JP2006038445A - マーキングボール発射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来のマーキングボール発射装置では、部品点数が多くなって装置が大型し、発射装置の作動用電源が必要となるため、発射装置は設置タイプに構成せざるを得ず、携帯に適した形態に構成することは困難であった。
【解決手段】一端から他端にかけてガス通路11aが形成される本体部10と、圧縮気体が充填されたガスボンベ22を収納し、本体の一端側に装着されるホルダー部20と、マーキングボール33が装填され、本体部の他端側に装着されるバレル部30とを備え、本体部には、ガスボンベの開封手段であるピストン13、および該ピストンの操作レバー12が設けられ、本体部のガス通路は、ガスホルダー部とバレル部とにより密封されており、操作レバーの操作によりガスボンベが開封されると、ガスボンベ内の圧縮気体が本体部のガス通路内に充満し、充満した圧縮気体の圧力により、バレル部に装填されるマーキングボールがバレル部外部へ発射される。
【選択図】図1

Description

本発明は、銀行強盗等の突発事件が発生した場合に、逃走する犯人や車等を識別するためのマーキングボールを発射させるマーキングボール発射装置に関する。
従来、例えば、金融機関やコンビニエンスストア等にて強盗等の突発事件が発生した場合、逃走する犯人や車等を識別するためにマーキングボールを用いることがある。マーキングボールはカラーボールとも呼ばれ、一般的に直径数十mm程度の略球形のカプセル内に着色された油性の溶液が封入されたものであり、このマーキングボールを犯人や車等の識別対象、又はその近傍へ向かって投げつけることでカプセルが破壊して、封入された溶液が識別対象に付着し、追跡の目印となって事後の発見を容易にすることが可能となる。
このように、マーキングボールは識別対象を識別するために有効であり、金融機関やコンビニエンスストアに設置されるのみならず、各種店舗に備えられたり、個人の防犯用グッズとして持ち歩いたり、といったように広く用いられている。
そして、このようなマーキングボールは、金融機関の行員やコンビニエンスストア等の店舗の店員等といったように、各個人が識別対象となる犯人またはその近傍へ手で投げつけるものである。
しかし、強盗等の突発的な事件が発生した状況において、人の手で正確にコントロールして識別対象へ向けて投げつけることは、相当の訓練を積んだ者であっても困難であり、必ずしも効果的なマーキングを行うことができるものではない。
そこで、識別対象やその近傍へのマーキングボールの投擲を、簡単な操作で比較的精度良く行うことができるマーキングボールの発射装置が考案されている(特許文献1参照)。
特開2000−331257号公報
前述の特許文献1に記載されている発射装置は、圧搾空気の圧力を利用してマーキングボールを発射させるものであるが、空気室と犯人識別弾の収容室とを分断している隔壁を電磁シリンダの作動により破壊して、該空気室と収容室を連通させて、圧搾空気の圧力により犯人識別弾を発射するように構成していたり、空気室への圧搾空気の注入・排出を行うための弁体等が設けられていたりするので、部品点数が多くなって装置が大型するとともに、発射装置を作動させるために電源が必要となるため、発射装置は設置タイプに構成せざるを得ず、携帯に適した形態に構成することは困難であった。
そこで、簡単な構造で小型軽量に構成でき、マーキングボールの高精度な投擲を実現しながら携帯が可能なマーキングボール発射装置、および識別対象の発見、識別を容易に行うことができる識別システムを提供するものである。
上記課題を解決するマーキングボール発射装置および識別システムは、以下の特徴を有する。
即ち、請求項1記載の如く、一端から他端にかけてガス通路が形成される本体部と、圧縮気体が充填されたボンベを収納し、本体の一端側に装着されるガスホルダー部と、マーキングボールが装填され、本体の他端側に装着されるバレル部とを備え、前記本体部には、ガスホルダー内のボンベの開封手段、および該開封手段を操作する操作手段が設けられ、前記本体部のガス通路は、ガスホルダー部とマーキングボールが装填されたバレル部とにより密封されており、操作手段の操作によりボンベが開封されると、ボンベ内の圧縮気体が本体のガス通路内に充満し、充満した圧縮気体の圧力により、バレル部に装填されるマーキングボールがバレル部外部へ発射される。
これにより、簡単な構造で小型軽量に構成でき、マーキングボールの高精度な投擲を実現しながら携帯が可能なマーキングボール発射装置を構成することができる。
また、請求項2記載の如く、前記ガスホルダー部内のボンベの開封部は、本体部のガス通路内に面しており、前記ボンベの開封手段は、本体部のガス通路内に摺動自在に嵌装され、付勢手段によりガスホルダー部側へ付勢されるピストンであって、該ピストンのガスホルダー部側端部には、ガスホルダー部側に突出する尖端を備えた突起部が形成されるとともに、ガス通路におけるピストンよりガスホルダー部側に位置する部分とバレル部側に位置する部分とを連通する連通孔が形成されており、前記操作手段は、ピストンの摺動方向への移動可能状態と移動不能状態とを切り換える操作具であり、操作具の操作によりピストンを摺動不能状態から摺動可能状態へ切り換えると、該ピストンが付勢手段の付勢力によりガスホルダー部側へ移動して、該ピストンの突起部がボンベの開封部を打ち破ってボンベを開封し、開封されたボンベから放出される圧縮気体が、ピストンの連通孔を通じてガス通路のピストンよりガスホルダー部側に位置する部分からバレル部側に位置する部分へ侵入する。
これにより、簡単な操作でボンベを開封してマーキングボールを確実に発射することが可能となり、マーキングボール発射装置の信頼性を高めることができる。
また、請求項3記載の如く、前記バレル部には、複数個のマーキングボールが装填されている。
これにより、識別対象に対する狙いが若干ずれたとしても、何れかのマーキングボールが識別対象に当たり易くなり、マーキングボーの識別対象に対する命中確立を向上させることが可能となる。
また、請求項4載の如く、前記マーキングボール発射装置には通信端末装置が装着可能であり、操作手段を操作してマーキングボールを発射させると、マーキングボールが発射された旨の情報および該マーキングボール発射装置に固有の情報が、装着された通信端末装置から予め設定されている送信先へ送信される。
これにより、送信先にて、マーキングボールがどのマーキングボール発射装置から何時、何処で発射されたのか、といったような事象を特定、把握することができ、マーキングボールが当たった識別対象を識別、拘束するために有益な情報を容易に得ることが可能となる。
また、請求項5載の如く、前記通信端末装置はデータ通信機能を有し、さらに撮像機能、音声記録機能、および位置情報取得機能、の少なくとも一つの機能を有する。
これにより、強盗等の突発事件が発生した現場の状況や現場にいる識別対象を画像や音声で直接捕らえたり、マーキングボールの発射場所を正確に把握したりすることができ、識別対象の識別、拘束を、より容易に行うことが可能となる。
また、請求項6載の如く、マーキングボール内には複数種類の成分を含む被識別剤が充填されており、被識別剤の各成分の含有率が異なる複数のマーキングボールが存在し、マーキングボール発射装置に装着されているマーキングボールにおける被識別剤の各成分の含有率と、そのマーキングボール発射装置に固有の情報とを対応付けた情報が、前記送信先の記憶装置に記憶されている。
これにより、何時、何処で、どのマーキングボール発射装置からマーキングボールが発射されたかを特定することができるとともに、被識別剤が付着した識別対象が現在何処にいるかも容易に把握することができ、識別対象の識別、拘束をさらに確実に行うことが可能となる。
また、請求項7載の如く、識別システムは、請求項1〜4の何れかに記載のマーキングボール発射装置と、マーキングボール発射装置に装着した通信端末装置と、通信端末装置と通信可能なサーバと、サーバと接続されるデータベースとを備え、マーキングボール発射装置がマーキングボールを発射すると、マーキングボールが発射された旨の情報および該マーキングボール発射装置に固有の情報が、通信端末装置から予め設定されている送信先へ送信される。
これにより、送信先にて、マーキングボールがどのマーキングボール発射装置から何時、何処で発射されたのか、といったような事象を特定、把握することができ、マーキングボールが当たった識別対象を識別、拘束するために有益な情報を容易に得ることが可能となる。
また、請求項8載の如く、前記通信端末装置はデータ通信機能を有し、さらに撮像機能、音声記録機能、および位置情報取得機能、の少なくとも一つの機能を有する。
これにより、強盗等の突発事件が発生した現場の状況や現場にいる識別対象を画像や音声で直接捕らえたり、マーキングボールの発射場所を正確に把握したりすることができ、識別対象の識別、拘束を、より容易に行うことが可能となる。
また、請求項9載の如く、マーキングボール内には複数種類の成分を含む被識別剤が充填されており、被識別剤の各成分の含有率が異なる複数のマーキングボールが存在し、マーキングボール発射装置に装着されるマーキングボールにおける被識別剤の各成分の含有率と、そのマーキングボール発射装置に固有の情報とを対応付けた情報が、前記送信先の記憶装置に記憶されている。
これにより、何時、何処で、どのマーキングボール発射装置からマーキングボールが発射されたかを特定することができるとともに、被識別剤が付着した識別対象が現在何処にいるかも容易に把握することができ、識別対象の識別、拘束をさらに確実に行うことが可能となる。
本発明によれば、簡単な構造で小型軽量に構成でき、マーキングボールの高精度な投擲を実現しながら携帯が可能なマーキングボール発射装置を構成することができる。
また、簡単な操作でボンベを開封してマーキングボールを確実に発射することが可能となり、マーキングボール発射装置の信頼性を高めることができる。
さらに、何時、何処で、どのマーキングボール発射装置からマーキングボールが発射されたかを特定することができるとともに、被識別剤が付着した識別対象が現在何処にいるかも容易に把握することができ、識別対象の識別、拘束を確実に行うことが可能となる。
次に、本発明を実施するための形態を、添付の図面を用いて説明する。
本発明にかかるマーキングボール発射装置は、金融機関やコンビニエンスストア等の店舗等に備え付けられたり、警備員等に携帯されたりするものであり、強盗等の突発事件が発生した場合に、逃走する犯人や車等を識別するためのマーキングボールを発射するものである。
また、マーキングボールを発射した場合には、発射日時や発射場所等を特定して配信・記録することが可能となっている。
図1に示すように、マーキングボール発射装置1は、本体部10と、該本体部10の一端側に配置されるガスホルダー部20と、本体部の他端側に配置されるバレル部30とを備えている。
図2に示すように、本体部10は、ガス通路11aが形成される本体ボディ11と、該ガス通路11a内に摺動自在に嵌装されるピストン13と、マーキングボールの発射操作を行うための操作レバー12とを備えている。
また、本体ボディ11には、マーキングボール33を発射する際に、発射目標へ向かって照射するレーザー照準器15がブラケット16を介して装着されている。
前記ピストン13のガスホルダー部20側端部には、ガスホルダー部20側に突出する尖端を備えた突起部13bが形成されるとともに、ガス通路11aのピストン13よりもガスホルダー部20側に位置する部分とバレル部30側に位置する部分とを連通する連通孔13cが形成されている。
また、ピストン13は、ピストンスプリング14によりガスホルダー部20側へ付勢されている。
操作レバー12は、支点12bを中心に回動可能であり、支点12bより一側に位置するレバー部12aがレバースプリング17により外側へ付勢されている。操作レバー12の支点12bより他側に位置する部分には、内側へ突出するストッパピン12dが設けられており、該ストッパピン12dはレバースプリング17により内側へ付勢されて、ピストン13の外周部に形成されるストッパ穴13dに嵌合している。
この、ストッパピン12dがストッパ穴13dに嵌合している状態では、ピストン13はピストンスプリング14の付勢力に抗してガス通路11aの左側部分に位置しており、ストッパピン12dのストッパ穴13dに対する嵌合状態が解除されると、ピストン13はピストンスプリング14の付勢力によりガス通路11a内を右向へ移動する。
ガスホルダー部20は、ホルダー21に形成されるボンベ収納室21aに、炭酸ガス等の圧縮気体が充填されたガスボンベ22を収納して構成されており、ホルダー21の一端部に開口するボンベ収納口21bはキャップ23により閉塞されている。
ガスボンベ22は着脱可能に収納されており、キャップ23を取り外した状態で、ボンベ収納口21bからボンベ収納室21への着脱を行う。
ホルダー21の他端部は本体ボディ11に螺装されており、該ホルダー21の他端部には連通口21cが開口している。
該連通口21cにはガスボンベ22の開封口22aが挿入されており、該開封口22aと本体ボディ11のガス通路11aとが連通している。
バレル部30は、筒状に形成されるバレル31の基端部(本体ボディ11側端部)に、複数個のマーキングボール33が直列に詰められたシェルカートリッジ32を嵌装して構成されており、本体ボディ11の他端側に着脱可能に装着されている。
図3に示すように、バレル31の基端部にはL字状のロック孔31bが形成されており、本体ボディ11の他端部において径方向内側に突出するバレルロックピン18と該ロック孔31bの装着孔31cとを嵌合させながらバレル31を本体ボディ11に挿入した後、バレル31を本体ボディ11に対して回転させてバレルロックピン18とロック孔31bの係合孔31dとを係合させることで、バレル31を本体ボディ11に装着している。
マーキングボール33は、ゼラチン皮質等の弱弾性物質にて略球形に形成された外皮の内部に被識別剤を充填して構成したものであり、充填される被識別剤は、油、水、色素、香料、珪素、セラミックス等を含んでいる。
マーキングボール33の外皮は薄膜に形成されており、発射されたマーキングボール33が識別対象に当たった場合には容易に破れて、充填された被識別剤が容易に識別対象に付着することが可能となっている。また、識別対象に当たったときの衝撃は軽微なものとなっている。
このように構成されるマーキングボール発射装置1の作動について説明する。
まず、マーキングボール33を発射させるための事前準備として、以下の作業を行う。
ストッパピン12dとストッパ穴13dとの嵌合状態が解除されていて、ピストン13がピストンスプリング14の付勢力によりガス通路11aの右側部分に位置している状態となっているときには、ピストン13を発射可能状態にセットする。
つまり、図4に示すように、ホルダー21のキャップ23を取り外し、ホルダー21のボンベ収納口21bから棒状部材または管状部材41を挿入して、該管状部材等41によりピストン13を左方向へ押し込む。この場合、操作レバー12は、レバー部12aを押さえてストッパピン12dがガス通路11a内に突出しないようにしておく。ピストン13を押し込んで、ストッパ穴13dとストッパピン12dとの位置が合うと、レバー部12aから手を離してストッパピン12dをストッパ穴13dに嵌合させて、ピストン13をガス通路11aの左側部分に保持させる。
また、管状部材等41をホルダー21内に挿入してピストン13を押し込む場合、単に管状部材等41を押し込むだけでなく、管状部材等41の外周部に螺子を切り、この螺子とホルダー21のキャップ23を螺装する部分に形成される螺子部とを螺合させて、該管状部材等41を回転操作することにより、管状部材等41をピストン13方向へ進行させるように構成することもできる。
これにより、大きな力を加えることなくピストン13を発射可能状態にセットすることが可能となる。
また、操作レバー12に形成される安全ピン挿入孔12cに安全ピン(図示せず)を挿入する。この安全ピンは、安全ピン挿入孔12cに挿入することで、ストッパピン12dがストッパ穴13dと嵌合している状態に操作レバー12の位置を固定するものであり、不意に操作レバー12が操作されてピストン13がホルダー21側へ移動することを防止するものである。
ピストン13を発射可能状態にセットして安全ピンにより操作レバー12を固定した後に、ホルダー21のボンベ収納室21aにガスボンベ22を挿入し、ボンベ収納口21bにキャップ23を螺装して閉塞する。
次に、複数個のマーキングボール33が直列に詰められたシェルカートリッジ32をバレル31の基端部に挿入して、シェルカートリッジ32を挿入したバレル31を本体ボディ11の他端側に装着する。
