JP2006045885A - リアルタイム地震情報を利用した制振制御方法および制振制御システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 簡易な装置によって地震到達前に、確実に当該地震の規模に応じて構造物の制振免震性能を最適化することが可能となるリアルタイム地震情報を利用した制振制御方法およびこれに用いられる制振制御システムを提供する。
【解決手段】 地震発生時に震源の近くで検知された初期微動を示すP波によって得られた当該地震の少なくともマグニチュードと震源位置に係るリアルタイム地震情報を利用して、振動を減衰させるとともにその剛性および/または減衰性能が可変とされた構造制御手段4を有する構造物1の制振免震性能を制御する制振制御方法であって、上記リアルタイム地震情報から、上記地震の到達前に、構造物1の建設地点における地震動レベルを算出して、構造制御手段4を、上記算出によって得られた地震動レベルに対応した減衰性能に制御することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、リアルタイム地震情報を利用して、地震到達前に構造物の揺れに対する制振性能を制御する制振制御方法およびこれに用いられる制振制御システムに関するものである。
先の兵庫県南部地震を契機として、地震に対して構造物の安全性を確保するために、当該構造物の基礎部分や中間階の柱等に免震装置や制振装置を介装することにより、地震等によって地盤から構造物に伝播しようとする振動を緩和させて、構造物の躯体に生じる応力や変形を少なくする様々な構造の免震構造や制振構造が開発され、実用に供されている。
上記免震構造物に使用される免震装置としては、例えば積層ゴム等を用いた弾性支承系のものや、滑り支承系または転がり支承系のものが知られている。
ちなみに、上記積層ゴムを用いた弾性支承による免震装置は、鋼板とゴムシートとを交互に多層に重ねあわせることにより、大きな荷重支持能力と水平変位能力とを有する支承部材であり、地震時に発生する水平方向の相対変位を上記ゴムの弾性によって吸収し、構造物の固有周期を長周期化させることにより地震力の影響を低減化させるものである。
他方、すべり支承系または転がり支承系の免震装置は、構造物と基礎との間に介装されたすべり部材や転がり部材によって、地震時に構造物と基礎との間の相対変位を許容することにより、地震力が直接構造物に作用することを抑制するものである。
そして、上記滑り支承系の免震装置によれば、摩擦力によって上記振動を減衰させることができ、さらに当該振動を積極的に減衰させる場合には、通常上記免震装置に加えて粘性ダンパ等の減衰性能を有する制振装置が併設されている。
ところで、このような制振装置を備えた免震構造物を計画するに際して、上記滑り支承を用いた場合を例に採ると、滑り支承の摩擦係数を小さくすればする程、免震効果は向上し、応答加速度を小さくすることが可能である。極端なケースとして、上記摩擦係数を0にすることが可能であれば、地震動は構造物に伝達せずに応答加速度は0になる。この結果、あたかも構造物が絶対空間に静止するような免震効果を実現することができる。
ところが、上記摩擦係数が小さくなると、地盤に対する構造物の相対的な応答変位が大きくなり、大地震時に当該構造物が周囲の擁壁等と衝突する危険が生じる。
このため、従来の免震構造物においては、一般にレベル2地震動クラスの大地震に対して、上記構造物の相対的変位が許容範囲に収まるように、免震性能をある程度犠牲にして、摩擦係数を大きくするか、または制振装置の減衰力をある程度大きく設定する手法が採られている。
この結果、構造物の応答変位が大きくならないような中小地震に対しても、減衰性能が必要以上に強く働くことになり、応答加速度が大きくなって、充分な免震性能を発揮することができないという問題点があった。
そこで、近年、上記制振装置として可変剛性機構や可変減衰ダンパーを用いたり、あるいは重りやジャイロ等の外部からのエネルギーを供給して構造物の剛性(すなわち固有周期)や減衰性能を制御するアクティブ制振装置を設置したりして、地震の規模に応じた揺れの少ない固有周期や減衰力に調整する制振構造物も実用化されている。
しかしながら、これらの制振構造においては、いずれもセンサーによって構造物の揺れを検出し、この検出信号に基づいて電気式あるいは油圧式のアクチュエータ等を駆動する、いわゆるフィードバック制御によるものであるために、応答遅れ等に起因して最適な制振性能を得ることが難しいという問題点があった。
