以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係る照明装置1の外観の一例を示す斜視図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係る放電灯点灯装置2の構成の一例を示す回路図である。図1に示す照明装置1は、図略の放電灯点灯装置2と、放電灯点灯装置2を収容する筐体3と、放電灯FLを放電灯点灯装置2に接続するためのソケット4とを備えている。
図2に示す放電灯点灯装置2は、例えば商用交流電源を整流、平滑した直流電源Eに、放電灯点灯手段としてのハーフブリッジ型のインバータ回路5が接続されている。このインバータ回路5にはトランジスタQ1,Q2が直列に接続され、このトランジスタQ2のソース、ドレイン間には共振用インダクタを兼ねた例えばバラストチョークであるインダクタL1及び共振用のコンデンサC1の直列回路が接続されて構成されている。また、トランジスタQ1,Q2のゲートには、トランジスタQ1,Q2を交互にオン、オフするドライブ回路6が接続されている。
さらに、インダクタL1とコンデンサC1との接続点は、直流カット用コンデンサC2を介して放電灯FLにおける一方端側のフィラメントf1の一端が接続されている。また、放電灯FLのフィラメントf1,f2には、例えばインダクタL1と磁気的に結合されたフィラメント予熱巻線L2,L3が、それぞれ接続されている。直流カット用コンデンサC2とフィラメントf1との接続点と、グラウンドとの間には、抵抗R1とダイオードD1との直列回路からなる半波整流手段としての半波整流回路7が接続され、この半波整流回路7のインピーダンスは、放電灯FLの点灯時のインピーダンスより十分大きなインピーダンスに設定されている。これにより、放電灯FLへ流れる電流を相対的に高め、放電灯FL以外の回路における損失を軽減することで、回路効率が向上する。
また、直流カット用コンデンサC2と半波整流回路7との接続点と、グラウンド間には、抵抗R2,R3,R4,R5の直列回路が接続され、抵抗R5と並列にコンデンサC3が接続されている。そして、抵抗R4,R5の接続点に、インバータ回路5が起動した後の経過時間を検出するタイマ回路8が接続され、タイマ回路8には直流電圧検出手段である電圧検出回路9が接続され、電圧検出回路9はインバータ回路5の発振を停止させる発振停止回路10に接続され、発振停止回路10は、ドライブ回路6に接続されている。
そして、直流電源Eの高圧側と、直流カット用コンデンサC2と放電灯FLとの接続点との間に、直流電圧供給用抵抗である抵抗R6及びR7が直列に接続されている。
次に、上述のように構成された放電灯点灯装置2における放電灯FLが寿命末期での動作を説明する。放電灯FLの寿命末期において、放電灯FLのフィラメントf1、f2におけるいずれかのエミッタが消耗して放電灯FLが半波放電になると、直流カット用コンデンサC2に直流が流れることにより直流カット用コンデンサC2に電荷が蓄積されて充電され、直流カット用コンデンサC2の両端電圧が上昇する。
一方、タイマ回路8はインバータ回路5が起動した後に生じる過渡電圧を回避するべく予め設定された所定時間が経過すると、電圧検出回路9を動作させるべく制御信号を出力し、電圧検出回路9は直流カット用コンデンサC2に印加される電圧の直流成分を、抵抗R2,R3,R4,R5、及びコンデンサC3によって検出すると共に当該検出された電圧の絶対値が予め設定された検出しきい値(第1の基準電圧)以上の場合、放電灯FLへ供給する電源電圧を制限させるべく発振停止回路10へ制御信号を出力する。
そうすると、発振停止回路10は、ドライブ回路6の出力を停止させてトランジスタQ1,Q2をオフ状態にし、インバータ回路5は動作を停止して放電灯FLへの電源電圧の供給を停止する。インバータ回路5が停止すると放電灯FLへの電源電圧が供給されないため、例えば背景技術に係る図9に示す放電灯点灯装置では、直流カット用コンデンサ102に充電されていた電荷が抵抗R2〜R5、コイル110、及びトランジスタ111の寄生ダイオードを介して放電される為、直流カット用コンデンサ102の電圧を検出する電圧検出回路105の検出電圧は検出しきい値を下回り、発振停止回路10によるドライブ回路6の出力停止状態が解除されてしまう。
しかし、図2に示す放電灯点灯装置2においては、抵抗R6,R7によって、直流カット用コンデンサC2の放電灯FL側端子には直流電源Eの電圧を抵抗R2〜R7で分圧した電圧が発生するために、インバータ回路5が発振停止して放電灯FLへの電源電圧が供給されない間でも電圧検出回路9において、検出しきい値以上の電圧が維持され、発振停止回路10によるドライブ回路6の出力停止状態が維持される。
なお、放電灯FLが正常に点灯した場合でも、直流カット用コンデンサC2の放電灯FL側端子には直流電源Eの電圧を抵抗R6,R7の直列回路、及び放電灯FLの点灯インピーダンスで分圧した電圧が発生する。従って、抵抗R6,R7の抵抗値は、その電圧値が電圧検出回路105の検出しきい値を下回るように、抵抗R6,R7の直列抵抗値を放電灯FLの点灯インピーダンスに対して相対的に大きい値にされている。例えば、放電灯FLの点灯のインピーダンスは、100Ω〜9キロΩ程度であるのに対し、抵抗R6,R7の直列抵抗値は100kΩ〜10MΩ程度が望ましい。
これにより、例えば放電灯FLが寿命末期状態等である場合に、半波整流回路7あるいは放電灯FLの半波放電により直流カット用コンデンサC2の電圧が上昇することを検出して放電灯FLへの電源供給を制限する放電灯点灯装置において、例えばインバータ回路5による出力電圧制限動作を維持するためのラッチ回路等を設けることなく抵抗R6,R7を備えることによりインバータ回路5による出力電圧制限動作を維持することができ、放電灯FLへの電源供給の制限後に電源供給の制限を維持することが容易となる。また、抵抗R6,R7を備えるだけでよいので、コストの上昇を抑制できる。
なお、抵抗R6,R7は、その直列抵抗に相当する1個の抵抗で構成されてもよく、あるいは3個以上の抵抗で構成されてもよい。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る放電灯点灯装置について説明する。図3は、本発明の第2の実施形態に係る放電灯点灯装置2aの構成の一例を示す回路図である。図3に示す放電灯点灯装置は、例えば100V、200V又は240V等の商用の交流電源VSに、例えばダイオードブリッジで構成された整流器DBが接続されている。整流器DBは交流電源VSからの交流電圧を脈流電圧に整流して直流電源回路CVへ出力するもので、交流電源VSが100Vの場合、ダイオードブリッジの代わりに例えば倍電圧整流回路を用いてもよい。倍電圧整流回路を用いると、交流電源VSの電圧が実質的に200Vと同等と見なせ、倍電圧整流回路以後に接続されている回路に流れる電流がダイオードブリッジと比べて約半分となるので、放電灯点灯装置2aの効率を向上することができる。
