JP2006044036A - タイヤ成型装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 トロイダル状に変形させたタイヤ構成部材の両端部をビードの外周に折返すときにタイヤ構成部材表面に発生する圧痕を低減する。
【解決手段】 折返しフィンガー1を構成する水平フィンガー2には、水平フィンガー2を外周側から囲むように取り付けられたゴムバンドからなる復帰部材5、6が取り付けられている。復帰部材6の付勢力による揺動軸7の回りのモーメントは、折返しフィンガ1ーの閉止位置では閉止させる方向であり、折返しフィンガー1の拡開角度が大きくなると拡開させる方向に変化する。拡開角度が大きいときに拘束力の増加が抑えられるので、タイヤ構成部材Kの表面の圧痕を低減できる。
【選択図】 図2
【解決手段】 折返しフィンガー1を構成する水平フィンガー2には、水平フィンガー2を外周側から囲むように取り付けられたゴムバンドからなる復帰部材5、6が取り付けられている。復帰部材6の付勢力による揺動軸7の回りのモーメントは、折返しフィンガ1ーの閉止位置では閉止させる方向であり、折返しフィンガー1の拡開角度が大きくなると拡開させる方向に変化する。拡開角度が大きいときに拘束力の増加が抑えられるので、タイヤ構成部材Kの表面の圧痕を低減できる。
【選択図】 図2
Description
本発明は、グリーンタイヤ(生タイヤ)を成型する装置に関し、特にトロイダル状に変形させたカーカスプライ等のタイヤ構成部材の両端部をビード部の周りに折返す折返し機構に関する。
グリーンタイヤをタイヤ成型装置で成型する場合、まず円筒状に成型したカーカスプライの両端のビード部にリング状のビードワイヤを取り付け、そのカーカスプライの各ビード部を成型ドラムを構成する主軸の軸方向(成型対象であるタイヤの幅方向)に互いに接近及び離隔が可能な一対の可動体で支持する。ここで、両可動体間にはゴム等の弾性材からなるブラダが取り付けられ、カーカスプライはブラダの外周側に配置されている。次に、ブラダの内側に圧縮空気を供給してカーカスプライの内周面に密着させ、ブラダを介してカーカスプライのドラム主軸方向中間部を膨出・拡径させながら、両可動体によりカーカスプライの両ビード部を互いに接近する方向に移動させるとともに、両可動体に取り付けられた折返し機構を、その先端が前記軸方向内側を向く閉止位置から前記主軸から遠ざかる方向(タイヤ半径方向外側)を向く拡開位置へ揺動させ、折返し機構の先端に設けられた折返し部材によりカーカスプライをビード部の周りに折返す。次いで、カーカスプライの外面に、予め貼り合わせて環状に形成しておいたベルト・トレッドバンドを嵌合させ、グリーンタイヤを完成させる。
図3は従来のタイヤ成型装置(特許文献1参照)の正面断面図であり、図4は図3のタイヤ成型装置におけるビードロックセグメント近傍の正面断面図である。また、図5は図3のタイヤ成型装置における左側の折返し機構の模式図である。ここで、図5(a)は折返し前の状態を示し、図5(b)は折返し中の状態を示す。
図3及び4において、生タイヤを成型する際に使用するタイヤ成型ドラム21は水平な円筒状のドラム主軸22を有する。このドラム主軸22は図示されていないタイヤ成型装置の駆動部に連結されており、その駆動部により軸線回りに回転可能である。
前記ドラム主軸22内にはドラム主軸22と同軸のねじ軸23が回転可能に挿入され、このねじ軸23の軸方向両側部外周には、それぞれ逆ねじとなった雄ねじ部24、25が形成されている。また、前記雄ねじ部24、25に重なり合う部位のドラム主軸22には、複数のスリット26、27がそれぞれ軸方向に延設されている。これらのスリット26、27は周方向に等距離離れて複数個ずつ配置されている。ナット28、29は前記雄ねじ部24、25にそれぞれ螺合するナットであり、前記スリット26、27を貫通する連結ブロック30、31がそれぞれ固定されている。
