JP2006046609A - シールリング付アンギュラ型玉軸受と工作機械用主軸支持装置及び電動モータ用回転軸支持装置 - Google Patents
シールリング付アンギュラ型玉軸受と工作機械用主軸支持装置及び電動モータ用回転軸支持装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 アンギュラ型玉軸受2を高速回転する状態で使用する場合でも、発熱を抑えつつ、保持器4の強度とシールリング3、3の耐久性とを十分に確保する。
【解決手段】 保持器4が1対のシールリング3、3のうちの一方のシールリング3に最も近づいた場合の、この一方のシールリング3の軸方向内側面とこの保持器4との軸方向の隙間の最小値δを0.2mm以上とする。この保持器4の径方向の厚さをHmmとし、この保持器4の軸方向の幅をWmmとし、各ポケット13の内面の内径をdP mmとし、複数の玉6のピッチ円直径Dm mmとし、各玉6の直径Da とした場合に、WとdP とHとDm とを、WとdP とDa とを、それぞれ所定の関係を満たす様に規制する。
【選択図】 図2
【解決手段】 保持器4が1対のシールリング3、3のうちの一方のシールリング3に最も近づいた場合の、この一方のシールリング3の軸方向内側面とこの保持器4との軸方向の隙間の最小値δを0.2mm以上とする。この保持器4の径方向の厚さをHmmとし、この保持器4の軸方向の幅をWmmとし、各ポケット13の内面の内径をdP mmとし、複数の玉6のピッチ円直径Dm mmとし、各玉6の直径Da とした場合に、WとdP とHとDm とを、WとdP とDa とを、それぞれ所定の関係を満たす様に規制する。
【選択図】 図2
Description
この発明は、例えば工作機械用の主軸、電動モータ用の回転軸等の様に、使用時に高速回転する軸の回転支持部に組み込んで、グリースにより内部を潤滑する、シールリング付アンギュラ型玉軸受の改良に関する。
工作機械の主軸や、電動モータの回転軸の様に使用時に高速回転する軸の回転支持部には、従来からアンギュラ型玉軸受を使用する事が広く行なわれている。このアンギュラ型玉軸受は、内輪の外周面と外輪の内周面とのうちの少なくとも一方の周面から片側の肩部を落としたもので、各玉の転動面と内輪軌道及び外輪軌道とに所定の接触角を持たせている。
一方、転がり軸受の潤滑方法として、グリース潤滑がある。このグリース潤滑は、粘性が高く、且つ、流動性が低いグリースを転がり軸受の内部に封入し、潤滑を行なう方法である。グリースは、転がり軸受内部への封入時に、内輪と、外輪と、保持器と、転動体とのうちの少なくとも何れかに付着させておく。但し、この転がり軸受の回転時には、封入したグリースを、この転がり軸受の内部に良好に保持できなくなる可能性がある。この理由は、転がり軸受が回転した際に、このグリースに働く遠心力や転動体によるこのグリースの撹拌により、このグリースが転がり軸受の外部に飛散し易くなったり、転がり軸受の外部から内部に浸入する液体、例えば工作機械に於ける切削水等により、グリースが転がり軸受外に押し出されてしまう可能性がある為である。転がり軸受内部にグリースを良好に保持できないと、このグリースの劣化が生じ易くなり、潤滑不良を生じて転がり軸受が早期に破損し易くなる。一方、被加工物の切削時に発生する切削粉、粉塵等の異物が軸受内部に侵入する事は、高精度に加工した転がり軸受の軌道面がこの異物により傷付けられる事に繋る。そして、この様にして発生した傷上を転動体が通過する事により、振動や音が発生したり、傷部分に応力が集中して、この傷部分から剥離が生じる事により、転がり軸受の損傷を招く可能性がある。この様な事情から、後述する本発明の実施例を説明する為の図1に示す様に、高速回転する工作機械用の主軸1を支持する為のアンギュラ型玉軸受2、2には、ゴム等の弾性材製のシールリング3、3を装着する事により、アンギュラ型玉軸受2、2の回転時のグリースの外部への飛散や外部からの液体等の異物の侵入を防ぎ、アンギュラ型玉軸受2、2の破損を生じにくくする技術が考えられている。