直流電源回路CVは整流器DBからの脈流電圧を、例えば平滑用アルミ電解コンデンサによって更に平滑したり、他の直流電圧に変換したりするものであり、例えば昇圧チョッパ、降圧チョッパ、昇降圧チョッパ、あるいは極性反転チョッパ回路であっても構わない。インバータ回路5は、直流電源回路CVからの直流電圧を高周波に変換し、放電灯FLの一方端側におけるフィラメントf1の一方の端子にインダクタL1を介して高周波電力を供給する。フィラメントf1の他方の端子は、コンデンサC1と抵抗R12との並列回路を介して放電灯FLの他方端側におけるフィラメントf2の一方の端子に接続され、フィラメントf2の他方の端子は直流カット用コンデンサC2を介してグラウンドに接続されている。また、フィラメントf1,f2には、それぞれコンデンサC11,C12が並列に接続されており、フィラメントが断線、あるいは放電灯FLと放電灯点灯装置2aとの電気的接続不良が生じた際に、断線間もしくは接続不良間でのアーク放電発生を防止し、放電灯点灯装置2aを構成する電子部品への過大なストレス発生やソケット4の発熱等を抑制するようになっている。
直流カット用コンデンサC2は、インバータ回路5に流れる電流の直流成分を遮断し、これによりインバータ回路5は交流電圧でのみ動作することになる。直流カット用コンデンサC2の容量は、通常、共振用コンデンサC1よりも大きく設定されている。そして、インダクタL1とコンデンサC1との直列共振回路の共振動作により放電灯FLが始動、点灯される。放電灯FLは例えば蛍光灯である。なお、共振回路の構成は、図2に示す放電灯点灯回路2におけるインダクタL1、コンデンサC1及び直流カット用コンデンサC2と同様の構成であってもよい。
また、フィラメントf2と直流カット用コンデンサC2との接続点には、直流電圧検出手段である電圧検出回路9aと、フィラメント検出手段であるフィラメント検出回路11とが接続され、電圧検出回路9aはタイマ回路8に接続され、タイマ回路8とフィラメント検出回路11とは制御部12に接続されている。
電圧検出回路9aは、フィラメントf2と直流カット用コンデンサC2との接続点と、グラウンドとの間に接続された抵抗R21とコンデンサC21との直列回路を備え、抵抗R21とコンデンサC21との接続点は、ダイオードD23と抵抗R22とを介してグラウンドに接続されている。そして、ダイオードD23と抵抗R22との接続点は、コンパレータCMP21のプラス端子とコンパレータCMP22のマイナス端子とに接続されている。また、コンパレータCMP21のマイナス端子にはしきい値電圧Vth21が印加され、コンパレータCMP22のプラス端子にはしきい値電圧Vth22が印加されている。そして、コンパレータCMP21,CMP22の出力信号が、それぞれダイオードD21,D22を介してワイヤードオアされ、電圧検出信号として、タイマ回路8とフィラメント検出回路11とに出力される。この場合、しきい値電圧Vth21,Vth22が第2及び第3の基準電圧に相当する。
しきい値電圧Vth21,Vth22は、例えば放電灯FLの寿命末期等に直流カット用コンデンサC2に生じる検出電圧に設定されており、コンパレータCMP21とコンパレータCMP22の出力信号をワイヤードオアした信号を電圧検出信号とすることにより、直流カット用コンデンサC2に印加される電圧の直流成分の絶対値がしきい値電圧Vth21,Vth22を超えた場合に寿命末期等を検出した旨を示す電圧検出信号がタイマ回路8へ出力される。
タイマ回路8は、インバータ回路5が起動した後に生じる過渡電圧を回避するべく予め設定された所定時間が経過するまで、電圧検出回路9aからの電圧検出信号をマスクする。
フィラメント検出回路11は、フィラメントf2と直流カット用コンデンサC2との接続点と、グラウンドとの間に接続された抵抗R13,R14の直列回路を備え、抵抗R13と抵抗R14との接続点は、ダイオードD11と抵抗R15とを介してグラウンドに接続され、抵抗R15と並列にコンデンサC13が接続されている。また、抵抗R16とトランジスタQ11との直列回路と、抵抗R17とトランジスタQ12との直列回路とが、回路動作用の直流電源Vccとグラウンドとの間に接続され、ダイオードD11とコンデンサC13との接続点がトランジスタQ11のベースに接続され、トランジスタQ11のコレクタがトランジスタQ12のベースに接続されている。ダイオードD11は、コンデンサC13に充電された電荷の逆流防止用ダイオードである。そして、トランジスタQ12のコレクタが、コンパレータCMP11のプラス端子に接続され、コンパレータCMP11のマイナス端子には、しきい値電圧Vth11が印加され、コンパレータCMP11の出力端子が制御部12に接続されている。
さらに、フィラメント検出マスク手段であるトランジスタQ31が、トランジスタQ12のベースとエミッタとの間に接続され、電圧検出回路9aからの電圧検出信号がトランジスタQ31のベースに入力されている。
また、直流電流供給手段である直流電源回路CVの直流電圧出力端子と、インバータ回路5及びインダクタL1の接続点との間に抵抗R11が接続され、直流電源回路CV、抵抗R11、インダクタL1、フィラメントf1、抵抗R12、フィラメントf2、抵抗R13、及び抵抗R14を介してグラウンドに至る直流電流経路が構成され、フィラメントf1,f2に直流バイアス電流を流すようにされている。
制御部12はインバータ回路5が有するスイッチング素子を駆動制御するものであり、更に直流電源回路CVがスイッチング素子を有する場合にはそのスイッチング素子をも駆動制御する機能を有する。また、後述するように、電圧検出回路9a及びフィラメント検出回路11からの検出信号を受けて、インバータ回路5、あるいは直流電源回路CVのスイッチング駆動動作を制御し、放電灯FLへの電力供給を制御するものである。
次に、上述のように構成された放電灯点灯装置2aの動作について説明する。まず、フィラメント検出回路11の動作を説明する。まず放電灯FLが正常な状態で放電灯点灯装置2aに接続されている場合は、直流電源回路CVの高圧側端子から抵抗R11、インダクタL1、フィラメントf1、抵抗R12、フィラメントf2、抵抗R13、ダイオードD11、抵抗R15を介して直流電流経路が形成され、コンデンサC13両端に直流電圧が発生するので、トランジスタQ11はオン,トランジスタQ12はオフし、コンパレータCMP11のプラス端子には直流定電圧Vccが印加される。電圧Vccとしきい値電圧Vth11との関係をVcc>Vth11と設定しておくことで、コンパレータCMP11の出力信号はハイレベルとなる。従って、コンパレータCMP11の出力信号は、ハイレベルでフィラメントの正常接続を意味する。
