JP2006043552A - 水熱反応方法および装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】温度条件で超臨界水と被処理液との混合物を供給できるようにして、チャーリングによる問題を防止するとともに、定常運転開始までの立ち上がり時間も短く抑えることが可能な水熱反応方法および装置を提供する。
【解決手段】反応器内に超臨界水と補助燃料を導入して反応器内を所定の反応温度に高め、被処理液を超臨界水に混合して反応器内に導入するとともに、被処理液と補助燃料の割合を徐々に変化させる水熱反応方法において、超臨界水と被処理液との混合後の反応器導入前の温度を400℃以下に制御することを特徴とする水熱反応方法、および水熱反応装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、水熱反応方法および装置に関し、とくに、被処理液導入系のチャーリング(炭化)を防止して、安定した反応開始、安定した長時間継続運転を可能とした水熱反応方法および装置に関する。
近年、高温高圧水、とくに超臨界水の存在下での水熱酸化反応を利用して、環境汚染物質等を分解、無害化する試みが注目されている。とくに、超臨界水の高い反応性を利用した超臨界水酸化により、従来技術では分解することが難しかった有害な難分解性の有機物、例えば、PCB(ポリ塩素化ビフェニル)、ダイオキシン、有機塩素系有機物等を分解して、二酸化炭素、窒素、水、無機塩などの無害な生成物に転化する試みが注目されている。この超臨界水とは、超臨界状態にある水、すなわち、水の臨界点を越えた状態にある水を言い、詳しくは、374.1℃以上の温度で、かつ22.04MPa以上の圧力下にある状態の水を言う。超臨界水は、有機物を溶解する溶解能が高く、有機化合物に多い非極性物質をも完全に溶解することができる一方、逆に、金属、塩等の無機物に対する溶解能は著しく低い。また、超臨界水は、空気や酸素、窒素などの気体と任意の割合で混合して単一相を構成することができる。このような超臨界水を用いた超臨界水酸化を含む水熱反応では、反応器内への被処理液および超臨界水の導入、および酸化剤としての空気の導入のために、二流体ノズル(内外二重管ノズル)や三流体ノズル(三重管ノズル)を使用し、とくに被処理液と空気の導入系を分けることが処理上有効であることが知られている(例えば、特許文献1)。
例えば二流体ノズルを利用した水熱酸化装置では、一般に外管に空気、内管に廃液(被処理液)を供給する。超臨界水を供給する場合は、廃液と混合して内管から供給する。この理由は、超臨界水を外管に供給した場合、超臨界水の熱が伝熱により内管へ移って廃液が加熱され、チャーリング反応が引き起こされる可能性が高いからである。このチャーリング反応により、廃液中の有機物が炭化して固形物となり、内管を閉塞させ、ラインの圧力異常を引き起こすおそれが生じる。
特開2000−279795号公報
超臨界水を廃液と混合して供給する場合、混合後の温度が高いと、廃液がチャーリングを起こして固形状の炭化物が生成し、それがノズル内管を閉塞させることがある。閉塞が生じると、超臨界水および廃液供給圧力が上昇し、運転を停止せざるを得ない状況になることがある。実際、620℃の超臨界水とPCBエマルジョンを混合して供給したところ、20〜30時間でポンプ圧力が上昇し、圧力高の異常が発生したため運転を停止せざるを得なかった。運転終了後に内管を調査したところ、チャーリングと思われる黒色の固形物を確認した。なお、後に同じ条件で混合後の温度を測定したところ、500℃であった。
このように、超臨界水と廃液との混合後の温度が高いまま供給すると、供給系においてチャーリングによる閉塞等が生じることがある。これを防止するために、運転開始時から低温で供給することも考えられるが、そうすると以下のような問題を生じる。すなわち、通常、超臨界水を用いる水熱反応では、運転開始時には、反応器内を所定の反応温度まで高めるために、あるいは超臨界水反応を維持するのに必要なエネルギーを与えるために、超臨界水に助燃剤(例えば、石油系炭化水素油等の疎水性有機物、またはアルコール等の親水性有機物からなる助燃剤)を混合して反応器内に導入し、ある程度温度が上昇してから廃液(被処理液)を助燃剤と混合して供給し、廃液と助燃剤の割合を徐々に変化させて(助燃剤の割合を徐々に低くして)、超臨界水と廃液との混合形態での運転に移行し、以降は反応熱自体を利用するという方法を採っている。