JP2006034039A - 電気車制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】主電動機駆動インバータの1パルスモードにおいて、車輪・レール間の接線力対応トルク推定遅れのため、粘着力の有効利用が図れなくなることがある。
【解決手段】インバータ1パルスモード中の空転・滑走検知時に、接線力対応トルクの推定値から演算したトルク指令値の最小値を所定期間指令し終わった時点で、動輪がまだ再粘着途中あるいは再粘着に向かうことがなかった場合に、それまでのトルク指令値よりさらに小さいトルクを指令して再粘着させ、空転・滑走検知時点で演算したトルク指令予定値を少し小さな値に修正したトルクをその後指令し、この修正トルクを指令している期間中の平均加速度・減速度から、それ以降の車両速度を演算し、この推定車両速度と動輪速度との差速度がある閾値以上になったときに空転・滑走を検知するようにして、空転・滑走速度が大きくならないようにしつつ、確実に再粘着させることができるようにする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電気車の良好な乗り心地を維持しつつ粘着力の有効利用を図った再粘着制御を実現する電気車制御装置に関するものである。
電気車は車輪・レール間の接線力(粘着力ともいう)によって加減速を行っているが、この接線力は、一般にすべり速度に対して図6に破線で示すような特性を有している。この接線力を軸重(車軸1軸当たりのレールに加わる垂直荷重)で割ったものを接線力係数、接線力係数の最大値を粘着係数という。
図示の如く、接線力の最大値を超えないトルクを主電動機で発生している場合は、空転・滑走は発生せず、接線力の最大値より左側の微小なすべり速度の粘着領域で電気車は走行する。もし最大値より大きなトルクを発生するとすべり速度は増大し、接線力が低下するのでますますすべり速度が増大する空転・滑走状態になるが、車輪およびレールが乾燥状態では主電動機で発生するトルクは接線力の最大値を超えないように車両の性能が設定されるので、空転・滑走は発生しない。
しかし、実線で示すように、レール面が雨などによって湿潤状態にある場合は粘着係数が低下して、接線力の最大値が車両の設定性能に対応した主電動機の発生トルクより小さくなる。この場合、すべり速度が増大して空転・滑走状態になり、そのまま放置するとこれに対応して接線力が低下し、車両の加速・減速に必要な加減速力がますます低下してしまうので、迅速に空転・滑走を検出し、主電動機が発生するトルクを低減して再粘着させることが必要になる。このようにトルクの制御を行って再粘着させる場合、小さなすべり速度に維持しつつ、主電動機の発生トルクが極力接線力の最大値近傍の値になるように制御することが、電気車の加減速性能を高める上で必要である。
このような再粘着制御の実現を目的とした方法として、主電動機の回転速度を主電動機に印加される電圧・電流から推定し、この推定速度情報と主電動機発生トルクの演算値を入力情報として、最小次元外乱オブザーバを用いて車輪・レール間の接線力に対応した主電動機トルクを制御周期毎に推定して、空転・滑走検知時の推定トルクを用いて主電動機の発生トルクを制御する方式が、提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
この制御方式によって、良好な乗り心地を保ちつつ、主電動機の発生トルクを極力接線力の最大値近傍に維持することができつつある。
しかし、インバータのパルスモードが1パルスモードになると、多パルスモードのときよりトルク応答速度が若干遅くなるために、トルクの推定に多パルスモード時より遅れが大きくなる。そのため、空転・滑走検知時の推定トルクをもとに動輪を再粘着させるために必要なトルク指令値の最小値を演算した場合、多パルスモードのときよりも推定トルクが若干大きめとなるため、演算したトルク指令値も大きめとなる。これによって、動輪を再粘着させるためにこのトルク指令値の最小値を所定の期間指令した場合、多パルスモードでは確実に再粘着させることができたものが、1パルスモードでは完全には再粘着させることができずまだ空転・滑走状態にある場合が発生する。そして、所定時間経過時点で、空転・滑走検知時に演算した再粘着後に指令するトルクを指令した場合、このトルク指令値も応答遅れのために若干大きくなることから、微小空転状態から徐々に空転速度が大きくなって、演算軸加速度がなかなか空転検知レベルに達せず、空転検知したときには多パルスモードのときに比べて空転速度が大きくなる事象が発生することがある。この事象を回避するため、空転・滑走を検知した場合に、動輪を再粘着させるために演算したトルク指令値の最小値を所定の期間指令した時点で、まだ完全には再粘着していないか最小値を指令し始めたときから全然再粘着に向かっていないことを検出したとき、それまで指令していた最小値よりさらに小さいトルクを所定時間経過後から指令して確実に再粘着するように再粘着促進制御を行うとともに、再粘着したことを検知した時点で、空転・滑走検知時に算出した再粘着した時点で指令する推定トルクに対応したトルクを若干小さくするように微調整したトルクを指令するようにして、1パルスモードにおいても確実に再粘着させることができるようにする再粘着促進制御が用いられる。しかし、このように確実に再粘着させるようにした場合であっても、上記のように微調整したトルクを所定の期間指令した後にトルク指令値を徐々に増大させる過程において、動輪の軸加速度がなかなか空転・滑走検知レベルに達しないために、動輪の空転・滑走速度が大きくなる場合があることである。
