JP2006047052A - ミリ波レーダ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 故障を的確に判定できるミリ波レーダ装置を提供する。
【解決手段】 上り・下り変調時ではない無変調状態のとき、例えば上り・下り変調の前をサンプリング範囲とし、このサンプリング範囲のときにビート信号を周波数解析する。そして、この周波数解析の結果から、自車速度に対応するFFT出力の信号レベルを想定される規定値と比較することで、高周波部が故障しているか否かを判定する。これにより、確実に高周波部の故障を検出することが可能となる。
【選択図】 図3
【解決手段】 上り・下り変調時ではない無変調状態のとき、例えば上り・下り変調の前をサンプリング範囲とし、このサンプリング範囲のときにビート信号を周波数解析する。そして、この周波数解析の結果から、自車速度に対応するFFT出力の信号レベルを想定される規定値と比較することで、高周波部が故障しているか否かを判定する。これにより、確実に高周波部の故障を検出することが可能となる。
【選択図】 図3
Description
本発明は、周波数変調されたミリ波を送受信することにより、対象物と自分自身との位置関係を求めるミリ波レーダ装置に関し、例えば、オートクルーズコントロールに使用されるミリ波レーダ装置に適用して好適である。
従来、FMCW方式のミリ波レーダ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このレーダ装置は、周波数変調されたレーダ波を送受信することにより、対象物との相対距離や相対速度に関する情報を取り出すことで、例えば前方車両と自車両との関係を検出するようになっている。
図5に、FMCW方式のミリ波レーダ装置のブロック構成を示す。
図5に示されるミリ波レーダ装置において、変調信号生成部(VCO)J1の出力は、増幅器J2等で増幅されたのち、分配器J3に入力され出力の一部を受信用に分配される。この後、分配された信号が逓倍器J4に入力されたのち、パワーアンプJ5で増幅され、送信アンテナJ6から送信される。
一方、受信アンテナJ7から受信された電波は、ローノイズアンプ(LNA)J8で増幅され、分配器J3から分配されたローカル信号(Lo信号)と共に、2倍波ミキサJ9でダウンコンバートされてベースバンド信号となる。その後、ベースバンド信号は、低周波増幅器J10で増幅され、アナログデジタルコンバータ(ADC)J11によりデジタル化されたのち、制御部(マイコン)J12でデータ処理される。この制御部J12の出力がミリ波レーダ装置の出力として、様々な制御に用いられる。
このFMCW方式の測離は、よく知られているように、以下の原理に基づいて行われる。
図6(a)は、対象物となる他車両とミリ波レーダ装置におけるアンテナ部(送信アンテナJ6および受信アンテナJ7)の距離関係を示した図である、図6(b)は、送信波と受信波の波形を示した図である。これらの図に示されるように、送信アンテナJ6から、時間と共に周波数が直線的に増加(減少)する無線信号が発信させられると、それが対象物で反射して戻ってくる。この戻ってきた信号を、受信アンテナJ7で受信し、送信信号でダウンコンバートする。
このとき、受信波は、対象物までの距離rの往復分(2×r/光速)、送信波に対し時間遅れを持っており、その時間分、周波数が低い(高い)ことになる。このため、ダウンコンバートした結果、対象物の距離に応じた周波数のビート信号が出力され、制御部(マイコン)でFFT処理等して対象物までの距離を検出する。
例えば、受信波の周波数をfrとすると、その時の送信波の周波数ftは、対象物までの往復時間分、周波数が高く(低く)なっており、ミキサの出力としては、距離に応じた周波数、すなわち、ft−frのビート信号が出力される。このビート信号の周波数ft−frは、一般的に、数百kHz程度であり、このときのビート信号出力をFFTした場合、例えば、図7の模式図のようになる。
特許第3344368号
上述したミリ波レーダ装置の出力は、図示しないシステムコントローラーに入力され、種々の制御に使用されている。このため、ミリ波レーダ装置が故障した際、例えば、逓倍器が故障して送信信号が出力されなくなったり、受信が行えないなどの故障が発生した場合には、システムコントローラーに対して、故障ダイアグを出す必要性がある。
しかしながら、ミリ波レーダ装置の制御部には2倍波ミキサの出力が入力されるのみであり、ミリ波レーダ装置における高周波部が故障しても、2倍波ミキサの出力にビート信号が含まれなくなるだけであり、故障が発生したのか検出するのが困難である。
