JP2006042664A - 蓮子心の抽出物を含有する健康食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】天然物由来の抽出物で、長期に服用しても安全な、鎮静作用および抗不安作用を有する健康食品を提供すること。
【解決手段】蓮子心抽出物、特には、蓮子心を乾燥させ、熱時メタノール、エタノール、含水エタノール、ヘキサンおよびクロロホルムよりなる群から選択される溶媒で抽出して得られる蓮子心の抽出物を含有する鎮静および抗不安用健康食品。
【選択図】なし

Description

本発明は、蓮子心の抽出物を含有し、鎮静作用および抗不安作用を有する健康食品に関する。
近年のストレス社会を反映し、精神疾患は増加の一途をたどっている。精神疾患は社会への適応が困難になるため、社会的な問題であるとともに、医療経済的にも重要な問題となっている。精神活動や行動に変化をもたらすことを向精神作用といい、統合失調症治療作用、気分安定作用、抗鬱作用、抗不安作用、睡眠作用、鎮静作用、抗精神病作用、抗てんかん作用、嫌酒作用、抗パーキンソン病作用、抗痴呆作用などに分類され、各種の作用を有する薬物がそれぞれ各種の精神疾患治療に用いられている。
近年とくに広く知られ、社会的に重大な問題となってきている不安障害を例に取るならば、恐怖症性不安障害、広場恐怖、社会恐怖、パニック障害、全般性不安障害、強迫性障害、特定の恐怖症、他の不安障害に分類されるが、これらは互いに合併することもしばしばである。
多用されている不安障害の軽減、治療のための薬剤は、緩和精神安定薬とも呼ばれており、脳の視床、海馬、扁桃核などに作用して不安性の情動を軽減する薬剤であるが、副作用として、例えば睡眠作用や痙攣作用、筋弛緩作用が知られている。米国のガイドラインによれば、不安障害治療の第一次選択薬は、パニック障害、強迫性障害、心的外傷ストレス障害のいずれにおいても選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)である。
これら上記SSRI群の薬剤においては副作用がかなり軽減されているとされてはいるが、セロトニン症候群の発症の危険が指摘されている。
一方、上記のような中枢神経系の異常に起因する各種の症状を軽減させる為の健康食品としては、例えばセントジョンズワートが有名で、鬱病に有効であるとされている(非特許文献1)。セントジョンズワートは、西洋オトギリ草とも云われ、欧州では古くから創傷や神経痛などの治療薬として使われてきたといわれる。近年では健康食品のタブレットとして欧米を中心に、我が国でも広く用いられている。
しかしながら、セントジョンズワートに含まれる成分による重篤な副作用として、光過敏症が知られているし、またシクロスポリンの体内動態に影響を及ぼすという副作用も知られている。
スイレン科の植物であるハス(Nelumbo nucifera Gaertner)は古くから、薬膳の食材として、根から花まで広く利用されている。成熟果実は蓮実または石蓮子と、殻を取り去ったものは蓮肉と称され、養胃、清心、益脾、養心、止泄、固精の効能があるとされ、通常このような作用には、芯を除いて用いると記載されている(非特許文献2)。一方、蓮子心には、熱を去る、止血する、精を鈍らせるなどの効能を持つとして、熱病、労心吐血、遺精の治療に使用されている(非特許文献3)。
一方、成熟した種子の緑色胚芽(Nelumbinis embryo)である蓮子心のアルカロイドを中心とした成分研究としては、ビスベンジルイソキノリンアルカロイド類の構造決定のデータが報告されているが、薬効に関しての報告はされていない(非特許文献4および非特許文献5)。
蓮子心についての薬効研究としては、古くは、西部らによって解熱作用、血圧降下作用、抗精神病作用の記載(非特許文献6)を見いだすが、これら作用については何ら充分なその根拠が示されていない。すなわち、西部らは、(1)蓮子心から4種のアルカロイドを精製単離したこと、(2)血圧降下についての動物試験方法、および(3)4種のアルカロイドのうちの1種であるネフェリンに血圧降下作用を認めたことのみを開示しているものであり、解熱作用および抗精神作用の事実については全くその根拠が示されておらず、また血圧降下作用についても具体的なデータは示されていない(非特許文献6)。
