JP2006046144A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 性状の異なる燃料蒸気を吸着した複数キャニスタからのパージ混合気による燃焼室内混合気のオクタン価変化を求める。
【解決手段】 機関100に高オクタン価ガソリン用キャニスタ250Hと低オクタン価ガソリン用キャニスタ250Lとからパージ混合気を供給する。電子制御ユニット(ECU)30は、空燃比センサ31出力に基づく空燃比フィードバック制御を行い。各キャニスタのパージ制御弁253H、253Lを1つずつ順に開弁して空燃比フィードバック制御の学習補正係数の値の変化に基づいて、それぞれのキャニスタからのパージ混合気中の燃料蒸気濃度を算出するとともに、パージ中に燃焼室に供給されるそれぞれの燃料蒸気量を算出し、燃焼室内の混合気の実際のオクタン価を算出する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内燃機関の制御装置に関し、詳細には性状の異なる複数種類の燃料を任意の供給割合で供給し運転する内燃機関の制御装置に関する。
性状の異なる複数種類の燃料を所定の供給割合で機関に供給し、運転を行う複数燃料供給内燃機関が知られている。
例えば、この種の機関としてはオクタン価の異なる複数種類の燃料を任意の供給割合で機関に供給する燃料供給装置を備え、機関運転中に機関の運転条件、或いは他の適宜な条件に応じて燃料供給割合を変更することにより機関に供給するもの等がある。
このように、運転条件に応じて高オクタン価ガソリンと低オクタン価ガソリンとの供給割合を変えて機関を運転することにより、運転条件に応じて機関に供給される燃料の全体としてのオクタン価を変更することが可能となるため、それぞれの運転条件に応じた最適な燃料オクタン価を選択することが可能となる。
例えば、機関低温始動後の運転時等では、着火性の良好な低オクタン価ガソリンの供給割合を増大して機関の燃焼を安定させたり、或いは機関の高負荷運転時に高オクタン価ガソリンの供給割合を増大して燃料のオクタン価を上げ、点火時期を進角させて機関出力を増大させる、等のそれぞれの運転条件に適したオクタン価を有する燃料を機関に供給することが可能となるのである。
一方、燃料タンクからの蒸発燃料が大気に放出されることを防止する目的で、タンク内で発生する燃料蒸気を活性炭等の吸着剤を収納したキャニスタに導き、燃料蒸気を吸着剤に吸着させて燃料蒸気の大気放出を防止するエバポパージシステムが一般に知られている。
エバポパージシステムでは通常、キャニスタの吸着剤が吸着した燃料蒸気で飽和してしまうことを防止するために、機関の所定運転条件下でキャニスタ内にパージ空気を通過させ、吸着した燃料蒸気を吸着剤から脱離させるとともに、パージ空気と脱離した燃料蒸気との混合気(パージ混合気)を機関に導入して機関で燃焼させるようにしている。
通常、高オクタン価ガソリンと低オクタン価ガソリンのように性状の異なる複数の燃料を供給する機関ではそれぞれの燃料毎に燃料タンクを設け、それぞれの燃料タンクから機関に燃料を供給しているため、エバポパージシステムのキャニスタも各燃料タンク毎に設けられる。
複数燃料機関用のエバポパージシステムではないが、性状の異なる複数の燃料蒸気を対象としたエバポパージシステムの例としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。
特許文献1のエバポパージシステムでは、単一の燃料タンク内で発生する燃料蒸気を分離膜により高沸点成分と低沸点成分とに分離し、それぞれの成分に対して適切な吸着性能を有するキャニスタを用いて個別に高沸点成分と低沸点成分を吸着している。
また特許文献1のエバポパージシステムでは、機関吸気通路負圧が小さい(絶対圧力が高い)場合には低沸点成分用のキャニスタのみを、負圧が大きい(絶対圧力が低い)場合には低沸点成分用と高沸点成分用との両方のキャニスタをパージし、吸着した燃料蒸気を機関に導入するようにしている。
特開平4−194356号公報 特開平9−42022号公報 特開平11−315733号公報 特開2000−179368号公報
エバポパージシステムでキャニスタのパージが実行されると、機関には燃料噴射弁などから供給される通常の燃料に加えてパージ混合気中の燃料蒸気が燃焼室に供給されることになる。通常、例えば排気通路に設けた空燃比センサの出力に基づいて機関空燃比のフィードバック制御を行う場合には、キャニスタのパージにより燃料蒸気が機関に供給された場合であっても空燃比センサ出力に基づいて機関空燃比が目標値になるように機関燃料噴射量がフィードバック制御されるため、パージの有無により機関空燃比が影響を受けることはない。
上記のように性状の異なる燃料用の複数の燃料タンクを有する機関のエバポパージシステムでは、各燃料タンク毎にキャニスタが設けられるため、各キャニスタのパージを行うと各キャニスタからは性状(オクタン価など)の異なる燃料蒸気が機関に供給されるようになる。
この場合についても、空燃比フィードバック制御を行う機関であれば、単一燃料の場合と同様にパージ混合気として供給される燃料蒸気に応じて燃料噴射量が調整されるため、機関空燃比がパージによって影響を受けることはない。
ところが、この場合には、各キャニスタからオクタン価が異なる複数種類の燃料蒸気が供給されるため、空燃比には変化がないものの供給された燃料蒸気により最終的に燃焼室内に形成される燃料のオクタン価等の性状が異なってくる場合が生じる。
