JP2006045599A - 硫黄濾別残渣の造粒方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ニッケルの湿式精錬において、浸出濾別残渣から純硫黄を濾別して残った硫黄濾別残渣の払出しを行う際に、硫黄濾別残渣を比較的大きな粒径で且つ平滑な表面を有する粒形状に造粒し、付着水分を低減できる硫黄濾別残渣の造粒方法を提供する。
【解決手段】 造粒装置には硫黄濾別残渣用のホッパー1とその下方に流水樋2を備えており、溶融状態の硫黄濾別残渣をホッパーから一定の投入量で水深が150〜250mmの流水中に連続的又は断続的に落下させることにより、水砕と同時に冷却固化して造粒する。また、溶融状態の硫黄濾別残渣を、ホッパーから一定の投入量で連続的又は断続的に回転盤上に落下させ、水槽の水面上に弾き飛ばすことにより、冷却固化して造粒するのが第2の方法である。
【選択図】 図1
【解決手段】 造粒装置には硫黄濾別残渣用のホッパー1とその下方に流水樋2を備えており、溶融状態の硫黄濾別残渣をホッパーから一定の投入量で水深が150〜250mmの流水中に連続的又は断続的に落下させることにより、水砕と同時に冷却固化して造粒する。また、溶融状態の硫黄濾別残渣を、ホッパーから一定の投入量で連続的又は断続的に回転盤上に落下させ、水槽の水面上に弾き飛ばすことにより、冷却固化して造粒するのが第2の方法である。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ニッケル硫化物を原料とする湿式ニッケル製錬において、塩素浸出工程で発生する硫黄を主成分とした塩素浸出残渣を加熱溶融し、純硫黄を濾別して残った溶融状態の残渣(以後、硫黄濾別残渣と称す)をショット状に造粒する方法に関する。
ニッケルの湿式精錬法には、ニッケル、コバルト、鉄等の金属と硫化物の混合物、あるいはニッケルや異種金属の電解スライム等から、塩素浸出工程にてニッケルを塩素浸出し、得られた浸出液は浄液工程で不純物を除去した後、電解採取工程により電気ニッケルを得る塩素浸出電解採取法がある。
上記塩素浸出工程では、硫化物原料に含まれるほとんど全ての金属分が液中に溶解し、硫黄を主成分とした塩素浸出残渣が固相に残る。この塩素浸出残渣は、120〜130℃程度で加熱溶解した後、一部は冷却固化して工程外に払い出され、残りはリーフフィルターで濾別する。リーフフィルターで濾過した濾液は冷却固化することによって純硫黄の製品とし、フィルター上に残った硫黄濾別残渣については水砕処理により冷却・固化を行った後に、一部は系内へ繰り返し、残りを系外へ払い出している(特願2003−408457公報)。
塩素浸出残渣と硫黄濾別残渣の一部を工程外へ払出すのは、これらの残渣に含まれる鉄を系内から除去するためである。即ち、塩素浸出残渣の鉄品位は3%程度であり、硫黄濾別残渣は硫黄分を濾過した後の残渣であるため鉄品位は7%程度まで濃縮しているため、塩素浸出残渣と硫黄濾別残渣の一部を系外へ払出すことによって鉄の除去を効率良く行っている。残渣と共に除去されず浸出液中に残った鉄は、次工程の浄液工程において澱物中に完全に分配される。尚、浄液工程における鉄の除去にはソーダ灰等の薬剤コストがかかるため、残渣への鉄除去を効率良く行うことがコスト管理上重要となる。
硫黄濾別残渣を系外へ払い出す場合には、残渣に付着した水分の脱水を行った後にフレキシブルコンテナに詰めて払い出すが、環境上の問題から運搬中の液漏れを防止する必要があり、硫黄濾別残渣の脱水性の確保が重要となる。そこで、硫黄濾別残渣を系外へ払出す際の付着水分の除去方法として、従来は、硫黄濾別残渣を水砕して粒状にした後、ホッパーに貯留し、ブロワによってエアーと共に吸引することによって、付着水分を脱水している。この方法で脱水を効率よく行うためには、造粒した硫黄濾別残渣の粒径を大きくして、付着水分率を下げることが必要となる。
従来の水砕による造粒方法では、加熱溶融されている硫黄濾別残渣を円錐状ホッパーに貯留し、ホッパー底部の直径約20mmの開口から連続的に硫黄濾別残渣を自然落下させ、落下物の後方から循環水を高圧で放射することにより水砕していた。しかしながら、この方法で得られる粒形状は、放射水量及び放水ノズル形状によって制御しても、粒径がおおよそ0.3〜4.0mm程度と大きく、しかも表面に凹凸の多いコンペイトウに似た形状であるため、非常に多くの水分が付着していた。
