JP2006039286A - 帯電部材、電子写真装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents
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Abstract
【課題】 被帯電体の汚染防止効果に極めて優れ、且つ表面の耐汚染性にも優れた帯電部材を提供すること。
【解決手段】 電子写真装置内に配置され、電圧が印加された状態で被帯電体面の帯電処理を行う、架橋されたゴム成分を含有している導電性弾性体層を備えている帯電部材において、該帯電部材の表面及び表面近傍の何れか一方、或いは両方において、末端にイソシアネート基を有するシロキサンと、下記一般式(1)で示される構造を有する加水分解性化合物との反応物と該ゴム成分とが混在している帯電部材:
一般式(1)
(R4)xM(R5)n−x
(上記式中、R4は加水分解性基を示し、Mは価数がpである元素を示し、p及びxは互いに独立に3以上の整数を示し、R5は一価の有機基を示す)。
【選択図】 図1
【解決手段】 電子写真装置内に配置され、電圧が印加された状態で被帯電体面の帯電処理を行う、架橋されたゴム成分を含有している導電性弾性体層を備えている帯電部材において、該帯電部材の表面及び表面近傍の何れか一方、或いは両方において、末端にイソシアネート基を有するシロキサンと、下記一般式(1)で示される構造を有する加水分解性化合物との反応物と該ゴム成分とが混在している帯電部材:
一般式(1)
(R4)xM(R5)n−x
(上記式中、R4は加水分解性基を示し、Mは価数がpである元素を示し、p及びxは互いに独立に3以上の整数を示し、R5は一価の有機基を示す)。
【選択図】 図1
Description
本発明は、電子写真装置等の画像形成装置に用いられる帯電部材、更に詳述すれば電子写真装置等の画像形成装置内で被帯電体表面の帯電を行う帯電部材、転写部材や現像部材等に用いられる帯電部材、それを用いた電子写真装置及びプロセスカートリッジに関する。
電子写真装置(複写機、光プリンター等)・静電記録装置等の画像形成装置の電子写真感光体や誘電体等の被帯電体を帯電処理する手段として、電圧を印加した帯電部材を被帯電体に近接又は接触させて被帯電体面を帯電処理する接触帯電が知られている。接触帯電は、コロナ帯電と比較して、帯電部材に印加する電圧を低くすることができ、またオゾン発生量を抑えることができる等の長所を有している。このような接触帯電用の帯電部材には、被帯電体の均一性、感光体等の被帯電体表面のピンホール・傷等に起因するリークを防止するために低い導電性の表面が要求される。また、この様な帯電部材は、被帯電体に対して所定の圧力で押圧して均一なニップを得るために、低硬度であることが要求される。この様な要求に対し、金属等の導電性芯金材上に、カーボンブラックやグラファイト、酸化チタン、酸化銀等の金属酸化物、Cu、Ag等の金属粉、更にはこれらを粒子表面に被覆処理して導電化した粒子等の導電性粒子をゴムに混合分散した導電性弾性層を有するゴムローラや、NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)やエピクロルヒドリン系共重合体のような極性ポリマーを含む導電性弾性体層を有するゴムローラ等の帯電部材が提案されている。
しかしながら、導電性弾性体層を構成するゴム組成物には、ベースポリマーを合成する際に投入する反応開始剤の残留物やその際に発生する副生成物、ベースポリマーの低分子成分、ゴム部材成形時に添加される加硫剤や軟化剤、可塑剤及び導電性制御のための導電剤等の成分が含まれているため、このような帯電部材を被帯電体に押圧したまま、高温高湿下に長時間放置すると、帯電部材と被帯電体とが融着したり、帯電部材の導電性弾性層中の低分子成分が滲出して被帯電体を汚染し、被帯電体表面にソルベントクラックを生じさせ、電子写真画像の品位を低下させてしまうことがあった。一方、帯電部材は、繰り返し使用による表面への現像剤等の付着によって汚染され、この汚れが蓄積し、帯電不良や異常帯電による縦すじ等の画像欠陥が発生してしまうことがある。このような課題に対し、ゴム層からの低分子成分の染み出しを抑える層や、非接着性樹脂からなる層を導電性性弾性層の表面に設けた所謂多層構造の帯電部材が提案されている。しかしながら、各々の技術課題に応じて層を付加していくことはコスト的に不利であり、また多層構造の帯電部材においては、帯電部材本来の機能である被帯電体の良好な帯電性能を維持することは容易なことではなかった。導電性弾性層からの低分子成分の染み出しによる有機感光体の汚染防止に対して、多層構造を採ることなしに解決を図った例として、特許文献1には、イオン導電剤を含有するエピクロルヒドリン及びエチレンオキサイドの共重合体を主体とするゴムからなる弾性層を有する導電性ローラをイソシアネート含有化合物を含む処理液に浸漬して加熱することで、弾性層表面を硬化処理した導電性ロールによってOPC汚染を無くすことができることが記載されている。しかしながら、本発明者らの検討によれば、特許文献1に係る導電性ロールには、確かに有機感光体の汚染防止効果が認められるものの、未だ十分とは言えないレベルにあった。また、引用文献1では、導電性ロールの表面汚染に対しては何らの考慮もなされていない。
特開平10−45953号公報
そこで本発明の目的は、被帯電体の汚染防止効果に極めて優れ、且つ表面の耐汚染性にも優れた帯電部材を提供することにある。
また本発明の他の目的は、高品位な電子写真画像を安定して形成することのできる電子写真装置、並びにそれに用い得るプロセスカートリッジを提供することにある。
本発明の一態様によれば、
[1]電子写真装置内に配置され、電圧が印加された状態で被帯電体面の帯電処理を行う、架橋されたゴム成分を含有している導電性弾性体層を備えている帯電部材において、該帯電部材の表面及び表面近傍の何れか一方、或いは両方において、末端にイソシアネート基を有するシロキサンと、下記一般式(1)で示される構造を有する加水分解性化合物との反応物と該ゴム成分とが混在している帯電部材が提供される:
一般式(1)
(R4)xM(R5)n−x
(上記式中、R4は加水分解性基を示し、Mは価数がpである元素を示し、p及びxは互いに独立に3以上の整数を示し、R5は一価の有機基を示す)。