本発明は上記点に鑑みて、故障を的確に判定できるミリ波レーダ装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、上り・下り変調を行う変調信号を出力する変調信号生成部(1)と、変調信号生成部(1)が生成した変調信号に基づき、送信アンテナ(8)を通じて、ミリ波帯の電波を送信信号として送信する送信機(7)と、受信アンテナ(9)を通じて、送信信号が対象物で反射したときの反射波を受信信号として受信する受信機(13)と、送信信号と受信信号との差の周波数成分であるビート信号を生成するビート信号生成手段(12)と、ビート信号に基づいて、対象物との位置関係を求める制御部(16)と、を有し、制御部(16)にて、上り・下り変調時とは異なる無変調タイミングを故障検出のためのサンプリング範囲として設定し、このサンプリング範囲内において、ビート信号生成手段(12)が生成したビート信号を周波数解析し、該周波数解析の結果から自車速度に対応するビート周波数の信号レベルを求めると共に、この信号レベルに基づいて故障が発生しているか否かを判定することを特徴としている。
このように、上り・下り変調時とは異なる無変調タイミングを故障検出のためのサンプリング範囲として設定している。そして、このサンプリング範囲内において、ビート信号生成手段(12)が生成したビート信号を周波数解析し、該周波数解析の結果から自車速度に対応するビート周波数の信号レベルを求めると共に、この信号レベルに基づいて故障が発生しているか否かを判定する。これにより、ミリ波レーダ装置における送信機(7)や受信機(13)に故障が発生していることを検出することが可能となる。
例えば、請求項2に示されるように、制御部(16)に、自車速度に対応するビート周波数と信号レベルとの関係を記憶させておき、周波数解析の結果から求められた自車速度に対応するビート周波数の信号レベルを、予め記憶しておいた自車速度に対応するビート周波数と信号レベルとの関係と比較することにより、故障が発生しているか否かを判定することができる。
この場合、請求項3に示されるように、制御部(16)は、周波数解析の結果から求められた自車速度に対応するビート周波数の信号レベルが、予め記憶しておいた自車速度に対応するビート周波数と信号レベルとの関係から想定される信号レベルの規定値よりも小さい場合、故障が発生しているものと判定することができる。
また、例えば、請求項4に示されるように、制御部(16)にて、自車速度の変化に伴い、該自車速度の変化前後における周波数解析の結果から求められた自車速度に対応するビート周波数の信号レベルの変化量を求め、この変化量に基づいて故障が発生しているか否かを判定することも可能である。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
(第1実施形態)
本発明の一実施形態を適用した車載用のミリ波レーダ装置をブロック構成を図1に示す。以下、この図を参照して本実施形態のミリ波レーダ装置の構成について説明する。
本発明の一実施形態を適用した車載用のミリ波レーダ装置をブロック構成を図1に示す。以下、この図を参照して本実施形態のミリ波レーダ装置の構成について説明する。
ミリ波レーダ装置は、車両の進行方向、例えば前方に向けてミリ波帯の電波を出射すると共に、先行車両などの対象物によって反射した電波を到来波として受信することで、その到来波の数および方位を求めると共に、対象物までの距離および自車両に対する相対速度を求めるものである。
図1に示されるように、ミリ波レーダ装置には、変調信号生成部1、増幅器2および分配器3を備えたLo部4と、逓倍器5およびパワーアンプ6を備えた送信機7、送信アンテナ8および受信アンテナ9を備えたアンテナ部10、ローノイズアンプ11および2倍波ミキサ12を備えた受信機13、増幅器14、A/Dコンバータ15および制御部16が備えられたベースバンド部17を有して構成されている。これらのうち、Lo部4、送信機7および受信機13がミリ波レーダ装置における高周波部18に相当する。
変調信号生成部1は、サンプリングを行う際に、例えば、時間に対して直線的に周波数が増減するような変調を行わせる所定周期の三角波状の変調信号を生成し、サンプリングを行わない際には、変調信号を生成しないようにするものである。この変調信号生成部1が生成する変調信号が増幅器2に出力され、増幅器2で増幅されるようになっている。
分配器3は、増幅器2から出力された信号を電力分配し、ローカル信号を生成するものである。この分配器3からのローカル信号が2倍波ミキサ12に入力されるようになっている。
逓倍器5は、分配器3での電力分配後の信号を逓倍するものである。この逓倍器5で逓倍された信号がパワーアンプ6によってさらに増幅され、送信アンテナ8に向けて出力される。
