JP5223264B2 - 免震システム、可変ダンパー装置の制御システム - Google Patents

免震システム、可変ダンパー装置の制御システム Download PDF

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本発明は、アイソレータにより建物を免震支持し、建物に生じた振動エネルギーを可変ダンパー装置により吸収することにより構成される免震建物の可変ダンパー装置の減衰定数を調整する技術に関する。
従来より、建物本体を、アイソレータにより免震支持するとともに、建物本体に生じた振動エネルギーを吸収するダンパーを設けた免震建物が広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001―303794号公報
しかしながら、震源地や地震規模により免震建物に到達する地震動の周期特性は異なったものとなる。上記のような免震建物において、効率良く建物本体に生じた振動を吸収するためには、ダンパーの減衰定数が地震動の周期特性に応じた値になるように調整しなければならない。しかしながら、上記のような免震建物では、ダンパーの減衰定数を地震動の周期特性に応じて調整することができず、一定の値のまま用いているため、ダンパーの振動エネルギーの吸収能力を活かすことができず、効率よく振動エネルギーを吸収できていない。
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、免震建物において、地震動の周期特性によらずに、効率よく振動エネルギーを吸収できるようにすることを目的とする。
本発明の免震システムは、建物本体を免震支持するアイソレータと、減衰定数が可変であるとともに、前記建物本体に生じた振動エネルギーを吸収する可変ダンパー装置と、を備えた免震建物と、地震の震源地及び地震規模を含む地震情報を取得する地震情報取得部と、前記地震情報取得部が取得した地震情報に基づき、前記地震により前記建物本体に生じる振動エネルギーを効率良く吸収できるような前記可変ダンパー装置の最適減衰定数を決定する減衰定数決定部と、前記可変ダンパー装置の減衰定数を、前記減衰定数決定部により決定された前記最適減衰定数に調整する制御部と、を備え、前記減衰定数決定部は、複数の震源地と複数段階に設定された地震規模の各組み合わせに対応して、当該震源地において当該地震規模の地震が発生した場合に、前記建物本体に生じる振動エネルギーを効率良く吸収できるような前記可変ダンパー装置の最適減衰定数が記録されたデータベースと、前記データベースを参照して、前記地震情報取得部が取得した地震情報に含まれる前記震源地及び地震規模に対応する最適減衰定数を取得する減衰定数取得手段と、を含み、前記複数の震源地は、地震が起きた場合に免震建物まで地震動が到達する可能性のある領域を分割した複数の区画に対応するように設定されていることを特徴とする。
なお、上記の減衰定数は、ダンパー装置を摩擦ダンパーにより構成する場合には、摩擦ダンパーの等価減衰定数のことをいう。
また、前記地震情報は、緊急地震速報であってもよい。
また、前記可変ダンパー装置として、前記建物本体と前記地盤との間に接続され、前記建物本体又は前記地盤との間の接続を解除可能な複数のダンパーが設けられ、前記複数のダンパーのうちの接続を解除した状態のダンパーの台数を調整することにより、前記可変ダンパー装置の減衰定数を調整してもよい。
また、前記可変ダンパー装置は、常時は、短周期成分が卓越する地震動が作用した場合に前記建物本体に生じる振動エネルギーを効率よく吸収することが可能なような減衰定数に設定されていてもよい。