また、特にアクティブ制振装置にあっては、外部エネルギーを多く必要とするために、装置コストが高く、また長期間にわたって装置の性能を維持して動作信頼性を確保するためのメンテナンス等に多大の手間を要するという問題点もあった。
加えて、当該制振装置を設置するために、構造物の上部の広いスペースを必要とする等の構造物計画上の制約も生じるという問題点があった。
ところで、地震波には伝播速度が速いP波(初期微動)と、伝播速度は遅いが大きな揺れを起こす振幅の大きいS波(主要動)がある。
そして、最近では、気象庁の緊急地震速報(ナウキャスト)や、防災科学技術研究所のリアルタイム地震情報活用システム(REIS)等の、地震発生時に震源の近くで検知された上記P波によって当該地震に関するリアルタイム地震情報を即時的に得る各種のシステムが開発されるとともに、当該システムによって得られたリアルタイム地震情報をインターネットや衛星通信によって配信するネットワークシステムも実用化しつつある。
ここで、上記リアルタイム地震情報には、発生した地震のマグニチュードと震源位置に関する情報に加えて、S波到達予想時刻,予想震度,地震動の波形等のより詳細な情報も含まれている。
また、震源から数Km以上離れた地点においては、S波に起因する地震動の主要動が到達するまでに数秒から数十秒の余裕がある。
そこで、本発明者等は、上記リアルタイム地震情報を利用して、S波による地震の大きな揺れが到着する前に、制振装置による剛性や減衰性能を当該地震の規模に応じて最適化すべく鋭意研究を行った結果、可変減衰ダンパー等の構造制御手段を有する制振システムに対して、上記リアルタイム地震情報のうちの少なくとも地震のマグニチュードと震源位置に係る情報から、上記構造物の建設地点における地震動レベルを得て、この地震動レベルに基づいて上記可変減衰ダンパー等の減衰性能を制御することにより、地震到達前に構造物の制振性能を最適化することができるとの知見を得るに至った。
本発明は、かかる知見に基づいてなされたもので、アクティブ制振のような装置の大型化や複雑化を招くことなく、簡易な装置によって地震到達前に、確実に当該地震の規模に応じて構造物の制振性能を最適化することが可能となるリアルタイム地震情報を利用した制振制御方法およびこれに用いられる制振制御システムを提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、地震発生時に震源の近くで検知された初期微動を示すP波によって得られた当該地震の少なくともマグニチュードと震源位置に係るリアルタイム地震情報を利用して、振動を減衰させるとともにその剛性および/または減衰性能が可変とされた構造制御手段を有する構造物の制振性能を制御する制振制御方法であって、上記リアルタイム地震情報から、上記地震の到達前に、上記構造物の建設地点における地震動レベルを算出して、上記可変減衰手段を、上記算出によって得られた地震動レベルに対応した剛性および/または減衰性能に制御することを特徴とするものである。
ここで、地震動レベルとは、当該地震に起因して構造物に発生する振動の加速度、速度または変位の最大値をいう。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記リアルタイム地震情報から、上記地震の到達前に、上記構造物の建設地点における当該構造物の応答値を算出して、上記可変減衰手段を、上記算出によって得られた応答値に対応した剛性および/または減衰性能に制御することを特徴とするものである。
ここで、応答値とは、当該地震に起因して構造物に発生する振動の加速度、速度または変位の応答値をいう。
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記リアルタイム地震情報から、地震動レベルの距離減衰式を用いて、上記構造物の建設地点における地震動レベルを算出することを特徴とするものであり、請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、上記リアルタイム地震情報から、応答スペクトルの距離減衰式を用いて、上記構造物の建設地点における当該構造物の応答値を算出することを特徴とするものである。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、上記構造物は、上部構造と下部構造との間に免震装置が設けられるとともに、上記上部構造と下部構造との間に、上記構造制御手段が介装されていることを特徴とするものである。
