JP2006042800A - 甲殻類の黒変防止方法及び黒変が防止された甲殻類包装体。 - Google Patents

甲殻類の黒変防止方法及び黒変が防止された甲殻類包装体。 Download PDF

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Abstract

【課題】 甲殻類の黒変防止方法の提供。黒変が防止された甲殻類包装体の提供。
【解決手段】甲殻類を二酸化炭素濃度が23%以上、必要により酸素濃度が35%以下の空間に保存することで甲殻類の保存中に起こる黒変を防止する。また、この密封を開封し、通常の包装を行って保存・流通させても黒変は防止される。
【選択図】なし

Description

本発明は、甲殻類の黒変防止方法及び黒変が防止された甲殻類の包装体に関する。より詳しくは、甲殻類を二酸化炭素、必要に応じ酸素が存在している雰囲気内に密閉保存する甲殻類の黒変防止方法あるいはこのような雰囲気中に甲殻類が密封され、黒変が防止された甲殻類の包装体に関する。
さらに、本発明は、このような黒変が防止された甲殻類を包装体から取り出し、通常のプラスチック製容器に再包装した黒変が防止された甲殻類の包装体、あるいはこれを保存・流通させる黒変が防止された甲殻類の保存・流通方法に関する。
エビやカニといった甲殻類は死後しばらく経つと身部又は関節部が黒変するという問題がある。これはエビやカニなどに含まれているアミノ酸の1種、チロシンから酸素の存在下で酵素反応によって褐色物質のメラニンが生成することに由来する。一旦黒変したエビやカニは外観上見栄えが悪く、そのため商品価値がほとんどなくなってしまうため、エビ・カニの黒変を防止し、その品質を保持することはその商品価値を保つために非常に重要である。甲殻類の黒変防止のためには酸素による影響をできるだけ防ぐことが重要との考えから、これまでにこの黒変を防止するためにさまざまな技術が検討されてきた。例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム(非特許文献1)やアスコルビン酸などの酸化防止剤を使用することにより酸素による甲殻類の黒変を防ぐ方法が行われている。しかし、このような酸化防止剤の使用には使用基準を遵守(0.10g/kg)しなければならないため、必ずしも黒変を防止できるだけの有効な量に達しないといった問題がある。また、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸水素ナトリウムを用いると有毒物質であるホルムアルデヒドが生成したり、甲殻類肉質に異味、異臭が発生し、風味を悪くするという問題もある。
さらに、フェルラ酸(3-メトキシ-4-ヒドロキシケイ皮酸)(特許文献1)、エノキタケ抽出物(特許文献2)、クロレラ等の海藻抽出物、酸化防止剤及びキレート剤(特許文献3)、砂糖キビ抽出物、砂糖キビ由来の蔗糖、又はセロビオース(特許文献4)、白子水溶性抽出物(特許文献5)、酵素蛋白分解酵素で酵素分解した蛋白分解エキスを含有する溶液(特許文献6)、食用可能なタンパク質分解酵素阻害物質(牛、豚などの血漿タンパク質等)(特許文献7)を甲殻類に添加したり、あるいはこれらの溶液に甲殻類を浸漬することによりエビ、カニ等の甲殻類の保存中に生ずる黒変を防止することが知られている。しかし、これらは、前記の問題のほかに天然物を処理して使用するため、その効果が一定ではなく、あるいは効果が充分に生じない等の問題があった。
また、甲殻類の黒変防止方法の1つとして脱酸素剤を使用することが行われてきたが、脱酸素剤の使用は容器又は包装体内の脱酸素効果が得られるまでに一定の期間が必要とされ、その間に除去されなかった酸素によって黒変が生じるといったことが問題となっている。
さらに、カニ、エビ、貝類などの甲殻類を生存状態で液汁を使用せずに缶に詰め、窒素ガスを注入し缶を密封することで、甲殻類について薬品による黒変、ストラバイトが発生しないようにする甲殻類の缶詰の製造方法(特許文献8)、甲殻類を生きたままあるいは肉質部の繊維組織が硬直する前に包装フィルムで覆い、凍結してなる甲殻類の包装食品を製造する際に、包装フィルムの内部を酸素若しくは空気を脱気状態に保持すると共に、甲殻類を生きたまま若しくはその肉質部の繊維組織が硬直する前に急速凍結することよりなる甲殻類の包装凍結食品の製造法(特許文献9)が知られている。