前記ドラム主軸22の軸方向両側部には、それぞれ軸方向に移動可能に支持され、そのドラム主軸22を囲む略円筒状の摺動体35、36が設けられており、これらの摺動体35、36の軸方向内端部には前記連結ブロック30、31がそれぞれ連結されている。前述した連結ブロック30、31、摺動体35、36は、全体としてドラム主軸22の軸方向両側部にそれぞれ軸方向に移動可能に支持された一対の可動体37、38を構成する。
これらの可動体37、38は前記ねじ軸23がタイヤ成型装置の駆動部によって駆動回転されると、逆ねじである雄ねじ部24、25によって逆方向に等距離だけ移動し、互いに接近又は離隔する。前述したねじ軸23、ナット28、29は全体として、可動体37、38を逆方向に等距離だけ移動させることにより互いに接近又は離隔させる接離手段40を構成する。
前記摺動体35、36の軸方向内端部には複数の収納孔42、43がそれぞれ摺動体35、36の半径方向に延設され、これらの収納孔42、43はそれぞれ摺動体35、36の周方向に等距離離れて配置されている。各摺動体35,36(可動体37、38)の収納孔42、43内にはビードロックセグメント44、45がそれぞれ前記半径方向に移動可能に挿入支持され、これらのビードロックセグメント44、45の前記半径方向外端部には軸方向外側に向かって突出するフィンガー受け46、47がそれぞれ形成されている。これらフィンガー受け46、47には後述する折返しフィンガーの先端部、詳しくは折返しローラが載置されるが、このとき、折返しローラの前記半径方向外端はビードロックセグメント44、45の前記半径方向外端とほぼ同一の半径方向位置に位置する。
摺動体35、36内にはリング状のシリンダ室48,49が形成されており、各シリンダ室48、49にはこれらシリンダ室48、49を内側室48a,49aと外側室48b,49bとに仕切るリング状のピストン50、51が軸方向に移動可能に収納されている。これらピストン50、51にはシリンダ室48、49の軸方向内側壁を貫通して軸方向内側に延びる延在部50a、51aが一体的に形成されている。リンク53、54は一端がビードロックセグメント44、45に、他端が延在部50a、51aの軸方向内端部にそれぞれ回動可能に連結された複数のリンクであり、これらのリンク53、54は軸方向内側に向かって開くよう傾斜している。
前記シリンダ室48、49の内側室48a、49aに図示されていない流体源から高圧流体が供給されると、ピストン50、51は軸方向外側に移動してビードロックセグメント44、45を半径方向内側に移動させる。一方、外側室48b、49bに高圧流体が供給されると、ピストン50、51は軸方向内側に移動してビードロックセグメント44、45を半径方向外側に移動させる。前述したピストン50、51及びリンク53、54は全体として、ビードロックセグメント44、45を半径方向に同期移動させて拡縮させる拡縮手段55を構成する。
シール部材58、59はゴム引きコード布からなる一対のシール部材であり、これらのシール部材58、59は、前記拡縮手段55によって径が拡大されたビードロックセグメント44、45により後述のタイヤ構成部材Kが半径方向内側から支持されたとき、可動体37、38及びビードロックセグメント44、45とタイヤ構成部材Kとの間をシールする。
シール部材58、59は可動体37、38(摺動体35、36)におけるビードロックセグメント44、45より軸方向内側の部分の上端部に気密固定された基端部58a、59aを有し、これら基端部58a、59aの半径方向外端からは円筒状をした内側延在部58b、59bが軸方向内側に向かって延設されている。また、前記内側延在部58b、59bの軸方向内端には内側延在部58b、59bより幅広である円筒状の外側延在部58c、59cが連続し、これら外側延在部58c、59cは内側延在部58b、59bの半径方向外側に重なり合いながら軸方向外側に向かって延設されている。
