JP2006037763A - Dpf再生制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】DPF再生制御中にディーゼルエンジンの失火を防止するDPF再生制御装置を提供する。
【解決手段】DPF再生制御中に吸気絞弁10による吸気絞り量と、燃料噴射弁4からのメインI/Tリタードと、吸気温度からディーゼルエンジン1の着火遅れ期間を算出し、着火遅れ期間とディーゼルエンジン1が失火する限界着火遅れ期間を比較し、ディーゼルエンジン1が失火する場合には、メインI/Tリタードを進角補正し、ディーゼルエンジン1の失火を防止する。
【選択図】 図1

Description

本発明はDPF再生制御装置に関するものである。
ディーゼルエンジンの下流に位置し、ディーゼルエンジンから排出される排気ガス中のパティキュレート(以下、PM:Particulate Matter)を捕集するパティキュレートフィルタ(以下、DPF:Diesel Particulate Filter)において、PMの捕集量が所定の捕集量を超えた場合にPMを燃焼させDPFの機能を再生するものが知られている。
従来、DPFに捕集されたPMを燃焼除去する際に排気ガスの排気温度が低い場合には吸気絞り、または燃料噴射時期遅延により排気温度をDPFに担持した酸化触媒の触媒活性化温度まで上昇させるものが、特許文献1に開示されている。
特開2003−193824号公報
しかし、上記の発明では、吸気絞り、または燃料噴射時期遅延によるディーゼルエンジンの失火判定を行っておらず、DPF再生制御中に例えば或るサイクルで失火が起きると排気ガス中のHC成分が増大し、多量のHCが酸化触媒と反応することでDPFの温度が過昇温となり、DPFを溶損させるといった問題点がある。
本発明ではこのような問題点を解決するために発明されたもので、ディーゼルエンジンの失火判定を行い、失火を防止する補正を行うことでDPFの過昇温を防ぎ、DPFの溶損を防止することを目的とする。
本発明ではエンジン排気通路に介装したDPFと、少なくとも燃料噴射時期を遅角してDPFの再生制御を行うDPF再生制御手段と、を備えたDPF再生制御装置において、DPF再生制御時に車両の運転状態に基づいてエンジンの着火遅れ期間を算出する着火遅れ算出手段と、着火遅れ期間と失火が起きる失火判定期間を比較しエンジンの失火判定を行う失火判定手段と、着火遅れ期間が失火判定期間よりも長い場合に燃料噴射時期を進角補正し、エンジンの失火を防止する失火防止手段を備える。
本発明によると、DPF再生制御の際にエンジンの失火判定を行い、失火が起こると判定されると燃料噴射時期を進角補正するので、エンジンの失火を防止することができる。これにより、DPFの過昇温を防ぐことができ、過昇温によるDPFの溶損を防止することができる。
本発明の第1実施形態の構成を図1の概略構成図を用いて説明する。この実施形態は、ディーゼルエンジンを搭載した車両について説明するが、この構成に限ったものではない。
この実施形態は、ディーゼルエンジン1と、ディーゼルエンジン1に供給する新空気を導く吸気通路2と、ディーゼルエンジン1から排出される排出ガスが通る排気通路(エンジン排気通路)3を備える。
ディーゼルエンジン1の燃焼室上部には燃料噴射弁4及び吸気弁18と排気弁19が備えられる。またクランク角の角度を検出するクランク角度検出センサ5を備える。
吸気通路2には、外部から取り入れた空気中のゴミなどを取り除くエアークリーナ6と、外部から取り入れた空気量を検出するエアフローメータ7と、ターボチャージャ8のコンプレッサ8bと、空気の温度を冷却するインタクーラ9と、ディーゼルエンジン1への吸気量を制御する吸気絞弁(吸気制御手段)10と、吸気温度を検出する温度センサ(吸気温度検出手段)11を備える。
排気通路3には、ターボチャージャ8のタービン8aと、排気ガス中のPMを捕集するDPF12を備える。ターボチャージャ8のコンプレッサ8bとタービン8aは連結しており、排気通路3を流れる排気ガスによってタービン8a、コンプレッサ8bが回転し、ディーゼルエンジン1に圧縮空気を供給する。
