商用電源電圧を直流電圧に変換する電源回路と、変換した直流電圧を高周波電力に変換し放電灯に供給するインバータ回路とを具備した放電灯点灯装置では、装着されている放電灯が寿命末期状態になるなどして前記フィラメントが断線したり、装着されている放電灯が交換などで外れたりして無負荷状態になると、前記インバータ回路の発振がそのまま継続してしまうと、該点灯装置内にある電子部品に、過電流が流れたり、過電圧が印加されてしまう。これによって、該点灯装置は発熱し、電圧・電流ストレスが増大し、またソケット部分に高電圧が発生して感電の虞が生じる。このため、市場で発売されている多くの放電灯点灯装置では、何らかの保護回路が具備されているのが一般的である。
図13は、典型的な従来技術の点灯装置1の電気回路図である。この点灯装置1は、特許文献1の図11に示されたものである。前記のように、この点灯装置1は、大略的に、商用電源電圧を直流電圧に変換する電源回路2と、変換した直流電圧VDCを高周波電力に変換し、2灯の放電灯la1,la2に供給するインバータ回路3と、保護回路4とを備えて構成される。
インバータ回路3は、直流電源2にMOSFETから成るスイッチング素子q1,q2 の直列回路を接続し、両スイッチング素子q1,q2 の接続点には、電流トランスctの1次巻線ct1と、直流カット用コンデンサc1 と、インダクタl1の1次巻線n1 との直列回路を接続し、負荷である2灯直列の放電灯la1,la2へ出力を供給するようになっている。具体的には、インダクタl1に放電灯la1の一方のフィラメントf1の一方の端子t1を接続し、直流電源2の負極に放電灯la2の一方のフィラメントf4の一方の端子t7を接続している。そして、前記放電灯la1,la2の両フィラメントf1,f4の非電源側端子t2,t8間に、共振用コンデンサc2 を接続して、予熱コンデンサ構成によって両フィラメントf1,f4 を予熱するようにし、互いに一方の端子t3,t5が直列接続された他方のフィラメントf2,f3には、インダクタl1に設けた2次巻線n2 の出力で予熱を行うように、他方の端子t4,t6間にコンデンサc4 を介して前記2次巻線n2が接続されている。高電位側のスイッチング素子q1および低電位側のスイッチング素子q2のゲートに、前記電流トランスctの2次巻線ct21,ct22に誘起された電圧を抵抗r6,r7をそれぞれ介して帰還し、これらのスイッチング素子q1,q2を交互に高周波でオン/オフすることで、放電灯la1,la2を高周波点灯させる。
また、前記コンデンサc4 の両端には、直流電源2の正極が抵抗r1,r2を介して接続されるとともに、直流電源2の負極が、抵抗r3,r4および抵抗r5を介して接続されている。さらにまた、前記抵抗r5には積分用のコンデンサc3が並列に接続されているとともに、前記無負荷検出のために、コンパレータを用いずに、トランジスタのq3のベース−エミッタ間電圧を利用した検出手段が設けられている。つまり、インバータ回路3のスイッチング素子q2のゲートと直流電源2の負極との間に接続したスイッチング素子q3のベース−エミッタ間に、コンデンサc3 の電圧を印加するようになっている。
上述のように構成される点灯装置1において、放電灯la1,la2およびフィラメントf1〜f4の等価抵抗をrla1,rla2;rf1〜rf4で示すと、それらは抵抗r1〜r4の抵抗値よりも充分小さく、またインダクタl1の各巻線n1,n2 は直流電流に対してインピーダンスは0である。したがって、放電灯la1,la2が正常に接続されている場合には、コンデンサc4の両端の点p1,p2間の電圧は、直流電圧成分としては略0Vとなり、したがって抵抗r4,r5の接続点p3の電圧vp3も略0Vとなる。つまり、点p3の電圧vp3は、スイッチング素子q3のベース−エミッタ間のオン電圧VBEよりも小さく、該スイッチング素子q3はオフし、インバータ回路3はスイッチング動作を行う。
これに対して、放電灯la1,la2 のフィラメントf2,f3の一方の端子t3および/またはt5が外れている場合には、r1−c4−rf3−rla2の回路に直流電源2から電流が流れてコンデンサc4 に直流電圧成分が重畳され、点p3の電圧vp3は、概略、以下の値となる。この電圧vp3は、スイッチング素子q3のオン電圧VBE以上となるように設定されており、したがって該スイッチング素子q3 がオンしてスイッチング素子q2 をオフさせ、インバータ回路3の動作を停止させるようになっている。
vp3≒[VDC×(r5/r4)]/[r1+r3+(r5/r4)]‥‥(1)
次に、放電灯la1 のフィラメントf2の他方の端子t4が外れている場合にも、前述のr1−c4−rf3−rla2の回路に直流電源2から電流が流れてコンデンサc4に直流電圧成分が重畳され、点p3の電圧vp3は、概略、上式の値となり、スイッチング素子q3 がオンしてスイッチング素子q2 をオフさせ、インバータ回路3の動作を停止させる。
さらにまた、放電灯la2 のフィラメントf3の他方の端子t6が外れている場合には、r2−c4−rf2−rla2の回路に直流電源2から電流が流れてコンデンサc4 に上記とは逆方向の直流電圧成分が重畳され、点p3の電圧vp3は、概略、以下の値となる。この電圧vp3もスイッチング素子q3のオン電圧VBEより高くなるように設定されており、したがってスイッチング素子q3 がオンしてスイッチング素子q2 をオフさせ、インバータ回路3の動作を停止させるようになっている。
vp3≒[VDC×(r5/r3)]/[r2+r4+(r5/r3)]‥‥(2)
なお、フィラメントf1,f4が断線および端子t1,t2,t7,t8
の接続異常時には、共振ループが構成されず、インバータ回路3の動作は停止する。こうして、放電灯la1,la2のフィラメントf1〜f4の何れか1つでも断線、およびその一端が外れると、インバータ回路3の動作を停止させて、安全性が確保されている。
特開平11−354286号公報