次いで、請求項6に記載の発明は、リアルタイム地震情報を利用した制振制御システムに係るものであり、構造物の振動を減衰させるとともに、その剛性および/または減衰性能が可変とされた構造制御手段と、地震発生時に震源の近くで検知された初期微動を示すP波によって得られた当該地震の少なくともマグニチュードと震源位置に係るリアルタイム地震情報を受信する受信手段と、この受信手段で受信した上記リアルタイム地震情報から、上記地震の到達前に上記構造物の建設地点における地震動レベルまたは当該構造物の応答値を算出する演算手段と、この演算手段によって得られた上記地震動レベルまたは上記応答値に基づいて、上記地震の到達前に上記構造制御手段の剛性および/または減衰性能を調整する応答制御手段とを備えてなることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明およびこれを用いた請求項1〜5のいずれかに記載の発明によれば、地震が発生した際に、リアルタイム地震情報によって得られた上記地震のマグニチュードと震源位置から、当該地震のS波が到達する前に、構造物の建設地点までの距離および上記構造物の建設地点における地震動レベルまたは応答値を算出する。
そして、上記地震動レベルまたは応答値に基づいて、上記構造物における地震動レベルまたは応答値が小さいと判断された場合には、制振システムに組み込まれた構造制御手段の剛性と減衰性能の両方、或いはどちらか一方を弱く設定する。これにより、構造物の応答変位は大きくなるものの、応答加速度は小さくなり、制振性能は向上する。これに対して、上記構造物における地震動レベルまたは応答値が大きいと判断された場合には、制振システムに組み込まれた構造制御手段の剛性と減衰性能の両方、或いはどちらか一方を強く設定する。これにより、応答加速度は大きくなるものの、構造物の応答変位は抑制されて、周囲の擁壁等と衝突ことが回避される。
したがって、小規模な地震に対しては、構造物の応答加速度をほぼ0に近いものにすることも可能になり、また特に従来被害が発生していた中規模の地震に対しても、被害の発生を防止することが可能となる。
この結果、上述した従来のフィードバック制御やアクティブ制振のような装置の複雑化や大型化等を招くことなく、簡易な装置によって、地震到達前に、確実に当該地震の規模に応じて構造物の制振性能を最適化することが可能となる。
(実施の形態1)
図1は、本発明に係るリアルタイム地震情報を利用した制振制御システムを、建物の制振制御システムに適用した一実施形態を示すものである。
この建物(構造物、上部構造)1においては、基礎(下部構造)2との間に剛性の低い積層ゴム用いた弾性支承による免震装置3、すべり支承系または転がり支承系の免震装置(図示を略す。)および可変減衰ダンパー(構造制御手段)4が介装されている。
ここで、可変減衰ダンパー4としては、各種形態の汎用品を用いることが可能であるが、例えば基礎2側に固定されたシリンダー4aの内部に粘性流体が充填され、内部にピストンが移動自在に設けられるとともに、当該ピストンに固定されたロッド4bが建物1側に固定され、かつシリンダー4a内のピストンの前後を連通されるオリフィスの径が調整可能に設けられている物等が好適である。
そして、この建物1には、防災科学技術研究所のREIS等から発せられたリアルタイム地震情報を衛星通信を介して受信するためのアンテナ(受信手段)5およびインターネットを介して受信するためのインターネット通信回線(受信手段)6が設けられている。また、上記受信手段5、6からのリアルタイム地震情報を常時取り込み可能に設定されているとともに、取り込まれたリアルタイム地震情報から、後述する地震動レベルまたは建物1の応答値を算出するプログラムが組み込まれた汎用のコンピュータ(演算手段)7が設置されている。
さらに、このコンピュータ7と可変減衰ダンパー4との間には、コンピュータ7によって演算された上記地震動レベルまたは上記応答変形値に基づいて、上記地震の到達前に可変減衰ダンパー4の減衰性能を調整する応答制御手段8が設けられている。
また、建物1の上下部および基礎2には、それぞれの位置における変位を検出する加速度センサー9a、9b、9cが設置されており、これらセンサー9a、9b、9cからの検出信号に基づいて、コンピュータ7によって事前の演算値と実際の応答変形値との差を補正して応答制御手段8に補正信号を送出するようになっている。
次に、上記構成からなる制振制御システムを用いて、本発明に係るリアルタイム地震情報を利用した制振制御方法の第1の実施形態について説明する。