図5にこのような再粘着制御状態の例を示す。時刻tm0において空転を検出して、空転検出時の接線力に対応した推定トルクをもとに、再粘着させるためのトルク指令値の最小値Tau_c_min、再粘着後に指令するトルク指令値Tau_c_mu_cを計算して、トルク指令値の最小値Tau_c_minに向かって急速にトルクを引き下げ、このTau_c_minを期間T1の間指令した後の時刻tm0_1において、演算軸加速度の状態を調べる。図示の場合まだマイナスの値で再粘着途中であることを示しているので、今までのトルク指令値Tau_c_minにk1倍した(k1<1)
Tau_c_min×k1なるトルクを演算軸加速度が0またはプラスとなって再粘着が確認できるまで指令し続ける。そしてその後、再粘着後に指令するトルク指令値Tau_c_mu_cを微調整したTau_c_mu_c×k2なるトルク指令値(k2<1)を期間T2の間指令するようにして、粘着状態がT2の期間継続するようにする。そして、時刻tm1+T2において、粘着係数が増大している可能性があるので、トルク指令値を徐々に増大させる過程に入る。このように、確実に再粘着した状態から、トルク指令値を増大させる場合であっても、図示のように途中から徐々に空転速度が増大していくことがある。このとき、演算軸加速度がなかなか空転検知の閾値に達せず、どんどん空転速度が増大していく。そして空転速度が大きくなって軸加速度が急激に増大した時点で、初めて空転検知が行われる。そのときには空転速度が通常の空転時より大きいので、図示のように、何回かトルクの引き下げを繰り返して再粘着させることができるが、トルク引き下げの過程を繰り返すことによる台車振動の影響が演算軸加速度に若干重畳されるために、最終的に再粘着させることができた時点で指令するトルクがやや小さめになってしまう。このように、空転検知時の空転速度が大きくなっていることによる接線力の低下と、最終的に再粘着させることができた時点で指令するトルクがやや小さめになってしまうことによって、このような事象が発生した場合は、粘着力の有効利用の面ではやや不十分な状態となる。
この事象は1パルスモードにおいて頻繁に発生する訳ではなく、その時の粘着係数とトルク増大速度との関係で、ときどき見られる現象である。粘着力の有効利用のためには、このような事象の発生を極力抑制することが望まれる。
門脇悟志、大石潔、宮下一郎、保川忍著:「外乱オブザーバと速度センサレスベクトル制御による電気車(2M1C)の空転再粘着制御の一方式」、電気学会論文誌D、平成13年11月号、pp1192-1198
解決しようとする問題点は、インバータが1パルスモードにあるときは、主電動機のトルク応答速度が少し低下することから、空転・滑走検知時のトルクの推定に遅れが生じて、推定トルクをもとに演算された動輪を再粘着させるために必要なトルク指令値の最小値が若干大きくなることから、所定の時間この最小値を指令しても多パルスモードでは完全に再粘着できたものが、1パルスモードでは完全には再粘着させることができず、また、再粘着時点で推定トルクに対応したトルクを指令したとき、この推定トルクに対応したトルクも若干大きめとなることから微小空転・滑走が継続して、空転検知した時点では空転(・滑走)速度が多パルスモードのときより大きくなり、結果として車輪・レール間の接線力が低下する事象が発生するのを抑制するため、空転・滑走を検知した場合に、動輪を再粘着させるために演算したトルク指令値の最小値を所定の期間指令した時点で、まだ完全には再粘着していないか最小値を指令し始めたときから全然再粘着に向かっていないことを検出したとき、それまで指令していた最小値よりさらに小さいトルクを所定時間経過後から指令して確実に再粘着するように再粘着促進制御を行うとともに、再粘着したことを検知した時点で、空転・滑走検知時に算出した再粘着した時点で指令する推定トルクに対応したトルクを若干小さくするように微調整したトルクを指令するようにして、1パルスモードにおいても確実に再粘着させることができるようにした場合であっても、上記のように微調整したトルクを所定の期間指令した後にトルク指令値を徐々に増大させる過程において、動輪の軸加速度がなかなか空転・滑走検知レベルに達しないために、動輪の空転・滑走速度が大きくなる場合があることである。
本発明は上述した点に鑑み創案されたもので、その目的とするところは、この課題を解消するため、インバータが1パルスモードにあるときに空転・滑走を検知した場合、動輪を再粘着させるために演算したトルク指令値の最小値を所定の期間指令した時点で、まだ完全には再粘着していないか最小値を指令し始めたときから全然再粘着に向かっていないことを検出したとき、それまで指令していた最小値よりさらに小さいトルクを所定時間経過後から指令して確実に再粘着するように再粘着促進制御を行うとともに、再粘着したことを検知した時点で、空転・滑走検知時に算出した再粘着した時点で指令する推定トルクに対応したトルクを若干小さくするように微調整したトルクを指令するようにして確実に再粘着した状態に保ち、この微調整したトルク指令値を指令している期間の動軸の平均軸加速度を演算して、この平均軸加速度を用いて、微調整したトルク指令値を所定の期間指令し終わった後のトルク指令値を徐々に増大させる期間中における車両速度を推定し、動輪速度と推定車両速度との速度差が所定の値以上になった時点において、演算軸加速度が空転・滑走検知の閾値に達していなくても、空転・滑走検知を行うことによって、1パルスモードにおけるトルク指令値を徐々に増大させる過程にあっても、空転・滑走速度が大きくなる事象の発生を回避して、確実に再粘着させることができるようにして、粘着力の有効利用可能な再粘着制御法を具備した電気車制御装置を提供することにある。
