JP2020003444A - 振動特性計測用の発射装置、加振力入力具、振動特性計測システム及び振動特性計測方法 - Google Patents

振動特性計測用の発射装置、加振力入力具、振動特性計測システム及び振動特性計測方法 Download PDF

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Abstract

【課題】加振力に含まれる周波数成分を容易に変更できるようにする。【解決手段】被発射物2を発射して対象構造物100に衝突させることで、加振力を対象構造物100に入力する。【選択図】図2

Description

本発明は、対象構造物の振動特性を計測するための振動特性計測用の発射装置、加振力入力具、振動特性計測システム及び振動特性計測方法に関するものである。
一般的に、計測対象物となる構造物(以下「対象構造物」という)の振動特性を得るためには、対象構造物に対してインパルスハンマや加振器など、対象構造物と接触する接触式入力デバイスにより加振力が入力される。そして、そのときの応答(出力)が加速度センサやレーザードップラー振動計などで計測され、対象構造物に対するこれらの入出力関係から周波数応答関数(FRF:Frequency Response Functions)が推定される。
しかし、対象構造物が回転体であったりMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)であったりする場合、このような従来型の接触式入力デバイスは、FRFの計測に適していない。
すなわち、回転体のように運動している対象構造物に対して、接触式入力デバイスにより所望の加振力を安定した状態で入力するのは困難である。また、MEMSのような超小型の対象構造物に対して接触式入力デバイスは遙かに大きな寸法となる。このため、接触式デバイスによりMEMSへ所望の加振力を精度良く入力したり、MEMSに接触式入力デバイスを設置したりするのは困難である。
特許文献1には、対象構造物に加振力を非接触で入力する非接触式入力デバイスが開示されている。この非接触式入力デバイスでは、対象構造物にレーザー光を照射してアブレーションを発生させることで、この対象構造物にインパルス入力(インパルス加振力)を作用させる。
アブレーションとは、レーザー光を対象構造物の加振点に照射すると、対象構造物の表面温度が急激に上昇し、原子やそれらのイオン等の放出物が爆発的に放出され、レーザー被照射部に高温・高密度のプラズマプルームが形成されることをいう。対象構造物の表面上から質量mの放出物が速度vで放出されれば、放出物の運動量(質量m×速度v)が対象構造物に対する加振力となる。
国際公開第2011/158503号
しかしながら、特許文献1に開示された非接触式入力デバイスでは、アブレーションにより加振力を生成することから、加振力に含まれる周波数成分の変更が困難であるという課題があった。
つまり、加振力の周波数成分は、対象構造物への加振力の入力時間に左右され、アブレーションにより生成された加振力は対象構造物への入力時間が非常に短いため、入力時間の変更が困難であった。すなわち周波数成分の変更が困難であった。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、加振力に含まれる周波数成分を容易に変更できるようにした振動特性計測用の発射装置、加振力入力具、振動特性計測システム及び振動特性計測方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の振動特性計測用の発射装置は、被発射物を発射して対象構造物に衝突させることで、加振力を前記対象構造物に入力する。
上記目的を達成するために、本発明の加振力入力具は、前記振動特性計測用の発射装置と、前記発射装置から発射されて対象構造物に衝突したときに加振力を前記対象構造物に入力する被発射物と、を備える。
上記目的を達成するために、本発明の振動特性計測システムは、前記加振力入力具と、前記対象構造物の応答出力を検出する検出装置とを備える。
上記目的を達成するために、本発明の振動特性計測方法は、被発射物が対象構造物に衝突したときに前記対象構造物に入力される加振力の大きさを予め求める準備ステップと、前記被発射物を前記対象構造物へ向けて発射するステップと、前記被発射物が前記対象物に衝突したときの前記対象構造物の応答出力を検出するステップと、予め求めておいた前記加振力の大きさと、前記応答出力とに基づいて、前記対象構造物の振動特性を算出するステップとを有する。
本発明によれば、加振力に含まれる周波数成分を容易に変更できる。
本発明の実施の形態の計測システムの構成を示す模式的な斜視図 本発明の実施の形態の発射装置の構成を示す模式的な縦断面図 加振力の大きさ及び周波数特性とそれらの再現性を調べる計測について説明するための模式的な側面図 発射装置を使用して得られたケース1〜3の各計測結果と理論値とを加振力の時刻歴波形として示す図 発射装置を使用して得られたケース4〜6の各計測結果と理論値とを加振力の時刻歴波形として示す図 発射装置を使用して得られたケース7〜9の各計測結果と理論値とを加振力の時刻歴波形として示す図 横軸を球体の速度、縦軸を最大加振力をとしたグラフに、ケース1〜9の平均加振力を表記した図 横軸を周波数、縦軸を振幅としたグラフに、ケース1〜ケース9における10試行分の計測結果の平均値を表記した図 対象構造物について説明するための正面図 自己周波数応答関数(以下「自己FRF」という)の計測結果を示す図 相互周波数応答関数(以下「相互FRF」という)の計測結果を示す図 計測システムの計測値より求めた振動モード形と、有限要素解析(FEA:Finite Element Analysis)により求めた振動モード形とを比較した図
