JP2006053487A - 平版印刷版原版 - Google Patents
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Abstract
Description
による直接的な露光で、支持体上の画像形成組成物に画像様に物性変化を引き起こした後、非画線部の画像形成組成物の除去(現像)や必要に応じ親水化、感脂化、保護膜形成等の処理を行うことで、親水性支持体表面層からなる非画線部と疎水性組成物表面層からなる画線部を有する平版印刷版を形成するものである。かくして得られた平版印刷版は、典型的印刷工程において、親水性の非画像部が湿し水を、親油性の画線部がインクを受容し、表面上にインク画像を形成する。得られたインク画像を、所望の印刷媒体に直接もしくは間接的に転写する事で印刷物が得られる。
また、表面における現像液浸透性抑制のため、フッ素系の官能基を有するポリマーの使用も提案されているが(例えば、特許文献2参照。)、フッ素原子を多数含む官能基を有する化合物は撥水性、耐アルカリ現像性のみならず、撥油性の特性を有するため、多量に配合すると現像性の低下のみならず、表面のインク着肉性にも影響を与える懸念があった。
即ち、本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、(a)下記一般式(1)で示されるモノマー、(b)橋状結合を有する炭素数7個以上の脂肪族基を有するモノマー、および、(c)酸基を有するモノマーを共重合成分として有する高分子化合物および赤外線吸収剤を含有する記録層を備えてなることを特徴とする。
なお、本発明において橋状結合とは、一つの環構造における隣接していない原子同士を橋渡し状に結合した、その結合を指し、モノマー中に2以上の環状脂肪族基を有する場合、その少なくとも一つが橋状結合を有していればよい。
本発明に使用される共重合体は、(a)前記一般式(1)で示されるフッ素を含有するモノマー成分の機能により、表面に偏在化する傾向を有するが、そのとき、第2の共重合成分である(b)橋状結合を有する炭素数7個以上の脂肪族基を有するモノマーの官能基もまた、表面に配向する。フッ素を含有する部分構造は、耐現像性の向上に寄与するものの、その高い撥油性が着肉性に影響を与えることが懸念される。しかしながら、本発明においては、第2のモノマー(b)に含まれる橋状結合を有する炭素数7個以上の脂肪族基は、立体的に嵩高く、ノボラック樹脂などの共存するアルカリ可溶性樹脂との親和性が比較的低いため、表面により配向しやすくなるとともに、この脂肪族基が高い親油性を有するため、第2のモノマー(b)を共重合させることによって、たとえ導入量が少量であっても表面に高い親油性を与え、インキ着肉性が向上するものと考えられる。
この共重合体は、親油性に寄与する橋状結合を有する炭素数7個以上の脂肪族基の導入量が少量でも優れた親油性を発現することから、アルカリ可溶性を付与するために十分な酸基を導入することができ、この機能を果たす第3の共重合成分である(c)酸基を有するモノマーの機能により、優れたアルカリ可溶性を有し、露光部においては、表面に偏在化したこの特定の共重合体は、アルカリに可溶となり、充分な現像性が得られる。そのため、平版印刷版原版の記録層として用いた場合、画像部のインク着肉性と非画像部の現像性がともに優れた平版印刷版原版を提供することができるものと考えている。
本発明の平版印刷版原版は、記録層に、(a)下記一般式(1)で示されるモノマー、(b)橋状結合を有する炭素数7個以上の脂肪族基を有するモノマー、および、(3)酸基を有するモノマーを共重合成分として有する高分子化合物および赤外線吸収剤を含有することを特徴としている。
本発明の重要な構成成分である(a)一般式(1)で示されるモノマー、(b)橋状結合を有する炭素数7個以上の脂肪族基を有するモノマー、および、(c)酸基を有するモノマーを共重合成分として有する高分子化合物(以下、特定共重合体と称する)について説明する。
本発明に係る特定共重合体に、好ましい特性を与える共重合成分である(a)下記一般式(1)で示されるモノマー、(b)橋状結合を有する炭素数7個以上の脂肪族基を有するモノマー、および、(c)酸基を有するモノマーについて詳細に説明する。
本発明において共重合成分(a)として使用されるフッ素含有モノマーは、下記一般式(1)で表される。
Rfにおけるフッ素原子含有置換基としては、具体的には次のようなフルオロアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
CH2=CRCO2(CH2)mCnF2n+1
(mは1または2を、nは4〜12の整数を示す。また、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
CH2=CRCO2(CH2)m(CF2)nH
(mは1または2、nは4〜12の整数を示す。またRは炭素数1〜4のアルキル基を示す)
ここで、Rfで示されるフルオロアルキル基またはパーフルオロアルキル基において、フッ素原子の数が9以上のものを用いることによって、膜厚方向にフッ素原子の濃度分布を持った記録層が形成され、この濃度分布としては、記録層表面近傍のフッ素濃度が高く、記録層の深部方向にフッ素濃度が低くなるという現象が生じる。なかでも、特に、モノマーユニットあたりのフッ素原子の数が9〜30のものが好ましく、より好ましくは、13〜25である。この範囲において、特定共重合体を表面に配向させる効果が良好に発現し、優れた着肉性が得られる。1ユニットに含まれるフッ素原子数が多すぎる場合には、フッ素原子の撥油性に起因する着肉性の低下が生じることがある。
また、特定共重合体に含まれるフッ素原子含有量は、特定共重合体の表面配向性向上及び耐現像性向上効果と着肉性とのバランスといった観点からは、5〜30mmol/gのものが好ましく、8〜25mmol/gの範囲のものがより好ましい。共重合体に挿入される含まれるフッ素原子数が多すぎる場合にも、フッ素原子の撥油性に起因する着肉性の低下が生じることがある。