また、最近の報告では、2002年に2つの報告が日本薬学会でなされた。佐藤らはラットを用いての研究結果から、蓮子心に体温調節機能があることを報告し(非特許文献7)、川嶋らはヒト骨芽細胞の系で蓮子心抽出液の抗骨粗鬆作用を報告している(非特許文献8)。
一方、我々はマウスを用いた研究から、蓮子心の一成分であるネフェリンに自発運動抑制作用が認められたことを報告した(非特許文献9)。
しかし、蓮子心抽出物については、上記以外の薬効について報告されている例は知られていない。
リンドレら、ブリティッシュ・メジカル・ジャーナル、313巻(1996年)253頁 「和漢薬百科図鑑」(難波恒雄著、216頁) 「中薬大辞典」上海科学技術出版社、小学館編集、(1985年)2750頁 古川ら、薬学雑誌、85巻(1965年)335頁 富田ら、ケミカル・ファーマスーティカル・ブレチン、13巻(1965年)39頁 西部ら、ジャーナル・オブ・ナチュラル・プロダクツ誌、49巻(1986年)547頁 佐藤ら、日本薬学会第123年会要旨集2、112頁 川島ら、日本薬学会第123年会要旨集2、146頁 伊藤ら、日本生薬学会第50回年会要旨集、116頁
本発明の目的は、天然物由来で、長期に服用しても安全な、鎮静作用および抗不安作用、特には強迫性障害に対する予防および/または軽減作用を有する健康食品を提供することである。
前記の目的で、より安全な中枢神経系作用物を発見するために鋭意検討した結果、蓮子心抽出物が、安全性が高く幅広い向精神作用を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、蓮子心抽出物を含有する、長期に服用しても安全な鎮静および抗不安用健康食品に関する。
前記健康食品において、抗不安が強迫性障害を予防および/または軽減するものであることが好ましい。
前記健康食品において、蓮子心を乾燥させ、熱時メタノール、エタノール、含水エタノール、ヘキサンおよびクロロホルムよりなる群から選択される溶媒で抽出して得られる蓮子心抽出物を使用することが好ましい。
前記健康食品が、飲料またはドリンク剤であることが好ましい。
本発明によって活性を見いだされた蓮子心抽出物は、これを摂取することにより、生体に対して毒性がなく安全性の高い中枢神経系疾患の治療および予防効果を期待できる健康食品、健康飲料を提供できる。
本発明における蓮子心抽出物は、蓮子心を乾燥させたのち、溶媒で抽出し、濃縮して得られるものをいう。溶媒としては、通常天然物の抽出において使用される種々のものが使用できるが、熱時メタノール、エタノール、含水エタノール、ヘキサン、クロロホルムなどが好ましい。また、このようにして得られる抽出物をさらにシリカゲルのような吸着剤に吸着させ、クロロホルム/メタノール混合物で溶出されてくる画分を濃縮して得られる抽出物、およびその抽出物を乾燥して得られる抽出物を用いることがより好ましい。
蓮子心は、前述したように古来より摂取されており、安全な食品である。また、蓮子心は、様々な漢方専門店より入手可能であり、たとえば、上海葯材公司(中国上海市延安路110号)などより入手可能である。
前記のようにして得られる蓮子心抽出物を配合した本発明の健康食品を摂取することにより、鎮静作用および抗不安作用が得られ、特に、強迫性障害などの障害や症状を予防および/または軽減させることができる。
また、本発明の健康食品は、従来の鎮静薬、抗不安薬、強迫性障害治療薬に見られるような、たとえば、運動協調性の低下や、カタレプシー惹起などの副作用を示さないものである。
本発明において「健康食品」とは、一般的に使用されている用語として、食品のうち「ふつうの食品よりも健康によいと称して売られている食品」のことをさす。現在我が国では、このいわゆる健康食品に関する単独の法律はなく、主に食品衛生法、栄養改善法、薬事法により規制をうけているが、平成13年度4月から保健機能食品制度が創設され、これまであった特定保健用食品(特保)に加え一部のビタミン・ミネラルに関する栄養成分機能表示ができる「栄養機能食品」という分類ができ、これら全ての食品の総称を意味する。本発明の「健康食品」には、栄養補助食品の定義として、一般的な意味で、「栄養成分を補給し、又は特別の保健の用途に資するものとして販売の用に供する食品のうち、錠剤、カプセル等通常の食品の形態でないもの」などと表現されている、特別の保健の用途に資する「特殊用途食品」が含まれる。