上述のように構成される点灯装置1は、フィラメントf1〜f4が断線および端子t1〜t8が外れた場合には、インバータ回路3の発振を停止することができる。しかしながら、上述のように、放電灯la1,la2の等価抵抗rla1,rla2は、抵抗r1〜r4の抵抗値よりも充分小さいということを前提にしており、その前提が成立するのは、放電灯la1,la2の点灯状態である。すなわち、電源投入後の放電灯la1,la2が放電開始するまでの予熱・始動モードでは、消灯状態にある放電灯la1,la2の等価抵抗rla1,rla2は無限大であり、したがって、前記予熱・始動モードでは、所期の動作を期待できないという問題がある。以下に、その理由を詳述する。
図14は、上述の点灯装置1の前記予熱・始動モードでの前記無負荷検出のための構成の等価回路図である。この予熱・始動モードでは、前述のように、等価抵抗rla1,rla2は無限大であり、前記点p3の電圧vp3は、
vp3≒VDC×r5/[(r1//r2)+(r3//r4)+r5] ‥‥(3)
のようになる。ただし、//は、並列抵抗合成抵抗値を表し、r1//r2=(r1×r2)/(r1+r2)、r3//r4=(r3×r4)/(r3+r4)である。この電圧vp3が前記スイッチング素子q3 のオン電圧VBE以下となるように設定しないと、インバータ回路3は発振を停止してしまう。
一方、端子t3〜t6の各部が外れた場合の前記点p3の電圧vp3は、以下のとおりになる。
端子t3,t5が外れた場合、
vp3≒VDC×(r5/r4)/[r1+r3+(r5/r4)] ‥‥(4)
端子t4が外れた場合、
vp3≒VDC×(r5/r4)/[r1+r3+(r5/r4)] ‥‥(4)
端子t6が外れた場合、
vp3≒VDC×(r5/r3)/[r2+r4+(r5/r3)] ‥‥(5)
となる。
しかしながら、上式において、(r5/r4)および(r5/r3)は、それぞれ、抵抗r5と抵抗r4、抵抗r5と抵抗r3の並列の合成抵抗値であるので、式4,5を正しく書き直すと、以下のとおりになる。
vp3≒VDC×(r5//r4)/[r1+r3+(r5//r4)] ‥‥(4’)
vp3≒VDC×(r5//r3)/[r2+r4+(r5//r3)] ‥‥(5’)
したがって、上式4’,5’が前記オン電圧VBEを超えるように設定しないと、インバータ回路3は発振を継続してしまう。ここで、式4’を整理すると、
vp3≒VDC×r5/[{(r4+r5)×(r1+r3)/r4}+r5]
‥‥(4’’)
となり、前記オン電圧VBEとの関係で式3と比較すると、
[1+(r5/r4)]×(r1+r3)<(r1//r2)+(r3//r4)‥‥(6)
とする必要がある。
しかしながら、
1+(r5/r4)>1
r1>r1//r2
r3>r3//r4
であるので、上記式6は成立せず、端子t3〜t5が外れた場合の検出電圧の方が、電源投入後、放電灯la1,la2が放電開始するまでの予熱・始動モードでの検出電圧より常に低いということになる。端子t6が外れた場合の式5’についても、同様である。
すなわち、前記従来技術では、電源投入後の予熱・始動モードで、放電灯la1,la2が消灯状態での動作は考慮されていないということである。点灯中に端子t3〜t6が外れた場合の検出電圧が、前記オン電圧VBE以上となる設定になっていれば、電源投入後、放電灯la1,la2が放電開始するまでの期間においても検出電圧はオン電圧VBE以上となるので、インバータ回路3は発振しない。
また、上記従来技術は、電流トランスctの2次巻線ct21,ct22の出力をスイッチング素子q1,q2のゲートに帰還する自励式のインバータである。ここで、制御マイコンなどを用いて、前記スイッチング素子q1,q2のゲートを制御する他励式のインバータの場合、電源投入から所定時間が経過した後に検出動作を行うように、マスク設定が可能になる。しかしながら、そのような構成でも、上記従来技術では、放電灯la1,la2が放電を開始しないと、フィラメントf2,f3の断線や、端子t3〜t6の外れを検出できない。したがって、検出マスク期間に放電灯la1,la2を交換すると、端子t1,t2,t7,t8が接続されていれば、インバータ回路3が発振し、微放電した放電灯la1,la2で作業者が感電する虞がある。
前記制御マイコンを用いた場合の検出動作を纏めると、表1および表2のようになる。表1は、予熱・始動モードでマスク機能が無い場合の動作であり、点灯時には正常な検出動作が行われるが、予熱・始動モードでは、端子t3〜t6が外れていないにも拘わらず、接続異常であると誤検出している。また、表2は、マスク機能が有る場合の動作であり、予熱・始動モードで、端子t3〜t6が外れているのに、接続異常を検出していない。
本発明の目的は、電源投入時にも、フィラメントの断線および/または端子外れを正確に検出することができる放電灯点灯装置を提供することである。
本発明の放電灯点灯装置は、フィラメントを有する放電灯を直列接続で交流点灯させるにあたって、インバータ回路および共振回路によって作成された交流電圧を高圧側の放電灯の一方のフィラメントに与え、直流電源の負極電圧を低圧側の放電灯の一方のフィラメントに与え、前記2つの放電灯の他方のフィラメントの一方の端子同士を接続して成る放電灯点灯装置であって、接続点において2つのフィラメントは、その一方の端子が互いに接続され、他方の端子間を接続し、前記2つのフィラメントと閉ループを形成するコンデンサと、前記コンデンサの高圧の放電灯側の端子に直流電圧を印加する第1の抵抗と、前記コンデンサの高圧の放電灯側の端子の電圧を取出す第2の抵抗と、前記第2の抵抗によって取出された電圧が予め定める閾値以上であるか否かから、フィラメントの断線および/または端子外れを検出する第1の検出手段と、前記コンデンサの低圧の放電灯側の端子の電圧を取出す第3の抵抗およびダイオードの直列回路と、前記直列回路によって取出された電圧が予め定める閾値以下であるか否かから、フィラメントの断線および/または端子外れを検出する第2の検出手段と、前記第1および第2の検出手段からの出力に応答し、前記断線および/または端子外れが検出されると、前記インバータ回路の出力を抑制または停止するとともに、予熱・始動モードでは、前記第1の検出手段からの出力を無効にする制御手段とを含むことを特徴とする。