以下、本発明の実施の形態に係る振動特性計測用の発射装置、加振力入力具、振動特性計測システム及び振動特性計測方法ついて、図面を参照しながら説明する。以下に示す実施の形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施の形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除するものではない。また、実施の形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。さらに、実施の形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
なお、実施の形態を説明するための全図において、同一要素は原則として同一の符号を付し、その説明を省略することもある。
[1.一実施形態]
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。以下の説明では、発射装置3は、球体2を発射する側を前方、その反対側を後方とし、対象構造物100は、発射装置3に向く側を前方、その反対側を後方とする。
[1−1.構成]
[1−1−1.全体構成]
以下、図1を参照して、本実施形態の振動特性計測システム(以下「計測システム」という)1について説明する。図1は、計測システムの構成を示す模式的な斜視図である。
図1に示される計測システム1は、対象構造物100の振動特性としてFRFを計測するシステムである。
この計測システム1は、球体2(被発射物)と、発射装置3と、加速度センサ4(検出装置)と、を備える。ここで、球体2と発射装置3とを備えて本発明の加振力入力具が構成される。
球体2は、発射装置3により一点鎖線の矢印で示されるように対象構造物100に向けて、本実施形態では水平方向又は略水平方向に発射され、対象構造物100の所定箇所(以下「加振点」という)に衝突する。これにより、加振点から対象構造物100に加振力が入力される。
発射装置3は、所定距離Lだけ離れて配置された対象構造物100に向けて球体2を発射する。より詳しくは、対象構造物100の前面(発射装置3に向かう面)の法線方向に向けて球体2が発射される。発射装置3は球体2を一定の速度(以下「発射速度」という)で発射する。詳しくは、球体2の仕様が変わらないことを前提として、同一の発射装置3(同一仕様の発射装置3を含む。以下、同様。)であれば、球体2の発射速度は一定して同じ速度となり、発射された球体2が対象構造物100に衝突する時の速度(以下「衝突速度」という)も、球体2の仕様及び発射装置3と対象構造物100との距離が変わらないことを前提として、一定の速度となる。すなわち、発射装置3は、発射速度及び衝突速度を高い精度で再現できる。
衝突速度が一定の場合、球体2の仕様同じであれば、球体2が対象構造物100と衝突する時に球体2から対象構造物100へ加振力が入力される入力時間〔加振力が入力されてから0(零)になるまでの時間〕の長さは同じとなる。入力時間が同じであれば、衝突時に球体2から対象構造物100に入力される加振力に含まれる周波数成分は同じとなる。したがって、発射装置3は、同じ球体2又は同じ仕様の球体2を使用すれば、一定の大きさ且つ一定の周波数成分を有する加振力を対象構造物100に入力できる。
その一方、球体2の仕様を変更することで対象構造物100に入力する加振力の大きさ及び周波数成分を変更できる。具体的には、例えば、球体2の半径(寸法),質量,ヤング率及びポアソン比のうち少なくとも1つを変更することで対象構造物100に入力する加振力の大きさ及び周波数成分を調整できる。例えば、球体2の半径を変更したり、球体2の材質を変更して球体2の質量,ヤング率及びポアソン比を変更したりすることで、対象構造物100に入力する加振力の大きさ及び周波数成分の変更範囲をさらに拡大できる。また、発射速度の異なる発射装置3を複数用意したり、発射速度を変更できる発射装置3を使用したりして、発射速度を変更することで、対象構造物100に入力する加振力の大きさ及び周波数成分を変更できる。
換言すれば、球体2の仕様を変更することで(例えば、球体2の半径,質量,ヤング率及びポアソン比のうち少なくとも1つを変更することで)所望の大きさ及び所望の周波数成分を有する加振力を対象構造物100に入力できる。また、発射速度を変更することで、所望の大きさ及び所望の周波数成分を有する加振力を対象構造物100に入力できる。
加速度センサ4は、加振力が入力された対象構造物100の応答出力を検出する。加速度センサ4は、本実施形態では、対象構造物100の後面に取り付けられているが、対象構造物100の前面に取り付けられていてもよい。なお、加速度センサ4に変えてレーザードップラー振動計やレーザー変位計などの非接触方式のセンサにより当該応答出力を検出してもよい。レーザードップラー振動計やレーザー変位計による計測位置は、対象構造物100の後面でも前面でもよい。