このように、ピストン13、ガスボンベ2、およびマーキングボール33がセットされた状態(図2に示す状態)から、前記安全ピンを引き抜くと発射準備が完了する。
次に、事前準備が完了したマーキングボール発射装置1の発射動作について説明する。
まず、ガスホルダー部20のホルダー21に貼設されているレーザー照準器15のスイッチ15aを押して、該レーザー照準器15からレーザー光を発射させ、発射されたレーザー光を目標に向けて照準を合わせる。
照準を合わせながら操作レバー12のレバー部12aを押し下げると、ストッパ穴13dとストッパピン12dとの係合状態が解除される。
ピストン13は、ピストンスプリング14によりガスホルダー部20側へ付勢されているので、ストッパピン12dがストッパ穴13dから抜け出して両者の係合状態が解除されると、ピストン13は勢い良くガスホルダー部20側へ移動する。
図5に示すように、ピストン13がガスホルダー部20側へ移動すると、該ピストン13の突起部13bがガスボンベ22の開封口22aに当接して、該開封口22aの風板22bを打ち抜き、風板22bが打ち抜かれたガスボンベ22からは圧縮気体が放出される。放出された圧縮気体は、ピストン13の連通孔13cを通じて、ピストン13よりバレル31側のガス通路11aに案内され、該ガス通路11aおよびシェルカートリッジ32に隣接するガスプール11c内に充満する。
図6に示すように、ガス通路11aおよびガスプール11c内に充満した圧縮気体の圧力により、シェルカートリッジ32内のマーキングボール33が推進力を得て押し出される。押し出されるマーキングボール33はシェルカートリッジ32から抜け出し、バレル31内においてさらに加速され、バレル31開放口31aから発射される。
図7に示すように、シェルカートリッジ32の内径R1は、マーキングボール33の直径R2よりも若干小さく形成されており、マーキングボール33は弱弾性を有しているため、シェルカートリッジ32に詰められたマーキングボール33は若干扁平に歪んだ形状となって、マーキングボール33とシェルカートリッジ32とが密着した状態となっている。従って、ガスプール11c内に充満した圧縮気体がマーキングボール33とシェルカートリッジ32との間から漏れ出ることもなく、マーキングボール33を効率的に発射することが可能となっている。
また、バレル31の内径R3はマーキングボール33の直径R2よりも大きく形成されており、シェルカートリッジ32から押し出されたマーキングボール33は、バレル31内を通過する間に扁平に歪んだ形状から球形状へ戻ることができるため、発射されたマーキングボール33の直進性を損なうことがない。
さらに、マーキングボール発射装置1では、特許3020739号に示すように、発射速度を低下させることなくマーキングボール33にスライス回転を付与する等して、発射されたマーキングボール33の射程距離や直進性を高めることができる。
以上のように、マーキングボール発射装置1は、一端から他端にかけてガス通路11aが形成される本体ボディ11を供えた本体部10と、圧縮気体が充填されたガスボンベ22を収納するホルダー21を備え、本体部10の一端側に装着されるガスホルダー部20と、マーキングボール33が装填されたバレルを備え、本体部10の他端側に装着されるバレル部30とを備え、前記本体ボディ11にはガスボンベ22の開封手段であるピストン13、および該ピストン13を操作する操作レバー12が設けられ、前記本体ボディ11のガス通路11aは、ホルダー21とマーキングボール33が装填されたバレル31とにより密封されており、操作レバー12の操作によりガスボンベ22が開封されると、ガスボンベ22内の圧縮気体が本体ボディ11のガス通路11a内に充満し、充満した圧縮気体の圧力により、バレル31に装填されるマーキングボール33がバレル31外部へ発射されるように構成されている。
これにより、マーキングボール発射装置1は、簡単な構造で小型軽量に構成でき、マーキングボールの高精度な投擲を実現しながら携帯が可能なマーキングボール発射装置に構成することが可能となっている。
また、マーキングボール発射装置1においては、ガスボンベ22の開封部である開封口22aの風板22bガス通路11a内に面しており、ピストン13のホルダー21側端部には、ホルダー21側に突出する尖端を備えた突起部13bが形成されるとともに、連通孔13cが形成されており、ピストン13の摺動方向への移動可能状態と移動不能状態とを切り換える操作レバー12の操作によりピストン13を摺動不能状態から摺動可能状態へ切り換えると、該ピストン13がピストンスプリング14の付勢力によりホルダー21側へ移動してガスボンベ22の風板22bを打ち破ってガスボンベ22を開封し、開封されたガスボンベ22から放出される圧縮気体が、ピストン13の連通孔13cを通じてガス通路11aのピストン13よりホルダー21側に位置する部分からバレル31側に位置する部分へ侵入するように構成している。
これにより、簡単な操作でガスボンベ22を開封してマーキングボール33を確実に発射することが可能となっており、マーキングボール発射装置1の信頼性を高めている。
また、マーキングボール発射装置1のバレル31には、複数個(本実施例では3個)のマーキングボール33が装填されており、特にマーキングボール発射装置1から識別対象までの距離が離れている場合には、複数のマーキングボール33は互いに若干の間隔を空けて飛んでいくこととなるので、識別対象に対する狙いが若干ずれたとしても、何れかのマーキングボール33が識別対象に当たり易くなり、マーキングボー33の識別対象に対する命中確立を向上させることが可能となっている。
ここで、図8に示すように、本体ボディ11には携帯電話端末やPHS端末等の小型通信端末51が装着されており、操作レバー12のレバー部12aと本体ボディ11との間には、小型通信端末51の発信スイッチ52が配置されている。
該発信スイッチ52は、レバー部12aを押し下げるとオンするように構成されており、発信スイッチ52がオンすると小型通信端末51からの発信がなされる。
このように、小型通信端末51をマーキングボール発射装置1に装着することで、マーキングボールを識別対象へ発射した場合に、発射日時や発射場所等の各種情報を配信・記録・蓄積等して、マーキングボール33の被識別剤が付着した識別対象の発見および識別を容易に可能とする識別システムを構成することができる。
つまり、図9に示すように、マーキングボール33の発射と略同時に、小型通信端末51から、各マーキングボール発射装置1に固有の識別記号、マーキングボール33が発射された旨、発射時刻、および発射エリア等に関する情報を通信網Nを通じて、予め設定されている送信先であるデータステーション61のサーバ62へ向けて発信し、小型通信端末51から発信された各種情報を受け取ったサーバ62では、当該情報を適宜処理してデータベース63に格納し、格納された情報を用いて識別対象の発見、識別を行う識別システムを構成することができる。
この場合、発射時刻情報は、小型通信端末51またはマーキングボール発射装置1が備える時計機能により取得する。また、発射エリア情報は、小型通信端末51が例えばPHSである場合には、その小型通信端末51がどの中継アンテナのカバーエリアに位置しているかを識別することで取得する。小型通信端末51GPS等の位置情報取得機能を備えているときには、マーキングボール33の発射場所をさらに正確に把握することが可能である。
また、小型通信端末51が撮像機能を備えている場合には、マーキングボール33の発射時および発射前後に撮影した現場の画像情報も同時に発信することが可能であり、音声記録機能を備えている場合には、マーキングボール33の発射時および発射前後に録音した現場の音声情報も同時に発信することが可能である。
さらに、緊急事態が発生した旨のメールの送信や、緊急連絡先への前記各種情報の送信等を行うことも可能である。
また、マーキングボール33内に充填されている被識別剤は複数種類の成分が含まれているが、被識別剤の構成成分としては、例えば磁気センサの役割を果たすフェライト等の磁性体、明るい場所では蓄光して暗闇で光を発する蓄光塗料、紫外光を発するブラックライト等に反応して光る蛍光塗料、および特定の香りを有する香料等の成分が考えられる。
この特定の香りを有する香料としては、例えば、訓練された犬等の動物には匂いを感じることができるが、人には匂いが感じられないといった特性を備える香料等がある。
これらの被識別剤の構成成分としては、通常人間の五感ではその存在を感じ取ることが難しいが、特定の条件が揃うとその存在を発見、識別することができるものが好ましく、このような成分を用いることでマーキングボール33にステルス性を備えさせることができる。
つまり、識別対象に被識別剤が付着した場合、例えば昼間の屋外の場所等では識別対象に被識別剤が付着していることを認識することができないが、識別対象が磁気検出器や紫外光発生器の近傍を通過したとき、または暗闇の中に侵入したとき等に被識別剤の付着を認識することができたり、匂いを感じる動物等が反応したりする特性を付与することができるものである。
さらに、マーキングボール33内に充填されている被識別剤に含まれる複数種類の成分の含有率を、マーキングボール33毎に変化させることで、マーキングボール発射装置1とマーキングボール33とを対応付けることが可能となる。
例えば、被識別剤が5種類の異なった成分A・B・C・D・Eを含んでいる場合、各成分A・B・C・D・Eの含有率をそれぞれ5水準の含有率に異ならせると(成分Aについては含有率a1〜a5、成分Bについては含有率b1〜b5、成分Cについては含有率c1〜c5、成分Dについては含有率d1〜d5、成分Eについては含有率e1〜e5)、3125通り(5(成分)の5(水準)乗=3125)の異なった成分の含有率のマーキングボール33を構成することができる。例えば、あるマーキングボール33は被識別剤を構成する成分が「A(a1)+B(b1)+C(c1)+D(d1)+E(e1)」であり、別のマーキングボール33では被識別剤を構成する成分が「A(a1)+B(b2)+C(c3)+D(d4)+E(e5)」となる。なお、ここで、X(x1)は、成分Xの含有率がx1であることを意味している。
そして、前記データベース63には、マーキングボール発射装置1に装着されるマーキングボール33の構成成分率と、そのマーキングボール発射装置1に付与されている固有の識別記号とが対応付けて記憶されている。
また、各マーキングボール発射装置1がどの場所に設置されまたは誰が携帯しているかの情報がデータベース63に記憶されている。
さらに、各マーキングボール発射装置1に装填されるマーキングボール33の成分含有率を、マーキングボール発射装置1の配置場所や地域に応じて異ならせている。
また、磁気検出器や紫外線発生器等といった、マーキングボール33の被識別剤に含まれる各成分の検出器65が、電柱や街灯の柱、各種施設・店舗・建物内外、および有料道路の料金所等の、屋内・屋外の適宜箇所に設置され、または警察官、警備員、および防犯担当者等の人物に適宜携帯されており、被識別剤が付着した識別対象がこの検出器65の近傍を通過すると、検出器65が各成分を検出できるようになっている。
被識別剤の成分を検出した検出器65は、成分を検出した旨、および各成分の含有率に関する情報を、通信網Nを通じてサーバ62へ送信する。サーバ62では、受信した情報に含まれる各成分の含有率と、記憶装置であるデータベース63に記憶されている被識別剤の各成分の含有率情報とを照合して、各成分の含有率が一致するマーキングボール33に対応するマーキングボール発射装置1を特定する。
これにより、識別対象に付着している被識別剤が充填されていたマーキングボール33が、どのマーキングボール発射装置1から発射されたかを特定することができる。
さらに、各マーキングボール発射装置1には、どの場所に設置され、または誰が形態しているかの固有情報が付与されてデータベース63に記憶されており、マーキングボール33を発射したマーキングボール発射装置1からは発射した時刻や発射エリア等の情報がサーバ62に送信されてくるので、何時、何処でマーキングボール33が発射されたかを特定することができる。
また、成分情報を送信してきた検出器65の設置場所等に関する情報もデータベース63に記憶されているので、被識別剤が付着した識別対象が現在何処にいるかを把握することも可能となっている。
マーキングボール発射装置1や検出器65から送信されてきた情報や、これらの情報をサーバ62にて処理して得られたマーキングボール33が何時、何処で発射されたかの情報、および被識別剤が付着した識別対象が現在何処にいるかといった情報等は、警察や警備会社等の機関66に送信される。
これらの情報を受け取った機関66は、この情報を参考にして迅速且つ確実に識別対象を発見、識別して、拘束、検挙することが可能となり、防犯抑止効果を大幅に向上させることができる。
上述のごとく、マーキングボール発射装置1には小型通信端末51が装着されており、操作レバー12を操作してマーキングボール33を発射させると発信スイッチ52がオンして、マーキングボール33が発射された旨の情報および該マーキングボール発射装置1に固有の情報(例えばマーキングボール発射装置1毎に付与されるシリアルナンバーや、発射時刻や、発射装置の配置場所等の情報)が、装着された小型通信端末51から、予め設定されている送信先であるデータステーション61のサーバ62へ送信されるように構成している。
これにより、データステーション61にて、マーキングボール33がどのマーキングボール発射装置1から何時、何処で発射されたのか、といったような事象を特定、把握することができ、マーキングボール33が当たった識別対象を識別、拘束するために有益な情報を容易に得ることが可能となっている。
また、小型通信端末51はデータ通信機能を有しており、さらに撮像機能、音声記録機能、および位置情報取得機能を有するものである場合は、強盗等の突発事件が発生した現場の状況や現場にいる識別対象を画像や音声で直接捕らえたり、マーキングボール33の発射場所を正確に把握したりすることができ、識別対象の識別、拘束を、より容易に行うことが可能となる。
また、マーキングボール33内には複数種類の成分を含む被識別剤が充填されており、被識別剤の各成分の含有率が異なる複数のマーキングボール33が存在し、マーキングボール発射装置1に装着されているマーキングボール33における被識別剤の各成分の含有率と、そのマーキングボール発射装置1に固有の情報とを対応付けた情報が、前記データベース63に記憶されているので、何時、何処で、どのマーキングボール発射装置1からマーキングボール33が発射されたかを特定することができるとともに、被識別剤が付着した識別対象が現在何処にいるかも容易に把握することができ、識別対象の識別、拘束をさらに確実に行うことが可能となっている。
また、図10に示すように、マーキングボール発射装置1は、本体部10の本体ボディ11を途中で屈曲して「く」字状に曲げた形状とすることもできる。この場合、マーキングボール発射装置1は、モデルガンのように、ガスホルダー部20を握って人指し指等を操作レバー12にかけながら体の正面で構え易くなり、識別対象を狙い易くなる。
次に、実施例2の構成について説明する。
図11は他の実施例である発射装置の斜視図。
図12は同じく正面図。
図13は同じく後面図。
図14は同じく側面図。
この実施例に示す発射装置100は、ボディ101に装着されたレーザポインタ140により、狙いを定め、トリガー110を押すことにより、射出口130よりマーキングボールを射出する。マーキングボールの射出はガス圧を利用し、キャップ120を開き装着されるガスボンベより供給される。
ボディ101は樹脂により構成されており、正面視において縦長形状であって、側面視において横長の略長方形状に構成されている。ボディ101の中央下部および前上部には、側面視において、弧状のくぼみが形成されている。そして、側面の前部中央に凹部を設けており、この凹部にレーザポインタ140を装着可能に構成している。また、ボディ101配設側側面が盛り上がった形状となっている。
射出口130はボディ101の下部において長手方向に沿って設けられており、レーザポインタ140のレーザー光照射方向に向けられている。射出口130の上方にはキャップ120が配設され、キャップ120の内側にガスボンベが配設される。下部に設けられた射出口130と上部に設けられたキャップ120の間には、レーザポインタ140が配設されており、ボディ101において、射出口130とガスボンベ装着部とレーザポインタ配設部とが、前部に集約された構成となっている。そして、ボディ101の後上部にトリガー110が配設されている。
ボディ101の後部には、マーキングボールを収納するカートリッジ152およびガスボンベを開封するためのピストンが配設されている。カートリッジ収納部はカートリッジキャップ150により閉じられている。
