JP2007264840A - ひび割れ解析装置、ひび割れ解析方法、及びひび割れ解析プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易にひび割れの発生箇所を予測することができるひび割れ解析装置、ひび割れ解析方法、及びひび割れ解析プログラムを提供する。
【解決手段】基本入力データ部52の各入力領域に入力された鉄筋コンクリート壁を有する構造物の簡略した構造を示す構造変数に基づいて有限要素法による鉄筋コンクリート壁98の歪みの解析に用いる解析データを生成し、生成した解析データに基づいて鉄筋コンクリート壁を構成するコンクリートに乾燥による収縮が発生した場合の鉄筋コンクリート壁に発生する歪みを有限要素法を用いて解析し、解析結果に基づいて表示部90に鉄筋コンクリート壁98の所定量以上の歪みが発生する部分をひび割れの発生が予測される部分として提示する。
【選択図】図2
【解決手段】基本入力データ部52の各入力領域に入力された鉄筋コンクリート壁を有する構造物の簡略した構造を示す構造変数に基づいて有限要素法による鉄筋コンクリート壁98の歪みの解析に用いる解析データを生成し、生成した解析データに基づいて鉄筋コンクリート壁を構成するコンクリートに乾燥による収縮が発生した場合の鉄筋コンクリート壁に発生する歪みを有限要素法を用いて解析し、解析結果に基づいて表示部90に鉄筋コンクリート壁98の所定量以上の歪みが発生する部分をひび割れの発生が予測される部分として提示する。
【選択図】図2
Description
本発明は、ひび割れ解析装置、ひび割れ解析方法、及びひび割れ解析プログラムに係り、特に、鉄筋コンクリート壁を有する構造物の当該鉄筋コンクリート壁のひび割れが発生すると予測される部分を提示するひび割れ解析装置、ひび割れ解析方法、及びひび割れ解析プログラムに関する。
従来、コンクリートは乾燥によって収縮することが知られている。このため、鉄筋コンクリート壁を有する構造物では、コンクリートの乾燥による収縮に伴って鉄筋コンクリート壁にひび割れが発生する場合がある。このひび割れの発生箇所には、構造物の柱や梁、鉄筋コンクリート壁の剛性や、鉄筋コンクリート壁の鉄筋量などが複雑に関係している。
このひび割れの発生箇所を予測する従来の技術として、有限要素法(FEM)を用いて解析を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1)。この種の技術を用いてひび割れの発生箇所を予測する場合、作業者が構造物の図面を読み取って構造物の梁や柱、鉄筋コンクリート壁をマトリクス状に分割し、分割した各領域の剛性等を求めた解析データを作成し、当該解析データを用いて有限要素法による解析を行っていた。
特開2001−290847号公報
しかしながら、上記従来の技術を用いてひび割れの発生箇所を予測する場合、作業者が構造物の図面を読み取って解析データを作成する必要があるため、解析データの作成自体に著しく時間がかかり、簡易にひび割れの発生箇所を予測することができない、という問題点があった。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、簡易にひび割れの発生箇所を予測することができるひび割れ解析装置、ひび割れ解析方法、及びひび割れ解析プログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、鉄筋コンクリート壁を有する構造物の簡略した構造を示す構造変数及び前記鉄筋コンクリート壁を構成するコンクリートの乾燥による収縮量を解析条件として入力される入力手段と、前記入力手段より入力された前記構造変数に基づいて有限要素法による前記鉄筋コンクリート壁の歪みの解析に用いる解析データを生成する生成手段と、前記生成手段により生成された前記解析データに基づいて前記解析条件の収縮が発生した場合の前記鉄筋コンクリート壁に発生する歪みを有限要素法を用いて解析する解析手段と、前記解析手段による解析結果に基づいて前記鉄筋コンクリート壁の所定量以上の歪みが発生する部分をひび割れの発生が予測される部分として提示する提示手段と、を備えている。