上記の構成によれば、インバータ回路および共振回路によって作成された交流電圧は高圧の放電灯の一方のフィラメントに与えられ、直流電源の負極電圧は低圧の放電灯の一方のフィラメントに与えられ、他方のフィラメントの一方の端子が互いに接続されて、複数の放電灯を直列点灯するようにした放電灯点灯装置において、前記2つのフィラメントの他方の端子間をコンデンサで接続して閉ループを形成するとともに、前記コンデンサの高圧の放電灯側の端子に第1の抵抗によって直流電圧を印加することで、断線および/または端子外れの検出を可能にする。そして、その検出のために2つの検出手段を設け、前記コンデンサの高圧の放電灯側の端子との接続点PAの電圧VK1を第2の抵抗で取出して第1の検出手段に与え、前記コンデンサの低圧の放電灯側の端子との接続点PBの電圧VK2を第3の抵抗およびダイオードの直列回路で取出して第2の検出手段に与え、第1の検出手段は前記第2の抵抗によって取出された電圧が予め定める閾値以上であるか否かから、フィラメントの断線および/または端子外れを検出し、前記第2の検出手段は前記直列回路によって取出された電圧が予め定める閾値以下であるか否かから、フィラメントの断線および/または端子外れを検出する。それらの検出結果に応答して、制御手段は、前記断線および/または端子外れが検出されると、前記インバータ回路の出力を抑制または停止する。
したがって、たとえばフィラメントの断線が生じていない正常な放電灯が、総ての端子に取付けられて、点灯している状態では、2つの放電灯の点灯によって、接続点PA,PBには、それぞれ正負対称の高周波電圧が生じる。したがって、VK1≒0であり、制御手段では、第1の検出手段の検出結果による無負荷検出は行われない。また、電圧VK2は、高周波電圧をダイオードで半波整流し、抵抗R3を介して第2の検出手段に与えられ、この値が該第2の検出手段の検出閾値より高く設定しておくことで、この第2の検出手段の検出結果による無負荷検出も行われない。
これに対して、正常な放電灯が取付けられて、点灯している状態で、低圧の放電灯の他方のフィラメントの他方の端子が外れ、残余の端子が繋がっている状態では、接続点PAには、正負対称の高周波電圧が生じ、VK1≒0であり、制御手段では、第1の検出手段の検出結果による無負荷検出は行われない。ところが、接続点PAの高周波電圧を、コンデンサおよびダイオードの直列回路で半波整流するので、コンデンサは接続点PA側を+として充電され、検出電圧VK2は検出閾値以下となり、無負荷検出が行われる。
また、正常な放電灯が取付けられて、点灯している状態で、高圧の放電灯の他方のフィラメントの他方の端子が外れ、残余の端子が繋がっている状態では、接続点PAには、正負対称の高周波電圧に、直流電源の電圧によってコンデンサに充電された直流成分が重畳された電圧が生じ、検出電圧VK1は上昇し、無負荷検出が行われる。また、接続点PBには、正負対称の高周波電圧が生じ、検出電圧VK2による無負荷検出は、直後は行われないけれども、前記検出電圧VK1による無負荷検出によって、制御手段は放電灯を消灯させるので、その後該検出電圧VK2は閾値以下となり、この検出電圧VK2による無負荷検出も行われる。
さらにまた、正常な放電灯が取付けられて、点灯している状態で、直列に接続される2つのフィラメントの一方の端子の少なくとも一方が外れ、残余の端子が繋がっている状態では、接続点PAには、正負対称の高周波電圧に、直流電源の電圧によってコンデンサに充電された直流成分が重畳された電圧が生じ、検出電圧VK1は上昇し、無負荷検出が行われる。また、接続点PBには、正負対称の高周波電圧が生じ、検出電圧VK2による無負荷検出は、直後は行われないけれども、前記検出電圧VK1による無負荷検出によって、制御手段は放電灯を消灯させるので、その後該検出電圧VK2は閾値以下となり、この検出電圧VK2による無負荷検出も行われる。
ところで、2つの放電灯の一方のフィラメントに断線および端子外れが生じたときには、共振ループが構成されず、インバータ回路の動作は停止する。こうして、放電灯のフィラメントの何れか1つでも断線、およびその一端が外れると、インバータ回路の動作を停止させて、安全性が確保されている。
一方、放電灯が消灯しており(予熱時や始動時を含む)、総ての端子が正常に繋がっている状態では、接続点PAには、直流電源の電圧の分圧値が現れ、検出電圧VK1は高く、該検出電圧VK1による無負荷検出が行われてしまうべきところ、消灯時のマスク機能によって、その検出動作は行われなくなる。一方、接続点PBにも、直流電源の電圧VDCの分圧値が現れ、検出電圧VK2は高く、検出閾値より高くなり、これによってもまた、無負荷検出は行われない。
これに対して、他方のフィラメントの端子が総て外れている状態では、接続点PAには、直流電源の電圧の分圧値が現れ、検出電圧VK1は高く、無負荷検出が行われるべきところ、前記のマスク機能によって、その検出動作は行われなくなる。しかしながら、接続点PBには、直流電源の電圧の分圧値が現れ、コンデンサの充電電圧によって、検出電圧VK2は低く、無負荷検出動作が行われる。
これによって、他方のフィラメントの端子の何れかが外れていれば、電源投入時であるか否かに拘わらず無負荷検出が行われ、電源投入時にも、それらのフィラメントの断線および/または端子の外れを正確に検出することができる。
また、本発明の放電灯点灯装置は、他方のフィラメントの閉ループには、該フィラメントの予熱の電圧源を備えることを特徴とする。
上記の構成によれば、閉ループに前記のような検出のために設けられるコンデンサは、予熱電流の制限素子としても共用することができ、構成を簡略化することができる。
さらにまた、本発明の放電灯点灯装置では、前記共振回路は、インバータ回路のスイッチング素子の出力を高圧側の放電灯の前記一方のフィラメントにおける一方の端子に与える直流カット用コンデンサおよびインダクタと、前記高電位側の放電灯の一方のフィラメントにおける一方 の端子と低電位側の放電灯の一方のフィラメントにおける一方 の端子との間に設けられる共振用コンデンサとを備えて構成されることを特徴とする。