ボディ101のトリガー配設部の近傍には、安全ピン挿入孔101sが設けられており、この安全ピン挿入孔101sに安全ピンを挿入することにより、トリガー110が固定されマーキングボールの誤発射が防止される。
次に発射装置の内部構成について説明する。
図15は発射装置の斜視一部断面図。
図16は同じく側面断面図。
図17はボディへの組み付け構成を示す図。
図18は発射過程を示す図。
発射過程は図18(a)、図18(b)、図18(c)の順に進む。発射装置100は、図18(a)のようにトリガー110が押され、図18(b)に示すようにピストン111が開放され、図18(c)に示すようにガスボンベ121が開封されて、カートリッジ152内のマーキングボール33が発射される構成となっている。
発射装置100を構成するボディ101の内部構成について説明する。
ボディ101の前上部には、ガスボンベ121を配設するボンベ収納部102が設けられており、ボディ101の上部中央部から後部にかけて、ピストン111を配設するためのピストン室103が設けられている。
ボンベ収納部102とピストン室103とは、連通孔102bにより連通しており、この連通孔102bにガスボンベ121の先端部を挿入した状態で、キャップ120によりボンベ収納部102を閉じて、ボンベ121をボンベ収納部102内に固定する。これにより、ガスボンベ121の先端部がピストン室103に向けて配設され、ピストン111によりガスボンベ121を開封可能となる。
ピストン111は、バネ112の弾性力によりガスボンベ121に向けて押し出されるものであり、ピストン111の内側にバネ112が装着される構成となっている。バネ112の前端はピストン111に挿入されており、後端はキャップ160に当接している。
マーキングボール33を発射する前には、ピストン111はトリガー110に接続する係止ピン110gに係止されており、バネ112がピストン111とキャップ160との間において圧縮された状態で保持される。
そして、トリガー110により係止ピン110gを操作して、ピストン111の係止を解除することにより、ピストン111がバネ112の弾性力により前方に押し出されガスボンベ121に衝突する。トリガー110の前部とボディ101との間にはバネ110bが配設されており、トリガー110の前部を上方に付勢している。
トリガー110の下部には左右方向に支軸110dが装着されており、安全ピン孔110cが設けられている。支軸110dはトリガー110を傾動可能に支持する構成となっている。そして、安全ピン孔110cには安全ピンが挿入され、誤発射を防止する。ボディ101の安全ピン挿入孔101sに挿入された安全ピンはトリガー110の安全ピン孔110cに挿入され、トリガー110がボディ101に固定される。これにより発射装置100の誤発射を防止する構成となっている。
ピストン室103はガス供給孔104を介してカートリッジ装着部105と連通している。カートリッジ装着部105はボディ101の後下部に設けられており、射出口130の延長上に位置する。カートリッジ152は、マーキングボール33を複数個保持する。カートリッジ152は筒状に構成されており、内側にマーキングボール33を複数個保持する。カートリッジ152の後端部には、前および中央部よりも大径に構成された大径部152bが設けられており、この大径部152bがカートリッジ装着部105の当接面105bに当接して、カートリッジ152の位置決めが行われる。
そして、カートリッジ152とカートリッジキャップ150との間にはスペーサ153が配設される。スペーサ153はカートリッジキャップ150と一体的に構成されるので、カートリッジ152の位置決めを容易に行うことができる。
そして、ホルダー152とキャップ151との間には開口が設けられているので、ガスボンベ121からのガス圧がカートリッジ152の後部にかかり、マーキングボール33を射出することができる。
このように、発射装置100は、射出口130の配設方向に沿って、ガスボンベ121および開封手段であるピストン111、そしてカートリッジ152を配設するとともに、ガスボンベ121およびピストン111を射出口130およびカートリッジ152に対してオフセットした位置に配設している。さらに、ガスの噴出経路は、ボディ101において前方から後方に向かい、ボディ101後部において折り返し、再び前方へと噴出し、射出口130よりマーキングボール33を打ち出す。ボディ101内においてガスの噴出経路を折り返すことにより、発射装置100をコンパクトに構成できる。
次に、実施例2におけるピストンの構成について説明する。
まず、第1例のピストン構成について説明する。
図19は実施例2における第1例のピストン構成を示す斜視図。
図20は同じく側面図および正面図。図20(a)は側面図、図20(b)は正面図。
ピストン111には、突起部171、開口部170、係合部172が構成されている。
突起部171はピストン111の前部において先端部を前方に向けて配設される。第1例において、突起部171は四角錐形状をピストン111の正面に取付けた形状となっている。
このように、ピストン111の先端部である突起部171を多角形状で鋭角に構成するので、炭酸ガスが封入されているガスボンベ121の開封蓋を切り込むように開封することができる。突起部171の角部が開封蓋を上下左右に切り込むので、容易に開封することができる。そして、突起部171の耐久性を向上でき、ガスボンベ121の開封蓋を大きく開口させることができる。開口を大きくすることにより、ガス放出量を大きくし、マーキングボール33の発射速度を増大し、飛距離、有効射程距離、威力などを向上できる。また、発射装置100が小型であっても十分な飛距離および有効射程距離を得ることが出来る。
そして、ピストン111の正面および前部側面には、開口部170が設けられており、ピストン111の外側と内側とを連通する構成となっている。そして、ピストン111の中央部には周に添って窪んだ小径部である係合部172が構成されている。係合部172はトリガー110に接続した係止ピン110gと係合して、ピストン111を係止する部位となっている。
係止部172の後方には後方に向いた傾斜部173が構成されている。傾斜部173は後方に向けて径が小さくなるように構成されており、これにより、ピストン111をセットするときに円滑に係止ピン110gとの係合を行う構成となっている。
係止ピン110gとの係合がはずれた状態から、ピストン111を後方に押し込むと、トリガー110の係止ピン110gが傾斜部173に添って押し上げられる。そしてさらに、ピストン111を押し込むことにより、係止ピン110gが係合部172に嵌合し、ピストン111が係止される。このように、ピストン111を後方に押し込むことにより、自動的に係止ピン110gが押し上げられ、容易にピストン111を係止状態とすることができる。
次に、第2例のピストン構成について説明する。
図21は第2例のピストン構成を示す斜視図。
図22は同じく側面図および正面図。図22(a)は側面図、図22(b)は正面図。
ピストン111には、突起部171b、開口部170、係合部172が構成されている。
突起部171bはピストン111の前部において先端部を前方に向けて配設される。第2例において、突起部171bは略四角錐形状をピストン111の正面に取付けた形状となっており、側面がえぐれた形状となっており、側面が弧状にくぼみ、先端に向かうほど鋭角に構成されている。
このように、ピストン111の先端部である突起部171bを多角形状で先端側を鋭角に構成するので、ガスボンベ121の開封蓋を切り込むように開封することができ、ピストン111の耐久性を向上できる。
次に、第3例のピストン構成について説明する。
図23は第2例のピストン構成を示す斜視図。
図24は同じく側面図および正面図。図24(a)は側面図、図24(b)は正面図。
ピストン111には、突起部171c、開口部170、係合部172が構成されている。
突起部171cはピストン111の前部において先端部を前方に向けて配設される。第3例において、突起部171cは略四角錐形状をピストン111の正面に取付けた形状となっており、側面中央に切化基部171dを設けている。切欠き部171dは突起部171cの各側面に設けられる。
このように、切化基部171dを設けているので、ガスボンベ121の開封蓋が突起部171cの側面から受ける面圧が大きくなり、開封時において切欠き部171dがガスの噴出経路となり、開封が円滑に行われるとともに、ガスボンベ121の開封蓋がより切り込むように開封されることとなる。これにより、開封蓋を容易にあけることができ、ピストン111の耐久性を向上できる。
次に、発射装置100の把持構成について説明する。
図25は発射装置の把持例を示す図。
図25に示す発射装置100は、右利き用のものであり、発射装置100の膨らんだ側面を掌に向けて把持される。これにより、親指をトリガー110の上に位置させ、マーキングボール射出方向に人差し指を伸ばすと自然にレーザポインタ140に添えられるようになっている。これにより自然な動作で発射装置100を操作することができる。
また、発射装置100には、Bluetooth(登録商標)やHomeRF(登録商標)などの無線通信技術に対応した近距離無線端末を装着することができる。このような端末を利用して、携帯電話などの通信網に接続する端末にマーキングボール33の発射情報を送信することができる。トリガー110とボディ101との間に、近距離無線端末の発信スイッチを配置し、トリガー110を押すとオンとなりマーキングボール33の発射情報を携帯電話に送信する。
このように、近距離無線端末を発射装置100に装着することで、マーキングボールを識別対象へ発射した場合に、発射日時や発射場所等の各種情報を配信・記録・蓄積等して、マーキングボール33の被識別剤が付着した識別対象の発見および識別を容易に可能とする識別システムを構成することができる。
また、近距離無線端末を利用するので、マーキングボール33の発射情報の暗号化および改ざん防止などのセキュリティー性を向上できる。
本発明にかかるマーキングボール発射装置を示す側面図である。 マーキングボール発射装置を示す側面断面図である。 バレルの本体ボディへの接続部を示す側面図である。 ピストンを発射可能状態にセットする様子を示す側面断面図である。 操作レバーが操作されピストンによりガスボンベが開封された様子を示す側面断面図である。 ガスボンベから放出された圧縮気体の圧力によりマーキングボールが発射される様子を示す側面断面図である。 シェルカートリッジの内径、マーキングボールの直径、およびバレルの内径の関係を示す側面断面図である。 小型携帯端末が装着されたマーキングボール発射装置を示す側面図である。 識別システムを示す概要図である。 マーキングボール発射装置の第二の実施形態を示す側面図である。 他の実施例である発射装置の斜視図。 同じく正面図。 同じく後面図。 同じく側面図。 発射装置の斜視一部断面図。 同じく側面断面図。 ボディへの組み付け構成を示す図。 発射過程を示す図。 実施例2における第1例のピストン構成を示す斜視図。 同じく側面図および正面図。 第2例のピストン構成を示す斜視図。 同じく側面図および正面図。 第2例のピストン構成を示す斜視図。 同じく側面図および正面図。 発射装置の把持例を示す図。
符号の説明
1 マーキングボール発射装置
10 本体部
11 本体ボディ
11a ガス通路
12 操作レバー
13 ピストン
20 ガスホルダー部
21 ホルダー
22 ガスボンベ
30 バレル部
31 バレル
32 シェルカートリッジ
33 マーキングボール
62 サーバ
63 データベース
本発明は、銀行強盗等の突発事件が発生した場合に、逃走する犯人や車等を識別するためのマーキングボールを発射させるマーキングボール発射装置に関する。
従来、例えば、金融機関やコンビニエンスストア等にて強盗等の突発事件が発生した場合、逃走する犯人や車等を識別するためにマーキングボールを用いることがある。マーキングボールはカラーボールとも呼ばれ、一般的に直径数十mm程度の略球形のカプセル内に着色された油性の溶液が封入されたものであり、このマーキングボールを犯人や車等の識別対象、又はその近傍へ向かって投げつけることでカプセルが破壊して、封入された溶液が識別対象に付着し、追跡の目印となって事後の発見を容易にすることが可能となる。このように、マーキングボールは識別対象を識別するために有効であり、金融機関やコンビニエンスストアに設置されるのみならず、各種店舗に備えられたり、個人の防犯用グッズとして持ち歩いたり、といったように広く用いられている。
そして、このようなマーキングボールは、金融機関の行員やコンビニエンスストア等の店舗の店員等といったように、各個人が識別対象となる犯人またはその近傍へ手で投げつけるものである。
しかし、強盗等の突発的な事件が発生した状況において、人の手で正確にコントロールして識別対象へ向けて投げつけることは、相当の訓練を積んだ者であっても困難であり、必ずしも効果的なマーキングを行うことができるものではない。
そこで、識別対象やその近傍へのマーキングボールの投擲を、簡単な操作で比較的精度良く行うことができるマーキングボールの発射装置が考案されている(特許文献1参照)。
特開2000−331257号公報
前述の特許文献1に記載されている発射装置は、圧搾空気の圧力を利用してマーキングボールを発射させるものであるが、空気室と犯人識別弾の収容室とを分断している隔壁を電磁シリンダの作動により破壊して、該空気室と収容室を連通させて、圧搾空気の圧力により犯人識別弾を発射するように構成していたり、空気室への圧搾空気の注入・排出を行うための弁体等が設けられていたりするので、部品点数が多くなって装置が大型するとともに、発射装置を作動させるために電源が必要となるため、発射装置は設置タイプに構成せざるを得ず、携帯に適した形態に構成することは困難であった。
そこで、簡単な構造で小型軽量に構成でき、マーキングボールの高精度な投擲を実現しながら携帯が可能なマーキングボール発射装置、および識別対象の発見、識別を容易に行うことができる識別システムを提供するものである。
上記課題を解決するマーキングボール発射装置および識別システムは、以下の特徴を有する。
即ち、請求項1記載の如く、ボディ(101)内にガスボンベ(121)を装着可能とし、バネ(112)の弾性力によりガスボンベ(121)に向けて押し出すように配置したピストン(111)をトリガー(110)にて操作してガスボンベ(121)を開封し、このガス圧にてマーキングボール(33)を発射する構成としたマーキングボール発射装置において、前記ボディ(101)にボンベ収納部(102)とピストン室(103)とカートリッジ装着部(105)と射出口(130)とを形成し、前記ボンベ収納部(102)、ピストン室(103)と前記カートリッジ装着部(105)、射出口(130)とを並列に配置し、前記ボンベ収納部(102)にガスボンベ(121)を装着し、前記ピストン室(103)にピストン(111)とバネ(112)を配設し、前記カートリッジ装着部(105)に複数個のマーキングボール(33・33・・・)を保持したカートリッジ(152)を装着する構成とし、前記ピストン室(103)とカートリッジ装着部(105)とをガス供給部(104)を介して連通し、前記ガスボンベ(121)内のガスの噴出経路をピストン室(103)からカートリッジ装着部(105)とし、前記射出口(130)から複数個のマーキングボール(33・33・・・)をガスボンベ(121)からのガス噴出方向とは異なる方向に発射可能に構成したものである。
これにより、簡単な構造で小型軽量に構成でき、マーキングボールの高精度な投擲を実現しながら携帯が可能なマーキングボール発射装置を構成することができる。
また、簡単な操作でボンベを開封してマーキングボールを確実に発射することが可能となり、マーキングボール発射装置の信頼性を高めることができる。
さらに、識別対象に対する狙いが若干ずれたとしても、何れかのマーキングボールが識別対象に当たり易くなり、マーキングボールの識別対象に対する命中確立を向上させることが可能となる。
また、請求項2記載の如く、前記マーキングボール発射装置には通信端末装置が装着可能であり、トリガーを操作してマーキングボールを発射させると、マーキングボールが発射された旨の情報および該マーキングボール発射装置に固有の情報が、装着された通信端末装置から予め設定されている送信先へ送信されるものである。
これにより、送信先にて、マーキングボールがどのマーキングボール発射装置から何時、何処で発射されたのか、といったような事象を特定、把握することができ、マーキングボールが当たった識別対象を識別、拘束するために有益な情報を容易に得ることが可能となる。