対象構造物100は、直方体ブロックである。対象構造物100は、その両端近傍を、本実施形態では、それぞれ2つ折りの一対の細い紐状体101により下から抱え込まれるように吊り下げ状態で自由支持されている。紐状体101としては、これに限定されるものではないが、細いナイロン製の紐や、たこ糸(木綿糸)や、ワイヤ等が例示される。また、本実施形態では、対象構造物100が、一対の紐状体101により下から抱え込まれるように吊り下げられているが、対象構造物100の吊り下げ方法は何ら限定されない。なお、紐状体101は天井に支持されている。
または、対象構造物100の任意の箇所を、バネのような弾性体で弾性的に支持、ボルトのような剛体により固定的に支持してもよい。或いは、対象構造物100をスポンジやエアクッションの上に置いてもよい。すなわち、計測システム1は、弾性支持や固定支持などを含む任意の境界条件においても計測を行える。
[1−1−2.発射装置の構成]
以下、図2を参照して発射装置3についてさらに説明する。図2は、発射装置3の構成を示す模式的な縦断面図である。なお、図2では、便宜上、ばね33は断面ではなく側面が示される。なお、図2に示される発射装置3の構成は一例に過ぎず、種々変形することができる。
図2に示される発射装置3は、円筒状のバレル30と、バレル30の後方(図2の紙面右側)にバレル30と一体に設けられ略有底筒状のシリンダ31と、後方からシリンダ31に挿通されるピストン32と、ピストン32とシリンダ31との間に設けられるばね33とを備える。なお、バレル30とシリンダ31とは一体成型されたものであってもよいし、別々に成型されたバレル30とシリンダ31とを、接着剤を使用して一体化させてよいし、嵌合や螺合により一体化させてもよい。
バレル30はシリンダ31よりも内径が小さく、バレル30とシリンダ31との内部の空間はシリンダ31からバレル30に向かって絞られた形状となる。また、バレル30の内径は、球体2の外径と略同じ大きさに設定されている。もちろん、バレル30とシリンダ31との内径が互いに同一であってもよい。
ピストン32は、ピストン本体32aと、軸部材32bと、操作部32cとを備える。ピストン本体32aはシリンダ31内において、シリンダ31の内壁面と摺接しながらバレル30に対し離接可能に設けられる。軸部材32bは、その前端がピストン本体32aの後面に固定され、その後端がシリンダ31の外部で操作部32cの前面に固定されている。
ばね33は、ピストン本体32aの後面とシリンダ31の後壁内面31aとの間において軸部材32bが挿通されるように配置されている。
球体2は、バレル30の長手方向に間隔をあけて配置された一対のOリング34の相互間でバレル30内に保持されている。バレル30には、球体2を一対のOリング34の相互間に押し込んでバレル30内にセットするための図示されない挿入口が設けられている。なお、当該挿入口をシリンダ31に設けるようにしてもよい。或いは、バレル30の先端の開口から球体2を押し込むようにしてもよく、この場合、当該挿入口を省略できる。
このように構成される発射装置3は次のように使用される。すなわち、操作者は、操作部32cを指で把持して後方に引いてばね33を圧縮状態とした後、操作部32cから指を離す。すると、ばね33に蓄えられたポテンシャルエネルギーが急激に解放され(圧縮状態のばね33が急減に伸張し)、ばね33によってピストン本体32aが黒塗りの矢印で示すようにバレル30側へと押し出される。これにより、ピストン本体32aの前方の空気が圧縮され、この圧縮された空気が、球体2を、Oリング34の保持力に抗してバレル30の前方へ押し出す。
上述のように、発射装置3の発射速度を変更することで対象構造物100に入力する加振力の大きさ及び周波数成分を変更できる。例えば、発射装置3の発射速度は、ばね33のばね定数すなわち球体2に作用させる付勢力を変更することで変更できる。また、バレル30の長さを変更することで、圧縮された空気から球体2が力を受ける時間を変更して発射速度を変更することができる。さらに、シリンダ31の大きさ(容積)の大きさを変更することで発射速度を変更することもできる。したがって、これらの発射装置3の仕様〔シリンダ31の大きさ(容積)、ばね33のばね定数、バレル30の長さなど〕を変更することで、発射速度、ひいては、加振力の入力時間を変更でき、対象構造物100に入力される加振力の大きさ及び周波数成分を変更できる。
なお、対象構造物100に入力される加振力の大きさ及び周波数成分は、発射装置3の仕様の変更だけにより変更してもよいし、球体2の仕様の変更だけにより変更してもよいし、発射装置3と球体2との両仕様を変更して変更してもよい。
[1−2.振動特性計測方法]
本発明の一実施形の振動特性計測方法では、次のようにして振動特性が計測される。
先ず、球体2が対象構造物100に衝突したときに対象構造物100に入力される加振力の大きさを予め求めておく。その後、球体2を対象構造物100へ向けて発射する。球体2が対象構造物100に衝突して加振力が入力されたとき、この対象構造物100の応答出力を加速度センサ4により検出する。準備ステップで予め求めておいた加振力の大きさと、検出ステップで検出された応答出力とに基づいて、対象構造物100のFRFを算出する(算出ステップ)。
[1−3.効果]
本発明の一実施形によれば、発射装置3の仕様及び球体2の仕様の少なくとも一方を変更することで、球体2により対象構造物100に入力される加振力の大きさ、及び、加振力に含まれる周波数成分を容易に変更できる。
