JP2006043754A - 温間制御圧延により大ひずみが導入された金属線材、およびその製造方法と製造装置 - Google Patents

温間制御圧延により大ひずみが導入された金属線材、およびその製造方法と製造装置 Download PDF

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Abstract

【目的】 二次加工用または三次加工用の金属線材に特別な熱処理を施さなくても、優れた強度と延性を付与するとともに、従来得られていない程度の大単重の金属細線を生産効率よく製造する方法および装置を提供する。
【構成】 温間温度範囲内に制御された金属線材を複数基の孔型ロール圧延機により、真ひずみが少なくとも0.25以上になるように連続的に圧延することにより金属線材に大ひずみを形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、走行する金属材料を連続的に温間制御圧延することにより、金属線材又は金属線を効率よく製造する技術に関するものである。
従来、2次加工メーカーや3次加工メーカーに供給される金属線材又は金属線は、次のようにして製造されているが、下記のような問題点がある。
以下、典型的な金属線材又は金属線として鋼線材又は鋼線を取り上げ、その製造工程及び問題点について述べる。
鋼線材又は鋼線の製造工程は、一旦、鋼棒や鋼線材を熱間圧延等により製造し、これを素材として、更に引抜き加工や圧延加工により断面径を一層細く加工し、2次や3次の加工工程用素材としての鋼線材又は鋼線を製造している。なお、本明細書においては、2次、3次の加工工程用素材としての1)鋼線材、2)鋼線、3)鋼細線及び鋼線のいずれの場合をも含めて「鋼細線」という。
上記鋼細線の製鋼工程からの製造方法は、通常、製鋼・精錬炉で溶製された所定成分の溶鋼を、連続鋳造工程でブルーム等の鋳片に調製し、これを熱間における分塊圧延工程により、断面のより小さいビレットに圧延加工する。
次いで、これを熱間における線材圧延工程において、ビレットを加熱炉で所定温度、例えば1200℃程度に加熱し、加熱されたビレットを加熱炉から1本ずつ抽出し、丸鋼の鋼線材の場合は、粗圧延機列、中間圧延機列及び仕上圧延機列により熱間圧延して、線径が5〜38mm程度のコイル状鋼線材を製造する。こうして製造された鋼線材を、更に、別の成形加工ラインにおける出発材(素材)とし、この出発材であるコイル状の鋼線材を巻き戻しつつ、次のように加工し小径化して、鋼細線を製造している。
即ち、この小径化加工は、孔ダイス若しくはロールダイスによる引抜き、又は、圧延装置による冷間圧延により行なわれている。
そもそも従来、線径が1〜25mm程度、乃至1mm以下の鋼細線であって、被圧延材に対して温間領域に制御された圧延加工により所定値以上のひずみを導入し、結晶粒を微細化し、高強度で且つ高延性を有する材質を有するものを、前述したビレット等被圧延材の熱間における粗圧延機列、中間圧延機列及び仕上圧延機列が配置された従来の線材圧延工程において製造することは行なわれていない。その理由は、上記工程により線径がせいぜい5〜38mm程度まで圧延する場合でさえも、圧延終期近くにおける被圧延材の圧延線速度が極めて大きくなること(例えば、50〜100m/sec程度)、並びに、従来の線材圧延工程では熱間圧延加工を前提としており、被圧延材の加熱装置としては、上記粗圧延機列の入側に配設されているビレット加熱炉又はブルーム加熱炉のみであり、ここで熱間圧延加工に適した所定の温度、AC3変態点以上の温度、実際には例えば、1200℃前後まで加熱されたビレット等の被圧延材を、1本ずつ加熱炉から抽出し、当該ビレットのトップ端からボトム端に向って、上記各圧延機列において圧延加工していくという工程が採用されている。
そのため、先ず被圧延材全長を一体ものとしてみた場合に、その長手方向の温度分布は
、トップ端からボトム端に向って温度が低下する。更に、その長手方向の任意位置に注目した場合の被圧延材は、圧延初期には圧延速度が遅いために特にボトム側の部分において温度低下量が大きく、次いで順次圧延速度が上昇すると共に加工発熱により温度上昇要因が加わり、そして圧延終期には被圧延材の横断面積が小さくなるので、放熱速度が大となり、温度が下降する。
このように、被圧延材の長手方向温度分布が複雑で且つ変動が大きく、しかも圧延線速度が製造ラインの終期付近では極めて大きいということもあって、従来は上記線材圧延工程のオンラインの途中位置に補助加熱装置及び冷却装置等を設けて被圧延材の温度を制御しようとする提案は見当たらず、まして、圧延工程の後半において、被圧延材の温度を温間圧延領域に制御しつつ、しかも線径1〜25mm程度、乃至1mm以下まで圧延して、圧延ままの状態で微細粒組織を有する鋼細線を製造しようとする提案や発想は全く見当たらない。また、従来の設備上及び操業上の観点からも不可能であった。
そこで、従来、鋼細線の製造に際しては、一旦線材圧延工程で線径が5〜38mm程度の鋼線材を熱間圧延により製造し、これを前述したように、引抜き又は冷間圧延等により鋼細線に製造している。ところが、前述の引抜法においては、被加工材の先端をダイスへ通線すること、及びこの先端をチャックを介して引抜きドラムに係止する作業が必要であり、人手作業に依存し、また1パス当たりの減面率が小さいので、所望する径の鋼細線を製造するためには、多数回の引抜きと多くの工数を要する。これらは線径が小さくなるほど増大する。
これに対して、前記の冷間圧延は、被圧延材の先端を前段のロールスタンド出口から次段のロールスタンド入口にうまく誘導して噛み込ませるならば、多数段のロールスタンドをタンデムに連結することにより、引抜法よりも1パス当たり大きな減面率を得ることができるので、大幅な工数の低減が可能である。
しかしながら引抜法及び冷間圧延法のいずれの方法においても、冷間加工硬化に対処するための中間焼鈍の実施、及びそれに伴い発生し易い炭化物の割れによるミクロボイドの抑制対応等の不利益を解消することはできない。
一方、最近、機械構造用鋼線材若しくは鋼線、又は棒鋼の材質特性に対する改善・向上対策技術の一環として、当該鋼線材若しくは鋼線、又は棒鋼を製造する工程において、高積層欠陥エネルギー(High SFE)を有するフェライト(α)鋼材に、所定値以上の大ひずみ加工を施すことにより微細粒組織を生じさせて、高強度と共に延性に優れた鋼線材若しくは鋼線又は棒鋼を製造する技術が報告されている。その中でも本発明者等は先に、鋼線材の圧延方法において、圧延温度を350〜800℃の温間加工温度範囲内、一層望ましくはその内でも低温域の400〜600℃の範囲内において、所定の臨界ひずみ以上のひずみを被圧延材料に導入することにより、このひずみによる結晶粒のミクロ的な局所方位差が微細結晶粒の起源となり、加工中あるいは加工後に起きる回復過程において、粒内の転位密度が低下すると同時に結晶粒界が形成されて、微細粒組織を形成することができること、即ち、再結晶温度の下限とみなされていた800℃、乃至これ以下の温度で加工しても、加工と同時に動的な回復ないしは再結晶が起こり、従って、相変態による強化機構を実質的に利用せずに鋼の高強度化を実現する方法として、結晶粒を微細化させることができることを利用して、平均粒径が2μm以下の微細結晶粒を得ることにより、高強度で且つ冷間圧造性に優れた鋼を製造する技術を提案した(特許文献1)。
本願発明者等は、上記特許文献1においては、上記所定の臨界ひずみとしては、素材に対する総減面率RTotが50%以上であること、線材の圧延工程においてオーバル形状カ
リバーロールを使用した場合には、総減面率RTotが40%以上であればよいこと、ある
いは、圧延により材料中へ導入される塑性ひずみが、3次元有限要素法で計算される材料中への平均塑性ひずみで0.7以上であることが望ましいこと等を提案した。その確認試験として、例えば、80mm角の棒鋼を圧延用素材とし、圧延温度450〜530℃の範囲内において、総減面率RTotが95%の多方向・多パスのカリバー圧延を施して、18
mm角の棒材を調製し、超微細粒を形成させることにより高強度で且つ延性に優れた鋼材を得た。
また、本願発明者等は先に、鋼線材あるいは鋼線のカリバー圧延による製造において、オーバル孔型に次いでスクエア孔型による圧延により、被圧延材に大ひずみを導入するための加工条件について提案した(特許文献2)。
本願発明者等は、上記特許文献1及び特許文献2、又はこれらに類似の他の先行文献で提案されている温間圧延技術を、前述した2次あるいは3次加工工程における素材である鋼線材又は鋼線(鋼細線)の製造技術分野に応用して、一層発展させ、これによって鋼細線の品質向上(具体的には強度及び延性向上のための熱処理不要化)と安定化を図り、しかも生産効率の向上が必要であることに着眼した。かかる技術の確立のためには、次の事項が必要である。
先ず、第1に、1)従来生産されている線径が5〜38mm程度(望ましくは、今後の需要動向及び技術開発を考慮して上限が60mm程度まで)で、単重が0.5〜2t程度、乃至それ以上の熱間圧延コイルを、分割することなくそのまま、所定の温間制御圧延により超微細粒組織を得るための製造技術の確立を必要とし、そのためには、巻き戻されて走行する被圧延コイル(被圧延材)を急速に所定の温間領域の温度まで加熱すると共に、2)加熱された被圧延材に対して直ちに温間制御圧延加工を施す連続圧延技術を必要とし、3)望ましくは、この温間制御連続圧延においては、圧延温度を350〜850℃の範囲内に限定し、しかも被圧延材の温度を、ある圧延機への入口温度と次の圧延機からの出口温度との差を所定範囲内に制御し、且つ、圧延開始から圧延終了までの間の被圧延材の温度差を所定範囲内に制御するという温度制御を行ないつつ、連続して圧延し、しかも、4)この温間制御連続圧延の1工程の間において、即ち、巻き戻されたコイルの加熱から圧延工程を経て冷却され、再びコイルに巻き取られるまでの1圧延工程サイクルの間において、被圧延材に対して多方向から加工を行なうことが望ましく、当該被圧延材に所要のひずみを導入することが必要となる。1圧延工程のサイクルで当該所要のひずみを導入できない場合は、工程を複数回行なってもよい。5)しかも、上記1)から4)の条件は、出発材(被圧延材)に対する仕上げ材の総減面率が大となる鋼細線の場合には、終期における圧延線速度が速くなるが、かかる条件下においても満たされる必要がある。従って、上記1)〜5)の条件を全て満たすことは、従来の圧延設備を使用した従来の熱間圧延技術や、従来の圧延設備を使用した温間圧延技術では極めて困難である。そのため、これまでも圧延やひずみに関する技術は数多く紹介されているが(非特許文献1および2)、走行する鋼線材を加熱しつつ所定の温間温度における制御圧延を行なうことにより、微細化した結晶粒を有し、しかも大単重コイル状鋼細線(鋼線材又は鋼線)を製造する技術は提案されていない。
特願2003−435980 特願2003−180291 鉄と鋼、vol89(2003)No.7、p47〜54 鉄鋼便覧(第3版)、III(2)、条鋼・鋼管・圧延共通設備、 S61.1.20、p.816〜838、p862〜865
本願発明は、2次加工工程用素材あるいは3次加工工程用素材として所望する径を有する金属線材又は金属線(両者あわせて本願において「金属細線」という)を孔型ロールに
よる圧延加工により製造する技術であって、製造された金属細線に特別な熱処理を施さなくても、その強度及び延性が優れた水準を有し、しかも連続的に加熱しながら圧延することにより、従来得られていない程度の大単重の金属細線を生産効率よく製造することを課題とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意、試験・研究を行ない、次の結論を得た。
先ず上記金属細線に特別な熱処理なしに優れた強度及び延性を付与するために、被圧延材の圧延温度を温間圧延領域に制御しつつ、しかも被圧延材に適切なひずみを導入しつつ圧延をすることにより、相変態による強化機構を実質的に利用せずに結晶粒を微細化させればよいこと、しかも、従来得られていない程度の大単重の金属細線を生産効率よく製造するためには、被圧延材の圧延ラインでの供給を、連続的に走行させて行ない、且つこの走行する被圧延材を所定温度範囲内まで急速加熱して圧延機に装入し、引き続き被圧延材の圧延工程における温度を補助的に急速加熱することにより所定の温度条件に制御して、連続的に圧延するようにすればよいことがわかった。
そして、上記の通り金属材料に対する温間領域の温度範囲に制御された連続圧延を実現して、微細な結晶粒組織を有する金属細線の高効率生産を実現するためには、直列に配設された複数基の圧延機入側の可及的直近の位置において、コイル状線材が巻き戻されて連続的に走行する被圧延材が、所要の温間領域の圧延温度まで急速に加熱・均熱される手段を設け、その温度を測定し、当該圧延機により圧延された被圧延材の出側温度を測定し、これらの測定値に基づき、上記急速加熱条件及び温度制御条件を演算し決定する。かくして、最初の圧延機における温間制御圧延を行なう。
そして、以後の圧延機における圧延においても、上記方法と同じ方法により、金属材料の被圧延材に対して温間制御圧延を行なう。かかる温間における制御圧延を連続的に実施して、大単重のコイル状金属細線の製造が可能となるための圧延設備を配設する。そのための重要な設備は、周知の加熱技術、特に急速加熱に係る装置を適切に配設し、上記温間制御圧延に適した使用方法及び操業方法を行なうと共に、適切なひずみ、望ましくは大きなひずみを導入するための適切な圧延パススケジュールを実施することにより達成され得ることがわかった。本発明は、従来の金属細線製造技術に、更に上記本願発明者等が得た知見及びこれに基づく技術を導入して、走行する被圧延材に温間圧延において大ひずみを導入しつつ連続制御圧延する技術により、大単重の金属細線(金属線材又は金属線)の製造技術を完成させたものである。本願発明の要旨は次の通りである。但し、本明細書においては、「真ひずみ」と「塑性ひずみ」とを総称して「ひずみ」といい、それぞれ次の通り定義する。