本発明の健康食品は、経口摂取できるものであればどのようなものでもよく、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、溶液剤、酒精剤、シロップ剤等とすることができる。また、蓮子心抽出物を原材料に配合することにより種々の飲食品の形態とすることができる。そのような飲食品としては、麺類、粥、リゾット、ゼリー、クッキー、スープ、飲料があげられるが、これらに限定されない。
このような食品には蓮子心抽出物の他に、賦形剤、着香剤、着色剤、甘味剤、乳化剤、コーティング剤、ビタミンC、抗酸化剤などの薬剤的に許容できる種々の担体や、鉄、マグネシウム、カルシウム等のミネラル、ビタミン類、アルギン酸等の食物繊維のほか各種のタンパク質、脂質、乳糖等の糖類を加えることができる。
また、本発明蓮子心抽出物に、西洋ニンジン抽出物、イチョウ葉抽出物、大豆抽出物、甘草抽出物、ザクロ抽出物、ヤムイモ抽出物などを組み合わせることにより、精神的ストレス等から陥る前記各症状への改善効果を有する健康食品を得ることもできる。
ドリンク剤は、前記の活性画分のエキスまたは抽出物の乾燥微粉末と水を主成分として混合して調製する。エキスを用いた場合には、清浄なドリンク剤となるが、粉末を使用した場合には、濁ったドリンク剤が得られる。後者の場合、粉末の速やかな沈降を防止する目的で、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カラギーナンなどの増粘剤を若干添加することが好ましい。
蓮子心のエキスまたは抽出物の乾燥微粉末と、水との混合割合は、限定的ではないが、両者の重量比で、1対50から1対10000の範囲が適当であるが、好ましくは1対100、さらに好ましくは1対1000が推奨される。
本発明の健康食品の呈味性を改善して食用、飲用に供しやすくするため、特にドリンク剤の場合(もちろん他の組成物においても用いることも可能であるが)、下記例示の添加剤を加えることができる。すなわち茶の成分を添加することにより、味覚に親しみが得られ、蓮子心特有の苦みを改善することができ、飲用しやすくなる。用いられる茶としては、例えば、緑茶、ウーロン茶、バナバ茶、杜仲茶、鉄観音茶、ハトムギ茶、アマチャヅル茶、マコモ茶、昆布茶、紅花茶、イチョウ葉茶、ギムネマ茶、ドクダミ茶、プーアル茶、連子心、山扁豆、黄精等から1種ないし3種ほど選択して配合し、それらの煎じ液を添加する。茶の煎じ方としては、定法でよい。
健康食品として、蓮子心の抽出物を主成分としたタブレットを成形するためには、上記のようにして得た抽出物に、賦形剤および各種の添加剤、例えば、クリーミーパウダー、麦芽糖、セルロース粉末、シュガーエステル、リン酸カリウム、澱粉グリコール酸ナトリウム、焼成カルシウム、ボレー粉、シクロデキストリン、クエン酸マグネシウムなどを添加混合した後、直接粉末圧縮法で打錠成形することによって製造することができる。
本発明の健康食品の摂取量は特に制限されず、摂取形態、年齢、体重、症状に応じて適宜選択することができる。
本発明の蓮子心抽出物の中枢神経系の作用を評価する方法としては、一般的に使われているスクリーニング試験、すなわち向精神作用の範疇での各種作用や薬効の評価に用いられる動物試験法により評価することができる。たとえば、鎮静作用については、自発運動抑制試験(Hirose, A., Kato, T., Shimizu, H., Tanaka, H., Nakamura, N., Katsube, J., Jpn. J. Pharmacol. 53, 321-329 (1990)))、抗不安作用については、高架式十字迷路テスト(Lister, R.G., Psychopharmacology, 112, 13-20 (1993))、強迫性障害治療作用については、ガラス玉覆い隠し行動試験(Njung’e, K., Hadley, S.L., Pharmacol. Biochem. Behav., 38, 65-67 (1991))などである。
また、従来の薬剤で見られる副作用である、運動協調性の低下やカタレプシー惹起については、それぞれ、ロータロッドテスト(Souri, E., Sharifzadeh, M., Farasam, H., Gharavi, N., J. Pharm. Pharmacol, 51, 853-855 (1999))、カタレプシーテスト(Hirose, A., Kato, T., Shimizu, H., Tanaka, H., Nakamura, N., Katsube, J., Jpn. J. Pharmacol. 53, 321-329 (1990))などの動物試験法により評価することができる。