上記の構成によれば、直流カット用コンデンサの耐圧を低くすることができ、部品の小型化を図ることができる。
また、本発明の放電灯点灯装置では、前記共振回路は、インバータ回路のスイッチング素子の出力を高電位側の放電灯の前記一方のフィラメントの一方の端子に与えるインダクタおよび直流カット用コンデンサと、前記インダクタと直流カット用コンデンサとの接続点と低電位側の放電灯の一方のフィラメントの一方 の端子との間に設けられる共振用コンデンサとを備えて構成されることを特徴とする。
上記の構成によれば、複数の放電灯を負荷とする場合、放電灯の点灯状態で前記直流カット用コンデンサが共振に大きく寄与するので、それぞれの放電灯でのランプ電流を、より一定にし易くなる。
さらにまた、本発明の放電灯点灯装置は、前記フィラメントのエミッタレスの状態を検出するエミレス検出回路をさらに備えることを特徴とする。
上記の構成によれば、フィラメント電極に塗布されているエミッタが減少し、電子が放電しにくくなった状態も検出することができる。
また、本発明の放電灯点灯装置では、前記エミレス検出回路は、直流カット用コンデンサC2の出力端から放電灯La1,La2に与えられる直流電圧を取出す抵抗R6と、前記抵抗R6で取出された電圧で充電されるコンデンサC8と、そのコンデンサC8の充電電圧を前記検出電圧VK1として前記制御手段に入力するダイオードD2と、前記コンデンサC8の充電電圧がベースに与えられ、前記制御手段の電源端子からの電流を制御するトランジスタQ3と、前記トランジスタQ3のベースと前記コンデンサC8との間に直列に挿入されるツェナダイオードZD1と、前記トランジスタQ3のベース−エミッタ間に挿入される抵抗R7と、前記トランジスタQ3を介する電流を前記コンデンサC7に与えるダイオードD3とを備えて構成され、前記トランジスタQ3のコレクタとダイオードD3のアノードとの接続点は前記第1の検出手段に接続され、トランジスタQ3のコレクタ電流の一部が前記コンデンサC6に与えられ、前記共振回路において、直流電源の正極と前記直流カット用コンデンサC2の出力端との間には、抵抗R8が設けられることを特徴とする。
上記の構成によれば、高電位側のフィラメントF1,F3がエミレス状態となると、放電灯La1,La2を流れる電流の直流成分は負電位となり、ダイオードD1によるコンデンサC7の充電電圧、すなわち前記検出電圧VK2が低下して、制御手段である制御回路16は前記エミレス状態を検出することができる。また、このときコンデンサC2に、直流電圧が発生し、コンデンサC2の出力端PEの電位は、GND電位から見れば負となり、コンデンサC8の入力端PFにも負の電位が発生する。ここで、前記トランジスタQ3のベースは、抵抗R7によって、通常、制御回路16からのハイレベルの電源電圧Vccにプルアップされており、オフしているけれども、上記のようにコンデンサC8の入力端PFの電位VFが負電位となって、以下の条件を満足する場合は、前記トランジスタQ3はオンして、前記検出電圧VK1は前記電源電圧Vccにプルアップされる。
VBEsat≦Vcc−VZD1−VF ‥(7)
ただし、VBEsatはトランジスタQ3の基準電圧であり、VZD1はツェナダイオードZD1のツェナ電圧である。
したがって、前記制御回路16の電源電圧Vccを第1の検出手段である検出回路17の検出閾値以上に設定しておけば、前記制御回路16はその入力からエミレス状態を判定し、インバータ回路13のスイッチングを抑制もしくは停止することができる。これによって、負の振幅が大きいランプ電圧となる方向で高電位側のフィラメントF1,F3がエミレス状態となった場合、前記コンデンサC7の充電不足によって、第2の検出手段である検出回路18への入力から前記エミレス状態を判定できなくても、誤動作を防止することができる。
これに対して、低電位側のフィラメントF2,F4がエミレス状態となると、放電灯La1,La2を流れる電流の直流成分は正電位となり、コンデンサC2には逆方向に直流電圧が発生する。したがって、コンデンサC2の出力端PEの電位は、GND電位から見れば正となり、コンデンサC8の入力端PFにも正の電位が発生する。したがって、ダイオードD2がオンし、制御回路16の入力端子SAへの入力からエミレス状態を検出することができる。
さらにまた、本発明の放電灯点灯装置では、前記エミレス検出回路は、前記トランジスタQ3のコレクタとダイオードD3のアノードとの間に、ツェナダイオードZD2をさらに備えることを特徴とする。
上記の構成によれば、点灯中に端子T6が外れると、検出電圧VK2が低下し、制御回路16は無負荷検出を行い、一旦発振を停止する。このとき、発振を停止したことで瞬間的にランプインピーダンスは無限大となるので、VDC−R8−R6の経路で直流電圧が印加されて、接続点PF、すなわちコンデンサC8の充電電圧を上昇させる。これによって、ダイオードD2がオンして検出電圧VK1を上昇させ、制御回路16は無負荷検出を行う。それと同時に、その検出電圧VK1の上昇によって、ZD2−D3の経路で検出電圧VK2を上昇させて、制御回路16に再起動がかかろうとする。しかしながら、前記ツェナダイオードZD2は、その端子間電圧がツェナ電圧になるまでは電流が殆ど流れないので、このような瞬間的な検出電圧VK1の上昇に対して、検出電圧VK2が閾値電圧を超えてしまうことを防止することができる。
したがって、前記ツェナダイオードZD2を追加することによって、端子T6が外れ、検出電圧VK2による無負荷検出によって一旦発振停止をした後、該検出電圧VK2の電圧上昇による再起動によって、微放電してしまうことを防止することができる。
また、本発明の放電灯点灯装置では、前記第2の検出手段は、抵抗R5と、コンデンサC7と、ツェナダイオードZD3との並列回路で構成されることを特徴とする。
上記の構成によれば、前述のように、検出電圧VK2には、接続点PAの高周波電圧を、コンデンサC1およびダイオードD1で半波整流し、抵抗R3,R5の分圧比で分圧した電圧が発生するが、予熱・始動モードでは、放電を開始させるために、放電灯La1,La2には点灯モードの数倍の電圧が与えられており、前記検出電圧VK2は、放電モードよりもかなり高くなる。さらに、高圧側または低圧側の放電灯La1,La2が片側エミレス状態で、かつ直流成分が正電位となる組合わせの場合、放電灯La1,La2が放電を開始すると、前記接続点PAには、正の振幅が大きい正負非対称の高周波電圧が発生し、益々検出電圧VK2が上昇する。