また、排気通路3と吸気通路2はディーゼルエンジン1をバイパスするEGR配管13によって連通し、排気通路3から排気ガスの一部がEGR配管13によって吸気通路2に環流される。なお、EGR配管13にはEGRの量を制御するEGRバルブ14を備える。また、DPF12の上流と下流の圧力差を検出する差圧センサ15と、DPF12の上流の排気温度を検出する温度センサ(排気温度検出手段)16を備える。
前記各センサなどによって検出されたデータに基づいて、ディーゼルエンジン1への燃料噴射、DPF再生制御の実行判断をするECU20を備える。
DPF12はディーゼルエンジン1から排出された排気ガス中のPMを捕集するとDPF12の通気抵抗が高くなるので、差圧センサ15によって検出する差圧が高くなる。ECU20は、この差圧が所定差圧以上になると、DPF12に所定値以上のPMが捕集されたと判断し、DPF再生制御を行う。
DPF再生制御時にはディーゼルエンジン1から排出される排出ガスの温度を高めるために、燃料噴射弁4からのメイン噴射のタイミングを遅らせ、またはメイン噴射後にポスト噴射を行い排気温度を上昇させ、排気ガス中に高濃度のHCを発生させる。更に吸気絞弁10によってディーゼルエンジン1に供給される吸気を絞り、ポンピングロスを増大させ、燃料噴射弁4から燃料噴射量を通常時よりも多くすることで、排気温度を上昇させる。
DPF12は触媒を担持しており、排気ガス中のHCが触媒によって酸化反応をおこし、酸化反応によって発生する反応熱によってDPF12に捕集されたPMを更に燃焼する。
次にDPF再生制御を行う際の排気ガスの昇温制御について図2のフローチャートを用いて説明する。ここではDPF12の差圧が所定差圧以上になり、DPF再生制御を行うものとする。なお、この制御はDPF再生制御を行っている場合に所定時間毎に行われる。
ステップS100では図示しないエンジン回転検出部より所定時間あたりのエンジン回転数を検出する。
ステップS101では燃料噴射弁4から噴射される燃料噴射量を検出する。この燃料噴射量はDPF再生制御時に車両の運転状態によって予め設定された燃料噴射量である。
ステップS102では温度センサ11によってディーゼルエンジン1に供給される吸気温度を検出する。なお、この吸気温度の代わりに外気温度を検出してもよい(ステップS102が吸気温度検出手段を構成する)。
ステップS103ではステップS100によって検出したエンジン回転数とステップS101によって検出した燃料噴射量から予め設定したマップによりDPF再生制御でのメイン噴射の燃料噴射時期、つまり通常走行時の燃料噴射のタイミングよりも遅く燃料噴射を行うメインI/Tリタードを読み出す。
ステップS104ではエンジン回転数と燃料噴射量からDPF再生制御時の吸気絞弁10による目標吸気絞り量を予め設定されたマップから読み出す。なお、後述するステップS111において排気ガス温度が低い場合には、マップから読み出した目標吸気絞り量に後述するステップS112によって算出した吸気絞り量補正値を加算し、補正を施した目標吸気絞り量を算出する。なお、吸気絞り量補正値を加算した場合には、ポンピングロスが増大するので、ディーゼルエンジン1の出力を保つために吸気絞り量補正値に応じて燃料噴射量を補正する。ここでは吸気絞り量補正値に応じて燃料噴射量を増加することで、ディーゼルエンジン1の出力を保ち、更に排気ガスの温度を高くすることができる(ステップS104が吸気量算出手段、吸気量補正手段を構成する)。
ステップS105では、吸気温度と、メインI/Tリタードと、目標吸気絞り量から予め実験によって得られたデータ基づいて作成されたマップによってディーゼルエンジン1の着火遅れ期間を読み出す。ここで用いるマップは或る目標吸気絞り量に対して吸気温度とメインI/Tリタードから着火遅れ期間を読み出すマップであり、吸気温度が低い場合には着火遅れ期間は長くなり、メインI/Tリタードが遅くなる程着火遅れ期間は長くなる。吸気温度とメインI/Tリタードから着火遅れ期間を読み出すマップは、目標吸気絞り量に応じて複数備える。目標吸気絞り量と着火遅れ期間については吸気絞り量を増やす、つまり吸気量を少なくすると着火遅れ期間は長くなる。なお、着火遅れ期間を読み出すためのメインI/Tリタードは後述するステップS108で進角補正が行われていない場合はステップS103で読み出したメインI/Tリタードであり、進角補正が行われた場合は後述するステップS108で補正を施した後のメインI/Tリタードである(ステップS105が着火遅れ算出手段を構成する)。