[1]電子写真装置内に配置され、電圧が印加された状態で被帯電体面の帯電処理を行う、架橋されたゴム成分を含有している導電性弾性体層を備えている帯電部材において、該帯電部材の表面及び表面近傍の何れか一方、或いは両方において、末端にイソシアネート基を有するシロキサンと、下記一般式(1)で示される構造を有する加水分解性化合物との反応物と該ゴム成分とが混在している帯電部材が提供される:
一般式(1)
(R4)xM(R5)n−x
(上記式中、R4は加水分解性基を示し、Mは価数がpである元素を示し、p及びxは互いに独立に3以上の整数を示し、R5は一価の有機基を示す)。
上記の帯電部材の好ましい態様は、下記[2]〜[6]が挙げられる。
[2]前記一般式(1)中、Mが、Si、Ti、Al、Sn、及びZrから選ばれる何れかの元素である上記[1]に記載の帯電部材。
[3]前記一般式(1)中、Mが、Siであり、xが3、nが4である上記[1]又は[2]に記載の帯電部材。
[4]前記反応物が、ポリエステル成分及びポリスチレン成分のどちらか一方或いは両方を有している上記[1]〜[3]のいずれかに記載の帯電部材。
[5]前記シロキサンが、分子内に前記ポリエステル成分及びポリスチレン成分のどちらか一方或いは両方を有している上記[4]に記載の帯電部材。
[6]前記反応物と、前記ゴム成分と、が相互貫入高分子網目(IPN)構造を形成している上記[1]〜[5]のいずれかに記載の帯電部材。
本発明の他の実施態様によれば、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の帯電部材を備えた電子写真装置が提供される。
本発明の更に他の実施態様によれば、電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電する帯電部材と、を一体に保持し、電子写真装置本体に着脱自在に構成されているプロセスカートリッジにおいて、該帯電部材が、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の帯電部材であるプロセスカートリッジが提供される。
本発明によれば、導電性弾性層からの低分子成分の被帯電体への移行を極めて有効に抑制することができると共に、表面への現像剤等の付着を抑えることのできる帯電部材が提供される。これにより、所謂多層構造の採用が不要となり、帯電部材の製造コストの低減を図ることができ、また多層構造とすることによる帯電部材に帯電性能の複雑な調整が不要となる。
また本発明によれば、高品位な画像を安定して与える電子写真装置、並びにそれに用い得るプロセスカートリッジが提供される。
本発明について以下に図面を用いて詳細に説明する。
本発明に係る帯電部材は、電子写真装置内に配置され、電圧が印加された状態で被帯電体面の帯電処理を行う、架橋されたゴム成分を含有している導電性弾性体層を備えている帯電部材において、該帯電部材の表面及び表面近傍の何れか一方、或いは両方において、末端にイソシアネート基を有するシロキサンと、下記一般式(1)で示される構造を有する加水分解性化合物との反応物と該ゴム成分とが混在している点に一つの特徴を有している:
一般式(1)
(R4)xM(R5)p−x
(上記式中、R4は加水分解性基を示し、Mは価数がpである元素を示し、p及びxは各々独立に3以上の整数を示し、R5は一価の有機基を示す)。
一般式(1)
(R4)xM(R5)p−x
(上記式中、R4は加水分解性基を示し、Mは価数がpである元素を示し、p及びxは各々独立に3以上の整数を示し、R5は一価の有機基を示す)。
図1は、本発明に係る帯電部材の1例を示したものであり、同図中、2cは円筒形状の導電性基体からなる芯金で、その外周には、架橋されたゴム成分を含む、改質された導電弾性体層2bを具備している。そして、導電弾性体層2bは、表面並びにその近傍2a(以降「領域2a」と略)において、架橋されたゴム成分と、末端にイソシアネート基を有するシロキサンと上記一般式(1)で示される構造を有する加水分解性化合物との反応物と、が混在している。このような構成は、架橋されたゴム成分を含有している導電性弾性体層の表面に、末端にイソシアネート基を有するシロキサンと、上記一般式(1)で示される構造を有する加水分解性化合物とを含む塗料を接触せしめ、該シロキサンと該加水分解性化合物とを該導電性弾性体層に含浸せしめ、含浸させた該シロキサンと該加水分解性化合物とを該導電性弾性層中にて反応させる工程を含む改質処理工程を経て得ることができるものである。このような構成により、多層構造を採用することなしに、導電性弾性層からの低分子成分の浸出が極めて有効に抑えられる理由は明らかでないが、本発明者らの検討によれば、前記シロキサンと、前記一般式(1)で示される構造を有する加水分解性化合物との反応物は、3次元架橋構造を有しているものと考えられる。従って領域2aでは、ゴム成分の架橋構造と、前記反応物の架橋構造と、が互いに入り込んだ非常に緻密な構造、所謂、相互貫入網目[IPN(Interpenetrating polymer network)]構造が形成され、その為に導電性弾性層内部からの低分子成分の浸出が領域2aで妨害されているものと考えられる。
[ゴム成分]
本発明に係る導電性弾性体層2bに含まれるゴム成分としては、一般的なものでよく、ジエン系ゴム及びその水添物(例えばNR、IR、エポキシ化天然ゴム、SBR、BR(高シスBR及び低シスBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素化NBR、水素化SBR、オレフィン系ゴム(例えばエチレンプロピレンゴム(EPDM、EPM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M−EPM))、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族ビニル又はジエン系モノマー共重合体、アクリルゴム(ACM)、含ハロゲンゴム(例えばBr−IIR、Cl−IIR、イソブチレンパラメチルスチレン共重合体の臭素化物(Br−IPMS)、クロロプレンゴム(CR)、エピクロルヒドリンゴム(CHR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレン(M−CM))、アルキルエーテルゴム、シリコーンゴム(例えばメチルビニルシリコーンゴム、ジメチルシリコーンゴム、メチルフェニルビニルシリコーンゴム)、含イオウゴム(例えばポリスルフィドゴム)、フッ素ゴム(例えばビニリデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム、含フッ素シリコーン系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム)等が挙げられる。これらに配合剤を添加した後、加熱等の手段によって加硫ゴムを得る。
