JP2006044834A - 紙幣などの紙葉類の搬送に用いられる搬送ローラとこれを用いた装置 - Google Patents

紙幣などの紙葉類の搬送に用いられる搬送ローラとこれを用いた装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 紙幣などの紙葉類の搬送に用いられる搬送ローラについての改良を図る。
【解決手段】 紙幣搬送機構10は、紙幣搬送の駆動力を与えるために回転する駆動搬送ローラ20と、当該ローラに追従して回転する従動搬送ローラ30とを対向配置して備え、この両ローラを搬送ローラ対として両ローラ間に紙幣を挟持しつつ、紙幣搬送を行う。従動搬送ローラ30は、回転の軸となるシャフト31の外周に、シャフト軸方向に沿って、複数の紙幣接触ローラ部40を備える。紙幣接触ローラ部40は、中空のパイプ41を備え、このパイプ41を左右の保持体42を介してシャフト31の外周に実用上同心に保持する。保持体42は、シリコンゴム製の弾性体とされており、シャフト31とパイプ41との間にシャフト外周回りの空隙を形成する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、紙幣などの紙葉類の搬送に用いられる搬送ローラと、この搬送ローラを紙葉類搬送に用いた搬送装置、紙葉類肉厚検出装置に関する。
近年では、現金自動預払機(ATM)や現金自動支払機(CD)の普及が進み、これら装置では、紙幣搬送に搬送ローラが組み込まれている。これら現金を取り扱う機器では、その搬送の確実性はもとより、枚数計数や金種判定、真偽判定等の要請から、紙幣を例えば2枚重ねて搬送してしまうような重畳搬送を回避することが不可欠であり、種々の提案がなされている(例えば、特許文献1)。
特開2003−91757号公報
この特許文献1では、回転するシャフトの外周に金属パイプをゴム部材で保持した搬送ローラを用い、この金属パイプを搬送対象となる紙幣の幅方向に多数設置して、紙幣搬送の間の当該金属パイプの変位をセンサにて検出する。そして、各センサ出力の状態から、重畳搬送の有無等を検出している。また、搬送紙幣が折れ曲がった紙幣であるか、についてもセンサ出力から検出している。この場合、上記の搬送ロータと対となるローラを対向配置し、各ローラが有する金属パイプの間に紙幣を突入させて紙幣搬送を行っている。
上記した金属パイプは、搬送された紙幣の厚みに基づいて、金属パイプの保持材であるゴム部材の歪み・撓みによって変位する。こうした金属パイプの変位(ゴム部材の歪み・撓み)は、搬送される紙幣が対向配置されたローラの金属パイプの間に突入した時点で起き、金属パイプ(ゴム部材)は、紙幣搬送が完了するまでの間、搬送紙幣の厚みに応じて変位する。従って、変位検出精度、換言すれば、センサ出力精度は、搬送されてくる紙幣の厚みに対するゴム部材の追従性に左右される。
例えば、重畳搬送の回避に際しては、紙幣一枚分の厚みに追従した変位と紙幣二枚分の厚みに追従した変位とを区別できれば足りる。しかしながら、紙幣図柄のインク厚みが異なっていたりする偽造紙幣の判別や、紙幣にテープ等を張り付けて修繕した破損紙幣の判別等には、上記した重畳搬送回避に比べてより正確な変位精度が必要となる。つまり、ゴム部材には高精度の追従性が必要とされるが、ゴム部材での追従性向上には、その組成等の関係から限界があった。
その一方、搬送紙幣の突入の瞬間では、対向する金属パイプに紙幣突入に伴う力が、金属パイプを離間させる離間力fとして掛かり、ゴム部材はこの離間力fによりその歪み・撓みを起こす。今、紙幣搬送に際して金属パイプがフリーの状態であると、ゴム部材は離間力fを受けて歪みを起こし、これにより金属パイプは大きく変位し、その変位は紙幣の厚み以上となる。つまり、金属パイプは、いわゆるオーバーシュートを起こす。そして、金属パイプは、オーバーシュート後に紙幣の側に戻り、その変位は減衰するものの、変位を継続させるいわゆる飛び跳ねを起こす。こうした金属パイプの変位の挙動は、紙幣の厚みに即した変位挙動とは異なるので、紙幣の厚みに即した変位検出の信頼性に欠ける。
このため、上記したオーバーシュートやその後の飛び跳ねを抑制して、金属パイプの変位挙動を紙幣の厚みに即したものとするには、金属パイプの側から紙幣に対して離間力fに抗する押し付け力をかける必要がある。しかも、上記した押し付け力は、ゴム部材によるオーバーシュートや飛び跳ねの抑制のためばかりではなく、搬送対象となる紙幣に金属パイプの回転駆動力を伝達するためにも不可欠である。つまり、押し付け力が不足していると、いわゆる空回りが起き、紙幣の搬送に際して紙幣を、対向する金属パイプの間に送り込ませたり送り出したりすることができず、いわゆる搬送ジャムを引き起こす。その一方、押し付け力が強すぎると、対向する金属パイプ間への紙幣突入にも支障を来し、搬送ジャムを招くことがある。従って、上記の押し付け力をオーバーシュート等の抑制や駆動力伝達等のために調整する必要がある。
ゴム部材は、この押し付け力に対して見かけ上のバネとして働くため、検出精度に直結するゴム部材の見かけ上のバネ定数も、押し付け力調整に影響を与える。しかしながら、従来は、こうした点についての配慮がなされておらず、改善の余地が残されていた。
本発明は、上記問題点を解決するためになされ、紙幣などの紙葉類の搬送に用いられる搬送ローラについての改良を図ることを目的とする。
かかる課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の搬送ローラでは、紙葉類の搬送に際して紙葉類表面に接触する筒状体を回転の軸となるシャフトに保持するに当たり、シャフトの外周に離間して位置する円盤状で実質上同径の第1と第2の保持体の外周に筒状体を接合させ、この離間した第1と第2の保持体でシャフトの外周に筒状体を保持したり、或いは、保持体にて、筒状体をシャフトの外周に実用上同心に保持する。こうすることで、保持体で保持された筒状体とシャフトとの間には、シャフトの外周回りの空隙が形成され、筒状体は、保持体によりその両端近傍でシャフトに対して保持される。つまり、本発明は、筒状体とシャフトとの間のシャフト軸方向に亘る全域に保持体を介在させるのではなく、シャフトの外周回りの空隙がある分だけ、筒状体とシャフトとの間の保持体介在領域を少なくできる。このため、本発明の搬送ローラによれば、これを紙葉類搬送に用いる場合において、搬送ローラ(詳しくは筒状体)を紙葉類に対して押し付ける押し付け力に対しての保持体の呈する見かけ上のバネ定数を小さくできる。この結果、次のような利点がある。