各可動体37、38、詳しくは摺動体35、36の軸方向中央部外面にはフランジ61、62が形成されており、これらフランジ61、62の外側には円筒体63、64が軸方向に移動可能に嵌合されている。円筒体63、64の軸方向外端部内面にはフランジ65、66が一体形成されており、これらのフランジ65、66には周方向に等角度ずつ離れた複数の折返しフィンガー101、111の基端部(軸方向外端部)が揺動軸107、117を支点(揺動中心)として揺動可能に連結されている。
折返しフィンガー101、111は、閉止位置において先端がドラム主軸22の軸方向内側(図の右方向)を向く水平フィンガー102、112と、水平フィンガー102、112の基端部から前記軸方向と実質的に直交する方向に延在する支持フィンガー103、113とからなる正面視略L字型に構成されている。また、水平フィンガー102、112の先端には折返しローラ104、114が回転可能に取り付けられている。さらに、水平フィンガー102、112の中央部には水平フィンガー102、112を外周側から囲むようにゴムバンド等の弾性材からなる復帰部材105,106、115、116が取り付けられている。この折返し機構はドラム主軸22の外周方向に等角度間隔で複数個配列されているので、復帰部材105,106、115、116はそれらの折返し機構の水平フィンガーを束ねるように拘束する。折返しフィンガー101、111に対するタイヤ半径方向外側にはタイヤ構成部材Kが配置され、その外側には、ビードコア及びビードフィラーからなるフィラー付きビードBが配置されている。
前記円筒体63、64の軸方向内側端部内面には、一体形成されたリング状のフランジ71、72が設けられている。これらフランジ71、72は摺動体35、36におけるフランジ61、62より軸方向内側の部位に摺接している。そして、前述のフランジ61、62とフランジ71、72との間に形成された内側シリンダ室73、74に図示されていない流体源から高圧流体が供給されると、円筒体63、64は軸方向内側に移動する。このとき、折返しフィンガー101、111は円筒体63、64と共に軸方向内側に移動しながら拡開し、フィラー付きビードBより軸方向外側のタイヤ構成部材Kをフィラー付きビードBの周りに折返す。
ストッパー体77、78は摺動体35、36におけるフランジ61、62より軸方向外側の部位の外面に嵌合された円筒状のストッパー体であり、それらの外周には前記フランジ65、66が摺動可能に係合している。これらのフランジ61、62とフランジ65、66との間に形成された外側シリンダ室79、80に流体源から高圧流体が供給されると、折返しフィンガー101、111は円筒体63、64と共に閉止しながら軸方向外側に移動する。
前記ストッパー体77、78の軸方向内端にはそれぞれの半径方向外側に向かって突出するフランジ状のストッパー85、86が一体に形成され、これらのストッパー85、86はフランジ65、66が主軸の軸方向内側へ移動して当接したとき、前記円筒体63、64の移動を停止させる内側移動限界を規定する。
次に、以上の構成を備えたタイヤ成型装置の動作を説明する。前述したタイヤ成型ドラム21を用いて生タイヤを成型する場合には、まず、他の成型ドラムにより円筒状に成型されたインナーライナー、カーカスプライ等からなるタイヤ構成部材K、フィラー付きビードB及びベルト・トレッドバンドTを、搬送装置によってタイヤ成型ドラム21の外側に搬入して嵌合させる。
次いで、シリンダ室48、49の外側室48b、49bに高圧流体を供給してピストン50、51を軸方向内側へ移動させる。このとき、ピストン50、51にはリンク53、54を介してビードロックセグメント44、45が連結されているため、ビードロックセグメント44、45は収納孔42、43にガイドされながらタイヤ半径方向外側に移動して拡径し、シール部材58、59の外側延在部58c、59cを介してタイヤ構成部材K及びフィラー付きビードBをタイヤ半径方向内側から支持する。