本発明に係る導電性弾性体層2bに含まれるゴム成分としては、一般的なものでよく、ジエン系ゴム及びその水添物(例えばNR、IR、エポキシ化天然ゴム、SBR、BR(高シスBR及び低シスBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素化NBR、水素化SBR、オレフィン系ゴム(例えばエチレンプロピレンゴム(EPDM、EPM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M−EPM))、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族ビニル又はジエン系モノマー共重合体、アクリルゴム(ACM)、含ハロゲンゴム(例えばBr−IIR、Cl−IIR、イソブチレンパラメチルスチレン共重合体の臭素化物(Br−IPMS)、クロロプレンゴム(CR)、エピクロルヒドリンゴム(CHR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレン(M−CM))、アルキルエーテルゴム、シリコーンゴム(例えばメチルビニルシリコーンゴム、ジメチルシリコーンゴム、メチルフェニルビニルシリコーンゴム)、含イオウゴム(例えばポリスルフィドゴム)、フッ素ゴム(例えばビニリデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム、含フッ素シリコーン系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム)等が挙げられる。これらに配合剤を添加した後、加熱等の手段によって加硫ゴムを得る。
導電性を得るには加硫ゴムにカーボンブラック、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタンのような導電性粒子を混入した電子導電系やアクリロニトリルブタジエンゴムやエピクロルヒドリンゴムのようなイオン導電系ゴムを用いてもよいし、必要であればイオン導電系ゴムにアルカリ金属の過塩素酸塩、長鎖アルキルスルホン酸塩及びテトラアルキル4級アンモニウム塩等のイオン導電剤を混入してもよい。但し、ブリードやブルームの点でイオン導電剤は用いない方が好ましい。特に導電性の制御し易さから、イオン導電系ゴムを用いることが好ましく、更に加工性の点でアクリロニトリルブタジエンゴムやエピクロルヒドリンゴム又はアルキルエーテルゴムを使用するのが好ましい。
[末端にイソシアネート基を有するシロキサン]
次に、前記の末端にイソシアネート基を有するシロキサンの例としては、下記式(I)〜(IV)で示される構造を有するものが挙げられる。下記式(I)〜(IV)において、R1、R2、R3はそれぞれ独立に炭素数1〜8の置換もしくは非置換の1価の炭化水素基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル基、ビニル基やアリル基等のアルケニル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラケニル基が挙げられる。またn、mは互いに独立に1以上の整数である。
次に、前記の末端にイソシアネート基を有するシロキサンの例としては、下記式(I)〜(IV)で示される構造を有するものが挙げられる。下記式(I)〜(IV)において、R1、R2、R3はそれぞれ独立に炭素数1〜8の置換もしくは非置換の1価の炭化水素基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル基、ビニル基やアリル基等のアルケニル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラケニル基が挙げられる。またn、mは互いに独立に1以上の整数である。
[加水分解性化合物]
次に、前記加水分解性化合物は、下記一般式(1)に示される構造を有している。
次に、前記加水分解性化合物は、下記一般式(1)に示される構造を有している。
一般式(1)
(R4)xM(R5)p−x
上記一般式(1)において、R4は加水分解性基であり、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、プロペノキシ基等のエノキシ基、アセトキシ基等のアシロキシ基、ブタノキシム基等のケトオキシム基、アミノ基、アミド基、アミノキシム基、アルケニルオキシ基等が例示列挙される。またR5は一価の有機基を表し、例えばアミノ基、メタクリル基、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基等の有機官能基やアルキル基である。そして上記式(1)において加水分解性基R4の数xは、3以上である。またMは価数pが3以上の元素を示し、例えばSi、Ti、Al、Sn、及びZrから選択される何れかの元素である。このような加水分解性化合物をイソシアネート化合物と反応させることで、3次元架橋構造を有するポリマーが得られるものである。ところで、上記式(1)中、Mで示す元素としては、Siが好ましい。そして上記式(1)中、MがSiである化合物の具体例としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ユレイドプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ポリエチレンオキサイド変性シランモノマー、ポリメチルエトキシシロキサン及びヘキサメチルジシラザン、メチルトリス(ジメチルケトオキシム)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、エチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、メチルトリス(メチルイソブチルケトオキシム)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、ビニルトリブタノオキシムシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリイソプロペノシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等が挙げられる。これらの中で好ましい化合物は、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン又はメチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シランである。