請求項1記載の発明によれば、入力手段により、鉄筋コンクリート壁を有する構造物の簡略した構造を示す構造変数及び鉄筋コンクリート壁を構成するコンクリートの乾燥による収縮量を解析条件として入力され、生成手段により、入力手段よって入力された構造変数に基づいて有限要素法による鉄筋コンクリート壁の歪みの解析に用いる解析データが生成され、解析手段により、生成手段によって生成された解析データに基づいて解析条件の収縮が発生した場合の鉄筋コンクリート壁に発生する歪みが有限要素法を用いて解析され、提示手段により、解析手段による解析結果に基づいて鉄筋コンクリート壁の所定量以上の歪みが発生する部分がひび割れの発生が予測される部分として提示される。なお、上記提示手段による情報の提示にはディスプレイ装置による表示やプリンタによる印刷による提示の他、LAN、インターネット、イントラネット等のネットワークを介した外部装置への提示(出力)が含まれる。
このように、請求項1記載の発明によれば、入力された鉄筋コンクリート壁を有する構造物の簡略した構造を示す構造変数に基づいて有限要素法による鉄筋コンクリート壁の歪みの解析に用いる解析データを生成し、生成した解析データに基づいて鉄筋コンクリート壁を構成するコンクリートに乾燥による収縮が発生した場合の鉄筋コンクリート壁に発生する歪みを有限要素法を用いて解析し、解析結果に基づいて鉄筋コンクリート壁の所定量以上の歪みが発生する部分をひび割れの発生が予測される部分として提示しているので、簡易にひび割れの発生箇所を予測することができる。
なお、請求項1記載の発明は、請求項2記載の発明のように、前記構造変数が、前記構造物の全高、全幅、階数、前記構造物に設けられた柱の柱幅、柱厚、前記構造物に設けられた梁の梁せい、梁厚、前記構造物に設けられた前記鉄筋コンクリート壁の壁数、壁厚、前記鉄筋コンクリート壁を構成するコンクリートの強度、及び前記鉄筋コンクリート壁に含まれる鉄筋の鉄筋量を含み、前記生成手段が、収縮の発生しない基礎上に外形形状を前記全高及び前記全幅の矩形状とし、均等な高さで前記階数に各階を分け、各階に均等な幅で前記壁数の鉄筋コンクリート壁を設け、各階の上部に前記全幅、前記梁せい及び前記梁厚の梁を設け、前記基礎に下端が拘束された前記全高、前記柱幅及び柱厚の柱を各鉄筋コンクリート壁間及び構造物の両端に設け、各梁と各柱によって各鉄筋コンクリート壁を拘束した解析モデルを作成し、当該解析モデルの各柱、各梁、各鉄筋コンクリート壁を高さ方向及び幅方向にマトリクス状に分割し、前記コンクリートの強度、前記柱幅及び前記柱厚に基づいて前記柱の分割された各領域の剛性を求めると共に、前記コンクリートの強度、前記梁せい及び前記梁厚に基づいて前記梁の分割された各領域の剛性を求め、前記コンクリートの強度、前記鉄筋量及び前記壁厚に基づいて前記鉄筋コンクリート壁の分割された各領域の剛性を求めた解析データを生成するものとしてもよい。
また、請求項2記載の発明は、請求項3記載の発明のように、前記鉄筋量に応じて前記鉄筋コンクリート壁に発生するひび割れの最大幅を示す最大ひび割れ幅情報が予め記憶された記憶手段をさらに備え、前記提示手段が、前記鉄筋コンクリート壁のひび割れの発生が予測される部分の鉄筋量に応じて前記最大ひび割れ幅情報により示されるひび割れの最大幅が所定幅以上の部分を提示してもよい。なお、上記記憶手段には、RAM、EEPROM、フラッシュEEPROM等の半導体記憶素子、スマート・メディア(SmartMedia(登録商標))、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の可搬記録媒体やハードディスク等の固定記録媒体、或いはネットワークに接続されたサーバ・コンピュータ等に設けられた外部記憶装置が含まれる。