ところで、転がり軸受の内径と外径と幅とには、ISOによる規格(ISO規格)がある。この為、当然に図1に示す様なシールリング付のアンギュラ型玉軸受2、2の場合も、ISO規格に合わせて製造する事が好ましく、この規格に合わせる事で、機械設計者が設計作業を行ない易くなる。但し、単純にISO規格等の既存の設計寸法で造った玉軸受2、2内にシールリング3、3を、外側にはみ出さない様に配置しようとすると、高い強度を確保する為に軸方向の幅を十分に大きくした保持器4、4と、上記シールリング3、3とが干渉し易くなる場合がある。例えば、保持器4、4の軸方向の幅を大きくし過ぎると、これら保持器4、4と上記シールリング3、3との軸方向の隙間が過小になり、玉軸受2、2の回転時に保持器4、4が軸方向に変位した場合に、これらシールリング3、3と保持器4、4とが接触し、これらシールリング3、3が破損する可能性がある。又、これらシールリング3、3と保持器4、4とが接触しない場合でも、これら両部材3、4間に存在するグリースの剪断抵抗や攪拌抵抗が大きくなり、発熱が生じ易くなる。図1に示す様な工作機械の主軸支持装置にシールリング付のアンギュラ型玉軸受2、2を使用する場合、この様な発熱は、主軸1や固定のハウジング5等、工作機械を構成する部品の熱膨張を引き起こし、高精度に造ったこの工作機械の各部の寸法に狂いを生じさせ、被加工物の加工精度の低下を引き起こしてしまう。
この様な事情から、保持器4、4の軸方向の幅を或る程度小さく設計する事が、従来から行なわれている。但し、これら保持器4、4の軸方向の幅を小さくし過ぎた場合には、これら保持器4、4の強度が損なわれ、各玉6、6からこれら保持器4、4に加わる力や、これら保持器4、4に作用する遠心力に基づいてこれら保持器4、4に作用するフープ応力に耐え切れず、これら保持器4、4が破損してしまう可能性がある。この様に、シールリング3、3と保持器4、4との隙間を小さくし過ぎる事には問題があり、又、この隙間を大きくする為にこれら保持器4、4の軸方向の幅を小さくし過ぎる事にも問題がある。
尚、本発明に関連する先行技術文献として、特許文献1、2がある。
尚、本発明に関連する先行技術文献として、特許文献1、2がある。
本発明のシールリング付アンギュラ型玉軸受と工作機械用主軸支持装置及び電動モータ用回転軸支持装置は、上述の様な事情に鑑みて、保持器とシールリングとの適正な隙間と、この保持器の強度を確保する為の適正な寸法の関係とを求める事により、発熱を抑えつつ、この保持器の強度とシールリングの耐久性とを十分に確保すべく発明したものである。
本発明のシールリング付アンギュラ型玉軸受は、従来から知られているシールリング付アンギュラ型玉軸受と同様に、内周面に外輪軌道を有する外輪と、外周面に内輪軌道を有する内輪と、これら外輪軌道と内輪軌道との間に転動自在に設けられた複数の玉と、円周方向複数個所に設けたポケットにこれら各玉を転動自在に保持する保持器と、上記外輪の両端部内周面に形成した係止溝に係止され、この外輪の内周面と上記内輪の外周面との間に存在し上記各玉を設けた空間の軸方向両端開口部を塞ぐ1対のシールリングとを備え、グリースを封入した状態で使用する。
特に、本発明のシールリング付アンギュラ型玉軸受に於いては、上記保持器がこれら1対のシールリングのうちの一方のシールリングに最も近づいた場合の、この一方のシールリングの軸方向内側面とこの保持器との軸方向の隙間の最小値(シールリングの軸方向内側面と保持器とが最も接近した部分の軸方向の隙間)を0.2mm以上とし、且つ、(1)(2)のうちの少なくとも一方を満たしている。
(1) 上記保持器の径方向の厚さをHmmとし、この保持器の軸方向の幅をWmmとし、上記各ポケットの内面の内径をdP mmとし、複数の玉のピッチ円直径をDm mmとした場合に、{(W−dP )/2}・H3 /Dm 2 ≧0.004(mm2 )を満たしている。
(2) 上記保持器の軸方向の幅をWmmとし、上記各ポケットの内面の内径をdP mmとし、上記各玉の直径をDa mmとした場合に、(W−dP )/Da ≧0.25を満たしている。尚、シールリングの軸方向内側面とは、このシールリングの軸方向両側面のうち、各玉を設置した空間側の面を言う(本明細書全体及び特許請求の範囲で同じ)。