しかし、これらは、原料の甲殻類を生きたままあるいは死後硬直前に厳密な条件下で脱気乃至酸素を除去して包装しなければならず、しかもその処理も煩雑な工程を要した。
また、急速冷凍した冷凍エビを、気密性を有し、窒素ガスを充填した小袋に個別に収容し、この小袋体を、複数個、気体とともに気密性を有する袋体に収納し、外部からの衝撃によりエビの足が欠落すること及びエビの酸化による品質の劣化を防止する方法が知られている(特許文献10)。
また、毛蟹等の食品を、整姿して、シュリンク特性を有する延伸性高分子量ポリエチレンフィルムに一次包装し、所定温度に加熱して前記高分子量ポリエチレンフィルムをシュリンクさせた後、液体窒素に浸漬して急速冷凍する方法、(特許文献11)、緩衝材料を充填した容器内に甲殻類を収納包装する際に、前記緩衝材料に、多孔質材料を混合して生鮮甲殻類の老廃物等から生じるアンモニア等の有害ガスを除去する方法(特許文献12)などが知られている。
しかしながら、これらは、甲殻類の保存中に生ずる黒変を防止するというよりも、むしろ、甲殻類の保存・流通中その形状を保持し、あるいはアンモニア等の有害ガスを除去することにより保存・流通中の鮮度を保持しようとするものであった。
さらに、酸素による甲殻類の黒変を防ぐ方法として、解凍したエビを、通気性を完全に遮断したシートからなる包装袋に収納し、その包装袋に窒素ガス又はアルゴンガスを注入して、包装袋内の空気と置換して密封する方法が開示されている(特許文献13)。しかし、この方法では包装袋内の窒素ガス又はアルゴンガスの置換効果が不十分であると包装袋内に酸素が残存し、その結果エビの黒変が生じるといった問題がある。
特開2000-325015号公報 特開2003-70450号公報 特開2000-139434号公報 特開平6-311842号公報 特開2000-23615号公報 特開平7-147890号公報 特開平6-245690号公報 特開平8-275725号公報 特開平5-84038号公報 特開2001-314151号公報 特開平2-20242号公報 特開平3-155732号公報 特開2003-72858号公報 1985年9月25日 株式会社恒星社厚生閣発行「食品工業」796頁
本発明は、これらの問題点の解決を目的としてなされたものである。特に甲殻類の原料の状態にかかわらず、また黒変防止剤を使用せずに、さらに厳密な脱酸素を行なわなくとも黒変を防止し、品質を保持した甲殻類を得ることを目的としてなされたものである。さらに詳しくは、本発明は、エビやカニといった甲殻類を二酸化炭素が存在している空間に保存することによって、酸素が厳密に除去されず、多少存在していても酸素による甲殻類の黒変を効果的に制御し、品質を保持することを可能にした甲殻類の黒変防止方法及び黒変が防止された甲殻類包装体を提供することを目的としたものである。
さらに、本発明は、甲殻類包装体を開封し、通常のプラスチック製包装体に再包装しても黒変が進行せず防止できることを見出した。従って、本発明は、上記包装体及び再包装体を用いて甲殻類を保存し、流通する方法を提供することを目的としたものである。
本発明者らは、上記課題の解決に鋭意取り組んだ結果、甲殻類の生鮮品(生きたままの状態を含む)、冷蔵品あるいは冷凍品を、二酸化炭素を含有する雰囲気下で密閉保存すると、甲殻類の保存中に特異的に生ずる黒変を防止することができることを見出した。
そして、この二酸化炭素ガス濃度として23%以上、特にこのガス濃度を密閉保存終了時(密閉空間を開放する直前)の二酸化炭素ガス濃度とすると甲殻類は保存期間の大部分はこの二酸化炭素のガスの雰囲気にさらされるので、この黒変防止が実用上効果的に達成できることを見出した。さらに、この場合酸素ガスが35%以下存在しても黒変を防止することができるばかりではなく、少量の酸素ガスが存在することによりボツリヌス菌等の偏性嫌気性細菌の増殖を抑制する効果も期待できる。
すなわち、本発明は次のとおりの甲殻類の黒変防止方法及び黒変が防止された甲殻類の包装体に関する。また、本発明は、次のとおりの甲殻類の保存・流通方法に関する。
(1) 甲殻類を二酸化炭素濃度が23%以上の雰囲気を有する密閉空間内に保存することを特徴とする、甲殻類の黒変防止方法。
(2) 甲殻類を二酸化炭素濃度が23%以上及び酸素濃度が35%以下の雰囲気を有する密閉空間に保存することを特徴とする、甲殻類の黒変防止方法。