また、請求項2記載の発明は、請求項4記載の発明のように、前記入力手段が、前記構造変数として前記鉄筋コンクリート壁に設ける目地の本数が更に入力され、前記生成手段が、各鉄筋コンクリート壁に均等に前記本数の高さ方向の目地を更に設けた前記解析モデルを作成し、ひび割れ発生に至るまでは前記コンクリートの剛性を適用し、ひび割れ発生後は鉄筋の剛性を適用して当該目地の剛性を求めた解析データを生成してもよい。
また、請求項2乃至請求項4の何れか1項記載の発明は、請求項5記載の発明のように、前記生成手段が、コンクリートに生じるクリープの状態に応じて各領域の剛性を所定の割合だけ減少させることが好ましい。
一方、上記目的を達成するために、請求項6記載のひび割れ解析方法は、入力された鉄筋コンクリート壁を有する構造物の簡略した構造を示す構造変数に基づいて有限要素法による前記鉄筋コンクリート壁の歪みの解析に用いる解析データを生成し、生成した前記解析データに基づいて前記鉄筋コンクリート壁を構成するコンクリートに乾燥による収縮が発生した場合の前記鉄筋コンクリート壁に発生する歪みを有限要素法を用いて解析し、解析結果に基づいて前記鉄筋コンクリート壁の所定量以上の歪みが発生する部分をひび割れの発生が予測される部分として提示する。
従って、請求項6記載のひび割れ解析方法によれば、請求項1記載の発明と同様に作用するので、請求項1記載の発明と同様に、簡易にひび割れの発生箇所を予測することができる。
一方、上記目的を達成するために、請求項7記載のひび割れ解析プログラムは、鉄筋コンクリート壁を有する構造物の簡略した構造を示す構造変数に基づいて有限要素法による前記鉄筋コンクリート壁の歪みの解析に用いる解析データを生成する生成ステップと、前記生成ステップにより生成された前記解析データに基づいて前記鉄筋コンクリート壁を構成するコンクリートに乾燥による収縮が発生した場合の前記鉄筋コンクリート壁に発生する歪みを有限要素法を用いて解析する解析ステップと、解析結果に基づいて前記鉄筋コンクリート壁の所定量以上の歪みが発生する部分をひび割れの発生が予測される部分として提示する提示ステップと、をコンピュータに実行させるものである。
従って、請求項7記載のひび割れ解析プログラムによれば、コンピュータに対して請求項1記載の発明と同様に作用させることができるので、請求項1記載の発明と同様に、簡易にひび割れの発生箇所を予測することができる。
以上説明したように、本発明によれば、入力された鉄筋コンクリート壁を有する構造物の簡略した構造を示す構造変数に基づいて有限要素法による鉄筋コンクリート壁の歪みの解析に用いる解析データを生成し、生成した解析データに基づいて鉄筋コンクリート壁を構成するコンクリートに乾燥による収縮が発生した場合の鉄筋コンクリート壁に発生する歪みを有限要素法を用いて解析し、解析結果に基づいて鉄筋コンクリート壁の所定量以上の歪みが発生する部分をひび割れの発生が予測される部分として提示しているので、簡易にひび割れの発生箇所を予測することができる、という優れた効果を有する。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、ここでは、本発明をパーソナル・コンピュータ(以下、単に「コンピュータ」という。)に適用した場合について説明する。
(第1の実施の形態)
図1には、本実施の形態に係るコンピュータ10の電気系の要部構成が示されている。
図1には、本実施の形態に係るコンピュータ10の電気系の要部構成が示されている。