その目的を達成するための手段は、
1)請求項1において、
オブザーバなどの手法を用いて空転・滑走を検出したときの車輪・レール間の接線力に対応した主電動機軸上で見たトルクを推定し、前記推定トルクをもとに空転・滑走を検知した場合に空転・滑走している動輪を再粘着させるに必要なトルク指令値の最小値Tau_c_minを演算して、前記トルク指令値の最小値Tau_c_minを所定の期間T1の間指令し、前記所定の期間T1経過後に、前記推定トルクより僅かに小さいトルクTau_c_mu_cへ向かってトルク指令値を速やかに増大させ、前記推定トルクより僅かに小さいトルクTau_c_mu_cにトルク指令値が達した時点から一定の期間T2の間Tau_c_mu_cなるトルクを指令し続けた後、前記期間T2の間に空転・滑走を検知することがない場合に、一定の期間T2経過後に徐々にトルク指令値を増大するようにトルク制御を行うようにした再粘着制御機能を有するインバータ制御車両を制御する電気車制御装置において、
主電動機駆動用インバータが1パルスモードであるときに空転・滑走を検知した場合に、前記トルク指令値の最小値Tau_c_minを前記所定の期間T1指令した時点において、空転を検知した場合にあっては、動輪の加速度がマイナスの値にある場合に、また滑走を検知した場合にあっては動輪の加速度がプラスの値にある場合に、それまで指令していた前記トルク指令値の最小値Tau_c_minのk1倍のトルクを前記所定の期間T1経過した時点以降指令するようにし、空転を検知した場合にあっては動輪の加速度がゼロかプラスの値になるまで、また滑走を検知した場合にあっては動輪の速度がゼロかマイナスの値になるまで、前記トルク指令値の最小値Tau_c_minのk1倍のトルクを指令し続け、空転を検知した場合にあっては動輪の加速度がゼロかプラスの値になった時点から、また滑走を検知した場合にあっては、動輪の加速度がゼロかマイナスの値になった時点から、トルク指令値を前記Tau_c_mu_cのk2倍したトルクへ向かってトルク指令値を速やかに増大させ、前記Tau_c_mu_cのk2倍したトルクにトルク指令値が達した時点から一定期間T2の間前記Tau_c_mu_cのk2倍したトルクを指令し続けるようにした電気車制御装置において、
前記Tau_c_mu_cのk2倍したトルクにトルク指令値が達した時点の速度と一定期間T2の間前記Tau_c_mu_cのk2倍したトルクを指令し終わった時点における速度から、前記期間T2の間の平均加速度を演算し、前記平均加速度を用いて前記期間T2が終了した時点以降において推定車両速度を演算し、動輪速度と前記推定速度との差分を演算し、前記差分が予め定めた閾値以上になった場合に、空転あるいは滑走の発生を検知して、前記再粘着制御に移行することを特徴とする電気車制御装置である。
2)請求項2において、
オブザーバなどの手法を用いて空転・滑走を検出したときの車輪・レール間の接線力に対応した主電動機軸上で見たトルクを推定し、前記推定トルクをもとに空転・滑走を検知した場合に空転・滑走している動輪を再粘着させるに必要なトルク指令値の最小値Tau_c_minを演算して、前記トルク指令値の最小値Tau_c_minを所定の期間T1の間指令し、前記所定の期間T1経過後に、前記推定トルクより僅かに小さいトルクTau_c_mu_cへ向かってトルク指令値を速やかに増大させ、前記推定トルクより僅かに小さいトルクTau_c_mu_cにトルク指令値が達した時点から一定の期間T2の間Tau_c_mu_cなるトルクを指令し続けた後、前記期間T2の間に空転・滑走を検知することがない場合に、一定の期間T2経過後に徐々にトルク指令値を増大するようにトルク制御を行うようにした再粘着制御機能を有するインバータ制御車両を制御する電気車制御装置において、
主電動機駆動用インバータが1パルスモードであるときに空転・滑走を検知した場合に、前記トルク指令値の最小値Tau_c_minを前記所定の期間T1指令し終わった時点において、空転を検知した場合にあっては動輪の加速度が前記期間T1の間一度もマイナスの値になることなくプラスの値である場合に、また滑走を検知した場合にあっては動輪の加速度が前記期間T1の間一度もプラスの値になることなくマイナスの値である場合に、それまで指令していた前記トルク指令値の最小値Tau_c_minのn1倍のトルクを前記所定の期間T1経過した時点以降指令するようにし、空転を検知した場合にあっては動輪の加速度が一旦はマイナスの値になった後にゼロかプラスの値になるまで、また滑走を検知した場合にあっては動輪の加速度が一旦はプラスの値になった後にゼロかマイナスの値になるまで、前記トルク指令値の最小値Tau_c_minのn1倍のトルクを指令し続け、空転を検知した場合にあっては動輪の加速度がゼロかプラスの値になった時点から、また滑走を検知した場合にあっては、動輪の加速度がゼロかマイナスの値になった時点から、トルク指令値を前記Tau_c_mu_cのn2倍したトルクへ向かってトルク指令値を速やかに増大させ、前記Tau_c_mu_cのn2倍したトルクにトルク指令値が達した時点から一定期間T2の間前記Tau_c_mu_cのn2倍したトルクを指令し続けるようにした電気車制御装置において、
前記Tau_c_mu_cのn2倍したトルクにトルク指令値が達した時点の速度と一定期間T2の間前記Tau_c_mu_cのn2倍したトルクを指令し終わった時点における速度から、前記期間T2の間の平均加速度を演算し、前記平均加速度を用いて前記期間T2が終了した時点以降において推定車両速度を演算し、動輪速度と前記推定速度との差分を演算し、前記差分が予め定めた閾値以上になった場合に、空転あるいは滑走の発生を検知して、前記再粘着制御に移行することを特徴とする電気車制御装置である。