通常、複数の燃料を供給する内燃機関では、各燃料の供給割合(燃料噴射量の割合)に応じて、すなわち供給燃料全体としてのオクタン価に応じて点火時期が設定される。しかし、パージによりオクタン価が異なる燃料の蒸気が燃焼室に供給されると燃焼室内に形成される混合気のオクタン価が燃料の供給割合から定まるオクタン価から変化してしまうため、燃料噴射量割合に応じて点火時期を設定しただけでは、実際の混合気オクタン価に対して最適な点火時期を得ることができなくなる問題が生じる。
ところが、特許文献1は、上記のように、パージにより複数のキャニスタからそれぞれ性状の異なる燃料蒸気が供給される場合の燃焼室内における燃料混合気の性状変化の問題については何ら認識していない。このため、特許文献1の装置では実際の混合気オクタン価に対して点火時期が適合しない場合が生じ、ノッキングの発生や燃費悪化などが生じる場合がある。
本発明は上記問題に鑑み、性状の異なる複数種類の燃料蒸気を機関に導入する場合に、供給される燃料蒸気による燃焼室内の混合気の性状の変化を正確に取得することにより、点火時期などの機関制御パラメータを実際の混合気の性状に応じて最適な値に制御することを可能とする内燃機関の制御装置を提供することを目的としている。
請求項1に記載の発明によれば、燃焼室に任意の供給割合で供給される性状の異なる複数種類の燃料で運転可能な内燃機関の制御装置であって、前記内燃機関は、前記それぞれの種類毎の燃料を貯留する燃料タンクと、それぞれの燃料タンク内に発生する燃料蒸気を機関燃焼室に導入し、大気への放散を防止するエバポパージ装置を備え、前記制御装置は、前記各燃料タンクから機関に導入されるそれぞれの種類の燃料蒸気の量を取得するとともに、取得したそれぞれの燃料蒸気量に基づいて燃焼室内に形成される燃料混合気の性状を算出することを特徴とする、内燃機関の制御装置が提供される。
すなわち、請求項1の発明では、エバポパージ装置から機関に導入される燃料蒸気の量を取得し、取得したそれぞれの種類の燃料蒸気量と、機関燃焼室に供給されるそれぞれの種類の燃料量とから、最終的に燃焼室内に形成される混合気性状が算出される。
これにより、エバポパージ装置から燃焼室に導入される燃料蒸気により燃焼室内の混合気の性状が変化した場合であっても変化後の最終的な混合気の性状を求めることができるため、例えば最終的な混合気のオクタン価に応じて最適な点火時期を設定する、等のように混合気の性状に応じて最適な燃焼制御を行うことが可能となり、最適な燃焼状態を得ることができる。
なお、本明細書では「燃料蒸気の量を取得する」等の「取得する」は、センサ等を用いて対象を直接的に検出する場合と、対象とは別の検出値に基づいて計算等より対象となる値を間接的に得る場合との両方の場合を意味している。
請求項2に記載の発明によれば、前記エバポパージ装置は、前記それぞれの燃料タンク毎に設けられ、それぞれの燃料タンク内に発生する燃料蒸気を吸着するキャニスタと、機関運転中に、前記それぞれのキャニスタをパージし、キャニスタに吸着された燃料蒸気を含むパージ混合気として機関に供給するバージ通路とを備え、前記制御装置は、前記各パージ通路から機関に供給される各パージ混合気中の燃料蒸気濃度を取得し、取得した各燃料の燃料蒸気濃度に基づいて機関に導入される前記それぞれの種類の燃料蒸気の量を算出する、請求項1に記載の内燃機関の制御装置が提供される。
すなわち、請求項2の発明ではエバポパージ装置は、それぞれの燃料タンクからの燃料蒸気を吸着するキャニスタが設けられており、各キャニスタからのパージ混合気としてキャニスタに吸着された燃料蒸気が機関に供給される。
また、本発明では機関に供給される各パージ混合気中の燃料蒸気濃度が取得され、取得された燃料蒸気濃度に基づいて機関に供給されるそれぞれの燃料蒸気量が算出される。
なお、燃料蒸気濃度は、各パージ通路に空燃比センサを配置してパージ混合気の空燃比を検出することにより取得しても良いし、例えば機関排気通路に配置した空燃比制御用の空燃比センサ出力のパージの有無による変化に基づいて取得するようにすることも可能である。
請求項3に記載の発明によれば、更に、前記各パージ通路を流れるパージ混合気の流量を制御するパージ制御弁を備え、各パージ通路を流れるパージ混合気のうち燃料蒸気濃度が所定値以上のものがある場合には、燃料蒸気濃度が所定値以上となったパージ通路からの燃料蒸気を他のパージ通路からの燃料蒸気より優先的に機関に導入する、請求項2に記載の内燃機関の制御装置が提供される。
すなわち、請求項3の発明では、請求項2の発明に加えて、更に取得した燃料蒸気濃度が所定値以上のパージ混合気がある場合には、そのパージ混合気を優先的に機関に供給する。
例えば、キャニスタを用いて燃料蒸気を吸着する場合には吸着した燃料蒸気量が増大するほどパージ実行時にパージ混合気中の燃料蒸気濃度が増大する。このため、パージ混合気中の燃料蒸気濃度が高いほどキャニスタが吸着した燃料蒸気で飽和する可能性が高くなっている。
このため、本発明では、あるキャニスタからの(あるパージ通路からの)パージ混合気中の燃料蒸気濃度が所定値以上となった場合には、そのキャニスタを優先的にパージすることとして、例えば他のキャニスタからのパージ通路からのパージ混合気の流量をパージ制御弁を用いて絞り、燃料蒸気濃度が高いキャニスタからのパー混合気の流量を相対的に増大させる。
これにより、燃料蒸気の吸着量が増大したキャニスタが優先的にパージされるため、キャニスタが燃料蒸気で飽和することが防止される。
