JP2006036958A - コークス炉の操業方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 炭化室の壁面及び天井形状を正確に計測し、壁面及び天井のカーボンの付着状態あるいは損耗状態を定量的に把握することによって、壁面及び天井の補修をより効果的に行う。
【解決手段】 電磁波距離計本体2と押出し装置5の押出しラム1の先端に設置される炉壁用アンテナ3Aとを備えた電磁波距離計と、押出しラム先端に設置されるアンテナ位置参照輝点(c)と、窯口に設置される基準輝点(b1)、(b2)と、各輝点を観察するためのカメラ9とを用い、各輝点の撮像結果から押出しラム先端の移動軌跡を算出し、押出し時の電磁波距離計の計測結果を、押出しラム移動軌跡を用いて補正して、炭化室壁面の絶対形状を算出し、壁面補修終了後、操業毎に壁面の絶対形状を計測し、補修終了直後の壁面の絶対形状の変化から、壁面へのカーボン付着状態あるいは壁面の損耗状態を定量的に把握すると共に、操業に伴う変化履歴から壁面の補修を行う時期を決定する。
【選択図】 図1
【解決手段】 電磁波距離計本体2と押出し装置5の押出しラム1の先端に設置される炉壁用アンテナ3Aとを備えた電磁波距離計と、押出しラム先端に設置されるアンテナ位置参照輝点(c)と、窯口に設置される基準輝点(b1)、(b2)と、各輝点を観察するためのカメラ9とを用い、各輝点の撮像結果から押出しラム先端の移動軌跡を算出し、押出し時の電磁波距離計の計測結果を、押出しラム移動軌跡を用いて補正して、炭化室壁面の絶対形状を算出し、壁面補修終了後、操業毎に壁面の絶対形状を計測し、補修終了直後の壁面の絶対形状の変化から、壁面へのカーボン付着状態あるいは壁面の損耗状態を定量的に把握すると共に、操業に伴う変化履歴から壁面の補修を行う時期を決定する。
【選択図】 図1
Description
この発明は、炭化室の壁面形状を正確に計測すると共に適切な補修方法を選択できる結果、コークス炉の延命化が図れ、しかも、炭化室壁面と天井との両方の形状を測定することによって、天井に付着したカーボンを検知することができる結果、付着カーボンに起因する操業トラブルを事前に回避することができ、さらに、炭化室天井の形状測定結果と炭化室壁面の形状測定結果とを組み合わせることによって、炭化室壁面および天井の補修をより効果的に行うことができる、コークス炉の操業方法に関するものである。
コークス炉においては、炉内に投入した石炭を一定時間乾留し、出来上がった赤熱コークスを、コークス押出し装置によって炉外へ排出するという操業が繰り返し行われる。このような操業が行われていくと、コークス炉炭化室の炉内壁面上にカーボンが析出し、これが不均一に成長する。さらに析出カーボンの成長が進むと、析出カーボンの一部が剥離して炉内に脱落する場合もある。
一方、炭化室の壁面を構成している耐火煉瓦は、炭化室内への石炭投入時に生じる機械的、熱的な衝撃、あるいは、耐火煉瓦の一部が成長したカーボンと共に剥離すること等により徐々に侵食される。この結果、炭化室の壁面は、凹凸になり、コークス押出し作業の際の窯詰まりの原因となる。窯詰まりは、コークス炉の操業効率を低下させるだけでなく、炉体に対して大きな負荷をかけることになり、炉壁を構成する耐火物煉瓦の損耗、亀裂、破孔を引き起こして、炉体の寿命を縮める結果となる。コークス炉を建て直すためには莫大な設備投資が必要であり、耐用年数をなるべく延ばすことが極めて重要である。このようなことから、コークス炉の炭化室の壁面の平滑度を保つことは大変重要である。
しかしながら、現在行われているコークス炉の操業においては、炭化室の壁面に生じる凹凸を回避することは不可能である。従って、炉体の延命化を図るために、炭化室の壁面に生じた凹凸を把握して、凹凸を平滑化するための補修を適宜効率良く行うことが不可欠である。
カーボンの成長により炭化室の壁面に凹凸が生じた場合には、カーボン落し補修によって壁面を平滑化し、一方、炉壁煉瓦の損耗によって凹凸が生じた場合には、溶射補修を行って平滑化している。従って、壁面の凹凸を平滑化するために、凹凸がカーボンの成長によるものか、炉壁煉瓦の損耗によるものかを的確に判断する必要がある。
