JP2006034219A - 電動リール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ワンウェイクラッチは、外周に複数の爪部81aを有する爪車81、及び爪車に対して接離しかつ爪車に向けて付勢される揺動爪82を有し、揺動爪の先端が複数の爪部に係止されてモータの糸繰り出し方向の逆転を所定角度領域毎に禁止する。第1クラッチ戻し機構は、外周に径方向に突出する複数の突起部91bを有し爪車と並べてモータの機構装着軸75に装着されモータの所定角度領域内の逆転に連動して回転する押圧部材91を有する押圧機構88、及びクラッチ切換機構に連動して動作し、クラッチオフ状態に切り換えられると第1位置から第2位置に移動し、その状態でモータが所定角度領域内で逆転すると押圧機構により押圧されて第1位置に戻るとともにクラッチ機構をクラッチオン状態にする連動機構89を有する。
【選択図】 図10
Description
発明3に係る電動リールは、発明1又は2に記載のリールにおいて、スプールに巻き付けられる釣り糸の先端に装着される仕掛けの水深をスプールの回転に応じて算出する水深算出手段と、水深算出手段の算出結果に応じてモータを逆転させるモータ制御手段とをさらに備える。この場合には、水深算出手段により算出された水深に仕掛けが到達するとクラッチオン状態にして釣り糸の繰り出しを停止できるので、仕掛けを所望の棚位置に容易に配置できる。
発明10に係る電動リールは、発明1から9のいずれかに記載のリールにおいて、リール本体は、間隔を隔てて配置され間にスプールが配置された第1及び第2側板と、両側板を連結する連結部とを有するフレームと、第1側板の外方を覆う第1カバーと、第2側板の外方を覆いかつハンドルが装着された第2カバーとを有し、クラッチ切換機構は、第2カバーと第2側板の間の空間に配置され、連動機構は、両側板を貫通して回動自在に装着された連結軸と、連結軸の第2側板側の突出端に回転不能に装着されクラッチ切換機構に先端が連結されてクラッチ切換機構の切換動作に連動して揺動する第1レバー部材と、連結軸の第1側板側の突出端に回転不能に装着された第2レバー部材と、第1位置にある押圧部材が接触する接触部を有し、第2レバー部材の先端に連結され押圧部材に向けて進退する進退部材とを有する。
本発明の一実施形態による電動リールは、図1に示すように、主にハンドル1が装着されたリール本体2と、リール本体2に回転自在に装着されたスプール3と、スプール3内に装着されたモータ4とを備えている。リール本体2の上部には、水深表示等を行うためのカウンタ5が装着されている。リール本体2の内部には、図2に示すように、ハンドル1の回転をスプール3に伝達するとともにモータ4の回転をスプール3に伝達する回転伝達機構6と、回転伝達機構6の途中に設けられたクラッチ機構7と、クラッチ機構7を切り換えるクラッチ切換機構8(図4)と、ハンドル1の糸繰り出し方向の逆転を禁止する第1ワンウェイクラッチ9と、モータ4の糸繰り出し方向の逆転を禁止する第2ワンウェイクラッチ10と、モータ4の逆転によりクラッチ機構7をクラッチオン状態に戻す第1クラッチ戻し機構11と、ハンドル1の糸巻取方向の回転によりクラッチ機構7をクラッチオン状態に戻す第2クラッチ戻し機構12(図4)とを備えている。
リール本体2は、図2に示すように、フレーム13と、フレーム13の両側方を覆う側カバー14、15とを有している。フレーム13は、図2に示すように、アルミニウム合金ダイカストの一体成形された部材であり、左右1対の側板16、17と、側板16、17を複数箇所で連結する連結部材18とを有している。下部の連結部材18には、釣竿を装着するための竿装着脚19が装着されている。
側カバー14は、側板16にボルトにより締結されている。側カバー14には、外部に設けられた蓄電池等の電源と接続するための電源ケーブル用のコネクタ部14a(図1)が前部に斜めに突出して設けられている。
〔スプールの構成〕