このとき、折返しフィンガー101、111の折返しローラ104、114はビードロックセグメント44、45のフィンガー受け46、47に載置されているため、折返しローラ104(114)はビードロックセグメント44、45と同時に等距離だけ半径方向外側に移動し、折返しフィンガー101、111が拡開方向へ若干揺動する。この結果、図4(a)に示すように、フィラー付きビードBより軸方向外側のタイヤ構成部材Kは、折返しローラ104、114によって常に半径方向内側から支持されることとなり、ビードロックセグメント44、45の軸方向外端面に沿って落ち込んで段差が生じてしまうということはない。
次に、摺動体35、36とフィラー付きビードB間のタイヤ構成部材Kで囲まれた空間Sにエアを供給しながらねじ軸23を回転させて、おねじ部24、25により可動体37、38、ビードロックセグメント44、45、及び折返しフィンガー101、111を一体的に軸方向内側に移動させ、互いに接近させる。これにより、フィラー付きビードB間のタイヤ構成部材Kは徐々にトロイダル状に変形する。そして、可動体37、38が所定位置まで軸方向内側に移動すると、ねじ軸23の回転を停止させるが、この停止後も継続して前記空間Sにエアを供給する。これにより、トロイダル状に変形している途中のタイヤ構成部材Kはベルト・トレッドバンドTに接触し、その軸方向中央部がベルト・トレッドバンドTの内周に密着する。このときの空間Sの内圧はシール部材58、59により保持されている。
次に、内側シリンダ室73、74に高圧流体を供給し、円筒体63、64、折返しフィンガー101、111を軸方向内側に向かって移動させる。このとき、折返しローラ104、114はほぼ半径方向に延在するフィラー付きビードBに突き当たるため、そのフィラー付きビードBの軸方向外側面に沿って略半径方向外側へ移動し、図4(b)に示すように、フィラー付きビードBより軸方向外側のタイヤ構成部材Kをフィラー付きビードBに沿って半径方向外側に折返す。このような折返しローラ104、114の半径方向外側への移動により、折返しフィンガー101、111は同期して拡開方向に揺動する。
そして、拡開方向に揺動する折返しフィンガー101、111の折返しローラ104、114によってフィラー付きビードBより軸方向外側のタイヤ構成部材Kが完全に折返されると、円筒体63、64のフランジ65、66がストッパー体77、78のストッパー85、86に当接し、円筒体63、64の軸方向内側への移動が停止される。このときの状態が図3の下半分に示されている。
次に、外側シリンダ室79、80に高圧流体を供給して、円筒体63、64及び折返しフィンガー101、111をフランジ71、72がフランジ61、62に当接するまで軸方向外側に移動させる。このとき、折返しフィンガー101、111は、復帰部材5、6、15、16の弾性復元力により折返しローラ104、114がフィンガー受け46、47上に載置されるまで閉止方向に揺動する。
次に、ドラム主軸22を回転させながら、図示していないステッチング装置によりベルト・トレッドバンドTをステッチングしてタイヤ構成部材Kに圧着し、生タイヤとする。次いで、図示していない搬送装置により生タイヤを半径方向外側から把持した後、空間Sからエアを排出するとともに、シリンダ室48、49の内側室48a、49aに高圧流体を供給してビードロックセグメント44、45を半径方向内側に移動させ、生タイヤをビードロックセグメント44、45から前記搬送装置に受け渡す。このとき、外側延在部58c、59cの先端部外側面には密着防止処理が施されているので、シール部材58、59の外側延在部58c、59cはタイヤ構成部材K(生タイヤ)から容易に引き離される。
次いで、生タイヤを搬送装置によってタイヤ成型ドラム21から搬出するとともに、ねじ軸23を前述とは逆方向に回転させ、可動体37、38、ビードロックセグメント44、45、折返しフィンガー101、111を初期位置に復帰させる。
