JP2006043919A - ハードコートフィルムの製造方法及びハードコートフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明は、平均表面粗さRaが0.1μm以下の剥離フィルム上に形成されたエネルギー線硬化性ハードコート組成物層に基材フィルムを貼り合わせ、加熱後、エネルギー線を照射することによって前記エネルギー線硬化性ハードコート組成物層を硬化させて基材フィルムにハードコート層を密着形成することを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
ハードコートフィルムの表面を平滑とするために、表面張力を低下させるレベリング剤をハードコート組成物に添加した場合であっても、塗工されたハードコート組成物が、基材フィルム表面の凹凸状の欠陥に沿って若干へこみ又は膨らむため、厚さむらが生じるという問題があった。また、レベリング剤としてジメチルシロキサン系化合物又はフッ素系化合物等が添加された場合は、指紋や皮脂等の拭き取り性が悪化するという問題があった。特に、指先で触れて操作するタッチパネルの表面に用いるハードコートフィルムにレベリング剤が添加されている場合は問題があった。例えば、特許文献1に記載のように、レベリング剤を添加したハードコート層の上部にさらに防汚層を設ければ指紋拭き取り性は向上するが、防汚層を設けると、工程数が増加し、防汚層の材料価格も高価であることから、製品単価が高騰するという問題があった。
そこで、本発明は、光ディスク等の光記録媒体、光磁気記録媒体や液晶ディスプレイ、タッチパネル等の被覆対象物の保護用のフィルムとして、基材フィルムにハードコート層を設けたハードコートフィルムにおいて、ハードコート層と基材フィルムの密着性及びハードコート層の表面平滑性が良好であり、厚さむらがなく、指紋の拭き取り性に優れたハードコートフィルムの製造方法及びその製造方法によって得られたハードコートフィルムを提供することを目的とする。
また、請求項2記載のハードコートフィルムの製造方法は、請求項1記載のハードコートフィルムの製造方法において、前記エネルギー線硬化性ハードコート組成物層を形成するエネルギー線硬化性ハードコート組成物は、ウレタン(メタ)アクリルレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする。
また、請求項3記載のハードコートフィルムの製造方法は、請求項1又は2記載のハードコートフィルムの製造方法において、前記加熱を50℃〜130℃で行うことを特徴とする。
また、請求項4記載のハードコートフィルムの製造方法は、請求項1乃至3の何れかに記載のハードコートフィルムの製造方法において、前記エネルギー線硬化性ハードコート組成物層に、ジメチルシロキサン系化合物又はフッ素系化合物を含まないことを特徴とする。
本発明のハードコートフィルムは、請求項5に記載の通り、請求項1乃至4の何れかの方法によって製造されたことを特徴とする。
また、請求項6記載のハードコートフィルムの製造方法は、請求項5記載のハードコートフィルムにおいて、光ディスクに用いることを特徴とする。
本発明の製造方法によれば、エネルギー線硬化性ハードコート組成物層が、基材フィルムと貼り合わされた状態で加熱されて流動化され、前記基材フィルムの表面に存在する微小な凹凸に追従し、その後、エネルギー線の照射によって、前記エネルギー線硬化性ハードコート組成物層が硬化されるため、ハードコート層と基材フィルムの密着性が向上する。また、前記エネルギー線硬化性ハードコート組成物層が、基材フィルムと剥離フィルムとの間にはさまれた状態で硬化されるため、平均表面粗さRaが0.1μm以下の剥離フィルムの平滑な表面がハードコート層に転写され、ハードコート層の表面平滑性が良好となる。また、剥離フィルムと基材フィルムとの間にはさまれた状態でハードコート層が形成されるため、厚さむらのないハードコートフィルムを得ることができる。
また、本発明のハードコートフィルムの製造方法によれば、ジメチルシロキサン系化合物又はフッ素系化合物からなるレベリング剤を用いることなく表面平滑性を向上させたハードコート層を形成できるため、指紋や皮脂等の拭き取り性が向上し、防汚性を向上させたハードコートフィルムを得ることができる。
本発明の製造方法によって得たハードコートフィルムは、前記剥離フィルムを保護シートとして用いることにより、表面平滑性が高いハードコート層同士の摩擦によるブロックキング現象を生じさせることなく、ハードコートフィルムをロール状に巻き取って供給することができ、取り扱い性が向上する。また、本発明の製造方法によって得たハードコートフィルムは、表面平滑性が向上されているため、光の散乱、屈折がなく、光ディスクの保護用のフィルムとして適している。
エネルギー線硬化性ハードコート組成物としては、紫外線、電子線等のエネルギー線の照射により硬化するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種からなるものを用いることができる。また、前記エネルギー線硬化性ハードコート組成物には、照射するエネルギー線の種類によって、適した光重合開始剤を含んだものを用いることが好ましい。また、前記エネルギー線硬化性ハードコート組成物には、表面修飾された反応性シリカゾルを含んだものを用いてもよい。前記シリカゾルの平均粒径は200nm以下のものを用いることが好ましい。ハードコート層の厚さは、特に限定されるものではないが、0.5〜20μmが好ましく、1〜10μmのものがより好ましい。