各請求項に記載の発明によれば、性状の異なる複数種類の燃料蒸気を機関に導入する場合に、供給される燃料蒸気による燃焼室内の混合気の性状の変化を正確に取得することが可能となり、点火時期などの機関制御パラメータを実際の混合気の性状に応じて最適な値に制御することが可能となる共通の効果を奏する。
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を自動車用内燃機関に適用した場合の実施形態の概略構成を説明する図である。
図1において、100は車両用内燃機関であり、本実施形態では4気筒ガソリンエンジンが使用されている。また図1、110H、110Lは内燃機関1の各気筒にそれぞれ設けられた燃料噴射弁を示す。本実施形態では、燃料噴射弁110Hは各気筒の吸気ポートに燃料を噴射するポート噴射弁、燃料噴射弁110Lは各気筒内に直接燃料を噴射する筒内噴射弁とされている。
後述するように、本実施形態の内燃機関100は燃料噴射弁110Hと110Lとからオクタン価の異なる燃料を機関運転条件に応じた供給割合で噴射する複数燃料供給内燃機関とされている。具体的には、本実施形態では燃料噴射弁110Hから高オクタン価ガソリンを吸気ポートに、燃料噴射弁110Lからは低オクタン価ガソリンを気筒内に直接、それぞれ噴射するとともに、燃料噴射弁110Hと110Lからの燃料噴射量の比率(供給割合)を機関運転条件(例えば機関負荷)に応じて変更する制御を行う。
高オクタン価ガソリン用噴射弁110Hと低オクタン価ガソリン用噴射弁110Lは、それぞれ高オクタン価ガソリン用デリバリパイプ20Hと低オクタン価ガソリン用デリバリパイプ20Lに接続されており、デリバリパイプ20H、20L内の燃料を各気筒にそれぞれ噴射する。
なお、図1の実施形態では高オクタン価ガソリンをポート噴射弁110Hから、低オクタン価ガソリンを筒内噴射弁110Lから、それぞれ個別に各気筒に噴射しているが、燃料噴射弁110Hと110Lとの両方ともにポート噴射弁または筒内噴射弁とすることも可能である。また、この両方をポート噴射弁または筒内噴射弁とする場合に高オクタン価ガソリン用燃料噴射弁110Hと低オクタン価ガソリン用燃料噴射弁110Lとを個別に設けずに、デリバリパイプ20Hと20Lとを単一の筒内燃料噴射弁に接続し、燃料噴射弁供給前に、或いは燃料噴射弁供給後に燃料噴射弁内で、高オクタン価ガソリンと低オクタン価燃料とを所定の割合で混合するようにしても良い。
図1において、11H、11Lで示すのは機関100の燃料タンクである。本実施形態では、オクタン価の異なる2つの燃料油を燃料噴射弁110Hと110Lとから機関に噴射するために、それぞれの燃料タンクを別個に設けている。
図1において、燃料タンク11Hには高オクタンガソリンが、11Lには低オクタンガソリンがそれぞれ貯留されている。本実施形態では、高オクタン価ガソリンと低オクタン価ガソリンとは、それぞれ外部からタンク11Hと11Lとに別々に補給するようにしているが、例えば、市販の通常ガソリンをオクタン価の高い成分の含有量が多い高オクタン価ガソリンとオクタン価の高い成分の含有量が少ない低オクタン価ガソリンとに分離する燃料分離装置を車両上に配置し、燃料分離装置で生成した高オクタン価ガソリンと低オクタン価ガソリンとをタンク11Hと11Lとに貯留するようにしても良い。
燃料タンク11Hと11Lとに貯留された燃料は、吐出容量制御機構を備えた燃料噴射ポンプ21H、21Lにより昇圧されて燃料噴射弁110H、110Lに供給され、それぞれの燃料噴射弁から機関100の各気筒に噴射される。
すなわち、本実施形態では、高オクタン価ガソリンと低オクタン価ガソリンとは、互いに独立した供給経路を通って機関100の各気筒に供給され、それぞれの燃料噴射弁の燃料噴射量を個別に制御することにより、機関に供給する高オクタン価ガソリンと低オクタン価ガソリンとの供給割合を任意に設定することができる。
図1において250H、250Lで示すのは、それぞれの燃料タンク11H、11L内の蒸発燃料を吸着するキャニスタである。
キャニスタ250H、250Lはそれぞれ活性炭などの吸着剤を備えており、それぞれベーパー通路252H、252Lにより燃料タンク11Hと11Lの燃料タンク内液面上部空間に接続されている。これにより、燃料タンク11H内で発生した高オクタン価ガソリンの燃料蒸気はキャニスタ250Hに、燃料タンク11L内で発生した低オクタン価ガソリンの燃料蒸気はキャニスタ250Lに、それぞれベーパー通路252H、252Lを介して導かれ、キャニスタ250H、250L内の吸着剤に吸着、保持されるため、燃料タンク11H、11Lから大気に放散されることが防止される。
また、キャニスタ250H、250Lは、それぞれパージ通路251H、251Lにより吸気通路3の図示しないスロットル弁下流側に接続されており、パージ通路251H、251L上には、それぞれパージ制御弁253H、253Lが設けられている。
パージ制御弁253H、253Lは、例えばソレノイドアクチュエータを備え、後述するECU30からの駆動パルス信号に応じて開閉する。
すなわち、パージ制御弁253H、253Lは、駆動パルス信号の1周期のうち、パルス信号がオンになっている間開弁し、オフになっている間閉弁する動作を繰返している。従って、パージ制御弁を通るパージガス流量は、駆動パルス信号の1周期のうち、パルス信号がオンになっている時間の割合(デューティ比)に応じて増大する。