また、請求項3記載の如く、前記通信端末装置はデータ通信機能を有し、さらに撮像機能、音声記録機能、および位置情報取得機能、の少なくとも一つの機能を有するものである。
これにより、強盗等の突発事件が発生した現場の状況や現場にいる識別対象を画像や音声で直接捕らえたり、マーキングボールの発射場所を正確に把握したりすることができ、識別対象の識別、拘束を、より容易に行うことが可能となる。
また、請求項4載の如く、前記マーキングボール内には複数種類の成分を含む被識別剤が充填されており、被識別剤の各成分の含有率が異なる複数のマーキングボールが存在し、マーキングボール発射装置に装着されているマーキングボールにおける被識別剤の各成分の含有率と、そのマーキングボール発射装置に固有の情報とを対応付けた情報が、前記送信先の記憶装置に記憶されているものである。
これにより、何時、何処で、どのマーキングボール発射装置からマーキングボールが発射されたかを特定することができるとともに、被識別剤が付着した識別対象が現在何処にいるかも容易に把握することができ、識別対象の識別、拘束をさらに確実に行うことが可能となる。
本発明によれば、簡単な構造で小型軽量に構成でき、マーキングボールの高精度な投擲を実現しながら携帯が可能なマーキングボール発射装置を構成することができる。
また、簡単な操作でボンベを開封してマーキングボールを確実に発射することが可能となり、マーキングボール発射装置の信頼性を高めることができる。
さらに、何時、何処で、どのマーキングボール発射装置からマーキングボールが発射されたかを特定することができるとともに、被識別剤が付着した識別対象が現在何処にいるかも容易に把握することができ、識別対象の識別、拘束を確実に行うことが可能となる。
次に、本発明を実施するための形態を、添付の図面を用いて説明する。
本発明にかかるマーキングボール発射装置は、金融機関やコンビニエンスストア等の店舗等に備え付けられたり、警備員等に携帯されたりするものであり、強盗等の突発事件が発生した場合に、逃走する犯人や車等を識別するためのマーキングボールを発射するものである。
また、マーキングボールを発射した場合には、発射日時や発射場所等を特定して配信・記録することが可能となっている。
図1に示すように、マーキングボール発射装置1は、本体部10と、該本体部10の一端側に配置されるガスホルダー部20と、本体部の他端側に配置されるバレル部30とを備えている。
図2に示すように、本体部10は、ガス通路11aが形成される本体ボディ11と、該ガス通路11a内に摺動自在に嵌装されるピストン13と、マーキングボールの発射操作を行うための操作レバー12とを備えている。
また、本体ボディ11には、マーキングボール33を発射する際に、発射目標へ向かって照射するレーザー照準器15がブラケット16を介して装着されている。
前記ピストン13のガスホルダー部20側端部には、ガスホルダー部20側に突出する尖端を備えた突起部13bが形成されるとともに、ガス通路11aのピストン13よりもガスホルダー部20側に位置する部分とバレル部30側に位置する部分とを連通する連通孔13cが形成されている。
また、ピストン13は、ピストンスプリング14によりガスホルダー部20側へ付勢されている。
操作レバー12は、支点12bを中心に回動可能であり、支点12bより一側に位置するレバー部12aがレバースプリング17により外側へ付勢されている。操作レバー12の支点12bより他側に位置する部分には、内側へ突出するストッパピン12dが設けられており、該ストッパピン12dはレバースプリング17により内側へ付勢されて、ピストン13の外周部に形成されるストッパ穴13dに嵌合している。
この、ストッパピン12dがストッパ穴13dに嵌合している状態では、ピストン13はピストンスプリング14の付勢力に抗してガス通路11aの左側部分に位置しており、ストッパピン12dのストッパ穴13dに対する嵌合状態が解除されると、ピストン13はピストンスプリング14の付勢力によりガス通路11a内を右向へ移動する。
ガスホルダー部20は、ホルダー21に形成されるボンベ収納室21aに、炭酸ガス等の圧縮気体が充填されたガスボンベ22を収納して構成されており、ホルダー21の一端部に開口するボンベ収納口21bはキャップ23により閉塞されている。
ガスボンベ22は着脱可能に収納されており、キャップ23を取り外した状態で、ボンベ収納口21bからボンベ収納室21への着脱を行う。
ホルダー21の他端部は本体ボディ11に螺装されており、該ホルダー21の他端部には連通口21cが開口している。
該連通口21cにはガスボンベ22の開封口22aが挿入されており、該開封口22aと本体ボディ11のガス通路11aとが連通している。
バレル部30は、筒状に形成されるバレル31の基端部(本体ボディ11側端部)に、複数個のマーキングボール33が直列に詰められたシェルカートリッジ32を嵌装して構成されており、本体ボディ11の他端側に着脱可能に装着されている。
図3に示すように、バレル31の基端部にはL字状のロック孔31bが形成されており、本体ボディ11の他端部において径方向内側に突出するバレルロックピン18と該ロック孔31bの装着孔31cとを嵌合させながらバレル31を本体ボディ11に挿入した後、バレル31を本体ボディ11に対して回転させてバレルロックピン18とロック孔31bの係合孔31dとを係合させることで、バレル31を本体ボディ11に装着している。
マーキングボール33は、ゼラチン皮質等の弱弾性物質にて略球形に形成された外皮の内部に被識別剤を充填して構成したものであり、充填される被識別剤は、油、水、色素、香料、珪素、セラミックス等を含んでいる。
マーキングボール33の外皮は薄膜に形成されており、発射されたマーキングボール33が識別対象に当たった場合には容易に破れて、充填された被識別剤が容易に識別対象に付着することが可能となっている。また、識別対象に当たったときの衝撃は軽微なものとなっている。
このように構成されるマーキングボール発射装置1の作動について説明する。
まず、マーキングボール33を発射させるための事前準備として、以下の作業を行う。 ストッパピン12dとストッパ穴13dとの嵌合状態が解除されていて、ピストン13がピストンスプリング14の付勢力によりガス通路11aの右側部分に位置している状態となっているときには、ピストン13を発射可能状態にセットする。
つまり、図4に示すように、ホルダー21のキャップ23を取り外し、ホルダー21のボンベ収納口21bから棒状部材または管状部材41を挿入して、該管状部材等41によりピストン13を左方向へ押し込む。この場合、操作レバー12は、レバー部12aを押さえてストッパピン12dがガス通路11a内に突出しないようにしておく。ピストン13を押し込んで、ストッパ穴13dとストッパピン12dとの位置が合うと、レバー部12aから手を離してストッパピン12dをストッパ穴13dに嵌合させて、ピストン13をガス通路11aの左側部分に保持させる。
また、管状部材等41をホルダー21内に挿入してピストン13を押し込む場合、単に管状部材等41を押し込むだけでなく、管状部材等41の外周部に螺子を切り、この螺子とホルダー21のキャップ23を螺装する部分に形成される螺子部とを螺合させて、該管状部材等41を回転操作することにより、管状部材等41をピストン13方向へ進行させるように構成することもできる。
これにより、大きな力を加えることなくピストン13を発射可能状態にセットすることが可能となる。
また、操作レバー12に形成される安全ピン挿入孔12cに安全ピン(図示せず)を挿入する。この安全ピンは、安全ピン挿入孔12cに挿入することで、ストッパピン12dがストッパ穴13dと嵌合している状態に操作レバー12の位置を固定するものであり、不意に操作レバー12が操作されてピストン13がホルダー21側へ移動することを防止するものである。
ピストン13を発射可能状態にセットして安全ピンにより操作レバー12を固定した後に、ホルダー21のボンベ収納室21aにガスボンベ22を挿入し、ボンベ収納口21bにキャップ23を螺装して閉塞する。
次に、複数個のマーキングボール33が直列に詰められたシェルカートリッジ32をバレル31の基端部に挿入して、シェルカートリッジ32を挿入したバレル31を本体ボディ11の他端側に装着する。
このように、ピストン13、ガスボンベ2、およびマーキングボール33がセットされた状態(図2に示す状態)から、前記安全ピンを引き抜くと発射準備が完了する。
次に、事前準備が完了したマーキングボール発射装置1の発射動作について説明する。 まず、ガスホルダー部20のホルダー21に貼設されているレーザー照準器15のスイッチ15aを押して、該レーザー照準器15からレーザー光を発射させ、発射されたレーザー光を目標に向けて照準を合わせる。
照準を合わせながら操作レバー12のレバー部12aを押し下げると、ストッパ穴13dとストッパピン12dとの係合状態が解除される。
ピストン13は、ピストンスプリング14によりガスホルダー部20側へ付勢されているので、ストッパピン12dがストッパ穴13dから抜け出して両者の係合状態が解除されると、ピストン13は勢い良くガスホルダー部20側へ移動する。
図5に示すように、ピストン13がガスホルダー部20側へ移動すると、該ピストン13の突起部13bがガスボンベ22の開封口22aに当接して、該開封口22aの風板22bを打ち抜き、風板22bが打ち抜かれたガスボンベ22からは圧縮気体が放出される。放出された圧縮気体は、ピストン13の連通孔13cを通じて、ピストン13よりバレル31側のガス通路11aに案内され、該ガス通路11aおよびシェルカートリッジ32に隣接するガスプール11c内に充満する。
図6に示すように、ガス通路11aおよびガスプール11c内に充満した圧縮気体の圧力により、シェルカートリッジ32内のマーキングボール33が推進力を得て押し出される。押し出されるマーキングボール33はシェルカートリッジ32から抜け出し、バレル31内においてさらに加速され、バレル31開放口31aから発射される。
図7に示すように、シェルカートリッジ32の内径R1は、マーキングボール33の直径R2よりも若干小さく形成されており、マーキングボール33は弱弾性を有しているため、シェルカートリッジ32に詰められたマーキングボール33は若干扁平に歪んだ形状となって、マーキングボール33とシェルカートリッジ32とが密着した状態となっている。従って、ガスプール11c内に充満した圧縮気体がマーキングボール33とシェルカートリッジ32との間から漏れ出ることもなく、マーキングボール33を効率的に発射することが可能となっている。
また、バレル31の内径R3はマーキングボール33の直径R2よりも大きく形成されており、シェルカートリッジ32から押し出されたマーキングボール33は、バレル31内を通過する間に扁平に歪んだ形状から球形状へ戻ることができるため、発射されたマーキングボール33の直進性を損なうことがない。
さらに、マーキングボール発射装置1では、特許3020739号に示すように、発射速度を低下させることなくマーキングボール33にスライス回転を付与する等して、発射されたマーキングボール33の射程距離や直進性を高めることができる。
以上のように、マーキングボール発射装置1は、一端から他端にかけてガス通路11aが形成される本体ボディ11を供えた本体部10と、圧縮気体が充填されたガスボンベ22を収納するホルダー21を備え、本体部10の一端側に装着されるガスホルダー部20と、マーキングボール33が装填されたバレルを備え、本体部10の他端側に装着されるバレル部30とを備え、前記本体ボディ11にはガスボンベ22の開封手段であるピストン13、および該ピストン13を操作する操作レバー12が設けられ、前記本体ボディ11のガス通路11aは、ホルダー21とマーキングボール33が装填されたバレル31とにより密封されており、操作レバー12の操作によりガスボンベ22が開封されると、ガスボンベ22内の圧縮気体が本体ボディ11のガス通路11a内に充満し、充満した圧縮気体の圧力により、バレル31に装填されるマーキングボール33がバレル31外部へ発射されるように構成されている。
これにより、マーキングボール発射装置1は、簡単な構造で小型軽量に構成でき、マーキングボールの高精度な投擲を実現しながら携帯が可能なマーキングボール発射装置に構成することが可能となっている。
また、マーキングボール発射装置1においては、ガスボンベ22の開封部である開封口22aの風板22bガス通路11a内に面しており、ピストン13のホルダー21側端部には、ホルダー21側に突出する尖端を備えた突起部13bが形成されるとともに、連通孔13cが形成されており、ピストン13の摺動方向への移動可能状態と移動不能状態とを切り換える操作レバー12の操作によりピストン13を摺動不能状態から摺動可能状態へ切り換えると、該ピストン13がピストンスプリング14の付勢力によりホルダー21側へ移動してガスボンベ22の風板22bを打ち破ってガスボンベ22を開封し、開封されたガスボンベ22から放出される圧縮気体が、ピストン13の連通孔13cを通じてガス通路11aのピストン13よりホルダー21側に位置する部分からバレル31側に位置する部分へ侵入するように構成している。
これにより、簡単な操作でガスボンベ22を開封してマーキングボール33を確実に発射することが可能となっており、マーキングボール発射装置1の信頼性を高めている。
また、マーキングボール発射装置1のバレル31には、複数個(本実施例では3個)のマーキングボール33が装填されており、特にマーキングボール発射装置1から識別対象までの距離が離れている場合には、複数のマーキングボール33は互いに若干の間隔を空けて飛んでいくこととなるので、識別対象に対する狙いが若干ずれたとしても、何れかのマーキングボール33が識別対象に当たり易くなり、マーキングボー33の識別対象に対する命中確立を向上させることが可能となっている。
ここで、図8に示すように、本体ボディ11には携帯電話端末やPHS端末等の小型通信端末51が装着されており、操作レバー12のレバー部12aと本体ボディ11との間には、小型通信端末51の発信スイッチ52が配置されている。
該発信スイッチ52は、レバー部12aを押し下げるとオンするように構成されており、発信スイッチ52がオンすると小型通信端末51からの発信がなされる。
このように、小型通信端末51をマーキングボール発射装置1に装着することで、マーキングボールを識別対象へ発射した場合に、発射日時や発射場所等の各種情報を配信・記録・蓄積等して、マーキングボール33の被識別剤が付着した識別対象の発見および識別を容易に可能とする識別システムを構成することができる。
つまり、図9に示すように、マーキングボール33の発射と略同時に、小型通信端末51から、各マーキングボール発射装置1に固有の識別記号、マーキングボール33が発射された旨、発射時刻、および発射エリア等に関する情報を通信網Nを通じて、予め設定されている送信先であるデータステーション61のサーバ62へ向けて発信し、小型通信端末51から発信された各種情報を受け取ったサーバ62では、当該情報を適宜処理してデータベース63に格納し、格納された情報を用いて識別対象の発見、識別を行う識別システムを構成することができる。
この場合、発射時刻情報は、小型通信端末51またはマーキングボール発射装置1が備える時計機能により取得する。また、発射エリア情報は、小型通信端末51が例えばPHSである場合には、その小型通信端末51がどの中継アンテナのカバーエリアに位置しているかを識別することで取得する。小型通信端末51GPS等の位置情報取得機能を備えているときには、マーキングボール33の発射場所をさらに正確に把握することが可能である。
また、小型通信端末51が撮像機能を備えている場合には、マーキングボール33の発射時および発射前後に撮影した現場の画像情報も同時に発信することが可能であり、音声記録機能を備えている場合には、マーキングボール33の発射時および発射前後に録音した現場の音声情報も同時に発信することが可能である。
さらに、緊急事態が発生した旨のメールの送信や、緊急連絡先への前記各種情報の送信等を行うことも可能である。
また、マーキングボール33内に充填されている被識別剤は複数種類の成分が含まれているが、被識別剤の構成成分としては、例えば磁気センサの役割を果たすフェライト等の磁性体、明るい場所では蓄光して暗闇で光を発する蓄光塗料、紫外光を発するブラックライト等に反応して光る蛍光塗料、および特定の香りを有する香料等の成分が考えられる。この特定の香りを有する香料としては、例えば、訓練された犬等の動物には匂いを感じることができるが、人には匂いが感じられないといった特性を備える香料等がある。