本発明に係る橋状結合を有する炭素数7個以上の脂肪族基を有するモノマーは、例えば、本願出願人が先に提出した特開2002−311577公報に記載の例示モノマー中にもそのような構造を持つものが挙げられている。
以下、本発明に用いるのに好ましい(b)モノマーの例〔(b−1)〜(b−38)〕を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明にかかわる酸基を有するモノマーとしては、酸基と重合可能な不飽和基とを分子内にそれぞれ1つ以上有する化合物であれば特に限定されない。
酸基の中でも、下記(1)〜(6)に挙げる酸基を有するモノマーを共重合成分として含むものが好ましい。
(1)フェノール基(−Ar−OH)
(2)スルホンアミド基(−SO2 NH−R)
(3)置換スルホンアミド系酸基(以下、「活性イミド基」という。)
〔−SO2 NHCOR、−SO2 NHSO2 R、−CONHSO2 R〕
(4)カルボン酸基(−CO2 H)
(5)スルホン酸基(−SO3 H)
(6)リン酸基(−OPO3 H2 )
上記(1)〜(6)より選ばれる酸基を有する化合物の中でも、効果の観点から、(1)フェノール基、(2)スルホンアミド基、及び(4)カルボン酸基を有するものが好ましく、特に(4)カルボン酸基が、着肉性と現像性を充分に確保するという観点から最も好ましい。
また、側鎖にヒドロキシアリール基を有するモノマーとしては、例えば、下記一般式(a)で表されるモノマーを少なくとも1種含むものを挙げることができる。
(2)スルホンアミド基を有する高分子としては、例えば、スルホンアミド基を有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分として構成される重合体を挙げることができる。上記のような化合物としては、窒素原子に少なくとも一つの水素原子が結合したスルホンアミド基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物が挙げられる。中でも、アクリロイル基、アリル基、またはビニロキシ基と、置換あるいはモノ置換アミノスルホニル基または置換スルホニルイミノ基と、を分子内に有する低分子化合物が好ましく、例えば、下記一般式(i)〜一般式(v)で表される化合物が挙げられる。
(5)スルホン酸基を有するアルカリ可溶性構造単位としては、例えば、スルホン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構造単位を挙げることができる。
(6)リン酸基を有するアルカリ可溶性構造単位としては、例えば、リン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構造単位を挙げることができる。
本発明に用いる共重合体を構成する、前記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有するモノマーは、特に1種類のみである必要はなく、同一の酸性基を有するモノマーを2種以上、または異なる酸性基を有するモノマーを2種以上を共重合成分として導入させたものを用いることもできる。
また、特定共重合体中の前記酸基の導入量は、当該酸基の存在により、該高分子化合物がpH10〜13のアルカリ現像液に溶解しうるものであれば特に限定はない。
また、R2で表される連結基として、炭素原子数3から30までの脂肪族環状構造を有する(n+1)価の炭化水素基がより好ましい。具体的には、シクロプロパン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、ジシクロヘキシル、ターシクロヘキシル、ノルボルナン等の脂肪族環状構造を有する化合物が挙げられる。また、原子数が5〜20の脂肪族鎖状構造を有する化合物を構成する任意の炭素原子上の水素原子を(n+1)個除き、(n+1)価の炭化水素基としたものも同様に挙げることができる。
R2で表される連結基に導入可能な置換基としては、水素を除く1価の非金属原子団を挙げることができ、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基などが挙げられる。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−ノルボルニル基等の炭素数1〜10までの直鎖状、分枝状、又は環状のアルキル基が挙げられる。
一般式(I)におけるnは、1〜5の整数を表し、着肉性の点で好ましくは1である。
特定共重合体中のカルボキシル基に代表される酸基は、少なすぎると現像性が劣り、多すぎると所望とする着肉性が得られないことから、特定共重合体1分子あたりの酸価は、着肉性−感度の観点から0.2〜10.0mmol/gが好ましく、0.3〜5.0mmol/gがより好ましく、更に好ましくは0.4〜3.0mmol/gである。
ここで併用可能な他の構成単位としては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン類、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸イミド等の公知のモノマーに由来する構成単位が挙げられる。
前記アクリル酸エステル類としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、(n−又はi−)プロピルアクリレート、(n−、i−、sec−又はt−)ブチルアクリレート、アミルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、クロロエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、アリルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、グリシジルアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、クロロベンジルアクリレート、2−(p−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェニルアクリレート、クロロフェニルアクリレート、スルファモイルフェニルアクリレート等が挙げられる。