機関運転中にパージ制御弁253H、253Lに駆動パルス信号が供給されるとキャニスタ内250H、250L内の吸着剤に吸着された蒸発燃料は、各キャニスタの大気導入通路255H、255Lからキャニスタ内に流入するパージ空気により吸着材から離脱し、パージ混合気となってパージ制御弁253H、253Lを通ってから吸気通路3に流入する。これにより、キャニスタ内の吸着剤が吸着した燃料蒸気で飽和することが防止される。
キャニスタ250H、250Lからパージ制御弁253H、253Lを通って吸気通路3に流入したパージ混合気は、吸気通路3内で機関の吸入空気と混合して一様な混合気となり機関の各気筒内に吸入され、気筒内で燃焼する。
キャニスタ250H、250Lから機関に供給されるパージ混合気の流量はパージ制御弁253H、253Lのデューティ比を制御することにより、それぞれ0から100パーセントまで任意に調節することが可能である。
図1に30で示すのは機関100の電子制御ユニット(ECU)である。本実施形態では、ECU30は、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、演算ユニット(CPU)及び入出力ポートを双方向性バスで接続した公知の構成のマイクロコンピュータとして構成され、例えば機関の空燃比制御、各気筒の点火時期、燃料噴射量の制御、などの基本制御を行っている他、本実施形態では、後述するようにキャニスタ250H、250Lからのパージ混合気として機関に流入する燃料蒸気の量に応じて、機関燃焼室内に形成される混合気のオクタン価を算出する操作を行う。
これらの制御のため、ECU30の出力ポートは、図示しない駆動回路を介して各気筒の燃料噴射弁110H、110Lに接続されそれぞれの燃料噴射弁の燃料噴射量を制御している他、図示しない点火回路を介して各気筒の点火プラグ(図示せず)に接続され、機関の点火時期を制御している。また、ECU30の入力ポートには、回転数センサ33から機関1の回転数が、機関吸気通路3に設けられた吸気圧センサ35から機関の吸気圧力が、また、機関排気通路5に配置した空燃比センサ31から機関排気の空燃比が、それぞれ入力されている。
本実施形態では、ECU30は、吸気圧センサ35で検出した吸気圧力と回転数センサ33で求めた機関回転数とに基づいて、機関吸入空気量を算出し、この吸入空気量に対して機関燃焼空燃比を目標空燃比(例えば理論空燃比)にするために必要とされる燃料噴射量G0(重量)を算出する。
燃料噴射弁110Hと110Lとの実際の燃料噴射量はそれぞれ1回に噴射する燃料の体積QH、QL(ml)として制御され、それぞれ以下の式で与えられる。
QH=G0×KH×R×FAF×(1+FGH)
QL=G0×KL×(1−R)×FAF×(1+FGL)
ここで、KH、KLは燃料の重量(G0)を燃料体積(QH、QL)に換算するための係数であり、高オクタン価ガソリンと低オクタン価ガソリンそれぞれの規定の比重を用いて予め算出された一定値が用いられる。
また、FAFは前述した空燃比センサ31に基づく空燃比補正係数、FGH、FGLは後述する学習補正係数である。
また、Rは全体の燃料噴射量に閉める燃料噴射弁110Hの噴射量割合、すなわち高オクタン価ガソリンの供給割合であり、ECU30により機関運転状態(機関負荷)に応じて予め定めた関係に基づいて設定される。
例えば機関が高負荷で運転されるような場合には、ECU30は負荷が低い場合に較べて高オクタン価ガソリンの供給割合を増大させる。これにより、機関に供給される燃料の全体としてのオクタン価が上昇するため、点火時期を最大出力点火時期近くまで十分に進角させた運転を行い機関出力を増大させることが可能となる。
また、機関温度が低い場合などにはECU30は機関への低オクタン価ガソリンの供給割合を増大させる。低オクタン価ガソリンは一般に着火性が良好であるためこれにより、機関低温時にも燃焼状態が良好になり排気性状を良好に維持しつつ安定した運転を行うことができる。
次に、空燃比制御における学習補正係数について説明する。後述するように、本実施形態では、キャニスタ250Hと250Lとから異なるオクタン価を有する燃料蒸気が機関燃焼室に供給されるため、燃焼室内に実際に形成される混合気のオクタン価は、前述の供給割合Rから定まるオクタン価とは異なってくる。
本実施形態では、学習補正係数を用いてキャニスタ250Hと250Lとから供給される燃料蒸気の量を算出し、これらの燃料蒸気量と供給割合Rとを用いて最終的な混合気のオクタン価を算出している。
説明を簡単にするために、まず、単一燃料で機関を運転している場合を例にとって学習補正係数について説明すると、機関の燃料噴射量Q(ml)は、Q=G0×K×FAF×(1+FG)で表される。
ここで、前述したように、G0は機関吸入空気量に対して燃焼空燃比を目標空燃比とするために必要な燃料量(基準燃料量)であり、機関吸入空気量と目標空燃比とから算出される。また、Kは重量(G0)から体積(Q)への換算定数、FAFは空燃比補正係数、FGは学習補正係数である。
FAFは、運転条件の変動などによりG0と吸入空気量との対応が一時的にずれた場合などにも空燃比を正確に目標空燃比に一致させるためのフィードバック補正係数であり、排気空燃比センサで計測した排気空燃比が上記目標空燃比になるように毎回の燃料噴射時に設定される。
