LN光変調器を駆動するための増幅器として使用する場合には、集中定数型差動増幅器3の出力振幅をある程度大きくしなくてはならず、そのため、ソースフォロワトランジスタ11、14に流す電流値も大きくする必要がある。
このような場合、電流源12、15をトランジスタや抵抗素子を用いて構成すると、電流源12、15の寄生抵抗R及び寄生容量Cが出力段に配置した差動型分布増幅器5の高周波特性を悪化させてしまうことになる。そこで、差動型分布増幅器5の高周波特性に悪影響を及ぼさないようなソースフォロワトランジスタ11、14のバイアス方法が必要となる。
また、電流源12に流れる電流Issは、ソースフォロワトランジスタ11から流れ込む電流と、差動型分布増幅器5の正相入力信号伝送線路20から流れ込む電流の合計電流であり、電流源15に流れる電流Issは、ソースフォロワトランジスタ14から流れ込む電流と、差動型分布増幅器5の逆相入力信号伝送線路21から流れ込む電流の合計電流である。
ここで、図14に示すように、差動型分布増幅器5の入力側伝送線路20、21から流れ込む電流をそれぞれΔIssとすれば、ソースフォロワトランジスタ11、14に流れる電流はIss−ΔIssとなり、ΔIss分だけ小さくなる。したがって、電流源12、15の電流可変幅に比べて、差動型分布増幅器5の入力側動作バイアスポイント(入力端子18、19の直流動作バイアスポイント)の可変範囲が狭くなるという問題もあった。
即ち、電流源12、15に流れる電流の一部は、差動型分布増幅器5の入力側伝送線路20、21に流れる電流であるため、電流源12、15の電流可変幅に比べて、差動型分布増幅器5の入力側動作バイアスポイントの可変範囲が狭くなるという問題もあった。差動型分布増幅器5の入力側動作バイアスポイントは出力波形の電圧振幅を決める上で極めて重要なので、電流源12、15の電流可変幅に比べて、入力側動作バイアスポイントの可変範囲は広いほうが望ましい。
このように、差動型分布増幅器の前段に、差動型分布増幅器の入力側伝送線路にも電流を流す電流源を持つ回路、例えば、ソースフォロア回路を接続すると、差動型分布増幅器の利得を低下させたり、入力側動作バイアスポイントの可変範囲を狭くする場合があるという問題点があった。
本発明は、かかる点に鑑み、広帯域・高利得特性を持ち、かつ、出力段の差動型分布増幅器の入力側動作バイアスポイントを容易に調整できるようにした増幅器、及び、広帯域・高利得特性を持ち、かつ、入力側動作バイアスポイントを容易に調整できるようにした差動型分布増幅器を有する増幅器を提供することを目的とする。
本発明の増幅器は、定数集中型差動増幅器と、該定数集中型差動増幅器の後段に配置されたインピーダンス変換器と、該インピーダンス変換器の後段に配置され、前記インピーダンス変換器が出力する差動信号を伝送する第1、第2の入力側伝送線路と、一端を前記第1の入力側伝送線路の終端に接続した第1の終端抵抗と、一端を前記第2の入力側伝送線路の終端に接続した第2の終端抵抗を有し、前記第1、第2の終端抵抗の他端同士を接続した差動型分布増幅器を有する増幅器であって、前記差動型分布増幅器は、前記インピーダンス変換器に電流を流すための電流源を前記第1、第2の終端抵抗の接続点に接続しているというものである。
本発明の差動型分布増幅器は、差動入力信号を伝送する第1、第2の入力側伝送線路と、一端を前記第1の入力側伝送線路の終端に接続した第1の終端抵抗と、一端を前記第2の入力側伝送線路の終端に接続した第2の終端抵抗を有し、前記第1、第2の終端抵抗の他端同士を接続した差動型分布増幅器であって、前記第1、第2の終端抵抗の接続点に電流源を接続し、前段に、前記電流源を使用する所定回路が配置されるというものである。
本発明の増幅器においては、差動型分布増幅器は、インピーダンス変換器に電流を流すための電流源を第1、第2の終端抵抗の接続点に接続しているが、第1、第2の終端抵抗の接続点における差動入力信号の振れ幅は常にゼロとなり、第1、第2の終端抵抗の接続点は、仮想的に接地されている状態となる。この結果、前記電流源の寄生抵抗及び寄生容量が差動型分布増幅器の特性を悪化させることはなく、広帯域・高利得特性を得ることができる。
また、前記電流源に流れる電流は全てインピーダンス変換器から流れ込むことになる。この結果、前記電流源の電流可変幅に比べて、差動型分布増幅器の入力側動作バイアスポイントの可変範囲は広くなる。したがって、差動型分布増幅器の入力側動作ポイントを容易に調整することができる。