そこで、前記ツェナダイオードZD3のツェナ電圧を制御手段における検出電圧VK2の閾値電圧より高く、かつなるべく低く設定しておくことで、該検出電圧VK2はツェナ電圧以下に抑えられるので、コンデンサC7の耐圧を低く設定でき、低コスト化および部品の小型化を図ることができる。
本発明の放電灯点灯装置は、以上のように、直流電源からの直流電圧をインバータ回路および共振回路によって交流変換し、相互に直列に接続されたフィラメントを有する放電灯に与えて点灯駆動するようにした放電灯点灯装置において、前記2つのフィラメントにおける直列に接続される端子とは他方の端子間をコンデンサで接続して閉ループを形成するとともに、前記コンデンサの高圧の放電灯側の端子に第1の抵抗によって直流電圧を印加することで、断線および/または端子外れの検出を可能にし、さらにその検出のために2つの検出手段を設け、前記コンデンサの高圧の放電灯側の端子との接続点PAの電圧VK1を第2の抵抗で取出して第1の検出手段に与え、前記コンデンサの低圧の放電灯側の端子との接続点PBの電圧VK2を第3の抵抗およびダイオードの直列回路で取出して第2の検出手段に与え、第1の検出手段は前記第2の抵抗によって取出された電圧が予め定める閾値以上であるか否かから、フィラメントの断線および/または端子外れを検出し、前記第2の検出手段は前記直列回路によって取出された電圧が予め定める閾値以下であるか否かから、フィラメントの断線および/または端子外れを検出し、それらの検出結果から、制御手段は、予熱・始動モードでは、前記第1の検出手段からの出力を無効にしており、点灯モードにおいて前記断線および/または端子外れが検出されると、前記インバータ回路の出力を抑制または停止する。
それゆえ、直列に接続されるフィラメントの端子の何れかが外れていれば、電源投入時であるか否かに拘わらず無負荷検出が行われ、電源投入時にも、それらのフィラメントの断線および/または端子の外れを正確に検出することができる。
[実施の形態1]
本発明の実施の第1の形態について、図1〜図9に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
図1は、本発明の実施の第1の形態の点灯装置11の電気的構成を示すブロック図である。この点灯装置11は、大略的に、商用電源電圧を直流電圧に変換して得られた、またはバッテリなどの直流電源12と、前記直流電圧を高周波電力に変換し、2灯の放電灯La1,La2に供給するインバータ回路13および共振回路14と、前記無負荷検出を行う検出回路15と、前記インバータ回路13のスイッチングを制御する制御回路16とを備えて構成される。
前記共振回路14からの高電位側の出力は、放電灯La1の一方のフィラメントF1 の一方の端子T1に与えられ、低電位側の出力は、放電灯La2の一方のフィラメントF4 の一方の端子T7に与えられる。前記放電灯La1,La2の他方のフィラメントF2,F3の一方の端子T3,T5は互いに直列接続され、他方の端子T4,T6間には、検出用のコンデンサC1が接続されて、閉ループを形成している。前記放電灯La1の他方のフィラメントF2の他方の端子T4とコンデンサC1との接続点PAには、抵抗R1を介して、前記直流電源12から高電圧が与えられ、またその接続点PAの電位は、抵抗R2を介して、検出電圧VK1として第1の検出回路17に入力される。一方、前記放電灯La2の他方のフィラメントF3の他方の端子T6とコンデンサC1との接続点PBの電位は、ダイオードD1および抵抗R3を介して、検出電圧VK2として第2の検出回路18に入力される。前記コンデンサC1、抵抗R1,R2、ダイオードD1および検出回路17,18は、前記検出回路15を構成し、前記検出回路17,18の検出結果は、マイクロコンピュータなどから成る前記制御回路16に入力されて、前記無負荷の判定が行われ、その判定結果に応じて、前記インバータ回路13のスイッチング動作が制御される。
図2は、上述の点灯装置11の具体的構成を示すブロック図である。前記インバータ回路13は、前記直流電源12の両端子間に、MOSFETから成るスイッチング素子Q1,Q2 の直列回路が接続されて構成される。前記両スイッチング素子Q1,Q2 の接続点からの出力は、直流カット用コンデンサC2からインダクタL1の1次巻線N1を介して、前記高電位側の放電灯La1の一方のフィラメントF1 の一方の端子T1に与えられる。前記直流電源12の負極は、前記低電位側の放電灯La2の一方のフィラメントF4 の一方の端子T7に接続される。また、前記フィラメントF1の一方の端子T1とフィラメントF4 の一方の端子T7との間には、共振用コンデンサC3が接続されており、予熱コンデンサ構成によって両フィラメントF1,F4を予熱する。
前記放電灯La1の一方のフィラメントF1の端子T1,T2間には、コンデンサC4および前記インダクタL1の2次巻線N2の直列回路が接続されて、閉ループを形成しており、前記2次巻線N2の出力で予熱を行うように構成されている。同様に、前記放電灯La2の一方のフィラメントF4の端子T7,T8間には、コンデンサC5および前記インダクタL1の2次巻線N3の直列回路が接続されて、閉ループを形成しており、前記2次巻線N3の出力で予熱を行うように構成されている。さらにまた、前記放電灯La1の他方のフィラメントF2の他方の端子T4と前記放電灯La2の他方のフィラメントF3の他方の端子T6との間には、前記コンデンサC1および前記インダクタL1の2次巻線N4の直列回路が接続されて、閉ループを形成しており、前記2次巻線N4の出力で予熱を行うように構成されている。
