JP2006031068A - 建築構造物の構造設計方法、そのプログラム、及びそのプログラムを格納した記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 建築構造物の袖壁、垂れ壁、腰壁、スリット壁等の構面内壁を含めた建築構造物の静的・動的解析が可能な構造設計方法を提供し、そのプログラム及びそのプログラムが記録媒体に書き込まれ、コンピュータが読み出して実行可能な記録媒体を提供する。
【解決手段】 建築構造物の架構である軸組図を作成し、該建築構造物の構面内壁をせん断部材とする線材要素として該軸組図に配置し、該軸組図に基づいて、コンピュータ1により該建築構造物の構造解析する建築構造物の構造設計方法である。
【選択図】 図7
【解決手段】 建築構造物の架構である軸組図を作成し、該建築構造物の構面内壁をせん断部材とする線材要素として該軸組図に配置し、該軸組図に基づいて、コンピュータ1により該建築構造物の構造解析する建築構造物の構造設計方法である。
【選択図】 図7
Description
本発明は、建築構造物の袖壁、垂れ壁、腰壁、スリット壁等の構面内壁を含めた建築構造物の静的・動的解析が可能な構造設計方法に関し、そのプログラム及びそのプログラムが記録媒体に書き込まれ、コンピュータが読み出して実行可能な記録媒体に関するものである。
建築構造物の耐震設計は概略一次設計と二次設計からなり、一次設計は許容応力度設計であり、中地震に対してほとんど被害を受けない建築物とすることを目的とし、建築構造物の許容応力計算により許容応力度以内であることを確認し、二次設計は終局耐力設計であり、剛性率、偏心率等を考慮して大地震に対して崩壊せず人命の安全を確保できる建築物とすることを目的としている。これらの構造設計には、準備計算、応力計算、断面計算といった手順をコンピュータが一貫して処理している。(例えば、特許文献1参照)
建築構造物の構造設計では、建築構造物の柱、梁、壁、床等の部材と接合部とで構成され、これらの部材を線材に置き換えてモデル化し、単純な形状による質点系モデルなどにより建築構造物の耐震安全性を動的解析(振動解析)による動的設計が行われている。実際の地震動に対して建築構造物は、三次元的な揺れになるが、通常静的解析と同様な水平方向の震動モデルを作成し解析している。
従来の建築構造物の構造設計方法では、袖壁、垂れ壁、腰壁、スリット壁等の構面内壁を単純な柱の断面積に置換して構造設計を行っているため、柱と袖壁等の構面内壁の力の分担が不明な設計となっている欠点があった。このような構造設計による動的解析を行うことにより、建築構造物の地震動に対する挙動がかなり実際とは異なったものとなり、強いては終局耐力設計における建築構造物の保有耐力の判断を誤るおそれがあり、また、必要以上に剛性の高い部材や構造を選択することによって、建設費が高騰するおそれがあった。
本発明は、上述の課題に鑑みなされたものであり、建築構造物の袖壁、垂れ壁、腰壁、スリット壁等の構面内壁を含めた建築構造物の静的・動的解析が可能な構造設計方法を提供し、そのプログラム及びそのプログラムが記録媒体に書き込まれ、コンピュータが読み出して実行可能な記録媒体を提供することを目的とするものである。
本発明は上記課題を解消したものであり、請求項1の発明は、建築構造物の架構である軸組図を作成し、該建築構造物の構面内壁をせん断部材とする線材要素として該軸組図に配置し、該軸組図に基づいて、コンピュータにより該建築構造物の構造解析することを特徴とする建築構造物の構造設計方法である。
また、請求項2の発明は、前記構面内壁が柱に取り付いた壁、梁の上部に取り付いた腰壁、梁の下部に取り付いた垂れ壁、柱や梁に囲まれた開口部に取り付いたスリット壁等であり、該構面内壁を柱又は梁のオフセットした線材要素とし、該線材要素の断面検定を行うことを特徴とする請求項1に記載の建築構造物の構造設計方法である。