(3) 二酸化炭素濃度23%以上が密閉空間を開放する直前の二酸化炭素濃度であることを特徴とする前記(1)又は(2)記載の甲殻類の黒変防止方法。
(4) 密閉空間を開放する直前の二酸化炭素濃度23%以上の雰囲気が、ドライアイスからなることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の甲殻類の黒変防止方法。
(5) 甲殻類がエビ類、カニ類、ヤドカリ類、シャコ類のいずれかの生鮮品、冷蔵品又は冷凍品であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の甲殻類の黒変防止方法。
(6) 密閉された空間が、密閉された室内、密封された容器内又は密封された包装体内であることを特徴する前記(1)〜(4)のいずれかに記載の甲殻類の黒変防止方法。
(7) 密封された容器又は密封された包装体が、プラスチック包装材料からなることを特徴とする前記(6)記載の甲殻類の黒変防止方法。
(8) 密閉空間を開放する直前の二酸化炭素濃度が23%以上、酸素濃度が35%以下の雰囲気を有する密封された容器又は密封された包装体に密封包装されている黒変が防止された甲殻類の包装体。
(9) 密閉空間を開放する直前の二酸化炭素濃度23%以上の雰囲気がドライアイスからなり、酸素濃度が35%以下の雰囲気を有する密封された容器又は密封された包装体に密封包装されている黒変が防止された甲殻類の包装体。
(10) 前記(8)又は(9)に記載の包装体を開封後、甲殻類をプラスチック製容器に再包装してなる黒変が防止された甲殻類の包装体。
(11) 前記(8)又は(9)に記載の包装体を開封後、プラスチック製容器で再包装された甲殻類を保存・流通することを特徴とする黒変が防止された甲殻類の保存・流通方法。
本発明によれば、甲殻類を二酸化炭素濃度が23%以上の雰囲気を有する密閉空間内に保存することによって、空間内に酸素が残存している条件下でも甲殻類の黒変をより効果的に抑制し、品質を保持することができる。本発明においては、酸素濃度35%以下、特に20%以下存在していてもよい。本発明では、二酸化炭素濃度を50%以上のように保存当初高濃度とし、酸素濃度を20%以下とし、保存終了時の二酸化炭素濃度を23%以上、酸素濃度を20%以下としてもよい。二酸化炭素の含量は多ければ多いほど黒変防止効果は顕著にあらわれるので好ましい。また、酸素は20%以下であれば、黒変を充分に防止することができるが、その量は少ない方が好ましい。また、二酸化炭素、酸素の前記比率が100%に達しない場合は、さらに不活性ガス、例えば窒素、アルゴン等を追加してもよい。なお、これらのガス濃度の百分率はガス組成の容量%を示す。
本発明では、甲殻類としてエビ類、カニ類、ヤドカリ類、シャコ類のいずれかから選択されるものが好適に用いられる。
本発明における甲殻類を二酸化炭素、必要に応じ酸素ガスの雰囲気を有する密閉空間に保存するには、甲殻類を包装した包装空間内にドライアイスを入れても、二酸化炭素ガス単独、あるいは二酸化炭素、窒素、酸素の混合ガスを入れてもよい。
これらの甲殻類は、生鮮品、冷蔵品又は冷凍品であってもよい。
また、本発明における甲殻類の黒変防止方法は、前記空間として密封された室内、密封した容器内又は密封した包装体中で好適に行なわれる。
さらに、本発明においては前記容器又は包装体がプラスチック包装材料からなる密封容器又は密封包装体であることが好ましい。
また、本発明は、甲殻類をこのような二酸化炭素濃度が23%以上、酸素濃度が35%以下の包装体中に密封包装して、黒変が防止された甲殻類包装体としてもよい。
さらに、本発明では、甲殻類を二酸化炭素濃度が23%以上、酸素濃度が35%以下の雰囲気を有する包装体に密封包装した包装体と、この密封包装体を開封後、甲殻類を通常のプラスチック製容器に再包装してもあるいは再包装された甲殻類を保存・流通させてもよい。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明の甲殻類の黒変防止方法は甲殻類を二酸化炭素濃度が23%以上、必要に応じ酸素濃度が35%以下の空間に密閉包装することを特徴とするものである。
ここで、二酸化炭素濃度は23%以上が好ましいが、60%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。二酸化炭素濃度が60%以上であると23%以上60%未満のときよりも黒変が顕著に抑制され、品質保持効果がより良好に得られる。さらに80%以上であれば未開封時の黒変防止効果に加えて開封後の黒変防止効果もより顕著となる。一方、二酸化炭素濃度が23%未満であると、酸素による黒変反応が進行し、品質保持効果が得られない。