コークス炉の炭化室の炉壁に生じた凹凸を把握する方法として、レーザ距離計を用いて窯幅を計測する方法が特許文献1(特公平7−65049号公報)、特許文献2(特開平7−243812号公報、特許文献3(特開平9−249884号公報)等に開示され、押し出しラムの駆動用モータにかかる負荷を計測して、壁面上の凹凸を把握する方法が特許文献4(特開平8−134458号公報)、特許文献5(特公昭55−5558号公報)等に開示されている。
特許文献1に開示された方法は、強度変調光による光三角法を用いた測定装置を押出し装置のラムに設置して、測定装置から炉壁までの距離を計測するものであり、センサを挟んで炭化室の長手方向に対して左右方向のセンサから壁面までの距離を押出しラムの進行と共に計測することによって窯幅を把握することができる。
特許文献4および5に開示される方法のように、コークス押出しの際に押出しラムの駆動用モータにかかる電力負荷または駆動用モータに流れる電流を計測することによって、炉壁面のカーボン付着状態や炉壁面の欠損状態を検知することが可能である。
また、炉内へ熱対策を施したカメラを入れ、その画像から炉壁の状態を把握する技術も知られている。
さらに、炉壁の損耗状況、またはカーボン付着状況を把握して、炉壁の補修にフィードバックする技術が、特許文献6(特開2001−40359号公報)に開示されている。この方法は、非接触距離計と熱対策を施した撮像装置とを押出しラムの先端に設置し、コークス押出し時に押出しラムに負荷される押出し抵抗の測定を行うものである。さらには非接触距離計による窯幅計測結果と、熱対策を施した画像撮影装置によって撮影した画像データとから、炉内の押出し抵抗が上昇した部位を特定すると共に、押出し抵抗上昇の原因をカーボン付着、炉壁損傷、装入炭性状または乾留条件の何れに起因するものかを特定して、炉壁補修の要否を判定するものである。
炭化室の壁面に凹凸が生じたことによる問題は、前述した通りであるが、炭化室の天井に付着したカーボンが適切に除去されないと、以下のような問題が生じ操業上の障害となる。
(1)上昇管の入口が狭くなり、発生した燃焼ガスの吸引が十分に行えない。
(2)石炭装入口に付着して石炭の装入に不具合が生じる。
(3)天井に付着したカーボンが成長すると、押出しラムがカーボンに当たって押出し抵抗となり、炉損傷の原因となる。
(1)上昇管の入口が狭くなり、発生した燃焼ガスの吸引が十分に行えない。
(2)石炭装入口に付着して石炭の装入に不具合が生じる。
(3)天井に付着したカーボンが成長すると、押出しラムがカーボンに当たって押出し抵抗となり、炉損傷の原因となる。
従って、操業効率を維持するためには、炭化室の天井に付着成長するカーボンを適切な量に管理する必要があり、付着カーボンが成長し、操業に影響を及ぼす恐れがある場合は、カーボン除去作業を行う必要がある。
炭化室の天井に付着したカーボンは、炭化室入口付近では炉外から目視により確認可能である。また、石炭装入口からも目視による確認が可能である。これらの方法によって天井にカーボンの付着成長が確認された場合は、人力による突き落し、押出しラムのエアスカーフィング等によって除去される。また、特許文献7(特開2002−194360号公報)に開示されているような専用のカーボン燃焼装置を用いて焼き落としを行う方法もある。さらにカーボンの付着が目立つ場合は、炭化室の焼き落とし補修を行い、炉壁に付着したカーボンと共に除去される。
炭化室の炉壁形状を計測し、炉壁補修時期を判断する先行技術としては、例えば、特許文献8(特開2003−315035号公報)には、コークス炉炭化室壁面の絶対形状計測装置として、以下の装置が開示されている。
電磁波距離計(電磁波距離計本体と押出し装置のラム先端とに設置される電磁波アンテナ)と、ラム先端に設置される輝点と窯口に設置される輝点と各輝点を観察するための撮像装置とを備え、撮像結果からラム先端の移動軌跡を算出し、押出し時の電磁波距離計計測結果とラムの移動軌跡とから炭化室壁面の絶対形状を計測して、炉壁形状の変化から適切な補修時期を決定する。