紙葉類表面への筒状体の接触初期では、紙葉類の厚みに即した分だけ、搬送ローラ(詳しくは筒状体)は、保持部材の見かけ上のバネ定数に拘わらず変位する。仮に、見かけ上のバネ定数が大きいと、搬送ローラ(詳しくは筒状体)の変位に応じて発生する力は大きくなり、この力は、既述した離間力fとなる。そうすると、このバネ定数に応じた大きさの離間力fに抗する押し付け力をかけないと、搬送ローラによる紙葉類搬送に際しては、既述したオーバーシュートや飛び跳ねの抑制の用を足さないばかりか、搬送ジャムを招く。しかしながら、本発明の搬送ローラでは、見かけ上のバネ定数を小さくしているので、紙葉類表面への筒状体の接触初期における上記した離間力fも小さくなり、筒状体での紙葉類接触に際しての押し付け力を小さくできる。
また、見かけ上のバネ定数が大きいと、搬送ローラ(詳しくは筒状体)が僅かに変位した場合であっても、離間力fは大きく変化する。よって、押し付け力を、広範囲の離間力変化に対応するよう正確に調整しないと、不用意なオーバーシュートや飛び跳ね、或いは搬送ジャムを引き起こし勝ちとなる。しかしながら、本発明の搬送ローラでは、見かけ上のバネ定数を小さくしているので、搬送ローラ(詳しくは筒状体)の変位が僅かであれば離間力fも大きく変化しないので、押し付け力の調整が簡便となる。これらの結果、見かけ上のバネ定数を小さくした本発明の搬送ローラによれば、オーバーシュートや飛び跳ね、或いは搬送ジャム回避の点から有益である。
更に、上記した押し付け力の調整精度は、既述した見かけ上のバネ定数のみならず、押し付け力付与に関与する機械要素や、紙葉類の搬送速度にも依存する。一般に、正確な調整が必要なほど、機械要素の寸法の高精度化や紙葉類の搬送速度の低速化を必要とする。見かけ上のバネ定数を小さくした本発明の搬送ローラによれば、押し付け力の調整が簡便であることから、機械要素寸法の高精度化が不要となり、その製造コスト低減や、組み付け工数低減を図ることができる。しかも、紙葉類の搬送速度の高速化が可能となる。
また、上記した押し付け力は、オーバーシュート等の回避の上から、搬送ローラ(詳しくは筒状体)の変位により生じる離間力fと同等或いはこれより所定だけ小さく、通常、調整される。ところが、見かけ上のバネ定数が大きいと、搬送ローラ(詳しくは筒状体)が僅かに変位した場合であっても離間力fは大きく変化するので、押し付け力調整に際しては、大きく変化する離間力fに対しても押し付け力を上記のように調整する必要がある。しかしながら、本発明の搬送ローラでは、見かけ上のバネ定数を小さくしているので、搬送ローラ(詳しくは筒状体)の変位が僅かであれば離間力f変化も小さいので、小さな変化した来さない離間力fに対して押し付け力を調整すれば良いことから、その調整範囲を広げることができ好ましい。
今、上記した押し付け力を一定に設定したと仮定すると、この一定の押し付け力より搬送ローラ(詳しくは筒状体)の変位により生じる離間力fが小さくないと、オーバーシュート等を起こし、変位検出の信頼性を確保できない。つまり、見かけ上のバネ定数が大きいと、搬送ローラ(詳しくは筒状体)の僅かな変位で離間力fは大きく変化するので、検出対象となる変位の幅が小さくなる。しかしながら、本発明の搬送ローラでは、見かけ上のバネ定数を小さくしているので、搬送ローラ(詳しくは筒状体)の変位が僅かであっても離間力f変化が小さいことから、検出対象の幅が広がり、感度向上の観点から好ましい。
押し付け力は、搬送ローラを回転駆動させるために必要な回転トルクにも関与し、押し付け力が大きくなれば、これに抗して回転駆動力が必要となり、回転トルクの増大を招く。ところが、本発明によれば、既述したようにこの押し付け力を小さくでき、その結果として、搬送ローラを回転駆動させるために必要な回転トルクの低減、延いては、駆動源となるモータ等の小型化も可能となり好ましい。また、トルク低減に伴い、駆動源から搬送ローラに駆動力を伝達する伝達機構についても、構成の簡略化や小型化を図ることも可能となる。
しかも、見かけ上のバネ定数の低減を、保持体においてシャフトと筒状体との間にシャフトの外周回りの空隙を形成することで達成しているので、保持体を特異な材料とする必要がなく、既存の材料、例えば、ゴム部材やゴムエラストマー等の圧縮復元性を有する弾性体とすることができ、汎用性が高まる。なお、この保持体で保持される筒状体は、金属パイプ等の既存のものでよく、保持体が圧縮を起こす範囲では変形しない剛性を有する剛性体とすることができる。この点も汎用性において有益である。
また、上記した空隙を有することから、紙葉類の搬送に際して紙葉類表面に接触する筒状体とこれを保持する保持体とで構成される部位(以下、説明の便宜上、紙葉類接触部位と称する)の質量を小さくできる。よって、当該部位が紙葉類搬送に際して変位する際、質量が小さい分だけ、その変位を阻害しないようにできる。加えて、紙葉類接触部位の質量が小さいことから、紙幣搬送時における既述したオーバーシュートや飛び跳ねの程度も小さくできる。紙葉類接触部位の変位は、搬送紙葉類の厚みに依存したものであることから、紙葉類の厚み検出の検出精度向上にも寄与できる。
こうした構成の本発明の搬送ローラは、種々の態様を採ることができる。例えば、保持体を、その有する空隙に外気に連通する連通部を備えたものとできる。こうすれば、空隙の圧縮・膨張に伴う見かけ上のバネ定数に大きな変化を来さないので、変位検出の精度維持の上から好ましい。また、環境温度の高低に伴う空隙の圧縮・膨張を抑制できるので、変位検出の精度維持に加え、装置の設置地域の広範囲化が可能となり好ましい。
また、筒状体をシャフト外周に保持する保持体を、筒状体の一端側に位置する第1保持体と、筒状体の他端側に位置する第2保持体とを備えるものとし、この第1、第2の保持体を、シャフトの外周壁から筒状体の内周壁にかけて介在させて固定するようにすることもできる。こうすれば、第1保持体と第2保持体とが対向する領域をシャフト外周回りの空隙とできるので、空隙形成が簡便となる。
また、保持体を、筒状体の一端側と他端側に位置する第1保持体と第2保持体と、シャフトの外周に装着されるスリーブとを備えるものとし、この第1、第2の保持体を、スリーブの外周壁から筒状体の内周壁にかけて介在させて固定するようにすることもできる。こうすれば、第1、第2の保持体をスリーブと一体となったものとして取り扱うことができるので、シャフトへの組み付け等の作業が簡便となる。この場合、スリーブと一体化済みの第1、第2の保持体に筒状体を予め一体としておけば、筒状体を含めて一体に取り扱うことができるので、より簡便となる。