本発明の差動型分布増幅器においては、第1、第2の終端抵抗の接続点に電流源を接続しているが、第1、第2の終端抵抗の接続点における差動入力信号の振れ幅は常にゼロとなり、第1、第2の終端抵抗の接続点は、仮想的に接地されている状態となる。この結果、前記電流源の寄生抵抗及び寄生容量が本発明の差動型分布増幅器の特性を悪化させることはなく、広帯域・高利得特性を得ることができる。
また、前記電流源に流れる電流は、全て本発明の差動型分布増幅器の前段に配置される所定回路から流れ込むことになる。この結果、前記電流源の電流可変幅に比べて、入力側動作バイアスポイントの可変範囲は広くなる。したがって、入力側動作ポイントを容易に調整することができる。
以下、図1〜図11を参照して、本発明の増幅器及び差動型分布増幅器の第1実施形態〜第3実施形態について説明する。なお、図1〜図6、図8、図10、図11において、図12に対応する部分には、同一符号を付し、その重複説明は省略する。
(第1実施形態)
図1は本発明の増幅器の第1実施形態を示す回路図である。本発明の増幅器の第1実施形態は、集中定数型差動増幅器3と、インピーダンス変換回路部であるソースフォロア回路部68と、本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態69を有している。
ソースフォロア回路部68は、ソースフォロアトランジスタ11、14とVSS1電源線9との間に図12に示すような電流源12、15を設けず、ソースフォロアトランジスタ11、14のソースをそれぞれ本発明の第1実施形態の差動型分布増幅器69の入力端子18、19に接続し、その他については、図12に示すソースフォロア回路部4と同様に構成したものである。
本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態69は、終端抵抗22、23の接続点25を図12に示すようにVSS2電源線24に接続せず、この代わりに、終端抵抗22、23の接続点25にソースフォロア回路部68に必要な電流源70を接続し、その他については、図12に示す差動型分布増幅器5と同様に構成したものである。なお、本発明の増幅器の第1実施形態においては、トランジスタとして、HEMTやMOSトランジスタやバイポーラ・トランジスタ等が用いられる。
図2は電流源70の第1構成例を示す回路図である。電流源70の第1構成例は、抵抗71で構成されており、抵抗70は、一端を終端抵抗22、23の接続点25に接続し、他端を電圧VBが印加される電圧入力端子72に接続している。
図3は電流源70の第2構成例を示す回路図である。電流源70の第2構成例は、トランジスタ73と抵抗74とで構成されている。トランジスタ73は、ドレインを終端抵抗22、23の接続点25に接続し、ゲートを電圧VBが印加される電圧入力端子75に接続し、ソースをVSS1電源線9に接続している。抵抗74は、一端をトランジスタ73のゲートに接続し、他端をVSS1電源線9に接続している。
図4は電流源70の第3構成例を示す回路図である。電流源70の第3構成例は、トランジスタ76と抵抗77とで構成されている。トランジスタ76は、ドレインをVDD1電源線8に接続し、ゲートを電圧VBが印加される電圧入力端子78に接続し、ソースを終端抵抗22、23の接続点25及び抵抗77の一端に接続している。抵抗77は、他端をVSS1電源線9に接続している。
図5は電流源70の第4構成例を示す回路図である。電流源70の第4構成例は、トランジスタ79、80で構成されている。トランジスタ79は、ドレインをゲート及び終端抵抗22、23の接続点25に接続し、ソースをVSS1電源線9に接続している。トランジスタ80は、ドレインを電圧VBが印加される電圧入力端子81に接続し、ゲートをトランジスタ79のゲートに接続し、ソースをVSS1電源線9に接続している。
以上のように、本発明の増幅器の第1実施形態においては、ソースフォロア回路部68に必要な電流源70は、本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態69の終端抵抗22、23の接続点25に接続されているが、高周波的には、図6に示すように、寄生抵抗82と寄生容量83の並列回路と看做される。
しかしながら、終端抵抗22、23の接続点25における差動入力信号の振れ幅は常にゼロとなり、終端抵抗22、23の接続点25は仮想的に接地されている状態と言える。この結果、電流源70の寄生抵抗82及び寄生容量83が本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態69の特性を悪化させることはなく、むしろ、図12に示す従来の差動型分布増幅器5に比べて、入力インピーダンス及び利得が大きくなる。