真ひずみ(eで表記する)は、下記(1)又は(1a)式:
e=ln(S0/S) ・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
=−ln(1−R/100)・・・・・・・・・・・・・・・・(1a)
但し、 R={(S0−Saft)/S0}×100・・・(6)
0 :圧延前の被圧延材のC断面の面積
aft:所定圧延後の被圧延材のC断面の面積
で定義する。なお、本願明細書において、「C断面の面積」とは、圧延方向に直角な面の断面積をいうものとする。以下、同じである。
また、塑性ひずみ(εで表記する)は、周知の3次元有限要素法を用い、下記の計算手順に基づき、下記(7)式により算出される値で定義する。即ち、
計算手順:
1.材料の加工温度に対応した応力−ひずみ曲線を取得する。
2.有限要素法による計算のため、下記(1)〜(3):
(1)被圧延材に適宜メッシュを作成する、(2)接触条件を決める。但し、摩擦係数=0.3 クーロン条件とする、(3)応力−ひずみ曲線、材料物性値を決める、
の準備をする。
3.(1)〜(3)の条件のもとに、汎用有限要素法コード、例えば、ABAQUSで計算を行う。
ε=(2/3)[1/2{(dεx−dεy2 +(dεy−dεz2 +(dεz−dεx2
}+(3/4)(dγxy 2+dγyz 2+dγzx 2)]1/2 ・・・・(7)
但し、dεx 、dεy 、dεz :x、y、z方向の真ひずみ増分
γxy 、dγyz、dγzx:各せん断ひずみ増分
本願の第1の発明に係る金属線材又は金属線の製造方法は、圧延ラインを走行する金属材料を加熱し、加熱された当該金属材料を直列に配置された複数基の圧延機により連続的に圧延して、金属線材又は金属線を製造する方法である。そして、圧延開始から圧延終了までの被圧延材の温度を、その金属材料の種類に応じて定められた温間圧延温度の範囲内に制御しつつ、且つ、上記圧延開始から圧延終了までの間に当該被圧延材に導入されるべき真ひずみを、次の通り規定する。即ち、前述した通り、真ひずみを下記(1)式:
e=ln(S0/S)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(1)
但し、e :真ひずみ
0:圧延開始前の被圧延材のC断面の面積
S :圧延終了後の被圧延材のC断面の面積
のeで定義し、この真ひずみeがe≧0.25となるように圧延加工を孔型ロール、平ロール、又は、孔型ロールと平ロールとの組み合わせにより施すことに特徴を有するものである。
ここで、走行ラインを走行する金属材料とは、圧延ラインをサポートロールやピンチロール等により上流から下流方向に向って移動させられる被圧延材としての金属材料を指し、金属材料とは鉄鋼の他に、金属Mg、金属Al、金属Cu及び金属Ti、並びにMg合金、Al合金、Cu合金及びTi合金の内のいずれかよりなる被圧延材料を指す。
次に、この各金属材料の種類に応じて定められた温間圧延温度とは、それぞれの金属材料の種類ごとに認められている通常の温間圧延温度の範囲内を指す。
そして、この金属材料を連続的に圧延するとは、当該金属材料からなる被圧延材が1単位としてある長さ及び重量を有し、その先端から後端まで複数基の圧延機により、一様に連続して圧延することを意味する。以下、この明細書において同じである。
本願の第2の発明に係る金属線材又は金属線の製造方法は、第1の発明において、上記真ひずみeが、e≧0.70となるように圧延加工を施すことに特徴を有するものである。
本願の第3の発明に係る金属線材又は金属線の製造方法は、第1の発明において、上記真ひずみeが、e≧1.38となるように圧延加工を施すことに特徴を有するものである。
本願の第4の発明に係る金属線材又は金属線の製造方法は、第1から第3の発明において、上記圧延ラインを走行する金属材料は、加熱される前においてはコイル状に巻かれており、しかも、上記複数基の圧延機により連続的に圧延加工を施された金属線材又は金属線は、再びコイル状に巻かれることに特徴を有するものである。
本願の第5の発明に係る金属線材又は金属線の製造方法は、第1から第4のいずれかの発明において、上記被圧延材の加熱が、第1番目圧延機の実質的直前において上記温間圧延温度の範囲内の所定温度まで急速加熱するものであることに特徴を有するものである。
ここで、急速加熱するとは、連続的に走行する金属材料の被圧延材が第1番目の圧延機に噛み込まれる時点までに、当該被圧延材の温度を上記所定の温度まで加熱することをいう。従って、被圧延材の線径及び線速度、比熱及び熱伝導度等の物理定数等、並びに加熱装置の加熱効率に依存して被圧延材に対するエネルギー供給速度を調整する。また、第1番目圧延機の実質的直前においてとは、当該圧延機の入側の可及的に接近した場所においてということを指し、上記所定の温度まで急速加熱された被圧延材の温度低下をできるだけ小さくするための方策である。
本願の第6の発明に係る金属線材又は金属線の製造方法は、第1から第5のいずれかの発明において、上記被圧延材の加熱が、更に、第2番目以後の少なくとも1基の圧延機の実質的直前においても補助的に急速加熱することとなっていることに特徴を有するものである。
ここで、補助的に急速加熱するとは、第5の発明において述べた、被圧延材が急速加熱されて所定温度まで達した後に圧延され、この圧延後にその温度が低下した場合に、次の圧延機に噛み込まれるまでの間において、再び所定の温度範囲内まで高めるように加熱することをいう。
本願の第7の発明に係る金属線材又は金属線の製造方法は、第1から第6のいずれかの発明において、上記被圧延材の孔型を有する圧延機による圧延パススケジュールには、C断面が四角形状又は丸形状を有する被圧延材をオーバル孔型を有する圧延機で圧延して、C断面がオーバル形状の被圧延材に成形し、次にこうして得られた被圧延材を、スクエア孔型を有する圧延機又はダイヤ孔型を有する圧延機で圧延するパススケジュールを含んでいる。しかも、このパススケジュールにおいて、上記オーバル孔型の最大短軸長さ(Aと表記する)の、上記C断面が四角形状又は丸形状を有する被圧延材のそれぞれ対辺間長さ又は直径(いずれもBと表記する)に対する比率A/Bが、A/B≦0.75を満たす孔型を有する圧延機で圧延することに特徴を有するものである。なお、A/B≦0.60とするのが一層望ましい。
本願の第8の発明に係る金属線材又は金属線の製造方法は、第1から第7のいずれかの発明において、上記圧延パススケジュールには、更に、上記スクエア孔型又はダイヤ孔型の天地対角間長さ(いずれもCと表記する)の、上記C断面がオーバル形状に成形された被圧延材の長軸長さ(Dで表記する)に対する比率C/Dが、C/D≦0.75を満たす孔型を有する圧延機で圧延することに特徴を有するものである。
本願の第9の発明に係る金属線材又は金属線の製造方法は、第7又は第8の発明において、上記C断面がオーバル形状に成形された被圧延材を、スクエア孔型を有する圧延機又はダイヤ孔型を有する圧延機で圧延する代わりに、ボックス孔型を有する圧延機で圧延することに特徴を有するものである。
本願の第10の発明に係る金属線材又は金属線の製造方法は、第9の発明において、上記C断面がオーバル形状に成形された被圧延材の長軸長さDに対する、上記ボックス孔型の天地対辺間長さ(C'と表記する)の比率C'/Dが、C'/D≦0.75を満たすこと
に特徴を有するものである。
本願の第11の発明に係る金属線材又は金属線の製造方法は、第7から第10のいずれかの発明において、上記オーバル孔型を有する圧延機による圧延は、上記オーバル孔型の最大短軸長さAとその長軸長さ(Eで表記する)との比A/Eが、A/E≦0.40を満たすオーバル孔型を有する圧延機を使用することに特徴を有するものである。
本願の第12の発明に係る金属線材又は金属線の製造方法は、第7から第11のいずれかの発明において、上記オーバル孔型を有する圧延機による圧延は、上記オーバル孔型の曲率半径(Raで表記する)が、上記C断面が四角形状又は丸形状を有する被圧延材のそれぞれ対辺間長さ又は直径Bの1.5倍以上であるオーバル孔型を有する圧延機を使用することに特徴を有するものである。
本願の第13の発明に係る金属線材又は金属線の製造方法は、第7、第8、第11又は第12のいずれかの発明において、上記パススケジュールには、上記オーバル孔型を有する圧延機と、これに引き続く上記スクエア孔型を有する圧延機又はダイヤ孔型を有する圧延機との組合せによる圧延を、2回以上行なうことを含んでいることに特徴を有するものである。
本願の第14の発明に係る金属線材又は金属線の製造方法は、第1から第13のいずれかの発明において、上記被圧延材の上記各孔型を有する圧延機による圧延パススケジュールには、孔型形状がスクエア、ダイヤ又はボックスと、これに次ぐスクエア、ダイヤ、ボックス又はラウンドとの組合わせパススケジュールを含んでいることに特徴を有するものである。
本願の第15の発明に係る金属線材又は金属線の製造方法は、第1から第14のいずれかの発明において、上記被圧延材の温度を、上記金属材料の種類に応じて定められた温間圧延温度の範囲内に制御しつつ、上記被圧延材を上記各孔型を有する圧延機により圧延加工する一連の工程を、2工程以上繰り返すことに特徴を有するものである。
本願の第16の発明に係る金属線材又は金属線の製造方法は、第1から第15のいずれかの発明において、上記一連の工程を、2工程以上繰り返すことにより、最初の圧延工程における圧延開始から最終の圧延工程における圧延終了までの間に、上記被圧延材に導入されるべき真ひずみを、次の通り規定する。即ち、真ひずみを下記(2)式:
Tot=ln(S0/STot)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(2)
但し、eTot :真ひずみ
0 :最初の圧延工程の圧延開始前の被圧延材のC断面の面積
Tot :最終圧延工程の圧延終了後の被圧延材のC断面の面積
で表わされる真ひずみeTotが、eTot≧0.25を満たす圧延加工を施すことに特徴を有するものである。
本願の第17の発明に係る金属線材又は金属線の製造方法は、第16の発明において、上記真ひずみeTotが、eTot≧0.70を満たすことに特徴を有するものである。
本願の第18の発明に係る金属線材又は金属線の製造方法は、第16の発明において、上記真ひずみeTotが、eTot≧1.38を満たすことに特徴を有するものである。
次の本願の第19から第32までの発明は、金属材料から金属線材又は金属線を製造するのに適した温間制御連続圧延加工設備に関するものである。
本願の第19の発明に係る温間制御連続圧延加工設備は、コイル巻戻し装置及びコイル巻取り装置が設けられ、これら両装置間に複数基の圧延機が直列に配置され、上記コイル
巻戻し装置から巻き戻されて走行する被圧延材を上記複数基の圧延機で連続的に圧延して金属線材又は金属線を製造する圧延加工設備であって、上記複数基の圧延機の内の第1番目圧延機の入側であって、当該圧延機に対して実質的直近である位置に大容量急速加熱装置が設けられていることに特徴を有するものである。
ここで、大容量急速加熱装置とは、前述した第5の発明において述べた通りの急速加熱をすることができる能力を有する加熱装置をいう。即ち、当該加熱装置の長さをL、走行する被圧延材の移動速度をv、被加熱材の加熱装置内移動時間をtとすると、時間:t=L/vの間に、被加熱材の温度が所定の加熱温度:Tまで上昇させる能力を有する加熱装置を意味する。
また、大容量急速加熱装置が設けられている位置が、第1番目圧延機の入側であって、この圧延機に対して実質的直近の位置に設けられているとは、当該圧延機が通常の圧延機能を発揮することができるように、これに付属されている機器類や装置類が取付けられた状態において、可及的にこの圧延機に接近して設けられていることを意味し、大容量急速加熱装置がこの実質的直近である位置に設けられている理由は、上記大容量急速加熱装置で前記所要の温度まで急速に加熱・均熱された被圧延材が、この圧延機に噛み込まれるまでに温度低下を極力防止することにより、温間における温度制御圧延を容易に実施することができるようにするためである。
本願の第20の発明に係る温間制御連続圧延加工設備は、第19の発明において、上記複数基の圧延機の内の第2番目以後の圧延機の少なくとも1基の入側であって実質的直近である位置に、更に補助急速加熱装置が設けられていることに特徴を有するものである。
ここで、補助急速加熱装置とは、前述した第6の発明において述べた通りの補助急速加熱をすることができる能力を有する加熱装置をいう。
本願の第21の発明に係る温間制御連続圧延加工設備は、第19又は第20の発明において、上記大容量急速加熱装置が、メタルファイバガスバーナー又はセラミック多孔板ガスバーナー等の表面燃焼式ガスバーナー装置、通電抵抗加熱装置、電磁誘導加熱装置、及び電気抵抗発熱体輻射加熱装置の内、いずれか1種又は2種以上を組み合せた加熱装置からなることに特徴を有するものである。ここで、上記各種加熱装置は、いずれも周知技術によるものであればよい。
本願の第22の発明に係る温間制御連続圧延加工設備は、第20又は第21の発明において、上記補助急速加熱装置が、メタルファイバガスバーナー又はセラミック多孔板ガスバーナー等の表面燃焼式ガスバーナー装置、通電抵抗加熱装置、電磁誘導加熱装置、及び電気抵抗発熱体輻射加熱装置の内、いずれか1種の加熱装置の加熱装置からなることに特徴を有するものである。