先ず、ある場所で地震が発生すると、その震源の近くで検知された初期微動を示すP波によって得られたリアルタイム地震情報が防災科学技術研究所のREIS等から発せられる。すると、建物1に設置された受信手段5、6により、上記リアルタイム地震情報から、上記地震の少なくともマグニチュードと震源位置に係るリアルタイム地震情報がコンピュータ7に取り込まれる。
一方、コンピュータ7には、上記マグニチュードと震源位置に係るリアルタイム地震情報から建物1の建設地点における地震動レベルとして最大加速度振幅を算出するための距離減衰式を用いた演算プログラムが組み込まれている。
この距離減衰式としては、下記のような式が知られている。
logA=aMw+b・R+c−log(R+e) D≦30km
logA=aMw+b・R+c D>30km
ここで、A:最大加速度応答スペクトル、Mw:マグニチュード、R:震源からの距離、a、b、c:回帰係数、e:補正項、D:震源深さ、である。
図2の左方は、上記距離減衰式を用いた複数のマグニチュード(図ではMw=6、7、8)における最大加速度振幅A(縦軸)と震源からの距離R(横軸)との関係を示すものである。
なお、上記距離減衰式としては、上式の他に、(福島・田中 1990)による式、(安中他 1987)による式や、(司・翠川 1999)による式等が知られている。
ここで、このような距離減衰式は、一般に工学的基盤と呼ばれる地表面近くの地盤増幅特性の影響を受けない位置において評価されることが多いため、地表面における最大加速度振幅は、適切な地盤増幅効果を考慮してα倍する。
図2の右方は、上記地盤増幅特性を考慮した最大加速度振幅Aと震源からの距離Rとの関係を示すものである。そして、この制振制御方法においては、最大加速度振幅の大小に応じて、制御レベルI、II、IIIの三段階の減衰性能レベルが設定されている。
次いで、マグニチュードMwと震源位置に関するリアルタイム地震情報がコンピュータ7に取り込まれると、震源位置と建物1の建設地点の位置情報とにより震源からの距離Rや震源深さDが算定され、さらにこれらR、Dの値とマグニチュードMwとから、上記距離減衰式により、建物1の建設地点における地震動の最大加速度振幅が算定される。
そして、上記算定により得られた最大加速度振幅の値が、制御レベルIに属する場合は、上記地震の到達前に、応答制御手段8によって可変減衰ダンパー4の減衰性能を弱く設定する。これにより、地盤2に対する建物1の相対変位は大きくなるが、加速度応答は小さくなるために免震効果は向上する。
また、最大加速度振幅の値が、制御レベルIIに属する場合は、応答制御手段8によって可変減衰ダンパー4の減衰性能を中間値に設定する。これにより、加速度応答は少し大きくなり、免震効果は低下するが、地盤2に対する建物1の相対変位は抑えられ、建物1と周囲との衝突が回避される。
さらに、算定された最大加速度振幅の値が制御レベルIIIに属する大地震の場合は、可変減衰ダンパー4の減衰性能を強く設定する。これにより、加速度応答は大きくなるが、地盤2に対する建物1の相対変位は大幅に抑制され、建物1と周囲との衝突が回避される。
この結果、上記リアルタイム地震情報を利用した制振制御方法によれば、図4に示すように、中小規模の地震に対して減衰性能を弱く設定することができるために、従来と比較してこれら発生頻度の比較的高い中小規模の地震に対しても高い免震効果を発揮させることができる。
(実施の形態2)
次に、図1に示した制振制御システムを用いて、本発明に係るリアルタイム地震情報を利用した制振制御方法の第2の実施形態について説明する。
本実施形態に係る制振制御方法においては、上述したリアルタイム地震情報から発生した地震のマグニチュードと震源位置とを得て、上記地震の到達前に、建物1の最大応答値を算出して、可変減衰ダンパー4を、得られた応答変形値に対応した減衰性能に制御することに特徴がある。
すなわち、上記コンピュータ7には、上記マグニチュードと震源位置に係るリアルタイム地震情報から建物1の最大応答値を算出するための、固有周期Tの関数として表される応答スペクトルの距離減衰式を用いた演算プログラムが組み込まれている。
この距離減衰式としては、下記のような式が知られている。
logA(T)=a(T)Mw+b(T)・R+c(T)−log(R+e)
D≦30km
logA(T)=a(T)Mw+b(T)・R+c(T) D>30km