また、学習補正係数は例えば燃料噴射弁の噴射特性のばらつきなどによる偏差を補正するためのものである。上述したように、空燃比制御においては空燃比センサ31出力に基づいて排気空燃比(燃焼空燃比)が目標空燃比になるように燃料噴射量が補正されるのであるから、本来燃料噴射弁の噴射特性のばらつきがあったとしてもFAFの値がそれに応じて変化するためばらつきの影響は生じないはずである。
しかし、本来FAFの値はセンサーや燃料噴射弁特性のばらつき等の誤差がなければ変動の中心は1.0となる。また、制御の発散を防止する目的で、FAFの値には1.0を中心とする所定の上限値と下限値とが設けられている。このため、燃料噴射弁の噴射特性のばらつきなどがあると、FAFの値は1.0よりも大きい値(または小さい値)を中心にして変化するようになり、FAFの上限値までの変化範囲(あるいは下限値までの変化範囲)が狭くなり、制御範囲が制約される問題がある。
そこで、通常の空燃比制御では、例えば燃料噴射弁の噴射特性のばらつきなどのように、恒常的な変化については学習補正係数を用いて補正し、FAFは常に上限値と下限値との中央(1.0)付近で変動するようにして運転状態の変化などによる一時的な空燃比変化を補正するようにしている。
すなわち、学習補正係数FGの値は、空燃比補正係数FAFの変動の中心値が1.0に一致する値に設定される。例えばFAFの値が1.005を中心に変動するようになった場合には、FGの値は0.005に設定される(1+FG=1.005)。このように学習補正係数FGを設定することにより、FAFの値は常に1.0を中心に変動するようになる。
ECU30は別途実行される学習補正係数算出操作で、空燃比補正係数FAFの時間平均値を算出し、この平均値を1.0にする値を学習補正係数FGとして設定、記憶する。これにより、運転状態の変化により一時的に空燃比がずれた場合にも応答良く空燃比を目標値に一致するように補正することができる。
この学習補正係数FGの値は、機関負荷などの運転条件によっても変化するため、通常機関の運転負荷領域をいくつかの領域に区分して、各領域毎に学習補正係数FGの値を設定している。
また、本実施形態のように複数燃料を個別の燃料噴射弁から噴射するような場合には、各燃料噴射弁毎に学習補正係数を設定する。
このため、本実施形態では高オクタン価ガソリン用燃料噴射弁110Hと低オクタン価ガソリン用燃料噴射弁110Lとの両方について学習補正係数が個別に設定されている。
学習補正係数FGは燃料噴射弁の噴射特性のばらつきや摩耗などによるずれなどの恒常的な変化を補償するものであり、噴射特性などが標準状態に一致していれば0になる。また、標準状態からのずれが大きくなるほどFGの絶対値は大きくなり、(1+FG)の値と1との偏差は大きくなる。
前述したように、キャニスタからのパージが行われると本実施形態では、キャニスタ250Hからは高オクタン価ガソリンの燃料蒸気が、キャニスタ250Lからは低オクタン価ガソリンの燃料蒸気が、それぞれ機関燃焼室に供給されるため所定の供給割合で高オクタン価ガソリンと低オクタン価ガソリンとが燃料噴射弁110Hと110Lから噴射されていた場合であっても実際に燃焼室内に形成される混合気のオクタン価は、高オクタン価ガソリンと低オクタン価ガソリンとの供給割合(燃料噴射割合)から算出される値とは異なってきてしまう。
この場合も、上記学習補正が行われると機関空燃比は目標空燃比に正確に維持される。ところが、最適点火時期は混合気のオクタン価に応じて変化するため、キャニスタからのパージ混合気により、燃焼室内の混合気のオクタン価が変化すると最適点火時期も上記供給割合から算出されるオクタン価に適した点火時期から変化してしまい、供給割合から定まる点火時期で機関を運転しているとノッキングが生じたり、点火時期を進角して出力を十分に増大できるにもかかわらず十分に点火時期を進角しないで運転するため、機関性能や燃費が悪化するような場合が生じる。
本実施形態では、キャニスタから流入するパージ混合気中の高オクタン価ガソリンと低オクタン価ガソリンとの燃料蒸気量を求め、この燃料蒸気量と各燃料の供給割合とから燃焼室内に形成される混合気の実際のオクタン価を算出し、実際のオクタン価に基づいて最適点火時期を設定することにより上記の問題を解決している。
キャニスタからのパージ混合気中の燃料蒸気量は、各パージ通路、若しくは機関吸気通路に空燃比センサを設け、パージ実行時のパージ混合気または吸気の空燃比を検出して各キャニスタからの燃料蒸気濃度を直接的に求めても良いが、本実施形態ではパージ実行の有無による上記空燃比制御の学習補正係数の値の変化に基づいて各キャニスタからの燃料蒸気濃度を算出するようにしている。
上述したように、学習補正係数FGの値は燃料噴射弁の噴射特性等のばらつきやずれに応じて変化するが、燃料噴射弁から噴射される燃料以外の燃料、例えば各キャニスタからのパージ混合気中の燃料蒸気などが機関燃焼室に供給された場合にも変化する。
例えば、パージ開始前に学習補正係数の値がFG0に収束していたとする。この状態でパージを開始したときに、学習補正係数の値が変化して(FG0−α)に収束したとする。
前述したように、機関の燃料噴射量Qは、Q=G0×K×FAF×(1+FG)で表される。従って、この場合にはパージ開始前の燃料噴射量Q0は、Q0=G0×K×FAF×(1+FG0)、パージ実行後の燃料噴射量Qpgは、Qpg=G0×K×FAF×(1+(FG−α))となる。
すなわち、パージ開始後は燃料噴射量が(Q0−Qpg)=G0×K×FAF×αだけ減少したことになる。ここで、パージ開始前後で空燃比フィードバック制御により機関空燃比は同一に維持されており、機関燃焼室に供給される燃料量の合計は同一になっている。このため、上記パージ開始後の燃料噴射量の減少分はパージ混合気として機関燃焼室に供給された燃料蒸気量に等しい。