前記従来の折返し機構では、水平フィンガーの中央部に水平フィンガーを外周側から囲むようにゴムバンドからなる復帰部材が取り付けられ、この復帰機構が折返し機構の水平フィンガーを束ねるように拘束しており、その弾性部材つまりゴムバンドのゴムの特性から伸びが大きくなる程張力も大きくなるため、折返しフィンガーを閉止位置側へ復帰させる方向の揺動軸の回りのモーメントが大きくなる。このため、折返しローラによる大きな圧力がタイヤ構成部材Kに加わり、その表面に圧痕が生じる。このようなタイヤ構成部材の表面に圧痕を生じたグリーンタイヤを加硫成型し空気を充填すると、タイヤ表面に凹凸が現れるため商品価値が低下するという問題がある。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、トロイダル状に変形させたタイヤ構成部材の両端部をビードの外周に折返すときにタイヤ構成部材の表面に発生する圧痕を低減することである。
請求項1に係る発明は、ドラム主軸と、先端に折返し部材が取り付けられ、前記ドラム主軸上に設けられた揺動軸を支点として閉止位置と拡開位置との間を揺動する折返しフィンガーとを備え、前記折返しフィンガーの前記閉止位置から拡開位置への揺動に応動して、前記ドラム主軸の外周の外側に配置され、トロイダル状に変形されたタイヤ構成部材の端部を前記折返し部材により折返すタイヤ成型装置であって、前記折返しフィンガーに、前記折返しフィンガーを前記ドラム主軸の外周面に近づく方向に付勢する弾性部材を、該弾性部材の付勢力の作用点が前記折返しフィンガーの前記拡開位置への揺動に伴って前記揺動軸の中心を通る鉛直線を越えるように取りつけたことを特徴とするタイヤ成型装置である。
請求項2に係る発明は、請求項1記載のタイヤ成型装置において、前記折返しフィンガーは、正面視略L字型であり、該L字の一端に前記折返し部材が取り付けられ、前記L字の他端が前記揺動軸に取り付けられ、前記L字の一端と前記L字の屈曲部との間に前記弾性部材が取り付けられていることを特徴とするタイヤ成型装置である。
請求項3に係る発明は、請求項1記載のタイヤ成型装置において、前記折返し部材は、前記折返しフィンガーに回転可能に取り付けられたローラであることを特徴とするタイヤ成型装置である。
請求項4に係る発明は、請求項1記載のタイヤ成型装置において、前記弾性部材はゴムバンドからなることを特徴とするタイヤ成型装置である。
請求項5に係る発明は、請求項1記載のタイヤ成型装置において、前記折返しフィンガーは前記ドラム主軸の外周方向に複数個配列されており、前記弾性部材は前記複数個の折返しフィンガーを束ねるように固定することを特徴とするタイヤ成型装置である。
請求項2に係る発明は、請求項1記載のタイヤ成型装置において、前記折返しフィンガーは、正面視略L字型であり、該L字の一端に前記折返し部材が取り付けられ、前記L字の他端が前記揺動軸に取り付けられ、前記L字の一端と前記L字の屈曲部との間に前記弾性部材が取り付けられていることを特徴とするタイヤ成型装置である。
請求項3に係る発明は、請求項1記載のタイヤ成型装置において、前記折返し部材は、前記折返しフィンガーに回転可能に取り付けられたローラであることを特徴とするタイヤ成型装置である。
請求項4に係る発明は、請求項1記載のタイヤ成型装置において、前記弾性部材はゴムバンドからなることを特徴とするタイヤ成型装置である。
請求項5に係る発明は、請求項1記載のタイヤ成型装置において、前記折返しフィンガーは前記ドラム主軸の外周方向に複数個配列されており、前記弾性部材は前記複数個の折返しフィンガーを束ねるように固定することを特徴とするタイヤ成型装置である。
本発明によれば、折返しフィンガーに取り付けられた弾性部材の付勢力による揺動軸の回りのモーメントは、折返しフィンガーの閉止位置では折返しフィンガーを閉止させる方向であり、折返しフィンガーの拡開位置への揺動に伴って、折返しフィンガーを拡開させる方向に変化するから、拡開開始時には大きな拘束力が得られ、拡開終了位置では拘束力の増加を抑えられる。このため、タイヤ構成部材表面の圧痕を低減できる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態に係るタイヤ成型装置のビードロックセグメント近傍の左上部分の正面断面図、即ち図4と同等な図であり、図2は図1における左側の折返し機構の模式図である。図2中、(a)は折返し前の状態を示し、(b)は折返し中の状態を示す。図2において図4と同一の部分には同一の符号を付している。なお、右側の折返し機構は左側の折返し機構と左右対称である。また、本実施形態に係るタイヤ成型装置の全体構成は、この折返し機構以外は既に説明した従来装置と同じである。