本願の第23の発明に係る温間制御連続圧延加工設備は、第19から第22のいずれかの発明において、上記複数基の圧延機が、当該圧延機群の中にオーバル孔型を有する圧延機が配設されており、これに次いでスクエア孔型を有する圧延機、ダイヤ孔型を有する圧延機及びラウンド孔型を有する圧延機の内のいずれかが配設されている、圧延機の配設組合わせを含んでいることに特徴を有するものである。
本願の第24の発明に係る温間制御連続圧延加工設備は、第19から第22のいずれかの発明において、上記複数基の圧延機として、上記複数基の圧延機が、少なくとも、オーバル孔型を有する圧延機、スクエア孔型を有する圧延機、ダイヤ孔型を有する圧延機、ボックス孔型を有する圧延機及びラウンド孔型を有する圧延機の内のいずれかを含み、この
いずれかの圧延機に次いでオーバル孔型を有する圧延機、スクエア孔型を有する圧延機、ダイヤ孔型を有する圧延機、ボックス孔型を有する圧延機及びラウンド孔型を有する圧延機の内のいずれかが配設されている、圧延機の配設組合わせを含んでいることに特徴を有するものである。
本願の第25の発明に係る温間制御連続圧延加工設備は、第19から第24のいずれかの発明において、上記複数基の圧延機の内の最後の圧延機の下流側に、サイジング装置が設けられていることに特徴を有するものである。
ここで、サイジング装置とは、単に金属細線の断面形状を原則として最終的に調整することを主目的とする圧延装置であって、適切なひずみを導入しつつ圧延することを主目的とする圧延機ではない。従って、このサイジング装置が設けられている場合には、これまでに述べた複数基の圧延機は全て、適切なひずみを導入しつつ圧延することを主目的とした設計のものであってもよいし、サイジングを主目的とする装置を含んでいてもよい。
本願の第26の発明に係る温間制御連続圧延加工設備は、第19から第25のいずれかの発明において、上記複数基の圧延機間の少なくとも1箇所には、前記コイル巻戻し装置から巻き戻されて走行する前記被圧延材に対する弛み調整装置が設けられていることに特徴を有するものである。
ここで、弛み調整装置とは、圧延機の間で被圧延材が弛むのを防止又は解消すると共に、当該弛み調整装置から弛み情報を圧延機に送信し、弛み発生を解消するように圧延機のロール回転速度が自動制御されるように利用されるものである。そして、この弛み調整装置は、所謂張力圧延をするために所定の張力を被圧延材に負荷するためのものではない。
本願の第27の発明に係る温間制御連続圧延加工設備は、第19から第26のいずれかの発明において、上記複数基の各圧延機の入側には、前記走行する被圧延材を当該各圧延機に誘導する入側案内装置が設けられていることに特徴を有するものである。
ここで、入側案内装置とは、被圧延材(金属線材)が捻転して、圧延ロールに噛み込まれる際に金属線材に倒れが発生するのを防止すると共に、被圧延材に表面疵が発生するのを防止するための装置である。
本願の第28の発明に係る温間制御連続圧延加工設備は、第19から第27のいずれかの発明において、上記複数基の各圧延機の出側には、前記走行する被圧延材を当該各圧延機から走行排出される被圧延材を導出する出側案内装置が設けられていることに特徴を有するものである。
本願の第29の発明に係る温間制御連続圧延加工設備は、第19から第28のいずれかの発明において、前記コイル巻戻し装置と前記大容量急速加熱装置との間には、ストレートナー及び/又はピンチロールが設けられていることに特徴を有するものである。
本願の第30の発明に係る温間制御連続圧延加工設備は、第19から第29のいずれかの発明において、上記コイル巻取り装置の上流側には走行する鋼線を冷却するための冷却装置が設けられていることに特徴を有するものである。
本願の第31の発明に係る温間制御連続圧延加工設備は、第19から第30のいずれかの発明において、前記複数基の圧延機の内の第1番目圧延機を除く任意の圧延機の入側に、走行する被圧延材の当該任意の圧延機入側温度を制御するための急速調整冷却装置が設けられていることに特徴を有するものである。
本願の第32の発明に係る温間制御連続圧延加工設備は、第19から第31のいずれかの発明において、上記複数基の各圧延機の入側及び出側における被圧延材の温度を制御するための温度制御機構が設けられていることに特徴を有するものである。
次の本願の第33から第44までの発明は、上述した第19から第32までの発明である温間制御連続圧延加工設備において、特に鋼線材又は鋼線の製造設備を適切に使用すれば、有利に製造することができるコイル状の鋼線材又は鋼線を製造する方法に関するものである。
本願の第33の発明に係るコイル状の鋼線材又は鋼線の製造方法は、走行する鋼線材を加熱し、加熱された当該鋼線材を直列に配置された複数基の圧延機により連続的に圧延して、鋼線材又は鋼線を製造する方法であって、次の条件の温度制御圧延を行なう。即ち、圧延開始から圧延終了までの被圧延材の温度を350℃から850℃の範囲内に制御し、且つ その被圧延材の温度を、下記(3)及び(4)式:
r+1,out−Tr,in=−150℃〜50℃ ‥‥‥‥(3)
n,out −T1,in=−200℃〜100℃ ‥‥‥(4)
(但し、Tは温度(℃)であり、nは圧延機の基数を表わし、rは圧延機の順番であって、第1番から第n−1番までの任意の数を表わし、inは圧延機への入側直前、outは圧延機からの出側直後を表わす)が満たされるように制御することに特徴を有するものである。
本願の第34の発明に係るコイル状の鋼線材又は鋼線の製造方法は、第33の発明において、その圧延開始から圧延終了までの被圧延材の温度を400℃から650℃の範囲内に制御することに特徴を有するものである。
本願の第35の発明に係るコイル状の鋼線材又は鋼線の製造方法は、走行する鋼線材を加熱し、加熱された当該鋼線材を直列に配置された複数基の圧延機により連続的に圧延して、鋼線材又は鋼線を製造する方法であって、圧延開始から圧延終了までの被圧延材の温度を400℃から650℃の範囲内に制御し、且つ、その被圧延材を、オーバル孔型を有する圧延機で圧延し、次いでスクエア孔型を有する圧延機、ダイヤ孔型を有する圧延機、ラウンド孔型を有する圧延機及びボックス孔型を有する圧延機の内のいずれかで圧延するパススケジュールを含んでいることに特徴を有するものである。
本願の第36の発明に係るコイル状の鋼線材又は鋼線の製造方法は、第33から第35のいずれかの発明において、オーバル孔型を有する圧延機による圧延が含まれており、更に、上記圧延開始から圧延終了までの間に上記被圧延材に導入されるべき真ひずみを、次の通り規定する。
即ち、真ひずみを下記(1')式:
e'=ln(S0'/S')‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(1')
(但し、e':真ひずみ、S0':圧延開始前の被圧延材のC断面の面積、S':圧延終了後の被圧延材のC断面の面積)
で表わされる真ひずみe'が、e'≧0.25となるように圧延加工を施すことに特徴を有するものである。
本願の第37の発明に係るコイル状の鋼線材又は鋼線の製造方法は、第36の発明において、前記真ひずみe'が、e'≧0.70となるように圧延加工を施すことに特徴を有するものである。
本願の第38の発明に係るコイル状の鋼線材又は鋼線の製造方法は、第36の発明において、前記真ひずみe'が、e'≧1.38となるように圧延加工を施すことことに特徴を有するものである。
本願の第39の発明に係るコイル状の鋼線材又は鋼線の製造方法は、第33から第35のいずれかの発明において、上記圧延機の中にはオーバル孔型を有する圧延機が含まれていて当該オーバル孔型を有する圧延機による圧延が含まれており、更に、その圧延開始から圧延終了までの間に上記の被圧延材に導入される、3次元有限要素法を用いて算出される塑性ひずみ(εで表記する)が、その被圧延材の50体積%以上の領域において、ε≧0.7となるように圧延加工を施すことに特徴を有するものである。
なお、被圧延材の形状が鋼線材又は鋼線であるから、体積%の代わりに面積%であっても差し支えない。
以下、本件に関して、この明細書において同じである。
本願の第40の発明に係るコイル状の鋼線材又は鋼線の製造方法は、第39の発明において、上記塑性ひずみεを更に大きくして、ε≧1.5となるように圧延加工を施すことに特徴を有するものである。
本願の第41の発明に係るコイル状の鋼線材又は鋼線の製造方法は、第33から第40のいずれかの発明において、オーバル孔型を有する圧延機による圧延が含まれており、当該オーバル孔型を有する圧延機で圧延される被圧延材のC断面は四角形状又は丸形状を有し、当該被圧延材のそれぞれ対辺間長さ又は直径(いずれもBと表記する)に対する、上記オーバル孔型の最大短軸長さ(Aと表記する)の比率A/Bが、A/B≦0.75なる条件を満たしていることに特徴を有するものである。
本願の第42の発明に係るコイル状の鋼線材又は鋼線の製造方法は、第41の発明において、上記比率A/Bを更に狭い範囲内に制限して、A/B≦0.6なる条件を満たしていることに特徴を有するものである。
本願の第43の発明に係るコイル状の鋼線材又は鋼線の製造方法は、第33から第42のいずれかの発明において、オーバル孔型を有する圧延機が含まれており、この圧延機に次いでスクエア孔型又はダイヤ孔型を有する圧延機が設けられており、当該オーバル孔型を有する圧延機で成形されたC断面がオーバル形状の被圧延材の長軸長さ(Dと表記する)に対する、当該スクエア孔型又はダイヤ孔型の天地対角間長さ(いずれもCと表記する)の比率C/Dは、C/D≦0.75を満たすことに特徴を有するものである。
本願の第44の発明に係るコイル状の鋼線材又は鋼線の製造方法は、第33から第43のいずれかの発明において、上記被圧延材の圧延開始から圧延終了までの工程を、2工程以上繰り返すことに特徴を有するものである。
本願の第45の発明に係るコイル状の鋼線材又は鋼線の製造方法は、第44の発明において、最初の圧延工程における圧延開始から最終の圧延工程における圧延終了までの間にその被圧延材に導入される、3次元有限要素法を用いて算出される塑性ひずみ(εで表記する)が、その被圧延材の50体積%以上の領域において、ε≧1.5となるような圧延加工を施すことに特徴を有するものである。
本願の第46の発明に係るコイル状の鋼線材又は鋼線の製造方法は、第33から第43のいずれかの発明において、上記被圧延材の圧延開始から圧延終了までの工程を、3工程又は4工程繰り返すことにより、最初の圧延工程における圧延開始から最終の圧延工程に
おける圧延終了までの間に、上記被圧延材に導入されるべき真ひずみを、次の通り規定する。
即ち、真ひずみを下記(2')式:
Tot'=ln(S0'/STot')‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(2')
但し、eTot' :真ひずみ
0 ' :最初の圧延工程の圧延開始前の被圧延材のC断面の面積
Tot' :最終の圧延工程の圧延終了後の被圧延材のC断面の面積
で表わされる真ひずみeTot'が、eTot'≧1.38となる圧延加工を施すことに特徴を有するものである。
本願の第47の発明に係るコイル状の鋼線材又は鋼線の製造方法は、第46の発明において、上記被圧延材の1工程が、2基の圧延機が直列に配置された圧延加工設備を用いて行なわれることに特徴を有するものである。
なお、この第47の発明は、1工程を行なう圧延ラインが2基の圧延機により構成されている圧延加工設備を用いてコイル状の鋼線材又は鋼線を製造するので、特に生産工程(生産スケジュール等)の運用が弾力性に富み、しかも十分な微細結晶粒が得られるので、本願発明が目的とする良好な材質特性(強度及び延性)を備えた鋼線材又は鋼線を製造することができる方法であり、極めて望ましい製造方法の一つである。
本願の第48の発明に係るコイル状の鋼線材又は鋼線の製造方法は、第33から第43のいずれか発明において、上記被圧延材の上記圧延開始から圧延終了までの工程を、3工程以上繰り返すことにより、最初の圧延工程における圧延開始から最終の圧延工程における圧延終了までの間にその被圧延材に導入される、3次元有限要素法を用いて算出される塑性ひずみεが、その被圧延材の50体積%以上の領域において、ε≧2.0となるような圧延加工を施すことに特徴を有するものである。
本願の第49の発明に係るコイル状の鋼線材又は鋼線の製造方法は、第48の発明において、最初の圧延工程における圧延開始から最終の圧延工程における圧延終了までの間に上記被圧延材に導入される、3次元有限要素法を用いて算出される塑性ひずみεが、その被圧延材の50体積%以上の領域において、上記塑性ひずみεを更に大きくして、ε≧3.0となるように圧延加工を施すことに特徴を有するものである。
本願の第50の発明に係るコイル状の鋼線材又は鋼線の製造方法は、第33から第49のいずれかの発明において、第19から第32のいずれかに記載の温間制御連続圧延加工設備を用いて、走行する鋼線材に圧延加工を施すことに特徴を有するものである。
本願の第51の発明に係るコイル状の鋼線材又は鋼線の製造方法は、第50の発明において、その複数基の圧延機の内、少なくとも1基の圧延機、少なくとも1基の圧延機とサイジングミル、又はサイジングミルが、これ若しくはこれらを空通しするか、又はこれ若しくはこれらを圧延のオンラインから一時的に除去するかして用いずに、上記被圧延材を目標とする断面形状寸法に圧延することに特徴を有するものである。
本願の第52の発明は、コイル状鋼線材又は鋼線に関するものである。即ち、これは上記第33から第51のいずれかに記載のコイル状の鋼線材又は鋼線の製造方法を用いることにより、平均結晶粒径がC断面の面積の90%以上の領域について、1.0μm以下に微細粒化していることに特徴を有するものである。
本願の第53の発明に係るコイル状の鋼線材又は鋼線は、第52の発明において、上記
被圧延材のC断面の面積の90%以上の領域に形成された平均結晶粒径が、0.6μm以下に微細粒化していることに特徴を有するものである。