送信アンテナ8は、送信器7から出力された信号で示されるミリ波帯の電波を車両の進行方向、例えば前方に向けて出力するものである。
受信アンテナ9は、送信アンテナ8から出力されたミリ波帯の電波が対象物で反射した反射波を含む信号を受信信号として受け取り、それをローノイズアンプ11に送るようになっている。
2倍波ミキサ12は、ローノイズアンプ11によって増幅された受信信号と、分配器3から伝えられるローカル信号とを混合し、これらの信号の差の周波数成分であるビート信号を生成するものである。このとき生成されるビート信号の周波数がビート周波数と呼ばれるもので、送信信号の周波数が増加する時のビート周波数を上り変調時のビート周波数、送信信号の周波数が減少する時のビート周波数を下り変調時のビート周波数と呼び、FMCW方式による対象物の距離および相対速度の演算に用いられる。
A/Dコンバータ15は、2倍波ミキサ12の出力信号を増幅器14で増幅したもの、つまりアナログ値として示されるビート信号をデジタル値に変換するためのものである。
制御部16は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた周知のマイクロコンピュータによって構成され、ROMなどに記憶されたプログラムにしたがった処理を実行するものである。具体的には、制御部16は、A/Dコンバータ15によってデジタル値に変換されたビート信号に基づいて、FMCWによる距離や相対速度の算出を行うと共に、高周波部18の故障判定を行うようになっている。
続いて、このように構成される本実施形態のミリ波レーダ装置の作動について、図3に示すタイミングチャートを参照して説明する。
まず、FMCW方式で一般的に行われる上り・下り変調(通常変調)時の動作について説明する。上り・下り変調時には、送信アンテナ8を通じて送信機7から時間と共に周波数が直線的に増加(減少)するミリ波帯の電波が送信波として出力される。
そして、図示しない対象物で送信波が反射すると、その反射波が受信機に入力され、ダウンコンバートされてビート信号となる。
このビート信号が制御部16に入力され、制御部16は、送信波と受信波が時間的に重なる部分でサンプリングを行い、FFT処理してビート信号の周波数解析を行う。
図2は、上り・下り変調時のビート信号の周波数解析を行った結果を示したものであり、図2(a)は、止まっている対象物しか存在しなかった場合、図2(b)は、走行中の対象物など、自車両に対して相対速度を有する対象物が存在した場合を示している。
続いて、上記上り・下り変調とは異なる無変調タイミングの動作について説明する。
送信機7は、一般に、上り・下り変調の前に変調信号生成部1の安定のために、無変調波出力する。この無変調送信波が相対速度を持つ対象物で反射すると、ドップラー周波数に相当する周波数分変化し受信される。
図3は、この様子を示したもので、本実施形態では、上り・下り変調とは異なる無変調タイミングとなるようにサンプリング範囲を規定しており、例えば、図3に示される上り・下り変調の前をサンプリング範囲として規定し、このサンプリング範囲内においてサンプリングを行い、そのときのビート信号をFFT処理するようにしている。このようにすれば、自車両に対する対象物の相対速度を、その距離によらず確実に検出することができる。
このときの周波数解析を行った結果は、図4のように示される。図4(a)は、止まっている対象物しか存在しなかった場合、図4(b)は、走行中の対象物など、自車両に対して相対速度を有する対象物が存在した場合を示している。
この図4に示されるように、自車速度(自車両の速度)に応じたビート周波数において、FFT出力の信号レベル(FFT処理後の各周波数に対応する信号レベルに相当)が高くなることが判る。
今、自車速度は、スピードセンサ等を通じて分かるため、図示しないメータECUなどを通じてスピードセンサ等の検出信号から求めた自車速度を制御部16に入力し、自車速度に相当する周波数に存在するビート信号レベルを検出すれば、停止している対象物の総和を検出することができる。
すなわち、高周波部18が正常に動作していれば、その信号レベルは、路面からの反射や、路側物からの反射により、確実にあるレベルを出力する。そして、自車速度に相当する周波数では、FFT出力の信号レベルが大きくなる。
これに対し、高周波部18が故障していると、FFT出力の信号レベルが正常時と同様の出力にならない。従って、自車速度とそれに相当する周波数の信号レベルとの関係を記憶しておき、自車速度がある値であった場合に周波数解析したときのFFT出力と制御部18に記憶しておいた関係とを比較することで、高周波部18の故障を検出することが可能となる。例えば、自車速度がある値であった場合に周波数解析したときのFFT出力が、制御部18に記憶しておいた自車速度と信号レベルとの関係から想定される規定値よりも小さいような場合、高周波部18が故障しているものと判定することができる。