スプール3は、内部にモータ4を収納可能な筒状の糸巻胴部3aと、糸巻胴部3aの外周部に間隔を隔てて形成された左右1対のフランジ部3bとを有している。スプール3の一端はフランジ部3bから外方に延びており、その延びた端部の内周面に軸受25が配置されている。スプール3の他端には、ギア板3cが固定されている。ギア板3cは、図示しないレベルワインド機構にスプール3の回転を伝達するために設けられている。ギア板3cのスプール中心側部において、ギア板3cと固定フレーム20との間には転がり軸受26が装着されている。この2つの軸受25、26により、スプール3は、リール本体2に回転自在に支持されている。
モータ4は、図3に示すように、スプール3の糸巻き取り用、糸繰り出し用及び第1クラッチ戻し機構11の動作用の駆動体として機能する。モータ4は、基端が開口する有底筒状のケース部材31と、開口を塞ぐためにケース部材31の基端に固定されたキャップ部材32と、ケース部材31とキャップ部材32とに回転自在に装着された出力軸30とを有している。ケース部材31は、有底筒状の部材であり、底部で出力軸30を回転自在に支持している。
電機子68は、界磁67の内周面に対向して配置されている。電機子68は、放射状に突出する、たとえば5つの極部を有する電機子鉄心77と、電気子鉄心77の極部に巻回されたコイル78とを有している。電機子鉄心77は、アモルファス珪素合金製の薄板を重ねて形成したものであり、ヒステリシスロスが少ない高い透磁率を有するものである。
ブラシ70は、キャップ部材32に装着された絶縁体製の取付部材70aに固定されており、整流子69の対向する周面で整流子69に電気的に接続されている。ブラシ70は、キャップ部材32の1対の取出溝32aを貫通して外部に突出するように配置された2つの端子70bに電気的に接続されている。この取出溝32aと端子70bの隙間は、たとえば瞬間接着剤により封止されている。これにより、モータ4内部への液体の浸入を阻止している。
カウンタ5は、釣り糸の先端に装着された仕掛けの水深を表示するとともに、モータ4を制御するために設けられている。カウンタ5には、図1に示すように、仕掛けの水深データLXや棚位置を水面からと底からとの2つの基準で表示するための液晶表示ディスプレイからなる水深表示部98と、水深表示部98の周囲に配置された複数のスイッチからなる操作キー部99とが設けられている。
回転伝達機構6は、図2に示すように、ハンドル1が回転不能に装着されたハンドル軸33と、ハンドル軸33に回転自在に装着されたメインギア34と、メインギア34に噛み合うピニオンギア35と、ハンドル軸33の周囲に配置されたドラグ機構36と、モータ4の回転を2段階で減速する遊星歯車機構40とを有している。
メインギア34には、ドラグ機構36を介してハンドル軸33の回転が伝達される。ピニオンギア35は、側カバー15に立設されたピニオンギア軸47に回転自在かつ軸方向移動自在に装着されている。ピニオンギア軸47は、モータ4の出力軸30と同芯に配置されている。ピニオンギア35の図2左端には、係合凹部35aが形成され、右端にはメインギア34に噛み合う歯部35bが形成されている。またその間には小径のくびれ部35cが形成されている。係合凹部35aは、遊星歯車機構40の後述する第2キャリア46の先端(図2右端)に形成された係合凸部46aに回転不能に係合する。クラッチ機構7は、この係合凹部35aと、係合凸部46aとにより構成されている。ピニオンギア35は、くびれ部35cに係合するクラッチ切換機構8によりピニオンギア軸47の軸方向に移動する。