上記したスリーブを第1保持体の側と第2保持体の側に分離したものとすることもできる。こうすれば、第1保持体にスリーブを固定したものと、第2保持体にスリーブを固定したものとを共通にでき、製造工程の簡略化を図ることができる。
また、第1、第2の保持体により筒状体を保持するに当たり、第1保持体と第2保持体は、保持体外周縁部と筒状体内周壁とにおいて凹凸の嵌合形態で筒状体を保持するようにすることもできる。こうすれば、筒状体保持の信頼性が高まると共に、第1、第2の保持体に対する筒状体の位置合わせが簡便となり、組み付け性が高まる。この凹凸の嵌合に際して、凹凸形状をいわゆるアンカー形状としておけば、筒状体保持の信頼性がより一層高まる。
こうした搬送ローラにおいて、シャフトに筒状体を多列に設け、個々の筒状体を保持体でそれぞれ保持するようにすることもできる。こうすれば、多列に並ぶそれぞれの筒状体を紙葉類の表面に接触させつつ、紙葉類の搬送に供することができる。しかも、この個々の筒状体での紙葉類接触に際して、既述したように見かけ上のバネ定数が小さい状態で、筒状体の紙葉類接触を起こす。このため、個々の筒状体での紙葉類接触に際して、既述したようにその押し付け力の低減を図ることができるので、多列の筒状体を有する搬送ローラで紙葉類搬送を行うに当たり、小さな押し付け力でのオーバーシュートや飛び跳ね抑制、或いは搬送ジャム回避の点から有益である。
このように筒状体をシャフトに多列に並ばせるに当たり、保持体に、筒状体の間隔を規定する規定部材を設けるようにすることができる。こうすれば、筒状体の間隔規定が簡便となる。この場合、規定部材を保持体が有するスリーブと一体とすれば、より好ましい。
上記した本発明の紙葉類の搬送ローラは、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、紙葉類を搬送する紙葉類搬送装置や、搬送過程にある紙葉類の厚みを検出する紙葉類肉厚検出装置等に用いることができる。そして、紙葉類搬送装置にあっては、紙葉類を挟持しつつ紙葉類搬送に供する一対の搬送ローラ対の一方の搬送ローラを、上記した搬送ローラとして備えるようにすることができる。或いは、プレートに上記した搬送ローラを対向配設し、その搬送ローラとプレートとの間で紙葉類を挟持しつつ紙葉類搬送を行うようにもできる。紙葉類肉厚検出装置にあっては、紙葉類を挟持しつつ紙葉類搬送に供する一対の搬送ローラ対の一方の搬送ローラを、紙葉類搬送に際して変位しない基準ローラとして備え、搬送ローラ対の他方の搬送ローラを、紙葉類搬送に際して紙葉類厚みに応じた変位を起こす検出ローラとして備え、この検出ローラを上記した本発明の搬送ローラとする。その上で、検出ローラの変位を変位センサで検出し、そのセンサ出力に基づいて、搬送されている紙葉類の厚みを肉厚算出部で算出するようにできる。
これらの紙葉類搬送装置や紙葉類肉厚検出装置では、上記した搬送ローラ自体による見かけ上のバネ定数低減とこれに伴う利点により、良好な紙幣搬送や重畳搬送回避、紙幣の厚み検出の高精度化を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、その実施例を図面に基づき説明する。図1は紙幣肉厚検出装置100をその要部のローラについては斜視図で示す概略構成図、図2は第1実施例の従動搬送ローラ30の側面図、図3は従動搬送ローラ30の要部を軸方向に沿って半断面視して示す断面図である。
図1に示すように、紙幣肉厚検出装置100は、一対の搬送ローラ対を含み紙幣搬送機構10と、種々の制御を司る制御部50とを有する。紙幣搬送機構10は、紙幣搬送の駆動力を与えるために回転する駆動搬送ローラ20と、当該ローラに追従して回転する従動搬送ローラ30とを対向配置して備え、この両ローラを搬送ローラ対として両ローラ間に紙幣を挟持しつつ、紙幣搬送を行う。
紙幣搬送機構10は、駆動源となるモータ11を備え、その回転駆動力を、モータギヤ12とこれに噛み合う駆動搬送ローラ20の端部ギヤ21とを介して、駆動搬送ローラ20に伝達する。モータ11は、制御部50からの駆動指令に基づきモータドライバ51を介して、例えば定速で回転する。なお、紙幣戻しの際には、モータ11は逆転制御される。モータ11にはエンコーダ13が装着されており、その信号(詳しくは、駆動搬送ローラ20の回転に伴う位相信号)は、位相信号処理部53にて処理され、後述の制御部50に出力される。
駆動搬送ローラ20は、搬送紙幣に駆動力を与えるものであることから、後述の従動搬送ローラ30と異なり、金属製、例えば、ステンレス製とされており、端部ギヤ21と一体となって回転するシャフト22と、複数のローラ部23と、シャフト両端の円盤24とを備える。ローラ部23と円盤24にあってもステンレス等の金属とされ、丸材から切削加工、或いはシャフト22への嵌合等によりシャフト22と一体とされている。円盤24は、後述の従動搬送ローラ30との離間距離を規定するためのものであり、紙幣の搬送領域の外側に位置する。ローラ部23は、その外周面に表面コート処理層を備え、紙幣搬送に伴う耐摩耗性を発揮する。
従動搬送ローラ30は、回転の軸となるシャフト31の外周に、シャフト軸方向に沿って、複数の紙幣接触ローラ部40を備える。紙幣接触ローラ部40は、図3に詳しく示すように、中空のパイプ41を備え、このパイプ41を左右の保持体42を介してシャフト31の外周に実用上同心に保持する。この場合、実用上同心とは、紙幣厚みの検出を図る上で、その検出精度に影響を及ぼさない程度で同心であることを意味する。そして、パイプ41を左右の保持体42で同心に保持することから、この左右の保持体42は、その外形寸法において実質的に同じものとなる。
また、紙幣接触ローラ部40は、シャフト31の外周に左右のスリーブ43を嵌合させて備え、保持体42を、このスリーブ43の外周壁からパイプ41の内周壁にかけて介在させている。保持体42は、パイプ41の両端内周壁に陥没形成された段差部41aにその外周縁を嵌め込んだ状態で、固定されている。このように保持体42を段差部41aに嵌め込むことから、それぞれの紙幣接触ローラ部40において、左右の保持体42の間隔はほぼ同じとなる。