また、発射装置3により発射された球体2により対象構造物100に加振力を入力する。よって、対象構造物100が回転体や移動体でも、離れた位置から球体2をこの対象構造物100に向けて発射することで、対象構造物100に加振力を安全且つ確実に入力できる。また、加振力を入力する装置を取り付ける必要がないので、MEMSのような超小型の対象構造物に対しても加振力を入力できる。
また、発射装置3による発射速度や、球体2の仕様(例えば、半径,質量,ヤング率及びポアソン比など)を適宜設定しておけば、加振力を入力する際に対象構造物100を損傷させてしまうことを防止できる。
[2.実施例]
本発明の有効性を確認するために、図1及び図2を参照して説明した計測システム1、発射装置3を使用して各種計測を行った。以下、これらの計測を実施例として説明する。
[2−1.計測条件]
以下、計測では、発射装置3として、発射速度の相違する3種類の発射装置3A(以下「Device A」とも表記する),発射装置3B(以下「Device B」とも表記する)及び発射装置3C(以下「Device C」とも表記する)を使用した。これらの3種類の発射装置3A,3B,3Cは、バレル30の長さ,シリンダ31の容積及びばね33のばね定数の少なくとも一つを相違させることで、発射速度を相違させている。
また、球体2の質量を変更することでも発射速度を変更できる。以下の計測では、質量が0.12g,0.20g及び0.25gの3種類の球体2を使用した。これらの球体2は、何れも、直径6mmのプラスチック製である。
なお、質量が0.12gの球体を使用した場合の発射速度が、発射装置3Aではおよそ20m/s、発射装置3Bではおよそ30m/s、発射装置3Cではおよそ50m/sとなるよう、バレル30の長さ,シリンダ31の容積及びばね33のばね定数が設定されている。
以下の計測では、これらの発射装置3A,3B,3Cと、質量の異なる3種類の球体2とを組み合わせて、下表1に示されるケース1〜ケース9の9つのケースについて計測を行った。
[2−2.加振力の理論値]
発射装置3A,3B,3Cを使用して得られた加振力の妥当性を検証するために、後述するように、加振力の計測値と、ヘルツの方程式に基づく信頼性の高い加振力の理論値との比較を行った。ヘルツの方程式に基づく加振力の理論値の算出方法について、以下、説明する。
半径Rの球体2が、平面(対象構造物100の壁面)に接触するときに作用する力、すなわち対象構造物100に入力される加振力Fは、2つの物体の中心間距離(つまり球体2の中心と対象構造物100の厚み方向の中心線との距離)をαとすると、ヘルツの方程式より下式(1),(2)で表される。

上式(1),(2)において、E,νはそれぞれ球体2のヤング率とポアソン比、E,νはそれぞれ対象構造物100の壁面のヤング率とポアソン比である。
球体2と対象構造物100との衝突は、弾性衝突と見なせるので、ヘルツの接触理論を弾性衝突に適用できると仮定すると、加振力Fは、加振力が入力されてからの経過時間tの関数として下式(3)で表される。
ここで、ニュートンの第二法則より、加振力F(t)は、球体2の質量mと、中心間距離αとを使用して下式(4)で表すこともできる。
したがって、上式(3)と上式(4)とから下式(5)の微分方程式が成立する。
上式(5)の微分方程式を解くことで、下式(6)に示されるように、経過時間tの関数として中心間距離α(t)が求められる。
ここで上式(6)のαは下式(7)で表される。
ここで、上式(7)のvは球体2の衝突速度、α0は中心間距離α(t)の最大変位をそれぞれ示す。
上式(6)のα(t)を上式(1)に代入することで、加振力F(t)が下式(8)で表される。すなわち、下式(8)を用いることで、加振力F(t)の理論値が得られる。
[2−3.発射速度]
各ケース1〜9における球体2の速度を計測することで、各発射装置3A,3B,3Cから発射された球体2の速度のばらつきや再現性を調べた。球体2の速度として、各発射装置3A,3B,3Cのバレル30の先端から300mm離れた位置における球体2の速度を計測した。試行回数(計測回数)は10回とした。下表2に、計測された速度の平均値(平均速度)と標準偏差とを示す。この表2より、各発射装置3A,3B,3Cにより発射された球体2の速度は、ばらつきが小さく、再現性が高いことがわかる。

[2−4.加振力]
各ケース1〜9において、対象構造物100に入力された加振力の大きさ及び周波数特性と、これらの再現性を調べる計測を行った。この計測について図3を参照して説明する。図3は、加振力の大きさ及び周波数特性とそれらの再現性を調べる計測について説明するための模式的な側面図である。なお、図3では便宜的に後述の立方体103及びロードセル104については側面視に応じた断面を示す。
この計測では、クッション102上に置かれた1辺が35mmのアルミニウム製の立方体103の重心軸上に、ステンレス製のロードセル104(200B03, PCB Inc., sensitivity: 2.298 mV/N, natural frequency > 75 kHzをねじ105で固定した。また、発射装置3A,3B,3Cのバレル30の先端とロードセル104の前面との距離Lcを300mmとした。
そして、各ケース1〜9において、発射装置3A,3B,3Cにより球体2を発射してロードセル104に衝突させ、そのときの加振力を、図示しないスペクトルアナライザ(A/D: NI PXI−4462, National Instruments Co., Software: CAT−System, CATEC Inc.)により計測した。スペクトルアナライザのサンプリング周波数,サンプリング点数及び試行回数は、それぞれ204.8kHz,32768点,10回とした。
