JP2006037162A - 熱延鋼板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】プレス成形性、耐2次加工脆性及び耐疲労特性に優れ、自動車の足回り部品などの素材として好適な熱延鋼板の提供。
【解決手段】C<0.0030%、Si≦0.1%、Mn≦1.0%、P≦0.02%、S≦0.015、Ti:0.015〜0.10%、Al≦0.10%、N≦0.005%及びB:0.0010〜0.0050%を含み、残部はFeと不純物からなる化学組成で、組織が各々平均結晶粒径5〜30μmのベイニティックフェライト及びポリゴナルフェライトからなり、ベイニティックフェライトの面積割合が1〜80%で、ポリゴナルフェライトの硬さがビッカース硬さで120以下である熱延鋼板。下記(1)から(3)群の少なくとも1群から選んだ1種以上の元素を含有してもよい。(1)Nb:0.002〜0.04%、(2)Ni:0.005〜1.0%及びCr:0.005〜1.0%、(3)Ca:0.0005〜0.050%及びREM:0.0005〜0.050%。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱延鋼板及びその製造方法に関し、詳しくは、自動車の足廻り部品、空調機や冷蔵庫などのコンプレッサーのシェル及びカバー、並びに各種圧力容器などの素材として好適な、プレス成形性に優れるともに、耐2次加工脆性及び耐疲労特性にも優れた熱延鋼板及びその製造方法に関する。
近年、エネルギーの節約及び環境汚染防止の観点から、自動車の燃費向上に対する要求が急激に高まってきた。このため、車体重量の軽減を目的として部品数を節減したり、素材の薄肉高強度鋼板への切り換えなどが検討されている。
しかしながら、部品数の節減は個々の部品の形状の複雑化をもたらすものである。このため、最近では特に、従来はあまり検討されることのなかった自動車の足廻り部品について、素材となる熱延鋼板のプレス成形性を改善して部品形状の複雑化に対処したいとする要求が高まり、一部車種のロアアームなどには、C含有量を0.0080%以下に低減したいわゆる「極低炭素IF鋼板」が実用化されている。なお、「IF鋼」とは、Feにおける侵入型固溶元素であるC及びNの含有量をできるだけ少なくした上で、C及びNと化合物を作るTiやNbなどを当量以上添加して、マトリックスから固溶C及び固溶Nを完全に取り除いた高純度鋼のことである。
上記の「極低炭素IF鋼板」は、大きな伸びを有するとともに優れた伸びフランジ性を示す。しかし、プレス成形性付与の観点から、通常650℃以上の比較的高温でコイル巻取りされるため、鋼中のCがTi又はNbの析出物として固定され、その結果、鋼の粒界強度が著しく低下して、苛酷なプレス成形を施すと、鋼板そのものに、或いは、加工された部品が寒冷地で使用される場合にはその部品に、脆性破壊(以下、「縦割れ」と称する。)が生じることがある。更に、自動車の足廻り部品には、走行中の振動或いはエンジンからの振動による繰り返し荷重がかかるため、大きな疲労強度が要求される。
一方、自動車の足廻り部品に使用される鋼板の場合と同様に、空調機及び冷蔵庫などのコンプレッサーのシェルやカバーに使用される鋼板、更には、各種圧力容器等に使用される鋼板にも、成形性及び加工後の低温靱性が要求され、また、圧力が変動する場合の容器などには、耐疲労特性も要求される。
このため、特許文献1に「耐疲労特性に優れた良バーリング性高張力鋼板」が、また、特許文献2に「耐縦割れ性の優れた高延性熱延鋼板の製造方法」が、更に特許文献3に「耐2次加工脆性に優れた超深絞り成型用熱延鋼板および製造方法」が提案されている。
特開平7−90483号公報 特開平6−122923号号公報 特開2000−239790号公報
本発明の目的は、自動車の足廻り部品、空調機や冷蔵庫などのコンプレッサーのシェル及びカバー、並びに各種圧力容器などの素材として好適な、プレス成形性に優れるともに、耐2次加工脆性及び耐疲労特性にも優れた熱延鋼板及びその製造方法を提供することである。
なお、本発明のプレス成形性、耐2次加工脆性及び耐疲労特性の具体的な目標は、次のとおりである。
(イ)プレス成形性:
鋼板から直径が200mmの円板を各3枚採取し、それぞれの円板について、絞り比を2.0として直径が100mmの円筒に深絞り成形した際に割れが発生しないこと。
(ロ)耐2次加工脆性:
脆化温度が−40℃以下であること。ここで、上記「脆化温度」とは、鋼板から深絞り比2.0の深絞り成形して得た直径が100mmの円筒を種々の温度に冷却した後、円筒の口縁部に円錐台形状のポンチを載せ、そのポンチに対して、質量20kgの錘を5mの高さから落下させて前記円筒の口縁部に衝撃的な伸びフランジ加工に相当する応力を加えた場合に、口縁部に脆性的縦割れが発生しない下限の冷却温度をいう。
(ハ)耐疲労特性:
鋼板の平面曲げ疲労試験における耐久比が0.52以上であること。ここで、上記の「耐久比」とは、鋼板から採取したJIS Z 2275(1978)に記載の1号試験片(記号1−20)を用いて、応力比を−1として両振り平面曲げ疲労試験した際の破断時の繰り返し数と応力振幅値の関係を調査し、得られた疲労曲線から106回の繰り返しサイクルにて破断した応力振幅値を求め、前記の応力振幅値を引張強さ(TS)で除した値をいう。
前述の特許文献1で提案された技術は、極低炭素鋼にTi及びNbのいずれか一方又は双方を添加してIF鋼とした上で、鋼板表層近傍に特定の大きさの窒化物を分散析出させることによって、加工性及び耐疲労特性に優れた鋼板を得ようとするものである。しかしながら、その最適な組織はフェライト組織と記載されているだけで、その中で耐疲労特性に優れるベイニティックフェライト並びに加工性及び耐2次加工脆性に優れるポリゴナルフェライトの最適な面積割合や結晶粒径に関しては開示されておらず、必ずしも耐疲労特性に優れるものではなく、更に、耐2次加工脆性に対しては配慮がなされていないばかりか、示唆すらされていない。