(R4)xM(R5)p−x
上記一般式(1)において、R4は加水分解性基であり、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、プロペノキシ基等のエノキシ基、アセトキシ基等のアシロキシ基、ブタノキシム基等のケトオキシム基、アミノ基、アミド基、アミノキシム基、アルケニルオキシ基等が例示列挙される。またR5は一価の有機基を表し、例えばアミノ基、メタクリル基、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基等の有機官能基やアルキル基である。そして上記式(1)において加水分解性基R4の数xは、3以上である。またMは価数pが3以上の元素を示し、例えばSi、Ti、Al、Sn、及びZrから選択される何れかの元素である。このような加水分解性化合物をイソシアネート化合物と反応させることで、3次元架橋構造を有するポリマーが得られるものである。ところで、上記式(1)中、Mで示す元素としては、Siが好ましい。そして上記式(1)中、MがSiである化合物の具体例としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ユレイドプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ポリエチレンオキサイド変性シランモノマー、ポリメチルエトキシシロキサン及びヘキサメチルジシラザン、メチルトリス(ジメチルケトオキシム)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、エチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、メチルトリス(メチルイソブチルケトオキシム)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、ビニルトリブタノオキシムシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリイソプロペノシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等が挙げられる。これらの中で好ましい化合物は、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン又はメチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シランである。
[導電性弾性体層の改質処理方法]
本発明に係る改質された導電性弾性体層を得る方法としては、前記した様に、上記シロキサンと加水分解性化合物とを含む塗料を、導電性弾性体層の表面に接触せしめ、該導電性弾性体層中に上記シロキサン化合物と加水分解性化合物を含浸させる。次いで、該導電性弾性体層を乾燥及び加熱処理すると、導電性弾性体層内部の水分や空気中の水分により加水分解性化合物が加水分解し、それによって生成する加水分解物の活性水素がイソシアネート基とウレタン反応を起こし、ウレタン結合を有し、且つ3次元架橋構造を有するポリマーが生成する。その結果、導電性弾性体層の表面、その近傍、或いは表面及びその近傍においては、導電性弾性体層の主たる構成成分である架橋したゴム成分と該ポリマーとが混在してなる構成、更に言えばIPN構造を形成すると考えられる。
本発明に係る改質された導電性弾性体層を得る方法としては、前記した様に、上記シロキサンと加水分解性化合物とを含む塗料を、導電性弾性体層の表面に接触せしめ、該導電性弾性体層中に上記シロキサン化合物と加水分解性化合物を含浸させる。次いで、該導電性弾性体層を乾燥及び加熱処理すると、導電性弾性体層内部の水分や空気中の水分により加水分解性化合物が加水分解し、それによって生成する加水分解物の活性水素がイソシアネート基とウレタン反応を起こし、ウレタン結合を有し、且つ3次元架橋構造を有するポリマーが生成する。その結果、導電性弾性体層の表面、その近傍、或いは表面及びその近傍においては、導電性弾性体層の主たる構成成分である架橋したゴム成分と該ポリマーとが混在してなる構成、更に言えばIPN構造を形成すると考えられる。
ところで、導電性弾性層の改質のための塗料中における上記シロキサンと加水分解性化合物との割合としては、シロキサン100質量部に対し加水分解性化合物を0.5質量部以上10質量部未満、特には0.5質量部以上5質量部未満用いることが好ましい。この範囲内であれば、未反応の加水分解性化合物が帯電部材の表面にブルームすることがない。
塗料の導電性弾性体層表面への接触は、ロールコーターやディップ塗工、又はリング塗工等の塗工手段を用いることができる。塗料に使用する有機溶媒は上記各種成分が溶解するものなら特に限定されるものではないが、処理のし易さや乾燥等の点から酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエンが好ましく、またこれらの混合溶媒を用いてもよい。塗料濃度は弾性体表面に均一に含浸させることを考慮すると、10質量%以下が好ましく、特には5質量%以下が好ましい。
導電性弾性層に上記塗料を含浸させた後、該導電性弾性体層を乾燥及び加熱処理されることで、含浸した組成物が架橋反応を起こす。乾燥工程は有機溶媒を除去する目的で行い、特に制限はないが風乾で15分間以上行う。また、加熱処理は使用する塗料の反応温度によって異なるが、例えば電気炉で15分間以上行えば充分である。
ところで、前記塗料は、該導電性弾性体層に対して、該導電性弾性体層の最表面から深さが、該導電性弾性体層の全厚さの1%、特には0.1%までの領域が改質処理されるように含浸させることが、帯電部材内部からの低分子成分の浸出防止という観点から好ましいものである。尚、本発明における「帯電部材の表面近傍」なる文言の定義は、上記の記載から自ずから明らかである。