図4〜図6に試行回数10回分の計測結果を加振力の時刻歴波形として示す。すなわち、図4〜図6は、横軸を任意の所定時間からの経過時間Time、縦軸を加振力Forceとするグラフに、各計測結果を細線で表記したものである。また、図4〜図6には、再現性および妥当性を検証するために、ヘルツの方程式に基づく信頼性の高い理論値を太線で併記する。
図4は、発射装置3Aを使用した場合の計測結果と理論値とを示し、(a)はケース1(つまり質量0.12gの球体2を使用時)、(b)はケース2(つまり質量0.20gの球体2を使用時)、(c)はケース3(つまり質量0.25gの球体2を使用時)についてそれぞれ示す。
図5は、発射装置3B使用した場合の計測結果と理論値とを示し、(a)はケース4(つまり質量0.12gの球体2を使用時)、(b)はケース5(つまり質量0.20gの球体2を使用時)、(c)はケース6(つまり質量0.25gの球体2を使用時)についてそれぞれ示す。
図6は、発射装置3Cを使用した場合の計測結果と理論値とを示し、(a)はケース7(つまり質量0.12gの球体2を使用時)、(b)はケース8(つまり質量0.20gの球体2を使用時)、(c)はケース9(つまり質量0.25gの球体2を使用時)についてそれぞれ示す。
下表3に、図4〜図6に時刻歴波形として示した計測結果における最大加振力Fmaxの平均値(平均加振力)とその標準偏差とを示す。すなわち、ケース1〜9のそれぞれの計測結果について、各試行における最大加振力Fmaxの平均値と標準偏差とを下表3に示す。

図7は、横軸を球体2の速度(Shot speed)、縦軸を最大加振力(Maximum contact force)としたグラフに、上表3の各ケース1〜9の平均加振力を表記したものである。各ケース1〜9の球体2の速度には、[2−3.発射速度]の表2の平均速度を使用した。また、図7には、再現性および妥当性を検証するために、ヘルツの方程式に基づく理論値を併せて示す。
図4〜図6及び上表3から明らかなように、発射装置3A,3B,3Cを使用して得られた加振力は、10回の試行におけるばらつきが小さく(標準偏差が小さく)再現性が高いことが分かる。また、図4〜図7から明らかなように、発射装置3A,3B,3Cを使用して得られた加振力は、ヘルツの方程式に基づく理論値とよく一致していることから、発射装置3A,3B,3Cにより生成された加振力は妥当であることがわかる。
したがって、発射装置3A,3B,3Cを使用して得られる加振力を事前に計測しておけば、或いは、ヘルツの方程式に基づいて事前に計算しておけば、発射装置3A,3B,3Cを使用して対象構造物100に加振力を入力した場合、この事前に求めた加振力を実際の加振力と見なすことができる。すなわち、発射装置3A,3B,3Cを使用してFRFを計測する場合、対象構造物100に入力された加振力の計測を省略でき、応答出力のみ計測するだけでFRFを計測することができる。
また、図7から明らかなように、加振力は、球体2の速度が大きくなるに従って大きくなることがわかる。
図8は、図4〜図6で示した時刻歴波形のスペクトルの平均値を示す図である。すなわち、図8は、横軸を周波数(Frequency)、縦軸を振幅(Amplitude)としたグラフに、ケース1〜ケース9における10試行分の計測結果の平均値を表記したものである。図8(a)は、図4(発射装置3Aによるケース1〜ケース3)に対応し、図8(b)は、図5(発射装置3Bによるケース4〜ケース6)に対応し、図8(c)は、図6(発射装置3Cによるケース7〜ケース9)に対応する。図8では、発射装置3A,3B,3Cにより生成された加振力に含まれる有効な周波数成分を評価するため周波数を50kHzまで示している。
図8の振幅を見ると、ケース1〜ケース9の何れにおいても、20kHz程度までは(おおよそ20kHz以下の周波数帯域では)、スペクトル特性はフラットであるが、それ以上の周波数帯域においては、振幅が徐々に低下していることがわかる。
また、発射速度は発射装置3A,3B,3Cの順に大きくなるが(発射装置3Aの発射速度<発射装置3Bの発射速度<発射装置3Cの発射速度)、図8より、発射装置3A,3B,3Cの順に加振力に含まれる周波数成分も高くなっている。したがって、発射速度が大きくなるに従い、加振力に含まれる周波数成分も高くなることがわかる。
故に、発射装置3A,3B,3Cにより生成された加振力は、20kHz程度までであれば十分な周波数成分を有していることがわかる。また、おおよそ20kHz以上の周波数帯域についても、球体2の発射速度を高くすることで、十分な周波数成分を有する加振力が得られることが分かる。
なお、本実施例では、球体2の材質をプラスチックとしたが、実施形態で説明したように、球体2の材質は、何ら限定されず、球体2の材質に例えば金属を使用することもできる。
[2−5.FRF計測]
FRF計測において、対象構造物100に作用するインパルス加振力の再現性が高く、このインパルス加振力が理想的なインパルス波形と見なすことができれば、FRF計測前に予め対象構造物100に作用する入力(加振力)を計測又は推定しておくことで、応答出力を計測するだけでFRFを計測できる。上述の[2−4.加振力]の欄では、発射装置3A,3B,3Cにより生成された加振力の再現性が高いことを示した。そこで、発射装置3A,3B,3Cを用いて、応答出力の計測だけで対象構造物100のFRF計測を行った。