特許文献2で提案された技術は、極低炭素鋼にTiを単独添加してIF鋼とした上で、或いはTiとNbを複合添加してIF鋼とした上で、熱間圧延後の巻き取り温度を600〜710℃と高温側にし、Ti炭化物の析出を抑制することによって、或いはTi炭化物とNb炭化物の析出を抑制することによって、加工性及び耐2次加工脆性に優れた鋼板を得ようとするものである。しかし、耐疲労特性に対しては配慮がなされていないばかりか、示唆すらされていない。
特許文献3で提案された技術は、TiとBを複合添加した鋼について、熱間圧延後の鋼板のフェライト結晶粒径を平均で25μm未満にすることによって、加工性と耐2次加工脆性に優れた鋼板を得ようとするものである。しかし、この特許文献3の場合も、その組織は、特許文献1と同様にフェライト組織と記載されているだけで、その中で耐疲労特性に優れるベイニティックフェライト並びに加工性及び耐2次加工脆性に優れるポリゴナルフェライトの最適な面積割合や結晶粒径に関しては開示されておらず、必ずしも耐疲労特性に優れるものではなく、また、耐疲労特性に対しては示唆すらされていない。
そこで、鋭意研究を重ねた結果、前記した(イ)〜(ハ)のプレス成形性、耐2次加工脆性及び耐疲労特性を有する熱延鋼板を得るためには、下記(a)〜(d)を満たすことが重要であるとの知見を得た。
(a)組織を転位密度の高いベイニティックフェライトと転位密度の低いポリゴナルフェライトとの2相組織とし、更にその面積割合を適正化すること。
(b)ベイニティックフェライト及びポリゴナルフェライトを微細化すること。
(c)ポリゴナルフェライトの硬さを抑えること。
(d)凝固段階及び熱間圧延段階において(Ti、Nb)(N、C)の析出物を粗大化させないこと。なお、上記の(Ti、Nb)(N、C)の析出物とは、TiN、TiC、Ti(C、N)、NbN、NbC、Nb(C、N)、(Ti、Nb)C、(Ti、Nb)N、(Ti、Nb)(C、N)を指す。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものである。
本発明の要旨は、下記(1)〜(4)に示す熱延鋼板及び(5)〜(6)に示す熱延鋼板の製造方法にある。
(1)質量%で、C:0.0030%未満、Si:0.1%以下、Mn:1.0%以下、P:0.02%以下、S:0.015%以下、Ti:0.015〜0.10%、Al:0.10%以下、N:0.005%以下及びB:0.0010〜0.0050%を含有し、残部はFe及び不純物からなる化学組成を有し、組織が平均結晶粒径5〜30μmのベイニティックフェライト及び平均結晶粒径5〜30μmのポリゴナルフェライトからなり、かつ、前記ベイニティックフェライトの面積割合が1〜80%で、更に、前記ポリゴナルフェライトの硬さがビッカース硬さで120以下であることを特徴とする熱延鋼板。
(2)Feの一部に代えて、質量%で、Nb:0.002〜0.04%を含有する上記(1)に記載の熱延鋼板。
(3)Feの一部に代えて、質量%で、Ni:0.005〜1.0%及びCr:0.005〜1.0%のうちの1種又は2種を含有する上記(1)又は(2)に記載の熱延鋼板。
(4)Feの一部に代えて、質量%で、Ca:0.0005〜0.050%及びREM(希土類元素):0.0005〜0.050%のうちの1種又は2種を含有する上記(1)から(3)までのいずれかに記載の熱延鋼板。
(5)上記(1)から(4)までのいずれかに記載の化学組成を有する溶鋼を鋳造後圧延する熱延鋼板の製造方法であって、鋳造工程が、溶鋼の液相線温度から固相線温度までの温度範囲における鋼塊の鋳込み方向に垂直な断面の平均冷却速度を0.3〜1.0℃/秒とするものであり、かつ、鋼塊を熱間圧延して巻き取るまでの工程が、1100℃以上の温度を有する鋼塊を熱間圧延して950〜880℃の温度で圧延を完了し、圧延完了の0.5〜2秒後に1次冷却を開始して40〜200℃/秒の平均冷却速度で770℃〜630℃まで冷却し、次いで、1〜15秒中間空冷した後、平均冷却速度5℃/秒以上で620〜400℃まで2次冷却してその温度で巻き取るものであることを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
(6)熱間圧延が、鋼塊を粗圧延してシートバーとした後、そのシートバーを加熱してシートバーの長手方向の平均温度を950℃以上及び長手方向の最大温度と最小温度との差を150℃以下とし、次いで、仕上げ圧延するものであることを特徴とする上記(5)に記載の熱延鋼板の製造方法。
本発明でいう「ベイニティックフェライト」とは、オーステナイト粒界からラスフェライトが成長したもので、光学顕微鏡による観察で旧オーステナイト粒界が残存している組織に見えるものをいう。そして、この「ベイニティックフェライト」を電子顕微鏡で観察した場合の転位密度は高い。
一方、「ポリゴナルフェライト」とは、光学顕微鏡による観察で旧オーステナイト粒界が残っておらず円状に見えるものをいい、特に、電子顕微鏡で観察した場合には転位密度が低いので、上記の「ベイニティックフェライト」とは容易に見分けがつく。
本発明でいう「平均結晶粒径」とは、いわゆる「切片法」で求めた平均切片長さを1.13倍した値を指す。
「REM(希土類元素)」は、Sc、Y及びランタノイドの合計17元素の総称であり、REMの含有量は上記元素の合計含有量を指す。
本発明でいう「鋼塊」は、JIS G 0203(1984)に規定されているとおり、「鋳片」を含むものをいう。
「鋼塊の鋳込み方向に垂直な断面の平均冷却速度」とは、鋳型内や連続鋳造機内で凝固シェルを形成して内部が溶融状態にある場合を含めて鋼塊と呼ぶ場合の、鋼塊の鋳込み方向に垂直な断面における表面部から中心部の全領域における冷却速度の平均値をいう。
なお、圧延完了後の1次冷却や中間空冷後の2次冷却の「平均冷却速度」とは、鋼板表面の冷却前後の温度差を冷却時間で除したものをいう。