これらの被識別剤の構成成分としては、通常人間の五感ではその存在を感じ取ることが難しいが、特定の条件が揃うとその存在を発見、識別することができるものが好ましく、このような成分を用いることでマーキングボール33にステルス性を備えさせることができる。
つまり、識別対象に被識別剤が付着した場合、例えば昼間の屋外の場所等では識別対象に被識別剤が付着していることを認識することができないが、識別対象が磁気検出器や紫外光発生器の近傍を通過したとき、または暗闇の中に侵入したとき等に被識別剤の付着を認識することができたり、匂いを感じる動物等が反応したりする特性を付与することができるものである。
さらに、マーキングボール33内に充填されている被識別剤に含まれる複数種類の成分の含有率を、マーキングボール33毎に変化させることで、マーキングボール発射装置1とマーキングボール33とを対応付けることが可能となる。
例えば、被識別剤が5種類の異なった成分A・B・C・D・Eを含んでいる場合、各成分A・B・C・D・Eの含有率をそれぞれ5水準の含有率に異ならせると(成分Aについては含有率a1〜a5、成分Bについては含有率b1〜b5、成分Cについては含有率c1〜c5、成分Dについては含有率d1〜d5、成分Eについては含有率e1〜e5)、3125通り(5(成分)の5(水準)乗=3125)の異なった成分の含有率のマーキングボール33を構成することができる。例えば、あるマーキングボール33は被識別剤を構成する成分が「A(a1)+B(b1)+C(c1)+D(d1)+E(e1)」であり、別のマーキングボール33では被識別剤を構成する成分が「A(a1)+B(b2)+C(c3)+D(d4)+E(e5)」となる。なお、ここで、X(x1)は、成分Xの含有率がx1であることを意味している。
そして、前記データベース63には、マーキングボール発射装置1に装着されるマーキングボール33の構成成分率と、そのマーキングボール発射装置1に付与されている固有の識別記号とが対応付けて記憶されている。
また、各マーキングボール発射装置1がどの場所に設置されまたは誰が携帯しているかの情報がデータベース63に記憶されている。
さらに、各マーキングボール発射装置1に装填されるマーキングボール33の成分含有率を、マーキングボール発射装置1の配置場所や地域に応じて異ならせている。
また、磁気検出器や紫外線発生器等といった、マーキングボール33の被識別剤に含まれる各成分の検出器65が、電柱や街灯の柱、各種施設・店舗・建物内外、および有料道路の料金所等の、屋内・屋外の適宜箇所に設置され、または警察官、警備員、および防犯担当者等の人物に適宜携帯されており、被識別剤が付着した識別対象がこの検出器65の近傍を通過すると、検出器65が各成分を検出できるようになっている。
被識別剤の成分を検出した検出器65は、成分を検出した旨、および各成分の含有率に関する情報を、通信網Nを通じてサーバ62へ送信する。サーバ62では、受信した情報に含まれる各成分の含有率と、記憶装置であるデータベース63に記憶されている被識別剤の各成分の含有率情報とを照合して、各成分の含有率が一致するマーキングボール33に対応するマーキングボール発射装置1を特定する。
これにより、識別対象に付着している被識別剤が充填されていたマーキングボール33が、どのマーキングボール発射装置1から発射されたかを特定することができる。
さらに、各マーキングボール発射装置1には、どの場所に設置され、または誰が形態しているかの固有情報が付与されてデータベース63に記憶されており、マーキングボール33を発射したマーキングボール発射装置1からは発射した時刻や発射エリア等の情報がサーバ62に送信されてくるので、何時、何処でマーキングボール33が発射されたかを特定することができる。
また、成分情報を送信してきた検出器65の設置場所等に関する情報もデータベース63に記憶されているので、被識別剤が付着した識別対象が現在何処にいるかを把握することも可能となっている。
マーキングボール発射装置1や検出器65から送信されてきた情報や、これらの情報をサーバ62にて処理して得られたマーキングボール33が何時、何処で発射されたかの情報、および被識別剤が付着した識別対象が現在何処にいるかといった情報等は、警察や警備会社等の機関66に送信される。
これらの情報を受け取った機関66は、この情報を参考にして迅速且つ確実に識別対象を発見、識別して、拘束、検挙することが可能となり、防犯抑止効果を大幅に向上させることができる。
上述のごとく、マーキングボール発射装置1には小型通信端末51が装着されており、操作レバー12を操作してマーキングボール33を発射させると発信スイッチ52がオンして、マーキングボール33が発射された旨の情報および該マーキングボール発射装置1に固有の情報(例えばマーキングボール発射装置1毎に付与されるシリアルナンバーや、発射時刻や、発射装置の配置場所等の情報)が、装着された小型通信端末51から、予め設定されている送信先であるデータステーション61のサーバ62へ送信されるように構成している。
これにより、データステーション61にて、マーキングボール33がどのマーキングボール発射装置1から何時、何処で発射されたのか、といったような事象を特定、把握することができ、マーキングボール33が当たった識別対象を識別、拘束するために有益な情報を容易に得ることが可能となっている。
また、小型通信端末51はデータ通信機能を有しており、さらに撮像機能、音声記録機能、および位置情報取得機能を有するものである場合は、強盗等の突発事件が発生した現場の状況や現場にいる識別対象を画像や音声で直接捕らえたり、マーキングボール33の発射場所を正確に把握したりすることができ、識別対象の識別、拘束を、より容易に行うことが可能となる。
また、マーキングボール33内には複数種類の成分を含む被識別剤が充填されており、被識別剤の各成分の含有率が異なる複数のマーキングボール33が存在し、マーキングボール発射装置1に装着されているマーキングボール33における被識別剤の各成分の含有率と、そのマーキングボール発射装置1に固有の情報とを対応付けた情報が、前記データベース63に記憶されているので、何時、何処で、どのマーキングボール発射装置1からマーキングボール33が発射されたかを特定することができるとともに、被識別剤が付着した識別対象が現在何処にいるかも容易に把握することができ、識別対象の識別、拘束をさらに確実に行うことが可能となっている。
また、図10に示すように、マーキングボール発射装置1は、本体部10の本体ボディ11を途中で屈曲して「く」字状に曲げた形状とすることもできる。この場合、マーキングボール発射装置1は、モデルガンのように、ガスホルダー部20を握って人指し指等を操作レバー12にかけながら体の正面で構え易くなり、識別対象を狙い易くなる。
次に、実施例2の構成について説明する。
図11は他の実施例である発射装置の斜視図。
図12は同じく正面図。
図13は同じく後面図。
図14は同じく側面図。
この実施例に示す発射装置100は、ボディ101に装着されたレーザポインタ140により、狙いを定め、トリガー110を押すことにより、射出口130よりマーキングボールを射出する。マーキングボールの射出はガス圧を利用し、キャップ120を開き装着されるガスボンベより供給される。
ボディ101は樹脂により構成されており、正面視において縦長形状であって、側面視において横長の略長方形状に構成されている。ボディ101の中央下部および前上部には、側面視において、弧状のくぼみが形成されている。そして、側面の前部中央に凹部を設けており、この凹部にレーザポインタ140を装着可能に構成している。また、ボディ101配設側側面が盛り上がった形状となっている。
射出口130はボディ101の下部において長手方向に沿って設けられており、レーザポインタ140のレーザー光照射方向に向けられている。射出口130の上方にはキャップ120が配設され、キャップ120の内側にガスボンベが配設される。下部に設けられた射出口130と上部に設けられたキャップ120の間には、レーザポインタ140が配設されており、ボディ101において、射出口130とガスボンベ装着部とレーザポインタ配設部とが、前部に集約された構成となっている。そして、ボディ101の後上部にトリガー110が配設されている。
ボディ101の後部には、マーキングボールを収納するカートリッジ152およびガスボンベを開封するためのピストンが配設されている。カートリッジ収納部はカートリッジキャップ150により閉じられている。
ボディ101のトリガー配設部の近傍には、安全ピン挿入孔101sが設けられており、この安全ピン挿入孔101sに安全ピンを挿入することにより、トリガー110が固定されマーキングボールの誤発射が防止される。
次に発射装置の内部構成について説明する。
図15は発射装置の斜視一部断面図。
図16は同じく側面断面図。
図17はボディへの組み付け構成を示す図。
図18は発射過程を示す図。
発射過程は図18(a)、図18(b)、図18(c)の順に進む。発射装置100は、図18(a)のようにトリガー110が押され、図18(b)に示すようにピストン111が開放され、図18(c)に示すようにガスボンベ121が開封されて、カートリッジ152内のマーキングボール33が発射される構成となっている。
発射装置100を構成するボディ101の内部構成について説明する。
ボディ101の前上部には、ガスボンベ121を配設するボンベ収納部102が設けられており、ボディ101の上部中央部から後部にかけて、ピストン111を配設するためのピストン室103が設けられている。
ボンベ収納部102とピストン室103とは、連通孔102bにより連通しており、この連通孔102bにガスボンベ121の先端部を挿入した状態で、キャップ120によりボンベ収納部102を閉じて、ボンベ121をボンベ収納部102内に固定する。これにより、ガスボンベ121の先端部がピストン室103に向けて配設され、ピストン111によりガスボンベ121を開封可能となる。
ピストン111は、バネ112の弾性力によりガスボンベ121に向けて押し出されるものであり、ピストン111の内側にバネ112が装着される構成となっている。バネ112の前端はピストン111に挿入されており、後端はキャップ160に当接している。 マーキングボール33を発射する前には、ピストン111はトリガー110に接続する係止ピン110gに係止されており、バネ112がピストン111とキャップ160との間において圧縮された状態で保持される。
そして、トリガー110により係止ピン110gを操作して、ピストン111の係止を解除することにより、ピストン111がバネ112の弾性力により前方に押し出されガスボンベ121に衝突する。トリガー110の前部とボディ101との間にはバネ110bが配設されており、トリガー110の前部を上方に付勢している。
トリガー110の下部には左右方向に支軸110dが装着されており、安全ピン孔110cが設けられている。支軸110dはトリガー110を傾動可能に支持する構成となっている。そして、安全ピン孔110cには安全ピンが挿入され、誤発射を防止する。ボディ101の安全ピン挿入孔101sに挿入された安全ピンはトリガー110の安全ピン孔110cに挿入され、トリガー110がボディ101に固定される。これにより発射装置100の誤発射を防止する構成となっている。
ピストン室103はガス供給孔104を介してカートリッジ装着部105と連通している。カートリッジ装着部105はボディ101の後下部に設けられており、射出口130の延長上に位置する。カートリッジ152は、マーキングボール33を複数個保持する。カートリッジ152は筒状に構成されており、内側にマーキングボール33を複数個保持する。カートリッジ152の後端部には、前および中央部よりも大径に構成された大径部152bが設けられており、この大径部152bがカートリッジ装着部105の当接面105bに当接して、カートリッジ152の位置決めが行われる。
そして、カートリッジ152とカートリッジキャップ150との間にはスペーサ153が配設される。スペーサ153はカートリッジキャップ150と一体的に構成されるので、カートリッジ152の位置決めを容易に行うことができる。
そして、ホルダー152とキャップ151との間には開口が設けられているので、ガスボンベ121からのガス圧がカートリッジ152の後部にかかり、マーキングボール33を射出することができる。
このように、発射装置100は、射出口130の配設方向に沿って、ガスボンベ121および開封手段であるピストン111、そしてカートリッジ152を配設するとともに、ガスボンベ121およびピストン111を射出口130およびカートリッジ152に対してオフセットした位置に配設している。さらに、ガスの噴出経路は、ボディ101において前方から後方に向かい、ボディ101後部において折り返し、再び前方へと噴出し、射出口130よりマーキングボール33を打ち出す。ボディ101内においてガスの噴出経路を折り返すことにより、発射装置100をコンパクトに構成できる。
次に、実施例2におけるピストンの構成について説明する。
まず、第1例のピストン構成について説明する。
図19は実施例2における第1例のピストン構成を示す斜視図。
図20は同じく側面図および正面図。図20(a)は側面図、図20(b)は正面図。 ピストン111には、突起部171、開口部170、係合部172が構成されている。 突起部171はピストン111の前部において先端部を前方に向けて配設される。第1例において、突起部171は四角錐形状をピストン111の正面に取付けた形状となっている。
このように、ピストン111の先端部である突起部171を多角形状で鋭角に構成するので、炭酸ガスが封入されているガスボンベ121の開封蓋を切り込むように開封することができる。突起部171の角部が開封蓋を上下左右に切り込むので、容易に開封することができる。そして、突起部171の耐久性を向上でき、ガスボンベ121の開封蓋を大きく開口させることができる。開口を大きくすることにより、ガス放出量を大きくし、マーキングボール33の発射速度を増大し、飛距離、有効射程距離、威力などを向上できる。また、発射装置100が小型であっても十分な飛距離および有効射程距離を得ることが出来る。
そして、ピストン111の正面および前部側面には、開口部170が設けられており、ピストン111の外側と内側とを連通する構成となっている。そして、ピストン111の中央部には周に添って窪んだ小径部である係合部172が構成されている。係合部172はトリガー110に接続した係止ピン110gと係合して、ピストン111を係止する部位となっている。
係止部172の後方には後方に向いた傾斜部173が構成されている。傾斜部173は後方に向けて径が小さくなるように構成されており、これにより、ピストン111をセットするときに円滑に係止ピン110gとの係合を行う構成となっている。
係止ピン110gとの係合がはずれた状態から、ピストン111を後方に押し込むと、トリガー110の係止ピン110gが傾斜部173に添って押し上げられる。そしてさらに、ピストン111を押し込むことにより、係止ピン110gが係合部172に嵌合し、ピストン111が係止される。このように、ピストン111を後方に押し込むことにより、自動的に係止ピン110gが押し上げられ、容易にピストン111を係止状態とすることができる。
次に、第2例のピストン構成について説明する。
図21は第2例のピストン構成を示す斜視図。
図22は同じく側面図および正面図。図22(a)は側面図、図22(b)は正面図。 ピストン111には、突起部171b、開口部170、係合部172が構成されている。
突起部171bはピストン111の前部において先端部を前方に向けて配設される。第2例において、突起部171bは略四角錐形状をピストン111の正面に取付けた形状となっており、側面がえぐれた形状となっており、側面が弧状にくぼみ、先端に向かうほど鋭角に構成されている。
このように、ピストン111の先端部である突起部171bを多角形状で先端側を鋭角に構成するので、ガスボンベ121の開封蓋を切り込むように開封することができ、ピストン111の耐久性を向上できる。
次に、第3例のピストン構成について説明する。
図23は第2例のピストン構成を示す斜視図。
図24は同じく側面図および正面図。図24(a)は側面図、図24(b)は正面図。 ピストン111には、突起部171c、開口部170、係合部172が構成されている。
突起部171cはピストン111の前部において先端部を前方に向けて配設される。第3例において、突起部171cは略四角錐形状をピストン111の正面に取付けた形状となっており、側面中央に切化基部171dを設けている。切欠き部171dは突起部171cの各側面に設けられる。
このように、切化基部171dを設けているので、ガスボンベ121の開封蓋が突起部171cの側面から受ける面圧が大きくなり、開封時において切欠き部171dがガスの噴出経路となり、開封が円滑に行われるとともに、ガスボンベ121の開封蓋がより切り込むように開封されることとなる。これにより、開封蓋を容易にあけることができ、ピストン111の耐久性を向上できる。