また、空間内の酸素濃度は35%以下のとき、本発明の効果がより顕著に現れ好ましいが、より好ましい酸素濃度は、25%以下であり、さらに好ましくは0.5%以上、20%以下である。最も好ましくは、1%以上、20%以下である。二酸化炭素と酸素以外のガスの種類についてはとくに問わないが、窒素、アルゴン、ヘリウム等を用いることができる。また、酸素濃度については、0.5%以上、20%以下、さらに好ましくは、1%以上、20%以下とすることで、包装体内に適量の酸素が含まれ、ボツリヌス菌等の偏性嫌気性細菌の増殖が抑制される効果が期待できる。空気内の酸素濃度が35%を超えるものであると二酸化炭素濃度が23%以上であっても高酸素濃度のために甲殻類の黒変防止による品質保持効果が得られにくい。
空間内の二酸化炭素濃度が23%以上、酸素濃度が35%以下の雰囲気を実現する方法としては、二酸化炭素単独又は二酸化炭素と酸素の混合ガスを空間内に吹き込むガスフラッシュ式や真空包装機等のチャンバー内で置換するチャンバー式といった気体状態の二酸化炭素や酸素を使用する方法のほかに、空間内にドライアイスを静置し、ドライアイス自体が昇華することを利用して二酸化炭素濃度を23%以上に調整する方法もある。
また、二酸化炭素と酸素の濃度との和が100%に達しないときは、窒素、アルゴン等の不活性ガスを追加してガス濃度を100%とする。不活性ガスを追加する方法は、前記二酸化炭素及び酸素濃度を調整する方法と同様にガスフラッシュ式の方法やチャンバー式の方法が用いられる。
ここで、空間内のガス濃度は空間内の気体を気密性のあるシリンジで採取し、ガスクロマトグラフィーに注入する方法や、ガス濃度測定器に注入する方法を用いることによって測定することができる。
さらに、二酸化炭素の雰囲気を実現する方法として、空間内に二酸化炭素ボンベ等から二酸化炭素ガスを直接導入する方法や、ガス置換包装機等を用いて空間(包装)内のガスを二酸化炭素を含むガスで置換する方法がある。いずれも本発明の条件を実現する上で有効な方法であるが、さらに簡易的な方法としてドライアイス封入が挙げられる。ドライアイス封入法は、甲殻類とドライアイスを同じ空間内に密封する方法である。たとえば、ドライアイス封入包装は、内面が熱溶着性を有する包装材料とドライアイス、及び密封用のヒートシール機さえあれば簡単かつ低コストで実施できるという利点がある。さらに、それらの資材及び設備に加えて脱気チャンバーがあれば、甲殻類の重量又は体積、脱気・密封時の圧力ゲージ値、及びドライアイスの重量を適宜設定しておくことで、ヘッドスペースの二酸化炭素濃度が一定レベルの密封包装体を得ることもできる。たとえば、重量が825gの冷凍甘エビに対して異なる重量のドライアイスを添加して脱気・密封包装(脱気・密封時のゲージ圧力値:大気圧600mmHg、包装体ヘッドスペース1600cm3、脱気時ヘッドスペース200cm3)したときの、包装体内の二酸化炭素濃度とドライアイス封入量の関係を調べたところ、表1及び図1に示したように両者間には高い相関関係が認められた。上記条件の場合、二酸化炭素濃度が約40%の甲殻類包装体を製造したい場合は、図1の回帰式より、3.6gのドライアイスを封入すればよいことになる。ドライアイスの形状についてはとくに制限はなく、一般的なブロック状のドライアイスを小分割したもの、さらに細かいフレーク状のもの、あるいは液化炭酸ガスをノズルから噴射して生じた粉状のドライアイスも好適に使用できる。ドライアイス封入包装を工業的に実用化する方法として、生鮮、冷蔵あるいは冷凍状態の甲殻類を計量し、その重量又は体積に応じて設定した量の液化炭酸ガスを甲殻類に噴射後(又は一定量のドライアイスを投入後)、すみやかに密封包装する工程が提案できる。一連の工程の具体的な実施の形態はとくに問わないが、たとえば、包装工程については、計量されたドライアイスが添加された甲殻類を深絞り成型された容器に入れて密封包装する方法、当該甲殻類を、そのまま、又は、金属製あるいはプラスチック製(発泡スチロールを含む)のトレイに収容した状態、又はプラスチックフィルムで簡易的にラッピングした状態でプラスチック製の袋に入れて密封包装したり、あるいは、ピロー包装機を用いて包装する方法がある。