「空冷」とは、大気中放冷及び強制空冷を指す。
また、シートバーの長手方向の平均温度とは、シートバーの幅中央部における、シートバーの圧延方向先端から尾端までの表面温度の平均値を指す。
以下、上記(1)〜(4)の熱延鋼板に係る発明及び(5)〜(6)の熱延鋼板の製造方法に係る発明を、それぞれ「(1)の発明」〜「(6)の発明」という。また、総称して「本発明」ということがある。
本発明の熱延鋼板は、伸び、絞り性などの加工性に優れている他、耐2次加工脆性及び耐疲労特性にも優れているので、自動車の足回り部品、空調機や冷蔵庫などのコンプレッサーのシェル及びカバー、並びに各種圧力容器などの素材として利用することができる。この熱延鋼板は、本発明の方法によって比較的容易に製造することができる。
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。なお、各元素の含有量の「%」表示は「質量%」を意味する。
(A)鋼の化学組成
C:0.0030%未満
熱延鋼板の組織をベイニティックフェライトとポリゴナルフェライトとの2相組織とするためには、Cの含有量を0.0030%未満にする必要がある。Cの含有量が0.0030%未満の場合には、伸び特性が向上して深絞り成形性が高まり、深絞り成形加工が一層容易になるという効果も得られる。なお、Cの含有量が0.0030%以上になると、所望のベイニティックフェライトとポリゴナルフェライトとの2相組織が得られないばかりか、粗大なTiC、NbC及び(Ti、Nb)Cが析出して、耐2次加工脆性及び耐疲労特性が著しく低下する場合がある。したがって、Cの含有量を0.0030%未満とした。C含有量の下限は特に限定するものではないが、精錬コストの観点からは、0.0005%とすることが好ましい。
Si:0.1%以下
Siは、鋼を脆化させ、加工性及び耐2次加工脆性の低下を招く。特に、その含有量が0.1%を超えると、加工性及び耐2次加工脆性の低下が著しくなる。したがって、Siの含有量を0.1%以下とした。なお、Siの含有量はできるだけ低減することが望ましいが、Si含有量低減のためのコストと材質の改善度合いとの兼ね合いという点からは、その下限を0.005%とすることが好ましい。
Mn:1.0%以下
Mnは、鋼の強度を増加させるものの延性を低下させ、特に、Mnの含有量が1.0%を超えると、延性が低下して伸び特性の顕著な劣化を招く。したがって、伸び特性を向上させる必要がある本発明においては、Mnの含有量を1.0%以下とした。極めて良好な加工性が要求される場合には、Mn含有量の上限を0.5%とすることが望ましい。なお、Mn含有量の下限は特に限定するものではないが、Mnは変態点を低下させる作用を有するためフェライト組織の微細化に有効であり、また、Mnには赤熱脆性を抑制する作用もある。このため、上記の作用を確保するという観点からは、Mnは0.03%以上含有させることが好ましい。
P:0.02%以下
Pは、鋼を脆化させる元素であり、耐2次加工脆化の改善のためできるだけ低減するのが望ましいが、その含有量が0.02%以下であれば、前述した(ロ)の耐2次加工脆性、すなわち、−40℃以下の脆化温度が確保できる。したがって、Pの含有量を0.02%以下とした。なお、Pの含有量はできるだけ低減することが望ましいが、P含有量低減のためのコストと材質の改善度合いとの兼ね合いという点からは、その下限を0.002%とすることが好ましい。
S:0.015%以下
Sは、硫化物を生成して伸び特性を低下させるので低減する必要があり、特に、Sの含有量が0.015%を超えると伸び特性の劣化が顕著になる。したがって、Sの含有量を0.015%以下とした。なお、Sの含有量は0.010%以下とすることが好ましい。S含有量の下限は特に限定するものではないが、S含有量低減のための精錬コストの観点からは、0.0005%とすることが好ましい。
Ti:0.015 〜0.10%
Tiは、ベイニティックフェライト及びポリゴナルフェライトの微細化にとって極めて重要な元素である。更に、Tiにはポリゴナルフェライトの生成を遅らせてベイニティックフェライトの生成を助長する作用があり、極低C系の鋼の組織中にベイニティックフェライトを生じさせるのに有効である。これらの効果は、Tiの含有量が0.015%で得られる。一方、0.10%を超えて含有させても前記の効果は飽和し、コストが嵩むばかりである。したがって、Tiの含有量を0.015 〜0.10%とした。なお、Tiの含有量は0.02〜0.07%とすることが好ましい。
Al:0.10%以下
Alは、脱酸剤として作用するが、多量に含有すると、アルミナ等に起因する表面欠陥が発生し、しかも含有量に見合う材質改善の効果が期待できない。特に、その含有量が0.10%を超えると、表面欠陥の発生が顕著になる。したがって、Alの含有量を0.10%以下とした。なお、Alの含有量は0.08%以下とすることが好ましい。Al含有量の下限は特に規定するものではないが、製鋼工程の安定性という観点からは、0.001%とすることが好ましく、0.005%とすることがより好ましい。
N:0.005%以下
Nは、鋼塊の段階でTiと結合して粗大なTiNを形成し、鋼の耐2次加工脆性及び耐疲労特性を著しく劣化させるため、その含有量はできるだけ低減することが望ましいが、0.005%以下であれば、鋼塊の鋳造条件を適正化することにより無害化できる。したがって、Nの含有量を0.005%以下とした。なお、Nの含有量はできるだけ低減することが望ましいが、N含有量低減のためのコストと材質の改善度合いとの兼ね合いという点からは、その下限を0.0010%とすることが好ましい。
B:0.0010〜0.0050%