次に、発射装置100の把持構成について説明する。
図25は発射装置の把持例を示す図。
図25に示す発射装置100は、右利き用のものであり、発射装置100の膨らんだ側面を掌に向けて把持される。これにより、親指をトリガー110の上に位置させ、マーキングボール射出方向に人差し指を伸ばすと自然にレーザポインタ140に添えられるようになっている。これにより自然な動作で発射装置100を操作することができる。
また、発射装置100には、Bluetooth(登録商標)やHomeRF(登録商標)などの無線通信技術に対応した近距離無線端末を装着することができる。このような端末を利用して、携帯電話などの通信網に接続する端末にマーキングボール33の発射情報を送信することができる。トリガー110とボディ101との間に、近距離無線端末の発信スイッチを配置し、トリガー110を押すとオンとなりマーキングボール33の発射情報を携帯電話に送信する。
このように、近距離無線端末を発射装置100に装着することで、マーキングボールを識別対象へ発射した場合に、発射日時や発射場所等の各種情報を配信・記録・蓄積等して、マーキングボール33の被識別剤が付着した識別対象の発見および識別を容易に可能とする識別システムを構成することができる。
また、近距離無線端末を利用するので、マーキングボール33の発射情報の暗号化および改ざん防止などのセキュリティー性を向上できる。
本発明にかかるマーキングボール発射装置を示す側面図である。 マーキングボール発射装置を示す側面断面図である。 バレルの本体ボディへの接続部を示す側面図である。 ピストンを発射可能状態にセットする様子を示す側面断面図である。 操作レバーが操作されピストンによりガスボンベが開封された様子を示す側面断面図である。 ガスボンベから放出された圧縮気体の圧力によりマーキングボールが発射される様子を示す側面断面図である。 シェルカートリッジの内径、マーキングボールの直径、およびバレルの内径の関係を示す側面断面図である。 小型携帯端末が装着されたマーキングボール発射装置を示す側面図である。 識別システムを示す概要図である。 マーキングボール発射装置の第二の実施形態を示す側面図である。 他の実施例である発射装置の斜視図。 同じく正面図。 同じく後面図。 同じく側面図。 発射装置の斜視一部断面図。 同じく側面断面図。 ボディへの組み付け構成を示す図。 発射過程を示す図。 実施例2における第1例のピストン構成を示す斜視図。 同じく側面図および正面図。 第2例のピストン構成を示す斜視図。 同じく側面図および正面図。 第2例のピストン構成を示す斜視図。 同じく側面図および正面図。 発射装置の把持例を示す図。
符号の説明
1 マーキングボール発射装置
10 本体部
11 本体ボディ
11a ガス通路
12 操作レバー
13 ピストン
20 ガスホルダー部
21 ホルダー
22 ガスボンベ
30 バレル部
31 バレル
32 シェルカートリッジ
33 マーキングボール
62 サーバ
63 データベース
本発明は、銀行強盗等の突発事件が発生した場合に、逃走する犯人や車等を識別するためのマーキングボールを発射させるマーキングボール発射装置に関する。
従来、例えば、金融機関やコンビニエンスストア等にて強盗等の突発事件が発生した場合、逃走する犯人や車等を識別するためにマーキングボールを用いることがある。マーキングボールはカラーボールとも呼ばれ、一般的に直径数十mm程度の略球形のカプセル内に着色された油性の溶液が封入されたものであり、このマーキングボールを犯人や車等の識別対象、又はその近傍へ向かって投げつけることでカプセルが破壊して、封入された溶液が識別対象に付着し、追跡の目印となって事後の発見を容易にすることが可能となる。このように、マーキングボールは識別対象を識別するために有効であり、金融機関やコンビニエンスストアに設置されるのみならず、各種店舗に備えられたり、個人の防犯用グッズとして持ち歩いたり、といったように広く用いられている。
そして、このようなマーキングボールは、金融機関の行員やコンビニエンスストア等の店舗の店員等といったように、各個人が識別対象となる犯人またはその近傍へ手で投げつけるものである。
しかし、強盗等の突発的な事件が発生した状況において、人の手で正確にコントロールして識別対象へ向けて投げつけることは、相当の訓練を積んだ者であっても困難であり、必ずしも効果的なマーキングを行うことができるものではない。
そこで、識別対象やその近傍へのマーキングボールの投擲を、簡単な操作で比較的精度良く行うことができるマーキングボールの発射装置が考案されている(特許文献1参照)。
特開2000−331257号公報
前述の特許文献1に記載されている発射装置は、圧搾空気の圧力を利用してマーキングボールを発射させるものであるが、空気室と犯人識別弾の収容室とを分断している隔壁を電磁シリンダの作動により破壊して、該空気室と収容室を連通させて、圧搾空気の圧力により犯人識別弾を発射するように構成していたり、空気室への圧搾空気の注入・排出を行うための弁体等が設けられていたりするので、部品点数が多くなって装置が大型するとともに、発射装置を作動させるために電源が必要となるため、発射装置は設置タイプに構成せざるを得ず、携帯に適した形態に構成することは困難であった。
そこで、簡単な構造で小型軽量に構成でき、マーキングボールの高精度な投擲を実現しながら携帯が可能なマーキングボール発射装置、および識別対象の発見、識別を容易に行うことができる識別システムを提供するものである。
上記課題を解決するマーキングボール発射装置および識別システムは、以下の特徴を有する。
即ち、請求項1記載の如く、ボディ(101)内にガスボンベ(121)を装着可能とし、バネ(112)の弾性力によりガスボンベ(121)に向けて押し出すように配置したピストン(111)をトリガー(110)にて操作してガスボンベ(121)を開封し、このガス圧にてマーキングボール(33)を発射する構成としたマーキングボール発射装置において、前記ボディ(101)にボンベ収納部(102)とピストン室(103)とカートリッジ装着部(105)と射出口(130)とを形成し、前記ボンベ収納部(102)、ピストン室(103)と前記カートリッジ装着部(105)、射出口(130)とを並列に配置し、前記ボンベ収納部(102)と射出口(130)とをボディ(101)の前側、前記ピストン室(103)とカートリッジ装着部と(105)をボディ(101)の後側とし、前記ボンベ収納部(102)にガスボンベ(121)をボディ(101)の前方側から装着し、前記ピストン室(103)にピストン(111)とバネ(112)をボディ(101)の後方側から配設し、前記カートリッジ装着部(105)に複数個のマーキングボール(33・33・・・)を保持したカートリッジ(152)をボディ(101)の後方側から装着する構成とし、前記ボンベ収納部(102)とピストン室(103)とを連通孔(102b)により連通し、この連通孔(102b)にガスボンベ(121)の先端部を挿入する構成とし、前記ピストン室(103)とカートリッジ装着部(105)とをガス供給部(104)を介して連通し、前記ガスボンベ(121)内のガスの噴出経路をピストン室(103)からカートリッジ装着部(105)とし、前記ガスボンベ(121)からのガス圧がカートリッジ(152)の後部にかかることによって、前記射出口(130)から複数個のマーキングボール(33・33・・・)をガスボンベ(121)からのガス噴出方向とは異なる反対方向に発射可能に構成したものである。
これにより、簡単な構造で小型軽量に構成でき、マーキングボールの高精度な投擲を実現しながら携帯が可能なマーキングボール発射装置を構成することができる。
また、簡単な操作でボンベを開封してマーキングボールを確実に発射することが可能となり、マーキングボール発射装置の信頼性を高めることができる。
さらに、識別対象に対する狙いが若干ずれたとしても、何れかのマーキングボールが識別対象に当たり易くなり、マーキングボールの識別対象に対する命中確立を向上させることが可能となる。
また、請求項2記載の如く、前記マーキングボール発射装置には通信端末装置が装着可能であり、トリガーを操作してマーキングボールを発射させると、マーキングボールが発射された旨の情報および該マーキングボール発射装置に固有の情報が、装着された通信端末装置から予め設定されている送信先へ送信されるものである。
これにより、送信先にて、マーキングボールがどのマーキングボール発射装置から何時、何処で発射されたのか、といったような事象を特定、把握することができ、マーキングボールが当たった識別対象を識別、拘束するために有益な情報を容易に得ることが可能となる。
また、請求項3記載の如く、前記通信端末装置はデータ通信機能を有し、さらに撮像機能、音声記録機能、および位置情報取得機能、の少なくとも一つの機能を有するものである。
これにより、強盗等の突発事件が発生した現場の状況や現場にいる識別対象を画像や音声で直接捕らえたり、マーキングボールの発射場所を正確に把握したりすることができ、識別対象の識別、拘束を、より容易に行うことが可能となる。
また、請求項4載の如く、前記マーキングボール内には複数種類の成分を含む被識別剤が充填されており、被識別剤の各成分の含有率が異なる複数のマーキングボールが存在し、マーキングボール発射装置に装着されているマーキングボールにおける被識別剤の各成分の含有率と、そのマーキングボール発射装置に固有の情報とを対応付けた情報が、前記送信先の記憶装置に記憶されているものである。
これにより、何時、何処で、どのマーキングボール発射装置からマーキングボールが発射されたかを特定することができるとともに、被識別剤が付着した識別対象が現在何処にいるかも容易に把握することができ、識別対象の識別、拘束をさらに確実に行うことが可能となる。
本発明によれば、簡単な構造で小型軽量に構成でき、マーキングボールの高精度な投擲を実現しながら携帯が可能なマーキングボール発射装置を構成することができる。
また、簡単な操作でボンベを開封してマーキングボールを確実に発射することが可能となり、マーキングボール発射装置の信頼性を高めることができる。
さらに、何時、何処で、どのマーキングボール発射装置からマーキングボールが発射されたかを特定することができるとともに、被識別剤が付着した識別対象が現在何処にいるかも容易に把握することができ、識別対象の識別、拘束を確実に行うことが可能となる。
次に、本発明を実施するための形態を、添付の図面を用いて説明する。
本発明にかかるマーキングボール発射装置は、金融機関やコンビニエンスストア等の店舗等に備え付けられたり、警備員等に携帯されたりするものであり、強盗等の突発事件が発生した場合に、逃走する犯人や車等を識別するためのマーキングボールを発射するものである。
また、マーキングボールを発射した場合には、発射日時や発射場所等を特定して配信・記録することが可能となっている。
図1に示すように、マーキングボール発射装置1は、本体部10と、該本体部10の一端側に配置されるガスホルダー部20と、本体部の他端側に配置されるバレル部30とを備えている。
図2に示すように、本体部10は、ガス通路11aが形成される本体ボディ11と、該ガス通路11a内に摺動自在に嵌装されるピストン13と、マーキングボールの発射操作を行うための操作レバー12とを備えている。
また、本体ボディ11には、マーキングボール33を発射する際に、発射目標へ向かって照射するレーザー照準器15がブラケット16を介して装着されている。
前記ピストン13のガスホルダー部20側端部には、ガスホルダー部20側に突出する尖端を備えた突起部13bが形成されるとともに、ガス通路11aのピストン13よりもガスホルダー部20側に位置する部分とバレル部30側に位置する部分とを連通する連通孔13cが形成されている。
また、ピストン13は、ピストンスプリング14によりガスホルダー部20側へ付勢されている。
操作レバー12は、支点12bを中心に回動可能であり、支点12bより一側に位置するレバー部12aがレバースプリング17により外側へ付勢されている。操作レバー12の支点12bより他側に位置する部分には、内側へ突出するストッパピン12dが設けられており、該ストッパピン12dはレバースプリング17により内側へ付勢されて、ピストン13の外周部に形成されるストッパ穴13dに嵌合している。
この、ストッパピン12dがストッパ穴13dに嵌合している状態では、ピストン13はピストンスプリング14の付勢力に抗してガス通路11aの左側部分に位置しており、ストッパピン12dのストッパ穴13dに対する嵌合状態が解除されると、ピストン13はピストンスプリング14の付勢力によりガス通路11a内を右向へ移動する。
ガスホルダー部20は、ホルダー21に形成されるボンベ収納室21aに、炭酸ガス等の圧縮気体が充填されたガスボンベ22を収納して構成されており、ホルダー21の一端部に開口するボンベ収納口21bはキャップ23により閉塞されている。
ガスボンベ22は着脱可能に収納されており、キャップ23を取り外した状態で、ボンベ収納口21bからボンベ収納室21への着脱を行う。
ホルダー21の他端部は本体ボディ11に螺装されており、該ホルダー21の他端部には連通口21cが開口している。
該連通口21cにはガスボンベ22の開封口22aが挿入されており、該開封口22aと本体ボディ11のガス通路11aとが連通している。
バレル部30は、筒状に形成されるバレル31の基端部(本体ボディ11側端部)に、複数個のマーキングボール33が直列に詰められたシェルカートリッジ32を嵌装して構成されており、本体ボディ11の他端側に着脱可能に装着されている。
図3に示すように、バレル31の基端部にはL字状のロック孔31bが形成されており、本体ボディ11の他端部において径方向内側に突出するバレルロックピン18と該ロック孔31bの装着孔31cとを嵌合させながらバレル31を本体ボディ11に挿入した後、バレル31を本体ボディ11に対して回転させてバレルロックピン18とロック孔31bの係合孔31dとを係合させることで、バレル31を本体ボディ11に装着している。
マーキングボール33は、ゼラチン皮質等の弱弾性物質にて略球形に形成された外皮の内部に被識別剤を充填して構成したものであり、充填される被識別剤は、油、水、色素、香料、珪素、セラミックス等を含んでいる。
マーキングボール33の外皮は薄膜に形成されており、発射されたマーキングボール33が識別対象に当たった場合には容易に破れて、充填された被識別剤が容易に識別対象に付着することが可能となっている。また、識別対象に当たったときの衝撃は軽微なものとなっている。
このように構成されるマーキングボール発射装置1の作動について説明する。
まず、マーキングボール33を発射させるための事前準備として、以下の作業を行う。 ストッパピン12dとストッパ穴13dとの嵌合状態が解除されていて、ピストン13がピストンスプリング14の付勢力によりガス通路11aの右側部分に位置している状態となっているときには、ピストン13を発射可能状態にセットする。
つまり、図4に示すように、ホルダー21のキャップ23を取り外し、ホルダー21のボンベ収納口21bから棒状部材または管状部材41を挿入して、該管状部材等41によりピストン13を左方向へ押し込む。この場合、操作レバー12は、レバー部12aを押さえてストッパピン12dがガス通路11a内に突出しないようにしておく。ピストン13を押し込んで、ストッパ穴13dとストッパピン12dとの位置が合うと、レバー部12aから手を離してストッパピン12dをストッパ穴13dに嵌合させて、ピストン13をガス通路11aの左側部分に保持させる。
また、管状部材等41をホルダー21内に挿入してピストン13を押し込む場合、単に管状部材等41を押し込むだけでなく、管状部材等41の外周部に螺子を切り、この螺子とホルダー21のキャップ23を螺装する部分に形成される螺子部とを螺合させて、該管状部材等41を回転操作することにより、管状部材等41をピストン13方向へ進行させるように構成することもできる。
これにより、大きな力を加えることなくピストン13を発射可能状態にセットすることが可能となる。
また、操作レバー12に形成される安全ピン挿入孔12cに安全ピン(図示せず)を挿入する。この安全ピンは、安全ピン挿入孔12cに挿入することで、ストッパピン12dがストッパ穴13dと嵌合している状態に操作レバー12の位置を固定するものであり、不意に操作レバー12が操作されてピストン13がホルダー21側へ移動することを防止するものである。
ピストン13を発射可能状態にセットして安全ピンにより操作レバー12を固定した後に、ホルダー21のボンベ収納室21aにガスボンベ22を挿入し、ボンベ収納口21bにキャップ23を螺装して閉塞する。