また、請求項3の発明は、建築構造物を軸組図で表す作図手順と、
該建築構造物の構面内壁を柱又は梁のオフセットした線材要素として該軸組図に表す構面内壁作図手順と、
前記柱又は梁及び前記構面内壁の線材要素の基準座標系剛性行列を作成する基準座標系剛性行列作成手順と、
該作図手順と該構面内壁作図手順とにより作図された軸組図の節点の位置座標に基づいて、該基準座標系剛性行を用いて該建築構造物の耐振性を解析する解析手順と、
を含むことを特徴とする建築構造物の構造設計方法のプログラムである。
該建築構造物の構面内壁を柱又は梁のオフセットした線材要素として該軸組図に表す構面内壁作図手順と、
前記柱又は梁及び前記構面内壁の線材要素の基準座標系剛性行列を作成する基準座標系剛性行列作成手順と、
該作図手順と該構面内壁作図手順とにより作図された軸組図の節点の位置座標に基づいて、該基準座標系剛性行を用いて該建築構造物の耐振性を解析する解析手順と、
を含むことを特徴とする建築構造物の構造設計方法のプログラムである。
また、請求項4の発明は、前記基準座標系剛性行列作成手順が、前記構面内壁の線材要素のI端剛体変位行列[DI]とJ端剛体変位行列[DJ]とを基準座標系部材剛性行列[K]に作用させて該構面内壁の基準座標系部材剛性行列[K]を算出する手順を有することを特徴とする請求項3に記載の建築構造物の構造設計方法のプログラムである。
また、請求項5の発明は、前記基準座標系部材剛性行列[K]を重ね合わせて全体座標系剛性行列[K]とし、全体座標系における変位ベクトル{D}と力ベクトル{P}とによる全体座標系振動方程式を得る手順を有することを特徴とする請求項4に記載の建築構造物の構造設計方法のプログラムである。
また、請求項6の発明は、 請求項4又は5に記載の建築構造物の構造設計方法のプログラムを格納し、コンピュータが読み出して実行可能であることを特徴とする建築構造物の構造設計方法のプログラムを格納された記録媒体である。
請求項1の発明では、建築構造物の架構である軸組図を作成し、該建築構造物の構面内壁をせん断部材とする線材要素として該軸組図に配置し、該軸組図に基づいて、コンピュータにより該建築構造物の構造解析することを特徴とする建築構造物の構造設計方法であるので、建築構造物の構面内壁が、建築構造物の架構を示す軸組図にせん断部材とする線材要素とし、軸組図に配置した構面内壁が作成される。即ち、建築構造物の全ての部材の相対的座標位置が定まり、建築構造物の全ての部材の剛性行列を設定することができ、構面内壁を含めた建築構造物の構造解析が可能となる。従って、構面内壁が建築構造物に与える影響を入力地震波に対する挙動と近似したものとすることができ、建築構造物の耐震安全性を高めることができる。
また、請求項2の発明では、前記構面内壁が柱に取り付いた壁、梁の上部に取り付いた腰壁、梁の下部に取り付いた垂れ壁、柱や梁に囲まれた開口部に取り付いたスリット壁等であり、該構面内壁を柱又は梁のオフセットした線材要素とし、該線材要素の断面検定を行うことを特徴とする請求項1に記載の建築構造物の構造設計方法であるので、建築構造物の静的設計において、構面内壁を含めた全ての部材の断面検定が可能である利点がある。
また、請求項3の発明では、建築構造物を軸組図で表す作図手順と、該建築構造物の構面内壁を柱又は梁のオフセットした線材要素として該軸組図に表す構面内壁作図手順と、前記柱又は梁及び前記構面内壁の線材要素の基準座標系剛性行列を作成する基準座標系剛性行列作成手順と、該作図手順と該構面内壁作図手順とにより作図された軸組図の節点の位置座標に基づいて、該基準座標系剛性行を用いて該建築構造物の耐振性を解析する解析手順と、を含むことを特徴とする建築構造物の構造設計方法のプログラムであるので、建築構造物の構面内壁を線材として軸組図に表すことが可能であり、軸組図はCADにより作図され、軸組図の相対的座標位置が確定し、構面内壁を含めた建築構造物の耐振性を解析することができる。