本発明の甲殻類の黒変防止方法は、甲殻類がエビ類、カニ類、ヤドカリ類及びシャコ類のいずれかから選択される生鮮品、冷蔵品又は冷凍品であればよいが、特に、ズワイガニ、ベニズワイガニ、タラバガニ、花咲ガニ、毛ガニ、ガザミ、イセエビ、クルマエビ、タイショウエビ、ホッコクアカエビ(甘エビ)、アミエビ、オキアミ、ヤドカリ又はシャコを用いた場合に好適に用いられる。それぞれの形状は特に問わないが、カニの場合、ラウンド(姿)、肩身あるいはセクション(足及び足の付け根が接合したもの)、足身(殻付あるいは殻なしがある)があり、エビの場合は有頭あるいは尾部(頭胸部、足を除去したもの)がある。また、本発明の甲殻類は、生鮮品、冷蔵品又は冷凍品のいずれであってもよい。生鮮品は、漁獲後1〜2日で市場に流通され、冷蔵・冷凍品は、漁獲後1日以上所定の温度で保管され流通される。また、本発明は、昆虫類の幼虫、サナギ、成虫等の黒変防止方法としても適用できる。例えば、釣り餌に用いられる蚕のサナギ等は好適な用途であるといえる。
また、本発明の甲殻類の黒変防止方法は甲殻類を二酸化炭素濃度が23%以上、必要により酸素35%以下の空間に保存することを特徴とするものであり、空間が、密閉された室内、容器内又は包装体中であることを特徴とするものである。ここで、密閉された室内として気密性の高い部屋、コンテナ、保管庫内等があり、密封された容器又は包装体として金属、ガラス、紙、プラスチック、木等の材質からなる箱、ビン、ボトル、袋形態のものがあげられる。
また、前記密封された容器又は包装体としてプラスチック包装材料からなる密封容器又は密封包装体が好適に用いられる。ここで、本発明で好適に使用できるプラスチックとしてポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル等が単一又は積層されたフィルム、シート、ボトル、カップ等があげられ、容器又は包装体の形状としては前記プラスチックが単一又は積層されたフィルム、シートを用いて成形されたパウチ形態(パウチ形態は底シールパウチ、三方シールパウチ等があげられる)、深絞り形態、ピロー形態、カップ形態、ボトル形態等があげられる。なお、前記積層されたフィルム、シートについては、従来より公知のエチレンビニルアルコール共重合体、MXDナイロン、ポリ塩化ビニリデン、酸化ケイ素や酸化アルミニウム等の無機物蒸着フィルム、ポリアクリル酸コートフィルム等のガスバリア材を含むものが好ましい。
本発明の1例として、例えば水揚げされたエビを速やかにプラスチックトレーに置き、プラスチック包装材料を用いてピロー包装機で密封包装する際に合せて二酸化炭素を含有する気体をガスフラッシュ式で吹き込み密封した包装体を作成することによって、エビの黒変防止効果を得ることができる。また、別の例として、プラスチック包装材料を用いて深絞り包装機にて深絞り容器を作成しエビを置き同様に二酸化炭素を含有した気体を吹き込み密封した包装体を作成することによって、エビの黒変防止効果を得ることができる。
これらの黒変防止効果が得られる包装体は通常、常温(10℃〜40℃)、冷蔵(−2℃〜10℃)、あるいは冷凍(−60℃〜−2℃)で好適に保管・流通される。なお、本発明はこれらの例に制限されるものではない。
さらに、わが国では甲殻類のほとんどは海外からの輸入品である。本発明の有望な用途として、海外で漁獲された甲殻類を本発明の方法によって現地で包装し、日本に輸入後、そのまま最終消費者にまで流通させるコンシューマーパックとして利用する方法がある。また、海外で包装された甲殻類を、日本でいったん開封し、トレイラッピングなどの簡易的な包装を施してスーパーなどの店頭で売る方法、いわゆる本発明を業務用包装に特化して活用する方法も有望である。後者のように業務用包装として展開できるのは、二酸化炭素包装が開封後も黒変を抑制できる(実施例2)という特長に基づくものであり、本発明において初めて新たに得られた用途である。
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。