以上の制御により、ディーゼルエンジン1の着火遅れ期間を読み出すことができる。なお、ステップS103においてエンジン回転数と燃料噴射量からメインI/Tリタード算出したが、このメインI/Tリタードをエンジン回転数と燃料噴射量と吸気温度から算出してもよい。この場合、ステップS105ではメインI/Tリタードから着火遅れ期間を算出する。
ステップS106ではステップS105において算出した着火遅れ期間によって、ディーゼルエンジン1が失火を起こすかどうか判定する。そして失火が起こらないと判定するとステップS109へ進み、失火が起こると判定するとステップS107へ進む。この失火判定はステップS105において算出した着火遅れ期間が、予め実験で設定された所定期間(失火判定期間)よりも長くなると失火が起こると判定する。この所定期間は吸気温度と、メインI/Tリタードと、目標吸気絞り量にに基づいて設定され、この所定期間は吸気温度が低くなる、またはメインI/Tリタードが遅くなる、または目標吸気絞り量が大きくなると短くなる(ステップS106が失火判定手段を構成する)。
ステップS107では、ステップS106で失火が起こると判定されると図3に示すマップから、失火を回避するために必要なメインI/Tリタードの進角補正量を読み出す。図3のマップは吸気温度と進角補正量の関係を示したマップであり、吸気温度が低くなる程、進角補正量は大きくなる。
ステップS108では、ステップS107において算出した進角補正量による進角補正、すなわちメインI/Tリタードの補正を行う。なお、ここでは進角補正量による進角補正によってディーゼルエンジン1の出力が変化しないように燃料噴射量に補正(減量)を施してもよい(ステップS108が失火防止手段を構成する)。なお、ステップS107で着火遅れ期間と所定期間の偏差を算出し、その偏差に基づいてメインI/Tリタードに進角補正を施す、つまり着火遅れ期間が所定期間内に収まるように補正を施してもよい。
ステップS109ではステップS103で読み出したメインI/Tリタード、またはステップS108で進角補正を施した場合には補正を施したメインI/Tリタードによるタイミングで燃料噴射弁4によってディーゼルエンジン1への燃料噴射を行う。
ステップS110では、ステップS103で算出した目標吸気絞り量となるように吸気絞弁10による吸気絞りを開始する。
以上の制御によってDPF12の再生制御時に吸気絞弁10によって目標吸気絞り量としてもディーゼルエンジン1が失火することがないので、DPF12に失火による多量のHCを供給することがない。そのため多量のHCが触媒と反応し、その反応熱によるDPF12の過昇温を防止し、過昇温によるDPF12の溶損を防止することができる。
ステップS111では、ディーゼルエンジン1から排出される排気ガス温度を温度センサ16によって検出し、その温度がDPFの再生温度よりも高いかどうか判定する。なお、再生温度は例えば600℃に設定する。温度が再生温度よりも高い場合にDPF12においてDPF再生制御が開始される。温度が再生温度よりも低い場合にはステップS112へ進む。
ステップS112ではステップS111で検出した温度と再生温度との温度差を算出し、図4のマップより吸気絞り量補正値を読み出す。図4のマップは温度差と吸気絞り量補正値の関係を示したマップであり、温度差が大きいほど吸気絞り量補正値も大きくなる。そして吸気絞り量補正値によってステップS104で吸気絞り量を補正し、これにより排気温度を上昇させる。
以上の制御によってディーゼルエンジン1の失火を防止し、過昇温によるDPF12の溶損を防止することができる。
本発明の実施形態の効果について説明する。