次に、複数個のマーキングボール33が直列に詰められたシェルカートリッジ32をバレル31の基端部に挿入して、シェルカートリッジ32を挿入したバレル31を本体ボディ11の他端側に装着する。
このように、ピストン13、ガスボンベ2、およびマーキングボール33がセットされた状態(図2に示す状態)から、前記安全ピンを引き抜くと発射準備が完了する。
次に、事前準備が完了したマーキングボール発射装置1の発射動作について説明する。 まず、ガスホルダー部20のホルダー21に貼設されているレーザー照準器15のスイッチ15aを押して、該レーザー照準器15からレーザー光を発射させ、発射されたレーザー光を目標に向けて照準を合わせる。
照準を合わせながら操作レバー12のレバー部12aを押し下げると、ストッパ穴13dとストッパピン12dとの係合状態が解除される。
ピストン13は、ピストンスプリング14によりガスホルダー部20側へ付勢されているので、ストッパピン12dがストッパ穴13dから抜け出して両者の係合状態が解除されると、ピストン13は勢い良くガスホルダー部20側へ移動する。
図5に示すように、ピストン13がガスホルダー部20側へ移動すると、該ピストン13の突起部13bがガスボンベ22の開封口22aに当接して、該開封口22aの風板22bを打ち抜き、風板22bが打ち抜かれたガスボンベ22からは圧縮気体が放出される。放出された圧縮気体は、ピストン13の連通孔13cを通じて、ピストン13よりバレル31側のガス通路11aに案内され、該ガス通路11aおよびシェルカートリッジ32に隣接するガスプール11c内に充満する。
図6に示すように、ガス通路11aおよびガスプール11c内に充満した圧縮気体の圧力により、シェルカートリッジ32内のマーキングボール33が推進力を得て押し出される。押し出されるマーキングボール33はシェルカートリッジ32から抜け出し、バレル31内においてさらに加速され、バレル31開放口31aから発射される。
図7に示すように、シェルカートリッジ32の内径R1は、マーキングボール33の直径R2よりも若干小さく形成されており、マーキングボール33は弱弾性を有しているため、シェルカートリッジ32に詰められたマーキングボール33は若干扁平に歪んだ形状となって、マーキングボール33とシェルカートリッジ32とが密着した状態となっている。従って、ガスプール11c内に充満した圧縮気体がマーキングボール33とシェルカートリッジ32との間から漏れ出ることもなく、マーキングボール33を効率的に発射することが可能となっている。
また、バレル31の内径R3はマーキングボール33の直径R2よりも大きく形成されており、シェルカートリッジ32から押し出されたマーキングボール33は、バレル31内を通過する間に扁平に歪んだ形状から球形状へ戻ることができるため、発射されたマーキングボール33の直進性を損なうことがない。
さらに、マーキングボール発射装置1では、特許3020739号に示すように、発射速度を低下させることなくマーキングボール33にスライス回転を付与する等して、発射されたマーキングボール33の射程距離や直進性を高めることができる。
以上のように、マーキングボール発射装置1は、一端から他端にかけてガス通路11aが形成される本体ボディ11を供えた本体部10と、圧縮気体が充填されたガスボンベ22を収納するホルダー21を備え、本体部10の一端側に装着されるガスホルダー部20と、マーキングボール33が装填されたバレルを備え、本体部10の他端側に装着されるバレル部30とを備え、前記本体ボディ11にはガスボンベ22の開封手段であるピストン13、および該ピストン13を操作する操作レバー12が設けられ、前記本体ボディ11のガス通路11aは、ホルダー21とマーキングボール33が装填されたバレル31とにより密封されており、操作レバー12の操作によりガスボンベ22が開封されると、ガスボンベ22内の圧縮気体が本体ボディ11のガス通路11a内に充満し、充満した圧縮気体の圧力により、バレル31に装填されるマーキングボール33がバレル31外部へ発射されるように構成されている。
これにより、マーキングボール発射装置1は、簡単な構造で小型軽量に構成でき、マーキングボールの高精度な投擲を実現しながら携帯が可能なマーキングボール発射装置に構成することが可能となっている。
また、マーキングボール発射装置1においては、ガスボンベ22の開封部である開封口22aの風板22bガス通路11a内に面しており、ピストン13のホルダー21側端部には、ホルダー21側に突出する尖端を備えた突起部13bが形成されるとともに、連通孔13cが形成されており、ピストン13の摺動方向への移動可能状態と移動不能状態とを切り換える操作レバー12の操作によりピストン13を摺動不能状態から摺動可能状態へ切り換えると、該ピストン13がピストンスプリング14の付勢力によりホルダー21側へ移動してガスボンベ22の風板22bを打ち破ってガスボンベ22を開封し、開封されたガスボンベ22から放出される圧縮気体が、ピストン13の連通孔13cを通じてガス通路11aのピストン13よりホルダー21側に位置する部分からバレル31側に位置する部分へ侵入するように構成している。
これにより、簡単な操作でガスボンベ22を開封してマーキングボール33を確実に発射することが可能となっており、マーキングボール発射装置1の信頼性を高めている。
また、マーキングボール発射装置1のバレル31には、複数個(本実施例では3個)のマーキングボール33が装填されており、特にマーキングボール発射装置1から識別対象までの距離が離れている場合には、複数のマーキングボール33は互いに若干の間隔を空けて飛んでいくこととなるので、識別対象に対する狙いが若干ずれたとしても、何れかのマーキングボール33が識別対象に当たり易くなり、マーキングボー33の識別対象に対する命中確立を向上させることが可能となっている。
ここで、図8に示すように、本体ボディ11には携帯電話端末やPHS端末等の小型通信端末51が装着されており、操作レバー12のレバー部12aと本体ボディ11との間には、小型通信端末51の発信スイッチ52が配置されている。
該発信スイッチ52は、レバー部12aを押し下げるとオンするように構成されており、発信スイッチ52がオンすると小型通信端末51からの発信がなされる。
このように、小型通信端末51をマーキングボール発射装置1に装着することで、マーキングボールを識別対象へ発射した場合に、発射日時や発射場所等の各種情報を配信・記録・蓄積等して、マーキングボール33の被識別剤が付着した識別対象の発見および識別を容易に可能とする識別システムを構成することができる。
つまり、図9に示すように、マーキングボール33の発射と略同時に、小型通信端末51から、各マーキングボール発射装置1に固有の識別記号、マーキングボール33が発射された旨、発射時刻、および発射エリア等に関する情報を通信網Nを通じて、予め設定されている送信先であるデータステーション61のサーバ62へ向けて発信し、小型通信端末51から発信された各種情報を受け取ったサーバ62では、当該情報を適宜処理してデータベース63に格納し、格納された情報を用いて識別対象の発見、識別を行う識別システムを構成することができる。
この場合、発射時刻情報は、小型通信端末51またはマーキングボール発射装置1が備える時計機能により取得する。また、発射エリア情報は、小型通信端末51が例えばPHSである場合には、その小型通信端末51がどの中継アンテナのカバーエリアに位置しているかを識別することで取得する。小型通信端末51GPS等の位置情報取得機能を備えているときには、マーキングボール33の発射場所をさらに正確に把握することが可能である。
また、小型通信端末51が撮像機能を備えている場合には、マーキングボール33の発射時および発射前後に撮影した現場の画像情報も同時に発信することが可能であり、音声記録機能を備えている場合には、マーキングボール33の発射時および発射前後に録音した現場の音声情報も同時に発信することが可能である。
さらに、緊急事態が発生した旨のメールの送信や、緊急連絡先への前記各種情報の送信等を行うことも可能である。
また、マーキングボール33内に充填されている被識別剤は複数種類の成分が含まれているが、被識別剤の構成成分としては、例えば磁気センサの役割を果たすフェライト等の磁性体、明るい場所では蓄光して暗闇で光を発する蓄光塗料、紫外光を発するブラックライト等に反応して光る蛍光塗料、および特定の香りを有する香料等の成分が考えられる。この特定の香りを有する香料としては、例えば、訓練された犬等の動物には匂いを感じることができるが、人には匂いが感じられないといった特性を備える香料等がある。
これらの被識別剤の構成成分としては、通常人間の五感ではその存在を感じ取ることが難しいが、特定の条件が揃うとその存在を発見、識別することができるものが好ましく、このような成分を用いることでマーキングボール33にステルス性を備えさせることができる。
つまり、識別対象に被識別剤が付着した場合、例えば昼間の屋外の場所等では識別対象に被識別剤が付着していることを認識することができないが、識別対象が磁気検出器や紫外光発生器の近傍を通過したとき、または暗闇の中に侵入したとき等に被識別剤の付着を認識することができたり、匂いを感じる動物等が反応したりする特性を付与することができるものである。
さらに、マーキングボール33内に充填されている被識別剤に含まれる複数種類の成分の含有率を、マーキングボール33毎に変化させることで、マーキングボール発射装置1とマーキングボール33とを対応付けることが可能となる。
例えば、被識別剤が5種類の異なった成分A・B・C・D・Eを含んでいる場合、各成分A・B・C・D・Eの含有率をそれぞれ5水準の含有率に異ならせると(成分Aについては含有率a1〜a5、成分Bについては含有率b1〜b5、成分Cについては含有率c1〜c5、成分Dについては含有率d1〜d5、成分Eについては含有率e1〜e5)、3125通り(5(成分)の5(水準)乗=3125)の異なった成分の含有率のマーキングボール33を構成することができる。例えば、あるマーキングボール33は被識別剤を構成する成分が「A(a1)+B(b1)+C(c1)+D(d1)+E(e1)」であり、別のマーキングボール33では被識別剤を構成する成分が「A(a1)+B(b2)+C(c3)+D(d4)+E(e5)」となる。なお、ここで、X(x1)は、成分Xの含有率がx1であることを意味している。
そして、前記データベース63には、マーキングボール発射装置1に装着されるマーキングボール33の構成成分率と、そのマーキングボール発射装置1に付与されている固有の識別記号とが対応付けて記憶されている。
また、各マーキングボール発射装置1がどの場所に設置されまたは誰が携帯しているかの情報がデータベース63に記憶されている。
さらに、各マーキングボール発射装置1に装填されるマーキングボール33の成分含有率を、マーキングボール発射装置1の配置場所や地域に応じて異ならせている。
また、磁気検出器や紫外線発生器等といった、マーキングボール33の被識別剤に含まれる各成分の検出器65が、電柱や街灯の柱、各種施設・店舗・建物内外、および有料道路の料金所等の、屋内・屋外の適宜箇所に設置され、または警察官、警備員、および防犯担当者等の人物に適宜携帯されており、被識別剤が付着した識別対象がこの検出器65の近傍を通過すると、検出器65が各成分を検出できるようになっている。
被識別剤の成分を検出した検出器65は、成分を検出した旨、および各成分の含有率に関する情報を、通信網Nを通じてサーバ62へ送信する。サーバ62では、受信した情報に含まれる各成分の含有率と、記憶装置であるデータベース63に記憶されている被識別剤の各成分の含有率情報とを照合して、各成分の含有率が一致するマーキングボール33に対応するマーキングボール発射装置1を特定する。
これにより、識別対象に付着している被識別剤が充填されていたマーキングボール33が、どのマーキングボール発射装置1から発射されたかを特定することができる。
さらに、各マーキングボール発射装置1には、どの場所に設置され、または誰が形態しているかの固有情報が付与されてデータベース63に記憶されており、マーキングボール33を発射したマーキングボール発射装置1からは発射した時刻や発射エリア等の情報がサーバ62に送信されてくるので、何時、何処でマーキングボール33が発射されたかを特定することができる。
また、成分情報を送信してきた検出器65の設置場所等に関する情報もデータベース63に記憶されているので、被識別剤が付着した識別対象が現在何処にいるかを把握することも可能となっている。
マーキングボール発射装置1や検出器65から送信されてきた情報や、これらの情報をサーバ62にて処理して得られたマーキングボール33が何時、何処で発射されたかの情報、および被識別剤が付着した識別対象が現在何処にいるかといった情報等は、警察や警備会社等の機関66に送信される。
これらの情報を受け取った機関66は、この情報を参考にして迅速且つ確実に識別対象を発見、識別して、拘束、検挙することが可能となり、防犯抑止効果を大幅に向上させることができる。
上述のごとく、マーキングボール発射装置1には小型通信端末51が装着されており、操作レバー12を操作してマーキングボール33を発射させると発信スイッチ52がオンして、マーキングボール33が発射された旨の情報および該マーキングボール発射装置1に固有の情報(例えばマーキングボール発射装置1毎に付与されるシリアルナンバーや、発射時刻や、発射装置の配置場所等の情報)が、装着された小型通信端末51から、予め設定されている送信先であるデータステーション61のサーバ62へ送信されるように構成している。
これにより、データステーション61にて、マーキングボール33がどのマーキングボール発射装置1から何時、何処で発射されたのか、といったような事象を特定、把握することができ、マーキングボール33が当たった識別対象を識別、拘束するために有益な情報を容易に得ることが可能となっている。
また、小型通信端末51はデータ通信機能を有しており、さらに撮像機能、音声記録機能、および位置情報取得機能を有するものである場合は、強盗等の突発事件が発生した現場の状況や現場にいる識別対象を画像や音声で直接捕らえたり、マーキングボール33の発射場所を正確に把握したりすることができ、識別対象の識別、拘束を、より容易に行うことが可能となる。
また、マーキングボール33内には複数種類の成分を含む被識別剤が充填されており、被識別剤の各成分の含有率が異なる複数のマーキングボール33が存在し、マーキングボール発射装置1に装着されているマーキングボール33における被識別剤の各成分の含有率と、そのマーキングボール発射装置1に固有の情報とを対応付けた情報が、前記データベース63に記憶されているので、何時、何処で、どのマーキングボール発射装置1からマーキングボール33が発射されたかを特定することができるとともに、被識別剤が付着した識別対象が現在何処にいるかも容易に把握することができ、識別対象の識別、拘束をさらに確実に行うことが可能となっている。
また、図10に示すように、マーキングボール発射装置1は、本体部10の本体ボディ11を途中で屈曲して「く」字状に曲げた形状とすることもできる。この場合、マーキングボール発射装置1は、モデルガンのように、ガスホルダー部20を握って人指し指等を操作レバー12にかけながら体の正面で構え易くなり、識別対象を狙い易くなる。
次に、実施例2の構成について説明する。
図11は他の実施例である発射装置の斜視図。
図12は同じく正面図。
図13は同じく後面図。
図14は同じく側面図。
この実施例に示す発射装置100は、ボディ101に装着されたレーザポインタ140により、狙いを定め、トリガー110を押すことにより、射出口130よりマーキングボールを射出する。マーキングボールの射出はガス圧を利用し、キャップ120を開き装着されるガスボンベより供給される。
ボディ101は樹脂により構成されており、正面視において縦長形状であって、側面視において横長の略長方形状に構成されている。ボディ101の中央下部および前上部には、側面視において、弧状のくぼみが形成されている。そして、側面の前部中央に凹部を設けており、この凹部にレーザポインタ140を装着可能に構成している。また、ボディ101配設側側面が盛り上がった形状となっている。
射出口130はボディ101の下部において長手方向に沿って設けられており、レーザポインタ140のレーザー光照射方向に向けられている。射出口130の上方にはキャップ120が配設され、キャップ120の内側にガスボンベが配設される。下部に設けられた射出口130と上部に設けられたキャップ120の間には、レーザポインタ140が配設されており、ボディ101において、射出口130とガスボンベ装着部とレーザポインタ配設部とが、前部に集約された構成となっている。そして、ボディ101の後上部にトリガー110が配設されている。