前記スチレン類としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、シクロヘキシルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、ジメトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、カルボキシスチレン等が挙げられる。
これらの併用可能なモノマーの中でも、炭素数20以下のアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、ビニルエステル類、スチレン類、アクリロニトリルが好ましい。
また、本発明に係る特定共重合体は、線状であっても、枝分かれしていても、ブロック構造を有していてもかまわない。
以下に、本発明において好適な高分子化合物〔(P−1)〜(P−51)〕の構造を、その重量平均分子量とともに例示するが本発明はこれらに制限されるものではない。
本発明の平版印刷版原版の記録層には、さらに、波長700nmから1200nmに吸収極大を有する赤外線吸収剤(赤外線吸収性染料又は顔料)が用いられる。赤外線吸収剤は、記録に使用する赤外線レーザなどの光エネルギー照射線を吸収し、熱を発生する機能を有し、記録感度向上の観点から有用である。
また、本発明に係る記録層には、皮膜性向上の観点から、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂(以下、適宜、アルカリ可溶性樹脂と称する)を用いることが好ましい。
ポジ型の記録層に使用できるアルカリ可溶性樹脂としては、高分子中の主鎖および/または側鎖に酸性基を含有する単独重合体、これらの共重合体またはこれらの混合物を包含する。
なかでも、前記特定共重合体における(c)酸基含有モノマーの説明において挙げた(1)〜(6)に挙げる酸性基を高分子の主鎖および/または側鎖中に有するものが、アルカリ性現像液に対する溶解性の点、溶解抑制能発現の点で好ましい。
(1)フェノール基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、フェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体、m−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、p−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、フェノールとクレゾール(m−、p−、またはm−/p−混合のいずれでもよい)とホルムアルデヒドとの縮重合体等のノボラック樹脂、およびピロガロールとアセトンとの縮重合体を挙げることができる。さらに、フェノール基を側鎖に有する化合物を共重合させた共重合体を挙げることもできる。或いは、フェノール基を側鎖に有する化合物を共重合させた共重合体を用いることもできる。
(5)スルホン酸基を有するアルカリ可溶性高分子としては、例えば、スルホン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成単位とする重合体を挙げることができる。
(6)リン酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、リン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分とする重合体を挙げることができる。
(m1)2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。
(m2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、等のアルキルアクリレート。
(m3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、等のアルキルメタクリレート。
(m4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
ニルエーテル等のビニルエーテル類。
(m6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(m7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。
(m8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(m9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(m10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(m11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
(m12)アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸。
(溶解抑制剤)
本発明に係るポジ型記録層には、更に、オニウム塩、o−キノンジアジド化合物、芳香族スルホン化合物、芳香族スルホン酸エステル化合物等の熱分解性であり、分解しない状態ではアルカリ可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させる物質を併用することができる。これらの化合物の添加は、画像部の現像液への溶解阻止性の向上を図る観点から好ましい。