次に放電灯FLがフィラメント切れ、もしくは放電灯FLが正常に放電灯点灯装置2aに接続されていない場合は、フィラメント検出回路11の直流電流経路が寸断され、コンデンサC13の電荷は抵抗R15を介して放電される。従ってトランジスタQ11はオフ,トランジスタQ12はオンとなるため、コンパレータCMP11のプラス端子は回路グランド電位となり、コンパレータCMP11の出力信号はローレベルとなる。従って、コンパレータCMP11の出力信号は、ローレベルでフィラメントの断線あるいは放電灯FLの異常挿入状態を意味する。
そして、制御部12によって、フィラメント検出回路11の出力信号がハイレベルの場合はインバータ回路5の駆動制御が維持され、逆にローレベルの場合は、インバータ回路5の出力を抑制するように駆動制御するか、もしくはインバータ回路5を発振停止させるように制御され、放電灯FLへの電力供給が制限される。
次に電圧検出回路9aの動作を説明する。電圧検出回路9aは、直流カット用コンデンサC2の直流電圧値を検出し、放電灯が寿命末期となって半波放電を起こしたことを検知する。まず、放電灯FLが正常状態の場合において、直流カット用コンデンサC2の両端電圧は、インバータ回路5がハーフブリッジ構成でスイッチング素子のオン、オフ幅が50%:50%の場合は、直流電源電圧の約2分の1の直流電圧が発生することが知られている。従って、直流電源回路CVの出力電圧をEとすると、直流カット用コンデンサC2両端にはE/2の電圧が発生する。この直流カット用コンデンサC2の両端電圧は電圧検出回路9a内の抵抗R21,R22にて分圧され(以後、分圧されたR22両端電圧をC2検出電圧と称する)、コンパレータCMP21のプラス端子及びコンパレータCMP22のマイナス端子に入力される。ここでC2検出電圧としきい値電圧Vth21、Vth22との大小関係について、しきい値電圧Vth21、Vth22は、共にゼロより大きい電圧値であって、Vth22 < C2検出電圧(放電灯は正常状態) < Vth21となるように設定しておけば、放電灯FLが正常状態で点灯している場合はコンパレータCMP21,CMP22の出力信号は共にローレベルとなる。このローレベルの出力信号はタイマ回路8を介して制御部12に伝達されるが、制御部12では電圧検出回路9aからの出力信号がローレベルであれば、放電灯FLは正常であると判断し、インバータ回路5を駆動制御維持する。
次に、フィラメントf1が寿命末期でエミッタ不足に陥った場合は、放電灯FLの放電によって半波整流作用が生じるため、直流カット用コンデンサC2の両端電圧として(E/2)+αの直流電圧が発生する。これによりC2検出電圧が上昇し、
C2検出電圧 > Vth21
となると、コンパレータCMP21の出力信号はハイレベルとなる。制御部12では電圧検出回路9aからの出力信号がハイレベルであれば、放電灯FLは寿命末期であると判断し、インバータ回路5を駆動抑制もしくは停止するように保護制御する。
一方、フィラメントf2が寿命末期でエミッタ不足に陥った場合は、放電灯FLの放電によって半波整流作用が生じるため、コンデンサC2の両端電圧としては(E/2)−αの直流電圧が発生する。これによりC2検出電圧が低下し、
C2検出電圧 < Vth22
となると、コンパレータCMP22の出力信号はハイレベルとなる。従って電圧検出回路9aからの出力信号がハイレベルとなるので制御部12では上記と同様にインバータ回路5の駆動に対して例えば発振停止等の保護制御を行う。
そして、放電灯FLが寿命末期等により保護制御に移行した後は、直流カット用コンデンサC2の両端電圧は下降しようとするが、フィラメント検出回路11の直流電流経路である抵抗R11,フィラメントf1、抵抗R12、フィラメントf2を介して直流電源回路CVの直流電圧が電圧検出回路9aに印加されるため、コンパレータCMP21の出力信号がハイレベルとなり、保護制御が維持される。
次にタイマ回路8の動作について説明する。交流電源VSが放電灯点灯装置2aに印加されると、インバータ回路5が動作し始めてからの経過時間がタイマ回路8によって計時される。そして、タイマ回路8によって、インバータ回路5が起動した後に生じる過渡電圧を回避するべく予め設定された所定時間以内では、電圧検出回路9aの動作を無効、すなわち電圧検出回路9aの出力信号がハイレベルであってもローレベルであっても制御部12へはローレベルとして伝達され、インバータ回路5の駆動制御は正常動作で制御させる。またタイマ回路8によって、所定時間を経過後は、電圧検出回路9aの出力信号をそのまま制御部12へ伝達される。
この場合、放電灯点灯装置2aが動作し始めたばかりの過渡時では、直流カット用コンデンサC2の電位もまだE/2という直流電圧で安定動作していない為、放電灯FLが寿命末期でなくても電圧検出回路9aが誤動作する可能性がある。そこで、タイマ回路8によって、放電灯点灯装置2a、特にインバータ回路5が定常的に安定動作し、直流カット用コンデンサC2の両端にも相応の直流電圧(E/2)が発生維持されるまでの間、電圧検出回路9aの誤動作が防止される。
次に、フィラメント検出マスク手段であるトランジスタQ31の動作について説明する。放電灯FLが寿命末期となりフィラメントf2の電子放射物質(エミッタ)が喪失した場合、放電灯FLで半波整流作用が生じ、直流カット用コンデンサC2の直流電圧は(E/2)−αに下がり、極端には回路グランド電位よりも負電位になる場合がある。そうすると、そのままではフィラメント検出回路11で、放電灯FLの両方のフィラメントが共に正常に接続されているにも関わらず、コンデンサC13に直流バイアス電流が充電されないのでトランジスタQ11がオンからオフへ変化し、トランジスタQ12はオンとなるため、コンパレータCMP11のプラス端子は回路グランド電位となり、コンパレータCMP11の出力信号はローレベルとなって、フィラメントの断線あるいは放電灯FLの異常挿入状態を示すというという誤動作が発生してしまうことになる。
しかし、図3に示す放電灯点灯装置2aでは、放電灯FLが寿命末期状態となって直流カット用コンデンサC2の両端電圧が(E/2)−αに下がった時点で電圧検出回路9aの出力信号がハイレベルになり、トランジスタQ31がオンし、トランジスタQ11のオン、オフ状態にかかわらずトランジスタQ12はオフ状態を維持するため、フィラメント検出回路11では、放電灯FLの寿命末期において、放電灯FLの両方のフィラメントが共に正常に接続されているにも関わらず、コンパレータCMP11の出力信号がローレベルとなって、フィラメントの断線あるいは放電灯FLの異常挿入状態を示すというという誤動作が発生することが抑制される。そして、このような誤動作の発生を抑制することで、放電灯FLやその周辺回路に過大な電圧ストレスが印加されることを回避することができる。
この場合、フィラメント検出回路11における上記誤動作の発生を抑制するために、トランジスタQ11がオンからオフへ変化する前にトランジスタQ31をオンさせるべく、しきい値電圧Vth21,Vth22、および抵抗R13,R14の抵抗値等が設定されている。