[ポリエステル成分、ポリスチレン成分]
更に、弾性体表面の更なる改質のために前記組成物にポリエステル成分やポリスチレン成分を含ませることも可能である。例えば、ポリエステル成分の末端OHとイソシアネートシロキサンのイソシアネートでウレタン結合が生成され、更にカップリング剤との反応で架橋点が生じ、弾性体成分のポリマー分子とIPN構造を有する。また、ポリエステル成分やポリスチレン成分とイソシアネートシロキサンが最初から共重合体であってもよい。ポリエステルを構成する酸成分は、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドテカンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸及びヘキサヒドロフタル酸等が挙げられる。また、ポリエステルを構成するのに用いられるグリコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール及びデカンジオール等が挙げられる。更に、ポリスチレン成分としては、ポリスチレン、ポリ(p−、m−、又はo−メチルスチレン)、ポリ(2,4−、2,5−、3,4−、又は3,5−ジメチルスチレン)、ポリ(p−ターシャリーブチルスチレン)等のポリ(アルキルスチレン)、ポリ(p−、m−、又はo−クロロスチレン)、ポリ(p−、m−、又はo−ブロモスチレン)、ポリ(p−、m−、又はo−フルオロスチレン)、ポリ(o−メチル−p−フルオロスチレン)等のポリ(ハロゲン化スチレン)、ポリ(p−、m−、又はo−クロロメチルスチレン)等のポリ(ハロゲン化置換アルキルスチレン)、ポリ(p−、m−、又はo−メトキシスチレン)、ポリ(p−、m−、又はo−エトキシスチレン)等のポリ(アルコキシスチレン)、ポリ(p−、m−、又はo−カルボキシメチルスチレン)等のポリ(カルボキシアルキルスチレン)、ポリ(p−ビニルベンジルプロピルエーテル)等のポリ(アルキルエーテルスチレン)、ポリ(p−トリメチルシリルスチレン)等のポリ(アルキルシリルスチレン)、更にはポリ(ビニルベンジルジメトキシホスファイド)等が挙げられる。
更に、弾性体表面の更なる改質のために前記組成物にポリエステル成分やポリスチレン成分を含ませることも可能である。例えば、ポリエステル成分の末端OHとイソシアネートシロキサンのイソシアネートでウレタン結合が生成され、更にカップリング剤との反応で架橋点が生じ、弾性体成分のポリマー分子とIPN構造を有する。また、ポリエステル成分やポリスチレン成分とイソシアネートシロキサンが最初から共重合体であってもよい。ポリエステルを構成する酸成分は、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドテカンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸及びヘキサヒドロフタル酸等が挙げられる。また、ポリエステルを構成するのに用いられるグリコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール及びデカンジオール等が挙げられる。更に、ポリスチレン成分としては、ポリスチレン、ポリ(p−、m−、又はo−メチルスチレン)、ポリ(2,4−、2,5−、3,4−、又は3,5−ジメチルスチレン)、ポリ(p−ターシャリーブチルスチレン)等のポリ(アルキルスチレン)、ポリ(p−、m−、又はo−クロロスチレン)、ポリ(p−、m−、又はo−ブロモスチレン)、ポリ(p−、m−、又はo−フルオロスチレン)、ポリ(o−メチル−p−フルオロスチレン)等のポリ(ハロゲン化スチレン)、ポリ(p−、m−、又はo−クロロメチルスチレン)等のポリ(ハロゲン化置換アルキルスチレン)、ポリ(p−、m−、又はo−メトキシスチレン)、ポリ(p−、m−、又はo−エトキシスチレン)等のポリ(アルコキシスチレン)、ポリ(p−、m−、又はo−カルボキシメチルスチレン)等のポリ(カルボキシアルキルスチレン)、ポリ(p−ビニルベンジルプロピルエーテル)等のポリ(アルキルエーテルスチレン)、ポリ(p−トリメチルシリルスチレン)等のポリ(アルキルシリルスチレン)、更にはポリ(ビニルベンジルジメトキシホスファイド)等が挙げられる。
シロキサンとポリエステル成分及び/又はポリスチレン成分の比率は100:0〜60:40が好ましく、特には80:20〜70:30が好ましい。ポリエステル成分及び/又はポリスチレン成分が必要以上に多いと、帯電部材の耐久汚れがひどくなる傾向にある。
これまで、全て図1に係る、導電性基体の周囲に導電性弾性体層を有する帯電部材について説明してきたが、本発明に係る帯電部材は、このような構成に限定されるものでなく、本願発明の主旨を没却しない範囲で、例えば、導電性基体と導電性弾性体層との間に、硬度の調整や抵抗値の調整のための機能層を介在させてもよい。また、導電性弾性体層上に当該他の機能層を付加してもよい。このような多層構成の帯電部材であっても、該帯電部材の表面及び表面近傍のいずれか一方、若しくは両方において前記シロキサンと、前記加水分解性化合物との反応物、及び前記ゴム成分が混在している必要があり、より具体的には、該帯電部材の最表面から深さが、導電性支持体の表面から該帯電部材の最表面までの全厚さの1%、特には0.1%の領域が、該導電性弾性体層中のゴム成分と、前記シロキサン及び前記加水分解性化合物との反応物と、の双方を含むように改質処理されていることが好ましい。
また、導電性弾性体層への塗料の含浸の過程において、該導電性弾性体層表面に適用した塗料の全てが含浸されず、一部の塗料が導電性弾性体層表面に残留し、その結果として、導電性弾性体層の表面に前記シロキサン化合物と前記加水分解性化合物との反応物からなる薄層を有する構成の帯電部材が得られることもある。このような帯電部材であっても、その表面近傍において前記シロキサンと、前記加水分解性化合物との反応物、及び前記ゴム成分が混在していれば、当然本願発明の範囲内の帯電部材である。より具体的な構成としては、上記と同様に、該帯電部材の最表面から深さが、導電性支持体の表面から該帯電部材の最表面までの全厚さの1%、特には0.1%の領域が、該導電性弾性体層中のゴム成分と、前記シロキサン及び前記加水分解性化合物との反応物と、の双方を含むようなものであることが好ましい。