以上述べたように、本発明は、圧延ラインに金属材料を走行させながら定常的・連続的に適切な温度領域に加熱しつつ、複数基の孔型ロール圧延機によりこれを適切な温間温度範囲内に制御しつつ適切なひずみを導入して連続的に圧延することができるように構成したものである。
本発明は、従来、鉄鋼、金属Mg及びMg合金、金属Al及びAl合金、金属銅及び銅合金、並びにTi及びTi合金の各棒・線材を素材として従来よりも強度及び延性に優れた各金属及び合金線材又は線であって、しかも従来得られていなかった大単重線材又は線を生産効率よく製造し、量産することができる金属細線の製造方法(請求項1〜18)とその製造装置(請求項19〜32)を提供することができる。
また、本発明は、線径が中間サイズである5〜60mm程度のコイル状鋼線材又は鋼線から、線径が1〜25mm程度の鋼細線を製造するに際し、常温のコイル状線材を巻き戻しつつ、この走行する被圧延材をオンラインで定常的・連続的に急速加熱し、これを所定の温間温度範囲内に制御しつつ連続的に圧延することにより、微細粒組織を有し、引張強さ及び絞りに優れた鋼細線を製造することができる。しかも、本発明は従来は熱間圧延又は引抜きにより、単重がせいぜい30〜80kg程度までしか製造することができなかったコイル状鋼細線を、温間制御連続圧延により、単重が500kg乃至2t程度、または、それ以上の大単重である、微細粒組織乃至超微細粒組織を有するコイル状鋼細線(請求項52および53)、および該微細粒組織乃至超微細粒組織を有するコイル状鋼細線をコイル状鋼線材又は鋼線から生産効率よく量産することができる製造方法(請求項33〜51を提供することができる。
従って、本発明によれば、従来の熱間圧延ではなく温間制御圧延で製造するので、従来の金属細線製造工程で必須とされている材質改善のための各種の熱処理工程を完全に省略することもできる。
例えば、鋼細線についていえば、従来の鋼細線製造工程で行われている、極めて長時間を要するセメンタイトの球状化焼なまし等の熱処理工程を完全になくすことができるという、極めて大きなメリットがある。
勿論、素材の仕様と製造しようとする製品の仕様、並びに生産設備を考慮した操業条件により、本願発明の範囲内において合理的な温間制御圧延を採用することができ、製品の用途に合わせて、最低限の熱処理を施しても良い。
かくして、本発明によれば、従来製造不可能であった大単重の金属細線を効率よく製造することが可能となり、高強度で且つ高延性を備えた金属細線を素材として使用する産業の発展にも大きく寄与し得る。
本発明は前述した通りの構成とその特徴を有するものである。そこで、次に、本発明の構成とその特徴を一層明らかにすると共に、本発明の実施形態及び当該実施形態における態様の限定理由について述べる。
[1]実施形態の概要
図1は、本願発明に係る金属線材又は金属線の製造方法を実施するのに適した本願発明
に係る温間制御連続圧延加工設備の例であって、金属材料の種類として、鉄鋼を取り上げた場合に、微細粒組織を有する大単重のコイル状鋼細線の製造方法を実施するのに適した、大ひずみの温間制御連続圧延加工設備の概要構成図を例示するものである。
圧延機は4基設けられている場合である。製造ラインの上流側から順に、コイル巻戻し装置1、ストレートナー2、ピンチロール3、大容量急速加熱装置4、サポートロール5、入側案内装置6、第1番目圧延機7、出側案内装置8、弛み調整装置9が設けられている。以下、第2番目から第4番目圧延機のそれぞれに対して、補助急速加熱装置10、14、18と、入側案内装置11、15、19と、出側案内装置13、17、21とが設けられている。次いで、サイジング装置22、冷却装置23、最後にコイル巻取り装置24が設けられている。また、温度制御機構(図示省略)が設けられており、各圧延機入側及び出側における被圧延材の温度測定装置、及びこれらからの計測情報を演算処理し、大容量急速加熱装置、各補助急速加熱装置及び冷却装置を介して、被圧延材の温度を制御する。なお、被圧延材の温度制御のために、更に、各圧延機の出側案内装置の出側に、急速調整冷却装置(図示省略)を設けてもよい。
コイル巻戻し装置1としては、周知の例えば水平型アンコイラーを用い、これに線径が5〜25mm程度のコイル状鋼線材を被圧延材として装入し、コイル巻戻し装置1から鋼線材25を巻き戻しつつ、これをストレートナー2で直線状に矯正し、鋼線材(被圧延材)25の走行速度が所定値となるように、ピンチロール3を調整運転し、次の大容量急速加熱装置4にこれを連続的に走行装入する。これにより所定の温間圧延温度まで加熱された鋼線材25はサポートロール5を通過し、入側案内装置6によって鋼線材25に倒れが発生しないように圧延機7に誘導され、当該圧延機の所定ロール孔型に噛み込まれる。
なお、入側案内装置6の方式としては、被圧延材の断面形状が円形以外の線材25である場合を考慮して、例えば4方向ローラー型サポートローラーガイド等が望ましい。所定温度の範囲内の鋼線材25は、最前段の圧延機(第1番目圧延機)7で所定のひずみを導入される温間制御圧延により加工された後、出側案内装置8で導出され、次いで弛み調整装置9は、圧延機7と連動して圧延ロールの速度を調整することにより被圧延材に弛みが発生しないように調整し、走行させる。次いで、被圧延材は補助急速加熱装置10に入る。この補助急速加熱装置10によって被圧延材は、上記圧延中に低下した温度が、第2番目圧延機12での所定の温間圧延温度になるまで急速に修復加熱された後、次の入側案内装置11で誘導されて当該圧延機12で温間制御圧延され、出側案内装置13により導出される。なお、第2番目圧延機の入側案内装置11も、被圧延材の倒れ防止等の観点から、4方向ローラー型サポートローラーガイド等が望ましい。また、出側案内装置13についても同様である。
以降、上記第2番目圧延機12によると同様にして、被圧延材は第3番目の圧延機16及び第4番目の圧延機(最後段圧延機)20で温間制御圧延を施され、サイジング装置22で断面形状を調整され、冷却装置23で冷却された後、鋼細線26はコイル巻取り装置24で巻き取られる。
なお、出発材である鋼線材25の断面寸法と仕上り材である鋼細線26の断面寸法との関係により、適宜適切な圧延パススケジュールを決めることができる。そのためには、この温間制御連続圧延加工設備27による上述した圧延工程を複数工程繰り返すことにより、目標線径の鋼細線26を得てもよい。このような圧延スケジュールの場合には、サイジング装置22は、最終回の圧延工程で使用する。また、上記圧延工程が1工程の場合でも複数工程の場合であっても、圧延パススケジュールに4基の圧延機の内、使用しない圧延機があっても差し支えない。その場合は、圧延ロールを空通ししてもよいし、あるいはロールをスライド除去させてもよい。
以上、金属材料の種類として、鉄鋼の場合を例として述べたが、金属Mg、金属Al、金属Cu及び金属Ti、並びにこれら各金属の合金についても、上述した鉄鋼の場合に準じてその実施形態を構成することができる。その理由は、本願発明に係る金属線材又は金属線の製造方法による結晶粒の微細化による材料特性の向上機構においては、特に相変態による高強度化機構を全く利用することなく、各金属種に応じた適切な温間圧延加工の温度領域において、適切なひずみを導入することにより、結晶粒の微細化を図るという原理を利用して行なっている。また強度を高めるための合金元素の添加も特に要しない。
従って、例えば鉄鋼についていえば、フェライト単相鋼及びオーステナイト単相鋼等のような相変態の存在しない成分系鋼種等、広範囲にわたる化学成分組成の鋼に適用し得る。
また、本願発明は、上記金属材料をその仕上り材の形態面からみると、金属材料の製造方法の発明においては、線材又は線を対象としているが、一方、温間制御連続圧延加工設備の発明においては、製造対象の仕上り材の形態が線材又は線に限定されることなく、フープ及び薄板コイルの製造にも適用可能な設備である。
[2]実施形態の詳細
次に、本発明に係る金属線材又は金属線(金属細線)の製造方法の実施形態について、鋼細線を製造する方法を例として述べる。
上記の通り構成された温間制御連続圧延加工設備27により、本願発明に係る微細粒組織を有する大単重のコイル状鋼細線を製造する方法の実施形態並びに製造条件の限定理由及び効果等について、さらに図1を参照しながら説明する。
線径が5〜25mm、更に特例として最大60mm程度の鋼線材を出発材とし、これを圧延により線径が1〜25mm程度の鋼細線に圧延し、これに球状化焼なまし等の熱処理を施すことなく、高強度且つ高延性を有する鋼細線を製造するために、(1)圧延温度の制御範囲を限定し、しかもその圧延温度条件下で走行する鋼線材を連続的に圧延制御することが必要である。そして、望ましくは(2)孔型ロールによるパススケジュールを限定することにより、所定値以上のひずみを被圧延材に導入することが必要である。
[2−1]圧延温度条件について
(i)先ず、被圧延材の圧延温度を鉄鋼の温間圧延温度範囲として、圧延開始直前から圧延終了直後までの温度を、350〜850℃の範囲内に限定する。この温度範囲内に限定する理由は、次の通りである。本願発明に係るコイル状鋼線材又は鋼線の製造方法においては、所謂温間圧延領域における加工により、大きなひずみ導入することにより生じたミクロ的な結晶粒の局所方位差が、微細結晶粒の起源となり、加工中乃至加工後におきる回復過程において、結晶粒内の転移密度が低下すると同時に結晶粒界が形作られて、微細粒組織が形成される。但し、温度が低いと回復が十分でないために、転位密度の高い加工組織が残存する。一方、その温度が高過ぎると、不連続再結晶あるいは通常の粒成長により、結晶粒が粗大化するので所望の微細粒組織は得られない。また、圧延温度が350℃よりも低温で、所定のひずみを導入する圧延を行なうと、被圧延材の出発材が熱間圧延で製造された線材の場合には、冷間加工硬化により圧延性が低下して、実操業上も圧延を継続することができなくなる。これに対して、圧延温度を850℃超えにすると、上述の通り、圧延加工後の再結晶化が進行して、微細粒組織が得られず、従って高強度且つ高延性を有する鋼細線を製造することができないからである。
また、更に望ましくは、上記圧延温度条件を、350〜850℃の範囲内の代わりに400〜650℃範囲内に厳しくする。これにより、結晶粒の微細化と整粒化が更に促進さ
れ、一層高強度且つ高延性を有する鋼細線が得られる。
(ii)そして、望ましくは、更に付加すべき条件として、第2番目以後の各圧延機12、
16、20の出側における被圧延材25の温度Tr+1,outと、その前の各圧延機7、12
、16への入側における被圧延材25の温度Tr,inとの温度差Tr+1,out−Tr,inが、−
150〜50℃の範囲内に入り、且つ、最後の圧延機(第4番目の圧延機20)の出側における被圧延材25の温度T4,outと、第1番目の圧延機7の入側における被圧延材25
の温度T1,inとの温度差T4,out−T1,inが、−200〜100℃の範囲内に入るように
温度制御すること、即ち、
r+1,out−Tr,in=−150℃〜50℃ ‥‥‥‥(3)
(但し、rは1、2又は3で、圧延機の最上流側からの順番を表わす)
4,out−T1,in =−200℃〜100℃ ‥‥‥(4)
を満たすのがよい。
先ず、上記(3)式のように、本願発明に係る鋼細線の製造における温間制御圧延においては、ある圧延機の入側における被圧延材の温度と、その前の圧延機の入側における被圧延材の温度との差を規定するのは、次の理由、即ち、仕上り材(鋼細線)の結晶粒微細化の確実・安定化及び整粒化を促進するためである。以下、それを説明する。
本発明者等は既に、下記事項を知見している。即ち、圧延後材料の結晶粒径は、下記(B)式中の圧延温度Tと平均塑性ひずみ速度ε/tの関数として表わされる圧延パラメーターZにより支配され、被圧延材の結晶構造が例えばbccの場合、例えばZ≧11となる温間圧延加工を施すことにより、平均結晶粒径は1μm以下のフェライト粒が得られることを知見している。従って、平均結晶粒径の目標値を決めれば、これに応じたZの値になるよう圧延を制御することにより、この平均結晶粒径の目標値が達成される。
Z=log[(ε/t)exp{Q/8.31(T+273)}]‥‥(B)
但し、
ε:被圧延材に導入される平均塑性ひずみ(3次元有限要素法により求めることができる。)、又は簡単に真ひずみでもよい。
t:圧延開始から圧延終了までの時間(sec)
Q:定数(α−Feの自己拡散の活性化エネルギー、254KJ/mol)
T:圧延温度(各パスの圧延温度を平均した温度、(℃))
ここで、(B)式から明らかなように、各パス毎の圧延温度範囲(上記(3)式においてTr+1,out−Tr,inに相当する値)が小さいほど、圧延温度をある温度に設定した場合の
(B)式中の圧延温度Tの変動量も小さくなる傾向にあるので、Zの変動量も小さくなる。一方、上記(3)式中のTr+1,out−Tr,inの値の変動範囲を小さくすることは、(B
)式中の圧延温度Tの変動量を小さくすることになる。従って、Tr+1,out−Tr,inの値
の変動範囲を小さくすることにより、Zの変動量を小さく制御することができるので、上記目標値とした平均結晶粒径の変動量(変動範囲)も小さくすることができる。即ち、被圧延材の目標平均結晶粒径を精度よく達成することが可能となり、これに伴って、結晶粒の微細化を確実なものにすると共に、被圧延材に形成される平均結晶粒径の分布範囲が狭くなるので、混粒から整粒分布に改善される。
以上により、Tr+1,out−Tr,inの値を所定範囲内に規定することにより、結晶粒の微
細化の促進と、結晶粒の整粒化がなされる。また、相互作用的にこの整粒化により、結晶粒の微細化が一層促進され、材質特性、特に強度及び延性の向上に寄与する。以上の考察及び試験結果に基づき、上記(3)及び(4)式の通り規定する。