なお、例えば、図4に示す放電灯点灯装置2bのように、インバータ回路5をトランジスタQ1,Q2の直列回路で構成し、トランジスタQ1,Q2のオン、オフを制御部12によって制御する構成であっても良い。また、直流電源回路CVの直流電圧出力端子と、インダクタL1とフィラメントf1との接続点との間に直流電流供給手段である抵抗R11が接続される構成であっても良い。
さらに、フィラメント検出マスク手段を構成するトランジスタQ31のベース端子は、電圧検出回路9aにおけるコンパレータCMP22とダイオードD22との接続点(ダイオードD22のアノード側)に接続される構成としても良い。
この場合、トランジスタQ31は、C2検出電圧の負電位側の絶対値がしきい値電圧Vth22以上の場合、フィラメント検出回路11からの出力信号を強制的にハイレベルにすることで、制御部12によるインバータ回路5からの電源電圧供給を制限する制御動作を禁止する。また、この構成によれば、コンパレータCMP22の出力信号がハイレベルとなった場合、すなわちフィラメントf2がエミッタ不足に陥った場合にのみ、フィラメント検出回路11の制御動作が禁止され、フィラメントf1がエミッタ不足になったとしてもフィラメント検出回路11の制御動作は禁止されない。
図3,図4に示すフィラメント検出回路11の構成においては、放電灯FLの半波放電により誤動作を起こすのはフィラメントf2のエミッタが不足した場合のみでありフィラメントf1がエミッタ不足になった場合は、放電灯FLの両方のフィラメントが共に正常に接続されているにも関わらずコンパレータCMP11の出力信号がローレベルとなって、フィラメントの断線あるいは放電灯FLの異常挿入状態を示すというという誤動作が発生することはない。従って、コンパレータCMP22の出力信号がハイレベルとなった場合のみ、トランジスタQ31がオンしてフィラメント検出回路11の制御動作を禁止する構成により、図3に示す放電灯点灯装置2aと同様に放電灯FLの寿命末期に放電灯FLの両方のフィラメントが共に正常に接続されているにも関わらずコンパレータCMP11の出力信号がローレベルとなって、フィラメントの断線あるいは放電灯FLの異常挿入状態を示すというという誤動作の発生を抑制することができる。そして、このような誤動作の発生を抑制することで、放電灯FLやその周辺回路に過大な電圧ストレスが印加されることを回避することができる。
また、例えば、図5に示す放電灯点灯装置2cのように、直流電源回路CVの直流電圧出力端子と、フィラメントf2とコンデンサC1との接続点との間に直流電流供給手段である抵抗R11が接続され、抵抗R14は、フィラメントf1,f2におけるインバータ回路5側の端子間に接続される構成であってもよい。さらに、フィラメント検出回路11aにおいて、抵抗R13は、フィラメントf1とコンデンサC1との接続点に、ダイオードD11を介して接続され、抵抗R15は削除された構成としてもよい。
この構成によれば、直流電源回路CVの高圧側端子から抵抗R11、フィラメントf2、抵抗R12、フィラメントf1、ダイオードD11、抵抗R13、及び抵抗R14によって、直流電流経路が形成される構成となっている。
また、電圧検出回路9bにおいて、分圧抵抗R21とダイオードD23との間に抵抗R23を介設し、抵抗R21及びR23の接続点をコンパレータCMP31のプラス端子に接続し、コンパレータCMP31のマイナス端子にしきい値電圧Vth21を入力し、コンパレータCMP31の出力信号をトランジスタQ31のベースに出力することによって、フィラメント検出マスク手段であるトランジスタQ31のオン、オフを制御する構成としてもよい。
この場合、トランジスタQ31は、図4に示すフィラメント検出回路11とは逆にフィラメントf1がエミッタ不足に陥った場合にのみ、フィラメント検出回路11aの制御動作を無効にし、フィラメントf1がエミッタ不足になったとしてもフィラメント検出回路11の制御動作は無効にされない。
しかし、図5に示す放電灯点灯装置2cにおいては、仮にトランジスタQ31によるフィラメント検出マスク手段がなかった場合には、図3、図4に示すフィラメント検出回路11とは逆にフィラメント検出回路11aは、放電灯FLの半波放電によって、放電灯FLの両方のフィラメントが共に正常に接続されているにも関わらずコンパレータCMP11の出力信号がローレベルとなってフィラメントの断線あるいは放電灯FLの異常挿入状態を示すというという誤動作を起こすおそれがあるのはフィラメントf1のエミッタが不足した場合のみであり、フィラメントf2がエミッタ不足になった場合は、このような誤動作が発生するおそれはない。
従って、トランジスタQ31は、フィラメントf1がエミッタ不足に陥った場合にのみ、フィラメント検出回路11aの制御動作を無効にすることにより、放電灯FLの両方のフィラメントが共に正常に接続されているにも関わらずコンパレータCMP11の出力信号がローレベルとなって、フィラメントの断線あるいは放電灯FLの異常挿入状態を示すというという誤動作の発生を抑制することができる。そして、このような誤動作の発生を抑制することで、放電灯FLやその周辺回路に過大な電圧ストレスが印加されることを回避することができる。
また、コンパレータCMP31のマイナス端子に印加されるしきい値電圧はコンパレータCMP21と同じVth21である一方、抵抗R23によって、コンパレータCMP21のプラス端子に印加される電圧よりもコンパレータCMP31のプラス端子に印加される電圧の分圧比が上昇する結果、直流カット用コンデンサC2の端子電圧に対するコンパレータCMP31の検知電圧レベル(第3の基準電圧)は、直流カット用コンデンサC2の端子電圧に対するコンパレータCMP21の検知電圧レベル(第2の基準電圧)以下にされている。この場合、いずれの検知電圧レベルも正の電圧である。これにより、コンデンサC2両端電圧が上昇してコンパレータCMP21の出力信号がハイレベルになる前に、コンパレータCMP31の出力信号がハイレベルとなる。
従って、放電灯点灯装置2cにおいては、コンパレータCMP31を備え、かつ抵抗R23を付加したことで、フィラメント検出へのマスク開始の方が同等あるいは優先され、電圧検出回路9aが放電灯FLを寿命末期と判断する前にフィラメント検出回路11をマスクしてフィラメント検出の誤動作を抑制する信頼性を高めることができる。また、電圧検出回路9aとは別に自由にトランジスタQ31をオンさせてフィラメント検出回路11の制御動作を無効にする検出感度を設定することが可能となり、フィラメント検出回路の設計自由度(抵抗値及びコンデンサの容量値の選定)を高め、回路設計がより容易になる。
なお、抵抗R23を備える代わりに、コンパレータCMP21及びCMP31のプラス端子には同じ検出信号を入力させ、マイナス端子に入力させるしきい値電圧に差を設けるようにしても良い。