炉壁形状計測においては、同じ窯の押出し作業の場合、操業毎に押出しラムの窯内部の通過経路が異なると考えるのが一般的である。従って、炉壁面に生じた凹凸の変化を定量的に把握することは不可能である。よって、上記従来技術のように、押出しラムの通過経路を考慮に入れない炉壁形状計測においては、炉壁形状計測結果に凹凸が現われていても、凹凸が単なる押出しラムの蛇行によるものなのか、炉壁面上に成長し、付着するカーボンによるものなのか、あるいは、炉壁煉瓦の損耗によるものなのか判別をすることが困難である。さらに、炉壁上に付着するカーボン、または炉壁煉瓦の損耗を検知して窯の効率的な補修を行うことは不可能である。
また、押出しラムへの負荷による炉壁損耗状態検知法は、炭化室の長手方向において炉壁のどの部分の損耗が進んでいるか等、距離情報について知ることが不可能であり、部分的な補修が行えず、効率的な補修を行うことが不可能である。
さらに、目視による炭化室天井のカーボン付着は、炭化室窯口または炉頂部の石炭投入口から確認できるのみで、構造が複雑なため死角となる炉内天井の部分に付着するカーボンまでは確認することができない。また、目視のみでは付着しているカーボンの量を把握することは不可能である。
また、炭化室内の効率的な補修を行うためには、炉壁の補修と天井の補修の時期をなるべく一致させて行うことが必要である。例えば、炉壁の補修時期を決定しても、天井の補修が別の時期に行われた場合には操業効率が低下してしまう。
従って、この発明の目的は、炭化室の壁面形状を正確に計測すると共に適切な補修方法を選択できる結果、コークス炉の延命化が図れ、しかも、炭化室壁面と天井との両方の形状を測定することによって、天井に付着したカーボンを検知することができる結果、付着カーボンに起因する操業トラブルを事前に回避することができ、さらに、炭化室天井の形状測定結果と炭化室壁面の形状測定結果とを組み合わせることによって、炭化室壁面および天井の補修をより効果的に行うことができる、コークス炉の操業方法を提供することにある。
この発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであって、下記を特徴とするものである。
請求項1記載の発明は、電磁波距離計本体と押出し装置の押出しラム先端に設置される炉壁用アンテナとを備えた電磁波距離計と、前記押出しラム先端に設置されるアンテナ位置参照輝点と、炉体上の位置が既知な場所に設置される基準輝点と、前記各輝点を観察するための撮像装置とを用い、前記各輝点の撮像結果から前記押出しラム先端の移動軌跡を算出し、押出し時の前記電磁波距離計の計測結果を、前記押出しラム移動軌跡を用いて補正して、炭化室壁面の絶対形状を算出し、壁面補修終了後、操業毎に前記壁面の絶対形状を計測し、補修終了直後の前記壁面の絶対形状の変化から、前記壁面へのカーボン付着状態あるいは前記壁面の損耗状態を定量的に把握すると共に、操業に伴う変化履歴から前記壁面の補修を行う時期を決定することに特徴を有するものである。
請求項2記載の発明は、電磁波距離計本体と押出し装置の押出しラム先端に設置される炉壁用アンテナとを備えた電磁波距離計と、前記押出しラム先端に設置されるアンテナ位置参照輝点と、炉体上の位置が既知な場所に設置される基準輝点と、前記各輝点を観察するための撮像装置とを用い、前記各輝点の撮像結果から前記押出しラム先端の移動軌跡を算出し、押出し時の前記電磁波距離計の計測結果を、前記押出しラム移動軌跡を用いて補正して、炭化室の壁面および天井の絶対形状を算出し、炉壁補修終了後、操業毎に前記壁面および前記天井の絶対形状を計測し、補修終了直後の前記壁面および前記天井の絶対形状の変化から、前記壁面および前記天井へのカーボン付着状態あるいは前記壁面および前記天井の損耗状態を定量的に把握すると共に、操業に伴う変化履歴から前記壁面および前記天井の補修を行う時期を決定することに特徴を有するものである。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、窯毎の操業の進行に伴うコークス押出し時の押出し圧の変化に基づき、押出し圧の上昇を予測し、押し詰まり等が発生しないように炭化室壁面の補修を行うことに特徴を有するものである。
請求項4記載の発明は、請求項1から3の何れか1つに記載の発明において、コークス炉の操業条件および操業履歴に基づき、操業条件を変更することにより炭化室壁面へのカーボン付着を制御することに特徴を有するものである。