図2は本発明に係る帯電部材を用いた電子写真装置の概略構成の一例を示す横断面図である。1は被帯電体としての像担持体であり、本例のものはアルミニウム等の導電性基体層1bとその外周面に形成した光導電層1aを基本構成層とするドラム型の電子写真感光体である。軸1dを中心に図面上の矢印方向に所定の周速度をもって回転駆動させる。
2はこの感光体1の面に接して該感光体の面を所定の極性・電位に一様に一次帯電処理する帯電部材であり、均一な導電性が要求されている。本例はローラタイプのもの、即ち帯電ローラである。帯電ローラは前述のように中心芯金2cとその外周に形成した下層の導電性弾性体層2bと、更にその表面の組成物層2aからなり、芯金2cの両端部を不図示の押圧手段で感光体1の回転駆動に伴い従動駆動する。
かくして電源3で摺擦電源3aにより芯金2cの所定の直流(DC)バイアス、あるいは直流+交流(AC+DC)バイアスが印加されることにより回転する感光体1の周面が所定の極性・電位に接触帯電される。帯電部材2で均一に帯電処理を受けた感光体1の面は、次いで露光手段10により目的画像情報の露光(レーザービーム走査露光、原稿画像のスリット露光等)を受けることにより、その周面に画像情報に対して静電潜像が形成される。
その潜像は次いで現像手段11によりトナー画像として順次に可視画像化されていく。このトナー画像は次いで、転写手段12により不図示の給紙手段部から感光体1の回転と周期取りされて適正なタイミングをもって感光体1と転写手段12との間の転写部へ搬送された転写材14の面に順次転写されていく。
本例の転写手段12は、転写ローラであり、転写材14の裏からトナーと逆極性の帯電を行うことにより、感光体1の面側のトナー画像が転写材14の表面側に転写されていく。
トナー画像の転写を受けた転写材14は感光体1の面から分離されて不図示の像定着手段へ搬送されて像定着を受け、画像形成物として出力される。あるいは、裏面にも像形成するものでは転写部への再搬送手段へ搬送される。像転写後の感光体1の面はクリーニング手段13で転写残りトナー等の付着汚染物の除去を受けて洗浄面化されて繰り返して作像に供される。
帯電部材2は、図2で示される画像形成装置に像担持体1の帯電手段として配置したようなローラタイプ以外にも、ブレード状タイプ、ブロック状タイプ、ベルト状タイプ等の形態に構成することができる。ローラタイプの帯電部材2は、感光体1に従動駆動されてもよいし、非回転のものとさせてもよいし、感光体1の面移動方向に順方向又は逆方向に一定の周速度をもって積極的に回転駆動させるようにしてもよい。
また、電子写真装置として、上述の感光体や現像手段、クリーニング手段等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを画像形成装置本体、例えば、複写機やレーザービームプリンター等に対して着脱自在に構成してもよい。例えば、現像手段、クリーニング手段の少なくとも1つを感光体及び帯電手段と共に一体に支持してカートリッジ化し、装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジとし、画像形成装置本体のレール等の案内手段を用いて着脱自在の構成にしてもよい。このとき、上記のプロセスカートリッジの方に帯電手段及び/又は現像手段を伴ってもよい。
また光像露光は、電子写真装置を複写機プリンターとして使用する場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、原稿を読み取り信号化し、この信号によりレーザービーム走査、LEDアレイの駆動、又は液晶シャッターアレイの駆動等により行われる。
感光体は、導電性支持体の上に設けられている。導電性支持体としては、支持体自身が導電性をもつこと、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレススチール、ニッケル等の金属を用いることができ、そのほかアルミニウム、アルミニウム合金、酸化インジウム−酸化錫合金等の真空蒸着によって被覆形成された層を有するプラスチック、ガラス等を用いることができる。導電性支持体と感光層中間に、バリアー機能と接着機能をもつ下引き層を設けることもできる。
下引き層は、カゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、共重合ナイロン等)、ポリウレタン、ゼラチン、酸化アルミニウム等によって形成することができる。下引き層の膜厚は、5μm以下が好ましく、特には0.5〜3μmが好ましい。下引き層はその機能を発揮するためには、その電気抵抗値が1×107Ω・cm以上であることが好ましい。
感光層は、有機又は無機の光導電体を必要に応じてバインダー樹脂と共に塗工することによって形成でき、また蒸着によって形成することができる。感光体の形態としては、電荷発生層と電荷輸送層の機能分離型積層感光層が好ましい。
電荷発生層は、アゾ染料、フタロシアニン顔料、キノン顔料等の電荷発生材料を蒸着あるいは適当なバインダー樹脂と共に(バインダーがなくても可)塗工することによって形成できる。電荷発生層の膜厚は、0.01〜30μmが好ましく、特には0.05〜2μmが好ましい。
電荷輸送層は、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、オキサゾール化合物、トリアリールアミン化合物等の電荷輸送材料を成膜性のあるバインダー樹脂に溶解させて形成することができる。
電荷輸送層の膜厚は、5〜50μmが好ましく、特には10〜30μmが好ましい。なお、紫外線等による老化防止や耐摩耗性向上のために感光層の上に保護層を設けてもよい。
以下、本発明を実施例により図面に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらによってなんら限定されるものではない。原則として「部」は「質量部」を表す。
(実施例1)
図1に示した構成を有する帯電ローラを下記の手順で作製した。
図1に示した構成を有する帯電ローラを下記の手順で作製した。
直径6mmのステンレススチール製の導電性円柱基材(芯金)2cを用意した。また、導電性弾性層の材料として下記の各材料を加圧ニーダーで混合した。
・エピクロルヒドリン(商品名:エピクロマーCG102;ダイソー(株)製)100部
・酸化亜鉛 5部
・ステアリン酸亜鉛 1部
・カーボンブラック(商品名:N990;Thermax製) 5部
・炭酸カルシウム(商品名:シルバーW;白石工業(株)製) 30部