図1は本発明の実施形態に係るタイヤ成型装置のビードロックセグメント近傍の左上部分の正面断面図、即ち図4と同等な図であり、図2は図1における左側の折返し機構の模式図である。図2中、(a)は折返し前の状態を示し、(b)は折返し中の状態を示す。図2において図4と同一の部分には同一の符号を付している。なお、右側の折返し機構は左側の折返し機構と左右対称である。また、本実施形態に係るタイヤ成型装置の全体構成は、この折返し機構以外は既に説明した従来装置と同じである。
図1に示すように、本実施形態に係る折返し機構は、従来のものと同様に、ドラム主軸22の略軸方向内側に向かって延設された水平フィンガー2、及びその一端から水平フィンガー2の長手方向と実質的に直交する方向に延在する支持フィンガー3からなる折返しフィンガー1と、その水平フィンガー2の先端に回転可能に取り付けられた折返しローラ4とからなる。支持フィンガー3の先端は、フランジ65に設けられた揺動軸7を支点として揺動可能に構成されている。ここで、支持フィンガー3は従来装置の支持フィンガー103より長い。また、水平フィンガー2と支持フィンガー3が交差する屈曲部の角度は従来の折返しフィンガー101、111の屈曲部の角度(略直角)よりも小さい。さらに、ゴムバンドからなる復帰部材6の水平フィンガー2に対する取付位置は、従来の復帰部材106の取付位置よりも水平フィンガー2の先端から遠くし、屈曲部に近づけた。
また、水平フィンガー2には、水平フィンガー2を外周側から囲む(束ねる)ようにゴムバンド等の弾性材からなる復帰部材5、6が取り付けられている。図1及び図2(a)に示す折返しフィンガー1の閉止位置では、復帰部材5、6の付勢力はそれぞれ図2(a)の破線の矢印8、9の方向であり、何れも水平フィンガー2をドラム主軸22の外周面に近づく方向に略直角に付勢するので、復帰部材5、6の付勢力による揺動軸7の回りのモーメントは折返しフィンガー1を閉止位置へ揺動させる方向である。
以上のように構成された折り返し機構の動作時、折返しフィンガー1に対するタイヤ半径方向外側にはタイヤ構成部材Kが配置され、その外側には、ビードコア及びビードフィラーからなるフィラー付きビードBが配置される。
次に、本実施形態のタイヤ成型装置の動作を説明するが、折返し機構以外については既に説明した従来装置と同じであるため省略する。図2(a)に示すような、フィラー付きビードBより軸方向外側のタイヤ構成部材Kが折返しフィンガー1によって半径方向内側から支持されている状態から、内側シリンダ室73に高圧流体を供給し、円筒体63及び折返しフィンガー1を軸方向内側に向かって移動させる。このとき、折返しローラ4は略半径方向に延在するフィラー付きビードBに突き当たるため、そのフィラー付きビードBの軸方向外側面に沿って略半径方向外側へ移動し、図2(b)に示すように、フィラー付きビードBより軸方向外側のタイヤ構成部材Kをフィラー付きビードBに沿って半径方向外側に折返す。
このとき、折返しフィンガー1の拡開角度の増加に伴って復帰部材5、6の伸びが大きくなるため、それらの張力は大きくなるが、支持フィンガー3は従来装置の支持フィンガー103より長くかつ復帰部材6の固定位置が水平フィンガー2の先端から遠くしたことで、復帰部材6の付勢力の方向は図2(b)の破線の矢印9に示すように、揺動軸7を越えるようになる。つまり、復帰部材6の付勢力による揺動軸7の回りのモーメントは、折返しフィンガー1を閉止させる方向から拡開させる方向に変化する。従って、復帰部材5の伸びによる折返しフィンガー1を閉止位置へ揺動させる方向のモーメントの増加は、復帰部材6の付勢力による折返しフィンガー1を拡開位置へ揺動させる方向のモーメントにより差し引かれるため、折返しフィンガー1を閉止方向へ揺動させるモーメントの増加が抑えられる。このため、折返しローラ4によりタイヤ構成部材Kにかかる圧力が低下するので、その表面の圧痕を低減できる。