特に、本発明のシールリング付アンギュラ型玉軸受に於いては、上記保持器がこれら1対のシールリングのうちの一方のシールリングに最も近づいた場合の、この一方のシールリングの軸方向内側面とこの保持器との軸方向の隙間の最小値(シールリングの軸方向内側面と保持器とが最も接近した部分の軸方向の隙間)を0.2mm以上とし、且つ、(1)(2)のうちの少なくとも一方を満たしている。
(1) 上記保持器の径方向の厚さをHmmとし、この保持器の軸方向の幅をWmmとし、上記各ポケットの内面の内径をdP mmとし、複数の玉のピッチ円直径をDm mmとした場合に、{(W−dP )/2}・H3 /Dm 2 ≧0.004(mm2 )を満たしている。
(2) 上記保持器の軸方向の幅をWmmとし、上記各ポケットの内面の内径をdP mmとし、上記各玉の直径をDa mmとした場合に、(W−dP )/Da ≧0.25を満たしている。尚、シールリングの軸方向内側面とは、このシールリングの軸方向両側面のうち、各玉を設置した空間側の面を言う(本明細書全体及び特許請求の範囲で同じ)。
又、請求項2に記載した工作機械用主軸支持装置は、上述のシールリング付アンギュラ型玉軸受を組み込んでいる。
又、請求項3に記載した電動モータ用回転軸支持装置は、上述のシールリング付アンギュラ型玉軸受を組み込んでいる。
又、請求項3に記載した電動モータ用回転軸支持装置は、上述のシールリング付アンギュラ型玉軸受を組み込んでいる。
上述の様に構成する本発明のシールリング付アンギュラ型玉軸受によれば、シールリングの軸方向内側面と保持器との隙間を十分に確保でき、この隙間に存在するグリースの剪断抵抗及び攪拌抵抗による発熱を抑える事ができる。この為、シールリング付アンギュラ型玉軸受を、使用時に主軸が高速回転する工作機械用主軸支持装置に組み込んで使用した場合でも、被加工物の加工精度が低下するのを抑える事ができる。又、上記シールリングの耐久性も十分に確保できる。又、工作機械用主軸や電動モータ用回転軸の様に高速回転する軸の支持部にシールリング付アンギュラ型玉軸受を使用した場合でも、保持器の強度を十分に確保でき、この保持器の破損を有効に防止できる。
本発明のシールリング付アンギュラ型玉軸受を実施する場合に好ましくは、上述のシールリング付アンギュラ型玉軸受の構成の(1)(2)の双方を満たす様にする。
この好ましい構成によれば、発熱をより抑える事ができると共に、シールリングの耐久性と保持器の強度との更なる向上を図れる。
この好ましい構成によれば、発熱をより抑える事ができると共に、シールリングの耐久性と保持器の強度との更なる向上を図れる。
図1〜3は、本発明の実施例のシールリング付アンギュラ型玉軸受を組み込んだ工作機械用主軸支持装置を示している。本実施例の工作機械用主軸支持装置は、固定のハウジング5の内側に主軸1を、回転自在に支持している。この為に、この主軸1の軸方向に離隔した2個所位置に、1対のアンギュラ型玉軸受2、2を組み込んでいる。これら各アンギュラ型玉軸受2、2は、内周面に外輪軌道7を有する外輪8と、外周面に内輪軌道9を有する内輪10と、これら外輪軌道7と内輪軌道9との間に転動自在に設けた複数の玉6と、これら各玉6を転動自在に保持する保持器4とを備える。又、上記外輪8の内周面の両端寄り部分のうち、一端寄り部分(図2、3の右端寄り部分)にのみ外径側肩部11を設けている。又、上記内輪10の外周面の両端寄り部分のうち、一端寄り部分(図2、3の右端寄り部分)に設けた内径側肩部12aの高さを、他端寄り部分(図2、3の左端寄り部分)に設けた内径側肩部12bの高さよりも低くしている。又、上記保持器4は、フェノール樹脂等の合成樹脂により全体を円環状に造ったもので、円周方向複数個所等間隔位置に、上記各玉6を保持する為の円筒状のポケット13を、それぞれ形成している。但し、本発明の場合、保持器は、この様な構造に限定するものではなく、銅合金等の金属により造る事もできる。