遊星歯車機構40は、図3に示すように、モータ4の図3右側の出力軸30に固定された第1太陽ギア41と、第1太陽ギア41に噛み合う、たとえば円周上に等間隔で配置された3つの第1遊星ギア43と、第1遊星ギア43を回転自在に支持する第1キャリア45と、第1キャリア45に固定された第2太陽ギア42と、第2太陽ギア42に噛み合うたとえば円周上に等間隔で配置された3つの第2遊星ギア44と、第2遊星ギア44を回転自在に支持する第2キャリア46とを備えている。第1遊星ギア43及び第2遊星ギア44は、スプール3の内周面に形成された内歯ギア3dに噛み合っている。第1キャリア45及び第2キャリア46は筒状軸となっており、内部をモータ4の出力軸30が貫通している。第2太陽ギア42及び第2キャリア46は出力軸30に対して相対回転可能に設けられている。また、第2キャリア46は、ギア板3cに回転自在に装着されている。第2遊星ギア44と、第1キャリア45との間には、滑りやすい性質の合成樹脂製のワッシャ部材29が装着されている。このようなワッシャ部材29を装着すると、第1キャリア45の遊びが減少して遊星歯車機構40の騒音の低下を図ることができる。
クラッチ機構7は、スプール3を糸巻取可能状態と自由回転可能状態とに切換可能な機構である。クラッチ機構7は、図2に示すように、前述したようにピニオンギア35の係合凹部35aと第2キャリア46の係合凸部46aと構成されている。ピニオンギア35が、左方に移動して係合凹部35aと第2キャリア46の係合凸部46aと係合した状態がクラッチオン状態でなり、離反した状態がクラッチオフ状態である。クラッチオン状態では、スプール3は糸巻取可能状態になり、クラッチオン状態では、スプール3は自由回転可能状態になる。なお、クラッチオフ状態でモータ4を糸巻取方向に回すと遊星歯車機構40の摩擦抵抗が小さくなる。この結果、スプール3の自由回転速度が増加し、仕掛けを素早く棚位置に下ろすことができる。これが糸送り処理である。
クラッチ切換機構8は、クラッチ機構7のオンオフ状態を切り換えるものである。クラッチ切換機構8は、図5及び図6に示すように、側カバー15に揺動自在に装着されたクラッチ操作レバー50と、クラッチ操作レバー50の揺動によりピニオンギア軸47回りに回動するクラッチカム51と、クラッチカム51の回動によりピニオンギア軸47方向に移動するクラッチヨーク52とを有している。
クラッチカム51は、クラッチ操作レバー50の揺動によりピニオンギア軸47回りに回動する部材であり、回動によりクラッチヨーク52をスプール軸外方に移動させるものである。クラッチカム51は、ピニオンギア軸47回りに回動自在に装着された回動部55と、回動部55からクラッチ操作レバー50側に延びる第1突出部56aと、回動部55から前方に延びる第2突出部56bと、回動部55から後方に延びる第3突出部56cと、回動部55の側面に形成された傾斜カムからなる1対のカム突起57a,57bとを有している。このカム突起57a,57bに対向するクラッチヨーク52の両端には、カム突起57a,57bに乗り上げるカム受け(図示せず)が形成されている。
第1突出部56aは、回動部55から上後方に延び、先端は二股に分かれてクラッチ操作レバー50に係合している。この第1突出部56aは、クラッチ操作レバー50の揺動に応じてクラッチカム51を回動させるために設けられている。
カム突起57a,57bは、クラッチヨーク52をスプール軸方向外方に押圧するために設けられている。すなわち、クラッチカム51が図5に示すクラッチオン位置から図6に示すクラッチオフ位置に回動すると、カム突起57a,57bにクラッチヨーク52が乗り上げてスプール軸方向外方(図5,図6紙面手前方向)に移動する。
第1ワンウェイクラッチ9は、ハンドル軸33の糸繰り出し方向の回転を禁止することにより、モータ4駆動時にハンドル1が回転するのを防止するために設けられている。第1ワンウェイクラッチ9は、ハンドル軸33に回転不能に装着されたラチェットホイール62と、ラチェットホイール62と、ラチェット爪71と、挟持部材72とを有している。
ラチェット爪71は側板17に回動自在に装着されている。また挟持部材72はラチェット爪71の先端に取り付けられ、ラチェットホイール62の外周面を挟持可能である。この挟持部材72とラチェットホイール62との摩擦によって、ラチェットホイール62の時計回り(糸巻取方向)の回転時にはラチェット爪71がラチェット歯62aと干渉しない位置まで離れられ、ラチェットホイール62の糸巻取方向の回転時にラチェット爪71が接触しなくなり静音化できる。一方、反時計回り(糸繰り出し方向)の回転時にはラチェット爪71がラチェット歯62aと干渉する位置まで引き込まれ、糸繰り出し方向の回転が禁止される。なお、この電動リールには、このような第1ワンウェイクラッチ9に加えて、ハンドル軸33の逆転を瞬時に禁止するローラクラッチ38が側カバー15とハンドル軸33との間に配置されている。