ここで、A(T):最大加速度応答スペクトル、Mw:マグニチュード、R:震源からの距離、a(T)、b(T)、c(T):回帰係数、e:補正項、D:震源深さ、である。
次いで、上記距離減衰式により、予め、建物1の固有周期(免震建物においては通常1次固有周期)Tmを含む固有周期Tと、加速度応答スペクトルA(T)との関係を、可変減衰ダンパー4において設定可能な数種類の減衰定数に対して作成しておく。
図3の左方は、複数のマグニチュード(図では、Mw=6、7の場合を示す)に対して、固有周期Tを横軸、加速度応答スペクトル(T)を縦軸とし、減衰定数h=10%、30%および50%の場合の各々の上記固有周期Tと加速度応答スペクトルA(T)との関係を描いたものである。
そして、得られた数種類の減衰定数hに対する固有周期Tと加速度応答スペクトルA(T)との関係から、図3右上に示すような、建物1の固有周期Tmにおける減衰定数hに対する最大加速度振幅A(Tm)が算定できる。
次に、地震が発生して、そのマグニチュードMwと震源位置に関するリアルタイム地震情報がコンピュータ7に取り込まれると、先ず、震源位置と建物1の建設地点の位置情報とにより震源からの距離Rや震源深さDが算定される。
次いで、上記マグニチュードMw、RおよびDから、上記算定方法により減衰定数hに対する建物1の工学的基盤における建物1の最大加速度振幅A(Tm)が算出される。
すなわち、上記距離減衰式についても、上記工学的基盤における加速度応答スペクトルを対象としているため、建物1の建設地点における表層地盤の増幅特性を考慮して、建物1の固有周期Tmに対応した増幅率βを乗じて地表面における建物1の最大加速度振幅を求める。
また、上記加速度応答スペクトルが得られると、例えば等価線形化法を用いて、下式により、建物1の応答変形が得られる。
β・A(tm)・M/Ke
ここで、Mは建物の有効質量であり、Keは等価剛性である。
また、加速度応答スペクトルの代わりに変位応答スペクトルの距離減衰式を評価して、直接応答変形を算定しても良い。
図3右は、地盤の増幅率βを考慮した地表面における建物1の最大応答変形と減衰率hとの関係を描いたものである。
これにより、建物1の最大加速度振幅A(Tm)から、その最大応答変形を算定することができる。
そして、図3右下に示すように、上記算定により得られた最大応答変形の値、β・A(tm)・M/Keと減衰率hとの関係から、例えばマグニチュードMw=8の時に建物1の最大応答変形を許容変形以内に納めるには、減衰定数をhIII以上に設定する必要があり、マグニチュードMw=6の時の時には、減衰定数をhI以上に設定する。
このように、最大応答変形が許容変形以内に納まる範囲で、最小の減衰定数に制御することにより、建物1と周囲との衝突が回避され、かつ最大限の免震性能を発揮させることが可能となる。
したがって、本実施形態に係るリアルタイム地震情報を利用した制振制御方法においても、図5に示すように、中小規模の地震に対して減衰性能を弱く設定することができるために、従来と比較してこれら発生頻度の比較的高い中小規模の地震に対しても高い免震効果を発揮させることができる。
なお、上記第1および第2の実施形態においては、いずれも免震となる構造物が建物1である場合についてのみ説明したが、これに限定されるものではなく、可変減衰ダンパーを組み込んだ床(構造物)の免震システムや、可変減衰ダンパーや可変剛性機構を備えた高層ビル等にも適用することが可能である。また、本発明は、可変減衰ダンパー4以外の他の可変減衰手段も用いることができる。
また、地震動レベルや応答変形を算出する方法として、地震動の最大加速度振幅や加速度応答スペクトルの距離減衰式を用いた場合について示したが、これに限らず、少なくともマグニチュードと震源位置に係るリアルタイム地震情報から、上記地震動レベルや応答変形を算出可能な、さらに精度を上げた各種の方法を採用することもできる。
また、第2の実施形態においては、複数の減衰定数hに対する加速応答スペクトルの距離減衰式から、建物1の応答変形を求めたが、これに限るものではなく、複数の減衰定数hに対する速度応答スペクトルあるいは変位応答スペクトルの距離減衰式を用いて建物1の応答変形を求めることも可能である。
さらに、本発明は、第1および第2の実施形態に示したような、可変減衰ダンパー4が、上下部構造間に弾性支承による免震装置3やすべり支承等による免震装置とともに用いられる場合についてのみ適用されるものではなく、例えば図6に示すように、構造制御手段の可変剛性機構として、耐震部材であるブレース10にブレースを効かせたり、開放したりするロック機構11を直列的に連結した可変剛性ブレースや可変剛性壁(図示を略す。)等が設けられた建物12における制振制御にも同様に適用することが可能である。