Bは、耐2次加工脆性を向上させる本発明において極めて重要な元素である。極低炭素鋼の場合、フェライト粒界の結合強度が低下するため、粒界破壊のモードで2次加工脆化が生じやすいが、Bは粒界に偏析し、上記フェライト粒界の結合強度の低下を抑制して耐2次加工脆性を高める作用を有する。この効果はBの含有量が0.0010%以上で得られる。しかしながら、0.0050%を超えてBを含有させると、熱間加工性が劣化するし、含有量に見合う耐2次加工脆性の改善効果も得られない。したがって、Bの含有量を0.0010 〜0.0050%とした。なお、Bの含有量は0.0015〜0.0045%とすることが好ましい。
以上のことから、前記(1)の発明に係る熱延鋼板の化学組成について、上述した範囲のCからBまでの元素を含み、残部はFe及び不純物からなることと規定した。
なお、本発明に係る熱延鋼板には、上記の成分元素に加え、必要に応じて、後述するA群からC群のうちの少なくとも1群から選んだ1種以上の元素を任意添加元素として添加し、含有させてもよい。
以下、任意添加元素に関して説明する。
A群:Nb:0.002〜0.04%
Nbは、結晶粒を微細化する作用を有する。この効果を確実に得るには、Nbは0.002%以上の含有量とすることが好ましい。しかしながら、Nbを0.04%を超えて含有させても前記の効果は飽和して含有量に見合う効果が得られず、コストが嵩むばかりである。したがって、Nbを添加する場合の含有量は、0.002〜0.04%とするのがよい。なお、Nbのより好ましい含有量は0.01〜0.03%である。
B群:Ni:0.005〜1.0%及びCr:0.005〜1.0%
Ni及びCrは、いずれも組織を微細化して耐2次加工脆性及び耐疲労特性を高める作用を有する。この効果を確実に得るには、少なくとも一方を0.005%以上の含有量とすることが好ましい。しかしながら、Ni又はCrを1.0%を超えて含有させても前記の効果は飽和して含有量に見合う効果が得られず、コストが嵩むばかりである。したがって、Ni及びCrを添加する場合のそれぞれの含有量は、Niは0.005〜1.0%及びCrは 0.005〜1.0%とするのがよい。Niのより好ましい含有量は0.1〜0.5%であり、また、Crのより好ましい含有量は0.1〜0.5%である。なお、Ni及びCrはいずれか1種のみ、又は2種の複合で添加することができる。
C群:Ca:0.0005%〜0.050%、REM(希土類元素):0.0005%〜0.050%
Ca及びREMは、いずれも耐2次加工脆性を高める作用を有する。この効果を確実に得るには、少なくとも一方を0.0005%以上の含有量とすることが好ましい。しかしながら、Ca又はREMを0.050%を超えて含有させると、清浄度の低下が著しくなる。したがって、Ca及びREMを添加する場合のそれぞれの含有量は、Caは0.0005%〜0.050%及びREMは0.0005%〜0.050%とするのがよい。Caのより好ましい含有量は0.0010〜0.010%であり、また、REMのより好ましい含有量は0.0010〜0.010%である。上記のCa及びREMはいずれか1種のみ、又は2種の複合で添加することができる。なお、REMは、Sc、Y及びランタノイドの合計17元素を指し、本発明でいうREMの含有量が上記元素の合計含有量を指すことは既に述べたとおりである。
したがって、前記(2)の発明に係る熱延鋼板の化学組成について、前述した(1)の発明のFeの一部に代えて、上述した範囲のNbを含むことと規定した。
また、前記(3)の発明に係る熱延鋼板の化学組成について、前述した(1)の発明又は(2)の発明のFeの一部に代えて、上述した範囲のNi及びCrのうちの1種又は2種を含むことと規定した。
更に、前記(4)の発明に係る熱延鋼板の化学組成について、前述した(1)の発明から(3)の発明のいずれかのFeの一部に代えて、上述した範囲のCa及びREMのうちの1種又は2種を含むことと規定した。
上述の化学組成を有する鋼は、例えば転炉や電気炉等により溶製される。鋼塊の製造は、鋳型に注入する「造塊法」又は「連続鋳造法」のいずれの手段を用いても構わない。
(B)鋼板の組織
(B−1)相の規定
鋼板の組織は本発明の重要な要素であり、前記(1)の発明〜(4)の発明に係る熱延鋼板は、その組織が、平均結晶粒径5〜30μmのベイニティックフェライト及び平均結晶粒径5〜30μmのポリゴナルフェライトからなり、かつ、前記ベイニティックフェライトの面積割合が1〜80%でなければならない。
これは、前記(A)項に記載の化学組成を有する熱延鋼板に、前述した(イ)〜(ハ)のプレス成形性、耐2次加工脆性及び耐疲労特性を全て具備させるために必要な規定である。
先ず、熱延鋼板の組織がベイニティックフェライトとポリゴナルフェライト以外の組織を含む場合には、前述した(イ)〜(ハ)のプレス成形性、耐2次加工脆性及び耐疲労特性の少なくとも1つが達成できない。ここで、ベイニティックフェライトとポリゴナルフェライト以外の相とは、例えば、パーライト組織、ベイナイト組織、マルテンサイト組織、残留オーステナイト組織(オーステナイトが未変態のまま残った組織)である。熱延鋼板の組織にパーライト組織、ベイナイト組織、マルテンサイト組織、残留オーステナイト組織のいずれか1種以上を含有した場合、プレス成形性が劣化する。これは、パーライト組織、ベイナイト組織、マルテンサイト組織、残留オーステナイト組織は、ベイニティックフェライトとポリゴナルフェライトに比べて硬さが非常に高く、その硬さの差によって深絞り成形時に組織界面から割れが発生しやすくなるためである。
熱延鋼板の組織がベイニティックフェライトとポリゴナルフェライトからなる場合であっても、少なくとも一方の相の平均結晶粒径が30μmを超えると、粒界での亀裂伝播抑制効果が小さくなって、耐2次加工脆性及び耐疲労特性が低下し、所望の耐2次加工脆性(すなわち、前記(ロ)の−40℃以下という脆化温度)及び耐疲労特性(すなわち、前記(ハ)の0.52以上という耐久比)のいずれもが得られない。一方、少なくとも一方の相の平均結晶粒径が5μmを下回ると、降伏点(YP)が上昇して成形性が低下し、所望のプレス成形性が得られない。