本発明の電気車制御装置では、インバータが1パルスモードにある場合、空転・滑走検知時の接線力に対応した推定トルクをもとに動輪を再粘着させるための指令トルクの最小値を演算して、このトルクの最小値を所定期間指令した時点で動輪が完全には再粘着していないことを検出した場合に、それまで指令していたトルクよりもう少し小さいトルクをその時点以降指令して完全に再粘着させるようにして、再粘着したと判断した時点以降、空転・滑走検知時の接線力に対応した推定トルクをもとに算定した再粘着時点で指令する予定のトルク指令値を少し小さくなるように微調整した粘着限界トルクより若干小さいトルクを指令するようにすることで、粘着限界トルクに近いトルクを指令しつつ確実に再粘着させることができることから、粘着限界トルクに近いトルクを指令している期間中の動輪の平均加速度が車両の加速度を表していることを利用して、粘着限界トルクに近いトルクを指令する期間が終了した時点以降の車両速度を推定し、この推定車両速度が実際の車両速度に近い値を示すことから、その後トルク指令値を徐々に増大させる過程における動輪速度と推定車両速度との差分を求めて、動輪の演算軸加速度が空転・滑走検知の閾値に達していなくても、この差分が予め定めた閾値以上になったことをもって空転・滑走の発生を検知できるので、微小空転・滑走が継続することに起因する空転・滑走速度の増大とこれに起因する粘着力の有効利用が図れない事象の発生を回避でき、粘着力の有効利用が実現できる。
インバータのトルク応答性が少し遅くなる1パルスモードにおいて、特にトルク指令値を徐々に増大させる過程にあっても空転・滑走速度が大きくなることのない再粘着制御を実現する目的に対して、空転・滑走検知時に動輪を再粘着させるためにトルク指令値を所定期間引き下げが終了した時点で再粘着しているか否かを判断して、再粘着していないときには指令トルクをさらに少し下げて指令して確実に再粘着させるようにして、再粘着した時点で指令する予定であったトルク指令値を若干小さくなるように微調整して、再粘着後にほぼ粘着限界トルクに対応したトルクを指令するようにし、微調整したトルクを指令している期間中の動輪の平均加速度を求め、この平均加速度を用いて、その後トルク指令値を徐々に増大させる過程における車両速度の推定値を演算し、演算軸加速度が空転・滑走検知の閾値に達していない場合でも、動輪速度とこの推定車両速度との偏差がある閾値以上になったことで空転・滑走の発生を早期に検知することで、実現した。
図1は本発明の請求項1に記載の一実施例を示すブロック図、図2は本発明の請求項2に記載の一実施例を示すブロック図、図3はインバータが1パルスモードにおける請求項1に記載の一実施例によって空転速度が大となるのを抑制できることを示す再粘着制御状態の例、図4はインバータが1パルスモードにおける請求項2に記載の一実施例によって空転速度が大となるのを抑制できることを示す再粘着制御状態の例、図5は1パルスモードにおける徐々にトルクを増大させる過程において空転速度が大となる場合の再粘着制御状態を示す例、図6は接線力係数あるいは接線力のすべり速度に対する一般的な特性を示す図である。
図1において、図示しない主電動機電圧・電流検出器によって検出した電圧E・電流IMを用いて公知の速度推定器3において主電動機電流の制御周期毎に推定した主電動機回転速度の推定値ωmest、前記主電動機電圧・電流検出器によって検出した電圧E・電流IMを用いて図示しない主電動機発生トルク演算器にて演算した主電動機発生トルクの演算値Trqmが公知の最小次元外乱オブザーバ1に入力される。そして、公知の最小次元外乱オブザーバ1において、主電動機電流の制御周期毎に演算された主電動機回転速度の推定値ωmest、前記主電動機発生トルクの演算値Trqmを用いて、主電動機電流の制御周期毎に車輪・レール間の接線力に対応した主電動機軸上の推定トルクτestを演算し、主電動機トルク指令値発生器2に出力する。また、主電動機回転速度の推定値ωmestは軸加速度演算器4に入力され、軸加速度演算器4において演算軸加速度ωmdestを算出して空転検出器5に出力する。
空転検出器5においては演算軸加速度ωmdestが空転検知レベル以上であるか否かの判定を行い、空転検知レベル以上である場合には、空転検知信号slip1をオンにして主電動機トルク指令値発生器2に出力する。また、空転検出器5には、主電動機トルク指令値発生器2から、推定車両速度Vbd_estと推定車両速度Vbd_estが有効か否かを示す推定車両速度有効信号signal_vldが出力される。そして、空転検出器5では、推定車両速度有効信号signal_vldがオンである、すなわち推定車両速度Vbd_estが有効である(、推定車両速度Vbd_estが適正な値であることを意味する)期間中であれば、主電動機回転速度の推定値ωmestと推定車両速度Vbd_estとの差分ΔVを演算し、この差分ΔVが所定の閾値δVslipより小さい場合にはslip2をオフとして、また差分ΔVが所定の閾値δVslipより大きい場合には、たとえ演算軸加速度ωmdestが空転・滑走検知レベルより低い場合であっても、slip2をオンにして、主電動機トルク指令値発生器2に出力する。主電動機トルク指令値発生器2には、主電動機回転速度の推定値ωmestも入力される。主電動機トルク指令値発生器2では、空転検知信号slip1とslip2のいずれもがオフすなわち空転が発生していない場合には、そのときの主電動機回転速度の推定値ωmestをもとに車両の設定性能に対応したトルクをトルク指令値Trqcとして図示しない主電動機トルク制御器に対して出力している。