したがって、運転開始時から低温の超臨界水を供給すると、立ち上がり時間が長くなって、所定の廃液処理の定常運転に入るまでに長時間を要し、運転効率が悪いという問題を招く。また、上記の如く、廃液(被処理液)と助燃剤の割合を徐々に変化させて所定の運転状態へと移行するので、この間、供給する超臨界水の温度を一定に維持したまま、超臨界水と廃液との混合後の温度をある一定の温度または温度範囲内に維持することは難しく、超臨界水の温度を一定に維持する場合には、上記定常運転開始までの時間を短縮するために、高めの温度を採用しているのが実情である。高めの温度を採用すると、前述のチャーリングによる問題を招く。
そこで本発明の課題は、このような実情に鑑み、運転開始時から所定の定常運転期間に至るまで、望ましい温度条件で超臨界水と被処理液との混合物を供給できるようにして、チャーリングによる問題を防止するとともに、定常運転開始までの立ち上がり時間も短く抑えることが可能な水熱反応方法および装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る水熱反応方法は、反応器内に超臨界水と補助燃料を導入して反応器内を所定の反応温度に高め、被処理液を超臨界水に混合して反応器内に導入するとともに、被処理液と補助燃料の割合を徐々に変化させる水熱反応方法において、超臨界水と被処理液との混合後の反応器導入前の温度を400℃以下に制御することを特徴とする方法からなる。
また、本発明に係る水熱反応装置は、超臨界水を用いた水熱反応を行う反応器と、該反応器内を所定の反応温度に高めるために該反応器内に超臨界水と補助燃料を導入し、水熱反応のために被処理液を超臨界水に混合して反応器内に導入するとともに、被処理液と補助燃料の割合を徐々に変化させることが可能な導入系を備えた水熱反応装置において、超臨界水と被処理液との混合後の反応器導入前の温度を400℃以下に制御可能な温度制御系を設けたことを特徴とするものからなる。
本発明においては、超臨界水と被処理液との混合後の反応器導入前の温度が400℃以下に制御されるので、チャーリングによる問題、つまり、炭化物による被処理液導入系の閉塞等の問題の発生が防止され、安定した運転が可能になる。この400℃以下の制御が、チャーリング防止に有効であることは、後述の実際の試験結果においても確認できている。また、混合後反応器導入前の温度が400℃以下に制御されさえすれば、超臨界水自体の温度は高めることが可能であるので、例えば、超臨界水の温度としては400℃以上に制御可能であるので、それによって運転開始時の立ち上がり時間の短縮も同時にはかることができる。
また、上記混合後反応器導入前の温度は400℃以下に制御されれば、チャーリングは確実に防止できるが、反応器内温度の早期の立ち上げ、および、反応器内における安定した超臨界水反応への早期の移行を考慮すると、該温度は、水の臨界点以上の温度、つまり、374.1℃以上の温度でかつ、400℃以下の温度に制御されることがより好ましい。これによって、運転開始時の立ち上げ、立ち上げ後の定常運転への早期移行の両方が、より効率よく達成されることになる。また、水の臨界点以上の温度に維持しておけば、被処理液中の有機物の分散も超臨界水条件下で行われるから、導入系におけるチャーリングもより効果的に防止されることになる。
本発明に係る水熱反応方法および装置によれば、超臨界水と被処理液の混合後反応器導入前の温度を400℃以下に制御することにより、チャーリングを確実に防止して配管閉塞等に伴って運転停止に追い込まれることを防止でき、定常運転移行後に至るまで安定して所望の運転状態に維持することができる。
また、チャーリングの発生を防止しつつ、供給超臨界水の温度を極力高めるようにすれば、運転開始時の立ち上がり時間の短縮も同時に達成することができる。