図7は本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態69の入力インピーダンス及び小信号利得の周波数特性を図12に示す従来の差動型分布増幅器5の場合と比較して示す図である。図7(A)は入力インピーダンスの周波数特性を示しており、A1は本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態69の場合、B1は図12に示す従来の差動型分布増幅器の場合である。図7(B)は小信号利得の周波数特性を示しており、A2は本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態69の場合、B2は図12に示す従来の差動型分布増幅器の場合である。
但し、トランジスタ59〜64はHEMT、入力側伝送線路20、21のインダクタ35〜46は70pH、出力側伝送線路26、27のインダクタ47〜58は90pH、電流源70は第1構成例、電圧VBは−3.3Vとした場合である。
図7(A)に示すように、入力インピーダンスは、図12に示す従来の差動型分布増幅器5の場合には、周波数平均を取ると30Ω程度、本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態69の場合には、周波数平均を取ると40Ω程度である。このように、本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態69の入力インピーダンスは、図12に示す従来の差動型分布増幅器5の場合よりも10Ω程度も大きくなった。
集中定数型増幅器3と本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態69との接続部分において大きな電圧振幅を得るためには、本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態69の入力インピーダンスをできるだけ大きくする必要があるが、本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態69が大信号動作に有利であるといえる。
また、図7(B)に示すように、小信号利得は、図12に示す従来の差動型分布増幅器5の場合には、5dB程度、本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態69の場合には、6dB程度となる。出力段として使用する差動型分布増幅器には、この差は極めて重要となる。本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態69によれば、高周波特性を改善できることが明らかである。
また、本発明の増幅器の第1実施形態においては、ソースフォロア回路部68に必要な電流源70は、本発明の差動型分布増幅器69の終端抵抗22、23の接続点25に接続されているので、電流源70に流れる電流は、全てソースフォロア回路部68のソースフォロワトランジスタ11、14に流れる電流であり、図8に示すように、電流源70に流れる電流をIssとすると、ソースフォロワトランジスタ11、14に流れる電流は、それぞれ、Iss/2となる。
この結果、本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態69の入力側動作バイアスポイントは、電流源70に流れる電流だけを調節することで決定することができ、電流源70の電流可変幅に比べて、本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態69の入力側動作バイアスポイントの可変範囲は広くなる。
図9は本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態69の入力側伝送線路20、21の入力側動作バイアス可変範囲をシミュレーションした結果を図12に示す従来の差動型分布増幅器5と比較して示す図である。シミュレーション条件は、図7に示す特性を得た場合と同一であり、A3は本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態69の場合、B3は図12に示す従来の差動型分布増幅器5の場合である。