また、本発明の可変ダンパーの制御システムは、建物本体を免震支持するアイソレータと、減衰定数が可変であるとともに、前記建物本体に生じた振動エネルギーを吸収する可変ダンパー装置と、を備えた免震建物の前記可変ダンパー装置の減衰定数を制御する制御システムであって、地震の震源地及び地震規模を含む地震情報を取得する地震情報取得部と、前記地震情報取得部が取得した地震情報に基づき、前記地震により前記建物本体に生じる振動エネルギーを効率良く吸収できるような前記可変ダンパー装置の最適減衰定数を決定する減衰定数決定部と、前記可変ダンパー装置の減衰定数を、前記減衰定数決定部により決定された前記最適減衰定数に調整する制御部と、を備え、前記減衰定数決定部は、複数の震源地と複数段階に設定された地震規模の各組み合わせに対応して、当該震源地において当該地震規模の地震が発生した場合に、前記建物本体に生じる振動エネルギーを効率良く吸収できるような前記可変ダンパー装置の最適減衰定数が記録されたデータベースと、前記データベースを参照して、前記地震情報取得部が取得した地震情報に含まれる前記震源地及び地震規模に対応する最適減衰定数を取得する減衰定数取得手段と、を含み、前記複数の震源地は、地震が起きた場合に免震建物まで地震動が到達する可能性のある領域を分割した複数の区画に対応するように設定されていることを特徴とする。
また、本発明の可変ダンパーの制御方法は、建物本体を免震支持するアイソレータと、減衰定数が可変であるとともに、前記建物本体に生じた振動エネルギーを吸収する可変ダンパー装置と、を備えた免震建物の前記可変ダンパー装置の減衰定数を制御する方法であって、地震の震源地及び地震規模を含む地震情報を取得し、当該取得した地震情報に基づき、前記地震により前記建物本体に生じる振動エネルギーを効率良く吸収できるような前記可変ダンパー装置の最適減衰定数を決定し、前記可変ダンパー装置の減衰定数を、前記減衰定数決定部により決定された前記最適減衰定数に調整することを特徴とする。
本発明によれば、地震情報に基づいて、免震建物に到達すると予測される地震動に合わせて、可変ダンパーの減衰定数を調整することができるため、建物本体に生じる振動エネルギーを効率よく吸収することができる。
以下、本発明の免震建物の一実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態の免震システム100の構成を示す図である。同図に示すように、本実施形態の免震システム100は、可変ダンパー装置12を備えた免震建物10と、免震建物10の可変ダンパー装置12に電気的に接続された制御装置20と、を備える。制御装置20は、ネットワーク30を介して気象庁40に設置された緊急地震速報提供装置42に接続されている。本実施形態の免震システム100は、緊急地震速報提供装置42から提供される緊急地震速報に基づき地震が到達する前に、可変ダンパー装置12の減衰定数を、免震建物10に到達すると予測される地震動に対して最適になるように調整することを可能とするものである。
免震建物10は、建物本体11と、建物本体11を免震支持するアイソレータ13と、建物本体11と地盤14との間に設けられた可変ダンパー装置12と、を備える。
アイソレータ13は、建物本体11を免震支持する装置であり、建物本体11の荷重を支持するため鉛直方向の剛性が高く、また、地盤14より建物本体11に伝達される地震動を抑えるように水平方向の剛性が低い。このようなアイソレータ13としては、積層ゴムや滑り支承などを用いることができる。
可変ダンパー装置12は、建物本体11に生じた水平方向の振動エネルギーを吸収するとともに、外部から入力される制御信号に応じて減衰係数を調整することができる装置である。後述するように、常時は、可変ダンパー装置12の減衰定数は、短周期成分が卓越するような地震動に対して最適になるように、小さめの値に設定されている。
このような可変ダンパー装置12としては、例えば、水平方向に互いに直交する向きに複数の可変オイルダンパーを設けた構成などを採用できる。なお、可変オイルダンパーは、入力される制御信号に応じてオリフィスの面積を調整する機構を備えた油圧ダンパーであり、オリフィスの面積を変更することにより、オリフィスを通過する油に対する抵抗が変わるため、減衰係数を変更することができる。
制御装置20は、制御部21と、地震情報取得部22と、減衰定数データベース24と、減衰定数情報取得部23と、を備える。
制御部21は、可変ダンパー装置12に電気的に接続されており、可変ダンパー装置12に制御信号を送ることにより可変ダンパー装置12の減衰定数を変更することができる。
地震情報取得部22は、ネットワーク30を介して、緊急地震速報提供装置41から送信された緊急地震速報を受信する。