更に、熱延鋼板の組織が平均結晶粒径5〜30μmのベイニティックフェライト及び平均結晶粒径5〜30μmのポリゴナルフェライトからなる場合であっても、ベイニティックフェライトの面積割合が1%未満であると、所望の耐疲労特性を得ることができない。これは、転位密度の高いベイニティックフェライトには、結晶粒内の疲労亀裂伝播抑制効果があり、また、その転位にBが固着されることによって、より一層結晶粒内の亀裂進展抑制効果が向上するのであるが、ベイニティックフェライトの面積割合が1%未満の場合には前記効果が十分に得られないためである。
一方、熱延鋼板の組織が平均結晶粒径5〜30μmのベイニティックフェライト及び平均結晶粒径5〜30μmのポリゴナルフェライトからなる場合であっても、ベイニティックフェライトの面積割合が80%を超えると、所望の耐2次加工脆性が得られない。ベイニティックフェライトの面積割合が80%を超える場合に所望の耐2次加工脆性が得られないのは、ベイニティックフェライト中の転位にBが固着されて、粒界強化に寄与するBの粒界偏析が減少してしまうためである。
したがって、前記(1)の発明〜(4)の発明に係る熱延鋼板は、その組織が、平均結晶粒径5〜30μmのベイニティックフェライト及び平均結晶粒径5〜30μmのポリゴナルフェライトからなり、かつ、前記ベイニティックフェライトの面積割合が1〜80%であることとした。
なお、ベイニティックフェライトの面積割合の好ましい範囲は5〜80%である。
本発明でいう「ベイニティックフェライト」とは、オーステナイト粒界からラスフェライトが成長したもので、光学顕微鏡による観察で旧オーステナイト粒界が残存している組織に見えるものをいうこと、また、「ポリゴナルフェライト」とは、光学顕微鏡による観察で旧オーステナイト粒界が残っておらず円状に見えるものをいうことは既に述べたとおりである。なお、電子顕微鏡で観察した場合、「ベイニティックフェライト」の転位密度は高く、一方、「ポリゴナルフェライト」の転位密度は低いので、電子顕微鏡観察することによっても両者は容易に区別することができる。
なお、既に述べたように、本発明でいう「平均結晶粒径」とは、いわゆる「切片法」で求めた平均切片長さを1.13倍した値を指す。
(B−2)ポリゴナルフェライトの硬さ
前記(A)項に記載の化学組成を有する熱延鋼板の組織が前記(B−1)項に記載した相からなる場合であっても、ポリゴナルフェライトの硬さがビッカース硬さ(以下、ビッカース硬さを「HV硬さ」という。)で120を超えると、加工性が低下して所望のプレス成形性が得られない。
したがって、前記(1)の発明〜(4)の発明に係る熱延鋼板は、そのポリゴナルフェライトの硬さがHV硬さで120以下であることとした。なお、加工性をより重視したい場合には、ポリゴナルフェライトのHV硬さは110以下であることが好ましい。
なお、ポリゴナルフェライトのHV硬さの下限は特に規定するものではないが、前記(A)項で述べた化学組成を有する鋼の場合には、ポリゴナルフェライトのHV硬さは90程度が下限になる。
(C)熱延鋼板の製造方法
前記(A)項に記載の化学組成と(B)項に記載の組織とを有する(1)の発明〜(4)の発明に係る熱延鋼板は、例えば、前記(A)項に記載の化学組成を有する溶鋼を鋳造して鋼塊とする「鋳造工程が、溶鋼の液相線温度から固相線温度までの温度範囲における鋼塊の鋳込み方向に垂直な断面の平均冷却速度を0.3〜1.0℃/秒とするものであり、かつ、鋼塊を熱間圧延して巻き取るまでの工程が、1100℃以上の温度を有する鋼塊を熱間圧延して950〜880℃の温度で圧延を完了し、圧延完了の0.5〜2秒後に1次冷却を開始して40〜200℃/秒の平均冷却速度で770℃〜630℃まで冷却し、次いで、1〜15秒中間空冷した後、平均冷却速度5℃/秒以上で620〜400℃まで2次冷却してその温度で巻き取る」前記(5)の発明によって比較的容易に製造することができる。
すなわち、溶鋼を鋳造して鋼塊とする鋳造工程において、溶鋼の液相線温度から固相線温度までの温度範囲における鋼塊の鋳込み方向に垂直な断面の平均冷却速度は、0.3〜1.0℃/秒とするのがよい。
溶鋼の液相線温度から固相線温度までの温度範囲における鋼塊の鋳込み方向に垂直な断面の平均冷却速度が0.3℃/秒未満の場合には、上記の温度域で濃化されたTiとNとが結合して、粗大なTiNが析出する場合がある。なお、粗大なTiNは、熱間圧延後の鋼板にも残存して耐2次加工脆性及び耐疲労特性を劣化させてしまうし、オーステナイト粒の微細化には寄与しないので、ポリゴナルフェライト及びベイニティックフェライトを微細化する効果を持たない。一方、上記の平均冷却速度が1.0℃/秒を超えると、冷却が強過ぎて鋼塊が過冷気味になって鋳造中に鋼塊割れが発生する場合があり、また、TiNが微細になりすぎて、ポリゴナルフェライト及びベイニティックフェライトを過度に微細化することがある。
なお、上記の溶鋼の液相線温度から固相線温度までの温度範囲における鋼塊の鋳込み方向に垂直な断面の平均冷却速度は、0.4〜0.8℃/秒とすることが一層好ましい。
鋳造された鋼塊は、その温度が1100℃以上の状態で熱間圧延するのがよい。
熱間圧延に供する際の鋼塊の温度が1100℃未満であると、圧延完了温度が低くなりすぎて所望の組織が得られない場合があるし、スケール除去が不十分となってスケール疵の発生が顕著になる場合がある。また、鋼塊中に析出したTiNが小さくならないためオーステナイト粒径が小さくならず、このため、ポリゴナルフェライトの微細化が達成できないこともある。鋼塊は、その温度が1130℃以上の状態で熱間圧延することが一層好ましい。
オーステナイト粒の粗大化を抑制して圧延完了後に微細なベイニティックフェライト及びポリゴナルフェライトを得るために再加熱する場合には、再加熱温度の上限を1300℃とすることが好ましい。
熱間圧延においては、950〜880℃の温度で圧延を完了するのがよい。