従って、キャニスタからパージ混合気として機関に供給された燃料量は、(Q0−Qpg)G0×K×FAF×αとなる。ここで、燃料量を重量で表すと、換算計数Kは不要となり(K=1.0)、更にFAFの平均値は1.0であるため、FAF=1.0と置くと、結局キャニスタから流入する燃料蒸気量(重量)は、G0×αとして求められる。
また、パージ混合気流量は、パージ制御弁開度(デューティ比)と機関吸気圧力との関数として与えられる。従って、上記のようにパージ実行中の学習補正係数の変化量から求めた燃料蒸気量と、パージ制御弁開度と機関吸気圧力とから求めたパージ混合気流量とを用いて、パージ混合気中の蒸発燃料濃度を算出することができる。
本実施形態ではパージ混合気流量の値が予めECU30のROMにパージ制御弁開度と機関吸気圧力とをパラメータとした2次元数値テーブルの形で記憶されている。
ECU30は、各キャニスタ250H、250Lからのパージを行っていない状態での学習補正係数FG(基準学習補正係数)を求め、次に、キャニスタ250Hと250Lをそれぞれ個別にパージして、学習補正係数の値の基準学習補正係数からの変化を求める。
すなわち、例えばECU30はまず高オクタン価ガソリン用キャニスタ250Hのパージ制御弁253Hを所定の開度(デューティ比)(例えば、全開)に保持して、このときの学習補正係数係数の変化量ΔHを求める。そして、次にキャニスタ250Hのパージ制御弁253Hを全閉にするとともに、低オクタン価ガソリン用キャニスタ250Lのパージ制御弁253Lを所定の開度(例えば前回)に保持して、このときの学習補正係数FGの変化量ΔLを求める。
そして、ECU30は学習補正係数変化量ΔH、ΔLと、パージ混合気の流量とからそれぞれのキャニスタ250H、250Lからの燃料蒸気濃度VPH、VPLを算出する。
この、キャニスタからのパージ混合気の燃料蒸気濃度は、キャニスタの燃料蒸気吸着量に依存し、パージ混合気の流量が変化してもあまり変化しないことが判明している。
そこで、後述するように、ECU30は上記により算出したパージ混合気中の燃料蒸気濃度を用いて異なる運転条件におけるパージ操作中のパージ混合気中の燃料蒸気による燃焼室内混合気のオクタン価変化を計算する。
また、通常のパージ操作時には各キャニスタのパージが同時に行われるが、上記により算出した各キャニスタからのパージ混合気中の燃料蒸気濃度が所定値以上になっている場合には、ECU30は燃料蒸気濃度が所定値以上になっているキャニスタを優先的にパージする。すなわち、燃料蒸気濃度が所定値以上になっている場合には、キャニスタの吸着した燃料蒸気量が増大している。このため、ECU30はこのキャニスタのパージ制御弁開度を他のキャニスタのパージ制御弁開度より大きく設定し、このキャニスタからのパージ混合気流量が他のキャニスタからのパージ混合気流量より大きくなるように設定する。これにより、吸着した燃料蒸気量が多いキャニスタからの燃料蒸気脱離が促進されキャニスタが燃料蒸気で飽和することが防止される。
図2から図4は、上記操作を具体的に説明するフローチャートである。
図2はECU30により実行される、各キャニスタからのパージ混合気の燃料蒸気濃度取得操作を説明するフローチャートである。
図2の操作では、まずステップ201で基準学習補正係数の取得が完了しているか否かが判定される。基準学習補正係数は、キャニスタのパージを行っていない状態での学習補正係数であり、各燃料噴射弁110H、110Lの燃料噴射特性のずれなどのように、定常的な偏差に対応するものである。
本実施形態では、高オクタン価ガソリン用燃料噴射弁110Hと低オクタン価ガソリン用燃料噴射弁110Lとが使用されているため、基準学習補正係数も燃料噴射弁110H用の値FGHIと燃料噴射弁110L用の値FGLIとの2つが個別に求められる。基準学習補正係数FGHIとFGLIとは、それぞれの燃料噴射弁単独で燃料噴射を行う運転領域(高オクタン価ガソリンのみ、或いは低オクタン価ガソリンのみで機関が運転される領域)でパージを実行していない状態で取得される。
ステップ201で基準学習補正係数が取得されていない場合は、図2の操作は終了し、燃料蒸気濃度取得操作は基準学習補正係数が取得されるまで実行されない。
ステップ201で基準学習補正係数の取得が完了している場合には、次にステップ203で現在パージ実行許可条件が成立しているか否かが判定される。
本実施形態でのパージ実行許可条件は、例えば、現在機関の暖機が終了していること(機関冷却水温度が所定値以上になっていること)及び、現在空燃比センサ31出力に基づく空燃比フィードバック制御が実行されていること、である。
ステップ203のパージ実行許可条件が成立していない場合には、図2の操作は終了し、燃料蒸気濃度の取得操作は実行されない。
ステップ203のパージ実行許可条件が成立している場合には、次にステップ205に進みフラグXFGHの値が1にセットされているか否かが判定される。XFGHは、高オクタン価ガソリン用キャニスタ250Hからの燃料蒸気濃度の取得が完了しているか否かを表すフラグであり、機関始動時に0にセットされ、燃料蒸気濃度取得完了後(ステップ213)に1にセットされる。
ステップ205で高オクタン価ガソリン用キャニスタ250Hからの燃料蒸気濃度取得が完了していない場合(XFGH=0)には、ステップ207の高オクタン価ガソリン蒸気濃度取得操作が実行される。