この場合、保持体42は、シリコンゴム製の弾性体とされており、圧縮復元性を有する。そして、保持体42は、ステンレス等の金属製のパイプ41とスリーブ43に対して、ゴムの加硫接着の手法で接着・固定されている。紙幣接触ローラ部40は、この左右の保持体42で挟まれた領域を、シャフト31とパイプ41との間にシャフト外周回りに形成された空隙とする。なお、保持体42は、図示するように小径の連通孔44を有することから、左右の保持体42で形成された空隙は、外気に連通することになる。
この場合、シリコンゴム製の左右の保持体42は、その選定に当たって、駆動搬送ローラ20による駆動トルクや、紙幣の噛み込み力、紙幣接触ローラ部40(詳しくは、紙幣に接触する紙幣接触ローラ部40)の幅や個数などを考慮し、そのゴム硬度がHs10〜30の間になるようにされている。
パイプ41は、駆動搬送ローラ20におけるローラ部23と同様、その外周面に表面コート処理層を備え、紙幣搬送に伴う耐摩耗性を発揮する。
スリーブ43は、左右の保持体42ごとに分離されており、図3に示すように、保持体42から左方に突出した突出部43aを有する。この突出部43aは、保持体42からの突出長さが統一されており、その突出長さで、隣接する紙幣接触ローラ部40の間隔を規定している。つまり、ある紙幣接触ローラ部40における突出部43aにその隣の紙幣接触ローラ部40を当接させることで、この隣り合う紙幣接触ローラ部40の間隔が定まることになる。この場合、左右のスリーブ43を同じ形状とした上で、図における左方のスリーブ43については、一端を他方のスリーブ43の側とした。つまり、左右のスリーブ43を同じものとした上で、上記したように間隔規定ができる。
この他、従動搬送ローラ30は、駆動搬送ローラ20における円盤24とその外周で接触するローラベアリング45を有する。このローラベアリング45は、その外輪において駆動搬送ローラ20の円盤33と接触することで、この円盤33と協働して駆動搬送ローラ20と従動搬送ローラ30との間の間隔を規定する。
紙幣搬送機構10は、駆動搬送ローラ20の円盤33と従動搬送ローラ30のローラベアリング45がその外周で常時接触するよう、図示しない付勢力付与機構により、従動搬送ローラ30を駆動搬送ローラ20の側に付勢している。この付勢力は、従動搬送ローラ30のそれぞれの紙幣接触ローラ部40(詳しくはパイプ41)を駆動搬送ローラ20のローラ部23の表面に押し付ける押し付け力として働く。
このように紙幣接触ローラ部40(詳しくはパイプ41)がローラ部23の表面に押し付けられている状況下で、紙幣接触ローラ部40は、その押し付け力により保持体42を撓ませている。つまり、紙幣接触ローラ部40は、保持体42により見かけ上のバネ定数を有するものとなり、その押し付け量は、駆動搬送ローラ20による駆動トルクや紙幣の噛み込み力等を考慮して所定の値となるよう、調整されている。なお、紙幣接触ローラ部40の押し付けが起きることから、ローラベアリング45の外径は、この押し付け量が反映した分だけ、フリーの状態における紙幣接触ローラ部40の外径より小さくされている。
上記した付勢力付与機構としては、例えばカム機構など、種々の構成を取ることが可能である。カム機構で有れば、カムのカム軌道により、紙幣搬送時においては上記の付勢力を付与し、装置の輸送時や倉庫保管時など比較的長期に亘って装置運転しない際には付勢力を軽減したり付勢力が及ばないようにできる。こうすれば、紙幣接触ローラ部40をその保持体42が撓んだ状態のままとなるようにしないので、紙幣接触ローラ部40、延いては従動搬送ローラ30の長寿命化を図ることができる。
紙幣肉厚検出装置100は、上記構成の紙幣搬送機構10を備える他、当該機構が有する従動搬送ローラ30における紙幣接触ローラ部40の変位を検出する。この変位検出のため、紙幣肉厚検出装置100は、それぞれの紙幣接触ローラ部40に対向させて変位センサ47を有する。この変位センサ47は、紙幣の搬送を行っていない非搬送時においてパイプ41の外周面から所定の基準距離dを隔てて固定設置され、被検出部位、本実施例では紙幣接触ローラ部40のパイプ41との距離に応じた信号を出力する。それぞれの変位センサ47は、パイプ41の略中央においてパイプ41と対向する。なお、本実施例では、それぞれの紙幣接触ローラ部40に対向するよう変位センサ47を設けたが、その個数や設置位置は、厚み検出の対象となる紙幣における厚み分布の検知状況等により適宜調整される。例えば、図1では、6個の紙幣接触ローラ部40に変位センサ47を設けたが、一つおきの紙幣接触ローラ部40に変位センサ47を設置するように構成することもできる。
変位センサ47は、パイプ41との距離が上記の基準距離dから変位すると、その変位に応じた信号を出力する。つまり、搬送される紙幣の厚みに応じて紙幣接触ローラ部40が変位して変位センサ47の側に近づくと、変位センサ47は、その変位に応じた電気信号を出力する。この場合、紙幣の重畳搬送や異物の混入・噛み込みを想定して、上記の基準距離dが決定されている。例えば、紙葉類に混入して駆動搬送ローラ20と従動搬送ローラ30との間に噛み込まれる異物の最大厚みをtcと見込み、上記の基準距離dがd≧tcとなるようにして変位センサ47が固定されている。よって、誤って異物を搬送してローラ間に噛み込んだとしても、異物噛み込みにより変位した紙幣接触ローラ部40が変位センサ47に接触するような事態は回避でき、好ましい。
変位センサ47は、制御部50が有する増幅・マルチプレクス処理部52に紙幣接触ローラ部40の変位に応じた信号を出力する。増幅・マルチプレクス処理部52は、その信号を増幅・信号処理した上、その結果を演算処理部54に受け渡す。演算処理部54は、図示しない記憶部に変位と対応付けて記憶済みの厚みデータマップを参照しつつ、搬送紙幣の厚みを算出する。こうした厚み演算の概略を、紙幣搬送と関連付けて説明する。
紙幣が紙幣搬送機構10のローラの手前に送り込まれると、紙幣肉厚検出装置100は、その制御部50にてモータ11を駆動制御する。この場合、紙幣の送り込みは、紙幣搬送機構10の近傍に設けた図示しないセンサ(例えば光学センサ等)にて検知され、その信号をトリガにして、モータ駆動が開始される。
モータ駆動に伴い駆動搬送ローラ20が回転するので、紙幣は駆動搬送ローラ20と従動搬送ローラ30との間、詳しくは対向するローラ部23と紙幣接触ローラ部40との間に噛み込まれる。そうすると、紙幣は、駆動搬送ローラ20の回転駆動力を受けて搬送され、ローラ部23と紙幣接触ローラ部40との間を通過する。これにより、紙幣接触ローラ部40は、紙幣の噛み込みと同時に変位センサ47の側に変位し、紙幣が搬送される間に亘って、紙幣の厚みに応じた変位を起こす。こうしたローラ変位により、紙幣接触ローラ部40と変位センサ47との間隔が変化するので、変位センサ47は、この変位を継続して検出し、その検出結果を増幅・マルチプレクス処理部52に出力する。