従来の水砕による硫黄濾別残渣の造粒方法では、上記のごとく造粒物の粒径が0.3〜4.0mm程度と大きく、しかも表面に多くの凹凸があるため、非常に多くの付着水分を含んでいた。そのため、後段に設けた脱水設備への負荷が大きくなるうえ、造粒した硫黄濾別残渣を系外へ払い出す際に、運搬中にコンテナ等から付着水分が液漏れし、環境汚染の問題を引き起こすことが多かった。また、粒度の変更には放水ノズルを取り替える必要があるため、その都度操業を停止しなければならず、ひいてはニッケル精錬プロセス全体の操業度の低下を招く原因となっていた。
本発明は、このような従来の事情に鑑み、ニッケル硫化物を原料とするニッケルの湿式精錬において、浸出濾別残渣から純硫黄を濾別して残った硫黄濾別残渣の払出しを行う際に、硫黄濾別残渣を比較的大きな粒径で且つ平滑な表面を有する粒形状に造粒し、付着水分を大幅に低減することができる、簡単で効率的な硫黄濾別残渣の造粒方法を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するため、ニッケル硫化物を原料とする湿式金属製錬において発生する硫黄を主成分とした塩素浸出残渣を加熱溶融し、純硫黄を濾別して残った硫黄濾別残渣を造粒する方法であって、本発明が提供する第1の硫黄濾別残渣の造粒方法は、溶融状態の硫黄濾別残渣を一定の投入量で水深150〜250mmの流水中に落下させて造粒することを特徴とする。
また、ニッケル硫化物を原料とする湿式金属製錬において発生する硫黄を主成分とした塩素浸出残渣を加熱溶融し、純硫黄を濾別して残った硫黄濾別残渣を造粒する方法であって、本発明が提供する第2の硫黄濾別残渣の造粒方法は、溶融状態の硫黄濾別残渣を一定の投入量で回転盤上に落下させ、水面上に弾き飛ばして造粒することを特徴とする。
本発明によれば、従来に比べて粒度が大きく且つ表面が比較的平滑であって、付着水分率の低い硫黄濾別残渣の造粒物を得ることができる。従って、得られる硫黄濾別残渣造粒物の脱水性が大幅に改善され、後段に設けたエアー吸引等による脱水設備への負荷を軽減できるうえ、系外へ払い出す際の運搬中に付着水分の液漏れをなくすことができる。また、造粒物の粒度を変更調整する場合、操業を停止する必要がなく、従ってニッケル精錬プロセス全体の操業度の低下を招くこともない。
本発明の実施にあたっては、まず従来と同様にして、塩素浸出工程において硫黄濾別残渣を回収する。即ち、ニッケル硫化物を原料とする湿式金属製錬において発生する硫黄を主成分とした塩素浸出残渣を、120〜130℃程度の温度で加熱溶融した後、リーフフィルター等で濾別することにより、濾液は冷却固化して純硫黄とし、フィルター上に残った溶融状態の硫黄濾別残渣を回収する。
本発明の第1の方法では、溶融状態の硫黄濾別残渣を水深150〜250mmの流水中に落下させて造粒する。硫黄濾別残渣は連続的に又は断続的に流水中へ落下させればよいが、その投入量はノズルの開口径を調整して自由落下させる方法又は定量送液ポンプを用いて定量的に切り出す方法等により、ほぼ一定に制御する。例えば、硫黄濾別残渣の投入用ホッパーの底部に開口径10〜30mmの投入ノズルを設け、このノズルから溶融状態の硫黄濾別残渣を自由落下させる方法がある。
硫黄濾別残渣は流水中に落下してショット状に解砕され、同時に冷却・固化されて、主な粒径が4mm以上の比較的大きく且つ表面が比較的平滑で、付着水分率の小さな造粒物が得られる。その際、流水の水深が150mm未満では、溶融状態の硫黄濾別残渣が解砕されなかったり、固化しないまま沈降して底部に固着したりすることがある。一方、水深が250mmよりも深い場合は実用的に問題はないが、水深を深くするメリットがないばかりか、大量の水を取り扱うことのデメリットが大きくなる。
流水の水深を調整する手段としては、例えば、流水樋の下流に堰き止め板を設置し、この堰き止め板の高さ又は下部開口面積を制御する方法がある。特に、堰き止め板の下部開口面積を制御する方法によれば、固化した硫黄濾別残渣の造粒物は水と共に堰き止め板の下部開口から流れ出してくるので、その回収が極めて簡単であるため好ましい。