また、請求項4の発明では、前記解析手順が、前記構面内壁の線材要素のI端剛体変位行列[DI]とJ端剛体変位行列[DJ]とを基準座標系部材剛性行列[K]に作用させて該構面内壁の基準座標系部材剛性行列[K]を算出する手順を有することを特徴とする請求項3に記載の建築構造物の構造設計方法のプログラムであるので、このプログラムをコンピュータで実行することによって、構面内壁を線材要素と見なし、構面内壁の剛体変位行列を基準座標系部材剛性行列[K]に作用させた基準座標系部材剛性行列[K]によって、構面内壁を含めた建築構造物の動的解析が可能となる利点がある。
また、請求項5の発明では、前記基準座標系部材剛性行列[K]を重ね合わせて全体座標系剛性行列[K]とし、全体座標系における変位ベクトル{D}と力ベクトル{P}とによる全体座標系振動方程式を得る手順を有することを特徴とする請求項4に記載の建築構造物の構造設計方法のプログラムであるので、このプログラムをCAD装置等のコンピュータで実行することによって、建築構造物の動的解析が可能となる利点がある。
また、請求項6の発明では、請求項4又は5に記載の建築構造物の構造設計方法のプログラムを格納し、コンピュータが読み出して実行可能であることを特徴とする建築構造物の構造設計方法のプログラムを格納された記録媒体であるので、建築構造物の静的・動的解析が容易になし得る利点がある。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本発明の建築構造物の構造設計方法は、コンピュータを用いて建築構造物の構造解析するための構造設計方法であり、その構造設計方法がプログラムされ、そのプログラムが記録媒体(例えば、CD−ROM等)に書き込まれ、コンピュータがそのプログラムを読み取って実行可能なものである。このコンピュータは、CAD(Computer Aided Design Design)装置であってもよいし、CAD装置と接続されたコンピュータであってもよい。
先ず、図1を参照して構造設計方法を実行するためのコンピュータシステムの概要について説明する。同図において、コンピュータ1は中央処理装置(CPU)1a、RAM1b等からなり、記憶装置2、液晶デスプレイ等の表示装置8、プロッタ9、キーボード等の入力装置10が接続されている。記憶装置2はCD−ROM等の記録媒体が読み取り可能に装着されている。この記録媒体には、CADプログラム(軸組図作図手段3a,構面内壁の部材作図手段3b)3、軸組部材の剛性行列作成プログラム(手段)4、構面内壁の部材剛性行列作成プログラム(手段)5、建築構造物の静的解析プログラム(手段)6、建築構造物の動的解析プログラム(手段)7が格納されている。これらのプログラムは記憶媒体からコンピュータ1が読み出されて実行可能である。
軸組図作図手段3aは、建築構造物の柱、梁、床、基礎などの部材と接合部とで構成された架構の各部材を線材に置き換えて作図した軸組図作成する手段であり、架構の各交差部を節点として各部材の相対的座標位置が定められる。また、構面内壁の部材作図手段3bは、建築構造物の構面内壁、例えば袖壁、垂れ壁、腰壁、スリット壁等を線材とし、柱、梁等を主体とする上記軸組図に加えて作図する手段である。部材作図手段3bにより作図された構面内壁の各部材は、柱,梁等の軸組図に作図することによって、各構面内壁の相対的座標位置が定まる。
建築構造物の架構を示す軸組図の一例を図2(a)〜(d)に示す。同図(a)〜(d)は柱、梁等を主体とする軸組図に構面内壁を加えて表示された軸組図である。同図(a)は立体軸組図であり、同図(b),(c)が平面軸組図、同図(d)は天井伏図であり、柱C、梁B、床Sを線材で示するとともに、袖壁、垂れ壁、腰壁等の構面内壁Wを線材で示し、節点Nの位置座標に基づいて配置され、11は非常階段を示している。なお、この軸組図は、これらの部材を色彩で区別して表示装置8に表示している。