オニウム塩としてはジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等を挙げる事ができる。オニウム塩は、画像記録材料を構成する全固形分に対して、1〜50質量%添加するのが好ましく、5〜30質量%添加するのがより好ましく、10〜30質量%添加するのが特に好ましい。
上記の環状酸無水物、フェノール類および有機酸類の記録層中に占める割合は、0.05〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
さたに、本発明の記録層には必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸またはメタクリル酸のオリゴマーおよびポリマー等が用いられる。
本発明に係る記録層塗布液や保護層塗布液等の、所望の層の塗布液用成分を溶媒に溶かして、適当な支持体上に塗布することにより平版印刷版原版を製造することができる。
なお、記録層は単層構造でも重層構造を示すものであってもよい。
本発明の平版印刷版原版の記録層が、構成成分の異なる複数の層からなる重層構造をとった場合には、例えば、アルカリ可溶性樹脂を含有する下層と、アルカリ可溶性樹脂、及び該アルカリ可溶性樹脂と相互作用してアルカリ水溶液に対する溶解性を低下させる化合物を含有し、赤外線の照射により画像を形成しうる上層と、を有し、上層および下層の少なくとも一方に、特定赤外線吸収剤を含有する構成をとることができる。この場合、本発明における特定共重合体と赤外線吸収剤とは上層に含まれることになる。なお、下層は、アルカリ可溶性樹脂を主成分とする層であっても、さらに赤外線吸収剤や溶解抑制剤を含みポジ型記録層として機能する層であってもよい。
−下層成分−
本発明に係る下層は、アルカリ可溶性樹脂を含有することを特徴とする。ここで用いられるアルカリ可溶性樹脂としては、前記した一般的なアルカリ可溶性樹脂を用いることができるが、上層、下層間の境界を明瞭にするために、下層に用いるアルカリ可溶性樹脂は、上層に用いるアルカリ可溶性樹脂とは異なるものを主成分とすることが好ましい。下層に好適に用いられるアルカリ可溶性樹脂としては、N−(p−アミノスルホニルフェニル)(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸アルキルエステルとアクリロニトリルとの共重合体、4−マレイミドベンゼンスルホンアミドとスチレンとの共重合体、(メタ)アクリル酸とN−フェニルマレイミドと(メタ)アクリルアミドとの共重合体等の高極性なユニットを有するアルカリ可溶性樹脂、又はそれらの樹脂に前記特定置換基を導入したものが好ましく用いられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
このような重層型記録層の下層における、全アルカリ可溶性樹脂の含有量は、耐刷性及び重層形成性の観点から、下層記録層の全固形分中、50〜100質量%であることが好ましく、75〜99質量%であることがより好ましく、85〜95質量%であることが特に好ましい。
下層には、前記特定共重合体を含んでも、含まなくてもよい。
本発明に係る上層は、アルカリ可溶性樹脂、及び該アルカリ可溶性樹脂と相互作用してアルカリ水溶液に対する溶解性を低下させる化合物(一般には、その機能を有するシアニン色素などの赤外線吸収色素)を含有し、赤外線の照射により画像を形成しうることを特徴とする。この上層成分は、先に記録層として説明したものと同様であり、本発明においては、前記特定共重合体および赤外線吸収剤を含有する記録層を上層として用いる。
溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
2つの層を分離して形成する方法としては、例えば、下層に含まれる成分と、上層に含まれる成分との溶剤溶解性の差を利用する方法、又は、上層を塗布した後、急速に溶剤を乾燥、除去させる方法等が挙げられる。
以下、これらの方法について詳述するが、2つの層を分離して塗布する方法はこれらに限定されるものではない。
単層型記録層における、記録層成分の乾燥後の塗布量は、感度や耐刷性等の観点から、一般的には0.5〜5.0g/m2 が好ましく、0.7〜4.0g/m2の範囲にあることがより好ましく、更に好ましくは0.8〜3.0g/m2の範囲である。
重層型記録層における、下層成分の乾燥後の塗布量は、感度や耐刷性等の観点から、0.5〜4.0g/m2の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは0.6〜2.5g/m2の範囲である。また、上層成分の乾燥後の塗布量は、感度、現像ラチチュード、及び耐傷性等の観点から、0.05〜1.0g/m2の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは0.08〜0.7g/m2の範囲である。
下層及び上層を合わせた乾燥後の塗布量としては、感度、画像再現性、及び耐刷性等の観点から、0.6〜4.0g/m2の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは0.7〜2.5g/m2の範囲である。
本発明の平版印刷版原版に使用される支持体としては、必要な強度と耐久性を備えた寸度的に安定な板状物であれば特に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート、若しくは蒸着された紙、若しくはプラスチックフィルム等が挙げられる。
このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。
以上のように粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸或いはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化処理を施された後、アルミニウム表面は必要により親水化処理が施される。