又、上記外輪8の両端部内周面に係止溝14、14を全周に亙り形成すると共に、これら各係止溝14、14に1対のシールリング3、3の外周縁部を係止している。これら各シールリング3、3は、鋼板等の金属板を円輪状に形成して成る芯金15、15と、これら各芯金15、15に一体に結合した、ゴムの如きエラストマー等の弾性材16、16とを備える。これら各芯金15、15は、上記各シールリング3、3の形状保持と補強との機能を有する。そして、上記各弾性材16、16の外周寄り部分でこれら各芯金15、15の外周面よりも径方向外側に突出した部分に設けた係止部17、17を、上記各係止溝14、14に係止している。又、上記各弾性材16、16の内周寄り部分で上記芯金15、15の内周縁よりも径方向内側に突出した部分の内周縁を、上記内輪10の両端部外周面に、全周に亙り微小隙間を介して近接対向させている。そしてこの構成により、上記外輪8の内周面と上記内輪10の外周面との間に存在し上記各玉6を設けた空間の軸方向両端開口部を塞いでいる。この様に、上記各シールリング3、3は、所謂非接触シールとなっている。この様にシールリング3、3を非接触シールとする理由は、使用時に高速回転する、工作機械用主軸1を支持する構造では、接触シールを使用した場合に、シールリングと、回転輪である内輪10との接触により、発熱が過大になり、このシールリングが溶融してしまう可能性がある為である。
ところで、前記保持器4には、玉6を1個ずつ転動自在に保持する為の複数のポケット13を形成しているが、これら各ポケット13の内面の内径dP は上記各玉6の直径Da よりも僅かに大きい(dP >Da )。この為、これら各ポケット13の内面とこれら各玉6の転動面との間に形成される隙間に基づいて、上記保持器4は軸方向にも変位する事が可能になる。例えば、図3(A)では、アンギュラ型玉軸受2内に保持器4を、各ポケット13の内面の中心と各玉6の中心との、この保持器4の軸方向に関する位置がほぼ同じになる様に配置しているが、この保持器4は、図3(A)に示す状態から例えば図3(B)に示す様に、各玉6の転動面が各ポケット13の内面の円周方向一部(図3の右端部)に突き当たる迄、軸方向片側(図3の左側)に変位する事ができる。この場合には、保持器4の軸方向片側面(図3の左側面)が、1対のシールリング3、3のうち、一方(図3の左方)のシールリング3に最も近づいた状態となる。
この様なアンギュラ型玉軸受2、2は、前記ハウジング5の内周面と主軸1の外周面との間に軸方向に離隔した状態で1対組み込むと共に、これら各アンギュラ型玉軸受2、2を構成する外輪8、8同士及び内輪10、10同士の間に、それぞれ外輪間座18と内輪間座19とを挟持している。そして、上記各アンギュラ型玉軸受2、2を構成する各玉6、6に、定位置予圧により所定の予圧を付与している。
特に、本実施例のシールリング付アンギュラ型玉軸受の場合には、上記保持器4がこの保持器4の両側に存在する1対のシールリング3、3のうちの一方のシールリング3に最も近づいた場合の、この一方のシールリング3の軸方向内側面とこの保持器4との軸方向の隙間の最小値δ{図2、図3(B)}を0.2mm以上としている。更に、本実施例の場合には、次の(1)(2)の双方を満たしている。
(1) 上記保持器4の径方向の厚さをHmmとし、この保持器4の軸方向の幅をWmmとし、各ポケット13の内面の内径をdP mmとし、複数の玉6のピッチ円直径をDm mmとし、D1 ={(W−dP )/2}・H3 /Dm 2 とした場合に、D1 ≧0.004(mm2 )を満たしている。
(2) 上記保持器4の軸方向の幅をWmmとし、上記各ポケット13の内面の内径をdP mmとし、上記各玉6の直径をDa mmとし、D2 =(W−dP )/Da とした場合に、D2 ≧0.25を満たしている。
(1) 上記保持器4の径方向の厚さをHmmとし、この保持器4の軸方向の幅をWmmとし、各ポケット13の内面の内径をdP mmとし、複数の玉6のピッチ円直径をDm mmとし、D1 ={(W−dP )/2}・H3 /Dm 2 とした場合に、D1 ≧0.004(mm2 )を満たしている。
(2) 上記保持器4の軸方向の幅をWmmとし、上記各ポケット13の内面の内径をdP mmとし、上記各玉6の直径をDa mmとし、D2 =(W−dP )/Da とした場合に、D2 ≧0.25を満たしている。