増幅・マルチプレクス処理部52は、変位センサ47からの検出信号に増幅・マルチプレクス処理を施し、演算処理部54にそのデータを出力する。その一方、演算処理部54は、エンコーダ13の位相信号を位相信号処理部53を介して受け取り、この位相信号と増幅・マルチプレクス処理部52からのデータとから、駆動搬送ローラ20の偏心補正、或いは変位センサ47の感度補正等を行いつつ、搬送紙幣の厚みを算出し、その演算結果を図示しない鑑別部に出力する。なお、本実施例では位相信号処理部53を制御部50と別に設けたが、位相信号処理部53を制御部50において構成することもできる。
制御部50は、演算処理部54で演算した搬送紙幣の厚みデータを、図示しない識別部にて処理し、紙幣の種別判別(金種判別)や真偽判定、重畳搬送判定等を行う。例えば、制御部50の記憶部に、紙幣一枚分の厚み、二枚分の厚み等の厚みデータを紙幣ごとに用意し、そのデータと変位検出で得られたデータ(検出厚みデータ)を対比して紙幣の種別判別(金種判別)や重畳搬送判定を行う。真偽判定であれば、インクの厚み等をも考慮した紙幣の面全域に渡る厚み分布データを用意し、当該データと検出厚みデータの分布の対比から、真偽判定を行う。
また、紙幣に破れ補修のためのテープが当該破れ領域に張り付けられているような場合を想定して、次のような判定を行うこともできる。こうしたテープは、紙幣の一部領域において紙幣の厚みを増加させる。よって、上記した変位センサ47からの検出信号に基づいて、搬送紙幣の面内の厚み分布を求め、その結果により、テープの貼付有無を判別することもできる。
以上説明したように、本実施例によれば、次のような利点がある。
(1)本実施例では、紙幣を挟持して搬送するに当たり、紙幣に接触する紙幣接触ローラ部40を、その中心のシャフト31の外周回りに空隙を有するものとし、紙幣接触ローラ部40、延いてはパイプ41を紙幣に対して押し付ける押し付け力に対する見かけ上のバネ定数を小さくした。
紙幣の噛み込みの瞬間において、それまで作用していなかった紙幣噛み込みに伴う力が紙幣接触ローラ部40に作用する。この力はローラ部のオーバーシュートや飛び跳ねを招くので、その抑制のため、従動搬送ローラ30の紙幣接触ローラ部40には、駆動搬送ローラ20のローラ部23の側に押し付け力がかけられる。この押し付け力は、既述した付勢力に他ならず、カム機構等の付勢力付与機構によってかけられている。
本実施例では、上記した押し付け力を受ける紙幣接触ローラ部40は、その見かけ上のバネ定数が小さいことから、紙幣接触ローラ部40の押し付け力を大きくしないでも、上記のオーバーシュートや飛び跳ねを抑制できる。しかも、この押し付け力により駆動搬送ローラ20の回転駆動力が紙幣に伝わるが、この駆動力伝達の上からも、紙幣接触ローラ部40の押し付け力を大きくする必要性が少ない。
また、紙幣接触ローラ部40の見かけ上のバネ定数が小さいことから、紙幣接触ローラ部40の変位が僅かであれば既述した離間力fも大きく変化しないので、押し付け力の調整が簡便となる。これらの結果、本実施例によれば、紙幣接触ローラ部40の見かけ上のバネ定数の低減に伴い、紙幣接触ローラ部40の押し付け力の低減、並びにその調整範囲の拡大を図ることができる。この結果、紙幣接触ローラ部40のオーバーシュートや飛び跳ねの抑制、或いは搬送ジャム回避の点から有益である。
(2)上記した押し付け力の調整精度は、紙幣接触ローラ部40の見かけ上のバネ定数のみならず、カム機構等の付勢力付与機構が有するカム等の機械要素や、紙葉類の搬送速度にも依存する。一般に、正確な調整が必要なほど、機械要素の寸法の高精度化や紙葉類の搬送速度の低速化を必要とする。しかしながら、本実施例では、紙幣接触ローラ部40の見かけ上のバネ定数を小さくしたことで、押し付け力の調整の簡便をもたらすことができる。このため、付勢力付与機構が有するカム等の機械要素寸法の高精度化が不要となり、その製造コスト低減や、組み付け工数低減を図ることができる。しかも、紙葉類の搬送速度の高速化が可能となる。
(3)上記した押し付け力は、オーバーシュート等の回避の上から、紙幣接触ローラ部40の変位により生じる離間力fと同等或いはこれより所定だけ小さく、通常、調整される。本実施例では、紙幣接触ローラ部40の見かけ上のバネ定数が小さいことから、紙幣接触ローラ部40の僅かな変位に対応して離間力f変化も小さいくなるので、小さな変化した来さない離間力fに対して押し付け力を調整すれば良い。よって、押し付け力の調整範囲を広げることができ好ましい。これらの結果、本実施例によれば、紙幣接触ローラ部40の見かけ上のバネ定数の低減に伴い、紙幣接触ローラ部40の押し付け力の低減、並びにその調整範囲の拡大を図ることができる。よって、紙幣接触ローラ部40のオーバーシュートや飛び跳ねのより確実な抑制、或いは搬送ジャム回避の点から有益である。
(4)上記した押し付け力を一定に設定したと仮定すると、この一定の押し付け力より紙幣接触ローラ部40の変位により生じる離間力fが小さくないと、オーバーシュート等を起こし、変位検出の信頼性を確保できない。つまり、見かけ上のバネ定数が大きいと、紙幣接触ローラ部40の僅かな変位で離間力fは大きく変化するので、検出対象となる変位の幅が小さくなる。しかしながら、本実施例では、紙幣接触ローラ部40の見かけ上のバネ定数を小さくしているので、紙幣接触ローラ部40の変位が僅かであっても離間力f変化が小さくなる。よって、この離間力fと同等或いはこれより所定だけ小さい一定の押し付け力を紙幣接触ローラ部40に付与することで、紙幣接触ローラ部40の検出幅が広がり、感度向上の観点から好ましい。
(5)上記したように、紙幣接触ローラ部40の押し付け力を低減するに当たり、この押し付け力を紙幣搬送に必要とされる大きさにまで低減できる。この紙幣搬送のための力は、駆動搬送ローラ20とこれに追従して回転する従動搬送ローラ30との回転駆動力であることから、この回転駆動力、延いては、駆動搬送ローラ20を回転駆動させるための回転トルクも低減できる。このため、駆動搬送ローラ20の駆動源であるモータ11の小型化を図ることができる。また、トルク低減に伴い、モータ11から駆動搬送ローラ20に駆動力を伝達する伝達機構の構成の簡略化や小型化を図ることもできる。本実施例では駆動力伝達にモータギヤ12と端部ギヤ21を用いているので、これらギヤの高精度の加工が不要となる。