・老化防止剤(商品名:ノクラックNS−5;大内新興(株)製) 1部
上記混合物に、更に、下記の各材料を加えてオープンロールで混合した。
・酸化亜鉛 5部
・ステアリン酸亜鉛 1部
・カーボンブラック(商品名:N990;Thermax製) 5部
・炭酸カルシウム(商品名:シルバーW;白石工業(株)製) 30部
・老化防止剤(商品名:ノクラックNS−5;大内新興(株)製) 1部
上記混合物に、更に、下記の各材料を加えてオープンロールで混合した。
・加硫促進剤 DM 1部
・加硫促進剤 TS 1部
・イオウ 1.2部
・加硫促進剤 TS 1部
・イオウ 1.2部
このゴムを押出し成形によってチューブ状に成形した。押出し後のチューブの形崩れはなく、連続成形においてもダイスウエルは安定であり、寸法変動はなかった。このチューブを蒸気加硫によって一次加硫を160℃にて30分間行い、更に電気炉によって二次加硫を160℃にて2時間行って、チューブ状の導電性弾性層を得た。このチューブ状導電性弾性層を、接着剤を塗布した上記芯金に圧入し、研磨して直径8.5mmの、芯金の周囲に導電性弾性層を有する帯電ローラを得た。
続いて、酢酸エチル/トルエン(質量比25/1)に対して末端イソシアネートシロキサン(HOC3H6O[SiO(CH3)2]C3H6NCO)とポリエステル成分(テレフタルサン成分8.2モル%、イソフタル酸成分26.2モル%、セバシン酸成分13.1モル%、エチレングリコール成分16.4モル%及びネオペンチルグリコール成分36.4モル%)及び加水分解性Si化合物として3−(メタクリロキシ)プロピルトリメトキシシランを含み固型分が約2質量%になるように調整した処理液に、上記帯電ローラを浸漬した。ここで浸漬時間は60秒間とし、その後30分間風乾した後、電気炉によって120℃で30分間熱処理を行った。このようにして得られた帯電ローラの抵抗値は、図3に示す装置を用いて、弾性ローラの導電性芯金2cの両端に各々500gの加重をかけて、アルミニウムドラム31を回転させながら測定した。32は電流計である。電気抵抗値は、15℃/10%R.H.の環境下に24時間放置後、直流電圧2kVの印加で3.29×106Ωであった。
上記で得た帯電ローラを、電子写真装置(商品名:LBP5500;キヤノン(株)製)の帯電ローラとして組み込み、この電子写真装置を用いて、15℃/10%R.H.の環境下で、乾燥紙上にハーフトーン画像を形成し、その画像を評価した。
その結果、乾燥紙上のハーフトーン画像は、目視での評価で極めて高品位なものであった。更に、連続10000枚通紙の耐久評価をしたところ、帯電ローラ汚れによる画像不良は発生しなかった。
次に、本実施例に係る帯電ローラの新品を、40℃/95%R.H.の環境下で有機感光体と総圧1kg加重で圧接して2週間放置したところ、感光ドラム汚染やソルベントクラックは発生しなかった。
(実施例2)
エピクロルヒドリンゴムを商品名:エピクロマーCG105(ダイソー(株)製)にした以外は、実施例1と同様にして帯電ローラを得た。得られた帯電ローラの抵抗値は、6.02×106Ωであった。
エピクロルヒドリンゴムを商品名:エピクロマーCG105(ダイソー(株)製)にした以外は、実施例1と同様にして帯電ローラを得た。得られた帯電ローラの抵抗値は、6.02×106Ωであった。
実施例1と同様に上記帯電ローラを組み込んだ電子写真装置を用いて、実施例1と同様に評価した結果、良好な画像が得られた。更に、連続10000枚通紙の耐久評価をしたところ、帯電ローラ汚れによる画像不良は発生しなかった。
次に、本実施例に係る帯電ローラの新品を、40℃/95%R.H.の環境下で有機感光体と総圧1kg加重で圧接して2週間放置したところ、感光ドラム汚染やソルベントクラックは発生しなかった。
(実施例3)
導電弾性体層を実地例1と同様にして作製した後、続いて、酢酸エチル/トルエン(質量比25/1)に対して末端イソシアネートシロキサン(HOC3H6O[SiO(CH3)2]C3H6NCO)とポリスチレン成分及び加水分解性Si化合物としてメチルトリス(メチルエチルケトオキシム)を含み固型分を約5質量%に調整した処理液に上記帯電ローラを浸漬した。ここで浸漬時間は60秒間とし、その後30分間風乾した後電気炉によって120℃で30分間熱処理を行った。このようにして得られた帯電ローラの抵抗値は、3.43×106Ωであった。
導電弾性体層を実地例1と同様にして作製した後、続いて、酢酸エチル/トルエン(質量比25/1)に対して末端イソシアネートシロキサン(HOC3H6O[SiO(CH3)2]C3H6NCO)とポリスチレン成分及び加水分解性Si化合物としてメチルトリス(メチルエチルケトオキシム)を含み固型分を約5質量%に調整した処理液に上記帯電ローラを浸漬した。ここで浸漬時間は60秒間とし、その後30分間風乾した後電気炉によって120℃で30分間熱処理を行った。このようにして得られた帯電ローラの抵抗値は、3.43×106Ωであった。
実施例1と同様に上記帯電ローラを組み込んだ電子写真装置を用いて、実施例1と同様に評価した結果、良好な画像が得られた。更に、連続10000枚通紙の耐久評価をしたところ、帯電ローラ汚れによる画像不良は発生しなかった。
次に、本実施例に係る帯電ローラの新品を、40℃/95%R.H.の環境下で有機感光体と総圧1kg加重で圧接して2週間放置したところ、感光ドラム汚染やソルベントクラックは発生しなかった。
(実施例4)
エピクロルヒドリンゴムを商品名:エピクロマーCG105(ダイソー(株)製)にした以外は、実施例3と同様にして帯電ローラを得た。得られた帯電ローラの抵抗値は、6.15×106Ωであった。
エピクロルヒドリンゴムを商品名:エピクロマーCG105(ダイソー(株)製)にした以外は、実施例3と同様にして帯電ローラを得た。得られた帯電ローラの抵抗値は、6.15×106Ωであった。
実施例1と同様に上記帯電ローラを組み込んだ電子写真装置を用いて、実施例1と同様に評価した結果、良好な画像が得られた。更に、連続10000枚通紙の耐久評価をしたところ、帯電ローラ汚れによる画像不良は発生しなかった。
次に、本実施例に係る帯電ローラの新品を、40℃/95%R.H.の環境下で有機感光体と総圧1kg加重で圧接して2週間放置したところ、感光ドラム汚染やソルベントクラックは発生しなかった。
(実施例5)