本願発明においては、ある圧延機の入側における被圧延材の温度と、その前の圧延機からの出側における被圧延材の温度との差を(3)式の通り規定することにより、整粒化された所望の平均粒径を有する鋼細線を製造することができる。
次に、上記(4)式のように、第4番目の圧延機への出側における被圧延材の温度と、第1番目の圧延機への入側における被圧延材の温度との差を、所定の温度範囲内になるように規定するのは、このように温間制御圧延をすることにより、上述した(3)式の規定理由に準じて、(4)式の規定によっても、目標平均結晶粒径を精度よく達成すること、及びその整粒化効果を達成することができるからである。
また、更に望ましくは、被圧延材25の温度条件を、上記(3)及び(4)式による代わりに、下記(3')及び(4')式:
r+1,out−Tr,in=−50℃〜30℃ ‥‥‥‥(3')
4,out−T1,in =−50℃〜30℃ ‥‥‥‥(4')
のように、その温度条件を一層厳しくすると良い。これにより、結晶粒の微細化及び整粒化が一層促進される。
[2−2]走行する被圧延材の連続的加熱制御について
本願の発明においては、圧延ラインを連続的に走行する被圧延材である鋼線材を、連続圧延することが必要である。即ち、コイル巻戻し装置1から第1番目圧延機7までの間で、走行する鋼線材を常温から温間温度域まで加熱する必要がある。大容量急速加熱装置4は、そのための重要な装置である。鋼線材25のスタート線径の最大値は、例えば60mmであり、これを所望の巻戻し線速度で走行させた場合に、大容量急速加熱装置4の有効加熱帯の設計長さ範囲内において、予熱・昇温・均熱過程が完了して安定した所望の温間圧延温度の条件、具体的には、[2−1]項の圧延温度条件を満たすために、圧延開始から終了までの1工程の間、第1番目圧延機7に噛み込まれる線材25(被圧延材)の温度を、350〜850℃の範囲内の任意温度まで急速に加熱することができる能力を有するものが必要である。
次いで、第2番目圧延機12においても、第1番目圧延機で圧延中及び圧延後に低下した温度を補償して、同様に所定の温間温度領域で圧延するために、所定温度まで補助的に急速加熱する。そのためには、圧延されつつある被圧延材の温度、線径、線速度及び加工発熱量に応じて、第2番目圧延機12の入側直近に設けられた補助急速加熱装置10を使用して所要温度まで加熱する。第3番目以後の圧延機16、20と各入側の補助急速加熱装置14、18においても同様に被圧延材の温度を制御する。
大容量急速加熱装置4及び補助急速加熱装置10、14、18のいずれにあっても、各圧延機で圧延される直前の被圧延材及び圧延された直後の圧延後材の温度を、精度よく制御することに追従し得るものであることが重要である。これらの加熱装置と、圧延機間を走行する短時間内に、前段圧延機で圧延されている間の圧延ロールへの伝熱や放熱により低下した被圧延材の温度変化の情報を取り込み、圧延開始から終了までの被圧延材の温度を制御する。
大容量急速加熱装置4及び補助急速加熱装置10、14、18はいずれも、その加熱方式及び熱源に適したものとしては、メタルファイバガスバーナー若しくはセラミック多孔板ガスバーナー等の表面燃焼ガスバーナー装置、被圧延材に通電する通電抵抗加熱方式、電磁誘導加熱方式、又は電気抵抗発熱体輻射加熱装置等、いずれであってもよい。これらはいずれも、上述した急速加熱に追従し得るように配慮されたものであることが必要であり、これまでに提案されたもの又は周知技術を使用することもできる。
具体例として、メタルファイバーガスバーナーの場合には、前面が開口した金属ケーシングの開口部に、耐熱金属繊維により形成した布状素材(例えばニットやフェルト状等の
素材)を覆って燃焼面を構成したバーナー、いわゆる平面型メタルファイババーナーが挙げられる。耐熱金属として耐熱鋼又はインコネル等の耐熱合金を素材とし、これを繊維状に加工し、編物加工法又は織布加工法等により布状素材とする。この表面ガスバーナーの形態としては、前面が適切な外表面を有するフェルト平板状メタルファイバーで覆われ、両側面および底面が断熱材にて覆われた燃焼・加熱室が、フェルト平板状メタルファイバーの背面側に設けられ、フェルト平板状メタルファイバーで、被圧延材を適切な間隔を空けて挟むように、被圧延材に対して対称となるように2方向あるいは3方向から対設する。そして、燃焼・加熱室内に燃料ガスと空気との予混合ガスを外部から導入し、燃焼させて当該フェルト平板状メタルファイバーを赤熱させ、このような状態のメタルファイバーガスバーナーにより、被圧延材を急速加熱する。
表面ガスバーナーの形態としては、その他に、例えば半割型の円筒状に形成してもよい。そして、被圧延材の温度制御は、図1の温間制御連続圧延加工設備27の各圧延機と各入側案内装置との間隙、及び各圧延機と各出側案内装置との間隙の両位置で、適切な、例えば接触型温度計等により圧延機噛み込み直前及び圧延機噛み出し直後の被圧延材の各温度を連続的に測定し、この測定値に基づき、周知の温度制御機構により、被圧延材の温度を所望の温間圧延温度範囲内に制御する。
なお、温間圧延温度範囲内の制御は、必ずしも自動化された温度制御機構を使用する必要はなく、オペレータによる手動が介入した温度調節によってもよい。いずれの場合でも、上述した被圧延材の圧延温度の温間領域制御は、上流側に配設されている大容量急速加熱装置4による鋼線材25の加熱状態の影響を大きく受ける。従って、各圧延機の入側の補助急速加熱装置10、14、18の温度制御に当たっては、大容量急速加熱装置4の温度制御と連動させる。その際、自動制御方式は、いずれの加熱装置においても、制御動作の速い微分型制御によりフィードフォワード制御を採用することが望ましい。
[2−3]大ひずみ加工の条件について
前述した[2−1]の(i)項で述べた温間領域における圧延加工により扁平化した加工粒から微細結晶粒が生成し、ひずみの増加に伴ってこの微細結晶粒が増加する。このようにして微細粒組織を有する鋼細線を製造するための所定の温間制御圧延においては、被圧延材に所定値以上の「ひずみ」を導入することが必要である。ここで、圧延加工時のひずみ導入は、多方向からの加工により大ひずみの導入がされ易くなる。鋼線材又は鋼線の圧延パススケジュールに、オーバル孔型とこれに続くスクエア孔型による圧延がなされる場合には、導入されるひずみの評価を、単純な所謂真ひずみeで評価するよりも、塑性ひずみεで評価する方が適している。そこで、本願明細書においては、既述の通り、ひずみを「真ひずみ」と「塑性ひずみ」とに分けている。
上記に鑑み、平均結晶粒径が3μm程度以下の微細粒組織を有する鋼細線を製造するためには、温間制御圧延において被圧延材へ導入すべき真ひずみを、0.25以上とすることが必要である。真ひずみが0.25未満であると、温間圧延領域においても鋼細線の結晶組織が十分に加工されず、強度が十分に改善されないからである。ここで、本発明における真ひずみ(金属種が鉄鋼の場合、式の構成文字に「'」を付して表記する)として、下
記(1')式:
e'=ln(S0'/S')‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(1')
但し、S0':圧延開始前の被圧延材のC断面の面積
S ':圧延終了後の被圧延材のC断面の面積
で表わされるe 'で定義する。
なお、真ひずみe '≧0.25は、圧延開始から圧延終了までの間の被圧延材の下記(A)式:
Tot={(S0−S)/S0}×100 ・・・・・・(6')
但し、RTot:総減面率(%)
0:圧延開始前の被圧延材のCC断面の面積
S :圧延終了後の被圧延材のCC断面の面積
で表わされる総減面率RTot(%)に換算すると、RTot≧22%となる。従って、真ひずみe '≧0.25の代わりに、総減面率RTot≧22%としてもよい。
また、結晶粒の微細化のためには、真ひずみを0.7以上に、更に望ましくは1.38以上となるように圧延加工を施すことが望ましく、強度の一層の向上を図ることができる。
一方、仕上り材の高品質且つ均質性確保という品質上の観点を重視する場合には、被圧延材内部のひずみ分布に留意すべきである。特に、多方向圧延による場合には、留意すべきである。この観点からは、ひずみとしては塑性ひずみを用いるのがより適している。塑性ひずみの評価は、既述の通り、周知の3次元有限要素法を用い、前記(7)式により算出することができる。そして、温間圧延加工により扁平化した加工結晶粒から微細結晶粒を生成させ、この塑性ひずみεの増加に伴って微細結晶粒の生成領域の増大及び微細化が促進される。本発明者等の実験結果によれば、塑性ひずみεの値の上昇過程において、「0.7」、「1.5」及び「2.0」の3段階において、仕上り材強度の変極点を認め得ること、そして「3.0」において、一応の飽和値に近づくことを知見した。従って、これら4段階における塑性ひずみε毎に、所望される仕上り材(製品)の品質、特に強度水準に応じた製造方法を採用することが望ましい。
上記観点により、製品品質を保証するためには、当該塑性ひずみεが確保された領域が、50体積%以上必要である。なお、3次元有限要素法を使用しているので、50体積%の評価は、50面積%で代用してもよい。
[2−4]孔型の形状・寸法と被圧延材の形状寸法との関係、及びパススケジュールについて
本願発明において、微細粒組織を有し、高強度且つ高延性を有する鋼細線を製造するためには、上記[2−1]及び[2−2]項で述べたように、圧延開始から終了までの被圧延材の温度を制御することが必要であり、更に、被圧延材に「大ひずみを導入」することが重要である。そのためには、適切なパススケジュール条件により圧延することが必要である。
そして、その際、被圧延材の断面の形状を所望する正規の形状に成形すること(「断面形状成形性の確保」)も必要である。先ず、孔型ロールにより圧延することを前提条件とし、圧延パス数を2以上とする。この2パス以上とする理由は、本願発明で製造しようとする目的の結晶粒組織及び材質特性を有する鋼細線を効率良く得るためには、多方向からの大圧下圧延が必要であり、そのための必要条件として、圧延工程ラインの少なくともいずれか1パスにおいては、図2(a)、(b)に示すように、C断面が四角又は丸形状である被圧延材28、28'を、オーバル孔型ロール29a、29bで圧延することにより
、C断面がオーバル形状となるように成形し(図2(c)、(d)の符号30)、次いでこのオーバル形状に成形された被圧延材30をスクエア孔型ロール31a、31b(図2(c))又はダイヤ孔型ロール32a、32bで圧延する(図2(d))というパススケジュールを含んでいることが効果的である。
従って、圧延パス数は少なくとも2パスが必要となる。そして、上記被圧延材28、28'の形状・寸法と、オーバル孔型29a、29bの形状・寸法との関係、及び、上記オ
ーバル形状に成形された被圧延材30とスクエア孔型ロール31a、31b又はダイヤ孔型ロール32a、32bの各寸法・形状との関係として、次の関係が満たされる孔型ロー
ルを使用することが、大ひずみの導入上効果的である。
即ち、[条件1]オーバル孔型ロール29a、29bは、そのオーバル孔型の最大短軸長さAが、C断面が四角形状又は丸形状の被圧延材28又は28'の対辺間の長さ又は直
径(いずれもBで表記する)の0.75倍以下(A≦B×0.75)、即ちA/B≦0.75に限定することが望ましく、更にはA/B≦0.60に限定すれば一層望ましい。
このように、A/B≦0.75とするのは、オーバル孔型を用いたときの公称圧下率(=(B−A)/B)が小さいと、被圧延材料の中心部までひずみがほとんど導入されないので、これを解消するために、A/B≦0.75とする。また、良好な断面形状成形性の確保の観点からも、A>B×0.75となると、次のパスにおけるスクエア孔型又はダイヤ孔型ロールによる圧延において、ロールギャップに被圧延材料の一部が流動してしまい、材料の断面形状の成形性が確保できない上に、導入されるひずみも小さい。従って、A≦B×0.75と限定する。更に、A/B≦0.60に制限すれば上記効果が一層発揮される。なお、A/Bの値が小さくなり過ぎると、被圧延材の倒れが発生しやすくなるので望ましくない。
上記条件1の上に更に、[条件2]スクエア孔型ロール31a、31b又はダイヤ孔型ロール32a、32bは、そのスクエア孔型又はダイヤ孔型の天地対角間の長さ(いずれもCで表記する)が、オーバル形状に成形された被圧延材30の長軸長さDの0.75倍以下(C≦D×0.75)、即ちC/D≦0.75と限定すれば、一層望ましい。即ち、断面形状の成形性を一層有利にするために、上記2パスにおけるスクエア孔型又はダイヤ孔型の天地対角間の長さ又は直径Cを大きくして、直前のパス(1パス目)で得られた上記オーバル形状被圧延材30の長軸長さDに対するCの比率C/Dを大きくすると、今度は公称圧下率(=(D−C)/D)が小さくなってしまい、断面形状の成形性は向上しても、材料中心部にまでひずみを導入することができなくなる。断面形状の成形性を良好に確保し、且つ材料中心部にまでひずみを導入するために、上記比率C/Dは、C/D≦0.75と限定する。
なお、圧延においては、仕上り鋼細線の断面形状・寸法に応じた適切なパススケジュールが必要であるが、上述したスクエア孔型又はダイヤ孔型の代わりに、ボックス孔型を使用しても、ある程度の類似効果が発揮される。従って、ボックス孔型による代替使用も実操業上は有用である。
[2−5]オーバル孔型の望ましい形状寸法について
更に、上述したパススケジュールで圧延を行なうに際して効果的なオーバル孔型の望ましい形状寸法については次の通りである。即ち、「大ひずみの導入」と「断面形状の成形性確保」との両立は、先行パスであるオーバル孔型ロールによる公称圧下率だけでなく、オーバル孔型の長軸方向の形状によって引き起こされる拘束力にも大きく依存する。