検出回路17は、前記抵抗R2を介して入力される検出電圧VK1を、コンデンサC6および抵抗R4の並列回路で受信し、それらの接続点PCから前記制御回路16の入力端子SAに与える。また、検出回路18は、前記ダイオードD1および抵抗R3を介して入力される検出電圧VK2を、コンデンサC7および抵抗R5の並列回路で受信し、それらの接続点PDからダイオードD2を介して、制御回路16の入力端子SC2に与える。
前記制御回路16は、マイクロコンピュータなどから成り、前記入力端子SA、したがって前記接続点PCの検出電圧VK1が、予め定める検出閾値以上となると(L→H)無負荷と判定し、前記インバータ回路13のスイッチングを抑制または停止する。また、この入力端子SAの入力に対しては、制御回路16は、予熱・始動モードでは検出動作を無効とするマスク機能を有している。さらにまた、前記入力端子SC2、したがって前記接続点PDの検出電圧VK2が、予め定める検出閾値以下となると(H→L)無負荷と判定し、前記インバータ回路13のスイッチングを抑制または停止する。制御回路16は、出力端Ho,Loから前記スイッチング素子Q1,Q2のゲートを交互に高周波でオン/オフすることで放電灯La1,La2を高周波点灯させるとともに、入力された検出電圧VK1,VK2から、後述するようにして無負荷判定が行われたときには、スイッチングを停止する。
上述のように構成される点灯装置11において、フィラメントF1〜F4の等価抵抗をRf1〜Rf4で示すと、それらは抵抗R1〜R3の抵抗値よりも充分小さい。また、放電灯La1,La2の等価抵抗をRLa1,RLa2で示すと、点灯時におけるそれらは前記抵抗R1〜R3の抵抗値よりも充分小さく、消灯時におけるそれらは無限大である。さらにまた、インダクタL1の各巻線N1〜N4 は、直流電流に対して、インピーダンスは0である。
図3は、前記放電灯La1,La2として、フィラメントF1〜F4の断線が生じていない正常な放電灯が、総ての端子T1〜T8に取付けられて、点灯している状態での、前記無負荷検出のための直流電流の経路を示す等価回路図である。この状態では、2つの放電灯La1,La2の点灯によって、接続点PA,PBには、それぞれVLaの正負対称の高周波電圧が生じる。したがって、上述のようにRLa1,RLa2,Rf1〜Rf4≪R1〜R3であるので、接続点PCの検出電圧VK1は、VK1≒0であり、制御回路16の入力端子SAからの入力による無負荷検出は行われない。また、接続点PDの検出電圧VK2は、高周波電圧をダイオードD1で半波整流し、抵抗R3,R5の分圧比で分圧した値となり、この値は入力端子SC2の検出閾値より高いので、この入力端子SC2からの入力による無負荷検出も行われない。
図4は、前記放電灯La1,La2として正常な放電灯が取付けられて、点灯している状態での、前記無負荷検出のための直流電流の経路を示す等価回路図である。ただし、この図4は、端子T6が外れており、残余の端子T1〜T5,T7,T8は繋がっている状態である。この状態では、接続点PAには、VLaの正負対称の高周波電圧が生じる。したがって、接続点PCの検出電圧VK1は、前記図3から変化は無く、VK1≒0であり、入力端子SAからの入力による無負荷検出は行われない。一方、接続点PAの高周波電圧を、コンデンサC1およびダイオードD1の直列回路で半波整流するので、コンデンサC1は図4図示の極性に充電され、接続点PB,PDの電圧は低下し、検出電圧VK2は、前記入力端子SC2の検出閾値以下となり、この入力端子SC2からの入力による無負荷検出が行われる。
図5も、前記放電灯La1,La2として正常な放電灯が取付けられて、点灯している状態での、前記無負荷検出のための直流電流の経路を示す等価回路図である。ただし、この図5は、端子T4が外れており、残余の端子T1〜T3,T5〜T8は繋がっている状態である。この状態では、接続点PAには、VLaの正負対称の高周波電圧に、直流電源12の電圧VDCによってコンデンサC1に充電された直流成分が重畳された電圧が生じる。したがって、接続点PCの検出電圧VK1は上昇し、入力端子SAからの入力による無負荷検出が行われる。また、接続点PBには、VLaの正負対称の高周波電圧が生じる。したがって、接続点PCの検出電圧VK2は、前記図3から変化は無く、前記入力端子SC2からの入力による無負荷検出は、無負荷となった直後は行われないけれども、前記入力端子SAからの入力による無負荷検出によって放電灯La1,La2が消灯するので、その後該検出電圧VK2は閾値以下となり、この入力端子SC2からの入力による無負荷検出も行われる。
図6も、前記放電灯La1,La2として正常な放電灯が取付けられて、点灯している状態での、前記無負荷検出のための直流電流の経路を示す等価回路図である。ただし、この図6は、端子T3および/または端子T5(端子T3,T5の少なくとも一方)が外れており、残余の端子T1,T2,T4,T6〜T8は繋がっている状態である。この状態では、前記図5と同様に、接続点PAには、VLaの正負対称の高周波電圧に、直流電源12の電圧VDCによってコンデンサC1に充電された直流成分が重畳された電圧が生じる。したがって、接続点PCの検出電圧VK1は上昇し、入力端子SAからの入力による無負荷検出が行われる。また、接続点PBには、VLaの正負対称の高周波電圧が生じる。したがって、前記図5と同様に、接続点PCの検出電圧VK2は、前記図3から変化は無く、前記入力端子SC2からの入力による無負荷検出は、無負荷となった直後は行われないけれども、前記入力端子SAからの入力による無負荷検出によって放電灯La1,La2が消灯するので、その後該検出電圧VK2は閾値以下となり、この入力端子SC2からの入力による無負荷検出も行われる。
なお、フィラメントF1,F4が断線および端子T1,T2,T7,T8 の接続異常時には、共振ループが構成されず、インバータ回路13の動作は停止する。こうして、放電灯La1,La2のフィラメントF1〜F4の何れか1つでも断線、およびその一端が外れると、インバータ回路13の動作を停止させて、安全性が確保されている。