この実施形態では吸気絞弁10の吸気絞り量と、メインI/Tリタードと、吸気温度から着火遅れ期間を算出し、失火判定の基準となる失火判定期間と比較することでDPF再生制御時にディーゼルエンジン1の失火判定を行い、失火が起こる場合には、メインI/Tリタードを進角補正することで、ディーゼルエンジン1の失火を防ぐことができ、失火によるHCの排出量を抑制することができる。そのため、大量のHCによるDPF12の過昇温を防ぐことができ、DPF12の溶損を防止することができる。
失火判定を行う際に、吸気絞り量と、メインI/Tリタードと、吸気温度に応じて失火判定期間を設定し、吸気絞り量が大きい場合、またはメインI/Tリタードが遅い場合、または吸気温度が低い場合に失火判定期間を短く設定するので、運転状態に応じて正確な失火判定を行うことができる。
吸気絞弁10による吸気絞り動作を行う前にメインI/Tリタードの進角補正を行うので、確実にディーゼルエンジン1の失火を防ぐことができ、DPF12の溶損を防ぐことができる。
吸気絞りを行った後に、排気ガス温度がDPF再生制御を行う再生温度まで上昇しない場合には、吸気絞弁10の吸気絞り量補正値を算出し、目標絞り量を補正し、その後失火判定を行うことで、ディーゼルエンジン1の失火を防ぎ、排気ガスの温度を再生温度まで上昇させることができる。
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内でなしうるさまざまな変更、改良が含まれることは言うまでもない。
ディーゼルエンジンの排気ガス中のPMを捕集するDPF再生制御装置に利用することができる。
本発明の構成概略図である。 本発明のDPF再生制御時の昇温制御を示すフローチャートである。 本発明の吸気温度と進角補正量の関係を示すマップである。 本発明の温度差と吸気絞り量補正値の関係を示すマップである。
符号の説明
1 ディーゼルエンジン
2 吸気通路
3 排気通路(エンジン排気通路)
4 燃料噴射弁
5 クランク角度検出センサ
10 吸気絞弁(吸気制御手段)
11 温度センサ(吸気温度検出手段)
12 DPF
15 差圧センサ
16 温度センサ(排気温度検出手段)
20 ECU

Claims (5)

  1. エンジン排気通路に介装したDPFと、
    少なくとも燃料噴射時期を遅角して前記DPFの再生制御を行うDPF再生制御手段と、を備えたDPF再生制御装置において、
    前記DPF再生制御時に車両の運転状態に基づいて前記エンジンの着火遅れ期間を算出する着火遅れ算出手段と、
    前記着火遅れ期間と失火が起きる失火判定期間を比較し前記エンジンの失火判定を行う失火判定手段と、
    前記着火遅れ期間が前記失火判定期間よりも長い場合に前記燃料噴射時期を進角補正し、前記エンジンの失火を防止する失火防止手段と、を備えたDPF再生制御装置。
  2. 前記DPF再生制御時の前記エンジンへの吸気量を算出する吸気量算出手段と、
    前記エンジンへの吸気温度を検出する吸気温度検出手段と、を備え、
    前記着火遅れ算出手段は、前記吸気量と前記燃料噴射時期と前記吸気温度に基づいて前記着火遅れ期間を前記吸気量が少ない程、または前記燃料噴射時期が遅い程、または前記吸気温度が低い程、長くなるように算出することを特徴とする請求項1に記載のDPF再生制御装置。
  3. 前記失火判定手段は、前記吸気量と前記燃料噴射時期と前記吸気温度に基づいて算出する前記失火判定期間を前記吸気量が少ない程、または前記燃料噴射時期が遅い程、または前記吸気温度が低い程、短くなるように算出することを特徴とする請求項2に記載のDPF再生制御装置。
  4. 前記DPF再生制御時にエンジンへの吸気量を制御する吸気制御手段を備え、
    前記吸気制御手段による吸気量の絞り制御は、前記燃料噴射時期の補正後に実行されることを特徴とする1から3のいずれか一つに記載のDPF再生制御装置。
  5. 前記エンジンの排気ガスの排気温度を検出する排気温度検出手段と、
    前記排気温度が前記DPF再生制御を行う再生温度よりも低い場合に、前記排気温度に基づいて前記吸気量を増加する吸気量補正手段と、を備えることを特徴とする請求項4に記載のDPF再生制御装置。
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