(i)図3に示しているオーバル孔型の最大短軸長さAの長軸長さEに対する比(A/E)が小さいほど、次パスにおける公称圧下率を大きくすることができるので、ひずみ導入に効果を発揮する。
このひずみ導入効果が十分に発揮されるようにするためには、オーバル孔型の最大短軸長さと長軸長さの比(A/E)は0.40以下であることが望ましい。
(ii)一方、上記オーバル孔型の形状において、オーバル孔型の曲率半径Raが小さいと
、1パス当たりの減面率は大きくすることができるが、幅方向が尖形となってしまい、たとえ、次パスでの公称圧下率が大きくても、被圧延材料中心部にひずみが導入され難い。従って、断面形状の成形性を確保しつつ材料中心部への大ひずみ導入を図るためには、オ
ーバル孔型の曲率半径Raは大きい方が効果的であり、その大きさは、オーバル孔型ロール29a、29bで圧延される四角形状被圧延材28の対辺間の長さB(図2(a)参照)、又は丸形状被圧延材28'の直径B(図2(b)参照)の1.5倍以上であることが
望ましい。但し、これが5倍、6倍となるとその効果は飽和するが、周知のオーバル孔型ロールの範疇であれば、特に上限を設ける必要はない。
このように、オーバル孔型の望ましい曲率半径Raは、これにより圧延される被圧延材のC断面寸法に依存するが、Ra≧B×1.5を満たす曲率半径を有する水準の孔型を装備しておくことが望ましい。
そして、本発明においては、所望する線径の仕上がり材(鋼細線)を製造するために、下記[2−5]の圧延工程を適宜選定することが望ましい。
[2−6]圧延方式と仕上り材の線径について
この大ひずみ加工の重要な構成要素として、鋼線材の圧延パススケジュールがある。図1に例示した温間制御連続圧延加工設備27においては、圧延機を7、12、16、20のように4基を直列に配置している。各圧延機は、周知の二重式水平圧延機である。なお、圧延機の種類(形式)や基数は、例えば生産量、主要生産品の出発材と仕上げ材の線径との関係、操業形態等により、圧延機2基以上の配設を前提として、適宜選定・増減することができる。また、各圧延機のロール孔型としては、周知のオーバル、スクエア、ラウンド、ダイヤ及びボックスを適宜選択することができる。例えば、第1番目の圧延機7のロール孔型はオーバル、次の圧延機12はスクエア、次の圧延機16はスクエア、そして第4番目の圧延機20はラウンド孔型とする。そして、所定の鋼線材(被圧延材)を仕上げ目標寸法の鋼細線まで温間制御圧延を施そうとする場合、出発時の被圧延材の線径に応じ、各圧延パス毎の減面率及び圧下方向を考慮して、それぞれの孔型の諸元寸法を決定する。そして、必ずしも圧延ラインの1工程で仕上げ目標寸法の鋼細線まで加工する必要はなく、2工程以上で仕上げるようにパススケジュールを設定することができる。その場合、各圧延機において所要の孔型を用いて圧延するために、例えばある圧延機についてはロール組替えにより、必要な孔型形状で所要の諸元寸法の孔型が形成されたロールを使用して圧延する。例えば、被圧延材のパススケジュールを、1工程に4基の圧延機が配設された圧延ラインにおいて、全2工程で出発材の鋼線材を仕上げ目標寸法の鋼細線に圧延しようとする場合に、第1工程ではオーバル−スクエア−スクエア−スクエアとし、第2工程ではオーバル−スクエア−オーバル−ラウンドとする場合でも、所要のパススケジュールに基づき、4基それぞれの二重式水平圧延機のロール孔型の諸元寸法を設計しておき、第2工程では全ての圧延機のロールを変更して圧延を行なう。
また、2工程以上で仕上げるパススケジュールの場合は、サイジング装置22を使用する場合は、通常、最終回工程の最終パスで使用すればよい。
なお、サイジング装置22を設けることなく、最後段圧延機20に、サイジング機能を有する孔型が設計されたカリバーロールを装備してもよい。
また、上記パススケジュールの適切化を図るために、ある回数目の工程においては4基の圧延機の内の例えば1基は、これによる圧延を行なわなくすることもできる。その方法としては、当該圧延機は被圧延材を空通ししてもよいし、あるいは圧延機スタンドを圧延ラインから一時的にスライド除去する、等の方法によってもよい。また、温間制御連続圧延加工設備27は、この圧延ラインの後尾において複数のストランドに分岐させ、この分岐した各ストランドのそれぞれに、所定の圧延機を配置してもよい。その際、各末尾圧延機のそれぞれの下流側にコイル巻取り装置24を併設すれば、圧延ラインの操業度を一層向上させ得る。
なお、このように、C断面形状がオーバル形状の被圧延材の長辺をスクエア孔型ロール、ダイヤ孔型ロール又はボックス孔型ロールで圧延する際に、被圧延材に倒れが発生するのを防止するためには、即ち、正規の圧下方向と異なる方向から圧下されるのを防止するためには、特にオーバル孔型ロールへの四角形状の被圧延材の噛み込み時の捻転、及びボックス孔型ロールへのオーバル形状被圧延材の長辺の噛み込み時の捻転を防止できるように、圧延機への適切な入側案内装置の配設が効果的である。また、圧延機の出側案内装置も配設すれば一層効果的である。かくして、被圧延材への大ひずみの導入が一層促進されて、細線の微細粒組織の形成に寄与する。
更に、図1の温間制御連続圧延加工設備27の配置例では、コイル巻取り装置24の前に冷却装置23を設けたが、任意回数目の圧延工程終了後の被圧延材26は、必ずしも冷却された後に巻き取られる必要はない。特に、当該被圧延材の線径が細くなった場合には、空冷速度も速くなり、例えば、圧延加工後の冷却速度が10℃/sec以上の比較的速い冷却速度であれば、また温間領域における圧延後であることも影響して、鋼細線の温度は比較的低くなるので、フェライト粒の粗大化は防止されるからである。
一方、圧延工程が進んで、被圧延材の線径が小さくなり、圧延速度が大きい場合等は、放熱量に対して加工発熱が上回ることにより、圧延機の出口における被圧延材の温度が入口における温度を上回り、温度制御の観点から若干の急速調整冷却をすることが望ましい場合がある。かかる場合には、前述した急速調整冷却装置を設けることにより、一層望ましい温間制御圧延が可能となり、結晶粒の微細化と整粒化が促進される。
この発明を実施例により更に詳しく説明する。
[実施例1]
熱間圧延により製造された表1に示す化学成分組成を有する線径12mmφで、単重が1.0トンのコイル状線材を、本願発明による鋼細線製造用の温間制御連続圧延加工設備により、線径5.5mmφの鋼細線まで温間制御連続圧延により加工した。
Figure 2006043754
使用した温間制御連続圧延加工設備の概要構成を、図4に示す。この温間制御連続圧延加工設備33は2基の孔型ロール圧延機7、12を設けており、コイル巻戻し装置1から巻き戻されて走行する鋼線材(被圧延材)25が、ストレートナー2及びピンチロール3を通って大容量急速加熱装置4に連続的に装入される。大容量急速加熱装置4は被圧延材に通電用ロール形状の端子を接触させる、通電抵抗加熱により急速に加熱・均熱する方式を採用した。
大容量急速加熱装置4で所定温度に加熱された被圧延材は、サポートロール5で支持されて入側案内装置6に入り、直ちに第1番目の圧延機7に入る。ここで所定の圧延加工を施された後の被圧延材25は、出側案内装置8で誘導されて排出され、次いで弛み調整装
置9を経た後、入側案内装置11で所定の方向に捻転させられて、第2番目の圧延機12に入り、所定の圧延加工を施された後、出側案内装置13で誘導されて排出された後、コイル巻取り装置24で巻き取られる。なお、入側案内装置及び出側案内装置はいずれも、有溝状の2対のローラーガイドとした。
上記温間制御連続圧延加工設備を使用して第1工程から第4工程の圧延において、各圧延機7、12の入側直前及び出側直後において、被圧延材の温度を接触型温度計で連続的に測定し、この測定値を監視しつつ、オペレータが大容量急速加熱装置4への投入電流を手動で制御することにより、温間制御連続圧延を行なった。また、弛み調整装置9により被圧延材に特別な張力がかからないように圧延機のロール回転数を調節した。
図4の圧延ライン1工程における圧延の間に、線径12mmφの鋼線材25を出発材として、第1番目のオーバル孔型ロール圧延機7により、A/B(オーバル孔型の最大短軸間長さ/線径12mm)=0.46の条件で断面をオーバル形状に圧延し、次いでこれを第2番目の圧延機12のスクエア孔型ロール圧延機12により圧延した。かくして、第1工程における減面率Rが30%の圧延を行なった。
以下、第2〜第4工程を、上記第1工程に準じるか類似したパススケジュールのもとに順次圧延して、仕上り材として線径5.5mmφの鋼細線26を得た。表2に、この実施例における各工程における各試験条件を示し、また、出発材及び仕上り材(鋼細線)のフェライト平均粒径、並びに出発材から鋼細線に至る各工程毎での引張強さTSおよび絞りRAの試験結果を同表に併記した。
Figure 2006043754
上記圧延工程における被圧延材の温度は、最高温度が565℃、最低温度が404℃であり、第1〜第4工程の各圧延工程における被圧延材の温度測定結果は、表2に示す通りであり、本発明の温間圧延条件の範囲内にある。
また、第1〜第4の各工程における減面率Rは、30%、28%、28%、26%、A
/Bの値は、0.46、0.49、0.53、0.63で、各工程の真ひずみe'は0.
36、0.33、0.33、0.30であった。
以上の試験により、下記結果が得られた。線径12mmφの走行する被圧延材(鋼線材)を、通電抵抗加熱方式の大容量急速加熱装置により、いずれの圧延工程においても、第1番目の圧延機入側温度として、手動操作により541〜565℃の範囲内まで加熱し、第1番目の圧延機による圧延後、第2番目の圧延機入側温度として、420〜460℃の範囲内に保持されて、その圧延機出側温度が404〜440℃の範囲内に保持されるという結果が得られた。
この間、圧延ラインの各1工程当たりの減面率は26〜30%であり、第1〜第4工程までの8パスにより、総減面率RTotは79%、累積真ひずみΣe'は1.56となり、倒れ発生が防止された孔型圧延を行なった。圧延線速度(各工程での巻取り線速度)は、5.0〜10.0m/分であり、重量換算値で38〜29kg/分の圧延速度で、線径5.5mmφで単重が1.0トンの従来比類なき大単重のコイル状鋼細線が得られた。
得られた鋼細線のフェライト平均粒径は、0.6μmであり、引張強さTSが687MPaで、絞りRAが76.5%という、高強度且つ高延性を有する冷間加工性に優れた鋼細線が得られた。
一方、上記試験結果によれば、第2番目圧延機による圧延中の被圧延材の温度は凡そ、404〜440℃という比較的低温度水準にあったため、放熱速度が低下し、加工発熱による温度補償効果が発現して、当該圧延中における温度低下が殆ど起こらなかったか、又は極めて小さかったものと推定される。
なお、後述する「メタルファイバーガスバーナーによる補助急速加熱試験」の結果より、適切な補助急速加熱装置を用いれば、第2番目圧延機入口における温度を、第1番目圧延機入口における温度と同じ水準まで加熱することが可能であると考えられる。
従って、また第1番目圧延機の入側温度を450℃程度の低温度水準に設定し、且つ、仮に第2番目圧延機の入側に補助急速加熱装置を設けて、第1番目圧延機での被圧延材の温度低下分を補償すれば、第1番目圧延機と第2番目圧延機とからなる1工程中における圧延温度を極めて狭い温度範囲内に制御することができることがわかり、一層材質特性に優れた鋼細線の製造が可能となる。
[実施例2]
実施例1に供された出発材と同一化学成分組成及び熱間圧延により製造された、同一線径12mmφで、単重が1.0トンのコイル状線材を、実施例1で使用した本願発明による鋼細線製造用の温間制御連続圧延加工設備により、実施例1とは異なる第1から第3工程からなるパススケジュールにより、仕上り線径6.0mmφの鋼細線まで温間制御連続圧延により加工した。また、圧延設備の運転方法、並びに、出発材、仕上り材及び第1〜第3の各工程毎の試験項目も、実施例1に準じて行なった。
表3に、実施例2の試験条件及び試験結果を示す。
Figure 2006043754
上記圧延工程における被圧延材の温度は、最高温度が514℃、最低温度が402℃であり、第1〜第3工程の各圧延工程における被圧延材の温度測定結果は、表3に示す通りであり、本発明の温間圧延条件の範囲内にある。また、第1〜第3の減面率は各工程にお
ける減面率Rは、40%、40%、30%、A/Bの値は、0.45、0.50、0.61で、各工程の真ひずみe'は、0.51、0.51、0.36であった。
以上の試験により、下記結果が得られた。線径12mmφの走行する被圧延材(鋼線材)を、通電抵抗加熱方式の大容量急速加熱装置により、いずれの圧延工程においても、第1番目の圧延機入側温度として、手動操作により500〜510℃の範囲内まで加熱し、第1番目の圧延機による圧延後、第2番目の圧延機入側温度として、402〜435℃の範囲内に保持されて、その圧延機出側温度が380〜460℃の範囲内に保持されるという結果が得られた。
この間、圧延ラインの各1工程当たりの減面率は30〜40%であり、第1〜第3工程までの6パスにより、総減面率RTotは75%、累積真ひずみΣe'は1.39となり、倒れ発生が防止された多方向・多パスのカリバー圧延を行なった。圧延線速度(各工程での巻取り線速度)は、8.5〜10.0m/分であり、重量換算値で55〜36kg/分の圧延速度で、線径6.0mmφで単重が1.0トンの従来比類なき大単重のコイル状鋼細線が得られた。
得られた鋼細線のフェライト平均粒径は、0.5μmであり、引張強さTSが702MPaで、絞りRAが76.9%という、高強度且つ高延性を有する冷間加工性に優れた鋼細線が得られた。
一方、上記試験結果によれば、第2番目圧延機による圧延中の被圧延材の温度は凡そ、351〜460℃ という比較的低温度水準にあったため、放熱速度が低下し、加工発熱による温度補償効果が発現して、当該圧延中における温度低下が殆ど起こらなかったか、又は極めて小さかったものと推定される。