例えば、コンパレータCMP31のマイナス端子に入力するしきい値電圧をVth31とすれば、Vth21>Vth31 となるように、しきい値電圧を設定してもよい。これにより、電圧検出回路9aが検出動作する前にフィラメント検出マスク手段を優先させて動作させることで、フィラメント検出マスク手段としての信頼性を向上することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る放電灯点灯装置について説明する。図6は、本発明の第3の実施形態に係る放電灯点灯装置2dの構成の一例を示す回路図である。図6に示す放電灯点灯装置2dは、交流電源VSの出力端子間に、電流ヒューズFUSEとサージアブソーバZNRとが直列に接続され、サージアブソーバZNRと並列にコンデンサC61が接続され、コンデンサC61の両端がラインフィルタLF1を介して整流器DBに接続されている。そして、電流ヒューズFUSEとサージアブソーバZNRとによって、過電流及び過電圧保護がされ、コンデンサC61及びラインフィルタLF1により、雑音防止用のフィルタ回路が構成されている。
整流器DBは、ダイオードD2〜D5により構成された整流器であり、交流電源VSから出力された交流電源電圧を全波整流して直流電源回路CVへ出力する。直流電源回路CVにおいて、整流器DBの出力端子間には高周波電流バイパス用のコンデンサC62が接続されている。そして、コンデンサC62の両端には、インダクタL4、例えばMOSFET等のスイッチング素子であるトランジスタQ3、及びソース抵抗R62の直列回路が接続され、トランジスタQ3のドレイン、ソース端子間にはダイオードD6と、コンデンサC4の直列回路が接続されており、インダクタL4、トランジスタQ3、ダイオードD6により直流電源回路CVとしての昇圧チョッパ回路が構成される。
トランジスタQ3は、制御部12により抵抗R6を介して駆動制御される。コンデンサC4は平滑用コンデンサであり、例えばアルミ電解コンデンサが用いられる。昇圧チョッパ回路を動作するための昇圧チョッパ制御回路としては、インダクタL4の二次巻線と抵抗R61の直列回路でインダクタL4に流れる電流のゼロクロス点を検出し、抵抗R62はトランジスタQ3に流れる電流を電圧値として検出し、抵抗R63〜R65の直列回路は昇圧チョッパ回路の出力電圧を検出するようになっており、これらの検出信号は制御部12に入力される構成となっている。以上のような昇圧チョッパ回路及び昇圧チョッパ制御回路によってアクティブフィルタ構成とされている。
インバータ回路5は例えばMOSFET等のスイッチング素子であるトランジスタQ1,Q2の直列回路で構成され、制御部12により、抵抗R7及びR8を介して交互にオン/オフ動作するよう駆動制御される。
直流カット用コンデンサC2、共振用インダクタL1、共振用コンデンサC1の直列回路がトランジスタQ2の両端に接続される。またコンデンサC1両端には昇圧トランスT1の1次巻線が接続される。そして昇圧トランスT1の2次巻線両端には、コンデンサC6、放電灯FL、カレントトランスT2の直列回路が接続され、放電灯FLの点灯負荷回路が構成される。放電灯FLの始動はインダクタL1とコンデンサC1との共振動作によりコンデンサC1両端に高周波電圧が発生し、昇圧トランスT1により昇圧されて放電灯FL両端に印加される。また放電灯FLが点灯するとインダクタL1とコンデンサC1の共振系に放電灯FLを加えた点灯共振条件により放電灯FLは点灯を維持する。
放電灯FLは例えば蛍光灯であるが、蛍光灯の両端には熱電子放出用のフィラメントf1、f2があり、放電灯FLを始動点灯する際のフィラメント予熱回路として、昇圧トランスT1の二次巻線にそれぞれコンデンサC11,C12を介してフィラメントに電流を供給する電流ループを構成している。
カレントトランスT2は電圧検出回路9cを構成する部品であり、詳細は後述する。図6に示す制御部12はインバータ回路5のトランジスタQ1,Q2の駆動制御の他に、直流電源回路CVのトランジスタQ3の駆動制御も行うものであり、制御部12、電圧検出回路9c、フィラメント検出回路11等を動作させるための制御電源部13としては、例えば直流電源回路CVの出力電圧に基づき所定の定電圧Vccを出力するものとして、例えば松下電器産業(株)製のインテリジェントパワーデバイス(略称IPD)であるMIPシリーズの集積回路ICを用いることができる。
次に、フィラメント検出回路11bの構成について説明する。図6に示すフィラメント検出回路11bは、放電灯FLのフィラメントf1、f2の検出に対して各々個別の直流電流経路を備える点で、図5に示すフィラメント検出回路11aと異なる。具体的には、フィラメントf1に対する直流電流経路は、直流電源回路CVの高圧出力側から抵抗R11、フィラメントf1、抵抗R12、ダイオードD11、抵抗R13、抵抗R14で構成され、またフィラメントf2に対する直流電流経路は、直流電源回路CVの高圧出力側から抵抗R16、フィラメントf2、ダイオードD12、抵抗R19で構成されている。
フィラメント検出回路11bは、図5に示すフィラメント検出回路11bと同様に、ダイオードD1、抵抗R13,R14,R16,R17、コンデンサC13、トランジスタQ11,Q12,Q31,及びコンパレータCMP11からなるフィラメントf1の断線等を検出する回路を備えている。さらに、フィラメントf2の断線等を検出するための回路として、フィラメントf2に対する直流電流経路の一部である抵抗R19と並列にコンデンサC14が接続されている。また、抵抗R18とトランジスタQ13との直列回路と、抵抗R17とトランジスタQ14との直列回路とが、制御電源部13のVcc出力端子とグラウンドとの間に接続され、ダイオードD12とコンデンサC14との接続点がトランジスタQ13のベースに接続され、トランジスタQ13のコレクタがトランジスタQ14のベースに接続されている。ダイオードD12は、コンデンサC14に充電された電荷の逆流防止用ダイオードである。そして、トランジスタQ14のコレクタが、トランジスタQ12のコレクタとワイヤードオアされてコンパレータCMP11のプラス端子に接続され、コンパレータCMP11のマイナス端子には、しきい値電圧Vth11が印加され、コンパレータCMP11の出力端子が制御部12に接続されている。
さらに、フィラメント検出マスク手段であるトランジスタQ32が、トランジスタQ14のベースとグラウンドとの間に接続され、電圧検出回路9aからの電圧検出信号が、ツェナーダイオードZD31を介してトランジスタQ31のベースに入力されている。
次に、上述のように構成されたフィラメント検出回路11bの動作について説明する。まず、放電灯FLが正常な状態で放電灯点灯装置2dに接続されている場合には、直流電流経路を流れる直流バイアス電流により、トランジスタQ11、Q13が共にオン状態となるため、トランジスタQ12、Q14は共にオフする。従って、コンパレータCMP11のプラス端子には抵抗R17を介して定電圧Vccが入力されるためコンパレータCMP11の出力信号はハイレベルとなる。