(6)紙幣接触ローラ部40の見かけ上のバネ定数低減を、シャフト31に対してパイプ41を保持する左右の保持体42でシャフトの外周回りの空隙を形成することで達成している。よって、保持体42を、既述したようなシリコンゴム等の既存の材料(例えば、ゴム部材やゴムエラストマー等)であって、圧縮復元性を有する弾性体とすることができ、汎用性が高まる。パイプ41についても同様であり、ステンレス等の金属製とでき、この点からも汎用性において有益である。
(7)紙幣接触ローラ部40については、紙幣搬送に際して紙幣表面に接触するパイプ41とこれを保持する保持体42とで構成することで、その質量を小さくできる。よって、紙幣接触ローラ部40が紙幣搬送に際して変位する際、質量が小さい分だけ、その変位を阻害しないようにできる。加えて、紙幣接触ローラ部40の質量が小さいことから、紙幣搬送時における既述したオーバーシュートや飛び跳ねの程度も小さくできる。紙幣接触ローラ部40の変位は、搬送紙幣の厚みに依存したものであることから、紙幣の厚み検出の検出精度向上に有益である。
(8)保持体42には外気と連通する連通孔44を設けたので、左右の保持体42で形成される空隙の圧縮・膨張に伴う見かけ上のバネ定数に大きな変化を来さないようにできる。よって、紙幣搬送時の変位検出の精度維持の上から好ましい。また、環境温度の高低に伴う空隙の圧縮・膨張を抑制できるので、変位検出の精度維持に加え、装置の設置地域の広範囲化が可能となり好ましい。
(9)上記した見かけ上のバネ定数低減をもたらす空隙を、左右の保持体42で容易に形成でき、好ましい。
(10)紙幣接触ローラ部40は、シャフト31の外周にスリーブ43を備え、このスリーブ43とパイプ41との間に、保持体42を介在させている。よって、紙幣接触ローラ部40の組み付け等に際しては、保持体42をスリーブ43と一体となったものとして取り扱うことができるので、組み付け作業が簡便となる。
(11)紙幣接触ローラ部40は、左右の保持体42ごとにスリーブ43を備えて部品形状の共通化を図るので、製造工程の簡略化を図ることができる。
(12)パイプ41を左右の保持体42で保持するに際しては、保持体42の外周縁をパイプ41両側の段差部41aも嵌め込んでいるので、両部材の接触領域が増え、パイプ41の保持の信頼性が高まる。しかも、パイプ41と左右の保持体42との位置あわせが簡便となり、組み付け性が向上する。
(13)従動搬送ローラ30に見かけ上のバネ定数の小さい紙幣接触ローラ部40を多列に設け、それぞれの紙幣接触ローラ部40の変位を検出しているので、紙幣の面における厚み分布を正確に測定できる。よって、この厚み分布の結果を用いた処理、例えば、重畳搬送回避や、真贋判定、テープ等による補修紙幣判別の精度も高めることができる。
(14)シャフト31に複数の紙幣接触ローラ部40を多列に並べるに当たり、スリーブ43には突出部43aを設け、この突出部43aを隣の紙幣接触ローラ部40におけるスリーブ43と当接させた。よって、突出部43aが隣り合う紙幣接触ローラ部40の間隔を容易に、且つ一定に規定でき好ましい。
次に、他の実施例について説明する。図4は紙幣搬送機構の構成が相違する第2実施例の紙幣肉厚検出装置200をその要部のローラについては斜視図で示す概略構成図である。
図示するようにこの紙幣肉厚検出装置200は、搬送ローラとこれに対向配設されたプレートで紙幣搬送を行う紙幣搬送機構の構成において、既述した紙幣肉厚検出装置100と相違する。つまり、紙幣肉厚検出装置200の紙幣搬送機構10Aは、紙幣肉厚検出装置100における従動搬送ローラ30が有していた構成を駆動搬送ローラ30Aに適用させている。
この駆動搬送ローラ30Aは、従動搬送ローラ30と同様に、シャフト31に紙幣接触ローラ部40を多列に備え、その外側のローラベアリング45にて、後述の搬送プレート70との離間距離を規定する。なお、このローラベアリング45は紙幣の搬送領域の外側に位置する。
駆動搬送ローラ30Aは、その一端に端部ギヤ21を備え、当該ギヤを、モータ11のモータギヤ12に噛み合わせている。よって、駆動搬送ローラ30Aは、モータ11の回転駆動力を受けて回転し、紙幣搬送の駆動力を紙幣に及ぼす。題意一実施例の紙幣肉厚検出装置100では、紙幣搬送の駆動力をステンレス製の駆動搬送ローラ20にて紙幣に及ぼしていたが、この紙幣肉厚検出装置200では、紙幣接触ローラ部40におけるパイプ41にて駆動力を紙幣に及ぼす。つまり、第2実施例では、紙幣接触ローラ部40は、紙幣搬送と厚み検出のための変位検出に兼用される。
第2実施例では、紙幣搬送機構10Aは、上記した駆動搬送ローラ30Aに対向させた搬送プレート70を有する。この搬送プレート70は、紙幣案内用の案内レール72を多列に有する。それぞれの案内レール72は、駆動搬送ローラ30Aが有する紙幣接触ローラ部40の間に位置するよう配設され、紙幣が紙幣接触ローラ部40に噛み込まれるまでの間において紙幣を案内する。この場合、紙幣接触は、案内レール72の上面に限られることから、その接触面積が減少し、紙幣搬送に伴う摩擦力も小さくなる。よって、紙幣の搬送ジャムの回避の上から有益である。
この紙幣搬送機構10Aにあっても、図示しないカム機構等の付勢力付与機構にて、駆動搬送ローラ30Aを搬送プレート70の上面の側に押し付けており、この両者の間隔は、駆動搬送ローラ30Aのローラベアリング45と、搬送プレート70の基準湾曲凸部74とで規定される。駆動搬送ローラ30Aと搬送プレート70との間隔、搬送プレート70上面への駆動搬送ローラ30Aの押し付けの様子は、従動搬送ローラ30と駆動搬送ローラ20との間隔、駆動搬送ローラ20への従動搬送ローラ30の押し付けの様子と同じである。
上記構成の紙幣肉厚検出装置200にあっても、紙幣肉厚検出装置100と同一の紙幣接触ローラ部40にて紙幣の厚み検出を行うので、既述した効果を奏することができる。
次に、紙幣接触ローラ部40の種々の変形例について説明する。図5は紙幣接触ローラ部40の第1変形例を示す説明図、図6は紙幣接触ローラ部40の第2変形例を示す説明図、図7は紙幣接触ローラ部40の第3変形例を示す説明図、図8は紙幣接触ローラ部40の第4変形例を示す説明図である。