図2は、減衰定数情報データベース24に記録されている情報の構成を示す図である。同図に示すように、減衰定数情報データベース24には、予め設定された複数の震源地(A、B、C、…)、及び、複数の地震規模(M1、M2、M3、…)の各組み合わせに対して、最適減数定数hoptが記録されている。以下、この情報を減衰定数情報という。
減衰定数情報データベース24における震源地(A、B、C、…)は、地震が起きた場合に免震建物10まで地震動が到達する可能性のある全ての地域をカバーできるように決定された複数の領域に対応するように設定されている。このような震源地(A、B、C、…)の設定方法としては、例えば、地震が発生した場合に、免震建物10まで地震動が到達する可能性のある領域を所定の長さの正方形状の区画に分割するなどの方法を用いればよい。
減衰定数情報データベース24における地震規模(M1、M2、M3、…)は、起こりうる地震規模をカバーできるように、例えば、マグニチュードなどに基づいて決定された複数の段階に対応するに決定されている。
最適減衰定数hoptは、震源地及び地震規模の各組み合わせについて、該当する震源地において発生した、該当する地震規模の地震による地震動が免震建物10に到達した場合に、建物本体11に生じた振動エネルギーを効率良く吸収することのできる可変ダンパー装置12の減衰定数である。
このような減衰定数情報は、例えば、以下のようにして求めることができる。
まず、地震が発生した場合に建物まで地震動が到達する可能性のある全ての地域をカバーできるように、震源地(A、B、C、…)を設定する。
次に、各震源地(A、B、C、…)において起こりうる地震規模をカバーできるように、複数通りの地震規模(M1、M2、M3、…)を設定する。
そして、上記の各震源地(A、B、C、…)及び各地震規模(M1、M2、M3、…)の各組み合わせに対して、対応する震源地において、対応する地震規模の地震が発生した際に免震建物10に作用する地震動(具体的には、地震加速度の周波数特性など)を求める。なお、このような地震動を求める方法として、適切にモデル化された地盤構造と震源モデルを用いて計算される理論的地震動を用いてもよいし、過去に発生した地震の情報に基づき決定してもよい。
そして、免震建物10をモデル化した解析モデルを作成し、可変ダンパー装置12の減衰定数hを複数通りに設定して、各場合について、上記得られた地震動が作用した際に生じる解析モデルの建物本体11に生じる加速度応答を算出する。
図3は、周波数特性及び大きさの異なる地震動I〜IVを加えた場合に、建物本体11に発生する変位応答(横軸)と、加速度応答(縦軸)の大きさを示すグラフを示す。同図に示すように、変位応答は、減衰定数hが大きくなるのにともなって、減少していくが、加速度応答は、減衰定数hが大きくなるのにともなって減少し、減衰定数hがある値において極小となり、その後増加していく。このような計算結果に基づき、例えば、変位応答が免震建物の許容変位以内におさまる範囲で、加速度応答が最小となる場合の減衰定数hを最適減衰定数hoptとするなど、必要とされる性能に応じて適宜な方法により最適減衰定数hoptを決定する。
上記の作業を各震源地(A、B、C、…)及び各地震規模(M1、M2、M3、…)の全ての組み合わせに対して行うことにより、図2に示すような、各震源地(A、B、C、…)及び各地震規模(M1、M2、M3、…)に対する最適減衰定数hoptの情報が得られる。
減衰定数情報取得部23は、減衰定数データベース24を参照して、地震情報取得部22が取得した緊急地震速報により特定される震源地及び地震規模に対応する最適減衰定数hoptを取得する。
緊急地震速報提供装置41は、各地に設置された複数の地震計42が接続されており、これらの地震計42の観測結果に基づき緊急地震速報を作成し、作成した緊急地震速報をネットワーク30を介して送信する。緊急地震速報とは、例えば、“気象庁|緊急地震速報とは”、[online]、[平成19年7月6日検索]、インターネット<http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/EEW/kaisetsu/Whats_EEW.html>などに記載されているように、地震計42が地震動を観測すると発せられる震源地及び地震規模を含む情報である。