また放電灯FLがフィラメント切れ、もしくは放電灯FLが正常に放電灯点灯装置に接続されていない場合はトランジスタQ11、Q13のうち少なくとも1つがオフとなり、トランジスタQ12,Q14のうち少なくとも1つがオンするため、コンパレータCMP11のプラス端子は回路グランド電位となり、コンパレータCMP11の出力信号はローレベルとなる。
そして、制御部12は、フィラメント検出回路11bの出力信号がハイレベルの場合には直流電源回路CV及びインバータ回路5を正常に駆動制御維持し、逆にローレベルの場合はすべてのスイッチング素子(トランジスタQ1〜Q3)の駆動を停止するように制御する等の保護制御を行うものであり、この基本的動作シーケンスは図3〜図5に示す制御部12と同様である。
次に電圧検出回路9cの構成について説明する。まず、昇圧トランスT1の二次巻線とフィラメントf2との間にカレントトランスT2の一次巻き線が介設されている。そして、カレントトランスT2の二次巻き線の一端がグラウンドに接続され、他端が抵抗R21とコンデンサC21との直列回路を介してグラウンドに接続されている。そして、抵抗R21とコンデンサC21との接続点が、ツェナーダイオードZD21のアノード及びダイオードD21のアノードに接続されると共に、抵抗R31を介してフィラメント検出回路11bにおけるツェナーダイオードZD31のカソードに接続されている。
また、ツェナーダイオードZD21のカソードは、抵抗R23とコンデンサC23の並列回路と、トランジスタQ21のベースとに接続され、抵抗R23とコンデンサC23の並列回路の他端およびトランジスタQ21のエミッタは、制御電源部13のVcc出力端子に接続されている。そして、トランジスタQ21のコレクタは、抵抗R24、R32を介してフィラメント検出回路11bにおけるトランジスタQ31に接続されている。さらに、抵抗R24と抵抗R32との接続点が、ダイオードD22のアノードに接続され、ダイオードD21,D22のカソード同士がワイヤードオアされて抵抗R22とコンデンサC22との並列回路を介してグラウンドに接続されると共にコンパレータCMP21のプラス端子に接続され、コンパレータCMP21のマイナス端子にはしきい値電圧Vth21が入力され、コンパレータCMP21の出力端子はタイマ回路8に接続されている。
次に、上述のように構成された電圧検出回路9cの動作について説明する。まず、放電灯FLが正常状態の場合、そのランプ電流は正負対称の高周波電流であるために、カレントトランスT2の二次側に発生する電圧も直流成分を持たない正負対称な高周波電圧となる。従って、コンデンサC21両端電圧にも直流成分はないためコンパレータCMP21の出力信号はローレベルとなる。
次に、放電灯FLが寿命末期状態でフィラメントf1及びf2のうちいずれかがエミッタ不足となった場合、放電灯FLは半波放電となるので、放電灯FLを流れるランプ電流は正負非対称となる。従ってカレントトランスT2の二次側に発生する電圧も正側、あるいは負側に直流成分を持った正負非対称な高周波電圧となる。なお、直流成分の電圧が正側に発生するのか、負側に発生するのかはフィラメントf1,f2のどちらがエミッタ不足になるかで決定される。
そして、カレントトランスT2の二次側に正のDC成分を含んだ電圧が発生した場合、抵抗R21と抵抗R22にて分圧された電圧が上昇してしきい値電圧Vth21を超えるとコンパレータCMP21出力が反転してハイレベルとなり、制御部12は直流電源回路CV及びインバータ回路5に対して出力抑制あるいは発振停止等の保護動作を行う。なお、この場合の保護動作とは、保護動作とは実質的に放電灯FLを消灯させる動作で、発振停止、微弱発振継続など、その方法は問わない。
また逆にカレントトランスT2の二次側に負のDC成分を含んだ電圧が発生した場合、抵抗R21とR22にて分圧された電圧も回路グランド電位に対して負の電圧となり、この電圧がツェナーダイオードZD21のツェナー電圧とトランジスタQ21のベース−エミッタ間電圧Vbeを加算した電圧以上となると、トランジスタQ21がオンして抵抗R24、ダイオードD22を介してコンパレータCMP21のプラス端子にハイレベルの電圧が印加され、コンパレータCMP21の出力がハイレベルに反転して制御部12は保護動作へ移行する。
また、制御部12は、カレントトランスT2のようなカレントトランスを用いて電圧検出回路9cを構成した場合には、保護動作へ移行した後でフィラメント検出回路11bの直流電流経路を利用しての検出出力の維持が困難となるため、制御部12にて保護動作のラッチ機能を備えている。
その他の構成、動作は図5に示す放電灯点灯装置2cと同様であるのでその説明を省略する。
以上のように、図6に示すフィラメント検出回路11bは、フィラメントf1,f2に対して各々個別の直流電流経路を備えるので、フィラメントf1,f2のいずれのフィラメントが断線等した場合であっても異常を検出して制御部12に保護動作をさせることができると共に、個別の直流電流経路それぞれについて、個別のフィラメント検出マスク手段であるトランジスタQ31及びQ32とを備えたので、フィラメントf1,f2のいずれのフィラメントでエミッタを喪失して半波放電作用が生じた場合であっても、放電灯FLの両方のフィラメントが共に正常に接続されているにも関わらずコンパレータCMP11の出力信号がローレベルとなって、フィラメントの断線等を示すというという誤動作の発生を抑制することができる。
具体的には、フィラメントf1がエミッタ不足の寿命末期時にフィラメントの断線等を示すというという誤動作の発生を抑制するために、トランジスタQ12のBE間にトランジスタQ31を接続し、トランジスタQ31のベース端子は、抵抗R32を介してD22のアノード側に接続した構成のフィラメント検出マスク手段とした。一方、フィラメントf2がエミッタ不足の寿命末期時にフィラメントの断線等を示すというという誤動作の発生を抑制するために、トランジスタQ14のBE間にトランジスタQ32を接続し、トランジスタQ32のベース端子には、ツェナーダイオードZD31、抵抗R31を介してD21のアノード側に接続した構成のフィラメント検出マスク手段とした。なお、ツェナーダイオードZD31はマスク手段としての感度をツェナー電圧によって、自由に設定できるようにしたものである。