[2−5−1.手順]
まず、はじめに、発射装置3A,3B,3Cにより生成される加振力F(t)の大きさを、上述した図3に示すようにロードセル104を用いて計測した。計測した加振力F(t)のフーリエスペクトルF(ω)を、計測対象となる周波数の範囲内で平均化することで、スカラー値である加振力Fを推定する。次に、発射装置3A,3B,3Cにより対象構造物100に加振力F(t)を作用させた際のインパルス応答a(t)を計測する。このインパルス応答a(t)のフーリエスペクトルa(ω)を、推定された加振力Fで除し、計測におけるむだ時間Δtを補正すれば、FRFを得ることができる。対象構造物100に加振力F(t)が作用し、対象構造物100が揺れ始める時刻t〔=0(零)〕よりも以前の時刻t=−Δtに、スペクトルアナライザがデータを記録し始める場合、計測された応答にはむだ時間Δt分の応答が含まれる。
従来の入出力計測に基づき得られるFRFに含まれるランダム誤差の影響はコヒーレンス関数により評価できる。コヒーレンス関数と同様の考え方を導入することで、本手法により得られる(発射装置3A,3B,3Cを使用して計測される)FRFに含まれるランダム誤差の影響を、コヒーレンス関数を信頼性係数として評価する。入出力計測に基づき得られるFRFのコヒーレンス関数γ(ω)は、次式で表される。
ここで、上式(9)におけるGinput(ω),Goutput(ω),Ginput-output(ω)は、入力(加振力)のパワースペクトル,出力のパワースペクトル,入出力間のクロススペクトルである。
本手法では、入力は周波数に依存しないスカラー値として得られるため、厳密には信頼性係数はコヒーレンス関数γ(ω)とは異なる。そこで、本手法では、コヒーレンス関数γ(ω)を表す上式(9)を修正して、信頼性係数Rを角周波数ωの関数として下式(10)のように定義する。
ここで、Gimpactは、本手法により得られた周波数に依存しない加振力Fである。信頼性係数R(ω)(0≦R(ω)≦1)は、1に近いほど、ランダム誤差の影響が小さくなり、これは従来のFRF計測におけるコヒーレンス関数に相当する。
[2−5−2.FRF計測]
FRF計測には、前述の図1に示す計測システム1を使用した。発射装置3のバレル30の先端と、FRFを計測する対象構造物100との距離Lは300mmに設定されている。
対象構造物100について図9を参照して説明する。図9は、対象構造物100について説明するための正面図である。図9に示す対象構造物100は、その素材はアルミニウム合金(Aluminum alloy 5052)製であり、その寸法は、縦寸法Lhが50mm、横寸法Lwが150mm、厚さLtが20mmである(Lh×Lw×Lt=50mm×150mm×20mm)。
また、加振点Pは、対象構造物100の図9中にドットで示す位置に設定されている。具体的には、縦方向については、上縁及び下縁からそれぞれ5mmあけて10mmピッチで5点配列され、横方向については、左側縁及び右側縁からそれぞれ5mmあけて14mmピッチで11点配列されている。したがって対象構造物100上に計55点(=5×11)の加振点Pが設定されている。なお、図9では便宜上一部の加振点にのみ符合Pを付す。
また、計測点は、対象構造物100に2点設けられている。具体的には、図9の紙面上において、一番左下の加振点Pが計測点Aとして使用され、一番右上の加振点Pが計測点Bとして使用される。
応答出力は、計測点A,Bの背面に接着剤で固定された加速度センサ4(352A25, PCB Inc., sensitivity: 0.263 mV/(m/s2), natural frequency > 80 kHz)により計測し、スペクトルアナライザ(A/D; NI PXI−4462, Software; CAT−System, CATEC Inc.)で記録した。計測におけるサンプリング周波数,サンプリング点数及び平均化回数(試行回数)は、[2−4.加振力]の欄で説明した計測と同様に、それぞれ204.8kHz,32768点,10回とした。なお、図1では計測点Bの背面に設けられた加速度センサ4は省略している。
[2−4.加振力]の欄で上述した図8に示される計測結果を踏まえ、本計測における計測対象の周波数は20kHzとした。なお、後述の図10及び図11に示すFRFおよび図12に示す振動モード形は、参考として35kHzまでの周波数について示される。図8のスペクトルのフラットな周波数帯域である20kHz以下の周波数帯域について、このスペクトルの絶対値を平均化して加振力を求めた。下表4に得られた加振力を示す。本計測では、前記のケース1〜ケース9についてそれぞれFRF計測を行った。その際の加振力は下表4に示すとおりである。
具体的には、発射装置3Aを使用した場合において、0.12gの質量の球体2を発射したケース1では80.4mN、0.20gの質量の球体2を発射したケース2では85.5mN、0.25gの質量の球体2を発射したケース3では80.8mNであった。また、発射装置3Bを使用した場合において、0.12gの質量の球体2を発射したケース4では107.4mN、0.20gの質量の球体2を発射したケース5では95.0mN、0.25gの質量の球体2を発射したケース6では90.9mNであった。また、発射装置3Cを使用した場合において、0.12gの質量の球体2を発射したケース7では164.9mN、0.20gの質量の球体2を発射したケース8では178.7mN、0.25gの質量の球体2を発射したケース9では173.6mNであった。