地震が発生すると、震源地に最も近い地震計42に最初に地震動が到達するため、震源地に最も近い地震計42により最初に地震動が観測される。このように、地震計42において地震動が観測すると、緊急地震速報送信装置41は、この地震計42により観測された情報に基づき震源地や地震規模を推定し、緊急地震速報の第1報を送信する。
その後、地震動がより広範囲に伝播すると、複数の地震計42において地震動が観測される。このように複数の地震計42により地震動が観測されると、複数の地震計42の観測情報に基づき、より正確な震源地及び地震規模を推定することが可能となる。このように複数の地震計42の観測情報に基づき推定された震源地及び地震規模に関する情報は、緊急地震速報の第2報、第3報、…として新たに送信される。
地震動には、P波とS波が含まれるが、地表面付近では、P波の伝播速度は秒速6km程度、S波の伝播速度は秒速4km程度である。このため、例えば、100km程度離れた震源地において地震が発生した場合には、地震動が到達するまでに数十秒かかる。しかし、上記の緊急地震速報はネットワーク30経由で伝達されるため、緊急地震速報送信装置41から地震情報取得部22まで、地震動が到達するのに比べて非常に僅かな時間で伝達される。このため、建物11が震源地より十分に離れている場合には、地震情報取得部22には地震動が到達する数十秒前に緊急地震速報の第1報が到達することとなる。
以下、本実施形態の免震システム100により緊急地震速報に基づき免震建物10の可変ダンパー装置12の減衰定数を最適値になるように変更する流れを説明する。
図4は、緊急地震速報に基づき免震建物10の可変ダンパー装置12の減衰定数を最適減衰定数に変更する流れを示す図である。
同図に示すように、STEP100において、地震が発生すると、STEP102において、震源地の近傍の地震計42がこの地震動を観測する。地震計42により地震動が観測されると、STEP104において、緊急地震速報提供装置41が地震計42による観測データに基づき、震源地及び地震規模を推定し、これらの情報を含む緊急地震速報の第1報を作成する。そして、STEP106において、緊急地震速報提供装置41は、この緊急地震速報の第1報をネットワーク30を介して送信する。
制御装置20は、STEP108において、地震情報取得部22により、緊急地震速報を受信すると、STEP110において、減衰定数情報取得部23により、減衰定数データベース24を参照して、緊急地震速報に含まれる震源地及び地震規模に対応する最適減衰定数hoptを取得する。そして、STEP112において、制御装置20は、制御部21により可変ダンパー装置12に減衰定数を上記取得した最適減衰定数hoptに調整するように制御信号を送信する。
そして、STEP114において、可変ダンパー装置12は制御信号を受信すると、最適減衰定数hoptになるように減衰定数を変更する。
なお、上記のように、緊急地震速報提供装置41は、緊急地震速報の第1報に続いて、より震源地及び地震規模の推定精度の高い、第2報、第3報、…を送信する。制御装置20は、緊急地震速報の第2報、第3報、…を受信すると、この情報に基づき、STEP110〜STEP114の工程を実施し、可変ダンパー装置12の減衰定数を変更する。これにより、より推定精度の高い震源地及び地震規模に基づき減衰定数を調整することとなるため、より効率良く建物本体11に生じる振動エネルギーを吸収することが可能となる。
その後、STEP116において地震動が免震建物10に到達することとなるが、可変ダンパー装置12の減衰定数が最適減衰定数hoptに変更されているため、可変ダンパー装置12は、建物本体11に生じる振動エネルギーを効率良く吸収することができる。
ここで、近くで地震が発生した場合には、上記のSTEP102〜114における工程により可変ダンパー装置12の減衰定数を最適値に変更する前に、免震建物10に地震動の到達がしまうことがある。このような震源地が近い場合に到達する地震動は短周期成分が卓越する傾向がある。これに対して、本実施形態では、上記のように、常時は、可変ダンパー装置12の減衰定数を短周期成分が卓越するような地震動に対して最適となるように設定しておくため、近くで地震が発生し、可変ダンパー装置12の減衰定数を変更する前に地震動が到達するような場合であっても、建物本体11に生じた振動エネルギーを効率よく吸収することができる。