本発明を以下の実施例でさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されない。
製造例1
まず蓮子心(上海葯材公司、中国上海市延安路110号)を水にて十分洗浄後、乾燥した。乾燥体500gを、エタノール1Lを用いて加熱還流処理を3回行なった。得られた抽出液を濾別後、減圧下乾燥し、ペーストを約50g得た。これを抽出物1として、以下の試験に用いた。
製造例2
蓮子心を水にて十分洗浄後、乾燥した。乾燥体1200gを、熱メタノール2Lを用いて3回抽出した。得られたメタノールエキスを減圧乾固し、水に懸濁後、n−ヘキサンおよびクロロホルムで順次抽出した。このクロロホルム可溶画分を減圧乾固し、得られた固形画分は約8gであった。この画分を抽出物2として以下の試験に用いた。
製造例3
製造例2と同様にして、蓮子心から抽出物2 約8gを得たのち、続けて以下の方法でさらに精製を行なった。
すなわち、カラム長580mm、カラム径46mm、充填剤としてシリカゲル160gを用いて精製した。溶出はクロロホルム/メタノール混液を溶離液として用いて混合比率を変化させることで分画した。20%メタノール画分として489mg相当の固形分を得た。これを抽出物3として、以下の試験に用いた。
以下の試験例において、腹腔内投与の場合は、抽出物や薬物はすべて生理食塩水に溶解して使用し、投与容量は、すべて生理食塩水溶液0.1ml/10gマウス体重で投与した。経口投与の場合は、抽出物や薬物はすべて1%カルボキシメチルセルロースNa生理食塩水に懸濁して使用し、投与容量は、すべて1%カルボキシメチルセルロースNa生理食塩水懸濁液0.1ml/10gマウス体重で投与した。また、以下の試験例においては、特別の定めのない場合はすべて、体重25〜30gの雄性ICR系マウス(日本SLC社製)を使用し、室温23±1℃、相対湿度55±5%、7時から19時までの12時間毎の明暗サイクルの環境下で3〜5日予備飼育した。また、マウスには水道水および飼料は自由に摂取させた。
実施例1(抗不安作用評価)
高架式十字迷路としては、2本の壁無し走行路と2本の壁あり走行路が十字に直交しているマウス用高架式十字迷路(ニューロサイエンス社製)を使用した。マウスを中央のプラットホーム上に頭が壁無し走行路に向くように置き、試験マウスが、5分間に両走行路に侵入した回数および壁無し走行路における滞在時間を測定した。結果は全侵入回数に対する壁無し走行路に侵入した回数の%および試験時間に対する壁無し走行路における滞在時間の%で評価した。
蓮子心の抽出物1および3の塩酸塩 100mg/kg(それぞれ、投与群1、n=5および投与群2、n=5)または生理食塩水のみ(陰性対照群、n=5)をそれぞれ腹腔内に投与したマウス、ならびに抽出物3塩酸塩 100mg/kg(投与群3、n=5)を経口投与したマウスを用いて、投与30分後に測定を開始した。
結果を表1に示すが、全ての投与群で生理食塩水のみの対照群と比較して壁無し走行路へ侵入した回数と滞在時間に明らかな増加が認められた。
Figure 2006042664
前記の成績は、蓮子心成分が抗不安作用を有することを示した結果である。
実施例2(強迫性障害治療作用評価)
ガラス玉覆い隠し行動は、ポリカーボネート製の透明ケージ(22.5cm×33.8cm×14.0cm)の中に飼育用木屑(ベータチップ)(オリエンタル酵母社製)を深さ5cmになるよう敷き詰め、ガラス玉(直径1.5cm)20個を均等に並べた。
マウス21匹を7匹ずつの3群に分け、それぞれに、蓮子心の抽出物1および3の塩酸塩 50mg/kg(それぞれ、投与群4および5)、および生理食塩水のみ(陰性対照群)を腹腔内投与した。投与15分後にマウスをケージに入れ、10分毎に木屑で覆い隠されていないガラス玉の個数を目視にて数えた。なお、判定基準としては、ケージを上方から観察した際にガラス玉表面の2/3以上が埋もれているものは埋もれたガラス玉としてカウントした。
各群7匹の平均値で、結果を表2に示す。
Figure 2006042664
対照群と比較して、全ての投与群で隠したガラス玉の数は有意に少なかった。この試験成績と強迫性障害治療効果は良く相関することから、本発明の蓮子心抽出物は強迫性障害治療に利用できると考察される。
実施例3(筋弛緩副作用と運動協調性の評価)