第2ワンウェイクラッチ10は、ハンドル1の操作時にモータ4が逆転することにより遊星歯車機構40が動作するのを防止するために設けられている。第2ワンウェイクラッチ10は、図7及び図8に示すように、機構装着軸75の第2軸部75bに回転不能に装着された爪車81と、爪車81に対して接離する揺動爪82と、揺動爪82を爪車に向けて付勢する捩じりコイルばね83と、モータ4の糸巻取方向の正転時に揺動爪82を制御する爪制御機構84とを有している。
揺動爪82は、側板16の膨出部27に立設された揺動軸80に揺動自在に基端が装着されている。揺動爪82の先端には、図8奥側に突出する突起部82aが形成されている。突起部82aは、爪車81の爪部81aに接触して爪車81(出力軸30)の逆転を阻止するとともに、爪制御機構84の後述する静音カム85に接触して爪部81aをかわす位置まで揺動爪82を揺動させるために設けられている。
爪制御機構84は、モータ4が正転すると爪車81の爪部81aをかわす位置まで揺動爪82を逆転許可位置側に揺動させるための機構である。爪制御機構84は、機構装着軸75の第1軸部75aに回転自在に装着され、外周に揺動爪82を逆転禁止位置側に押圧するための突出した円弧状の押圧部85aを有する静音カム(回動部材の一例)85と、静音カム85の回動範囲を規制する回動規制部86とを有している。静音カム85は、外周に押圧部85aを有するカム本体部85bと、カム本体部85bに回転不能に装着され、機構装着軸75の第1軸部75aに摩擦係合するクェッションマーク型のばね部材85cとを有している。カム本体部85bは、ばね部材85cが回転不能に収納される収納溝85dを端面及び後述する係止片86aに有しており、ばね部材85cを介して機構装着軸75に摩擦係合し、機構装着軸75の回動に連動して同じ方向に回動するとともに、回動規制部86によって静音カム85の回動が規制されても機構装着軸75は回転できるようになっている。押圧部85aは、カム本体部85bの外周面に後述する押圧部材91の突起部91bの間隔より広い押圧範囲で揺動爪82を押圧するように円弧状に形成されている。
第1クラッチ戻し機構11は、モータ4の逆転によりクラッチ切換機構8を介してクラッチ機構7をクラッチオフ状態からクラッチオン状態に戻すものである。第1クラッチ戻し機構11は、図5〜図8に示すように、爪車81と並べて機構装着軸75に装着され少なくともモータ4の逆転に応じて回転する押圧機構88と、クラッチ切換機構8とともに動作する連動機構89とを有している。
連結軸93は、側板16,17に回転自在に装着され、一端が固定フレーム20の外方に突出し他端が側板16の外方に突出する軸部材である。連結軸93の突出した両端には、第1及び第2レバー部材94,95を回転不能に装着するための互いに平行な面取り部93a,93bが形成されている
第1レバー部材94は、基端が連結軸93の固定フレーム20側の面取り部93aに回転不能に装着された部材である。第1レバー部材94の先端は、クラッチ切換機構8を構成するクラッチカム51の第3突出部56cの先端に回動自在かつ所定距離移動自在に係止されている。これにより、クラッチカム51の回動が第1クラッチ戻し機構11に伝達されるとともに、第1クラッチ戻し機構11の戻し動作がクラッチカム51に伝達されクラッチ切換機構8を動作させることができる。