前記剥離フィルムは、特に限定されるものではないが、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂からなるフィルム又は前記樹脂をラミネートした紙、及び、前記フィルム又は紙に剥離処理を施したものを用いることができる。剥離処理の方法としては、例えば、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系等の剥離処理剤を前記フィルムに塗工する方法が挙げられる。尚、剥離処理剤は前記剥離処理剤に限らず、他の剥離処理剤を使用してもよい。また、剥離フィルムとしてポリエチレンテレフタレートからなるフィルムを用いた場合は、エネルギー線硬化性ハードコート組成物との密着性が乏しいため易剥離性となり、しかも、安価であるため好ましい。剥離フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、厚さは10〜200μmが好ましく、30〜100μmのものがより好ましい。
図1に示すように、先ず、ロール5から平均表面粗さRaが0.1μm以下の剥離フィルム1が巻き出されて、バックアップロール6のところでバーコーター7からエネルギー線硬化性ハードコート組成物が剥離フィルム1に塗工され、その後、60℃〜130℃の乾燥機8を通過させ、エネルギー線硬化性ハードコート組成物が乾燥されて剥離フィルム1上にエネルギー線硬化性ハードコート組成物層2’が形成される。尚、エネルギー線硬化性ハードコート組成物の塗工方法としては、バーコーター法、ダイコーター法、グラビアコーター法、ナイフコーター法等の方法を用いることができる。
次いで、乾燥機8を通過した剥離フィルム1上に形成されたエネルギー線硬化性ハードコート組成物層2’と、ロール9から巻き出された基材フィルム3とが、相対する一対の加圧ロール10,11の間で貼り合わされる。
そして、エネルギー線硬化性ハードコート組成物層2’と基材フィルム3とが、貼り合わされた状態で、熱風炉、電気ヒーター、加熱ロール等の加熱手段14によって、50℃〜130℃の温度で加熱される。
その後、エネルギー線照射装置12からエネルギー線が剥離フィルム1側から照射され、エネルギー線硬化性ハードコート組成物層2’が硬化されて、基材フィルム3にハードコート層2が密着形成され、ハードコートフィルム4が得られる。前記エネルギー線として、近赤外線、可視光線、紫外線、電子線等を照射してエネルギー線硬化性ハードコート組成物層2’を硬化させることができる。
尚、剥離フィルム1を剥離することなく保護シートとして用いると、表面平滑性を有するハードコート層同士の摩擦によるブロッキング現象を生じさせることなく、ハードコートフィルム4をロール13に巻き取ることができる。前記ハードコートフィルム4がロール13に巻き取られた後、前記ハードコートフィルム4は、裁断加工工程、抜き加工工程等を経ることになるが、これらの工程においても前記剥離フィルム1を保護シートとして用いることが可能である。
(実施例1)
ウレタンアクリレート(荒川化学工業株式会社製、製品名:ビームセット575CB、固形分濃度:100%、光重合開始剤入り)を希釈用溶剤であるメチルイソブチルケトン(MIBK)に溶解させて30%の塗工液とし、ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム株式会社製、製品名:PET75T600、厚さ:75μm、平均表面粗さRa:0.01μm)上に前記塗工液を、バーコーターを用いて、前記塗工液の乾燥後の膜厚が3μmとなるように塗工し、90℃で1分間乾燥して剥離フィルム上にエネルギー線硬化性ハードコート組成物層を形成した。前記エネルギー線硬化性ハードコート組成物層に、基材フィルムとしてポリカーボネートフィルム(帝人化成株式会社製、製品名:ピュアエースC110−77、厚さ:77μm、平均表面粗さRa:0.01μm)を貼り合わせ、70℃で2分間加熱処理を行った。その後、紫外線照射装置(リンテック株式会社製、装置名:Adwill RAD−2000、光量:250mJ/cm2)を用いて、前記ポリエチレンテレフタレートフィルム側から紫外線を照射し、前記エネルギー線硬化性ハードコート組成物層を硬化させ、前記ポリカーボネートフィルムにハードコート層を密着形成し、前記ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離して、ハードコートフィルムを得た。
前記ウレタンアクリレートの代わりに、ポリエステルアクリルレート(大日精化工業株式会社製、製品名:セイカビームEXF−01L(NS)、固形分濃度:100%、光重合開始剤入り)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを得た。
前記ウレタンアクリレートの代わりに、エポキシアクリレート(旭電化工業株式会社製、製品名:アデカオプトマーKR−566、固形分濃度:95%、光重合開始剤入り)を用いたことを以外は、実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを得た。
前記ポリカーボネートフィルムの代わりに、易接着層付きポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポン株式会社製、製品名:PET1250FW、厚さ:125μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを得た。