電流源12、15の合計電流値Iss及び電流源70の電流値Issを同じだけ変化させた場合、図12に示す従来の差動型分布増幅器5の場合と本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態69の場合とでは明らかな違いがあることが分かる。例えば、電流値Issが10mAの場合の入力側動作バイアスポイントは、いずれの場合も−2.8V程度であるが、電流値Issを2倍の20mAにした場合、図12に示す従来の差動型分布増幅器5の場合には−2.87V程度までしか変化しないのに対して、本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態69の場合には−2.93Vまで変化する。
このように、本発明の差動型分布増幅器69によれば、図12に示す従来の差動型分布増幅器5の場合に比べて、入力側動作バイアスポイントの可変範囲は広くなることが確認できる。出力振幅を決める上で入力側伝送線路上の入力端子における動作バイアスポイントを調整することは極めて重要である。
以上のように、本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態69によれば、終端抵抗22、23の接続点25に、ソースフォロア回路部68が使用する電流源70を接続しているので、広帯域・高利得特性を得ることができ、かつ、入力側動作バイアスポイントを容易に調整することができる。ちなみに、本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態69によれば、周波数=80Gb/s、入力振幅=0.4Vppの差動信号を増幅し、出力振幅=1.8Vppの差動信号を得ることができる差動型分布増幅器を提供することができる。
また、特に、電流源70を第1構成例、第2構成例、第3構成例又は第4構成例のように構成する場合には、本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態69を簡易な構成とすることができる。また、電圧値VBを調整するだけで、本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態69の入力側動作バイアスポイントを調整することができる。また、電流源70を第4構成例のように構成する場合には、電流源70の定電流性を改善することができる。
したがって、また、本発明の増幅器の第1実施形態によれば、広帯域・高利得特性を持ち、かつ、出力段の差動型分布増幅器69の入力側動作バイアスポイントを容易に調整できる増幅器を提供することができる。
(第2実施形態)
図10は本発明の増幅器の第2実施形態を示す回路図である。本発明の増幅器の第2実施形態は、集中定数型差動増幅器3と、ソースフォロア回路部68と、本発明の差動型分布増幅器の第2実施形態84を有している。
本発明の差動型分布増幅器の第2実施形態84は、終端抵抗22、23の代わりに、可変抵抗素子をなすゲート接地のトランジスタ85、86を用い、その他については、図1に示す本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態69と同様に構成したものである。
トランジスタ85のドレインは伝送線路20の終端に接続され、トランジスタ86のドレインは伝送線路21の終端に接続され、トランジスタ85、86のゲートは、制御電圧Vcontを供給する制御電圧線に接続され、トランジスタ85、86のソース同士は接続されている。なお、定電流源70として、図2〜図5に示す第1構成例〜第4構成例を使用することができる。
本発明の差動型分布増幅器の第2実施形態84によれば、本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態69と同様の作用効果を得ることができると共に、制御電圧Vcontを変化させることにより、終端抵抗をなすトランジスタ85、86の抵抗値を変化させることができるので、試作後の特性調整を行うことができ、歩留まりの向上を図ることができる。
したがって、また、本発明の増幅器の第2実施形態によれば、高利得、広帯域特性を持ち、かつ、出力段の差動型分布増幅器69の入力側動作バイアスポイントを容易に調整でき、歩留まりの向上を図ることができる増幅器を提供することができる。
(第3実施形態)
図11は本発明の増幅器の第3実施形態を示す回路図である。本発明の増幅器の第3実施形態は、集中定数型差動増幅器3と、ソースフォロア回路部68と、本発明の差動型分布増幅器の第3実施形態87を有している。