以下に、本発明の望ましい実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施態様に係る水熱反応装置の全体概略構成を示しており、とくに、反応器への導入系に二流体ノズルを用いた場合を示している。図1において、1は水熱反応装置全体を示しており、その反応器2内には、二流体ノズル3の内管を介して超臨界水4と被処理液5が混合形態で導入され、二流体ノズル3の外管を介して水熱酸化反応における酸化剤としての空気6が導入されるようになっている。運転開始時には、反応器2内に、超臨界水4と助燃剤としての補助燃料7が導入されて反応器2内の温度が所定の温度に高められる。被処理液5は、超臨界水4と混合されて反応器2内に導入され、被処理液5と補助燃料7の割合が徐々に変化されて(徐々に被処理液5の割合が多くされて)、所定の温度に高められた状態にて、水熱反応の所定の定常運転に移行される。反応器2内での反応後の流体は、処理流体として出口ライン8から排出され、冷却器9で冷却された後、気液分離器10により排ガス11と処理水12とに分離されるようになっている。
超臨界水4の供給ライン13には、供給する超臨界水4の温度を制御可能な加熱器14が設けられており、超臨界水4と被処理液5との混合後ライン15には、混合後温度を検知する温度センサー16が設けられている。温度センサー16による検知温度の信号は制御装置17に送られ、制御装置17からは、加熱器14に、混合後温度が予め設定した温度に維持されるよう超臨界水4の温度を制御する作動信号が送られる。この温度制御系18では、混合後ライン15における超臨界水4と被処理液5混合後温度が400℃以下、好ましくは、水の臨界点である374.1℃以上の温度でかつ、400℃以下の温度に、制御される。
このような構成を有する水熱反応装置1において、超臨界水4と、被処理水としてのPCBエマルジョンの混合後温度を、前述した従来運転に比べ低下させて運転したところ、混合後温度を400℃以下、374.1℃以上に制御することにより90時間まで全く問題なく安定して運転ができた。また、このような混合後温度にするための超臨界水の温度は500℃であった。この90時間という時間は、通常予定される運転に関して、十分に長い運転時間と言える。なお、二流体ノズル3の内管を調査したところ、黒色の固形物は全く見られなかった。したがって、混合後の温度を常時モニターして400℃以下となるように制御すれば、チャーリングを防止でき、安定運転が可能になることが確認できた。
また、混合後温度が400℃以下であれば、超臨界水自体の温度としては(つまり、加熱器14にて制御される超臨界水自体の温度としては)、400℃を越えても構わない。例えば、上記の如く、500℃の温度とすることができる。これによって、運転開始時の反応器2内の昇温立ち上がり時間の短縮が可能になる。また、混合後ライン15において超臨界水条件が維持されることになるから、被処理水4中の有機物が良好に分散され、チャーリングがより確実に防止される。
なお、上記実施態様では二流体ノズル3を使用した場合を示したが、三流体ノズル等でも同様の作用効果が得られることは言うまでもない。また、二流体ノズル3や三流体ノズルを使用しない場合にあっても、混合後温度を400℃以下に制御することによる混合後ラインにおけるチャーリング防止効果は得られる。
本発明に係る水熱反応方法および装置は、超臨界水と被処理液を混合して反応器に導入するようにしたあらゆる水熱反応に適用でき、とくに、二流体ノズルや三流体ノズルを介して導入するようにした水熱反応に好適なものである。
本発明の一実施態様に係る水熱反応装置の概略機器系統図である。
符号の説明
1 水熱反応装置
2 反応器
3 二流体ノズル
4 超臨界水
5 被処理液
6 空気
7 補助燃料
8 出口ライン
9 冷却器
10 気液分離器
11 排ガス
12 処理水
13 超臨界水供給ライン
14 加熱器
15 混合後ライン
16 温度センサー
17 制御装置
18 温度制御系

Claims (2)

  1. 反応器内に超臨界水と補助燃料を導入して反応器内を所定の反応温度に高め、被処理液を超臨界水に混合して反応器内に導入するとともに、被処理液と補助燃料の割合を徐々に変化させる水熱反応方法において、超臨界水と被処理液との混合後の反応器導入前の温度を400℃以下に制御することを特徴とする水熱反応方法。
  2. 超臨界水を用いた水熱反応を行う反応器と、該反応器内を所定の反応温度に高めるために該反応器内に超臨界水と補助燃料を導入し、水熱反応のために被処理液を超臨界水に混合して反応器内に導入するとともに、被処理液と補助燃料の割合を徐々に変化させることが可能な導入系を備えた水熱反応装置において、超臨界水と被処理液との混合後の反応器導入前の温度を400℃以下に制御可能な温度制御系を設けたことを特徴とする水熱反応装置。
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