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明において、電磁波距離計は、炭化室壁面に対向したアンテナを挿入、走査する手段と、アンテナの挿入量を計測する手段とを具備し、アンテナを炭化室内へ挿入、走査して、電磁波距離計によって壁面形状を計測すると共に、壁面からの反射波の振幅を計測し、両者の結果から壁面への付着カーボンの有無を判定することに特徴を有するものである。
請求項6記載の発明は、請求項2記載の発明において、電磁波距離計は、炭化室壁面および天井に対向したアンテナを挿入、走査する手段と、アンテナの挿入量を計測する手段とを具備し、アンテナを炭化室内へ挿入、走査して、電磁波距離計によって壁面形状および天井形状を計測すると共に、壁面および天井からの反射波の振幅を計測し、両者の結果から壁面および天井への付着カーボンの有無を判定することに特徴を有するものである。
請求項7記載の発明は、請求項5または6記載の発明において、操業毎に、炭化室壁面からの反射波の振幅に基づいて、カーボンの厚みの変化を検出することに特徴を有するものである。
この発明によれば、炭化室の壁面形状を正確に計測すると共に適切な補修方法を選択できる結果、コークス炉の延命化が図れ、しかも、炭化室壁面と天井との両方の形状を測定することによって、天井に付着したカーボンを検知することができる結果、付着カーボンに起因する操業トラブルを事前に回避することができ、さらに、炭化室天井の形状測定結果と炭化室壁面の形状測定結果とを組み合わせることによって、炭化室壁面および天井の補修をより効果的に行うことができる。
この発明の、コークス炉の操業方法の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
この実施形態では、図1に示す特許文献9(特開2002−80852号公報)に開示される炉壁形状計測装置を用いた。図1は、炉壁絶対形状計測を実施するための、この発明の装置の全体構成を示す図であり、(a)は、概略側面図、(b)は、概略平面図である。
この装置は、電磁波距離計本体2と炉壁用アンテナ3Aとを備えた電磁波距離計を備えている。アンテナ3Aは、押出しラム1の先端に設置され、電磁波距離計本体2は、押出しラム1の後端に設置され、アンテナ3Aと電磁波距離計本体2とは、押出しラム1内に敷設した導波管4により接続されている。押出しラム1の押出し装置5には、距離計信号処理器6と、形状算出信号処理器7と、カメラ9が接続された位置計測信号処理器8とが設置されている。
コークス押出し作業を行う際に、押出しラム1の進行量が記録されると共に、電磁波距離計本体2からのアンテナ−炉壁間距離信号および振幅信号が距離計信号処理器6を介して形状算出信号処理器7に出力され、形状算出信号処理器7によって、炭化室の壁面形状が測定されると共に付着カーボンの有無が検知される。この際、電磁波距離計本体2からのアンテナ−炉壁間距離の計測結果に対して、位置計測信号処理器8により押出し時の振動等の影響による押出しラム1の蛇行が補正される。なお、付着カーボンの有無の判断法については後述する。
この補正は、図2のようにして行う。すなわち、炉体10上の位置が既知な場所、例えば、窯口に取り付けた複数の基準点(基準輝点)(b1)、(b2)と、押出しラム1の先端近傍に取り付けたアンテナ位置参照点(参照輝点)(c)とを、押出し装置5上に設置したカメラ9によって画像撮影装置の視野範囲に収まるようにコークス押出し作業を行いながら撮影する。そして、押出しラム1の進行量に対して、炉体上の基準点(b1)、(b2)に対するアンテナ位置参照点(c)を画像上の座標として算出して、押出しラム1が窯に進入する瞬間の、炉体10上の基準点(b1)、(b2)に対するアンテナ位置参照点(c)の位置を基準とした押出しラム1の窯幅方向のぶれ量を算出する。
炭化室のコークスガイド車側は、鉄製の炉枠で構成されており炭化室の幅は既知であるから、アンテナ3Aがコークスガイド車側で炭化室から出る際のアンテナ−炉壁間距離データから、アンテナ3Aが窯から出た瞬間に通過する窯幅方向の位置を検知することが可能である。アンテナ部の窯の出入り口の通過位置を結ぶ線を基準線とすると、押出しラム1の進行に対する光学計測の結果を、この基準線からのずれとして捉えることが可能であり、各計測地点におけるアンテナ−炉壁間距離計測結果を、押出しラム1のぶれ量で補正することによって、コークス炭化室の炉壁絶対形状計測を実現することができる。