上述の様に構成する本実施例のシールリング付アンギュラ型玉軸受及びこれを組み込んだ工作機械用主軸支持装置の場合、上記保持器4がこの保持器4の両側に存在する1対のシールリング3、3のうちの一方のシールリング3に最も近づいた場合の、この一方のシールリング3の軸方向内側面とこの保持器4との軸方向の隙間の最小値δを0.2mm以上と大きくしている。この為、シールリング3の軸方向内側面と保持器4との間に存在するグリースの剪断抵抗及び攪拌抵抗による発熱を抑える事ができる。従って、本実施例の様に、アンギュラ型玉軸受2、2を、使用時に主軸1が高速回転する工作機械用主軸支持装置に組み込んで使用した場合でも、熱膨張により工作機械の各部の寸法に狂いが生じる事を抑える事ができ、被加工物の加工精度が低下するのを抑える事ができる。又、上記各シールリング3、3と上記保持器4とを接触しにくくできる為、これら各シールリング3、3の耐久性を十分に確保できる。
又、本実施例の場合には、上記保持器4の径方向の厚さをHmmとし、この保持器4の軸方向の幅をWmmとし、上記各ポケット13の内面の内径をdP mmとし、複数の玉6のピッチ円直径をDm mmとし、D1 ={(W−dP )/2}・H3 /Dm 2 とした場合に、D1 ≧0.004(mm2 )を満たしている。この為、使用時に高速回転する工作機械用の主軸1の支持部にアンギュラ型玉軸受2、2を使用する事により、これら各玉軸受2、2の保持器4に、遠心力の作用に基づく大きなフープ応力が作用するのにも拘らず、この保持器4の強度を十分に確保でき、この保持器4の破損を有効に防止できる。
更に、本実施例の場合には、上記保持器4の軸方向の幅をWmmとし、上記各ポケット13の内面の内径をdP mmとし、上記各玉6の直径をDa mmとし、D2 =(W−dP )/Da とした場合に、D2 ≧0.25を満たしている。この為、各玉6の直径Da に対する、これら各玉6から力を受ける、保持器4の軸方向両端部に設けた各リム部20、20の軸方向寸法L1 、L2 (図2)の比L1 /Da 、L2 /Da を、十分に大きくできる。従って、使用時に高速回転する工作機械用の主軸1の支持部にアンギュラ型玉軸受2、2を使用する事により、回転方向への保持器4と各玉6との衝突に伴う衝撃力が作用するのにも拘らず、この保持器4の強度の更なる向上を図れて、この保持器4の破損をより有効に防止できる。
次に、本発明者が本発明の効果を確認すべく行なった第一、第二の実験の結果に就いて説明する。先ず、第一の実験は、上述の実施例と同様の構造を有するアンギュラ型玉軸受2で、保持器4がこの保持器4の両側に存在する1対のシールリング3、3のうちの一方のシールリング3に最も近づいた場合の、この一方のシールリング3の軸方向内側面とこの保持器4との軸方向の隙間の最小値δを、0.05〜0.4mmの範囲で種々に変えた試験品を使用した。そして、この最小値δを種々に変えた試験品により、回転速度を1000〜10000min-1 の範囲で1000min-1 毎に変えた回転試験を行ない、外輪8の温度を測定した。図4は、この様にして行なった第一の実験結果を示している。
図4に示した実験結果から明らかな様に、上記最小値δを0.05〜0.1mmとした試験品の場合には、保持器4とシールリング3との間に存在するグリースの剪断抵抗等による発熱が大きくなる為、高速回転時に外輪8の温度が、他の試験品の場合に比べて著しく高くなった。これに対して、上記最小値δを0.2mm以上とした場合には、発熱を小さく抑える事ができ、高速回転時にも外輪8の温度を比較的低く抑える事ができた。この事から、上記最小値δを0.2mm以上とした、上述の実施例の効果を確認できた。又、上記最小値δが0.2mm以上0.4mmの範囲では10000min-1 の高速でアンギュラ型玉軸受2を回転させた場合も、上記保持器4が破損する事なく強度をより有効に確保できた。