また、フィラメント検出回路11bにおいて、フィラメントf1,f2に対して各々個別の直流電流経路を構成し、フィラメント検出マスク手段もD21及びD22のアノード側から個別にマスク信号を得るようにしているが、フィラメント検出マスク手段のマスク信号は、コンパレータCMP21の出力端子から一括して得るようにしてもよい。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係る放電灯点灯装置2eについて説明する。図7は、本発明の第4の実施形態に係る放電灯点灯装置2eの構成の一例を示す回路図である。図7に示す放電灯点灯装置2eと図6に示す放電灯点灯装置2dとでは、下記の点で異なる。すなわち、図7に示す放電灯点灯装置2eでは、昇圧トランスT1を備えない。また直流カット用コンデンサC2はインダクタL1とコンデンサC1との接続点とフィラメントf1の一方の端子との間に介設されている。これにより、共振回路の構成は、図2に示す放電灯点灯装置2と同様にされている。
また、トランジスタQ2の両端間に、コンデンサC7とインダクタL5の直列回路を接続し、インダクタL5の二次巻線からコンデンサC11、C12をそれぞれ介してフィラメントf1、f2を加熱するための予熱電流を供給する構成とされている。フィラメント検出回路11cは、図6に示すフィラメント検出回路11bとは、フィラメントf1の直流電流経路における抵抗R11とフィラメントf1との接続位置をフィラメントf1の電源側端子である接続点a1に変更し、抵抗R12とフィラメントf1との接続位置をフィラメントf1の非電源側端子である接続点a2に変更した。また、抵抗R2とフィラメントf2との接続位置、及びダイオードD12とフィラメントf2との接続位置を、フィラメントf2の非電源側端子である接続点b2側に変更した。
これにより、図7に示す放電灯点灯装置2eでは放電灯FLのフィラメントf2側が回路グランドに接続される構成となり、フィラメントf2が正常である場合には直流電流経路に直流電流が流れず、逆にフィラメントf2が断線あるいは未接続の場合にフィラメント検出回路11cに直流電流が流れるようにした。また、フィラメントf2の抵抗値Rf2と抵抗R16の抵抗値R16及び抵抗R19の抵抗値R19との大小関係をRf2<<R16、
Rf2<<R19、とすることで、フィラメントf2が正常に接続されている場合は抵抗R16とフィラメントf2との分圧比でコンデンサC14両端電圧は限りなくゼロ、逆にフィラメントf2が断線あるいは接続不良の場合は抵抗R16と抵抗R19との分圧比でコンデンサC14両端に直流電圧が発生し、フィラメントf2の断線等が検出されるようになっている。
電圧検出回路9dは、図6に示す電圧検出回路9cとは、カレントトランスT2を削除し、代わりに抵抗R25、R26の直列回路を直流カット用コンデンサC2とフィラメントf1との接続点a1と抵抗R21との間に接続した点で異なる。この構成では、放電灯FLが正常点灯の場合には電圧検出回路9dのコンデンサC21両端には直流電圧が発生しないが、フィラメントf1あるいはf2どちらかがエミッタ不足となった寿命末期の場合では放電灯FLの半波放電による整流作用により、直流カット用コンデンサC2に電荷が充電蓄積されて、コンデンサC21に正あるいは負の直流電圧が発生し、フィラメントf1及びf2の寿命末期が検出されるようになっている。
また、フィラメント検出マスク手段については、図6に示す電圧検出回路9cにおける抵抗R32とフィラメント検出回路11bにおけるツェナーダイオードZD31を削除し、代わりにトランジスタQ32のベース端子はトランジスタQ31と同じくダイオードD22のアノードに接続されている。これにより、例えばフィラメントf1がエミッタ不足の場合に半波放電状態となることにより、接続点b2に正の直流電圧成分が発生した場合に、誤ってフィラメントf1の断線等を検出してしまう誤動作が抑制される。
また、図3、図4、図5、図6に示すフィラメント検出回路11,11a,11bにおいては、放電灯FLが点灯する前の状態ではフィラメント断線を検出することができるものの、放電灯FLが点灯してしまうと放電灯FLが導通して直接フィラメントf1,f2間を結ぶ直流電流経路ができるため、フィラメントf1,f2が断線しても放電灯FLを直流電流が流れ、フィラメント検出回路11,11a,11bでは放電灯FLを流れた直流電流を検出する結果、フィラメントf1,f2の断線を検出することができず、従って制御部12に保護動作をさせることができない。
しかし、図7に示す放電灯点灯装置2eでは、以下のように、放電灯FLが点灯した後でフィラメント断線した場合でもフィラメント断線を検出して制御部12に保護動作をさせることができる。
まず、放電灯FLが点灯中に接続点a1で接続不良が生じた場合、フィラメント検出回路11cにおける直流電源高圧側からトランジスタQ11ベースへの直流電流供給経路は断たれるものの、高周波のランプ電圧(放電灯FL両端電圧)によって接続点a2から抵抗R12、ダイオードD11を介して交流の電流が供給されるためトランジスタQ11のベース電圧は下がらずフィラメント検出回路11cでは接続点a1の接続不良を検出することができない。
しかしながら電圧検出回路9cでは抵抗R25及びR26の抵抗値を放電灯FLの点灯インピーダンスに対して十分大きい値に設定しておくことで、接続点a1が接続不良となった場合は直流電源回路CVからの直流電源電圧を抵抗R11、R25,R26,R21,R22で分圧した抵抗R22の両端電圧がコンパレータCMP21のプラス端子に印加され、コンパレータCMP21の出力信号がハイレベルに反転するので、制御部12に保護動作をさせることができる。
また、放電灯FLが点灯中に接続点a2が接続不良となった場合、接続点a1側は放電灯FLの点灯インピーダンスを介して回路グランドへの直流電流経路が残るため、抵抗R11の抵抗値を放電灯FLの点灯インピーダンスに対して十分大きい値に設定しておくことで、接続点a1の直流電位はほぼゼロとなり、電圧検出回路9dでは検出できない。
一方、まず、接続点a2が正常に接続されているときは、コンデンサC11のインダクタL5側には、直流電源回路CVからの直流電源電圧が抵抗R11、接続点a1、接続点a2、及びインダクタL5を介して印加されると共に、放電灯FLに印加されるランプ電圧が接続点a2からインダクタL5を介して印加され、コンデンサC11のインダクタL5側は、直流電源電圧又はランプ電圧のうちいずれか正電圧の高い方の電圧まで充電される。
次に、接続点a2が接続不良になると、直流電源回路CVからの直流電源電圧によって、抵抗R11を介してコンデンサC11が充電される。このとき、コンデンサC11の抵抗R11側電圧が、インダクタL5側電圧より高くなると、コンデンサC11からインダクタL5、抵抗R12、ダイオードD11、及び抵抗R13を介してトランジスタQ11のベースへ流れる電流が流れなくなる結果、トランジスタQ11がオフ、トランジスタQ12がオンし、コンパレータCMP11の信号出力がローレベルに反転してフィラメント接続不良と判断し、制御部12によって保護動作が行われる。