なお、上記炉壁絶対形状計測において、さらに精度が必要となる場合には、以下のような補正を行う。
図2に示すように、炉体10上の位置が既知な場所(b1)にミラー11を設置し、押出し装置5上のレーザ光源12からレーザ光線を照射し、炉体10上のミラー11で反射したレーザ光を押出し装置5上に設置したスクリーン13上に映し出し、カメラ14により撮影する。押出しラム1が炭化室に進入する際の、反射光のスクリーン13上の位置を基準として、この基準点からの変位を計測することによって、コークス押出し作業の際の、押出し装置5の微小な回転を補正に含めることが可能となるので、より高精度な炭化室炉壁絶対形状計測を行うことが可能である。
上述した炉壁絶対形状計測方法によって計測した炉壁絶対形状計測結果を、図3に示した。図3の縦軸は、中心線0を基準とした炉壁までの距離を示す。
さらに、図4に、炭化室の補修前後での炉壁形状計測結果を示す。図中、点線で囲った部分では補修直後には炉壁面の凹凸があるが、操業を続けていくとそれらの凹凸は、カーボン付着によって隠されてしまう。従って、初期の炉壁形状を把握しておけば、例えば、炉壁上に部分的にカーボンが成長した場合は、局所的な焼落しを行うことが可能であり、炭化室を空の状態にして、窯全体の焼落しを行うよりも短時間で効率的な補修を行うことができる。
図4のように、ある窯の操業を行うごとに炉壁壁面形状を計測し、壁面形状の変化の履歴を把握し、例えば、押出し圧の高い窯を優先的に調べ、炉壁面に生じた凹凸の原因が、カーボン付着によるものか炉壁煉瓦の損耗によるものかを判定し、補修直後の炉壁形状と比較して、一定量の変化が認められたときには炉壁の補修を行う。このとき、必ずしも炭化室全体の補修を行う必要はなく、炉壁形状に顕著な変化が検出された部分のみ、補修を行えば良い。炭化室全体の補修を行うのに比べて最大で2〜3日程度の短縮が見込まれ、大幅に操業効率を改善することが可能である。
炉壁面に生じた凹凸の原因が、カーボン付着によるものか炉壁煉瓦の損耗によるものかを判定するための付着カーボンの有無の判断は、アンテナ3Aから出射された電磁波が、壁面で反射して、アンテナ3Aで受信された反射波の強度に基づいて行う。すなわち、カーボン付着が有る場合には、カーボン付着がない場合に比べて、反射波の強度が大きくなるため、閾値をその間に設定すれば、カーボン付着の有無を容易に判断することができる。
図5に、壁面のカーボン付着が有る状態(図中点線で「焼落とし(作業)前」の状態)と、壁面に付着したカーボンを除去した後(図中実線で「焼落とし(作業)後」の状態)の計測結果を示す。図5から明らかなように、カーボンが付着した状態の信号強度に比べて、カーボンを除去した状態では信号強度が非常に小さく(約10/1)なっていることが分かり、この信号を用いて、カーボンの付着状況(有無)を判断することができる。
さらに、同じ窯における操業毎に押出し装置駆動モータの負荷電流変化の履歴と炉壁形状変化の履歴の相関をとることにより、押出し圧検出装置15(図1参照)により検出されるコークス押出し時の押出し負荷の上昇や炉壁の補修時期を予測可能となり、炉壁補修時期の最適化を図ることができる。また、コークス炉の操業条件、操業履歴を把握することによってカーボンの付着を制御することも可能である。
また、コークス炉炭化室の天井の構造は複雑で、炉外からでは目視でカーボンの付着を確認できない部分もある。操業を行うとともに天井の形状計測を実施する際は、炉内の粉塵や、火災等の影響を避けるため電磁波を用いるのが有効である。また、炉壁形状計測装置が設置されている場合は、装置を共用すれば、安価に計測を行うことが可能である。
以下、天井の形状計測を実施する場合を、図面を参照しながら説明する。
図6は、炉壁絶対形状および天井付着カーボン計測を実施するための、この発明の装置の全体構成を示す図であり、(a)は、概略側面図、(b)は、概略平面図である。