ポリスチレン(PS)トレイに冷凍ホッコクアカエビ(酸化防止剤無添加)を約800g入れ、それをプラスチックパウチ(PET1.5//Ny6・668/EVOH5//LLDPE21総厚み38.5μm。なお、この材料は、左から1.5μm厚みのポリエチレンテレフタレート(PET層)、接着剤層(//)、8μm厚みのナイロン6とナイロン66との共重合体(NY6・66)、5μm厚みのエチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)、接着剤層(//)、一番右が21μm厚みの線状低密度ポリエチレンを意味する。)に挿入し、サンプルとした(包装体容積 約2800cm3)。それぞれのサンプルについて、“(a)所定のガス組成によるガス置換包装(二酸化炭素、酸素、場合により窒素ガス組成となるようにチャンバー式真空包装機を用いたガス置換包装”、または“(b)所定量のドライアイス片を入れた脱気包装(チャンバー式包装機を用いて包装体のヘッドスペース容積を約50%程度減少させる脱気包装)”を行い、包装直後またはドライアイス昇華後のガス組成を測定した。測定後は、−20℃冷凍庫中で4日間保管した後、5℃で2日間解凍保管した。再びガス組成を測定した後、開封してエビの黒変度合いを目視評価した。評価方法は4名のパネラーにより内容物であるホッコクアカエビの黒変度合いを0:黒変がほとんど、または全く認められない、1:僅かに認められる、2:やや認められる(実用可能)、3:認められる、4:著しく認められる、の5段階でそれぞれ点数をつけ、その平均点を算出した。結果を表2に示した。また、これらの色調を図2及び図3に示した。
実施例1で評価した各包装体のサンプルを開封し、エビの5匹をPSトレイに入れ、ポリ塩化ビニル(PVC)製プラスチックフィルムでオーバーラッピングし、5℃で24時間保存した。このときのエビの黒変度合いを目視評価した。評価方法は4名のパネラーにより内容物であるホッコクアカエビの黒変度合いを0:黒変がほとんど、または全く認められない、1:僅かに認められる、2:やや認められる(実用可能)、3:認められる、4:著しく認められる、の5段階でそれぞれ点数をつけ、その平均点を算出した。結果を表3に示した。
ドライアイスを包装体中に封入密閉したときの二酸化炭素濃度とドライアイス封入量との関係を示す。 実施例1の5℃、2日保存後のホッコクアカエビの状態を示す(比較例1〜9b。 実施例1の5℃、2日保存後のホッコクアカエビの状態を示す(実施例1b〜11a)。

Claims (11)

  1. 甲殻類を二酸化炭素濃度が23%以上の雰囲気を有する密閉空間内に保存することを特徴とする、甲殻類の黒変防止方法。
  2. 甲殻類を二酸化炭素濃度が23%以上及び酸素濃度が35%以下の雰囲気を有する密閉空間に保存することを特徴とする、甲殻類の黒変防止方法。
  3. 二酸化炭素濃度23%以上が密閉空間を開放する直前の二酸化炭素濃度であることを特徴とする請求項1又は2記載の甲殻類の黒変防止方法。
  4. 密閉空間を開放する直前の二酸化炭素濃度23%以上の雰囲気が、ドライアイスからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の甲殻類の黒変防止方法。
  5. 甲殻類が、エビ類、カニ類、ヤドカリ類、シャコ類のいずれかの生鮮品、冷蔵品又は冷凍品であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の甲殻類の黒変防止方法。
  6. 密閉された空間が、密閉された室内、密封された容器内又は密封された包装体内であることを特徴する請求項1〜4のいずれかに記載の甲殻類の黒変防止方法。
  7. 密封された容器又は密封された包装体が、プラスチック包装材料からなることを特徴とする請求項6記載の甲殻類の黒変防止方法。
  8. 密閉空間を開放する直前の二酸化炭素濃度が23%以上、酸素濃度が35%以下の雰囲気を有する密封された容器又は密封された包装体に密封包装されている黒変が防止された甲殻類の包装体。
  9. 密閉空間を開放する直前の二酸化炭素濃度23%以上の雰囲気がドライアイスからなり、酸素濃度が35%以下の雰囲気を有する密封された容器又は密封された包装体に密封包装されている黒変が防止された甲殻類の包装体。
  10. 請求項8又は9に記載の包装体を開封後、甲殻類をプラスチック製容器に再包装してなる黒変が防止された甲殻類の包装体。
  11. 請求項8又は9に記載の包装体を開封後、プラスチック製容器で再包装された甲殻類を保存・流通することを特徴とする黒変が防止された甲殻類の保存・流通方法。
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