熱間圧延の完了温度が950℃を超えると、オーステナイトが再結晶して粗大化し、微細なベイニティックフェライト及びポリゴナルフェライトが生成せず、所望の耐2次加工脆性及び耐疲労特性が得られない場合がある。一方、熱間圧延の完了温度が880℃を下回ると、ポリゴナルフェライト域圧延になって成形性が劣化し、所望のプレス成形性が得られない場合がある。なお、熱間圧延は930〜880℃で完了することが一層好ましい。
熱間圧延を完了した後は、0.5〜2秒後に1次冷却を開始して40〜200℃/秒の平均冷却速度で770℃〜630℃まで冷却するのがよい。
熱間圧延を完了した後、1次冷却を0.5秒以内に開始すると、ポリゴナルフェライトの析出サイトとなるオーステナイト粒界及び転位が多いため、ポリゴナルフェライトの平均結晶粒径が5μm未満になって成形性が劣化し、所望のプレス成形性が得られない場合がある。一方、熱間圧延完了後1次冷却開始までの時間が2秒を超えると、ポリゴナルフェライトの平均結晶粒径が30μmを超えて、所望の耐2次加工脆性及び耐疲労特性が得られない場合がある。なお、熱間圧延を完了した後は、0.5〜1秒後に1次冷却を開始することが一層好ましい。
熱間圧延を完了した後、0.5〜2秒後に1次冷却を開始しても、平均冷却速度が40℃/秒未満であると、ポリゴナルフェライトの生成が速く、ポリゴナルフェライトの単相組織になって所望の特性が得られない場合がある。一方、平均冷却速度が200℃/秒を超えると、ポリゴナルフェライトの生成が遅く、ベイニティクフェライトが面積割合で80%を超えて所望の特性が得られない場合がある。なお、上記1次冷却における平均冷却速度は、50〜150℃/秒とすることが一層好ましい。
熱間圧延を完了した後、0.5〜2秒後に40〜200℃/秒の平均冷却速度で1次冷却しても、冷却を770℃を超える温度で停止した場合には、ポリゴナルフェライトの生成が速く、ポリゴナルフェライトの単相組織になって所望の特性が得られないことがある。一方、上記冷却を630℃を下回る温度まで行った場合には、ポリゴナルフェライトの生成が遅く、ベイニティクフェライトが面積割合で80%を超えて所望の特性が得られないことがある。なお、上記の熱間圧延を完了した後、0.5〜2秒後に40〜200℃/秒の平均冷却速度で行う1次冷却は、750〜650℃で停止することが一層好ましい。
熱間圧延完了後、770℃〜630℃まで行う上記の1次冷却に続いて、1〜15秒中間空冷するのがよい。
中間空冷時間が1秒未満の場合には、ポリゴナルフェライト粒内におけるBを粒界に十分拡散させることができず、ポリゴナルフェライトのHV硬さが120を超えて成形性が低下し、所望のプレス成形が得られない場合がある。また、粒界へのBの偏析が十分でないため所望の所望の耐2次加工脆性も得られないことがある。一方、中間空冷時間が15秒を超える場合には、Ti及びNbの炭化物の析出が多くなり、ポリゴナルフェライトのHV硬さが120を超えて成形性が低下し、所望のプレス成形が得られない場合がある。なお、上記の中間空冷時間は2〜13秒とすることが一層好ましく、これによってポリゴナルフェライトのHV硬さは安定して、かつ容易に110以下になる。
上記の中間空冷を行った後は、平均冷却速度5℃/秒以上で620〜400℃まで2次冷却してその温度で巻き取るのがよい。
平均冷却速度が5℃/秒を下回ると、スケールの生成量が多くなって鋼板の表面にスケール疵が発生する場合があり、また、ポリゴナルフェライト及びベイニティックフェライトの粒成長が生じ、各々の平均結晶粒径が大きくなって所望の特性が得られないことがある。なお、上記の平均冷却速度は20℃/秒以上とすることが一層好ましい。上記平均冷却速度の上限は特に規定する必要はなく、鋼板のサイズや設備面から決定される上限の値であってもよい。
中間空冷を行った後、平均冷却速度5℃/秒以上で2次冷却しても、冷却を620℃を超える温度で停止してその温度で巻き取ると、巻き取り後もポリゴナルフェライトの生成が進んでベイニティックフェライトが殆ど消滅し、所望の耐疲労特性が得られない場合がある。一方、冷却を400℃を下回る温度で停止してその温度で巻き取ると、鋼板の抜熱挙動が変化するために鋼板の平坦度が崩れて巻き取りトラブルを生じたり鋼板の平坦度悪化による製品疵が発生したりすることがあるし、ベイニティックフェライトの生成が進んでベイニティックフェライトの面積割合が多くなって、所望のプレス成形性及び耐2次加工脆性が得られない場合がある。なお、上記の平均冷却速度5℃/秒以上での2次冷却は580〜450で停止し、その温度で巻き取ることが一層好ましい。
したがって、前記(5)の発明においては、鋳造工程、つまり、溶鋼を鋳造して鋼塊にする工程が、溶鋼の液相線温度から固相線温度までの温度範囲における鋼塊の鋳込み方向に垂直な断面の平均冷却速度を0.3〜1.0℃/秒とするものであり、かつ、鋼塊を熱間圧延して巻き取るまでの工程が、1100℃以上の温度を有する鋼塊を熱間圧延して950〜880℃の温度で圧延を完了し、圧延完了の0.5〜2秒後に1次冷却を開始して40〜200℃/秒の平均冷却速度で770℃〜630℃まで冷却し、次いで、1〜15秒中間空冷した後、平均冷却速度5℃/秒以上で620〜400℃まで2次冷却してその温度で巻き取るものであることとした。
なお、本発明でいう「鋼塊」が「鋳片」を含むこと、「鋼塊の鋳込み方向に垂直な断面の平均冷却速度」とは、鋳型内や連続鋳造機内で凝固シェルを形成して内部が溶融状態にある場合を含めて鋼塊と呼ぶ場合の、鋼塊の鋳込み方向に垂直な断面における表面部から中心部の全領域における冷却速度の平均値をいうこと、圧延完了後の1次冷却や中間空冷後の2次冷却の「平均冷却速度」とは、冷却前後の温度差を冷却時間で除したものをいうこと、また、「空冷」とは、大気中放冷及び強制空冷を指すことは既に述べたとおりである。
前記(5)の発明において、鋼塊の熱間圧延が粗圧延と仕上げ圧延とを含む場合には、粗圧延してシートバーとした後、そのシートバーを加熱してシートバーの長手方向の平均温度を950℃以上及び長手方向の最大温度と最小温度との差を150℃以下とし、次いで、仕上げ圧延するのがよい。