次に、構面内壁Wについて図3を参照して説明する。図3(a)〜(h)は、柱Cと梁B内の構面内壁Wを図示しており、同図(a),(b)はスリットを有する耐力壁(以下、スリット壁と称する)を示し、これらのスリット壁は、柱Cの軸力方向に対して水平方向にオフセットした成分と見なすことができる。なお、構造部材断面寸法はスリット壁固有の数値が用いられる。また、同図(c)と同図(d)、同図(e)と同図(f)、及び同図(g)と同図(h)は、それぞれ構面内壁が柱又は梁に作用する力を柱又は梁に分担させるためのモデル化した図である。構面内壁を分解したモデルとして、構面内壁Wが作用する力を柱C又は梁Bに分担して構造計算が可能である。無論、構造部材断面寸法は各構面内壁固有の数値が用いられる。
さらに、詳細に説明すると、同図(c)の構面内に開口を有する構面内壁(構面内開口壁)Wは、同図(d)に示すように、柱,梁の4片に沿った剛域R1 〜R4 ,可撓域D1 〜D4 を持った耐力壁と見なし、可撓域D1 〜D4 を梁B又は柱Cに作用する成分として分配する。即ち、可撓域D1 ,D3 はその近傍の柱Cに作用する領域と見なし、可撓域D2 ,D4 はその近傍の梁Bに作用する領域と見なす。また、同図(e)は2片の剛域R1 ,R2 ,可撓域D1 ,D2 を持った耐力壁と見なし、可撓域D1 はその近傍の柱Cに作用する領域と見なし、可撓域D2 はその近傍の梁Bに作用する領域と見なす。このようにして、同図(c),(e),(g)をそれぞれ同図(d),(f),(h)にモデル化する。開口を有する構面内壁Wは剛域と可撓域とに分けてモデル化し、それぞれの可撓域を柱又は梁のオフセットした線材と見なし、構面内壁Wの剛性行列を求めることによって、建築構造物の動的解析が可能になる。
本発明における建築構造物の構造設計方法について、図1を参照して説明すると、軸組図作成手段3aによる建築構造物を軸組図で表す作図手順と、構面内壁の部材作図手段3bによる建築構造物の構面内壁を柱又は梁のオフセットした線材要素として軸組図に表す構面内壁作図手順と、建築構造物における柱・梁の軸組の部材の剛性行列を作成する剛性行列作成手段4と構面内壁の線材要素の基準座標系剛性行列を作成する剛性行列作成手段5による基準座標系剛性行列作成手順と、上記作図手順と構面内壁作図手順とにより作図された軸組図の節点の位置座標に基づいて、基準座標系剛性行を用いて建築構造物の耐振性を解析する解析手順(静的解析手段6及び動的解析手段7による手順)とを含むプログラムにより実行することができる。
続いて、図4(a),(b)の単純な構面内壁Wを参照し、構面内壁の剛性行列を求める。建築構造物の柱Sと梁Bの各部材は、各部材の断面検討を行って断面寸法、使用材料等が決定される。建築構造物の構面内壁Wは線材要素として軸組図に作図される。即ち、構面内壁の線材要素は柱Sと梁Bとの交点である節点Nを座標として配置される。図4の構面内壁Wの基準座標系剛性変位行列は、構面内壁Wを線材とするI端,J端の剛性変位行列から求めることができる。なお、図4において、LXIは始端IよりX軸に沿った距離、LYIは始端IよりY軸に沿った距離、LZIは始端IよりZ軸に沿った距離を示し、LXJは始端JよりX軸に沿った距離、LYJは始端JよりY軸に沿った距離、LZJは始端JよりZ軸に沿った距離を示しており、建築構造物の柱・梁の位置座標に対して構面内壁を部材としたI端・J端の相対的な位置座標が定まれば、下記(数4)に示すI端剛性行列[DI]、及びJ端剛性行列[DJ]を得ることができる。
続いて、建築構造物の動的解析について、図5の概略処理フローを参照し説明すると、動的解析はステップS1〜S6の過程から構成され、建築構造物の各部材の剛性行列を算出し、振動方程式に導入する過程を説明する。