本発明の差動型分布増幅器の第3実施形態87は、差動トランジスタ59〜64に対してゲート接地トランジスタ88〜93をカスケード接続し、ゲート接地トランジスタ88〜93のゲートをキャパシタ94〜99を介して接地し、その他については、本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態69と同様に構成したものである。なお、定電流源70として、図2〜図5に示す第1構成例〜第4構成例を使用することができる。
本発明の差動型分布増幅器の第3実施形態87によれば、本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態69と同様の作用効果を得ることができると共に、各差動増幅器(単位回路セル)の入力容量(ミラー容量)を低減することができ、出力損失も小さくすることができるので、本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態69以上の広帯域な特性を得ることができる。
したがって、また、本発明の増幅器の第3実施形態によれば、広帯域・高利得特性を持ち、かつ、出力段の差動型分布増幅器87の入力側動作バイアスポイントを容易に調整できる増幅器を提供することができる。
なお、本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態〜第3実施形態においては、前段に、インピーダンス変換回路であるソースフォロア回路を配置した場合について述べたが、本発明の差動型分布増幅器は、前段に電流源を必要とする回路を配置する場合に広く適用することができるものである。
ここで、本発明を整理すると、本発明には、少なくとも、以下の増幅器及び差動型分布増幅器が含まれる。
(付記1) 定数集中型差動増幅器と、該定数集中型差動増幅器の後段に配置されたインピーダンス変換器と、該インピーダンス変換器の後段に配置され、前記インピーダンス変換器が出力する差動信号を伝送する第1、第2の入力側伝送線路と、一端を前記第1の入力側伝送線路の終端に接続した第1の終端抵抗と、一端を前記第2の入力側伝送線路の終端に接続した第2の終端抵抗を有し、前記第1、第2の終端抵抗の他端同士を接続した差動型分布増幅器を有する増幅器であって、前記差動型分布増幅器は、前記インピーダンス変換器に電流を流すための電流源を前記第1、第2の終端抵抗の接続点に接続していることを特徴とする増幅器。
(付記2) 前記インピーダンス変換器は、ソースフォロア回路からなることを特徴とする付記1記載の増幅器。
(付記3) 差動入力信号を伝送する第1、第2の入力側伝送線路と、一端を前記第1の入力側伝送線路の終端に接続した第1の終端抵抗と、一端を前記第2の入力側伝送線路の終端に接続した第2の終端抵抗を有し、前記第1、第2の終端抵抗の他端同士を接続した差動型分布増幅器であって、前記第1、第2の終端抵抗の接続点に電流源を接続し、前段に、前記電流源を使用する所定回路が配置されることを特徴とする差動型分布増幅器。
(付記4) 前記所定回路は、ソースフォロア回路であることを特徴とする付記3記載の差動型分布増幅器。
(付記5) 前記第1、第2の終端抵抗は、ゲート接地トランジスタからなることを特徴とする付記3又は4記載の差動型分布増幅器。
(付記6) 差動入力信号を受けて差動動作を行う第1、第2のトランジスタと、前記第1、第2のトランジスタにカスケード接続されたゲート接地の第3、第4のトランジスタを有する基本回路セルを有することを特徴とする付記3、4又は5記載の差動型分布増幅器。
(付記7) 前記電流源は、一端を前記第1、第2の終端抵抗の接続点に接続し、他端に電圧が供給される抵抗からなることを特徴とする付記3、4、5又は6記載の差動型分布増幅器。
(付記8) 前記電流源は、ドレインを前記第1、第2の終端抵抗の接続点に接続し、ソースを第1の電圧源に接続し、ゲートを第2の電圧源に接続したトランジスタと、前記トランジスタのゲート・ソース間に接続された抵抗を有することを特徴とする付記3、4、5又は6記載の差動型分布増幅器。
(付記9) 前記電流源は、ドレインを第1の電圧源に接続し、ゲートを第2の電圧源に接続したトランジスタと、一端を前記トランジスタのソースに接続し、他端を第3の電圧源に接続した抵抗を有し、前記トランジスタと前記抵抗の接続点を前記第1、第2の終端抵抗の接続点に接続していることを特徴とする付記3、4、5又は6記載の差動型分布増幅器。
(付記10) 前記電流源は、ドレインを前記第1、第2の終端抵抗の接続点に接続し、ゲートをドレインに接続し、ソースを第1の電圧源に接続した第1のトランジスタと、ドレインを第2の電圧源に接続し、ゲートを前記第1のトランジスタのゲートに接続し、ソースを前記第1の電圧源に接続した第2のトランジスタを有することを特徴とする付記3、4、5又は6記載の差動型分布増幅器。