また、本発明の第2の方法では、溶融状態の硫黄濾別残渣を回転盤上に落下させ、水面上に弾き飛ばして造粒する。硫黄濾別残渣は連続的に又は断続的に回転盤上に落下させればよいが、その投入量はノズルの開口径を調整して自由落下させる方法又は定量送液ポンプを用いて定量的に切り出す方法等により、ほぼ一定に制御する。例えば、第1の方法の場合と同様に、硫黄濾別残渣の投入用ホッパーの底部に開口径10〜30mmの投入ノズルを設け、このノズルから溶融状態の硫黄濾別残渣を自由落下させる方法がある。
回転盤上に落下した硫黄濾別残渣は、回転盤の遠心力によって外周方向へ弾き飛ばされ、その際ショット状になって水面に落下して冷却・固化される。得られる硫黄濾別残渣の造粒物は、主な粒径が4mm以上と比較的大きく且つ表面が比較的平滑であり、特に表面に凹凸の少ない扁平な空豆(ソラマメ)状となるため、付着水分率の低減を図ることができる。
回転盤としては、表面に耐熱性を有し且つ剥離性の良いテフロンシート又はセラミックスプレートを貼り付けた円盤を用いることが好ましい。尚、回転盤の外周方向へ弾き飛ばされた硫黄濾別残渣が水面上に落下するように、回転盤は冷却用の水を貯留し又は流水が流れる水槽の水面上に設置することが望ましい。得られた造粒物は、水槽内に設けた案内シュート等によって一箇所に集約させ、ベルトコンベアあるいはバケットコンベアにて回収する。
上記本発明の第1又は第2の方法においては、得られる硫黄濾別残渣の造粒物の粒度を簡単に変更調整することが可能である。例えば、第1の方法では流水の水深や硫黄濾別残渣の投入量等を変えることによって、第2の方法では回転盤の回転数や回転盤と水面の距離等を変化させることで、造粒物の粒度を変更調整することができる。従って、いずれの方法においても、操業を停止することなく、造粒物の粒度を変更調整することができる。
また、本発明の第1及び第2の方法では、ショット状になった硫黄濾別残渣を水中にて冷却・固化するので、冷却用の水と溶融状態の硫黄濾別残渣との温度差が50℃以上あることが好ましい。
[実施例1]
図1に示す造粒装置を用いて、硫黄濾別残渣の造粒を行った。この造粒装置は、硫黄濾別残渣貯留用のホッパー1の下方に流水樋2を備えており、流水樋2の下流には堰き止め板3が設置され、上流に設けた流入ノズル4から冷却用の循環水が供給される。溶融状態の硫黄濾別残渣は、ホッパー1の底部から水面5に落下し、解砕と同時に冷却固化されて造粒物となる。
図1に示す造粒装置を用いて、硫黄濾別残渣の造粒を行った。この造粒装置は、硫黄濾別残渣貯留用のホッパー1の下方に流水樋2を備えており、流水樋2の下流には堰き止め板3が設置され、上流に設けた流入ノズル4から冷却用の循環水が供給される。溶融状態の硫黄濾別残渣は、ホッパー1の底部から水面5に落下し、解砕と同時に冷却固化されて造粒物となる。
流水樋2の水深Dは、堰き止め板3の下部開口3aの開口面積を制御することで一定に保つことができる。即ち、下部開口3aの開口面積Aは、流入水量Q=係数C×開口面積A(2g×水深D)1/2の関係式から求めることができる。具体的には、重力加速度g=9.8m/s2、係数C=0.65とし、流入水量Q=0.9m3/分、水深D=200mm(設定値)としたとき、上記関係式から算出した堰き止め板3の下部開口3aの開口面積Aは11655mm2となる。
このように計算で得られた開口面積A(11655mm2)の堰き止め板3を用いたとき、実際の水深Dは200±10mmとなった。この水深を有する流水の水面5に、ホッパー1の底部に設けた直径約20mmの開口部から溶融状態の硫黄濾別残渣を自然落下させた。硫黄濾別残渣の造粒物は、堰き止め板3の下部開口3aから水と共に流れ出すので、回収して粒径と付着水分率を測定した。得られた結果を下記表1に示す。
[実施例2]
図2に示す造粒装置を用いて、硫黄濾別残渣の造粒を行った。この造粒装置は、硫黄濾別残渣貯留用のホッパー1の下方に水槽6を備え、水槽6に貯留した冷却用水の水面上に回転盤7が設置してある。回転盤7の上面には、耐熱性を有し且つ剥離性の優れたテフロンシートが貼り付けてある。また、回転盤7は駆動装置8により回転すると共に、回転盤7と水槽6の水面との距離を昇降装置9により調整できるようになっている。