図示するように、第1変形例の紙幣接触ローラ部40は、パイプ41とシャフト31との間に左右の保持体42を介在させ、この保持体42をその内外周縁でパイプ41とシャフト31に加硫接着する。こうすれば、構造の簡略化を図ることができる。
第2変形例の紙幣接触ローラ部40は、左右の保持体42を連結部42aで連結させて備え、この連結部42aを保持体42と同一材料で保持体42に一体としている。こうすれば、左右の保持体42を一つの部材として取り扱うことができるので、簡便である。また、パイプ41を左右の保持体42の外周縁側に予め加硫接着しておけば、パイプ41をも含む紙幣接触ローラ部40として、簡便に取り扱うことができる。
第3変形例の紙幣接触ローラ部40は、パイプ41とほぼ同じ長さのスリーブ143を備え、このスリーブ143とパイプ41との間に左右の保持体42を介在させ、この保持体42をその内外周縁でパイプ41とスリーブ143に加硫接着する。こうすれば、パイプ41をも含む紙幣接触ローラ部40として、簡便に取り扱うことができる。しかも、スリーブ143をステンレス等の金属製とできるので、スリーブ143をシャフト31に嵌合するような簡便な手法で、紙幣接触ローラ部40をシャフト31に配置することができる。
第4変形例の紙幣接触ローラ部40は、スリーブ143をパイプ41より突出した突出部143aを有するものとし、この突出部143aで隣り合う紙幣接触ローラ部40の間隔を規定する。よって、紙幣接触ローラ部40の取り扱いの簡便化、紙幣接触ローラ部40の間隔規定も簡単となる。
図9は紙幣接触ローラ部40の第5変形例をその要部の拡大図示と共に示す説明図、図10は紙幣接触ローラ部40の第6変形例をその要部の拡大図示と共に示す説明図、図11は紙幣接触ローラ部40の第7変形例を示す説明図である。
図9の第5変形例の紙幣接触ローラ部40は、保持体42の外周縁にステンレス等の金属製のリング142を備え、保持体42とパイプ41とをこのリング142を介在させてる。リング142は、保持体42と加硫接着された状態で、パイプ41の段差部41aに嵌合固定される。こうすれば、パイプ41と保持体42との位置関係を、金属製のパイプ41へのリング142の嵌合により容易に規定できる。
図10の第6変形例の紙幣接触ローラ部40は、パイプ41と保持体42との嵌合を、蟻溝状の凹所141aとこれに入り込む凸部142aで実現した点に特徴がある。こうすれば、保持体42は、その外周縁の凸部142aをパイプ41の凹所141aに嵌合させるばかりか、保持体42とパイプ41の脱落を防止するいわゆるアンカー効果を奏する。よって、パイプ41の保持の信頼性がより一層高まり好ましい。
図11の第7変形例は、シャフト31において多列に並ぶ複数の紙幣接触ローラ部40を一体とした点に特徴がある。つまり、それぞれの紙幣接触ローラ部40は、左右の保持体42を連結部142bで連結させている。こうすれば、紙幣接触ローラ部40の間隔は予め定まり、紙幣接触ローラ部40の位置調整が不要となる。
本発明は上記した実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の態様で実施可能である。例えば、次のような変形も可能である。
上記した実施例では、紙幣の厚み分布を紙幣の面に亘るものとして取得するよう複数の紙幣接触ローラ部40を備えるものについて説明したが、重畳搬送回避のためだけで有れば、紙幣接触ローラ部40を一つだけ備える従動搬送ローラ30や駆動搬送ローラ30Aとすることができる。
また、複数の紙幣接触ローラ部40についてそれぞれ変位センサ47を設けたが、その検出目的に応じてセンサ個数を少なくしたり、多くしたりすることができる。例えば、1個おきの紙幣接触ローラ部40に変位センサ47を設置したり、一つの紙幣接触ローラ部40について2個の変位センサ47を設置することもできる。この後者の場合では、紙幣接触ローラ部40が変にした場合のその左右の傾きをも検知できるので、より細かな判定が可能となる。
更に、変位センサ47を紙幣接触ローラ部40に対向させて紙幣接触ローラ部40の変位を直接検出するようにしたが、紙幣接触ローラ部40の変位を間接的に検出するようにすることもできる。こうした間接的な変位検出に際しては、紙幣接触ローラ部40の変位、詳しくは上下動変位が揺動変位となるように、ブラケット等でシャフト31を揺動するよう保持し、そのブラケットの揺動変位を検出すればよい。この他、連通孔44を切欠等で代用することもできる。
また、上記した実施例では、紙幣搬送を例に挙げ説明したが、株券、証券等の他の紙葉類の搬送に適用できることは勿論である。更に、保持体42にあっては、円盤形状を例に挙げ説明したが、内外輪を備えた保持体とし、内輪と外輪との間に放射状に延びたスポークにて、内輪に対して外輪を支えるようにすることもできる。
紙幣肉厚検出装置100をその要部のローラについては斜視図で示す概略構成図である。 第1実施例の従動搬送ローラ30の側面図である。 従動搬送ローラ30の要部を軸方向に沿って半断面視して示す断面図である。 紙幣搬送機構の構成が相違する第2実施例の紙幣肉厚検出装置200をその要部のローラについては斜視図で示す概略構成図である。 紙幣接触ローラ部40の第1変形例を示す説明図である。 紙幣接触ローラ部40の第2変形例を示す説明図である。 紙幣接触ローラ部40の第3変形例を示す説明図である。 紙幣接触ローラ部40の第4変形例を示す説明図である。 紙幣接触ローラ部40の第5変形例をその要部の拡大図示と共に示す説明図である。 紙幣接触ローラ部40の第6変形例をその要部の拡大図示と共に示す説明図である。 紙幣接触ローラ部40の第7変形例を示す説明図である。
符号の説明
10...紙幣搬送機構
10A...紙幣搬送機構
11...モータ
12...モータギヤ
13...エンコーダ
20...駆動搬送ローラ
21...端部ギヤ
22...シャフト
23...ローラ部
24...円盤
30...従動搬送ローラ
30A...駆動搬送ローラ
31...シャフト
33...円盤
40...紙幣接触ローラ部
41...パイプ
41a...段差部
42...保持体
42a...連結部
43...スリーブ
43a...突出部
44...連通孔
45...ローラベアリング
47...変位センサ
50...制御部
51...モータドライバ
52...増幅・マルチプレクス処理部
53...位相信号処理部
54...演算処理部
70...搬送プレート
72...案内レール
74...基準湾曲凸部
100...紙幣肉厚検出装置