この装置は、図1に示した装置に天井用アンテナを付加した以外は基本的に同じ構成である。すなわち、電磁波距離計本体2と炉壁用アンテナ3Aおよび天井用アンテナ3Bとを備えた電磁波距離計を備えている。アンテナ3A、3Bは、押出しラム1の先端に設置され、電磁波距離計本体2は、押出しラム1の後端に設置され、アンテナ3A、3Bと電磁波距離計本体2とは、押出しラムビーム内に敷設した導波管4により接続されている。天井用アンテナ3Bは、押出しラム1の先端部分で分岐させた導波管4に接続され、天井方向に向けられている。
押出し装置5の押出しラム1が前進または後退する際、アンテナ3A、3Bからの電磁波によってアンテナ−壁面間距離および天井間距離を計測する。これによって壁面および天井の付着カーボンを含む形状が計測可能である。反射波の強度を観測するとカーボンの付着があるかどうかを検知することが可能である。しかしながら、上昇管や石炭装入口にアンテナ3Bが差し掛かると、壁面および天井形状が傾斜しているため反射波の強度は低下し、カーボン付着の判断が困難になる。このときはアンテナ3Bから壁面および天井までの距離を参照して、距離の変化による反射強度の低下を補正し、付着カーボンの有無を把握すれば良い。
なお、天井形状計測用アンテナの開口は上向きに設置されていることから、粉塵の堆積防止のためエアパージを行うことが必要である。
図7に、計測例としてコークス炉炭化室の天井の形状計測結果を示す。図中には炭化室の天井の設計形状を点線で表してある。また、同時に反射信号強度も示した。横軸は、押出しラム1の進行量、縦軸は、アンテナ3Bから天井までの距離、および信号の反射強度を表している。なお、反射強度は、反射信号を所定の演算を施してデータを処理した結果を示した。
図中のカーボン付着がある部分は、反射強度が増している。天井形状が水平である部分は、反射波の反射強度からカーボンの付着検知が可能である。また、図中の矢印は石炭装入口である。その前後の天井が傾斜した構造になっている部分は、死角になってしまい石炭装入口、または窯口から目視で確認するのは困難であり、この発明による付着カーボン検知が有効であることを示している。なお、アンテナ3Bが石炭装入口の直下にあるときは、反射信号の取得が困難になる。
操業を続けていくと天井の付着カーボンは成長する。最初に計測を行ってから数日経たときのカーボン付着量の変化量を図8に示す。これらのカーボンが成長し操業に支障が出るような場合は、カーボン焼落しなどの適切な方法でカーボンを除去することが必要である。
図9に、この実施形態のコークス炉形状計測装置を用いて、コークス炉の補修を行う処理フローを示す。
コークス炉の形状計測結果と、押出圧計測結果をデータベースにコークス炉の押出作業を行う度に蓄積し、その結果に基づき、炉壁形状変化量と押出圧の大きさをチェックする。炉壁形状変化量が所定値(例えば、30mm〜40mm)より大きく、かつ、押出圧が所定地(例えば、60〜70ton)より大きい場合には、補修を行う処理へと移る。なお、この補修処理は、窯詰まりが頻繁に起こる窯番号が対象とされる。
補修処理を行うことが決定されたら、補修方法の判断処理に移る。ここでは、補修方法、補修部位を決定する。測定結果からコークス炉の形状分布が、部分的に変化している場合には、その場所のみ部分的な補修を行う。そして、変化量が正(変化量が正とは、炉壁厚が厚くなっていることを意味する)であれば、カーボン付着であるので、焼落しの処理を行う。逆に変化量が負(炉壁厚さが薄くなっている)の場合には、損耗している状態であるので、炉壁厚さを正常値に戻すように溶射処理を行う。
また、形状分布から炉壁全体にわたって変化しているのであれば、全面補修を行うといった判断をする。
この実施形態のコークス炉形状計測装置は、炉壁用と天井用の形状計測装置の距離計と導波管を共用しているので、擬似ランダム信号等の時間遅延信号を用いて、炉壁からの反射信号と、天井からの反射信号を明確に判別できるようにしなければならない。このため、天井形状計測用の導波管は、分岐後の長さを、炉壁形状計測における炉壁からの反射信号の遅延時間と比較して決定するのが望ましい。
天井形状を計測する際、押出しラムの上下動が大きく計測精度が十分でない場合は、炉壁絶対形状計測における押出しラム軌跡計測での、押出しラム基準輝点から上下動の補正を行うことが考えられる。