[メタルファイバーガスバーナーによる補助急速加熱試験]
そこで、上記実施例1及び実施例2において、更に第2番目圧延機の入側に補助急速加熱装置として、メタルファイバーガスバーナーを設けることを想定し、このように想定された実施例1及び実施例2の設備において、任意の1工程における圧延中の温度を一層狭い温度範囲内に制御し得るとの発想のもとに、下記の通りの補助急速加熱装置による鋼線材の昇温試験を行なった。
線径6mmφの線材をメタルファイバーガスバーナーにより常温から加熱し、その線材の昇温曲線に基づき、400℃から450℃まで昇温するのに要する時間を測定した。試験方法は次の通りである。
6mmφの被加熱鋼線材を、これから互いに反対方向に25mmの間隔を空けて互いに対向配置した幅150mm、長さ400mmの2枚の平板フェルト状メタルファイバーのセットを、その長さ方向に直列に2セット連結したメタルファイバーガスバーナー内で加熱した(従って、メタルファイバーガスバーナーの全長は、約400mm×2=約800mmであり、バーナー同士の間隔は50mmである)。被加熱鋼線材は、上下に対向する上記平板フェルト状メタルファイバー間で、両平板フェルト状メタルファイバーの幅方向中心線に平行で両者から等距離(それぞれから25mm)の位置に固定配置し、各上下メタルファイバーの外面(上下面側)から燃焼性ガスを供給して燃焼させ、メタルファイバーを加熱・赤熱させて被加熱鋼線材を加熱・昇温し、その時の昇温曲線を測定した。
その結果、0.13分(=8秒)で被加熱鋼線材は400℃から450℃まで昇温することがわかった。これによれば、例えば、実施例1の如き第1から第4工程で鋼細線を圧延する場合であれば、メタルファイバーガスバーナー部分の長さが、1.3mの補助急速加熱装置を、後段圧延機の入側に設ければよいことがわかる。その他の加熱方式による補
助急速加熱装置を採用する場合でも、上記メタルファイバーガスバーナー方式による補助急速加熱装置の場合に準じて、製造しようとする出発鋼線材の線径と仕上り鋼細線の線径、パススケジュール、及び圧延速度を設定することにより、補助急速加熱装置の全長を設計することができる。
従って、上記のメタルファイバーガスバーナーによる補助急速加熱試験の結果より、実施例1及び実施例2において、更に第2番目圧延機の入側に適切な補助急速加熱装置を設置することにより、圧延開始から終了までの間における被圧延材の温度を、更に狭い範囲内に制御し得ることがわかる。
具体的には、上記実施例1及び実施例2においては、当該制御温度範囲が、前記(3)及び(4)式、即ち、
r+1,out−Tr,in=−150℃〜50℃ ‥‥‥‥(3)
n,out −T1,in=−200℃〜100℃ ‥‥‥(4)
(但し、Tは温度(℃)であり、nは圧延機の基数を表わし、rは圧延機の順番であって、第1番から第n−1番までの任意の数を表わし、inは圧延機への入側直前、outは圧延機からの出側直後を表わす)、
を満たしていたが、更に望ましい制御温度範囲である前記(3’)及び(4’)式、即ち、
r+1,out−Tr,in=−50℃〜30℃ ‥‥‥‥(3')
n,out −T1,in=−50℃〜30℃ ‥‥‥‥(4')
を満たすことができることが容易に推定される。
以上のように、第2番目以後の圧延機の入側に、補助急速加熱装置を設けることにより、一層望ましい温間制御連続圧延を実施できる大ひずみ温間制御連続圧延加工設備を構成することができる。
[比較例1]
出発材として、鋼種符号SWRCH6A(C含有量:0.05質量%)の化学成分組成を有する冷間圧造用炭素鋼線材向けの素材であって、熱間圧延で製造された市販の12mmφ×長さ3mの棒鋼を用い、2基の直列に配設された圧延機により、本発明の範囲外である熱間圧延条件で、表4に示すようにいずれもスクエア孔型ロール圧延機により、2パスからなる1工程の圧延を行なって、9.5mm角の棒鋼を得た。上記において、出発材の加熱温度は950℃設定であるが、走行する12mmφの棒鋼を連続的にこの加熱温度まで昇温・加熱するために必要な加熱炉の長さは、長くなり過ぎて現実的でないので、上記寸法の出発材棒鋼の全長を輻射加熱炉で加熱後、抽出して2パス圧延を行なった。
表4に、比較例1の試験条件及び試験結果を示す。
Figure 2006043754
上記圧延工程における被圧延材の温度は、最高温度が950℃、最低温度が800℃であり、圧延工程における被圧延材の温度測定結果は、表4に示す通りであり、本発明の温間圧延条件の範囲外であって、熱間圧延温度域内にある。
以上の試験により、下記結果が得られた。線径12mmφの走行する被圧延材(棒鋼)
を、通電抵抗加熱方式の大容量急速加熱装置により、950℃まで加熱し、第1番目の圧延機による圧延後、第2番目の圧延機入側温度として、850℃の温度が得られ、その圧延機出側温度が800℃という結果が得られた。この間、1パス当たりの減面率は9.2%であり、総減面率RTotは20%、累積真ひずみΣe'は、0.22であった。圧延線速度は、10m/分であり、重量換算値で66kg/分の圧延速度で、9.2mm角の棒鋼で長さ5.1m、単重2.7kgの棒鋼を得た。但し、この比較例においては、加熱方式が上述したように走行材を連続的に加熱する形態ではないので、重量換算値の圧延速度のみにより圧延能率は決定されず、加熱能率にも支配されることに留意することが必要である。
得られた棒鋼のフェライト平均粒径は、10μmであり、引張強さTSは420MPaと出発材の400MPaからの上昇量は小さく、一方、絞りRAは82.0%で、出発材からの低下は殆どなかった。従って、従来の熱間圧延条件による鋼細線の製造によっては、この発明の目的は達成されない。
上記実施例及び比較例により、本願発明の有効性が確認された。なお、以上の実施例及び比較例における試験材の化学成分組成は、低炭素鋼乃至極低炭素鋼に属するが、これらに限定されることなく、前述した本願発明による結晶粒の微細化機構を考慮すれば、広範囲の炭素鋼及び低合金鋼においても同様な結果が得られることが明らかである。
本発明による細線を製造するための温間制御連続圧延加工設備を説明する概要構成図の例である。 各種孔型ロールとその孔型の部位名称、及び各種被圧延材とその部位名称の説明図である。 オーバル孔型の部位説明図である。 実施例1で使用した温間制御連続圧延加工設備の概要構成図である。
符号の説明
1 コイル巻戻し装置
2 ストレートナー
3 ピンチロール
4 大容量急速加熱装置
5 サポートロール
6 入側案内装置
7 第1番目圧延機
8 出側案内装置
9 弛み調整装置
10 補助急速加熱装置
11 入側案内装置
12 第2番目圧延機
13 出側案内装置
14 補助急速加熱装置
15 入側案内装置
16 第3番目圧延機
17 出側案内装置
18 補助急速加熱装置
19 入側案第3番目内装置
20 第4番目圧延機
21 出側案内装置
22 サイジング装置
23 冷却装置
24 コイル巻取り装置
25 鋼線材(被圧延材)
26 鋼細線(鋼線材又は鋼線)
27 温間制御連続圧延加工設備
28 C断面が四角形状の被圧延材
28' C断面が丸形状の被圧延材
28a、28b C断面が四角形状の被圧延材の天地の対辺
29a、29b オーバル孔型ロール
30 C断面がオーバル形状の被圧延材
31a、31b スクエア孔型ロール
32a、32b ダイヤ孔型ロール
33 実施例1の温間制御連続圧延加工設備(鋼細線製造用)
A オーバル孔型の最大短軸間長さ
B C断面が四角形状又は丸形状の被圧延材の対辺間長さ又は直径
C スクエア孔型の対頂角間の長さ
D C断面がオーバル形状被圧延材の長径
E オーバル孔型の長径
Ra オーバル孔型の曲率半径





Claims (53)

  1. 走行する金属材料を加熱し、加熱された当該金属材料を直列に配置された複数基の圧延機により連続的に圧延して、金属線材又は金属線を製造する方法であって、圧延開始から圧延終了までの被圧延材の温度を当該被圧延材の金属材料の種類に応じて定められた温間圧延温度の範囲内に制御しつつ、且つ、前記圧延開始から圧延終了までの間に前記被圧延材に導入される、下記(1)式:
    e=ln(S0/S)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(1)
    但し、e :真ひずみ
    0:圧延開始前の被圧延材のC断面の面積
    S :圧延終了後の被圧延材のC断面の面積
    で表わされる真ひずみeが、e≧0.25となる圧延加工を、孔型ロール、平ロール、又は、孔型ロールと平ロールとの組み合わせにより施すことを特徴とする金属線材又は金属線の製造方法。
  2. 前記真ひずみeが、e≧0.70となる圧延加工を前記孔型ロール、平ロール、又は、孔型ロールと平ロールとの組み合わせにより施すことを特徴とする請求項1に記載の金属線材又は金属線の製造方法。
  3. 前記真ひずみeが、e≧1.38となる圧延加工を前記孔型ロール、平ロール、又は、孔型ロールと平ロールとの組み合わせにより施すことを特徴とする請求項1に記載の金属線材又は金属線の製造方法。
  4. 前記走行する金属材料は、加熱される前においてはコイル状に巻かれており、そして、前記複数基の圧延機により連続的に圧延加工を施された前記金属線材又は金属線はコイル状に巻かれることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の金属線材又は金属線の製造方法。
  5. 前記被圧延材の加熱は、第1番目圧延機の実質的直前において前記温間圧延温度の範囲内の所定温度まで急速加熱することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の金属線材又は金属線の製造方法。
  6. 前記被圧延材の加熱は、更に、第2番目以後の少なくとも1基の圧延機の実質的直前においても補助的に急速加熱することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の金属線材又は金属線の製造方法。
  7. 前記被圧延材の前記孔型ロールによる圧延パススケジュールには、C断面が四角形状又は丸形状を有する被圧延材をオーバル孔型を有する圧延機で圧延して、C断面がオーバル形状の被圧延材に成形し、次にこうして得られた被圧延材を、スクエア孔型を有する圧延機又はダイヤ孔型を有する圧延機で圧延するパススケジュールを含み、しかもこのパススケジュールにおいて、前記オーバル孔型の最大短軸長さ(Aと表記する)の、前記C断面が四角形状又は丸形状を有する被圧延材のそれぞれ対辺間長さ又は直径(いずれもBと表記する)に対する比率A/Bが、A/B≦0.75を満たす孔型を有する圧延機で圧延することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の金属線材又は金属線の製造方法。
  8. 前記圧延パススケジュールには、更に、前記スクエア孔型又はダイヤ孔型の天地対角間長さ(いずれもCと表記する)の、前記C断面がオーバル形状に成形された前記被圧延材の長軸長さ(Dで表記する)に対する比率C/Dが、C/D≦0.75を満たす孔型を有する圧延機で圧延することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の金属線
    材又は金属線の製造方法。
  9. 前記C断面がオーバル形状に成形された前記被圧延材を、スクエア孔型を有する圧延機又はダイヤ孔型を有する圧延機で圧延する代わりに、ボックス孔型を有する圧延機で圧延することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の金属線材又は金属線の製造方法。
  10. 前記C断面がオーバル形状に成形された前記被圧延材の長軸長さDに対する、前記ボックス孔型の天地対辺間長さ(C'と表記する)の比率C'/Dが、C'/D≦0.75を満た
    すことを特徴とする請求項9に記載の金属線材又は金属線の製造方法。
  11. 前記オーバル孔型を有する圧延機による前記圧延は、前記オーバル孔型の最大短軸長さAとその長軸長さ(Eで表記する)との比A/Eが、A/E≦0.40を満たすオーバル孔型を有する圧延機を使用することを特徴とする請求項7から請求項10のいずれかに記載の金属線材又は金属線の製造方法。
  12. 前記オーバル孔型を有する圧延機による前記圧延は、前記オーバル孔型の曲率半径(Raで表記する)が、前記C断面が四角形状又は丸形状を有する被圧延材のそれぞれ対辺間長さ又は直径Bの1.5倍以上であるオーバル孔型を有する圧延機を使用することを特徴とする請求項7から請求項11のいずれかに記載の金属線材又は金属線の製造方法。
  13. 前記パススケジュールには、前記オーバル孔型を有する圧延機と、これに引き続く前記スクエア孔型を有する圧延機又はダイヤ孔型を有する圧延機との組合せによる圧延を、2回以上行なうことを含んでいることを特徴とする請求項7、請求項8、請求項11又は請求項12のいずれかに記載の金属線材又は金属線の製造方法。
  14. 前記被圧延材の前記各孔型を有する圧延機による圧延パススケジュールには、孔型形状がスクエア、ダイヤ又はボックスと、これに次ぐスクエア、ダイヤ、ボックス又はラウンドとの組合わせを含んでいることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれかに記載の金属線材又は金属線の製造方法。
  15. 前記被圧延材の温度を、前記金属材料の種類に応じて定められた温間圧延温度の範囲内に制御しつつ、前記被圧延材を前記各孔型を有する圧延機により圧延加工する一連の工程を、2工程以上繰り返すことを特徴とする請求項1から請求項14のいずれかに記載の金属線材又は金属線の製造方法。