141a...凹所
142...リング
142a...凸部
142b...連結部
143...スリーブ
143a...突出部
200...紙幣肉厚検出装置

Claims (16)

  1. 紙幣などの紙葉類の搬送に用いられる搬送ローラであって、
    回転の軸となるシャフトと、
    該シャフトの外周に位置する円盤状の第1の保持体と、
    該第1の保持体と実質上同径の円盤状とされ、前記第1の保持体と離間して前記シャフトの外周に位置する第2の保持体と、
    前記紙葉類の搬送に際して紙葉類表面に接触する筒状体とを備え、
    該筒状体を、前記離間した前記第1と第2の保持体の外周に接合させ、前記離間した前記第1と第2の保持体で前記シャフトの外周に保持した
    搬送ローラ。
  2. 紙幣などの紙葉類の搬送に用いられる搬送ローラであって、
    回転の軸となるシャフトと、
    前記紙葉類の搬送に際して紙葉類表面に接触する筒状体を、前記シャフトの外周に実用上同心に保持する保持体とを備え、
    該保持体は、
    前記シャフトと前記筒状体との間に前記シャフトの外周回りの空隙を形成するよう、前記筒状体の両端近傍で前記筒状体を前記シャフトに対して保持する
    搬送ローラ。
  3. 請求項1または請求項2に記載の搬送ローラであって、
    前記保持体は、圧縮復元性を有する弾性体とされ、
    前記筒状体は、前記保持体が圧縮を起こす範囲では変形しない剛性を有する剛性体とされている
    搬送ローラ。
  4. 請求項2または請求項3に記載の搬送ローラであって、
    前記保持体は、前記空隙を外気に連通する連通部を有する
    搬送ローラ。
  5. 請求項2ないし請求項4のいずれかに記載の搬送ローラであって、
    前記保持体は、前記筒状体の一端側に位置する第1保持体と、前記筒状体の他端側に位置する第2保持体を備え、
    前記第1保持体と第2保持体は、前記シャフトの外周壁から前記筒状体の内周壁にかけて介在して固定されている
    搬送ローラ。
  6. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の搬送ローラであって、
    前記保持体は、
    前記筒状体の一端側に位置する第1保持体と、前記筒状体の他端側に位置する第2保持体と、前記シャフトの外周に装着されるスリーブとを備え、
    前記第1保持体と第2保持体は、前記スリーブの外周壁から前記筒状体の内周壁にかけて介在するよう固定されている
    搬送ローラ。
  7. 請求項6に記載の搬送ローラであって、
    前記スリーブは、前記第1保持体の側と前記第2保持体の側に分離されている
    搬送ローラ。
  8. 請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の搬送ローラであって、
    前記第1保持体と第2保持体は、前記筒状体を保持するに当たり、保持体外周縁部と筒状体内周壁とにおいて凹凸の嵌合形態で前記筒状体を保持する
    搬送ローラ。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の搬送ローラであって、
    前記シャフトに、前記保持体で保持した前記筒状体を多列に有する
    搬送ローラ。
  10. 請求項9に記載の搬送ローラであって、
    前記保持体は、前記シャフトに多列に並んだ前記筒状体の間隔を規定する規定部材を有する
    搬送ローラ。
  11. 請求項10に記載の搬送ローラであって、
    前記規定部材は、前記保持体が有する前記スリーブと一体とされている
    搬送ローラ。
  12. 紙幣などの紙葉類を搬送する紙葉類搬送装置であって、
    前記紙葉類を挟持しつつ紙葉類搬送に供する一対の搬送ローラ対を備え、
    該搬送ローラ対の一方の搬送ローラを、請求項1ないし請求項11いずれかに記載の搬送ローラとして有する
    紙葉類搬送装置。
  13. 紙幣などの紙葉類を搬送する紙葉類搬送装置であって、
    請求項1ないし請求項11いずれかに記載の搬送ローラと、
    該搬送ローラと対向配設され、前記搬送ローラとの間で前記紙葉類を挟持しつつ紙葉類搬送に供するプレートとを有する
    紙葉類搬送装置。
  14. 紙幣などの紙葉類を搬送し、搬送過程にある該紙葉類の厚みを検出する紙葉類肉厚検出装置であって、
    前記紙葉類を挟持しつつ紙葉類搬送に供する一対の搬送ローラ対を備え、
    該搬送ローラ対の一方の搬送ローラを、紙葉類搬送に際して変位しない基準ローラとして備え、
    前記搬送ローラ対の他方の搬送ローラを、紙葉類搬送に際して紙葉類厚みに応じた変位を起こす検出ローラとして備え、
    更に、
    前記検出ローラを、請求項1ないし請求項11いずれかに記載の搬送ローラとして備えると共に、
    前記検出ローラの変位を検出する変位センサと、
    該変位センサの出力に基づいて、前記搬送されている紙葉類の厚みを算出する肉厚算出部とを備える
    紙葉類肉厚検出装置。
  15. 紙幣などの紙葉類を搬送し、搬送過程にある該紙葉類の厚みを検出する紙葉類肉厚検出装置であって、
    搬送ローラとこれに対向して固定されたプレートとを、前記紙葉類を挟持しつつ紙葉類搬送に供するよう備え、
    前記搬送ローラを、紙葉類搬送に際して紙葉類厚みに応じた変位を起こす検出ローラとして備え、
    更に、
    前記検出ローラを、請求項1ないし請求項11いずれかに記載の搬送ローラとして備えると共に、
    前記検出ローラの変位を検出する変位センサと、
    該変位センサの出力に基づいて、前記搬送されている紙葉類の厚みを算出する肉厚算出部とを備える
    紙葉類肉厚検出装置。
  16. 請求項14または請求項15に記載の紙葉類肉厚検出装置であって、
    前記変位センサは、
    前記検出ローラが有する前記筒状体の近傍に配設され、紙葉類の厚み方向に沿った該筒状体の変位を検出する
    紙葉類肉厚検出装置。
JP2004225441A 2004-08-02 2004-08-02 紙幣などの紙葉類の搬送に用いられる搬送ローラとこれを用いた装置 Pending JP2006044834A (ja)

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