図7は、前記放電灯La1,La2が消灯している(予熱時や始動時を含む)状態での、前記無負荷検出のための直流電流の経路を示す等価回路図である。ただし、この図7は、総ての端子T1〜T8が正常に繋がっている状態である。この状態では、接続点PAには、破線で示す経路で、直流電源12の電圧VDCの分圧値が現れる。したがって、接続点PCの検出電圧VK1は高く、入力端子SAからの入力による無負荷検出が行われるべきところ、消灯時のマスク機能によって、その検出動作は行われなくなる。一方、接続点PBには、実線で示す経路で、直流電源12の電圧VDCの分圧値が現れる。したがって、接続点PDの検出電圧VK2は高く、前記入力端子SC2からの入力に対する検出閾値より高くなり、この入力端子SC2からの入力による無負荷検出は行われない。
図8は、端子T3〜T6が外れている状態での、前記無負荷検出のための直流電流の経路を示す等価回路図である。この状態では、前記図7と同様に、接続点PAには、破線で示す経路で、直流電源12の電圧VDCの分圧値が現れる。したがって、接続点PCの検出電圧VK1は高く、入力端子SAからの入力による無負荷検出が行われるべきところ、マスク機能によって、その検出動作は行われなくなる。一方、接続点PBには、実線で示す経路で、直流電源12の電圧VDCの分圧値が現れる。この場合、コンデンサC1の充電電圧によって、接続点PB、したがって接続点PDの検出電圧VK2は低く、入力端子SC2からの入力による無負荷検出動作が行われる。
したがって、本実施の形態の点灯装置11の動作を纏めると、表3のようになる。この表3から明らかなように、端子T1〜T8が正常に接続されていれば、前記入力端子SA,SC2からの入力による無負荷検出が行われず、端子T3〜T6の何れかが外れていれば、電源投入時であるか否かに拘わらず、前記入力端子SA,SC2の何れかの入力によって無負荷検出が行われる(特に、入力端子SC2に対しては、時間経過を考慮すると、総て検出)。こうして、電源投入時にも、フィラメントF2,F3の断線や、端子T3〜T6の外れを正確に検出することができる
また、フィラメントF2,F3の予熱の電圧源となるインダクタL1と該フィラメントF2,F3 との閉ループに前記のように検出用に設けられるコンデンサC1は、予熱電流の制限素子としても共用することができ、構成を簡略化することができる。
なお、共振回路14としては、図2で示すように、スイッチング素子Q1,Q2の出力が、直流カット用コンデンサC2からインダクタL1の1次巻線N1を介して、高電位側の放電灯La1のフィラメントF1 の端子T1に与えられ、その端子T1と低電位側の放電灯La2のフィラメントF4 の端子T7との間に共振用コンデンサC3が接続されている。このような構成では、前記直流カット用コンデンサC2の耐圧を低くすることができ、部品の小型化を図ることができる。
これに対して、図9の共振回路14aで示すように、スイッチング素子Q1,Q2の出力が、先ずインダクタL1の1次巻線N1に入力され、続いて直流カット用コンデンサC2を介して、高電位側の放電灯La1のフィラメントF1 の端子T1に与えられるようにし、その1次巻線N1と直流カット用コンデンサC2との接続点と直流電源12との間に、共振用コンデンサC3を設けるようにしてもよい。このような構成では、複数の放電灯La1,La2を負荷とする場合、放電灯La1,La2の点灯状態で前記直流カット用コンデンサC2が共振に大きく寄与するので、それぞれの放電灯La1,La2でのランプ電流を、より一定にし易くなる。
[実施の形態2]
本発明の実施の第2の形態について、図10に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
図10は、本発明の実施の第2の形態の点灯装置21の具体的構成を示すブロック図である。この点灯装置21は、前述の点灯装置11に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して示し、その説明を省略する。上述の点灯装置11は、上述のようにフィラメントF1〜F4の断線や、端子T1〜T8の外れの無負荷状態を正確に検出することができるのに対して、注目すべきは、この点灯装置21では、新たにエミレス検出回路22が設けられていることである。
前記エミレスとは、主に前記放電灯の寿命末期を示すものであって、一般に、放電灯には、電子を放電し易くするために、フィラメント電極にエミッタと呼ばれる物質が塗布されており、通常は、この物質が放電灯の点灯時間の経過とともに減少してゆくので、このエミッタが徐々に減少し、電子が放電しにくくなったエミッタレスの状態を示すものである。
エミレス検出回路22は、直流カット用コンデンサC2の出力端から前記放電灯La1,La2に与えられる直流電圧を取出す抵抗R6と、前記抵抗R6で取出された電圧で充電されるコンデンサC8と、そのコンデンサC8の充電電圧を前記入力端子SAに入力するダイオードD2と、前記コンデンサC8の充電電圧がベースに与えられ、前記制御回路16の電源端子からの電流を制御するトランジスタQ3と、前記トランジスタQ3のベースと前記コンデンサC8との間に直列に挿入されるツェナダイオードZD1と、前記トランジスタQ3のベース−エミッタ間に挿入される抵抗R7と、前記トランジスタQ3を介する電流を前記コンデンサC7に与えるダイオードD3とを備えて構成され、前記トランジスタQ3のコレクタとダイオードD3のアノードとの接続点は前記接続点PCに接続され、トランジスタQ3のコレクタ電流の一部が前記コンデンサC6に与えられる。また、共振回路24において、直流電源12の正極と前記直流カット用コンデンサC2の出力端との間には、抵抗R8が設けられる。
上述のように構成されるエミレス検出回路22において、放電灯La1,La2のフィラメントF1〜F4が前記エミッタレスの状態となると、前記放電灯La1,La2の両端電圧は正負非対称となり、その正負非対称の両端電圧の直流成分が直流カット用コンデンサC2に発生する。たとえば、フィラメントF1がエミッタレス状態となると、該フィラメントF1はフィラメントF2に比べて、電子を放出し難くなる。すなわち、放電灯La1はダイオード特性を持つことになり、該放電灯La1に流れる電流は、端子T1,T2から端子T3,T4側へ流れる電流が支配的になる。