マウス30匹を6匹ずつの5群に分け、それぞれに、蓮子心の抽出物2および3の塩酸塩 100mg/kg(それぞれ、投与群6(経口投与)、ならびに投与群7(経口投与)および投与群8(腹腔内投与))、生理食塩水(陰性対照群(腹腔内投与))、ならびにジアゼパム 5mg/kg(陽性対照群(腹腔内投与))を投与した。これらのマウスを用いて、ロータロッド装置(UGO BASILE社製、イタリア)と自発運動量測定装置(モデルNS−AS01、ニューロサイエンス社製)による試験を実施した。ロータロッドテストは、サンプル投与15分後に8rpmで回転する直径4cmの回転棒の上に乗せ、回転棒上で動物が落下せずに、とどまっていられるか否かを3分間測定した。3分間の測定中に回転棒から落下した個体を「運動協調性障害作用あり」と判定した。なお、試験当日に試験に先立ち3分間のプレテストを実施し、落下しない固体を選別して試験に用いた。また、自発運動量の測定は5分毎に60分間行い、各測定時点でのカウント値からテューキー法による有意差検定をした。
結果を表3に示したが、全ての投与群で運動協調性に影響を与えなかった。ジアゼパムの陽性対照群では、自発運動量に有意な抑制が見られたが運動協調性が低下するという副作用が見られた。
Figure 2006042664
この結果は、全ての投与群において、筋弛緩作用や運動協調性障害の副作用を発現しないで鎮静作用を引き起こすことが明らかになった。
実施例4(カタレプシー評価)
実施例1、2でそれぞれ得られた蓮子心抽出物1および2を用いて、カタレプシーテストを行なった。
蓮子心抽出物1および2塩酸塩 100mg/kgをそれぞれ腹腔内に投与したマウスを、投与15分後、飼育中に適宜に高さ5.5cmの棒にマウスを掴まらせ、30秒間、姿勢を保持した各6匹中のマウスの匹数(*/6で表示する)によりカタレプシー陽性度を評価した。
対照群としては、生理食塩水(陰性対照)、および薬剤ハロペリドール 1mg/kg(陽性対照)をそれぞれ用いた。その結果、陰性対照で(0/6)、抽出物1および2の両投与群で(0/6)、陽性対照で(6/6)というカタレプシー発現が観察された。すなわち蓮子心抽出物においてカタレプシー惹起は認められなかった。
この結果は、蓮子心抽出物では、錐体外路障害の副作用を発現しないことを示している。
実施例5(製剤例)
(イ)タブレットの製造例:
400gの製造例1にて得られた抽出物1にオリゴ糖400g、リン酸カルシウム30g、蔗糖脂肪酸エステル170gを加え、V型混合機で20分間混合した後、ロータリープレスで800kgf/cm2で加圧成形し、1錠100mgの錠剤を作成した。
(ロ)ドリンク剤の製造例:
10gの製造例1にて得られた抽出物1とジャスミン茶の煎じ液20gを水970ccに溶解し、濾過した。
(ハ)カプセル剤の製造例:
製造例1にて得られた抽出物1をボールミルで平均粒径を約100ミクロンに破砕したもの200gに乳糖50gを良く混合し、これをゼラチンカプセル化することによりカプセル剤を製造した。
(ニ)散剤の製造例:
200gの製造例1にて得られた抽出物1と西洋人参抽出液20g、ひまし油10g、ハイビスワコー(和光純薬製)5gを混合した。これを回転ディスク上に滴下することで直径約30ミクロンの散剤を得た。
実施例6(呈味性の改善)
製造例1と同様にして調製した蓮子心の抽出物と水を重量比で1対50の割合で溶解して調製したドリンク剤にさらに、表7に示した各種の茶の煎じ液を同量混合し、20人のパネラーによる官能試験を実施した。検査は無添加品を先ずパネラーに飲用してもらい、そのあとで、表4の各種のもの(無添加も含む)を内容明示せずに飲用してもらい、その後アンケート方式で評価した。
Figure 2006042664
その結果、全ての場合に、茶の煎じ液を加えない場合に比べて優位に、苦み・渋みも感じることが少なく、飲み易さの改善が示された。

Claims (4)

  1. 蓮子心抽出物を含有する、鎮静および抗不安用健康食品。
  2. 抗不安が、強迫性障害を予防および/または軽減するものである請求項1記載の健康食品。
  3. 蓮子心抽出物が、蓮子心を乾燥させ、熱時メタノール、エタノール、含水エタノール、ヘキサンおよびクロロホルムよりなる群から選択される溶媒で抽出して得られる請求項1または2記載の健康食品。
  4. 飲料またはドリンク剤である請求項1、2または3記載の健康食品。
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