以上説明したように本実施形態によれば、緊急地震速報に含まれる震源地及び地震規模に基づき、地震動が到達する前に可変ダンパー装置12の減衰定数を、この地震動に対して効率よく建物本体11の振動を吸収できる最適減衰定数に調整することができるため、可変ダンパー装置12のエネルギー吸収性能を十分に活かすことができる。
また、常時は、可変ダンパー装置12の減衰定数を短周期成分が卓越するような地震動に対して最適となるように設定しておくことにより、近くで地震が発生し、可変ダンパー装置12の減衰定数を調整する前に地震動が到達するような場合であっても、効率よく建物本体11に生じる振動エネルギーを吸収することができる。
なお、上記実施形態では、可変ダンパー装置12を、水平方向に直行するように配置された複数の可変オイルダンパーからなる構成としたが、これに限らず、可変オイルダンパーに変えて、制御信号に基づき摩擦抵抗を変更可能な可変摩擦ダンパーを用いることも可能である。このように摩擦係数を変更可能な摩擦ダンパーを用いる場合には、上記の減衰定数とは、可変摩擦ダンパーの摩擦係数に対応する等価減衰定数が最適減衰定数になるように調整すればよい。
また、本実施形態では、可変ダンパー装置12を、水平方向に直交するように配置された複数の可変オイルダンパーにより構成し、これらの可変オイルダンパーの減衰定数を変更することにより、可変ダンパー装置全体としての減衰定数を変更するものとしたが、これに限らず、水平方向の各方向の振動を吸収可能な可変ダンパーを用いてもよい。
また、可変ダンパー装置12として、建物本体と地盤との間に接続され、建物本体又は地盤との間との接続を解除し、応力の伝達が行われないようにすることが可能なダンパーを直交する向きに複数設ける構成とし、建物本体又は地盤との間に接続された状態のダンパーの台数と、建物本体又は地盤との接続が解除されたダンパーの台数とを調整することにより、可変ダンパー装置全体としての減衰定数を変更することとしてもよい。すなわち、建物本体又は地盤との接続が解除された状態のダンパーの台数を多くすることにより、減衰定数を小さくすることができ、接続が解除された状態のダンパーの台数を少なくすることにより、減衰定数を大きくすることができる。
なお、かかる構成の可変ダンパー装置を用いる場合には、常時は、変形が拘束された状態のダンパーの台数を多くしておくとよい。変形が拘束された状態のダンパーの台数を多くすることにより、減衰定数が小さくなり、短周期成分の卓越する地震動を効率よく吸収することが可能となる。これにより、震源地が近く、減衰定数を変更する前に到達してしまうような地震動に対しても効率よく振動エネルギーを吸収できる。
また、本実施形態では、緊急地震速報に含まれる地震の震源地及び地震規模に基づき、減衰定数情報取得部23が減衰定数データベース24を参照して、最適減衰定数を取得するものとしたが、これに限らず、緊急地震速報を受信する都度、その緊急地震速報に含まれる地震の震源地及び地震規模に基づき、上記の予測手法を用いて免震建物10に作用する地震動を求め、免震建物10をモデル化した解析モデルに、減衰定数を複数通りに変化させて上記求めた地震動を作用させて、建物本体11に生じる加速度応答を算出し、この加速度応答が最小となる減衰定数を最適減衰定数として採用する最適減衰定数算出部を設ける構成としてもよい。
また、本実施形態では、制御装置20は、ネットワーク30を介して緊急地震速報提供装置41より緊急地震速報を受信する構成としたが、これに限らず、携帯電話回線や衛星回線などの無線回線により緊急地震速報を受信すること構成としてもよく、制御装置20と緊急地震速報提供装置41との間の通信手段は問わない。
また、本実施形態では、気象庁40内に設けられた緊急地震速報提供装置41より提供される緊急地震速報を用いることとしたが、これに限らず、民間業者などの地震速報を用いてもよく、要するに、地震の発生後に提供される地震の震源地と地震規模を含む情報であれば用いることができる。
本実施形態の免震システムの構成を示す図である。 減衰定数情報データベースに記録されている情報の構成を示す図である。 地震動I〜IVに対して減衰定数hを複数通りに設定した場合の建物本体に発生する変位応答と、加速度応答の大きさを示すグラフである。 緊急地震速報に基づき免震建物の可変ダンパー装置の減衰定数を最適減衰定数に変更する流れを示す図である。