シートバーの長手方向の平均温度が950℃未満の場合には、熱間圧延の完了温度が880℃を下回って加工性が低下し、所望のプレス成形性が得られない場合がある。また、シートバーの長手方向の最大温度と最小温度との差が150℃を超えると、仕上げ圧延時の温度変動が大きくなって圧延荷重が変動し、操業トラブルが発生する場合がある。
なお、圧延完了温度が950℃を超えないためには、上記のシートバーを加熱する場合のその長手方向の平均温度は1250℃以下であることが好ましい。一方、シートバーの長手方向の最大温度と最小温度との差は小さければ小さいほどよく、0℃が最も好ましい。
したがって、前記(6)の発明においては、熱間圧延が、鋼塊を粗圧延してシートバーとした後、そのシートバーを加熱してシートバーの長手方向の平均温度を950℃以上及び長手方向の最大温度と最小温度との差を150℃以下とし、次いで、仕上げ圧延するものであることと規定した。
なお、シートバーの長手方向の平均温度とは、シートバーの幅中央部における、シートバーの圧延方向先端から尾端までの表面温度の平均値を指す。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明する。
表1に示す化学組成を有する各溶鋼を、試験連続鋳造機により鋳造して厚さが200〜290mmのスラブとし、更に、各スラブを試験連続圧延装置を用いて、表2及び表3に示す条件で熱間圧延して厚さ3mmの熱延鋼板に仕上げた。
Figure 2006037162
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溶鋼の液相線温度から固相線温度までの温度範囲におけるスラブの鋳込み方向に垂直な断面の平均冷却速度(以下、「スラブの平均凝固速度」という。)は、スラブ厚みと連続鋳造機内の2次冷却帯のスプレーの水量とを変えることで調節した。表2及び表3における「スラブの平均凝固速度」は、室温まで冷却したスラブの断面を切り出し、スラブ表面から中心部までのデンドライト2次アーム間隔を10mmピッチで測定し、各スラブ断面位置における凝固速度を算出した後、それらを平均して求めたものである。
厚さ3mmの各熱延鋼板から試験片を採取し、組織調査、引張試験、深絞り性試験、耐2次加工脆性試験、平面曲げ疲労試験及び製品疵の発生率の調査を以下に示す方法で実施した。
なお、表3の試験番号30については圧延トラブルのため、厚さ3mmの熱延鋼板を得ることができなかったので、上記いずれの調査も実施しなかった。また、表3の試験番号16、18、21、23及び24については、深絞り成形で割れが発生したため、耐2次加工脆性試験は実施しなかった。
(1)組織調査:
各鋼板の圧延方向に平行な断面について、光学顕微鏡又は電子顕微鏡を用いて、相の判定をするとともに、「切片法」で求めた平均切片長さを1.13倍してベイニティックフェライト及びポリゴナルフェライトの平均結晶粒径を求め、更に、面積割合も求めた。なお、相の判定と面積割合は板厚方向の全域について実施し、平均結晶粒径は板厚をtとして、いわゆる「t/4」位置と「3t/4」位置について実施した。
(2)引張試験:
各鋼板から圧延方向に平行にJIS Z 2201(1998)に記載の5号引張試験を採取し、クロスヘッド速度を10mm/分として引張試験を行い、降伏点(YP)、引張強さ(TS)及び伸び(El)を測定した。
(3)深絞り性試験:
各鋼板から直径が200mmの円板を3枚ずつ採取し、それぞれの円板を深絞り比を2.0として直径が100mmの円筒に深絞り成形した後、割れの有無を調査して深絞り性(プレス成形性)を評価した。割れが発生しなかったものを深絞り性が良好とし、一方、割れが発生したものは深絞り性が劣るとした。
なお、深絞り比が2.0での評価としたのは、自動車の足廻り部品、コンプレッサーのシェル及び圧力容器には、絞り比で2.0程度の厳しい加工を施される部位があることに基づく。
(4)耐2次加工脆性試験:
各鋼板から深絞り比2.0で深絞り成形して得た上記の直径が100mmの円筒を、種々の温度に冷却した後、円筒の口縁部に円錐台形状のポンチを載せ、そのポンチに対して、質量20kgの錘を5mの高さから落下させて前記円筒の口縁部に衝撃的な伸びフランジ加工に相当する応力を加えた場合に、口縁部に脆性的縦割れが発生しない下限の冷却温度を脆化温度として、耐2次加工脆性を評価した。この脆化温度が低い鋼板ほど耐2次加工脆性は良好である。
なお、既に述べたように本発明においては、脆化温度が−40℃以下であることを目標とした。これは、自動車の足廻り部品など屋外で使用される場合には、−40℃程度の低温域に曝されることがあるためである。
(5)平面曲げ疲労試験:
各鋼板からJIS Z 2275(1978)に記載の1号試験片(記号1−20)を採取し、応力比を−1として両振り平面曲げ疲労試験を行って破断時の繰り返し数と応力振幅値の関係を調査し、得られた疲労曲線から106回の繰り返しサイクルで破断した応力振幅値を求め、前記の応力振幅値を引張強さ(TS)で除した「耐久比」で耐疲労特性を評価した。
なお、破断繰り返し数の値を106回としたのは、実用上一般に疲労限に使用されている107回まで繰り返し応力がかからないことに基づく。
(6)製品疵発生率の調査:
各鋼板表面におけるスケール疵及び平坦悪化による製品疵を目視で調査し、総質量に対する製品不良部、つまり、スケール疵が入っている鋼板の幅と長さの全領域で、切り捨てた部分の合計質量を求めて、製品疵発生率(%)とした。
製品疵発生率(%)=[製品不良部質量(kg)/ 総質量(kg)]×100