すなわち、ステップ207では、低オクタン価ガソリン用キャニスタ250Lのパージ制御弁253Lを全閉にした状態で、高オクタン価ガソリン用キャニスタ250Hのパージ制御弁253Hを所定開度(本実施形態では全開)に保持し、学習補正係数FGHIとFGLIとの両方の値の変化が終了するのを待ち、FHGIとFGLIのパージによる変化量(−ΔHH)、(−ΔLH)とを求める。
そして、これらの変化量から、燃料蒸気として燃焼室に供給されている燃料量(重量)ΔGHを、ΔGH=(G0×R×ΔHH)+(G0×(1−R)×ΔLH)として算出する。
高オクタン価ガソリン用キャニスタ250Hからのパージ混合気中の燃料蒸気濃度(高オクタン価ガソリン蒸気濃度)VPHは、VPH=ΔGH/GPGとして算出される。
ここで、GPGはステップ207におけるパージ混合気流量であり、燃料蒸気取得操作時の機関の吸気圧力とパージ制御弁開度との関数として与えられる。
ステップ207で燃料蒸気濃度VPH算出を完了後、ステップ209では燃料蒸気濃度が予め定めた上限値VPHmaxを越えているか否かが判定され、越えている場合にはステップ211で高オクタン価ガソリン蒸気の高濃度フラグFGHAの値を1にセットした後、また、VPHmax以下の場合には、ステップ213でフラグFGHAの値をゼロにセットした後、それぞれ高オクタン価ガソリン蒸気濃度取得完了フラグXFGHの値を1にセットし、ステップ217に進む。
ステップ217から227では、低オクタン価ガソリン用キャニスタ250Lについてステップ205から235と同様な操作が行われ、低オクタン価ガソリン蒸気濃度VPLが算出される。
また、高オクタン価ガソリン蒸気濃度VPHと低オクタン価ガソリン蒸気濃度VPLとの両方の取得が完了した場合にはステップ229で燃料蒸気濃度取得完了フラグXFGHLの値が1にセットされる。なお、フラグXFGHL、XFGLの値は、フラグXFGHと同様に機関始動時にゼロにリセットされる。
図2の操作により、パージ実行時のキャニスタ250Hからの高オクタン価ガソリン蒸気濃度VPHとキャニスタ250Lからの低オクタン価ガソリン蒸気濃度VPLとが算出される。
なお、前述したように燃料蒸気濃度VPHとVPLとは、上記のように学習補正係数の変化から間接的に算出する代わりに、パージ通路251Hと251L、またはパージ通路接続部下流側吸気通路3に配置した吸気空燃比センサを用いて直接的に検出することも可能である。
次に、図3を参照して、図2の操作で算出した燃料蒸気濃度を用いた、燃焼室内混合気の最終性状(本実施形態ではオクタン価)の算出と、算出結果に基づく点火時期補正操作を具体的に説明する。
図3の操作は、ECU30により所定の点火時期設定タイミングに行われる。
図3の操作では、まずステップ301で各キャニスタの燃料蒸気濃度取得が完了しているか否かが燃料蒸気濃度取得完了フラグXFGHLの値に基づいて判断され、取得が完了していない場合(XFGHL=0)には、ステップ303以下の最終オクタン価の算出と点火時期補正は行わず操作を終了する。
この場合には、混合気のオクタン価と点火時期とは別途ECU30により実行される点火時期設定操作により、基準供給割合Rに基づいて設定される。
ステップ301で燃料蒸気濃度取得が完了していた場合(XFGHL=1)には、次にステップ303で現在の機関への燃料供給割合Rが読み込まれる。
本実施形態では、燃料供給割合Rは燃料噴射弁110Hと110Lからの燃料噴射量合計量に対する高オクタン価ガソリン(燃料噴射弁110H)の噴射量の比として定義される。燃料供給割合Rとしては、基本的には別途ECU30により実行される燃料供給割合設定操作により、機関負荷率、回転数、吸気圧力(吸入空気量)から予め定めた関係に基づいて決定される基準供給割合が用いられるが、必要に応じてこの基準燃料割合を、燃料タンク11H、11L内の燃料残量(両方の燃料の消費バランス)、ノッキングの発生の有無などを加味して変更した値を用いるようにしても良い。
そして、ステップ305、307では、それぞれ燃焼室に流入するパージ混合気中の高オクタン価ガソリン蒸気と低オクタン価ガソリン蒸気との量が算出される。
すなわち、ステップ305では、高オクタン価ガソリン用キャニスタ250Hのパージ制御弁253Hの開度(デューティ比)と、機関の吸気圧力とから現在のキャニスタ250Hのパージ混合気流量GPGHを算出し、この流量と図2の操作で求めたパージ混合気中の高オクタン価ガソリン蒸気濃度VPHとから、燃焼室に流入する高オクタン価ガソリン蒸気量GVPHを算出する。
また、ステップ307ではステップ305と同様な方法で、燃焼室に流入する低オクタン価ガソリン蒸気量GVPLを算出する。
そして、ステップ309では、現在の燃料噴射弁110Hと110Lとの燃料噴射量からそれぞれ高オクタン価ガソリン噴射量と低オクタン価ガソリン噴射量とを求め、これらにパージにより供給される高オクタン価ガソリン蒸気量GVPHと低オクタン価ガソリン蒸気量GVPLとを加え、これらの混合後のオクタン価RONを算出する。
すなわち、ステップ309で算出されるオクタン価RONは、最終的に燃焼室内で形成された混合気のオクタン価である。
そして、ステップ311では上記により算出した最終的なオクタン価RONと機関回転数、負荷とにを用いて予め定めた関係に基づいて最適点火時期IGが設定される。