加水分解性Si化合物を、加水分解性Al化合物であるトリメトキシアルミニウムに変えた以外は実施例1と同様にして調製した処理液を用いて、実施例1と同様の方法で帯電ローラを得た。得られた帯電ローラの抵抗値は、2.56×106Ωであった。
加水分解性Si化合物を、加水分解性Al化合物であるトリメトキシアルミニウムに変えた以外は実施例1と同様にして調製した処理液を用いて、実施例1と同様の方法で帯電ローラを得た。得られた帯電ローラの抵抗値は、2.56×106Ωであった。
実施例1と同様に上記帯電ローラを組み込んだ電子写真装置を用いて、実施例1と同様に評価した結果、良好な画像が得られた。更に、連続10000枚通紙の耐久評価をしたところ、帯電ローラにわずかながらトナー付着が発生したが画像不良は発生しなかった。
次に、本実施例に係る帯電ローラの新品を、40℃/95%R.H.の環境下で有機感光体と総圧1kg加重で圧接して2週間放置したところ、感光ドラム汚染やソルベントクラックは発生しなかった。
(比較例1)
処理液による表面処理を行わない以外は、実施例1と同様にして帯電ローラを作製した。得られた帯電ローラの抵抗値は、2.51×106Ωであった。
処理液による表面処理を行わない以外は、実施例1と同様にして帯電ローラを作製した。得られた帯電ローラの抵抗値は、2.51×106Ωであった。
実施例1と同様に上記帯電ローラを組み込んだ電子写真装置を用いて、実施例1と同様にして評価した結果、帯電不均一による横すじが発生した。更に、連続10000枚通紙の耐久評価をしたところ、1000枚通紙で帯電ローラ汚れによる画像不良が発生した。
次に、本実施例に係る帯電ローラの新品を、40℃/95%R.H.の環境下で有機感光体と総圧1kg加重で圧接して2週間放置したところ、感光ドラムに弾性体層からの染み出し物に起因されるソルベントクラックが発生した。
(比較例2)
処理液による表面処理を行わない以外は、実施例2と同様にして帯電ローラを作製した。得られた帯電ローラの抵抗値は、4.08×106Ωであった。
処理液による表面処理を行わない以外は、実施例2と同様にして帯電ローラを作製した。得られた帯電ローラの抵抗値は、4.08×106Ωであった。
実施例1と同様に上記帯電ローラを組み込んだ電子写真装置を用いて、実施例1と同様にして評価した結果、帯電不均一による横すじが発生した。更に、連続10000枚通紙の耐久評価をしたところ、1000枚通紙で帯電ローラ汚れによる画像不良が発生した。
次に、本実施例に係る帯電ローラの新品を、40℃、95%R.H.の環境下で有機感光体と総圧1kg加重で圧接して2週間放置したところ、感光ドラムに弾性体層からの染み出し物に起因されるソルベントクラックが発生した。
(比較例3)
処理液としてイソシアネート(商品名:MDI;大日本インキ社製)の10%酢酸エチル溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして帯電部材を調製した。得られた帯電ローラの抵抗値は、3.65×106Ωであった。本比較例に係る帯電ローラの新品を、40℃/95%RHの環境下で有機感光体と総圧1kg荷重で圧接して2週間放置したところ、有機感光体に導電性弾性体層からの浸出物に起因するソルベントクラックが発生した。
処理液としてイソシアネート(商品名:MDI;大日本インキ社製)の10%酢酸エチル溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして帯電部材を調製した。得られた帯電ローラの抵抗値は、3.65×106Ωであった。本比較例に係る帯電ローラの新品を、40℃/95%RHの環境下で有機感光体と総圧1kg荷重で圧接して2週間放置したところ、有機感光体に導電性弾性体層からの浸出物に起因するソルベントクラックが発生した。
1 感光ドラム
1a 光導電層
1b 導電性基体層
1d 軸
2 帯電部材
2a 組成物層
2b 導電性弾性体層
2c 芯金
3 電源
3a 摺擦電源
10 露光手段
11 現像手段
12 転写手段
13 クリーニング手段
14 転写材
31 アルミニウムドラム
32 電流計
1a 光導電層
1b 導電性基体層
1d 軸
2 帯電部材
2a 組成物層
2b 導電性弾性体層
2c 芯金
3 電源
3a 摺擦電源
10 露光手段
11 現像手段
12 転写手段
13 クリーニング手段
14 転写材
31 アルミニウムドラム
32 電流計
Claims (8)
- 電子写真装置内に配置され、電圧が印加された状態で被帯電体面の帯電処理を行う、改質された導電性弾性体層を備えている帯電部材において、該導電性弾性体層は、架橋されたゴム成分を含み、且つ該帯電部材の表面及び表面近傍の何れか一方、或いは両方が、末端にイソシアネート基を有するシロキサンと、下記一般式(1)で示される構造を有する加水分解性化合物との反応物と該ゴム成分との双方を含んでいることを特徴とする帯電部材:
一般式(1)
(R4)xM(R5)p−x
(上記式中、R4は加水分解性基を示し、Mは価数がpである元素を示し、p及びxは、独立に3以上の整数を示し、R5は一価の有機基を示す)。 - 前記一般式(1)中、Mが、Si、Ti、Al、Sn及びZrから選ばれる何れかの元素である請求項1に記載の帯電部材。
- 前記一般式(1)中、Mが、Siであり、xが3、pが4である請求項1又は2に記載の帯電部材。
- 前記反応物が、ポリエステル成分及びポリスチレン成分のどちらか一方或いは両方を有している請求項1〜3のいずれかに記載の帯電部材。
- 前記シロキサンが、分子内に前記ポリエステル成分及びポリスチレン成分のどちらか一方或いは両方を有している請求項4に記載の帯電部材。
- 前記反応物と、前記ゴム成分と、が相互貫入高分子網目(IPN)構造を形成している請求項1〜5のいずれかに記載の帯電部材。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の帯電部材を具備していることを特徴とする電子写真装置。
- 電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電する帯電部材と、を一体に保持し、電子写真装置本体に着脱自在に構成されているプロセスカートリッジにおいて、該帯電部材が、請求項1〜6のいずれかに記載の帯電部材であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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