そして、空転検知信号slip1あるいはslip2のいずれかがオンになった、すなわち空転を検知した場合は、車輪・レール間の接線力に対応した主電動機軸上の推定トルクτestをもとに、動輪を空転している状態から再粘着状態に戻すためのトルク指令の下限値Tau_c_minと、再粘着した時点で指令するトルクTau_c_mu_cを演算する。再粘着した時点で指令するトルクTau_c_mu_cは、空転検知時の推定トルクτestより僅かに小さいトルクで、このTau_c_mu_cを指令したときにすぐに空転を検知する状態となることがないような値に選定される。そして、Tau_c_minおよびTau_c_mu_cを演算した後、図3に示すように、トルク指令の下限値Tau_c_minに向けて、トルク指令値を急速に低減し、Tau_c_minに達した後期間T1の間このTau_c_minをトルク指令値として保持する(時刻tm0_1まで)。そして、時刻tm0_1において、Tau_c_minを期間T1の間指令していたときの演算軸加速度が、一旦マイナスの値になって空転していた動輪が再粘着に向かって動輪速度が減少し、その後再粘着したために演算軸加速度がゼロあるいはプラスの値になっているのか、マイナスの値であるのかの判定を行う。Tau_c_minのトルク指令を行っている期間において、一旦演算軸加速度がマイナスの値になった後T1の期間が終了した時刻tm0_1において、演算軸加速度がゼロあるいはプラスの値である場合には、時刻tm0_1以降、破線で示したように空転検知したときに演算した再粘着したときに指令するトルク指令値Tau_c_mu_cに向けてトルクを増大させ、Tau_c_mu_cに達した後はこの値を期間T2の間保持し、その後徐々にトルクを増大させる制御を行う。もしも、時刻tm0_1の時点で演算軸加速度がまだマイナスの値である場合は、この時点以降Tau_c_min×k1なるトルク(ここにk1<1)にトルク指令値を引き下げ、その値を演算軸加速度がゼロあるいはプラスの値になるまで指令して再粘着を促進させる制御を行う。ここにk1は確実に再粘着させることのできる範囲内で、できるだけ1に近い値として、さらなるトルクの絞り込みに伴う衝動の発生を回避できるように設定する。
演算軸加速度がゼロあるいはプラスの値になった時点以降Tau_c_mu_c×k2なるトルク(ここにk2<1)に向けてトルクを増大し、この値に達した後はこの値のトルクを期間T2の間維持し、その後徐々にトルクを増大させていく。k2もできるだけ1に近い値とする。すなわち、上記のような再粘着促進制御を行うことになるのは、パルスモードが1パルスモードとなってトルク応答がそれまでの多パルスモード時より少し遅くなるため、空転検知時の推定トルクが若干大きめになることでTau_c_minも若干大きいことから再粘着が遅れている訳で、したがって再粘着した時点で指令するトルクTau_c_mu_cも若干大きめになっているので、この値を微調整して若干小さくして、Tau_c_mu_cを指令した時点以降すぐに微小空転状態となることがないようにする必要があるからである。
そして、上記のような再粘着促進制御が終了した時点換言すれば微調整したトルク指令値Tau_c_mu_c×k2の指令を開始した時点tm1における主電動機回転速度の推定値V1と、微調整したトルク指令値Tau_c_mu_c×k2を所定の期間T2だけ指令し終わった時点tm1+T2における主電動機回転速度の推定値V2から、この期間T2における主電動機の平均加速度αadを演算する。この期間T2においては、動輪はトルク指令値が微調整されて出力されていることから完全に粘着状態にあるので、平均加速度αadは車両の加速度と同じと見なすことができる。そこでこの平均加速度αadを用いて、時点tm1+T2以降、車両の加速度は平均加速度αadが維持されていると仮定して、推定車両速度Vbd_estを演算する。この推定車両速度Vbd_estの演算を開始したときから、推定車両速度が正しい値を有していることから、推定車両速度有効信号signal_vldをオン状態にする(この時点tm1+T2以前においては、signal_vldはオフ状態)。このようにして演算された推定車両速度Vbd_estと推定車両速度有効信号signal_vldを、図1に示す主電動機トルク指令値発生器2から空転検知器5に対して出力されるのである。空転検知器5において、第2の空転検知信号であるslip2をオンにするか否かの判定に用いる閾値δVslipは、誤検知を起こさない範囲でできるだけ小さな値にセットされる。
このように、動輪が粘着している状態における車両の加速度を用いて車両速度を推定し、この推定車両速度と動輪速度との速度差によって空転を検知することで、演算軸加速度による空転検知が迅速にできない場合でも、空転速度が増大しない時点で迅速に空転を検知できるようになり、1パルスモードにおいても粘着力の有効利用を確実に図ることができるようになる。
図2は本発明の請求項2に記載の一実施例を示すブロック図である。図1と異なるところは、主電動機トルク指令値発生器2におけるトルク指令値微調整の方法であり、それ以外は図1と同じである。
図2において、図示しない主電動機電圧・電流検出器によって検出した電圧E・電流IMを用いて公知の速度推定器3において主電動機電流の制御周期毎に推定した主電動機回転速度の推定値ωmest、前記主電動機電圧・電流検出器によって検出した電圧E・電流IMを用いて図示しない主電動機発生トルク演算器にて演算した主電動機発生トルクの演算値Trqmが公知の最小次元外乱オブザーバ1に入力される。そして、公知の最小次元外乱オブザーバ1において、主電動機電流の制御周期毎に演算された主電動機回転速度の推定値ωmest、前記主電動機発生トルクの演算値Trqmを用いて、主電動機電流の制御周期毎に車輪・レール間の接線力に対応した主電動機軸上の推定トルクτestを演算し、主電動機トルク指令値発生器2に出力する。また、主電動機回転速度の推定値ωmestは軸加速度演算器4に入力され、軸加速度演算器4において演算軸加速度ωmdestを算出して空転検出器5に出力する。