これにより、キャニスタのパージにより燃焼室内の混合気のオクタン価が変化する場合でも、変化後のオクタン価に最適な点火時期が設定されるようになり、ノッキングや燃費の悪化が防止される。
次に、図4はキャニスタ250H、250Lのパージ操作を具体的に説明するフローチャートである。本操作では、パージ実行時のそれぞれのキャニスタのパージ制御弁開度が決定される。
図4の操作では、まずステップ401で現在パージ実行許可条件が成立しているか否かが判定される。ステップ401のパージ実行許可条件は図2ステップ203のパージ実行許可条件と同一である。
ステップ401でパージ実行許可条件が成立していない場合には、本操作は直ちに終了する。また、パージ実行許可条件が成立していた場合にはステップ403以下が実行される。
すなわち、ステップ403では、まず高オクタン価ガソリン蒸気高濃度フラグFGHAが1にセットされているか否かが判定される。FGHAは、図2の操作で高オクタン価ガソリン用キャニスタ250Hのパージ混合気中の燃料蒸気濃度が所定値を越えている場合に1にセットされるフラグであり、FGHAが1にセットされていることは、高オクタン価ガソリン用キャニスタ250Hの燃料蒸気吸着量が増大していることを意味する。
そこで、この場合にはステップ405に進み、キャニスタ250Hのパージ制御弁253H開度(デューティ比)DRHを、キャニスタ250Lのパージ制御弁253Lの開度(デューティ比)DRLより大きな値に設定する。
これにより、キャニスタ250Hのパージ空気量がキャニスタ250Lのパージ空気量より大きくなり、キャニスタ250Hがキャニスタ250Lより優先的にパージされるようになるため、キャニスタ250Hが吸着した燃料蒸気で飽和することが防止される。
また、ステップ403でフラグFGHAが1にセットされていない場合には、次にステップ407で、低オクタン価ガソリン蒸気高濃度フラグFGLAの値が1にセットされているか否かを判定し、1にセットされている場合にはステップ409で、パージ制御弁253Lの開度(デューティ比)DRLをパージ制御弁253Hの開度(デューティ比)DRHより大きな値に設定し、低オクタン価ガソリン用キャニスタ250Lを優先的にパージし、キャニスタ250Lが吸着燃料蒸気で飽和することを防止する。
また、ステップ407でFGLA=1でない場合には、キャニスタ250H、250Lとも吸着燃料蒸気量は増大していないため、ステップ411に進みパージ制御弁253Hと253Lの開度DRH、DRLを通常の値(DRH=DRL)にセットして操作を終了する。これにより、キャニスタ250Hと250Lとでほぼ均等にパージが行われるようになる。
なお、上記実施形態は高オクタン価ガソリン用キャニスタ250Hと低オクタン価ガソリン用キャニスタ250Lの2つのキャニスタを設置する場合を例にとって説明したが、キャニスタ(燃料の種類)の数が3つまたはそれ以上の時も、上記実施形態と同様な操作により、燃焼室内の混合気の実際のオクタン価を求め、それに応じて点火時期を調整することが可能なことは言うまでもない。
本発明を自動車用内燃機関に適用した場合の、実施形態の概略構成を説明する図である。 燃料蒸気濃度取得操作を説明するフローチャートである。 点火時期補正操作を説明するフローチャートである。 キャニスタのパージ操作を説明するフローチャートである。
符号の説明
3 吸気通路
11H、11L 燃料タンク
30 電子制御ユニット(ECU)
31 空燃比センサ
35 吸気圧センサ
110H、110L 燃料噴射弁
250H、250L キャニスタ
251H、251L パージ通路
253H、253L パージ制御弁

Claims (3)

  1. 燃焼室に任意の供給割合で供給される性状の異なる複数種類の燃料で運転可能な内燃機関の制御装置であって、
    前記内燃機関は、前記それぞれの種類毎の燃料を貯留する燃料タンクと、それぞれの燃料タンク内に発生する燃料蒸気を機関燃焼室に導入し、大気への放散を防止するエバポパージ装置を備え、
    前記制御装置は、前記各燃料タンクから機関に導入されるそれぞれの種類の燃料蒸気の量を取得するとともに、取得したそれぞれの燃料蒸気量に基づいて燃焼室内に形成される燃料混合気の性状を算出することを特徴とする、内燃機関の制御装置。
  2. 前記エバポパージ装置は、前記それぞれの燃料タンク毎に設けられ、それぞれの燃料タンク内に発生する燃料蒸気を吸着するキャニスタと、
    機関運転中に、前記それぞれのキャニスタをパージし、キャニスタに吸着された燃料蒸気を含むパージ混合気として機関に供給するバージ通路とを備え、
    前記制御装置は、前記各パージ通路から機関に供給される各パージ混合気中の燃料蒸気濃度を取得し、取得した各燃料の燃料蒸気濃度に基づいて機関に導入される前記それぞれの種類の燃料蒸気の量を算出する、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 更に、前記各パージ通路を流れるパージ混合気の流量を制御するパージ制御弁を備え、各パージ通路を流れるパージ混合気のうち燃料蒸気濃度が所定値以上のものがある場合には、燃料蒸気濃度が所定値以上となったパージ通路からの燃料蒸気を他のパージ通路からの燃料蒸気より優先的に機関に導入する、請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
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