第2クラッチ戻し機構12は、ハンドル1の糸巻取方向の回転に応じて、クラッチオフ位置に配置されたクラッチカム51をクラッチオン位置に戻してクラッチ機構7をクラッチオン状態に復帰させると共に、クラッチカム51によりクラッチ操作レバー50をクラッチオフ位置からクラッチオン位置に戻すものである。第2クラッチ戻し機構12は、前述した係合部材61と、ラチェット歯62aが外周に形成されたラチェットホイール62と、係合部材61を係合位置と非係合位置に向けて振り分けて付勢する第2トグルばね66とから構成されている。係合部材61は、前述したようにクラッチカム51の第2突出部56bに揺動自在に支持されており、その先端にラチェットホイール62のラチェット歯62aに係合する第1突起61aと、第1突起61aの図5左方に延びる第2突起61bとを有している。
〔クラッチ切換動作〕
次に、電動リールのクラッチ切換動作について説明する。
通常の状態では、クラッチヨーク52はコイルばね54によってピニオンギア軸方向内方に押されており、これによりピニオンギア35はクラッチオン位置に移動させられている。この状態では、ピニオンギア35の係合凹部35aと第2キャリア46の係合凸部46aとが噛み合ってクラッチオン状態となっている。
さらに、クラッチカム51がクラッチオフ位置に回動すると、第1クラッチ戻し機構11の連動機構89の進退部材96が、図9に示す係止位置から図10に示す押圧位置に進出する。進退部材96が押圧位置に進出すると、押圧部材91の突起部91bが押圧可能な位置に接触部96aが配置される。
仕掛けが所定の棚に配置されると、モータ4を逆転させるか、ハンドル1を糸巻取方向に回転させるか、又はクラッチ操作レバー50をクラッチオン位置に揺動させスプール3の糸繰り出しを停止する。自動棚停止モードのときには、モータ4の逆転によりスプール3の糸繰り出しが自動的に棚位置で停止する。
また、係合部材61が引っ張られると、係合部材61に連結されたクラッチカム51が図6時計回りに回動し、前述と同様にクラッチオン位置に戻る。これにより、ここでも、クラッチ操作レバー50を操作することなくクラッチ機構7をクラッチオフ状態からクラッチオン状態にすることができる。
クラッチオン状態で仕掛けに魚がかかると、ハンドル1又はモータ4の回転駆動によりスプール3を糸巻取方向に回転させ、釣り糸を巻き取る。
また、糸送りモードのようにクラッチオフ状態でモータ4が正転すると、やはり、静音カム85が同方向に回転して静音化を図ることができる。このとき、押圧部材91は、モータ4の逆転のみを伝達するローラクラッチ90を介して機構装着軸75に装着されているので、機構装着軸75の回転は押圧部材91に伝達されない。このため、クラッチオフ状態で進退部材96が押圧部材91に接触可能に近接して配置されていても、押圧部材91が進退部材96を押圧することがなく、それによる不具合は生じない。
次に、リール制御部100によって行われる具体的な制御処理を、図14以降の制御フローチャートに従って説明する。
電動リールに外部電源が接続されると、図14のステップS1において初期設定を行う。この初期設定ではスプール回転数の計数値をリセットしたり、各種の変数やフラグをリセットしたり、変速段を1速にしたりする。ステップS2では、電源電圧センサ106で検出された電源電圧PVを取り込む。ステップS3では、電源電圧PVが11ボルトより高いか否か、つまり、鉛蓄電池と異なる電源電圧が高い種類の蓄電池がリールに接続されたか否かを判断する。電源電圧PVが高い種類の電池(たとえば、リチウム電池やニッケル水素電池など)が接続された場合は、ステップS3からステップS4に移行してモータ逆転時のデューティ比DRを検出された電源電圧PVに応じて補正する。具体的には、基本のデューティ比DRに11を電源電圧PVで除算した値(11/PV)を乗算したものを新たなデューティ比DRにする。これにより、電源電圧PVが変動しても逆転時にモータ4に印加される電流値が変動しにくくなる。なお、この実施形態では、電源が接続される初期設定に続いて1回だけ電源電圧の判定を行っているが、電源接続後に複数回の判定を行ってもよい。