ボディ101の後部には、マーキングボールを収納するカートリッジ152およびガスボンベを開封するためのピストンが配設されている。カートリッジ収納部はカートリッジキャップ150により閉じられている。
ボディ101のトリガー配設部の近傍には、安全ピン挿入孔101sが設けられており、この安全ピン挿入孔101sに安全ピンを挿入することにより、トリガー110が固定されマーキングボールの誤発射が防止される。
次に発射装置の内部構成について説明する。
図15は発射装置の斜視一部断面図。
図16は同じく側面断面図。
図17はボディへの組み付け構成を示す図。
図18は発射過程を示す図。
発射過程は図18(a)、図18(b)、図18(c)の順に進む。発射装置100は、図18(a)のようにトリガー110が押され、図18(b)に示すようにピストン111が開放され、図18(c)に示すようにガスボンベ121が開封されて、カートリッジ152内のマーキングボール33が発射される構成となっている。
発射装置100を構成するボディ101の内部構成について説明する。
ボディ101の前上部には、ガスボンベ121を配設するボンベ収納部102が設けられており、ボディ101の上部中央部から後部にかけて、ピストン111を配設するためのピストン室103が設けられている。
ボンベ収納部102とピストン室103とは、連通孔102bにより連通しており、この連通孔102bにガスボンベ121の先端部を挿入した状態で、キャップ120によりボンベ収納部102を閉じて、ボンベ121をボンベ収納部102内に固定する。これにより、ガスボンベ121の先端部がピストン室103に向けて配設され、ピストン111によりガスボンベ121を開封可能となる。
ピストン111は、バネ112の弾性力によりガスボンベ121に向けて押し出されるものであり、ピストン111の内側にバネ112が装着される構成となっている。バネ112の前端はピストン111に挿入されており、後端はキャップ160に当接している。 マーキングボール33を発射する前には、ピストン111はトリガー110に接続する係止ピン110gに係止されており、バネ112がピストン111とキャップ160との間において圧縮された状態で保持される。
そして、トリガー110により係止ピン110gを操作して、ピストン111の係止を解除することにより、ピストン111がバネ112の弾性力により前方に押し出されガスボンベ121に衝突する。トリガー110の前部とボディ101との間にはバネ110bが配設されており、トリガー110の前部を上方に付勢している。
トリガー110の下部には左右方向に支軸110dが装着されており、安全ピン孔110cが設けられている。支軸110dはトリガー110を傾動可能に支持する構成となっている。そして、安全ピン孔110cには安全ピンが挿入され、誤発射を防止する。ボディ101の安全ピン挿入孔101sに挿入された安全ピンはトリガー110の安全ピン孔110cに挿入され、トリガー110がボディ101に固定される。これにより発射装置100の誤発射を防止する構成となっている。
ピストン室103はガス供給孔104を介してカートリッジ装着部105と連通している。カートリッジ装着部105はボディ101の後下部に設けられており、射出口130の延長上に位置する。カートリッジ152は、マーキングボール33を複数個保持する。カートリッジ152は筒状に構成されており、内側にマーキングボール33を複数個保持する。カートリッジ152の後端部には、前および中央部よりも大径に構成された大径部152bが設けられており、この大径部152bがカートリッジ装着部105の当接面105bに当接して、カートリッジ152の位置決めが行われる。
そして、カートリッジ152とカートリッジキャップ150との間にはスペーサ153が配設される。スペーサ153はカートリッジキャップ150と一体的に構成されるので、カートリッジ152の位置決めを容易に行うことができる。
そして、ホルダー152とキャップ151との間には開口が設けられているので、ガスボンベ121からのガス圧がカートリッジ152の後部にかかり、マーキングボール33を射出することができる。
このように、発射装置100は、射出口130の配設方向に沿って、ガスボンベ121および開封手段であるピストン111、そしてカートリッジ152を配設するとともに、ガスボンベ121およびピストン111を射出口130およびカートリッジ152に対してオフセットした位置に配設している。さらに、ガスの噴出経路は、ボディ101において前方から後方に向かい、ボディ101後部において折り返し、再び前方へと噴出し、射出口130よりマーキングボール33を打ち出す。ボディ101内においてガスの噴出経路を折り返すことにより、発射装置100をコンパクトに構成できる。
次に、実施例2におけるピストンの構成について説明する。
まず、第1例のピストン構成について説明する。
図19は実施例2における第1例のピストン構成を示す斜視図。
図20は同じく側面図および正面図。図20(a)は側面図、図20(b)は正面図。 ピストン111には、突起部171、開口部170、係合部172が構成されている。 突起部171はピストン111の前部において先端部を前方に向けて配設される。第1例において、突起部171は四角錐形状をピストン111の正面に取付けた形状となっている。
このように、ピストン111の先端部である突起部171を多角形状で鋭角に構成するので、炭酸ガスが封入されているガスボンベ121の開封蓋を切り込むように開封することができる。突起部171の角部が開封蓋を上下左右に切り込むので、容易に開封することができる。そして、突起部171の耐久性を向上でき、ガスボンベ121の開封蓋を大きく開口させることができる。開口を大きくすることにより、ガス放出量を大きくし、マーキングボール33の発射速度を増大し、飛距離、有効射程距離、威力などを向上できる。また、発射装置100が小型であっても十分な飛距離および有効射程距離を得ることが出来る。
そして、ピストン111の正面および前部側面には、開口部170が設けられており、ピストン111の外側と内側とを連通する構成となっている。そして、ピストン111の中央部には周に添って窪んだ小径部である係合部172が構成されている。係合部172はトリガー110に接続した係止ピン110gと係合して、ピストン111を係止する部位となっている。
係止部172の後方には後方に向いた傾斜部173が構成されている。傾斜部173は後方に向けて径が小さくなるように構成されており、これにより、ピストン111をセットするときに円滑に係止ピン110gとの係合を行う構成となっている。
係止ピン110gとの係合がはずれた状態から、ピストン111を後方に押し込むと、トリガー110の係止ピン110gが傾斜部173に添って押し上げられる。そしてさらに、ピストン111を押し込むことにより、係止ピン110gが係合部172に嵌合し、ピストン111が係止される。このように、ピストン111を後方に押し込むことにより、自動的に係止ピン110gが押し上げられ、容易にピストン111を係止状態とすることができる。
次に、第2例のピストン構成について説明する。
図21は第2例のピストン構成を示す斜視図。
図22は同じく側面図および正面図。図22(a)は側面図、図22(b)は正面図。 ピストン111には、突起部171b、開口部170、係合部172が構成されている。
突起部171bはピストン111の前部において先端部を前方に向けて配設される。第2例において、突起部171bは略四角錐形状をピストン111の正面に取付けた形状となっており、側面がえぐれた形状となっており、側面が弧状にくぼみ、先端に向かうほど鋭角に構成されている。
このように、ピストン111の先端部である突起部171bを多角形状で先端側を鋭角に構成するので、ガスボンベ121の開封蓋を切り込むように開封することができ、ピストン111の耐久性を向上できる。
次に、第3例のピストン構成について説明する。
図23は第2例のピストン構成を示す斜視図。
図24は同じく側面図および正面図。図24(a)は側面図、図24(b)は正面図。 ピストン111には、突起部171c、開口部170、係合部172が構成されている。
突起部171cはピストン111の前部において先端部を前方に向けて配設される。第3例において、突起部171cは略四角錐形状をピストン111の正面に取付けた形状となっており、側面中央に切化基部171dを設けている。切欠き部171dは突起部171cの各側面に設けられる。
このように、切化基部171dを設けているので、ガスボンベ121の開封蓋が突起部171cの側面から受ける面圧が大きくなり、開封時において切欠き部171dがガスの噴出経路となり、開封が円滑に行われるとともに、ガスボンベ121の開封蓋がより切り込むように開封されることとなる。これにより、開封蓋を容易にあけることができ、ピストン111の耐久性を向上できる。
次に、発射装置100の把持構成について説明する。
図25は発射装置の把持例を示す図。
図25に示す発射装置100は、右利き用のものであり、発射装置100の膨らんだ側面を掌に向けて把持される。これにより、親指をトリガー110の上に位置させ、マーキングボール射出方向に人差し指を伸ばすと自然にレーザポインタ140に添えられるようになっている。これにより自然な動作で発射装置100を操作することができる。
また、発射装置100には、Bluetooth(登録商標)やHomeRF(登録商標)などの無線通信技術に対応した近距離無線端末を装着することができる。このような端末を利用して、携帯電話などの通信網に接続する端末にマーキングボール33の発射情報を送信することができる。トリガー110とボディ101との間に、近距離無線端末の発信スイッチを配置し、トリガー110を押すとオンとなりマーキングボール33の発射情報を携帯電話に送信する。
このように、近距離無線端末を発射装置100に装着することで、マーキングボールを識別対象へ発射した場合に、発射日時や発射場所等の各種情報を配信・記録・蓄積等して、マーキングボール33の被識別剤が付着した識別対象の発見および識別を容易に可能とする識別システムを構成することができる。
また、近距離無線端末を利用するので、マーキングボール33の発射情報の暗号化および改ざん防止などのセキュリティー性を向上できる。
本発明にかかるマーキングボール発射装置を示す側面図である。 マーキングボール発射装置を示す側面断面図である。 バレルの本体ボディへの接続部を示す側面図である。 ピストンを発射可能状態にセットする様子を示す側面断面図である。 操作レバーが操作されピストンによりガスボンベが開封された様子を示す側面断面図である。 ガスボンベから放出された圧縮気体の圧力によりマーキングボールが発射される様子を示す側面断面図である。 シェルカートリッジの内径、マーキングボールの直径、およびバレルの内径の関係を示す側面断面図である。 小型携帯端末が装着されたマーキングボール発射装置を示す側面図である。 識別システムを示す概要図である。 マーキングボール発射装置の第二の実施形態を示す側面図である。 他の実施例である発射装置の斜視図。 同じく正面図。 同じく後面図。 同じく側面図。 発射装置の斜視一部断面図。 同じく側面断面図。 ボディへの組み付け構成を示す図。 発射過程を示す図。 実施例2における第1例のピストン構成を示す斜視図。 同じく側面図および正面図。 第2例のピストン構成を示す斜視図。 同じく側面図および正面図。 第2例のピストン構成を示す斜視図。 同じく側面図および正面図。 発射装置の把持例を示す図。
符号の説明
1 マーキングボール発射装置
10 本体部
11 本体ボディ
11a ガス通路
12 操作レバー
13 ピストン
20 ガスホルダー部
21 ホルダー
22 ガスボンベ
30 バレル部
31 バレル
32 シェルカートリッジ
33 マーキングボール
62 サーバ
63 データベース

Claims (9)

  1. 一端から他端にかけてガス通路が形成される本体部と、
    圧縮気体が充填されたボンベを収納し、本体の一端側に装着されるガスホルダー部と、
    マーキングボールが装填され、本体の他端側に装着されるバレル部とを備え、
    前記本体部には、ガスホルダー内のボンベの開封手段、および該開封手段を操作する操作手段が設けられ、
    前記本体部のガス通路は、ガスホルダー部とマーキングボールが装填されたバレル部とにより密封されており、
    操作手段の操作によりボンベが開封されると、ボンベ内の圧縮気体が本体のガス通路内に充満し、充満した圧縮気体の圧力により、バレル部に装填されるマーキングボールがバレル部外部へ発射されることを特徴とするマーキングボール発射装置。
  2. 前記ガスホルダー部内のボンベの開封部は、本体部のガス通路内に面しており、
    前記ボンベの開封手段は、本体部のガス通路内に摺動自在に嵌装され、付勢手段によりガスホルダー部側へ付勢されるピストンであって、該ピストンのガスホルダー部側端部には、ガスホルダー部側に突出する尖端を備えた突起部が形成されるとともに、ガス通路におけるピストンよりガスホルダー部側に位置する部分とバレル部側に位置する部分とを連通する連通孔が形成されており、
    前記操作手段は、ピストンの摺動方向への移動可能状態と移動不能状態とを切り換える操作具であり、
    操作具の操作によりピストンを摺動不能状態から摺動可能状態へ切り換えると、該ピストンが付勢手段の付勢力によりガスホルダー部側へ移動して、該ピストンの突起部がボンベの開封部を打ち破ってボンベを開封し、
    開封されたボンベから放出される圧縮気体が、ピストンの連通孔を通じてガス通路のピストンよりガスホルダー部側に位置する部分からバレル部側に位置する部分へ侵入することを特徴とする請求項1に記載のマーキングボール発射装置。
  3. 前記バレル部には、複数個のマーキングボールが装填されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のマーキングボール発射装置。
  4. 前記マーキングボール発射装置には通信端末装置が装着可能であり、
    操作手段を操作してマーキングボールを発射させると、マーキングボールが発射された旨の情報および該マーキングボール発射装置に固有の情報が、装着された通信端末装置から予め設定されている送信先へ送信されることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項に記載のマーキングボール発射装置。
  5. 前記通信端末装置はデータ通信機能を有し、さらに撮像機能、音声記録機能、および位置情報取得機能、の少なくとも一つの機能を有することを特徴とする請求項4に記載のマーキングボール発射装置。
  6. マーキングボール内には複数種類の成分を含む被識別剤が充填されており、
    被識別剤の各成分の含有率が異なる複数のマーキングボールが存在し、
    マーキングボール発射装置に装着されているマーキングボールにおける被識別剤の各成分の含有率と、そのマーキングボール発射装置に固有の情報とを対応付けた情報が、前記送信先の記憶装置に記憶されていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のマーキングボール発射装置。
  7. 請求項1〜4の何れかに記載のマーキングボール発射装置と、マーキングボール発射装置に装着した通信端末装置と、通信端末装置と通信可能なサーバと、サーバと接続されるデータベースとを備え、
    マーキングボール発射装置がマーキングボールを発射すると、マーキングボールが発射された旨の情報および該マーキングボール発射装置に固有の情報が、通信端末装置から予め設定されている送信先へ送信されることを特徴とする識別システム。
  8. 前記通信端末装置はデータ通信機能を有し、さらに撮像機能、音声記録機能、および位置情報取得機能、の少なくとも一つの機能を有することを特徴とする請求項7に記載の識別システム。
  9. マーキングボール内には複数種類の成分を含む被識別剤が充填されており、
    被識別剤の各成分の含有率が異なる複数のマーキングボールが存在し、
    マーキングボール発射装置に装着されるマーキングボールにおける被識別剤の各成分の含有率と、そのマーキングボール発射装置に固有の情報とを対応付けた情報が、前記送信先の記憶装置に記憶されていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の識別システム。
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