また、接続点b1及びb2のいずれかで接続不良が生じた場合、放電灯FLの低圧側フィラメントf2は直流的に回路グランドに接続されており、接続点b1、b2いずれの接続不良が発生した場合でも、放電灯FLの状態に関わらずトランジスタQ13のベース電圧は上昇しトランジスタQ13がオンするためコンパレータCMP11の出力信号がローレベルに反転してフィラメント接続不良と判断し、制御部12によって保護動作が行われる。
その他の構成、動作は図6に示す放電灯点灯装置2dと同様であるのでその説明を省略する。
以上、フィラメントf2の一端は、グラウンドに接続され、直流カット用コンデンサC2は、放電灯FLにおけるフィラメントf1とインバータ回路5との間に介設されており、フィラメントを検出するための直流電流経路は、フィラメントf1を介してインバータ回路5から抵抗R11、フィラメントf1、抵抗R12、ダイオードD11、抵抗R13,R14により構成されている図7に示す放電灯点灯装置2eにおいて、フィラメントf1の接続点a1側、a2側、フィラメントf2の接続点b1側、b2側全ての接続不良に対して、放電灯FLの点灯の有無に関わらず、フィラメントの断線、接続不良等を検出して制御部12による保護動作を行わせることができる。
また、図3,図4,図5,図6に示す電圧検出回路9a,9b,9cは、放電灯FLの寿命末期状態を検出する手段であるが、その原理は放電灯FLの半波放電による整流作用によって発生する直流電圧成分を検出するものである。放電灯の半波放電は放電灯FLの両端に設けられたフィラメントのうちの片方のみがエミッタ不足に陥った場合の現象であり、仮に両方のフィラメントで同時にエミッタが不足した場合においては放電灯FLの放電インピーダンスが上昇するものの半波放電にはならず、結果として電圧検出回路9a,9b,9cでは検出ができない。
しかし、図7に示す電圧検出回路9dでは、フィラメント検出回路11cにおける直流電流経路である抵抗R12、ダイオードD11、抵抗R13,R14の直列回路が放電灯FLと並列に接続され、この直流電流経路には整流手段であるダイオードD11が含まれるので、この直列回路によって放電灯FLの両端電圧が半波整流されるため、放電灯FLの半波放電による整流作用が得られなくても抵抗R12、ダイオードD11、抵抗R13,R14の直列回路による整流作用によって発生する直流電圧成分を検出することにより、放電灯FLの両方のフィラメントf1,f2が同時にエミッタ不足になるという寿命末期状態であっても電圧検出回路9dによって寿命末期を検出し、制御部12による保護動作を行わせることができる。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態に係る放電灯点灯装置2fについて説明する。図8は、本発明の第5の実施形態に係る放電灯点灯装置2fの構成の一例を示す回路図である。図8に示す放電灯点灯装置2fと図7に示す放電灯点灯装置2eとでは、下記の点で異なる。すなわち、図8に示す放電灯点灯装置2fでは、コンデンサC1の両端にコンデンサC5と昇圧トランスT1の1次巻線n1との直列回路が接続される。そして1次巻線n1の両端には、直流カット用コンデンサC2、放電灯FL、及び昇圧トランスT1の2次巻線n2の直列回路が接続される。これにより、放電灯FLの始動時は、インダクタL1とコンデンサC1との共振動作によりコンデンサC1両端に高周波電圧が発生し、昇圧トランスT1により昇圧されて放電灯FL両端に印加される。また放電灯FLが点灯すると、上記インダクタL1とコンデンサC1の共振系に、コンデンサC5、放電灯FLを加えた点灯共振条件により放電灯FLは点灯を維持する。
なお、昇圧トランスT1はオートトランス構成であり、1次巻線n1に流れる電流と2次巻線n2に流れる電流は逆位相となり、結果として昇圧トランスT1の1次側電流がほぼ相殺される構成であり、昇圧トランスT1の温度上昇を軽減することができる。さらに放電灯FLのフィラメントf2は昇圧トランスT1の2次巻線n2を介して回路グランドに接続されている為、放電灯FLにおけるフィラメントf2の一端は直流的には回路グランドに接続されている。
また、フィラメント検出回路11dは、低圧側フィラメントであるフィラメントf2の検出回路において、逆流防止用ダイオードD12の代わりに抵抗R20を備えた。またトランジスタQ13のベース−エミッタ間に接続されていたトランジスタQ32を備えない。この場合、ダイオードD12の代わりに抵抗R20を用いた方がトランジスタQ13のベース−エミッタ間に発生する電圧を軽減することができるので、フィラメントf2断線時にトランジスタQ13をオンさせ、かつ放電灯FLが寿命末期でもトランジスタQ13がオンしないように抵抗R16,R20,R19の抵抗値を適宜設定することにより、本来回路グランド電位であることが正常な接続点b2において放電灯FLの寿命末期時の半波放電により正の電圧が発生してトランジスタQ13がオンしてしまうことを抑制することができる。
また、放電灯点灯装置2fは、外部からの調光信号を受信してそれを制御部12に伝達し、制御部12にて直流電源回路CVやインバータ回路5の駆動制御を適宜制御することで放電灯FLの調光を行う調光部14をさらに備える。
そして、制御部12は、フィラメント検出回路11dによって例えば負荷断線又は放電灯接続異常等によりフィラメントを検出するための直流電流が無い状態が検出され、フィラメント検出回路11dからの出力信号がハイレベルからローレベルへと変化した場合、電圧検出回路9dからの出力信号に基づく保護動作をリセットし、保護動作を停止する。そして、例えばユーザが放電灯FLを交換することによって、負荷断線又は放電灯接続異常等が解消して負荷状態が正常になると、フィラメント検出回路11dからの出力信号がローレベルからハイレベルへと変化し、制御部12はすでに電圧検出回路9dからの出力信号に基づく保護動作はリセットしているので、制御部12は、放電灯点灯装置2fを起動させるべく交流電源VSが供給された場合と同様の動作シーケンスでタイマ回路8、直流電源回路CV、及びインバータ回路5の動作を制御して放電灯FLを点灯させる。
これにより、例えば点灯させていた放電灯FLが寿命となり、放電灯点灯装置では電圧検出回路9cによって保護制御に移行した状態において、ユーザは、放電灯FLを交換した際に、交流電源VSによる電源リセットを行うことなく、交換後の放電灯FLを点灯させることができ、ユーザーによる放電灯FL交換作業の手間を軽減することができる。
また、図2〜図8に示す電圧検出回路9,9a,9b,9c,9d、及びフィラメント検出回路11,11a,11b,11c,11dの入力インピーダンスとなる抵抗、例えば抵抗R2〜R5、R13〜R15、R19,R21,R22等は、点灯時における放電灯FLのインピーダンスより大きい高抵抗にされていることが望ましい。これにより、電圧検出回路9,9a,9b,9c,9d、及びフィラメント検出回路11,11a,11b,11c,11dにおける電力損失を軽減し、回路効率が向上される。