したがって、フィラメントF1,F3がエミレス状態となると、放電灯La1,La2を流れる電流の直流成分は負電位となり、ダイオードD1によるコンデンサC7の充電電圧、すなわち前記検出電圧VK2が低下して、制御回路16は入力端子SC2の入力から前記エミレス状態を検出することができる。また、このときコンデンサC2には、参照符αで示す方向に直流電圧が発生する。したがって、コンデンサC2の出力端PEの電位は、GND電位から見れば負となり、コンデンサC8の入力端PFにも負の電位が発生する。ここで、前記トランジスタQ3のベースは、抵抗R7によって、通常、制御回路16からのハイレベルの電源電圧Vccにプルアップされており、オフしているけれども、上記のようにコンデンサC8の入力端PFの電位VFが負電位となって、以下の条件を満足する場合は、前記トランジスタQ3はオンして、前記接続点PCの電位、すなわち検出電圧VK1は前記電源電圧Vccにプルアップされる。
VBEsat≦Vcc−VZD1−VF ‥(7)
ただし、VBEsatはトランジスタQ3の基準電圧であり、VZD1はツェナダイオードZD1のツェナ電圧である。
したがって、前記制御回路16の電源電圧Vccを入力端子SAの検出閾値以上に設定しておけば、前記制御回路16は入力端子SAの入力からエミレス状態を判定し、インバータ回路13のスイッチングを抑制もしくは停止することができる。これによって、負の振幅が大きいランプ電圧となる方向で放電灯La1,La2のフィラメントF1,F3がエミレス状態となった場合、前記コンデンサC7の充電不足によって、入力端子SC2への入力から前記エミレス状態を判定できなくても、誤動作を防止することができる。
これに対して、フィラメントF2,F4がエミレス状態となると、放電灯La1,La2を流れる電流の直流成分は正電位となり、コンデンサC2には参照符βで示す方向に直流電圧が発生する。したがって、コンデンサC2の出力端PEの電位は、GND電位から見れば正となり、コンデンサC8の入力端PFにも正の電位が発生する。したがって、ダイオードD2がオンし、制御回路16の入力端子SAへの入力からエミレス状態を検出することができる。
なお、抵抗R6,R8の抵抗値を、放電灯La1,La2の等価抵抗RLa1,RLa2より充分大きく形成しておけば、放電灯La1,La2が正常点灯しているときの出力端PEの電圧は略0Vとなり、検出動作は行われない。
[実施の形態3]
本発明の実施の第3の形態について、図11に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
図11は、本発明の実施の第3の形態の点灯装置21aの具体的構成を示すブロック図である。この点灯装置21aは、前述の点灯装置21に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して示し、その説明を省略する。注目すべきは、この点灯装置21aでは、エミレス検出回路22aにおいて、前記トランジスタQ3のコレクタとダイオードD3のアノードとの間に、ツェナダイオードZD2が設けられていることである。前記接続点PCへは、トランジスタQ3のコレクタとツェナダイオードZD2のカソードとの接続点が接続される。
前述の図4で示すように、点灯中に端子T6が外れると、接続点PDの検出電圧VK2が低下し、制御回路16は、入力端子SC2への入力から無負荷検出を行い、一旦発振を停止する。このとき、発振を停止したことで瞬間的にランプインピーダンス(前記RLa1,RLa2)は無限大となるので、VDC−R8−R6の経路で直流電圧が印加されて、接続点PF、すなわちコンデンサC8の充電電圧を上昇させる。これによって、ダイオードD2がオンして検出電圧VK1を上昇させ、入力端子SAへの入力から、制御回路16は無負荷検出を行う。それと同時に、接続点PCの前記検出電圧VK1の上昇によって、ZD2−D3の経路で接続点PDの検出電圧VK2を上昇させて、制御回路16に再起動がかかろうとする。しかしながら、前記ツェナダイオードZD2は、その端子間電圧がツェナ電圧になるまでは電流が殆ど流れないので、このような瞬間的な検出電圧VK1の上昇に対して、検出電圧VK2が入力端子SC2の閾値電圧を超えてしまうことを防止することができる。
したがって、前記ツェナダイオードZD2を追加することによって、端子T6が外れ、入力端子SC2の無負荷検出によって一旦発振停止をした後、入力端子SC2の電圧上昇による再起動によって、微放電してしまうことを防止することができる。
[実施の形態4]
本発明の実施の第4の形態について、図12に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
図12は、本発明の実施の第4の形態の点灯装置21bの具体的構成を示すブロック図である。この点灯装置21bは、前述の点灯装置21に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して示し、その説明を省略する。注目すべきは、この点灯装置21bでは、検出回路18aにおいて、コンデンサC7および抵抗R5と並列に、ツェナダイオードZD3が設けられていることである。
前述のように、接続点PDの検出電圧VK2には、接続点PAの高周波電圧を、コンデンサC1およびダイオードD1で半波整流し、抵抗R3,R5の分圧比で分圧した電圧が発生するが、予熱・始動モードでは、放電を開始させるために、放電灯La1,La2には点灯モードの数倍の電圧が与えられており、前記接続点PDの検出電圧VK2は、放電モードよりもかなり高くなる。さらに、高圧側または低圧側の放電灯La1,La2が片側エミレス状態で、かつ直流成分が正電位となる組合わせの場合、放電灯La1,La2が放電を開始すると、前記接続点PAには、正の振幅が大きい正負非対称の高周波電圧が発生し、益々接続点PDの電圧が上昇する。
そこで、前記ツェナダイオードZD3のツェナ電圧を入力端子SC2の閾値電圧より高く、かつなるべく低く設定しておくことで、接続点PDの検出電圧VK2は前記ツェナ電圧以下に抑えられるので、コンデンサC7の耐圧を低く設定でき、低コスト化および部品の小型化を図ることができる。