前記エネルギー線硬化性ハードコート組成物層と基材フィルムを貼り合わせた後の加熱処理を100℃で1分間行ったこと以外は、実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを得た。
前記エネルギー線硬化性ハードコート組成物層と基材フィルムを貼り合わせた後の加熱処理を行わないこと以外は、実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを得た。
実施例1に記載のポリエチレンテレフタレートフィルムの代わりに、ポリエチレンテレフタレートフィルム(株式会社きもと製、製品名:PET100Sマット、厚さ:100μm、平均表面粗さRa:0.39μm)を用いたこと以外は、実施例4と同様にして、ハードコートフィルムを得た。
ウレタンアクリレート(荒川化学工業株式会社製、製品名:ビームセット575CB、固形分濃度:100%、光重合開始剤入り)100重量部に、ジメチルシロキサン系レベリング剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製、製品名:SH28PA、固形分濃度:100%)0.1重量部を加え、希釈溶剤であるプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)に溶解させて30%の塗工液とし、基材フィルムとしてポリカーボネートフィルム(帝人化成株式会社製、製品名:ピュアエースC110−77、厚さ:77μm、平均表面粗さRa:0.01μm)上に前記塗工液を、バーコーターを用いて、前記塗工液の乾燥後の厚さが3μmとなるように塗工し、90℃で1分間乾燥した後、紫外線照射装置(リンテック株式会社製、装置名:Adwill RAD−2000、光量:250mJ/cm2)を用いて、前記塗工液を塗布した側から紫外線を照射し、前記エネルギー線硬化性ハードコート組成物層を硬化させてハードコート層とし、ハードコートフィルムを得た。
[密着性]
JIS K5600−5−6に準じて、碁盤目法にて確認した。
[SW硬度]
100g/cm2荷重で100mmの長さを3往復擦過し、その後のハードコート層の面状態を目視で確認した。
判定基準;傷なしを○、傷ありを×とした。
[指紋の拭き取り性]
5名の試験者による官能評価を行った。指紋をハードコート表面に押し付け、市販のティッシュペーパーを用いて拭き取り、その後、指紋の拭き取り後など残っていないか目視で確認を行った。
判定基準;官能評価を行った者5人のうち、4〜5人が拭き取り性良好と回答した場合を拭き取り性良好とした。また、官能評価を行った者のうち、3人以下の者が拭き取り姓良好と回答した場合は、拭き取り性不良とした。
[平均表面粗さRa]
接触式表面粗さ計(ミツトヨ株式会社製、SV3000S4)を使用し、ISO4287に準じて測定した。
実施例1〜5に示すように、基材フィルムと貼り合わせ、加熱された後に、硬化されたハードコート層は、ハードコート層と基材フィルムの密着性が100%と良好であり、しかも、ハードコート層の平均表面粗さRaが0.01μm以下と表面平滑性も良好であることが確認できた。これに対し、比較例1のように、基材フィルムと貼り合わせ、加熱されずに、硬化させたハードコート層は、基材フィルムとの密着性が悪化した。また、比較例2のように、剥離フィルムとして、平均表面粗さRaが0.1μmを超えるものを用いた場合は、剥離フィルムの表面粗さが転写された状態で前記エネルギー線硬化性ハードコート組成物層が硬化されるため、ハードコート層の表面平滑性は低下した。
また、従来例1のように、剥離フィルムを用いることなく、基材フィルムにエネルギー線硬化性ハードコート組成物を塗工した場合は、表面を平滑とするためにレベリング剤を添加しているため、指紋拭き取り性が悪化した。
また、実施例1〜5、比較例1〜2及び従来例1のハードコート層は、十分なSW硬度を有し、耐擦傷性、耐摺動性を有することが確認できた。
2 ハードコート層
2’ エネルギー線硬化性ハードコート組成物層
3 基材フィルム
4 ハードコートフィルム
5 ロール
6 バックアップロール
7 バーコーター
8 乾燥機
9 ロール
10 加圧ロール
11 加圧ロール
12 エネルギー線照射装置
13 ロール
14 加熱手段
Claims (6)
- 平均表面粗さRaが0.1μm以下の剥離フィルム上に形成されたエネルギー線硬化性ハードコート組成物層に基材フィルムを貼り合わせ、加熱後、エネルギー線を照射することによって前記エネルギー線硬化性ハードコート組成物層を硬化させて前記基材フィルムにハードコート層を密着形成することを特徴とするハードコートフィルムの製造方法。
- 前記エネルギー線硬化性ハードコート組成物層を形成するエネルギー線硬化性ハードコート組成物は、ウレタン(メタ)アクリルレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1記載のハードコートフィルムの製造方法。
- 前記加熱を50℃〜130℃で行うことを特徴とする請求項1又は2記載のハードコートフィルムの製造方法。
- 前記エネルギー線硬化性ハードコート組成物層に、ジメチルシロキサン系化合物又はフッ素系化合物を含まないことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のハードコートフィルムの製造方法。
- 請求項1乃至4の何れかの方法によって製造されたことを特徴とするハードコートフィルム。
- 光ディスクに用いることを特徴とする請求項5記載のハードコートフィルム。
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