なお、FFT出力の信号レベルの記憶は、製造時に無反射レベルを測定して記憶しても良いし、通常動作時に周波数解析したときの信号レベルを記憶しておき、例えばその平均値を記憶しておくようにしても良い。
以上説明したように、本実施形態のミリ波レーダ装置では、上り・下り変調時ではない無変調のとき、例えば上り・下り変調の前をサンプリング範囲とし、このサンプリング範囲のときにビート信号を周波数解析する。そして、この周波数解析の結果から、自車速度に対応するFFT出力の信号レベルを想定される規定値と比較することで、高周波部18が故障しているか否かを判定する。これにより、確実に高周波部18の故障を検出することが可能となる。
(他の実施形態)
上記実施形態では、FFT出力の信号レベルを予め記憶しておいた自車速度に対応して想定される規定値と比較することで、高周波部18の故障を検出している。しかしながら、これは一例であり、例えば、自車速度が変化したときに、その変化前後におけるFFT出力の信号レベルの変化量に基づいて、高周波部18の故障を検出することもできる。この場合、例えば、自車速度の変化前後におけるFFT出力の信号レベルの変化量がしきい値を超えているような場合には、高周波部18が故障しているものと判定することができる。
上記実施形態では、FFT出力の信号レベルを予め記憶しておいた自車速度に対応して想定される規定値と比較することで、高周波部18の故障を検出している。しかしながら、これは一例であり、例えば、自車速度が変化したときに、その変化前後におけるFFT出力の信号レベルの変化量に基づいて、高周波部18の故障を検出することもできる。この場合、例えば、自車速度の変化前後におけるFFT出力の信号レベルの変化量がしきい値を超えているような場合には、高周波部18が故障しているものと判定することができる。
1…変調信号生成部、2…増幅器、3…分配器、4…Lo部、5…逓倍器、6…パワーアンプ、7…送信機、8…送信アンテナ、9…受信アンテナ、10…アンテナ部、11…ローノイズアンプ、12…2倍波ミキサ、13…受信機、14…増幅器、15…A/Dコンバータ、16…制御部、17…ベースバンド部、18…高周波部。
Claims (4)
- 上り・下り変調を行う変調信号を出力する変調信号生成部(1)と、
前記変調信号生成部(1)が生成した変調信号に基づき、送信アンテナ(8)を通じて、ミリ波帯の電波を送信信号として送信する送信機(7)と、
受信アンテナ(9)を通じて、前記送信信号が対象物で反射したときの反射波を受信信号として受信する受信機(13)と、
前記送信信号と前記受信信号との差の周波数成分であるビート信号を生成するビート信号生成手段(12)と、
前記ビート信号に基づいて、前記対象物との位置関係を求める制御部(16)と、を有し、
前記制御部(16)は、前記上り・下り変調時とは異なる無変調タイミングを故障検出のためのサンプリング範囲として設定し、このサンプリング範囲内において、前記ビート信号生成手段(12)が生成した前記ビート信号を周波数解析し、該周波数解析の結果から自車速度に対応するビート周波数の信号レベルを求めると共に、この信号レベルに基づいて故障が発生しているか否かを判定するようになっていることを特徴とするミリ波レーダ装置。 - 前記制御部(16)は、自車速度に対応するビート周波数と信号レベルとの関係を記憶しており、前記周波数解析の結果から求められた自車速度に対応するビート周波数の信号レベルを、予め記憶しておいた自車速度に対応するビート周波数と信号レベルとの関係と比較することにより、故障が発生しているか否かを判定するようになっていることを特徴とする請求項1に記載のミリ波レーダ装置。
- 前記制御部(16)は、前記周波数解析の結果から求められた自車速度に対応するビート周波数の信号レベルが、予め記憶しておいた自車速度に対応するビート周波数と信号レベルとの関係から想定される信号レベルの規定値よりも小さい場合、故障が発生しているものと判定するようになっていることを特徴とする請求項2に記載のミリ波レーダ装置。
- 前記制御部(16)は、自車速度の変化に伴い、該自車速度の変化前後における前記周波数解析の結果から求められた自車速度に対応するビート周波数の信号レベルの変化量を求め、この変化量に基づいて故障が発生しているか否かを判定するようになっていることを特徴とする請求項1に記載のミリ波レーダ装置。
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