  16. 前記一連の工程を、2工程以上繰り返すことにより、最初の圧延工程における圧延開始から最終の圧延工程における圧延終了までの間に、前記被圧延材に導入される、下記(2)式:
    Tot=ln(S0/STot)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(2)
    但し、eTot :真ひずみ
    0 :最初の圧延工程の圧延開始前の被圧延材のC断面の面積
    Tot :最終の圧延工程の圧延終了後の被圧延材のC断面の面積
    で表わされる真ひずみeTotが、eTot≧0.25を満たす圧延加工を施すことを特徴とする請求項1から請求項15のいずれかに記載の金属線材又は金属線の製造方法。
  17. 前記真ひずみeTotは、eTot≧0.70を満たすことを特徴とする請求項16に記載の金属線材又は金属線の製造方法。
  18. 前記真ひずみeTotは、eTot≧1.38を満たすことを特徴とする請求項16に記載の金属線材又は金属線の製造方法。
  19. コイル巻戻し装置及びコイル巻取り装置が設けられ、これら両装置間に複数基の圧延機が直列に配置され、前記コイル巻戻し装置から巻き戻されて走行する被圧延材を前記複数基の圧延機で連続的に圧延して金属線材又は金属線を製造する圧延加工設備であって、前記複数基の圧延機の内の第1番目圧延機の入側であって、当該圧延機に対して実質的直近である位置に大容量急速加熱装置が設けられていることを特徴とする温間制御連続圧延加工設備。
  20. 前記複数基の圧延機の内の第2番目以後の圧延機の少なくとも1基の入側であって実質的直近である位置に、更に補助急速加熱装置が設けられていることを特徴とする請求項19に記載の温間制御連続圧延加工設備。
  21. 前記大容量急速加熱装置は、メタルファイバガスバーナー又はセラミック多孔板ガスバーナー等の表面燃焼式ガスバーナー装置、通電抵抗加熱装置、電磁誘導加熱装置、及び電気抵抗発熱体輻射加熱装置の内、いずれか1種又は2種以上を組み合せた加熱装置からなることを特徴とする請求項19又は請求項20に記載の温間制御連続圧延加工設備。
  22. 前記補助急速加熱装置は、メタルファイバガスバーナー又はセラミック多孔板ガスバーナー等の表面燃焼式ガスバーナー装置、通電抵抗加熱装置、電磁誘導加熱装置、及び電気抵抗発熱体輻射加熱装置の内、いずれか1種の加熱装置であることを特徴とする請求項20又は請求項21に記載の温間制御連続圧延加工設備。
  23. 前記複数基の圧延機は、当該圧延機群の中にオーバル孔型を有する圧延機が配設されており、これに次いでスクエア孔型を有する圧延機、ダイヤ孔型を有する圧延機及びラウンド孔型を有する圧延機の内のいずれかが配設されている、圧延機の配設組合わせを含んでいることを特徴とする請求項19から請求項22のいずれかに記載の温間制御連続圧延加工設備。
  24. 前記複数基の圧延機は、少なくとも、オーバル孔型を有する圧延機、スクエア孔型を有する圧延機、ダイヤ孔型を有する圧延機、ボックス孔型を有する圧延機及びラウンド孔型を有する圧延機の内のいずれかを含み、このいずれかの圧延機に次いでオーバル孔型を有する圧延機、スクエア孔型を有する圧延機、ダイヤ孔型を有する圧延機、ボックス孔型を有する圧延機及びラウンド孔型を有する圧延機の内のいずれかが配設されている、圧延機の配設組合わせを含んでいることを特徴とする請求項19から請求項22のいずれかに記載の温間制御連続圧延加工設備。
  25. 前記複数基の圧延機の内の最後の圧延機の下流側に、サイジング装置が設けられていることを特徴とする請求項19から請求項24のいずれかに記載の温間制御連続圧延加工設備。
  26. 前記複数基の圧延機間の少なくとも1箇所には、前記コイル巻戻し装置から巻き戻されて走行する前記被圧延材に対する弛み調整装置が設けられていることを特徴とする請求項19から請求項25のいずれかに記載の温間制御連続圧延加工設備。
  27. 前記複数基の各圧延機の入側には、前記走行する被圧延材を当該各圧延機に誘導する入側案内装置が設けられていることを特徴とする請求項19から請求項26のいずれかに記載の温間制御連続圧延加工設備。
  28. 前記複数基の各圧延機の出側には、前記走行する被圧延材を当該各圧延機から走行排出される被圧延材を導出する出側案内装置が設けられていることを特徴とする請求項19か
    ら請求項27のいずれかに記載の温間制御連続圧延加工設備。
  29. 前記コイル巻戻し装置と前記大容量急速加熱装置との間には、ストレートナー及び/又はピンチロールが設けられていることを特徴とする請求項19から請求項28のいずれかに記載の温間制御連続圧延加工設備。
  30. 前記コイル巻取り装置の上流側には走行する鋼線を冷却するための冷却装置が設けられていることを特徴とする請求項19から請求項29のいずれかに記載の温間制御連続圧延加工設備。
  31. 前記複数基の圧延機の内の第1番目圧延機を除く任意の圧延機の入側に、走行する被圧延材の当該任意の圧延機入側温度を制御するための、急速調整冷却装置が設けられていることを特徴とする請求項19から請求項30のいずれかに記載の温間制御連続圧延加工設備。
  32. 前記複数基の各圧延機の入側及び出側における被圧延材の温度を制御するための温度制御機構が設けられていることを特徴とする請求項19から請求項31のいずれかに記載の温間制御連続圧延加工設備。
  33. 走行する鋼線材を加熱し、加熱された当該鋼線材を直列に配置された複数基の圧延機により連続的に圧延して、鋼線材又は鋼線を製造する方法であって、圧延開始から圧延終了までの被圧延材の温度を350℃から850℃の範囲内に制御し、且つ 前記被圧延材の温度を、下記(3)及び(4)式:
    r+1,out−Tr,in=−150℃〜50℃ ‥‥‥‥(3)
    n,out −T1,in=−200℃〜100℃ ‥‥‥(4)
    (但し、Tは温度(℃)であり、nは圧延機の基数を表わし、rは圧延機の順番であって、第1番から第n−1番までの任意の数を表わし、inは圧延機への入側直前、outは圧延機からの出側直後を表わす)
    が満たされるように制御することを特徴とするコイル状鋼線材又は鋼線の製造方法。
  34. 前記圧延開始から圧延終了までの被圧延材の温度は、これを400℃から650℃の範囲内に制御することを特徴とする請求項33に記載のコイル状鋼線材又は鋼線の製造方法。
  35. 走行する鋼線材を加熱し、加熱された当該鋼線材を直列に配置された複数基の圧延機により連続的に圧延して、鋼線材又は鋼線を製造する方法であって、圧延開始から圧延終了までの被圧延材の温度を400℃から650℃の範囲内に制御し、且つ、当該被圧延材をオーバル孔型を有する圧延機で圧延し、次いでスクエア孔型を有する圧延機、ダイヤ孔型を有する圧延機、ラウンド孔型を有する圧延機及びボックス孔型を有する圧延機の内のいずれかの圧延機で圧延するパススケジュールを含んでいることを特徴とするコイル状鋼線材又は鋼線の製造方法。
  36. 前記圧延機の中にはオーバル孔型を有する圧延機が含まれていて当該オーバル孔型を有する圧延機による圧延が含まれており、更に、前記圧延開始から圧延終了までの間に上記被圧延材に導入される、下記(1')式:
    e'=ln(S0'/S')‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(1')
    但し、e' :真ひずみ
    0':圧延開始前の被圧延材のC断面の面積
    S ':圧延終了後の被圧延材のC断面の面積
    で表わされる真ひずみe'は、e'≧0.25となる圧延加工を施すことを特徴とする請求
    項33から請求項35のいずれかに記載のコイル状鋼線材又は鋼線の製造方法。
  37. 前記真ひずみe'は、e'≧0.70を満たすことを特徴とする請求項36に記載のコイル状鋼線材又は鋼線の製造方法。
  38. 前記真ひずみe'は、e'≧1.38を満たすことを特徴とする請求項36に記載のコイル状鋼線材又は鋼線の製造方法。
  39. 前記圧延機の中にはオーバル孔型を有する圧延機が含まれていて当該オーバル孔型を有する圧延機による圧延が含まれており、更に、前記圧延開始から圧延終了までの間に上記被圧延材に導入される、3次元有限要素法を用いて算出される塑性ひずみ(εで表記する)が、当該被圧延材の50体積%以上の領域において、ε≧0.7となる圧延加工を施す
    ことを特徴とする請求項33から請求項35のいずれかに記載のコイル状鋼線材又は鋼線の製造方法。
  40. 前記塑性ひずみεは、ε≧1.5であることを特徴とする請求項39に記載のコイル状鋼線材又は鋼線の製造方法。
  41. 前記圧延機の中にはオーバル孔型を有する圧延機が含まれていて当該オーバル孔型を有する圧延機による圧延が含まれており、当該オーバル孔型を有する圧延機で圧延される被圧延材のC断面は四角形状又は丸形状を有し、当該被圧延材のそれぞれ対辺間長さ又は直径(いずれもBと表記する)に対する、前記オーバル孔型の最大短軸長さ(Aと表記する)の比率A/Bは、A/B≦0.75を満たすことを特徴とする請求項33から請求項40のいずれかに記載のコイル状鋼線材又は鋼線の製造方法。
  42. 前記被圧延材のそれぞれ対辺間長さ又は直径(いずれもBと表記する)に対する、前記オーバル孔型の最大短軸長さ(Aと表記する)の比率A/Bは、A/B≦0.60を満たすことを特徴とする請求項41に記載のコイル状鋼線材又は鋼線の製造方法。
  43. 前記圧延機の中にはオーバル孔型を有する圧延機が含まれ、この圧延機に次いでスクエア孔型又はダイヤ孔型を有する圧延機が設けられており、当該オーバル孔型を有する圧延機で成形されたC断面がオーバル形状の被圧延材の長軸長さ(Dと表記する)に対する、当該スクエア孔型又はダイヤ孔型の天地対角間長さ(いずれもCと表記する)の比率C/Dは、C/D≦0.75を満たすことを特徴とする請求項33から請求項42のいずれかに記載のコイル状鋼線材又は鋼線の製造方法。
  44. 前記被圧延材の前記圧延開始から圧延終了までの工程を、2工程以上繰り返すことを特徴とする請求項33から請求項43のいずれかに記載のコイル状鋼線材又は鋼線の製造方法。
  45. 請求項44に記載の発明において、最初の圧延工程における圧延開始から最終の圧延工程における圧延終了までの間に前記被圧延材に導入される、3次元有限要素法を用いて算出される塑性ひずみ(εで表記する)が、当該被圧延材の50体積%以上の領域において、ε≧1.5となる圧延加工を施すことを特徴とするコイル状鋼線材又は鋼線の製造方法。
  46. 前記被圧延材の前記圧延開始から圧延終了までの工程を、3工程又は4工程繰り返すことにより、最初の圧延工程における圧延開始から最終の圧延工程における圧延終了までの間に、前記被圧延材に導入される、下記(2')式:
    Tot'=ln(S0'/STot')‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(2')
    但し、eTot':真ひずみ
    0 ' :最初の圧延工程の圧延開始前の被圧延材のC断面の面積
    Tot' :最終の圧延工程の圧延終了後の被圧延材のC断面の面積
    で表わされる真ひずみeTot'が、eTot'≧1.38となる圧延加工を施すことを特徴とする請求項33から請求項43のいずれかに記載のコイル状鋼線材又は鋼線の製造方法。
  47. 請求項46に記載の発明において、前記被圧延材の1工程は、2基の圧延機が直列に配置された圧延加工設備を用いて行なわれることを特徴とするコイル状鋼線材又は鋼線の製造方法。
  48. 前記被圧延材の前記圧延開始から圧延終了までの工程を、3工程以上繰り返すことにより、最初の圧延工程における圧延開始から最終の圧延工程における圧延終了までの間に前記被圧延材に導入される、3次元有限要素法を用いて算出される塑性ひずみ(εで表記する)が、当該被圧延材の50体積%以上の領域において、ε≧2.0となる圧延加工を施すことを特徴とする請求項33から請求項43のいずれかに記載のコイル状鋼線材又は鋼線の製造方法。
  49. 請求項48に記載の発明において、最初の圧延工程における圧延開始から最終の圧延工程における圧延終了までの間に前記被圧延材に導入される、3次元有限要素法を用いて算出される塑性ひずみ(εで表記する)が、当該被圧延材の50体積%以上の領域において、ε≧3.0となる圧延加工を施すことを特徴とするコイル状鋼線材又は鋼線の製造方法。
  50. 請求項19から請求項32のいずれかに記載の温間制御連続圧延加工設備を用いて、走行する鋼線材に圧延加工を施すことにより製造することを特徴とする請求項33から請求項49のいずれかに記載のコイル状鋼線材又は鋼線の製造方法。
  51. 前記複数基の圧延機の内、少なくとも1基の圧延機、少なくとも1基の圧延機とサイジングミル、又はサイジングミルは、これ若しくはこれらを空通しするか、又はこれ若しくはこれらを圧延のオンラインから一時的に除去するかして用いずに、前記被圧延材を目標とする断面形状寸法に圧延することを特徴とする請求項50に記載のコイル状鋼線材又は鋼線の製造方法。
  52. 請求項33から請求項51のいずれかに記載の方法で製造されることにより、前記最終圧延工程の圧延終了後の被圧延材のC断面の面積の90%以上の領域について、平均結晶粒径が1.0μm以下に微細粒化していることを特徴とするコイル状鋼線材又は鋼線。
  53. 前記被圧延材のC断面の面積の90%以上の領域に形成された平均結晶粒径は、0.6μm以下であることを特徴とする請求項52に記載のコイル状鋼線材又は鋼線。



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