本発明の増幅器の第1実施形態を示す回路図である。 本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態が有する前段のソースフォロア回路用の電流源の第1構成例を示す回路図である。 本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態が有する前段のソースフォロア回路用の電流源の第2構成例を示す回路図である。 本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態が有する前段のソースフォロア回路用の電流源の第3構成例を示す回路図である。 本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態が有する前段のソースフォロア回路用の電流源の第4構成例を示す回路図である。 本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態の作用効果を説明するための回路図である。 本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態の入力インピーダンス及び小信号利得の周波数特性を図12に示す従来の差動型分布増幅器の場合と比較して示す図である。 本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態の作用効果を説明するための回路図である。 本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態の入力側伝送線路の入力側動作バイアス可変範囲をシミュレーションした結果を図12に示す従来の差動型分布増幅器の場合と比較して示す図である。 本発明の増幅器の第2実施形態を示す回路図である。 本発明の増幅器の第3実施形態を示す回路図である。 集中定数型差動増幅器と差動型分布増幅器との間にソースフォロア回路を挿入した従来の増幅器の一例を示す回路図である。 図12に示す従来の増幅器が有する問題点を説明するための回路図である。 図12に示す従来の増幅器が有する問題点を説明するための回路図である。
符号の説明
16…正相出力端子
17…逆相出力端子
18…正相入力端子
19…逆相入力端子
20、21…入力側伝送線路
22、23…終端抵抗
26、27…出力側伝送線路
35〜58…インダクタ
59〜64…差動トランジスタ
65〜67…電流源
68…ソースフォロア回路部
69…本発明の差動型分布増幅器の第1実施形態
84…本発明の差動型分布増幅器の第2実施形態
87…本発明の差動型分布増幅器の第3実施形態

Claims (5)

  1. 定数集中型差動増幅器と、
    該定数集中型差動増幅器の後段に配置されたインピーダンス変換器と、
    該インピーダンス変換器の後段に配置され、前記インピーダンス変換器が出力する差動信号を伝送する第1、第2の入力側伝送線路と、一端を前記第1の入力側伝送線路の終端に接続した第1の終端抵抗と、一端を前記第2の入力側伝送線路の終端に接続した第2の終端抵抗を有し、前記第1、第2の終端抵抗の他端同士を接続した差動型分布増幅器を有する増幅器であって、
    前記差動型分布増幅器は、前記インピーダンス変換器に電流を流すための電流源を前記第1、第2の終端抵抗の接続点に接続していることを特徴とする増幅器。
  2. 差動入力信号を伝送する第1、第2の入力側伝送線路と、
    一端を前記第1の入力側伝送線路の終端に接続した第1の終端抵抗と、
    一端を前記第2の入力側伝送線路の終端に接続した第2の終端抵抗を有し、
    前記第1、第2の終端抵抗の他端同士を接続した差動型分布増幅器であって、
    前記第1、第2の終端抵抗の接続点に電流源を接続し、
    前段に、前記電流源を使用する所定回路が配置されることを特徴とする差動型分布増幅器。
  3. 前記所定回路は、ソースフォロア回路であることを特徴とする請求項2記載の差動型分布増幅器。
  4. 前記第1、第2の終端抵抗は、ゲート接地トランジスタからなることを特徴とする請求項2又は3記載の差動型分布増幅器。
  5. 差動入力信号を受けて差動動作を行う第1、第2のトランジスタと、前記第1、第2のトランジスタにカスケード接続されたゲート接地の第3、第4のトランジスタを有する基本回路セルを有することを特徴とする請求項2、3又は4記載の差動型分布増幅器。
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