空転検出器5においては演算軸加速度ωmdestが空転検知レベル以上であるか否かの判定を行い、空転検知レベル以上である場合には、空転検知信号slip1をオンにして主電動機トルク指令値発生器2に出力する。また、空転検出器5には、主電動機トルク指令値発生器2から、推定車両速度Vbd_estと推定車両速度Vbd_estが有効か否かを示す推定車両速度有効信号signal_vldが出力される。そして、空転検出器5では、推定車両速度Vbd_estがオンである、すなわち推定車両速度Vbd_estが有効である(、推定車両速度Vbd_estが適正な値であることを意味する)期間中であれば、主電動機回転速度の推定値ωmestと推定車両速度Vbd_estとの差分ΔVを演算し、この差分ΔVが所定の閾値δVslipより小さい場合にはslip2をオフとして、また差分ΔVが所定の閾値δVslipより大きい場合には、たとえ演算軸加速度ωmdestが空転・滑走検知レベルより低い場合であっても、slip2をオンにして、主電動機トルク指令値発生器2に出力する。主電動機トルク指令値発生器2には、主電動機回転速度の推定値ωmestも入力される。主電動機トルク指令値発生器2では、空転検知信号slip1とslip2のいずれもがオフすなわち空転が発生していない場合には、そのときの主電動機回転速度の推定値ωmestをもとに車両の設定性能に対応したトルクをトルク指令値Trqcとして図示しない主電動機トルク制御器に対して出力している。そして、空転検知信号slip1あるいはslip2のいずれかがオンになった、すなわち空転を検知した場合は、車輪・レール間の接線力に対応した主電動機軸上の推定トルクτestをもとに、動輪を空転している状態から再粘着状態に戻すためのトルク指令の下限値Tau_c_minと、再粘着した時点で指令するトルクTau_c_mu_cを演算する。再粘着した時点で指令するトルクTau_c_mu_cは、空転検知時の推定トルクτestより僅かに小さいトルクで、このTau_c_mu_cを指令したときにすぐに空転を検知する状態となることがないような値に選定される。そして、Tau_c_minおよびTau_c_mu_cを演算した後、図4に示すように、トルク指令の下限値Tau_c_minに向けて、トルク指令値を急速に低減し、Tau_c_minに達した後期間T1の間このTau_c_minをトルク指令値として保持する(時刻tm0_1まで)。そして、Tau_c_minを指令している間一旦動輪の演算軸加速度がマイナスとなり、時刻tm0_1において演算軸加速度がゼロあるいはプラスの値になっている場合には、時刻tm1以降、破線で示したように空転検知したときに演算した再粘着したときに指令するトルク指令値Tau_c_mu_cに向けてトルクを増大させ、Tau_c_mu_cに達した後はこの値を期間T2の間保持し、その後徐々にトルクを増大させる制御を行う。
もしも、Tau_c_minを指令し始めてから時刻tm0_1の時点になるまで、演算軸加速度が一度もマイナスの値になることなくプラスの値のままである場合は、この時点以降Tau_c_min×n1なるトルク(ここにn1<1)にトルク指令値を引き下げ、その値を演算軸加速度が一旦はマイナスの値になった後ゼロあるいはプラスの値になる時刻tm0_2まで指令して再粘着を促進させる制御を行う。ここにn1は確実に再粘着させることのできる範囲内で、できるだけ1に近い値として、さらなるトルクの絞り込みに伴う衝動の発生を回避できるように設定する必要があるが、この場合はTau_c_minを指令しても一度も演算軸加速度がマイナスにはならず空転速度が減少しない状態であり、再粘着させるためには、実施例1の場合よりもっとトルクを引き下げなければならないことを意味しているので、実施例1におけるk1よりは小さい値とする。すなわち、n1<k1<1とすることが必要である。
この時点tm0_2以降Tau_c_mu_c×n2なるトルク(ここにn2<1)に向けてトルクを増大し、この値に達した後はこの値のトルクを期間T2の間維持し、その後徐々にトルクを増大させていく。n2もできるだけ1に近い値とする。しかしながら、この場合はTau_c_minを指令しても一度も演算軸加速度がマイナスにはならず空転速度が減少しない状態であったことから、空転検知時の推定トルクτestは実施例1よりはもっと大きめに推定されていることを意味しており、Tau_c_mu_c×n2を指令した時点ですぐに空転状態となるのを回避するためには、実施例1の場合よりもっとトルクを引き下げなければならないことを意味している。そのため、n2はn2<k2<1となるように設定する必要がある。