ステップS1では、日本建築学会基準に準拠した耐力関数(損傷限界時MMN耐力関数,安全限界時MMN耐力関数)により各部材が選定され、部材の成分が決まり、小行列I端部材剛性行列[kii]を求める。建築構造物の柱Sと梁Bの各部材は、部材剛性行列成分として、部材長L、縦断性定数E、せん断弾性定数G、x軸方向部材断面積Ax、y軸方向部材断面積Ay、z軸方向部材断面積Az、z軸まわり断面二次モーメントIz、y軸まわり断面二次モーメントIy、x軸まわり断面二次モーメントIx、y軸せん断形状係数(ky=Ax/Ay)、z軸せん断形状係数(kz=Ax/Az)、gz=12kyEIz/GAyL2 、gy=12kyEIy/GAzL2 とすると、この部材のI端部材座標系剛性行列[kii](6,6)が下記(数5)のように得られる。
ステップS2では、部材長Lによる平衡行列[h]を求め、部材の部材座標系剛性行列[k]を求める。平衡行列[h](6,6)は下記〔数6〕のように表される。
従って、部材座標系剛性行列[k](12,12)は、平衡行列[h]及びI端部材座標系剛性行列[kii]等により求めることができる。即ち、上記〔数5〕の[kii]、[kjj]=[h][kii]t[h]、[kij]=t[kji]=−[kii]t[h]であり、下記〔数7〕のように表される。
ステップS3は、座標変換行列[T]と部材座標系剛性行列[k]とに基づいて、基準座標系部材剛性行列[K]を求める。先ず、座標変換行列[T]について、図6を参照して説明する。同図において、部材I端の座標をXi,Yi,Ziとし、部材J端の座標をXj,Yj,Zjとする。部材座標z軸と基準座標Z軸がなす角度をθとする。また、Vx=Xi−Xj、Vy=Yi−Yj、VZ=Zi−Zjとする。部材長さL=√(VX2 +VY2 +VZ2 )、LD=√(VX2 +VY2 )、LLD=LD・Lとする。小行列[u(3,3)]が、下記〔数8〕のように求められる。
小行列[u]が〔数8〕とすると、下記〔数9〕に示す座標変換行列[T](12,12)が得られる。
従って、基準座標系剛性行列[K]は、上記の部材座標系剛性行列[k]と座標変換行列[T]とから得られる。基準座標系剛性行列[K]は、[K]=[T][k]t[T]により得られる。なお、t[T]は[T]の倒置行列である。ただし、構面内壁Wである部材の基準座標系剛性行列は、[K]を[K]に置き換え、[K]=[T][k]t[T]とし、新たな[K]が得られる。
ステップS4では、剛性行列の作成に当たり、建築構造物が柱・梁等の主な骨組構造物以外の部材である構面内壁(袖壁、垂れ壁、腰壁、スリット壁)である場合、構面内壁を部材とする剛性行列の求めるステップS5に進む。
ステップS5では、柱・梁等の部材の基準座標系剛性行列[K]を構面内壁の部材の基準座標系剛性行列[K]に置き換え、上述の構面内壁に作用する剛体変位行列[DI],[DJ]を求め、〔数10〕による演算処理によって、構面内壁の部材の剛性行列[K]を求める。
ステップS6では、基準座標系部材剛性行列[K]を重ね合わせた新たな全体座標系剛性行列[K]=Σ[K]を構成する。全体座標系での変位ベクトル{D}=Σ{D}、全体座標系での力ベクトルを{P}=Σ{P}とすると、下記〔数11〕に示す全体座標系での振動方程式が得られる。
上記振動方程式を数値計算することによって、変位{D}により基準座標系部材応力{P}=[K]{D}を得る。次の演算にて新たな基準座標系{P}=[DJ]{P}を新たに得る。この数値計算を繰り返すことによって、図7に示すように、{P}のmy、mzを描画すると、モーメント図が得られるとともに、図8,9に示すように、建築構造物の動的弾塑性応答計算を行って入力地震波に対する挙動解析が可能であり、建築構造物の地震波に対する必要な保有耐力を有するか否かを判断することができる。