このように、本実施形態に係るタイヤ成型装置によれば、折返しフィンガー1に対する大きな拘束力が必要なとき、例えばタイヤ構成部材Kの部位の内、タイヤのビード部に対応する部分を折返すときは、復帰部材5、6の付勢力による揺動軸7の回りのモーメントが共に折返しフィンガー1を閉止させる方向となることで大きな拘束力を与えることができ、大きな拘束力が不要なとき、例えばタイヤ構成部材Kの部位の内、サイドウォール部のトレッド部付近に対応する部分を折返すときは、復帰部材6の付勢力による揺動軸7の回りのモーメントが折返しフィンガー1を拡開させる方向に変化することで拘束力の増加を抑えることができる。つまり、タイヤ構成部材Kの部位別に適正な拘束力を与えることができるので、タイヤ構成部材Kの表面に発生する圧痕を低減できる。
1・・・折返しフィンガー、2・・・水平フィンガー、3・・・支持フィンガ ー、4・・・折返しローラ、5、6・・・復帰部材、7・・・揺動軸、B・・・フィラー付きビード、K・・・タイヤ構成部材。
Claims (5)
- ドラム主軸と、先端に折返し部材が取り付けられ、前記ドラム主軸上に設けられた揺動軸を支点として閉止位置と拡開位置との間を揺動する折返しフィンガーとを備え、
前記折返しフィンガーの前記閉止位置から拡開位置への揺動に応動して、前記ドラム主軸の外周の外側に配置され、トロイダル状に変形されたタイヤ構成部材の端部を前記折返し部材により折返すタイヤ成型装置であって、
前記折返しフィンガーに、前記折返しフィンガーを前記ドラム主軸の外周面に近づく方向に付勢する弾性部材を、該弾性部材の付勢力の作用点が前記折返しフィンガーの前記拡開位置への揺動に伴って前記揺動軸の中心を通る鉛直線を越えるように取りつけたことを特徴とするタイヤ成型装置。 - 請求項1記載のタイヤ成型装置において、前記折返しフィンガーは、正面視略L字型であり、該L字の一端に前記折返し部材が取り付けられ、前記L字の他端が前記揺動軸に取り付けられ、前記L字の一端と前記L字の屈曲部との間に前記弾性部材が取り付けられていることを特徴とするタイヤ成型装置。
- 請求項1記載のタイヤ成型装置において、前記折返し部材は、前記折返しフィンガーに回転可能に取り付けられたローラであることを特徴とするタイヤ成型装置。
- 請求項1記載のタイヤ成型装置において、前記弾性部材はゴムバンドからなることを特徴とするタイヤ成型装置。
- 請求項1記載のタイヤ成型装置において、前記折返しフィンガーは前記ドラム主軸の外周方向に複数個配列されており、前記弾性部材は前記複数個の折返しフィンガーを束ねるように固定することを特徴とするタイヤ成型装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008296407A (ja) * | 2007-05-29 | 2008-12-11 | Bridgestone Corp | タイヤ成型方法及びタイヤ成型装置 |
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JP2012131172A (ja) * | 2010-12-22 | 2012-07-12 | Bridgestone Corp | タイヤ成型装置 |
KR101355396B1 (ko) | 2012-10-05 | 2014-01-28 | (주)세화아이엠씨 | 성형 드럼용 핑거 균일 압력 조절 장치 |
-
2004
- 2004-08-04 JP JP2004227727A patent/JP2006044036A/ja active Pending
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