表4及び表5に、前記の各調査結果をまとめて示す。なお、表4及び表5における深絞り性の欄の「○」及び「×」はそれぞれ、前記した条件で直径が100mmの円筒に深絞り成形した際、「割れが発生しなかったこと」及び「割れが発生したこと」を示す。なお、いずれの試験番号の熱延鋼板の場合も、その組織はベイニティックフェライトとポリゴナルフェライトの2相組織であった。したがって、「ベイニティックフェライトの面積割合」を100から引いた値は「ポリゴナルフェライトの面積割合」を示すものである。
Figure 2006037162
Figure 2006037162
表4から、本発明で定める化学組成、組織及びポリゴナルフェライトのHV硬さを有する試験番号1〜14の熱延鋼板は、46.4%以上の伸びが得られており、その深絞り性は「○」でプレス成形性に優れていることが明らかである。上記の熱延鋼板の「脆化温度」はいずれも−40℃以下で、また、その「耐久比」はいずれも0.52以上であって、耐2次加工脆性及び耐疲労特性にも優れていることが明らかである。
これに対して、本発明で定める化学組成を有していても、その組織又はポリゴナルフェライトのHV硬さが本発明で規定する条件から外れた試験番号15〜29の熱延鋼板の場合には、プレス成形性(深絞り性)、耐2次加工脆性及び耐疲労特性の少なくとも1つが目標に達していない
試験番号15、19及び20の熱延鋼板は、ポリゴナルフェライト及びベイニティクフェライトの平均結晶粒径がいずれも30μmを超えるため、耐2次加工脆性及び耐疲労特性に劣っていた。なお、上記のうちで試験番号15の熱延鋼板には、粗大なTiNが多く存在していた。このため、その伸びは39%と低いものであった。
試験番号16及び21の熱延鋼板は、ポリゴナルフェライト及びベイニティクフェライトの平均結晶粒径がいずれも5μmを下回るため、降伏点が上昇して成形性が低下し、所望のプレス成形性(深絞り性)が得られなかった。なお、上記のうちで試験番号16の場合、スラブに割れが発生したため、製品疵の発生率は30%と大きいものであった。
試験番号17及び26の熱延鋼板は、ポリゴナルフェライトの平均結晶粒径が30μmを超えるため、耐2次加工脆性及び耐疲労特性に劣っていた。なお、上記の試験番号17及び26の熱延鋼板にはいずれもスケール疵が発生したため、製品疵の発生率はともに20%と大きいものであった。
試験番号18、23及び28の熱延鋼板は、ベイニティクフェライトの面積割合が1%を下回るため、耐疲労特性に劣っていた。
試験番号22及び27の熱延鋼板は、ベイニティクフェライトの面積割合が80%を超えるため、耐2次加工脆性に劣っていた。なお、上記のうちで試験番号28の場合、巻き取り温度が380℃と低かったので、鋼板の平坦度が悪化し、巻き取り時に表面疵が発生した。そのため、製品疵の発生率は30%と大きいものであった。
試験番号24及び25の熱延鋼板は、ポリゴナルフェライトの硬さがHV硬さで120を超えるため、プレス成形性(深絞り性)に劣っていた。
試験番号29の熱延鋼板は、ベイニティクフェライトの面積割合が1%を下回るめ、耐疲労特性に劣っていた。この試験番号29の場合には熱間圧延の完了温度が870℃と低く、ポリゴナルフェライト域での圧延となったため、加工されたポリゴナルフェライトとなった。その結果、ポリゴナルフェライトの硬さがHV硬さで120を超えるため、プレス成形性(深絞り性)に劣っていた。
本発明の熱延鋼板は、伸び、絞り性などの加工性に優れている他、耐2次加工脆性及び耐疲労特性にも優れているので、自動車の足回り部品、空調機や冷蔵庫などのコンプレッサーのシェル及びカバー、並びに各種圧力容器などの素材として利用することができる。

Claims (6)

  1. 質量%で、C:0.0030%未満、Si:0.1%以下、Mn:1.0%以下、P:0.02%以下、S:0.015%以下、Ti:0.015〜0.10%、Al:0.10%以下、N:0.005%以下及びB:0.0010〜0.0050%を含有し、残部はFe及び不純物からなる化学組成を有し、組織が平均結晶粒径5〜30μmのベイニティックフェライト及び平均結晶粒径5〜30μmのポリゴナルフェライトからなり、かつ、前記ベイニティックフェライトの面積割合が1〜80%で、更に、前記ポリゴナルフェライトの硬さがビッカース硬さで120以下であることを特徴とする熱延鋼板。
  2. Feの一部に代えて、質量%で、Nb:0.002〜0.04%を含有する請求項1に記載の熱延鋼板。
  3. Feの一部に代えて、質量%で、Ni:0.005〜1.0%及びCr:0.005〜1.0%のうちの1種又は2種を含有する請求項1又は2に記載の熱延鋼板。
  4. Feの一部に代えて、質量%で、Ca:0.0005〜0.050%及びREM(希土類元素):0.0005〜0.050%のうちの1種又は2種を含有する請求項1から3までのいずれかに記載の熱延鋼板。
  5. 請求項1から4までのいずれかに記載の化学組成を有する溶鋼を鋳造後圧延する熱延鋼板の製造方法であって、鋳造工程が、溶鋼の液相線温度から固相線温度までの温度範囲における鋼塊の鋳込み方向に垂直な断面の平均冷却速度を0.3〜1.0℃/秒とするものであり、かつ、鋼塊を熱間圧延して巻き取るまでの工程が、1100℃以上の温度を有する鋼塊を熱間圧延して950〜880℃の温度で圧延を完了し、圧延完了の0.5〜2秒後に1次冷却を開始して40〜200℃/秒の平均冷却速度で770℃〜630℃まで冷却し、次いで、1〜15秒中間空冷した後、平均冷却速度5℃/秒以上で620〜400℃まで2次冷却してその温度で巻き取るものであることを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
  6. 熱間圧延が、鋼塊を粗圧延してシートバーとした後、そのシートバーを加熱してシートバーの長手方向の平均温度を950℃以上及び長手方向の最大温度と最小温度との差を150℃以下とし、次いで、仕上げ圧延するものであることを特徴とする請求項5に記載の熱延鋼板の製造方法。
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