1:押出しラム
2:電磁波距離計
3A:炉壁用アンテナ
3B:天井用アンテナ
4:導波管
5:押出し装置
6:距離計信号処理器
7:形状算出信号処理器
8:位置計測信号処理器
9:カメラ
10:炉体
11:ミラー
12:レーザ光源
13:スクリーン
14:カメラ
15:押出し圧検出装置
2:電磁波距離計
3A:炉壁用アンテナ
3B:天井用アンテナ
4:導波管
5:押出し装置
6:距離計信号処理器
7:形状算出信号処理器
8:位置計測信号処理器
9:カメラ
10:炉体
11:ミラー
12:レーザ光源
13:スクリーン
14:カメラ
15:押出し圧検出装置
Claims (7)
- 電磁波距離計本体と押出し装置の押出しラム先端に設置される炉壁用アンテナとを備えた電磁波距離計と、前記押出しラム先端に設置されるアンテナ位置参照輝点と、炉体上の位置が既知な場所に設置される基準輝点と、前記各輝点を観察するための撮像装置とを用い、前記各輝点の撮像結果から前記押出しラム先端の移動軌跡を算出し、押出し時の前記電磁波距離計の計測結果を、前記押出しラム移動軌跡を用いて補正して、炭化室壁面の絶対形状を算出し、壁面補修終了後、操業毎に前記壁面の絶対形状を計測し、補修終了直後の前記壁面の絶対形状の変化から、前記壁面へのカーボン付着状態あるいは前記壁面の損耗状態を定量的に把握すると共に、操業に伴う変化履歴から前記壁面の補修を行う時期を決定することを特徴とする、コークス炉の操業方法。
- 電磁波距離計本体と押出し装置の押出しラム先端に設置される炉壁用アンテナとを備えた電磁波距離計と、前記押出しラム先端に設置されるアンテナ位置参照輝点と、炉体上の位置が既知な場所に設置される基準輝点と、前記各輝点を観察するための撮像装置とを用い、前記各輝点の撮像結果から前記押出しラム先端の移動軌跡を算出し、押出し時の前記電磁波距離計の計測結果を、前記押出しラム移動軌跡を用いて補正して、炭化室の壁面および天井の絶対形状を算出し、炉壁補修終了後、操業毎に前記壁面および前記天井の絶対形状を計測し、補修終了直後の前記壁面および前記天井の絶対形状の変化から、前記壁面および前記天井へのカーボン付着状態あるいは前記壁面および前記天井の損耗状態を定量的に把握すると共に、操業に伴う変化履歴から前記壁面および前記天井の補修を行う時期を決定することを特徴とする、コークス炉の操業方法。
- 窯毎の操業の進行に伴うコークス押出し時の押出し圧の変化に基づき、押出し圧の上昇を予測し、押し詰まり等が発生しないように前記壁面の補修を行うことを特徴とする、請求項1または2記載の、コークス炉の操業方法。
- コークス炉の操業条件および操業履歴に基づき、操業条件を変更することにより前記壁面へのカーボン付着を制御することを特徴とする、請求項1から3の何れか1つに記載の、コークス炉の操業方法。
- 前記電磁波距離計は、前記壁面に対向したアンテナを挿入、走査する手段と、前記アンテナの挿入量を計測する手段とを具備し、前記アンテナを前記炭化室内へ挿入、走査して、前記電磁波距離計によって前記壁面形状を計測すると共に、前記壁面からの反射波の振幅を計測し、両者の結果から前記壁面への付着カーボンの有無を判定することを特徴とする、請求項1記載の、コークス炉の操業方法。
- 前記電磁波距離計は、前記壁面および前記天井に対向したアンテナを挿入、走査する手段と、前記アンテナの挿入量を計測する手段とを具備し、前記アンテナを前記炭化室内へ挿入、走査して、前記電磁波距離計によって前記壁面形状および前記天井形状を計測すると共に、前記壁面および前記天井からの反射波の振幅を計測し、両者の結果から前記壁面および前記天井への付着カーボンの有無を判定することを特徴とする、請求項2記載の、コークス炉の操業方法。
- 操業毎に、前記壁面からの反射波の振幅に基づいて、カーボンの厚みの変化を検出することを特徴とする、請求項5または6記載の、コークス炉の操業方法。
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2004
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