図8(a),(b)は、本発明のプログラムをコンピュータで実行した結果を示しており、同図(a)は建築構造物の構内面壁としてスリット壁を配置しない場合であり、図(b)は同一階層の建築構造物に3ピース(矢印で示す)のスリット壁を配置した場合であり、建築構造物に入力地震波を加えた際の動的挙動を示している。本発明のプログラムによる解析結果によれば、建築構造物には、せん断耐力の劣化が特定の階に発生することがないことを示し、図(a)では崩壊時の層間変位角(階高/相対変位)が212radであるのに対して、図(b)ではスリット壁を配置した建築構造物では240radであり、構内面壁であるスリット壁を設けることによって、せん断耐力が増すことを示している。
次に、 図9(a),(b),(c)は、建築構造物に最大進入加速度波500galの入力地震波(図9(d))を加えた場合の弾塑性振動応答計算結果(動的解析手段)を示している。上記全体座標系振動方程式に最大進入加速度波500galの入力地震波による建築構造物の挙動をシミュレーションした。図9(a)は三次元における示したように、建築構造物が揺れ方を表示することが可能であり、図9(b)はスリット壁がない場合であり、図9(c)はスリット壁を設けた場合の最大加速度を示しており、図9(b)では最大加速度が1420galであったのに対し、図9(c)では1373galであった。建築構造物にスリット壁を設けることにより、最大加速度が抑制されたことを示している。
本発明は、建築構造物の構造設計に用いられ、殊に、高さが60m以下は勿論、60m以上の建築物の構造計算に有効である。
1 コンピュータ
2 記憶装置
3 CADプログラム
3a 軸組図作成手段
3b 構面内壁の部材作図手段
4 軸組部材の剛性行列作成プログラム(手段)
5 構面内壁の部材剛性行列作成プログラム(手段)
6 建築構造物の静的解析プログラム(手段)
7 建築構造物の動的解析プログラム(手段)
2 記憶装置
3 CADプログラム
3a 軸組図作成手段
3b 構面内壁の部材作図手段
4 軸組部材の剛性行列作成プログラム(手段)
5 構面内壁の部材剛性行列作成プログラム(手段)
6 建築構造物の静的解析プログラム(手段)
7 建築構造物の動的解析プログラム(手段)
Claims (6)
- 建築構造物の架構である軸組図を作成し、該建築構造物の構面内壁をせん断部材とする線材要素として軸組図に配置し、該軸組図に基づいて、コンピュータにより該建築構造物の構造解析することを特徴とする建築構造物の構造設計方法。
- 前記構面内壁が柱に取り付いた壁、梁の上部に取り付いた腰壁、梁の下部に取り付いた垂れ壁、柱や梁に囲まれた開口部に取り付いたスリット壁等であり、該構面内壁を柱又は梁のオフセットした線材要素とし、該線材要素の断面検定を行うことを特徴とする請求項1に記載の建築構造物の構造設計方法。
- 建築構造物を軸組図で表す作図手順と、
該建築構造物の構面内壁を柱又は梁のオフセットした線材要素として該軸組図に表す構面内壁作図手順と、
前記柱又は梁及び前記構面内壁の線材要素の基準座標系剛性行列を作成する基準座標系剛性行列作成手順と、
該作図手順と該構面内壁作図手順とにより作図された軸組図の節点の位置座標に基づいて、該基準座標系剛性行を用いて該建築構造物の耐振性を解析する解析手順と、
を含むことを特徴とする建築構造物の構造設計方法のプログラム。 - 前記建築構造物の各部材の前記基準座標系部材剛性行列[K]を重ね合わせて全体座標系剛性行列[K]とし、全体座標系における変位ベクトル{D}と力ベクトル{P}とによる全体座標系振動方程式を得る手順を有することを特徴とする請求項4に記載の建築構造物の構造設計方法のプログラム。
- 請求項4又は5に記載の建築構造物の構造設計方法のプログラムを格納し、コンピュータが読み出して実行可能であることを特徴とする建築構造物の構造設計方法のプログラムを格納された記録媒体。
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