本計測では、図9の対象構造物に対して、有限要素法解析ツール(ANSYS 15.0)を使用して有限要素解析により固有値解析し、対象構造物100の固有振動数及び振動モード形を求めた。図9に示す対象構造物100の有限要素モデルは、六面体ソリッド要素(SOLID185),1mm間隔とし,節点数161721、要素数150000とした。FEAにより計算したFRFのモード減衰比は、計測により得られたFRFから同定された後述のモード減衰比とした。

[2−5−3.自己FRF及び相互FRF]
図10及び図11を参照して、計測システム1を使用して計測されたFRFについて説明する。試験条件は前述のケース1と同様であり、発射装置3Aと0.12gの球体2とを使用した。
図10は、点Aを加振点及び計測点とする自己FRF(auto FRF)HA−Aの計測結果を示す図である。詳しくは、図10は周波数(Frequency)に対する各種パラメータの特性を示し、(a)は計測結果の信頼性係数R(ω)(Reliability coefficient)の特性、(b)は計測結果及びFEAの解析結果の位相(Phase)の特性、(c)は、計測結果及びFEAの解析結果の振幅(Amplitude)の絶対値の特性をそれぞれ示す。
図11は、点Aを加振点とし点Bを計測点とする相互FRF(cross FRF)HA−B、点Bを加振点とし点Aを計測点とする相互FRF(cross FRF)HB−Aの各計測結果を示す図である。詳しくは、図11は周波数に対する各種パラメータの特性を示し、(a)は各計測結果の信頼性係数R(ω)の特性、(b)は各計測結果及びFEAの解析結果の位相の特性、(c)は、各計測結果及びFEAの解析結果の振幅の絶対値の特性をそれぞれ示す。
図10(c)及び図11(c)に示されているように、20kHzまでの周波数帯域においては、本手法およびFEAにより得られたFRFはよく一致している。
また、図11(c)に示されているように、それぞれ本手法より得られた相互FRFHA−B,HB−Aどうしが良く一致していることから、系の線形性が精度良く再現されていることが確認できた。
また、図10(a)及び図11(a)に示されているように、自己FRFHA−Aと、相互FRFHA−B,HB−Aとの各信頼性係数R(ω)は、反共振点で大きく低下している。これは、従来の振動計測におけるコヒーレンス関数と同様の傾向を示していることから、本手法において、計測されたFRFに含まれるランダム誤差の影響を評価できていることが確認できた。
また、20kHz以上の周波数帯域においては、自己FRFHA−Aと相互FRFHA−B,HB−Aとの各信頼性係数がそれぞれ低下していることがわかる。これは、発射装置3を使用して対象構造物100に加えられた加振力の周波数成分が上述したように20kHz以上で徐々に低下すること(図6参照)が原因として考えられる。さらに、12kHz以上の周波数帯域において、相互FRFHA−B,HB−Aどうしの信頼性係数を比較すると、相互FRFHB−Aの信頼性係数のほうが若干低下していることがわかる。これは、対象構造物100を紐状体101により吊るすことで自由支持していることが影響しているものと思われる。すなわち、細い紐状体101で対象構造物100を支持することで、対象構造物100が無重力空間に浮いている状態を模擬しているが、点Aと点Bとでは、紐状体101の支持点(天井)からの距離が互いに異なる。このため相互FRFHA−B,HB−Aどうしが完全には一致しない。
[2−5−4.モード特性の同定]
図9に示される対象構造物100の全加振点(55点)を、計測システム1により加振した。そして、計測点Aに取り付けられた加速度センサ4で全加振点の応答出力を計測することで得られた55個のFRFに対して、多点偏分法を適用しモード特性を同定した。FRFの計測条件は前述のケース1と同様であり、発射装置3Aと0.12gの球体2とを使用した。
同定されたモード特性(固有振動数及びモード減衰比)を下表5に示す。下表5から明らかなように、本手法により計測した固有振動数(計測値)と、FEAにより求めた固有振動数(解析値)とは良く一致している。

図12は、本計測システム1の計測値に基づく振動モード形と、FEAにより求めた振動モード形とを比較した図である。詳しくは、図12(a),(b),(c)は、それぞれ振動モード3,6,9における振動モード形を示し、それぞれ、左に本計測システム1の計測値から求めたものを、右にFEAから求めたものを並べて示す図である。図12に示される振動モード形は、対象構造物100を模擬した形状において、位相がプラスの加振点に対応する箇所はプラスの度合いに応じて上方に示され、位相がマイナスの加振点に対応する箇所は、マイナスの度合いに応じて下方に示される。また、加振点に対応する箇所は、振幅の大きさに応じて着色されている。但し、図12は、この着色された振動モード形を白黒で表示させたものとなっているため、図12で表示された振動モード形は、濃淡により振幅の大きさが表現されるものではない。
図12に示される振動モード形においても、本計測システム1の計測値から求めたものと、FEAにより求めたものとが良く一致している。
このように表5及び図12から明らかなように、本手法によりFRF、モード特性を精度良く同定できる。