この場合のロック機構11としては、ブレース10の剛性を100%発揮させる場合と当該剛性を0%とする場合とに切換可能な機構や、減衰係数が大小の2段階、あるいは大中小の3段階以上に切換可能な可変減衰ダンパー等が好適である。
ロック機構11でブレースが効いた状態では、構造物の剛性が高くなって固有周期が短くなる。このため、一般に応答変形は小さくなるが、応答加速度が増加する。一方、ロック機構が開放された状態では、構造物の剛性が低くなって固有周期が長くなる。このため、一般に応答変形は大きくなるが、応答加速度が減少する。以上のように、可変剛性機構によっても可変減衰ダンパーを用いるのと同等の効果が得られ、両者を併用することにより更に相乗効果を発揮させることも可能である。
本発明に係るリアルタイム地震情報を利用した制振制御システムの一実施形態を示す概略構成図である。 実施の形態1の距離減衰式を用いた震源からの距離と最大加速度振幅との関係を示すグラフである。 実施の形態2の距離減衰式を用いた周期と最大加速度振幅との関係および減衰定数と最大加速度振幅との関係を示すグラフである。 第1の実施形態の効果を従来例と比較して示すグラフである。 第2の実施形態の効果を従来例と比較して示すグラフである。 本発明のリアルタイム地震情報を利用した制振制御システムの他の実施形態を示す概略構成図である。
符号の説明
1、10 建物(構造物、上部構造)
2 地盤(下部構造)
3 免震装置
4 可変減衰ダンパー(構造制御手段)
5 アンテナ(受信手段)
6 インターネット通信回線(受信手段)
7 コンピュータ(演算手段)
8 応答制御手段
11 可変減衰装置

Claims (6)

  1. 地震発生時に震源の近くで検知された初期微動を示すP波によって得られた当該地震の少なくともマグニチュードと震源位置に係るリアルタイム地震情報を利用して、振動を減衰させるとともにその剛性および/または減衰性能が可変とされた構造制御手段を有する構造物の制振性能を制御する制振制御方法であって、
    上記リアルタイム地震情報から、上記地震の到達前に、上記構造物の建設地点における地震動レベルを算出して、上記構造制御手段を、上記算出によって得られた地震動レベルに対応した剛性および/または減衰性能に制御することを特徴とするリアルタイム地震情報を利用した制振制御方法。
  2. 上記リアルタイム地震情報から、上記地震の到達前に、上記構造物の建設地点における当該構造物の応答値を算出して、上記構造制御手段を、上記算出によって得られた応答値に対応した剛性および/または減衰性能に制御することを特徴とする請求項1に記載のリアルタイム地震情報を利用した制振制御方法。
  3. 上記リアルタイム地震情報から、距離減衰式を用いて、上記構造物の建設地点における地震動レベルを算出することを特徴とする請求項1に記載のリアルタイム地震情報を利用した制振制御方法。
  4. 上記リアルタイム地震情報から、応答スペクトルの距離減衰式を用いて、上記構造物の建設地点における当該構造物の応答値を算出することを特徴とする請求項2に記載のリアルタイム地震情報を利用した制振制御方法。
  5. 上記構造物は、上部構造と下部構造との間に免震装置が設けられるとともに、上記上部構造と下部構造との間に、上記構造制御手段が介装されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の制振制御方法。
  6. 構造物の振動を減衰させるとともに、その剛性および/または減衰性能が可変とされた構造制御手段と、地震発生時に震源の近くで検知された初期微動を示すP波によって得られた当該地震の少なくともマグニチュードと震源位置に係るリアルタイム地震情報を受信する受信手段と、
    この受信手段で受信した上記リアルタイム地震情報から、上記地震の到達前に上記構造物の建設地点における地震動レベルまたは当該構造物の応答値を算出する演算手段と、
    この演算手段によって得られた上記地震動レベルまたは上記応答値に基づいて、上記地震の到達前に上記構造制御手段の剛性および/または減衰性能を調整する応答制御手段と、
    を備えてなることを特徴とするリアルタイム地震情報を利用した制振制御システム。
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