そして、上記のような再粘着促進制御が終了した時点換言すれば微調整したトルク指令値Tau_c_mu_c×n2の指令を開始した時点tm1における主電動機回転速度の推定値V1と、微調整したトルク指令値Tau_c_mu_c×n2を所定の期間T2だけ指令し終わった時点tm1+T2における主電動機回転速度の推定値V2から、この期間T2における主電動機の平均加速度αadを演算する。この期間T2においては、動輪はトルク指令値が微調整されて出力されていることから完全に粘着状態にあるので、平均加速度αadは車両の加速度と同じと見なすことができる。そこでこの平均加速度αadを用いて、時点tm1+T2以降、車両の加速度は平均加速度αadが維持されていると仮定して、推定車両速度Vbd_estを演算する。この推定車両速度Vbd_estの演算を開始したときから、推定車両速度が正しい値を有していることから、推定車両速度有効信号signal_vldをオン状態にする(この時点tm1+T2以前においては、signal_vldはオフ状態)。このようにして演算された推定車両速度Vbd_estと推定車両速度有効信号signal_vldを、図2に示す主電動機トルク指令値発生器2から空転検知器5に対して出力されるのである。空転検知器5において、第2の空転検知信号であるslip2をオンにするか否かの判定に用いる閾値δVslipは、誤検知を起こさない範囲でできるだけ小さな値にセットされる。
このように、動輪が粘着している状態における車両の加速度を用いて車両速度を推定し、この推定車両速度と動輪速度との速度差によって空転を検知することで、演算軸加速度による空転検知が迅速にできない場合でも、空転速度が増大しない時点で迅速に空転を検知できるようになり、1パルスモードにおいても粘着力の有効利用を確実に図ることができるようになる。
なお、請求項1および2の実施例の説明では、空転検知時についてのみ説明したが、滑走検知時については、トルク指令の下限値Tau_c_minを期間T1の間指令し終わった時点tm0_1における、再粘着しているか否かの判定条件が異なるのみで、それ以外は空転検知時と同じである。すなわち、実施例1における時刻tm0_1における判定条件が、Tau_c_minなるトルクを指令している期間T1の間に一旦は演算軸加速度がプラスの値となった後時刻tm0_1においてこれがゼロあるいはマイナスの値である場合には、再粘着していると判断して、この時点以降Tau_c_mu_cに向けてトルクを増大させる制御に移行する。また、一旦は演算軸加速度がプラスの値となった後時刻tm0_1においてもこれがまだプラスの値である場合には、Tau_c_min×k1なるトルクを指令して演算軸加速度がゼロあるいはマイナスの値となるのを待ち、演算軸加速度がゼロあるいはマイナスの値となった時点から、Tau_c_mu_c×k2に向けてトルクを増大させる制御に移行する。そして、Tau_c_mu_c×k2に達した後このトルク指令値に期間T2の間維持しているときの平均加速度(ブレーキであるので実際には減速度となる)の算出と、それを用いた推定車両速度の演算方法は空転の場合と同じであり、動輪速度と推定車両速度との速度差ΔVは、空転時はΔV=動輪速度−推定車両速度 であるのに対して、ΔV=推定車両速度−動輪速度 となる点が違うのみであり、滑走検知の条件はΔV≧δVslipで空転の場合と同じである。
また、実施例2においては、時刻tm0_1における判定条件が、Tau_c_minなるトルクを指令している期間T1の間に一度も演算軸加速度がプラスの値とならずにマイナスの値であり続けた場合、Tau_c_min×n1なるトルクを指令して演算軸加速度がゼロあるいはマイナスの値となるのを待ち、演算軸加速度がゼロあるいはマイナスの値となった時点から、Tau_c_mu_c×n2に向けてトルクを増大させる制御に移行する。そして、Tau_c_mu_c×n2に達した後このトルク指令値に期間T2の間維持しているときの平均加速度(ブレーキであるので実際には減速度となる)の算出と、それを用いた推定車両速度の演算方法は空転の場合と同じであり、動輪速度と推定車両速度との速度差ΔVは、空転時はΔV=動輪速度−推定車両速度 であるのに対して、ΔV=推定車両速度−動輪速度 となる点が違うのみであり、滑走検知の条件はΔV≧δVslipで空転の場合と同じである。
本発明で用いている、空転滑走検知時点でのトルク引き下げ後の再粘着しているか否かの判定に基づいて、その後のトルク指令値の微調整によって確実に再粘着させる方法および、確実に再粘着している間の動輪の平均加速度から推定車両速度を演算して、動輪速度と推定車両速度との速度差によって空転・滑走を検知する方法は、外乱オブザーバによる接線力推定を用いたインバータの1パルスモードにおける空転滑走検知時の再粘着制御に限定することなく、外乱オブザーバによる接線力推定を用いた他の鉄道車両用の推進装置にも適用できる。
本発明の請求項1に記載の実施例を示すブロック図である。 本発明の請求項2に記載の実施例を示すブロック図である。 インバータが1パルスモードにおける請求項1に記載の一実施例によって空転速度が大となるのを抑制できることを示す再粘着制御状態の例を示す図である。 インバータが1パルスモードにおける請求項2に記載の一実施例によって空転速度が大となるのを抑制できることを示す再粘着制御状態の例を示す図である。 1パルスモードにおける徐々にトルクを増大させる過程において空転速度が大となる場合の再粘着制御状態の例を示す図である。 接線力係数あるいは接線力のすべり速度に対する一般的な特性図である。
符号の説明
1 最小次元外乱オブザーバ
2 主電動機トルク指令値発生器
3 速度推定器
4 軸加速度演算器
5 空転検知器
E 電圧
IM 電流
Trqm 主電動機発生トルクの演算値
Trqc トルク指令値
τest 車輪・レール間の接線力に対応した主電動機軸上の推定トルク
ωmest 主電動機回転速度の推定値
ωmdest 演算軸加速度
slip1 第一の空転検知信号
slip2 第二の空転検知信号

Claims (2)