[3.変形例]
(1)球体2の少なくとも表面を、粘着性を有する物質(粘着性物質)により形成してもよい。具体的な構成としては、球体2の表面層を粘着性物質により形成する構成、又は、球体2の本体の表面に粘着材(粘着性物質)を塗工した構成、球体2の全てを粘着性物質により形成した構成が例示される。このような構成とすることで、球体2が、対象構造物100に衝突した際に対象構造物100に粘着するので、球体2が対象構造物100から跳ね返ることを防止できる。或いは、球体2の粘着力により、対象構造物100に衝突した際の球体2の跳ね返りの強さを軽減できる。これにより、より安全に計測を行える。
(2)球体2は、対象構造物100に衝突した時に、に対象構造物100に加振力を付与できるのであれば、当該衝突の際に部分的に破損してしまったり、砕け散ってしまったりするようなものであってもよい。
(3)被発射物には、球体に限定されず種々の形状のものが使用されうる。例えば、被発射物の形状を、しいのみ型(どんぐり型)、楕円球型などとしてもよい。
(4)応答出力を検出する装置にレーザードップラー振動計を使用する場合、レーザードップラー振動計を発射装置3と一体に構成してもよい。この場合、対象構造物100に対してレーザードップラー振動計からレーザーが照射された箇所又は近傍に、発射装置3から発射された球体2が衝突するようにレーザードップラー振動計の照射位置を調整してくのが好ましい。これにより、レーザードップラー振動計を、発射装置3の照準器として使用することができ、対象構造物100の加振点としたい所望の箇所又は近傍に球体2を精度良く衝突させることができる。
(5)上記実施形態では、圧縮状態のばねを伸張状態に開放することで圧縮空気を作り出し、この圧縮空気により球体2を発射させたが、球体2を発射させるための手法は何ら限定されない。例えば火薬を爆発させることで高圧のガスを発生させて、このガスの圧力により球体2を発射させるようにしてもよい。又は、シリンダ31内に圧縮ガスを供給し、その後、電磁バルブのような開閉手段を閉状態から開状態に短時間で開放することで、この圧縮ガスを球体2に供給して球体2を発射させるようにしてもよい。
(6)上記実施形態では、発射装置3の球体2の発射方向を、対象構造物100の前面の法線方向としたが、球体2の発射方向は、当該法線方向に対し傾斜した方向であってもよい。すなわち、対象構造物100の前面に球体2が斜めから衝突するようにしてもよい。
本発明は、対象構造物に入力する加振力の再現性が高く、且つ加振力の周波数を容易に変更できるので、対象構造物の応答出力の計測だけで振動特性を計測できる上、周波数を変更して様々な条件で対象構造物の振動特性を計測できる。したがって、その産業上の利用可能性はきわめて大きい。
1 計測システム
2 球体(被発射物)
3,3A,3B,3C 発射装置
30 バレル
31 シリンダ
31a 後壁内面
32 ピストン
32a ピストン本体
32b 軸部材
32c 操作部
33 ばね
34 Oリング
4 加速度センサ(検出装置)
100 対象構造物
101 紐状体
102 クッション
103 立方体
104 ロードセル
105 ねじ
L 発射装置3と対象構造物100との距離
Lc 発射装置3とロードセル104との距離
t 経過時間
v 衝突速度

Claims (10)

  1. 被発射物を発射して対象構造物に衝突させることで、加振力を前記対象構造物に入力する、振動特性計測用の発射装置。
  2. 請求項1に記載の振動特性計測用の発射装置と、
    前記発射装置から発射されて対象構造物に衝突したときに加振力を前記対象構造物に入力する被発射物と、
    を備えた加振力入力具。
  3. 前記被発射物が複数備えられ、
    前記複数の被発射物は、前記加振力の大きさと前記加振力が有する周波数成分との少なくとも一方が相違する
    請求項2に記載の加振力入力具。
  4. 前記複数の被発射物は、寸法,質量,ヤング率及びポアソン比のうち少なくとも1つが相違する
    請求項3に記載の加振力入力具。
  5. 前記被発射物の表面は粘着性物質により形成されている
    請求項2〜4の何れか一項に記載の加振力入力具。
  6. 前記被発射物が球体である
    請求項2〜5の何れか一項に記載の加振力入力具。
  7. 請求項2〜6の何れか一項に記載の加振力入力具と、
    前記対象構造物の応答出力を検出する検出装置と
    を備えた振動特性計測システム。
  8. 前記検出装置は、前記対象構造物と非接触状態で前記応答出力を検出する非接触式検出装置である
    請求項7に記載の振動特性計測システム。
  9. 前記発射装置が複数備えられ、
    前記複数の発射装置は、前記被発射物の発射速度が相違する
    請求項7又は8に記載の振動特性計測システム。
  10. 被発射物が対象構造物に衝突したときに前記対象構造物に入力される加振力の大きさを予め求める準備ステップと、
    前記被発射物を前記対象構造物へ向けて発射するステップと、
    前記被発射物が前記対象物に衝突したときの前記対象構造物の応答出力を検出するステップと、
    予め求めておいた前記加振力の大きさと、前記応答出力とに基づいて、前記対象構造物の振動特性を算出するステップと
    を有する、振動特性計測方法。
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