本発明の平版印刷版原版は、必要に応じて支持体と記録層との間に下塗り層を設けることができる。
下塗り層成分としては種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸などのアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸及びエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸及びグリセロリン酸などの有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸及びグリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニンなどのアミノ酸類、及びトリエタノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩等から選ばれるが、2種以上混合して用いてもよい。
有機下塗り層の被覆量は、耐刷性能の観点から、2〜200mg/m2が適当であり、好ましくは5〜100mg/m2である。
上記のようにして作製された平版印刷版原版は、画像様に露光され、その後、現像処理を施される。
本発明の平版印刷版原版の支持体裏面には、必要に応じてバックコート層が設けられる。かかるバックコート層としては、特開平5−45885号公報記載の有機高分子化合物及び特開平6−35174号公報記載の有機又は無機金属化合物を加水分解及び重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好ましく用いられる。これらの被覆層のうち、Si(OCH3)4、Si(OC2H5)4、Si(OC3H7)4、Si(OC4H9)4などのケイ素のアルコキシ化合物が安価で入手し易く、それから得られる金属酸化物の被覆層が耐現像液に優れており特に好ましい。
本発明の平版印刷版原版の像露光に用いられる活性光線の光源としては、近赤外から赤外領域に発光波長を持つ光源が好ましく、固体レーザ、半導体レーザが特に好ましい。
本発明の平版印刷版原版の現像処理に適用することのできる現像液は、pHが9.0〜14.0の範囲、好ましくは12.0〜13.5の範囲にある現像液である。現像液(以下、補充液も含めて現像液と呼ぶ)には、従来より知られているアルカリ水溶液が使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウム及び同リチウムなどの無機アルカリ塩が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤が挙げられる。これらのアルカリ水溶液は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらのアルカリ剤は現像液のpHを9.0〜13.5の範囲になるように添加され、その添加量は所望のpH、非還元糖の種類と添加量によって決められるが、より好ましいpH範囲は10.0〜13.2である。
このような弱酸としては、Pergamon Press社発行のIONISATION CONSTANTS OF ORGANIC ACIDS IN AQUEOUS SOLUTIONなどに記載されているものから選ばれ、例えば2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール−1(PKa12.74)、トリフルオロエタノール(同12.37)、トリクロロエタノール(同12.24)などのアルコール類、ピリジン−2−アルデヒド(同12.68)、ピリジン−4−アルデヒド(同12.05)などのアルデヒド類、サリチル酸(同13.0)、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(同12.84)、カテコール(同12.6)、没食子酸(同12.4)、スルホサリチル酸(同11.7)、3,4−ジヒドロキシスルホン酸(同12.2)、3,4−ジヒドロキシ安息香酸(同11.94)、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン(同11.82)、ハイドロキノン(同11.56)、ピロガロール(同11.34)、o−クレゾール(同10.33)、レゾルシノール(同11.27)、p−クレゾール(同10.27)、m−クレゾール(同10.09)などのフェノール性水酸基を有する化合物、2−ブタノンオキシム(同12.45)、アセトキシム(同12.42)、1,2−シクロヘプタンジオンジオキシム(同12.3)、2−ヒドロキシベンズアルデヒドオキシム(同12.10)、ジメチルグリオキシム(同11.9)、エタンジアミドジオキシム(同11.37)、アセトフェノンオキシム(同11.35)などのオキシム類、アデノシン(同12.56)、イノシン(同12.5)、グアニン(同12.3)、シトシン(同12.2)、ヒポキサンチン(同12.1)、キサンチン(同11.9)などの核酸関連物質、他に、ジエチルアミノメチルホスホン酸(同12.32)、1−アミノ−3,3,3−トリフルオロ安息香酸(同12.29)、イソプロピリデンジホスホン酸(同12.10)、1,1−エチリデンジホスホン酸(同11.54)、1,1−エチリデンジホスホン酸1−ヒドロキシ(同11.52)、ベンズイミダゾール(同12.86)、チオベンズアミド(同12.8)、ピコリンチオアミド(同12.55)、バルビツル酸(同12.5)などの弱酸が挙げられる。
有機溶剤の含有量は使用液の総質量に対して0.1〜5質量%である。その使用量は界面活性剤の使用量と密接な関係があり、有機溶剤の量が増すにつれ、界面活性剤の量は増加させることが好ましい。これは界面活性剤の量が少なく、有機溶剤の量を多く用いると有機溶剤が完全に溶解せず、従って、良好な現像性の確保が期待できなくなるからである。