  1. オブザーバなどの手法を用いて空転・滑走を検出したときの車輪・レール間の接線力に対応した主電動機軸上で見たトルクを推定し、前記推定トルクをもとに空転・滑走を検知した場合に空転・滑走している動輪を再粘着させるに必要なトルク指令値の最小値Tau_c_minを演算して、前記トルク指令値の最小値Tau_c_minを所定の期間T1の間指令し、前記所定の期間T1経過後に、前記推定トルクより僅かに小さいトルクTau_c_mu_cへ向かってトルク指令値を速やかに増大させ、前記推定トルクより僅かに小さいトルクTau_c_mu_cにトルク指令値が達した時点から一定の期間T2の間Tau_c_mu_cなるトルクを指令し続けた後、前記期間T2の間に空転・滑走を検知することがない場合に、一定の期間T2経過後に徐々にトルク指令値を増大するようにトルク制御を行うようにした再粘着制御機能を有するインバータ制御車両を制御する電気車制御装置において、
    主電動機駆動用インバータが1パルスモードであるときに空転・滑走を検知した場合に、前記トルク指令値の最小値Tau_c_minを前記所定の期間T1指令した時点において、空転を検知した場合にあっては動輪の加速度がマイナスの値にある場合に、また滑走を検知した場合にあっては動輪の加速度がプラスの値にある場合に、それまで指令していた前記トルク指令値の最小値Tau_c_minのk1倍のトルクを前記所定の期間T1経過した時点以降指令するようにし、空転を検知した場合にあっては動輪の加速度がゼロかプラスの値になるまで、また滑走を検知した場合にあっては動輪の加速度がゼロかマイナスの値になるまで、前記トルク指令値の最小値Tau_c_minのk1倍のトルクを指令し続け、空転を検知した場合にあっては動輪の加速度がゼロかプラスの値になった時点から、また滑走を検知した場合にあっては動輪の加速度がゼロかマイナスの値になった時点から、トルク指令値を前記Tau_c_mu_cのk2倍したトルクへ向かってトルク指令値を速やかに増大させ、前記Tau_c_mu_cのk2倍したトルクにトルク指令値が達した時点から一定期間T2の間前記Tau_c_mu_cのk2倍したトルクを指令し続けるようにした電気車制御装置において、
    前記Tau_c_mu_cのk2倍したトルクにトルク指令値が達した時点の速度と一定期間T2の間前記Tau_c_mu_cのk2倍したトルクを指令し終わった時点における速度から、前記期間T2の間の平均加速度を演算し、前記平均加速度を用いて前記期間T2が終了した時点以降において推定車両速度を演算し、動輪速度と前記推定車両速度との差分を演算し、前記差分が予め定めた閾値以上になった場合に、空転あるいは滑走の発生を検知して、前記再粘着制御に移行することを特徴とする電気車制御装置。
  2. オブザーバなどの手法を用いて空転・滑走を検出したときの車輪・レール間の接線力に対応した主電動機軸上で見たトルクを推定し、前記推定トルクをもとに空転・滑走を検知した場合に空転・滑走している動輪を再粘着させるに必要なトルク指令値の最小値Tau_c_minを演算して、前記トルク指令値の最小値Tau_c_minを所定の期間T1の間指令し、前記所定の期間T1経過後に、前記推定トルクより僅かに小さいトルクTau_c_mu_cへ向かってトルク指令値を速やかに増大させ、前記推定トルクより僅かに小さいトルクTau_c_mu_cにトルク指令値が達した時点から一定の期間T2の間Tau_c_mu_cなるトルクを指令し続けた後、前記期間T2の間に空転・滑走を検知することがない場合に、一定の期間T2経過後に徐々にトルク指令値を増大するようにトルク制御を行うようにした再粘着制御機能を有するインバータ制御車両を制御する電気車制御装置において、
    主電動機駆動用インバータが1パルスモードであるときに空転・滑走を検知した場合に、前記トルク指令値の最小値Tau_c_minを前記所定の期間T1指令した時点において、空転を検知した場合にあっては動輪の加速度が前記期間T1の間一度もマイナスの値になることなくプラスの値である場合に、また滑走を検知した場合にあっては動輪の加速度が前記期間T1の間一度もプラスの値になることなくマイナスの値である場合に、それまで指令していた前記トルク指令値の最小値Tau_c_minのn1倍のトルクを前記所定の期間T1経過した時点以降指令するようにし、空転を検知した場合にあっては動輪の加速度が一旦はマイナスの値になった後にゼロかプラスの値になるまで、また滑走を検知した場合にあっては動輪の加速度が一旦はプラスの値になった後にゼロかマイナスの値になるまで、前記トルク指令値の最小値Tau_c_minのn1倍のトルクを指令し続け、空転を検知した場合にあっては動輪の加速度がゼロかプラスの値になった時点から、また滑走を検知した場合にあっては動輪の加速度がゼロかマイナスの値になった時点から、トルク指令値を前記Tau_c_mu_cのn2倍したトルクへ向かってトルク指令値を速やかに増大させ、前記Tau_c_mu_cのn2倍したトルクにトルク指令値が達した時点から一定期間T2の間前記Tau_c_mu_cのn2倍したトルクを指令し続けるようにした電気車制御装置において、
    前記Tau_c_mu_cのn2倍したトルクにトルク指令値が達した時点の速度と一定期間T2の間前記Tau_c_mu_cのn2倍したトルクを指令し終わった時点における速度から、前記期間T2の間の平均加速度を演算し、前記平均加速度を用いて前記期間T2が終了した時点以降において推定車両速度を演算し、動輪速度と前記推定車両速度との差分を演算し、前記差分が予め定めた閾値以上になった場合に、空転あるいは滑走の発生を検知して、前記再粘着制御機能に移行することを特徴とする電気車制御装置。
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