図2に示す造粒装置を用いて、硫黄濾別残渣の造粒を行った。この造粒装置は、硫黄濾別残渣貯留用のホッパー1の下方に水槽6を備え、水槽6に貯留した冷却用水の水面上に回転盤7が設置してある。回転盤7の上面には、耐熱性を有し且つ剥離性の優れたテフロンシートが貼り付けてある。また、回転盤7は駆動装置8により回転すると共に、回転盤7と水槽6の水面との距離を昇降装置9により調整できるようになっている。
駆動装置8により回転させた回転盤7の上面の外周付近に、ホッパー1の底部に設けた滴下ノズル1aから、溶融状態の硫黄濾別残渣を落下させる。硫黄濾別残渣は回転盤7上で広がりつつ、その遠心力によって弾き飛ばされ、水槽6の水面に落下して冷却固化される。得られた造粒物は、水槽6内に設けた案内シュート10により一箇所に集約させ、ベルトコンベア11にて回収する。
回転盤7の回転数を223rpm、回転盤7と水槽6の水面までの距離を100mmに設定し、ホッパー1の底部に設けた直径約20mmの滴下ノズル1aから溶融状態の硫黄濾別残渣を連続的に自然落下させた。硫黄濾別残渣の造粒物はベルトコンベア11で回収し、粒径と付着水分率を測定した。得られた結果を下記表1に示す。
上記表1には、従来の水砕による造粒方法で得られた硫黄濾別残渣の造粒物について、同様に測定した結果を示した。即ち、ホッパー底部の直径約20mmの開口部から溶融状態の硫黄濾別残渣を連続的に自然落下させ、落下物の後方から循環水を高圧で放射することにより水砕した。得られた造粒物は、表1から分るように、大部分が粒径0.3〜4.0mmの範囲にあり、しかも表面には凹凸が多く存在し、付着水分率は12〜13%であった。
一方、本発明の第1の方法による実施例1、第2の方法による実施例2では、硫黄濾別残渣の造粒物の大部分が粒径4.0mm以上となり、しかも表面は凹凸が少なくほぼ平滑であって、付着水分率も従来方法に比べて半分以下の約6%以下まで低減することができた。
1 ホッパー
1a 滴下ノズル
2 流水樋
3 堰き止め板
3a 下部開口
4 流入ノズル
5 水面
6 水槽
7 回転盤
8 駆動装置
9 昇降装置
10 案内シュート
11 ベルトコンベア
1a 滴下ノズル
2 流水樋
3 堰き止め板
3a 下部開口
4 流入ノズル
5 水面
6 水槽
7 回転盤
8 駆動装置
9 昇降装置
10 案内シュート
11 ベルトコンベア
Claims (2)
- ニッケル硫化物を原料とする湿式金属製錬において発生する硫黄を主成分とした塩素浸出残渣を加熱溶融し、純硫黄を濾別して残った硫黄濾別残渣を造粒する方法であって、溶融状態の硫黄濾別残渣を一定の投入量で水深150〜250mmの流水中に落下させて造粒することを特徴とする硫黄濾別残渣の造粒方法。
- ニッケル硫化物を原料とする湿式金属製錬において発生する硫黄を主成分とした塩素浸出残渣を加熱溶融し、純硫黄を濾別して残った硫黄濾別残渣を造粒する方法であって、溶融状態の硫黄濾別残渣を一定の投入量で回転盤上に落下させ、水面上に弾き飛ばして造粒することを特徴とする硫黄濾別残渣の造粒方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004226338A JP2006045599A (ja) | 2004-08-03 | 2004-08-03 | 硫黄濾別残渣の造粒方法 |
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JP (1) | JP2006045599A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014133192A (ja) * | 2013-01-09 | 2014-07-24 | Sumitomo Metal Mining Co Ltd | リーフ型濾過器の運転方法 |
WO2019131474A1 (ja) * | 2017-12-25 | 2019-07-04 | 住友化学株式会社 | 硫化水素の製造方法及び硫黄の回収方法 |
CN110280183A (zh) * | 2019-07-08 | 2019-09-27 | 广东先导稀贵金属材料有限公司 | 制粒机及制粒方法 |
-
2004
- 2004-08-03 JP JP2004226338A patent/JP2006045599A/ja active Pending
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