符号の説明
10 免震建物
11 建物本体
12 可変ダンパー装置
13 アイソレータ
14 地盤
20 制御装置
21 制御部
22 減衰定数情報取得部
23 地震情報取得部
24 減衰定数データベース
30 ネットワーク
40 気象庁
41 緊急地震速報提供装置
42 地震計
100 免震システム

Claims (5)

  1. 建物本体を免震支持するアイソレータと、減衰定数が可変であるとともに、前記建物本体に生じた振動エネルギーを吸収する可変ダンパー装置と、を備えた免震建物と、
    地震の震源地及び地震規模を含む地震情報を取得する地震情報取得部と、
    前記地震情報取得部が取得した地震情報に基づき、前記地震により前記建物本体に生じる振動エネルギーを効率良く吸収できるような前記可変ダンパー装置の最適減衰定数を決定する減衰定数決定部と、
    前記可変ダンパー装置の減衰定数を、前記減衰定数決定部により決定された前記最適減衰定数に調整する制御部と、を備え
    前記減衰定数決定部は、
    複数の震源地と複数段階に設定された地震規模の各組み合わせに対応して、当該震源地において当該地震規模の地震が発生した場合に、前記建物本体に生じる振動エネルギーを効率良く吸収できるような前記可変ダンパー装置の最適減衰定数が記録されたデータベースと、
    前記データベースを参照して、前記地震情報取得部が取得した地震情報に含まれる前記震源地及び地震規模に対応する最適減衰定数を取得する減衰定数取得手段と、を含み、
    前記複数の震源地は、地震が起きた場合に免震建物まで地震動が到達する可能性のある領域を分割した複数の区画に対応するように設定されていることを特徴とする免震システム。
  2. 前記地震情報は、緊急地震速報であることを特徴とする請求項に記載の免震システム。
  3. 請求項1または2に記載の免震システムであって、
    前記可変ダンパー装置として、前記建物本体と前記地盤との間に接続され、前記建物本体又は前記地盤との間の接続を解除可能な複数のダンパーが設けられ、
    前記複数のダンパーのうちの接続を解除した状態のダンパーの台数を調整することにより、前記可変ダンパー装置の減衰定数を調整することを特徴とする免震システム。
  4. 請求項1からのうち何れかに記載の免震システムであって、
    前記可変ダンパー装置は、常時は、短周期成分が卓越する地震動が作用した場合に前記建物本体に生じる振動エネルギーを効率よく吸収することが可能なような減衰定数に設定されていることを特徴とする免震システム。
  5. 建物本体を免震支持するアイソレータと、減衰定数が可変であるとともに、前記建物本体に生じた振動エネルギーを吸収する可変ダンパー装置と、を備えた免震建物の前記可変ダンパー装置の減衰定数を制御する制御システムであって、
    地震の震源地及び地震規模を含む地震情報を取得する地震情報取得部と、
    前記地震情報取得部が取得した地震情報に基づき、前記地震により前記建物本体に生じる振動エネルギーを効率良く吸収できるような前記可変ダンパー装置の最適減衰定数を決定する減衰定数決定部と、
    前記可変ダンパー装置の減衰定数を、前記減衰定数決定部により決定された前記最適減衰定数に調整する制御部と、を備え
    前記減衰定数決定部は、
    複数の震源地と複数段階に設定された地震規模の各組み合わせに対応して、当該震源地において当該地震規模の地震が発生した場合に、前記建物本体に生じる振動エネルギーを効率良く吸収できるような前記可変ダンパー装置の最適減衰定数が記録されたデータベースと、
    前記データベースを参照して、前記地震情報取得部が取得した地震情報に含まれる前記震源地及び地震規模に対応する最適減衰定数を取得する減衰定数取得手段と、を含み、
    前記複数の震源地は、地震が起きた場合に免震建物まで地震動が到達する可能性のある領域を分割した複数の区画に対応するように設定されていることを特徴とする可変ダンパー装置の制御システム。
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