これらの還元剤のうち汚れ防止効果が特に優れているのは亜硫酸塩である。これらの還元剤は使用時の現像液に対して好ましくは、0.05〜5質量%の範囲で含有される。
これらの水溶性エチレンオキシド付加化合物の添加量は現像液(使用液)に対して0.001〜5質量%が適しており、より好ましくは0.001〜2質量%である。
その方法としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる塗布などが適用される。また、塗布した後でスキージ、或いは、スキージローラーで、その塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与える。
(支持体の作製)
厚さ0.3mmのJIS−A−1050アルミニウム板を用いて、下記に示す工程を組み合わせて処理することで支持体A、B、C、Dを作製した。
比重1.12の研磨剤(ケイ砂)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的粗面化処理を行った。研磨剤の平均粒径は8μm、最大粒径は50μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長は45mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
上記で得られたアルミニウム板に温度70℃のNaOH水溶液(濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%)をスプレーしてエッチング処理を行い、アルミニウム板を6g/m2溶解した。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。前記デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を用いた。
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/リットル水溶液(アルミニウムイオンを5g/リットル)、温度50℃であった。交流電源波形は電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、DUTY比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助陽極にはフェライトを用いた。使用した電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。
電流密度は、電流のピーク値で30A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で220C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。
その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.20g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
温度30℃の硝酸濃度15質量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、井水を用いてスプレーで水洗した。前記デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を用いた。
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸7.5g/リットル水溶液(アルミニウムイオンを5g/リットル含む。)、温度35℃であった。交流電源波形は矩形波であり、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で25A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で50C/dm2であった。
その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.10g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも硫酸濃度170g/リットル(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)、温度は43℃であった。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
電流密度はともに約30A/dm2であった。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
上記(a)〜(j)の各工程を順に行い(e)工程におけるエッチング量は3.4g/m2となるようにして支持体を作製した。
上記工程のうち(g)(h)(i)の工程を省略した以外は各工程を順に行い支持体を作製した。
上記工程のうち(a)及び(g)(h)(i)の工程を省略した以外は各工程を順に行い支持体を作製した。
上記工程のうち(a)及び(d)(e)(f)の工程を省略した以外は各工程を順に行い、(g)工程における電気量の総和が450C/dm2となるようにして支持体を作製した。
陽極酸化処理により得られたアルミニウム支持体を温度30℃の3号ケイ酸ソーダ 1質量%水溶液の処理層中へ、10秒間、浸漬することでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、井水を用いたスプレーによる水洗を行った。その際のシリケート付着量は3.6mg/m2であった。
上記のようにして得られたアルカリ金属ケイ酸塩処理後のアルミニウム支持体上に、下記組成の下塗り液を塗布し、80℃で15秒間乾燥した。乾燥後の被覆量は16mg/m2であった。
・下記高分子化合物 0.3g
・メタノール 100g