次に、第二の実験では、上述の実施例と同様の構造を有するアンギュラ型玉軸受2で、保持器4の径方向の厚さをHmmとし、この保持器4の軸方向の幅をWmmとし、上記各ポケット13の内面の内径をdP mmとし、複数の玉6のピッチ円直径をDm mmとし、これら各玉6の直径をDa mmとし、D1 ={(W−dP )/2}・H3 /Dm 2 とし、D2 =(W−dP )/Da とした場合に、D1 、D2 の値を種々に変えた、実施品1〜3及び比較品1、2の5種類の試験品を使用した。このうちの実施品1〜3は、上述の実施例の範囲に属するもので、実施品1は、D1 =0.004で、且つ、D2 =0.25である。又、実施品2は、D1 =0.005で、且つ、D2 =0.3である。又、実施品3は、D1 =0.006で、且つ、D2 =0.35である。又、上記比較品1、2は、本発明から外れたもので、比較品1は、D1 =0.002で、且つ、D2 =0.15である。又、比較品2は、D1 =0.003で、且つ、D2 =0.2である。そして、この様な実施品1〜3及び比較品1、2を用いて、回転速度を1000〜10000min-1 の範囲で1000min-1 毎に変えた回転試験を行ない、外輪8の温度を測定した。図5は、この様にして行なった第二の実験結果を示している。
図5に示した第二の実験結果から明らかな様に、本発明から外れる比較品1、2の場合には、回転速度が8000min-1 で外輪8の温度が著しく上昇し、それ以上の回転速度で保持器が破断してしまった。これに対して、本発明に属する実施品1〜3の場合には、回転速度が8000min-1 でも外輪8の温度の上昇を抑える事ができ、しかも、それ以上の回転速度でも保持器4が破断する事がなかった。尚、回転速度が8000min-1 未満では、実施品1〜3と比較品1、2とで外輪8の温度に大きな差はなかった。この様な実験結果から、前記最小値δが0.2mm以上で、且つ、D1 が0.004以上である、0.004≦D1 ≦0.006で、且つ、D2 が0.25以上である、0.25≦D2 ≦0.35である、上述した実施例の場合には、アンギュラ型玉軸受2を高速回転する状態で使用する場合でも、発熱をより有効に抑えると共に、保持器4の強度を確保する事ができる事を確認できた。尚、本発明者が、上述した第一、第二の実験で用いたアンギュラ型玉軸受の寸法と異なる寸法を有するアンギュラ型玉軸受を用いて、第一、第二の実験と同様の実験を行なった場合も、第一、第二の実験結果と同様に、上記最小値δが0.2mm未満で発熱が大きくなり、D1 <0.004、且つ、D2 <0.25で異常発熱により高速回転が不能になった。
尚、上述した実施例では、D1 、D2 が前記(1)(2)の双方の条件を満たす場合に就いて説明した。但し、本発明は、(1)(2)の何れかの条件を満たし、前記最小値δを0.2mm以上とする事もでき、この場合も、発熱を抑えつつ、保持器の強度とシールリングの耐久性とを十分に確保できると言った効果を得られる。又、上述した実施例では、本発明のシールリング付アンギュラ型玉軸受を、工作機械用主軸支持装置に組み込んだ場合に就いて説明した。但し、本発明のシールリング付アンギュラ型玉軸受は、この様な用途に使用する構造に限定するものではなく、例えば、電動モータ用の回転軸支持装置に組み込んで、回転軸を支持する為に使用する事もできる。そして、この様な用途に本発明のシールリング付アンギュラ型玉軸受を使用した場合も、電動モータが高速回転する場合での、発熱を抑えつつ、保持器の強度とシールリングの耐久性とを十分に確保できると言った効果を得られる。
1 主軸
2 アンギュラ型玉軸受
3 シールリング
4 保持器
5 ハウジング
6 玉
7 外輪軌道
8 外輪
9 内輪軌道
10 内輪
11 外径側肩部
12a、12b 内径側肩部
13 ポケット
14 係止溝
15 芯金
16 弾性材
17 係止部
18 外輪間座
19 内輪間座
20 リム部
2 アンギュラ型玉軸受
3 シールリング
4 保持器
5 ハウジング
6 玉
7 外輪軌道
8 外輪
9 内輪軌道
10 内輪
11 外径側肩部
12a、12b 内径側肩部
13 ポケット
14 係止溝
15 芯金
16 弾性材
17 係止部
18 外輪間座
19 内輪間座
20 リム部
Claims (3)