糸送りモードのときには、ステップS23からステップS26に移行する。ステップS26では、水深LXが6m以上か否かを判断する。糸送りモードでは、最初からモータ4を正転させるのではなく、釣り糸が確実に繰り出されていると判断できる水深まで釣り糸の繰り出しを待つ。水深LXが6m以上の場合には、ステップS27に移行してモータ4を正転させる。これにより、前述したように遊星歯車機構40とスプール3との摩擦が小さくなり、スプール3がより高速で糸繰り出し方向に回転する。水深LXが6m未満のときはステップS27をスキップする。
スプール3の回転が糸巻き取り方向と判断するとステップS21からステップS33に移行する。ステップS32では、スプールセンサ102の計数値が増加する毎にリール制御部100内に記憶されたデータを読み出し水深LXを算出する。この水深がステップS2の表示処理で表示される。ステップS34では、水深が船縁停止位置に一致したか否かを判断する。船縁停止位置まで巻き取っていない場合にはメインルーチンに戻る。船縁停止位置に到達するとステップS34からステップS35に移行する。ステップS35では、仕掛けが船縁にあることを報知するためにブザー103を鳴らす。ステップS36では、モータ4をオフする。これにより魚が釣れたときに取り込みやすい位置に魚が配置される。この船縁停止位置は、たとえば水深6m未満で所定時間以上スプール3が停止しているとセットされる。
さらに、押圧機構88の押圧部材91と出力軸30との間にローラクラッチ90を介装して出力軸30の正転を押圧部材91に伝達しないようにしたので、糸送りモードのときに、押圧部材91が連動機構89に接触しても押圧しなくなり、糸送りモードを円滑に実施できる。
(a)前記実施形態では、電動リールのスプール回転用のモータ4を逆転する前に正転させた。しかし、逆転前に正転させることなく逆転するようにしてもよい。この場合、モータとしてステッピングモータ等を用い、爪部81aが揺動爪82の係止位置から最も離れた位置となるようにモータを停止させるようにするのが好ましい。
(c)前記実施形態では、モータ4の正転時に爪制御機構を用いて第2ワンウェイクラッチ10の揺動爪82を押圧して静音化を図っているが、爪制御機構を設けなくてもよい。この場合、逆転前に正転させてもよいし、正転しなくてもよい。正転させる場合、爪車81の爪部81aを揺動爪82から確実に離れた位置に配置する制御を行うのが好ましい。また、正転させない場合、前述したように、爪部81aが揺動爪82の係止位置から最も離れた位置となるようにモータを停止させるようにするのが好ましい。
2 リール本体
3 スプール
4 モータ
7 クラッチ機構
8 クラッチ切換機構
9 第1ワンウェイクラッチ
10 第2ワンウェイクラッチ
11 第1クラッチ戻し機構
12 第2クラッチ戻し機構
30 出力軸
81 爪車
81a 爪部
82 揺動爪
84 爪制御機構
85 静音カム
86 回動規制機構
88 押圧機構
89 連動機構
91 押圧部材
91b 突起部
93 連結軸
94 第1レバー部材
95 第2レバー部材
96 進退部材
96a 接触部
98 水深表示部
100 リール制御部
Claims (11)
- 釣りに用いられる電動リールであって、
ハンドルを有するリール本体と、
前記リール本体に回転自在に支持された糸巻用のスプールと、
前記スプールを回転させるモータと、
前記モータ及び前記ハンドルの回転を前記スプールに伝達する回転伝達機構と、
前記回転伝達機構の途中に設けられ、前記スプールが自由回転可能状態となるクラッチオフ状態と、糸巻取可能状態となるクラッチオン状態とに切り換え可能なクラッチ機構と、
前記クラッチ機構を前記クラッチオフ状態と前記クラッチオン状態とに切り換えるクラッチ切換機構と、
前記モータの出力軸に回転不能に装着され外周に複数の爪部を有する爪車、及び前記爪車に対して接離しかつ前記爪車に向けて付勢される揺動爪を有し、前記揺動爪の先端が前記複数の爪部のいずれかに係止されて前記モータの糸繰り出し方向の逆転を所定角度領域毎に禁止可能なワンウェイクラッチと、