・水 1.0g
得られた支持体Aに、下記組成の第1層(下層)用塗布液を、ワイヤーバーで塗布したのち、150℃の乾燥オーブンで60秒間乾燥して塗布量を0.85g/m2とした。
得られた下層付き支持体に、下記組成の第2層(上層)用塗布液をワイヤーバーで塗布した。塗布後、乾燥オーブンで、145℃で70秒間の乾燥を行い、総塗布量を1.15g/m2として実施例1〜8及び比較例1〜2のポジ型平版印刷版原版を作製した。
・共重合体1(下記により合成したもの) 2.133g
・シアニン染料A(下記構造) 0.098g
・2−メルカプト−5−メチルチオ−
1,3,4−チアジアゾール 0.030g
・シス−Δ4−テトラヒドロフタル酸無水物 0.100g
・4,4'−スルホニルジフェノール 0.090g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・エチルバイオレットの対アニオンを 0.100g
6−ヒドロキシナフタレンスルホン酸に変えたもの
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン 0.030g
ヘキサフルオロホスフェート
・フッ素系界面活性剤 0.035g
(メガファックF−780、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 26.6g
・1−メトキシ−2−プロパノール 13.6g
・γ−ブチロラクトン 13.8g
攪拌後、冷却管及び滴下ロートを備えた500ml三ツ口フラスコにメタクリル酸31.0g(0.36モル)、クロロギ酸エチル39.1g(0.36モル)及びアセトニトリル200mlを入れ、氷水浴で冷却しながら混合物を攪拌した。この混合物にトリエチルアミン36.4g(0.36モル)を約1時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了後、氷水浴をとり去り、室温下で30分間混合物を攪拌した。
・メタクリル酸エチルと2−メタクリロイロキシエチルコハク酸 0.030g
の共重合体(モル比67:33、重量平均分子量92,000)
・ノボラック樹脂P1:フェノールクレゾール−ホルムアルデヒドノボラック
(フェノール:m−クレゾール:p−クレゾール=30:30:40、
重量平均分子量:5500) 0.300g
・スルホニウム塩(下記構造) 0.1g
・シアニン染料A(前記構造) 0.015g
・エチルバイオレットの対アニオンを 0.012g
6−ヒドロキシナフタレンスルホン酸に変えたもの
・フッ素系界面活性剤 0.011g
(メガファックF−780、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 13.1g
・1−メトキシ−2−プロパノール 6.79g
・本発明に係る特定共重合体又は比較重合体(表1記載の化合物) 0.055g
平版印刷版原版の評価は、現像ラチチュード、感度、及び、焼きだめ性の各項目について行った。評価方法の詳細は下記の通りである。
平版印刷版原版を、温度25℃相対湿度50%の条件下で5日間保存した後に、実質的にアルカリ金属ケイ酸塩を含有しない現像液である富士写真フイルム(株)製のPS版用現像液DT−1を標準使用条件で用い、現像不良の記録層残膜に起因する汚れや着色がなく良好に現像が行えるまでの時間を相対比較した。そして、実施例1が現像できる時間を基準(100)とした現像時間指数で表す。この現像時間指数は数字が大きいほど高現像性であり好ましい。結果を下記表1に示す。
得られた平版印刷版原版を、CREO社製TrendSetter3244Fを用い、セッター露光量、8.0W、150rpmで像様露光し、富士写真フイルム(株)製のPS版用現像液DT−1を標準使用条件で用いて現像処理した後に、印刷機にかけ、画像部に正常にインキがのり問題のない印刷物が得られるのに要する印刷枚数を相対評価した。そして、実施例1が問題のない印刷物が得られるまでの時間を基準(100)とした着肉指数で表す。この着肉指数は数字が大きいほど、高着肉性であり好ましい。結果を下記表1に示す。
実施例11〜20および比較例5〜8は、実施例1〜10および比較例1〜4の第2層(上層)用塗布液からスルホニウム塩を除いた以外は、全て同様にして平版印刷版原版を作製したものである。ここで得られた平版印刷版原版についても、実施例1と同様の方法で評価を行った。実施例1〜10の場合と同様、これらは実施例11の結果を100として、指数評価した値である。結果を表2示す。
得られた支持体Cに、下記組成の第1層(下層)用塗布液を、ワイヤーバーで塗布したのち、130℃の乾燥オーブンで60秒間乾燥して塗布量を0.60g/m2とした。
得られた下層付き支持体に、下記組成の第2層(上層)用塗布液をワイヤーバーで塗布した。塗布後、乾燥オーブンで、150℃で60秒間の乾燥を行い、総塗布量を1.25g/m2として実施例9〜16及び比較例3〜4のポジ型平版印刷版原版を作製した。
・共重合体1 2.133g
・シアニン染料A(前記構造) 0.098g
・2−メルカプト−5−メチルチオ
−1,3,4−チアジアゾール 0.030g
・シス−Δ4−テトラヒドロフタル酸無水物 0.100g
・4,4’−スルホニルジフェノール 0.090g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・エチルバイオレットの対アニオンを 0.100g
6−ヒドロキシナフタレンスルホン酸に変えたもの
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン 0.030g
ヘキサフルオロホスフェート
・フッ素系界面活性剤 0.035g
(メガファックF−780、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 26.6g
・1−メトキシ−2−プロパノール 13.6g