- 内周面に外輪軌道を有する外輪と、外周面に内輪軌道を有する内輪と、これら外輪軌道と内輪軌道との間に転動自在に設けられた複数の玉と、円周方向複数個所に設けたポケットにこれら各玉を転動自在に保持する保持器と、上記外輪の両端部内周面に形成した係止溝に係止され、この外輪の内周面と上記内輪の外周面との間に存在し上記各玉を設けた空間の軸方向両端開口部を塞ぐ1対のシールリングとを備え、グリースを封入した状態で使用するシールリング付アンギュラ型玉軸受に於いて、上記保持器がこれら1対のシールリングのうちの一方のシールリングに最も近づいた場合の、この一方のシールリングの軸方向内側面とこの保持器との軸方向の隙間の最小値を0.2mm以上とし、且つ、(1)(2)のうちの少なくとも一方を満たすシールリング付アンギュラ型玉軸受。
(1) 上記保持器の径方向の厚さをHmmとし、この保持器の軸方向の幅をWmmとし、上記各ポケットの内面の内径をdP mmとし、複数の玉のピッチ円直径をDm mmとした場合に、{(W−dP )/2}・H3 /Dm 2 ≧0.004(mm2 )を満たしている。
(2) 上記保持器の軸方向の幅をWmmとし、上記各ポケットの内面の内径をdP mmとし、上記各玉の直径をDa mmとした場合に、(W−dP )/Da ≧0.25を満たしている。 - 請求項1に記載したシールリング付アンギュラ型玉軸受を組み込んだ工作機械用主軸支持装置。
- 請求項1に記載したシールリング付アンギュラ型玉軸受を組み込んだ電動モータ用回転軸支持装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004231950A JP2006046609A (ja) | 2004-08-09 | 2004-08-09 | シールリング付アンギュラ型玉軸受と工作機械用主軸支持装置及び電動モータ用回転軸支持装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004231950A JP2006046609A (ja) | 2004-08-09 | 2004-08-09 | シールリング付アンギュラ型玉軸受と工作機械用主軸支持装置及び電動モータ用回転軸支持装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2006046609A true JP2006046609A (ja) | 2006-02-16 |
Family
ID=36025395
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004231950A Pending JP2006046609A (ja) | 2004-08-09 | 2004-08-09 | シールリング付アンギュラ型玉軸受と工作機械用主軸支持装置及び電動モータ用回転軸支持装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2006046609A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016109243A (ja) * | 2014-12-09 | 2016-06-20 | 日本精工株式会社 | 転がり軸受 |
WO2019044528A1 (ja) | 2017-09-01 | 2019-03-07 | 日本精工株式会社 | アンギュラ玉軸受、軸受装置、及び主軸装置 |
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2004
- 2004-08-09 JP JP2004231950A patent/JP2006046609A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2016109243A (ja) * | 2014-12-09 | 2016-06-20 | 日本精工株式会社 | 転がり軸受 |
WO2019044528A1 (ja) | 2017-09-01 | 2019-03-07 | 日本精工株式会社 | アンギュラ玉軸受、軸受装置、及び主軸装置 |
KR20200032201A (ko) | 2017-09-01 | 2020-03-25 | 닛본 세이고 가부시끼가이샤 | 앵귤러 볼 베어링, 베어링 장치 및 주축 장치 |
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