外周に径方向に突出しかつ周方向に間隔を隔てて配置された複数の突起部を有し前記爪車と並べて前記モータの出力軸に装着され少なくとも前記モータの前記所定角度領域内の逆転で前記爪車と共に回転する押圧部材を有する押圧機構、及び前記クラッチ切換機構が前記クラッチオフ状態に切り換えられると前記押圧機構による押圧が不能な第1位置から押圧が可能な第2位置に移動し、その状態で前記モータが前記所定角度領域内で逆転すると前記押圧機構により押圧されて前記押圧部材が接触不能な第1位置に戻るとともに前記クラッチ切換機構を介して前記クラッチ機構を前記クラッチオン状態にする連動機構を有する第1クラッチ戻し機構と
を備えた電動リール。 - 前記押圧部材の前記突起部の数は、前記爪部材の爪部の数より多い、請求項1に記載の電動リール。
- 前記スプールに巻き付けられる釣り糸の先端に装着される仕掛けの水深を前記スプールの回転に応じて算出する水深算出手段と、
前記水深算出手段の算出結果に応じて前記モータを逆転させるモータ制御手段と、
をさらに備える、請求項1又は2に記載の電動リール。 - 所定の水深を設定可能な水深設定手段をさらに備え、
前記モータ制御手段は、前記水深算出手段が算出した水深と前記水深設定手段で設定した水深とに関連して前記モータを逆転させる、請求項3に記載の電動リール。 - 前記連動機構が第1位置にあるとき、前記押圧部材は、前記モータが糸巻取方向に正転すると前記連動機構に接触して回転位相が位置決めされ、
前記モータ制御手段は、前記モータを前記逆転前に正転させて前記押圧部材を前記連動機構に接触させて前記押圧部材の回転位相を位置決めする、請求項1から4のいずれか1項に記載の電動リール。 - 前記押圧機構は、前記押圧部材と前記モータの出力軸との間に配置され、前記モータの逆転を前記押圧部材に伝達するローラクラッチをさらに有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の電動リール。
- 前記ワンウェイクラッチは、前記モータが糸巻取方向に正転すると前記爪車をかわす位置まで前記揺動爪を前記逆転許可位置側に揺動させる揺動爪制御機構をさらに有する、請求項1から6のいずれか1項に記載の電動リール。
- 前記揺動爪制御機構は、
前記モータの出力軸に回転自在に摩擦係合し、外周に前記押圧部材の突起部の間隔より広い押圧範囲で前記揺動爪を押圧する押圧部を有する回動部材と、
前記回動部材の回動範囲を、前記揺動爪が前記爪車に接触する位置より逆転方向下流側から上流側に向かって前記押圧範囲より広い範囲に規制する回動規制部とを有する、請求項7に記載の電動リール。 - 前記回動部材は、
外周に前記押圧部を有する部材本体部と、
前記部材本体部に回転不能に装着され、前記出力軸に摩擦係合する弾性部材とを有する、請求項8に記載の電動リール。 - 前記リール本体は、
間隔を隔てて配置され間に前記スプールが配置された第1及び第2側板と、前記両側板を連結する連結部とを有するフレームと、
前記第1側板の外方を覆う第1カバーと、前記第2側板の外方を覆いかつ前記ハンドルが装着された第2カバーとを有し、
前記クラッチ切換機構は、前記第2カバーと前記第2側板の間の空間に配置され、
前記連動機構は、
前記両側板を貫通して回動自在に装着された連結軸と、
前記連結軸の第2側板側の突出端に回転不能に装着され前記クラッチ切換機構に先端が連結されて前記クラッチ切換機構の切換動作に応じて揺動する第1レバー部材と、
前記連結軸の前記第1側板側の突出端に回転不能に装着された第2レバー部材と、
前記第1位置にある押圧部材が接触する接触部を有し、前記第2レバー部材の先端に連結され前記押圧部材に向けて進退する進退部材とを有する、請求項1から9のいずれか1項に記載の電動リール。 - 前記ハンドルの糸巻取方向の回転に連動して前記クラッチ切換機構を介して前記クラッチ機構をクラッチオフ状態からクラッチオン状態に戻す第2クラッチ戻し機構をさらに備える、請求項1から10のいずれか1項に記載の電動リール。
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