・ジメチルスルホキシド 13.8g
・メタクリル酸エチルと2−メタクリロイロキシエチルコハク酸 0.030g
の共重合体(モル比67:33、重量平均分子量92,000)
・ノボラック樹脂P1:フェノールクレゾール−ホルムアルデヒドノボラック
(フェノール:m−クレゾール:p−クレゾール=30:30:40、
重量平均分子量:5500) 0.300g
・スルホニウム塩(前記構造) 0.1g
・シアニン染料A(前記構造) 0.015g
・エチルバイオレットの対アニオンを 0.012g
6−ヒドロキシナフタレンスルホン酸に変えたもの
・フッ素系界面活性剤 0.011g
(メガファックF−780、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 13.1g
・1−メトキシ−2−プロパノー ル 6.79g
・本発明に係る特定共重合体又は比較重合体(表3記載の化合物) 0.055g
得られた実施例21〜28及び比較例9〜10の各平版印刷版原版について、実施例1と同様の方法で評価を行った。実施例1〜10の場合と同様、これらは実施例21の結果を100として、指数評価した値である。結果を下記表3に示す。
実施例29〜36および比較例11〜12は、実施例21〜28および比較例9〜10の第2層(上層)用塗布液からスルホニウム塩を除いた以外は、全て同様にして平版印刷版原版を作製したものである。ここで得られた平版印刷版原版についても、実施例1と全て同様の方法で評価を行った。実施例1〜10の場合と同様、これらは実施例29の結果を100として、指数評価した値である。結果を表4に示す。
得られた支持体Dに、下記組成の第1層(下層)用塗布液を、ワイヤーバーで塗布したのち、150℃の乾燥オーブンで60秒間乾燥して塗布量を0.81g/m2とした。
得られた下層付き支持体に、下記組成の第2層(上層)用塗布液をワイヤーバーで塗布した。塗布後、乾燥オーブンで、150℃で60秒間の乾燥を行い、総塗布量を0.99g/m2として実施例37〜44及び比較例13〜14のポジ型平版印刷版原版を作製した。
・前記共重合体1 2.133g
・シアニン染料A(前記構造) 0.098g
・シス−Δ4−テトラヒドロフタル酸無水物 0.110g
・4,4'−スルホニルジフェノール 0.090g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・エチルバイオレットの対アニオンを 0.100g
6−ヒドロキシナフタレンスルホン酸に変えたもの
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン 0.030g
ヘキサフルオロホスフェート
・フッ素系界面活性剤 0.035g
(メガファックF−780、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 26.6g
・1−メトキシ−2−プロパノール 13.6g
・γ−ブチロラクトン 13.8g
・メタクリル酸エチルと2−メタクリロイロキシエチルコハク酸
の共重合体(モル比67:33、重量平均分子量92,000) 0.030g
・ノボラック樹脂P5:フェノールクレゾール−ホルムアルデヒドノボラック
(フェノール:m−クレゾール:p−クレゾール=40:40:20、
重量平均分子量:8000) 0.300g
・スルホニウム塩(前記構造) 0.020g
・シアニン染料A(前記構造) 0.015g
・フッ素系界面活性剤 0.011g
(メガファックF−780、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 13.1g
・1−メトキシ−2−プロパノール 6.79g
・本発明に係る特定共重合体又は比較重合体(表5記載の化合物) 0.055g
現像液としてアルカリ金属ケイ酸塩を含有する現像液(富士写真フイルム(株)製)のPS版用現像液「DP−4」を用いる以外は、得られた平版印刷版原版を実施例1の方法で評価を行った。実施例1〜10の場合と同様、これらは実施例37の結果を100として、指数評価した値である。結果を表5に示す。
実施例45〜52および比較例15〜16は、実施例37〜44および比較例13〜14の第2層(上層)用塗布液からスルホニウム塩を除いた以外は、全て同様にして平版印刷版原版を作製したものである。ここで得られた平版印刷版原版についても、実施例1と全て同様の方法で評価を行った。実施例1〜10の場合と同様、これらは実施例45の結果を100として、指数評価した値である。結果を表6に示す。
得られた支持体Dに以下の画像形成層塗布液を塗布し、150℃で1分間乾燥して、画像形成層を形成し、実施例53〜60及び比較例17〜18の平版印刷版原版を得た。乾燥後の塗布量は1.55g/m2であった。
・ノボラック樹脂P7:フェノールクレゾール−ホルムアルデヒドノボラック
(フェノール:m−クレゾール:p−クレゾール=20:60:20、
重量平均分子量:10200) 1.0g
・シアニン染料A(前記構造) 0.05g
・ビクトリアピュアブルーBOHの対アニオンを
1−ナフタレンスルホン酸アニオンにした染料 0.01g
・フッ素系界面活性剤 0.05g
(メガファックF−177、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 9.0g
・1−メトキシ−2−プロパノール 9.0g
・本発明に係る特定共重合体又は比較重合体(表7記載の化合物) 0.2g
現像液として、アルカリ金属ケイ酸塩を含有する現像液(富士写真フイルム(株)製)のPS版用現像液「DP−4」を用いる以外は、得られた平版印刷版原版を実施例1の方法で評価を行った。実施例1〜10の場合と同様、これらは実施例53の結果を100として、指数評価した値である。結果を表7に示す。
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