コンピュータ10は、装置全体の動作を司るCPU(中央処理装置)20と、コンピュータ10を制御する制御プログラムや各種パラメータ等が予め記憶されたROM22と、各種データを一時的に記憶するRAM24と、各種データやインストールされた各種プログラムを記憶するHDD(ハードディスクドライブ)26と、構造物における鉄筋コンクリート壁のひび割れに関する解析条件や解析結果等を表示するディスプレイ28と、ディスプレイ28への各種情報の表示状態を制御するディスプレイドライバ30と、ひび割れに関する解析を行う際の各種条件を入力するためのキーボード32と、ディスプレイ28に表示された画像の画面上での位置をポインティング指示するマウス34と、キーボード32やマウス34に対する操作を検出する操作入力検出部36と、を備えている。
CPU20、ROM22、RAM24、HDD26、ディスプレイドライバ30、及び操作入力検出部36は、システムバスBUSを介して相互に接続されている。従って、CPU20は、ROM22、RAM24、HDD26へのアクセスと、ディスプレイドライバ30を介したディスプレイ28への各種情報の表示を各々行うことができる。また、CPU20は、キーボード32及びマウス34に対する操作を常時把握できる。
ところで、本実施の形態に係るコンピュータ10は、構造物の鉄筋コンクリート壁のひび割れ解析処理全体を制御する解析制御プログラムや、有限要素法による解析を行う解析プログラム、ひび割れ図作成プログラム等の各種プログラムがHDD26に各々記憶(インストール)されている。なお、本実施の形態では、解析プログラムとして、本出願人が財団法人電力中央研究所と共同開発した構造物3次元非線形地震応答解析プログラム(NAPISOS)を用いている。
コンピュータ10では、HDD26に記憶されている解析制御プログラムがCPU20によって実行されると、ひび割れ解析メイン画面50がひびディスプレイ28に表示される。
図2には、本実施の形態に係るひび割れ解析メイン画面50の表示状態例が示されている。
ひび割れ解析メイン画面50は、構造物の簡略した構造を示す構造変数及び鉄筋コンクリート壁を構成するコンクリートの乾燥による収縮量を解析条件として入力される基本入力データ部52と、基本入力データ部52に入力された各種の構造変数に基づいて構造物を示す解析モデルを作成し、有限要素法による解析に用いる解析データの生成を指示する解析モデル作成指示ボタン80と、生成された解析データを用いた前記解析プログラムによる解析の実行を指示する解析実行指示ボタン82と、解析プログラムによる解析結果に基づくひび割れ図の作成を指示するひび割れ図作成指示ボタン84と、作成された解析モデルや作成されたひび割れ図を表示する表示部90と、を備えている。
基本入力データ部52は、構造変数として、構造物全体の幅(全幅)を入力する全幅入力領域54と、構造物全体の高さ(全高)を入力する全高入力領域58と、構造物の階数を入力する階数入力領域60と、各階の鉄筋コンクリート壁を設けるスパンの数を入力するスパン数入力領域56と、構造物に設ける柱の柱幅を入力する柱幅入力領域62と、当該柱の柱厚を入力する柱厚入力領域64と、各階に設ける梁の梁せい(梁の高さ)を入力する梁せい入力領域66と、当該梁の梁厚を入力する梁厚入力領域68と、を備えている。
また、基本入力データ部52は、鉄筋コンクリート壁を構成するコンクリートの強度を入力する強度入力領域70と、鉄筋コンクリート壁の壁厚を入力する壁厚入力領域72と、鉄筋コンクリート壁に含まれる鉄筋の比率を入力する鉄筋量入力領域74と、各鉄筋コンクリート壁に設ける目地の何本を選択する目地本数選択領域78と、をさらに備えている。なお、本実施の形態に係る目地本数選択領域78では、目地の本数をなし(0本)〜4本の中から選択することが可能とされている。
また、基本入力データ部52は、解析条件として、コンクリートの単位長さあたりの収縮量を入力する収縮量入力領域76をさらに備えている。
ひび割れ解析メイン画面50は、ユーザによりキーボード32及びマウス34を用いて基本入力データ部52の上記各入力領域に対応する変数が入力され、目地本数選択領域78から目地本数が選択された後に、解析モデル作成指示ボタン80が指定されると後述する解析モデル作成処理が実行されて解析データが生成される。
次に、本実施の形態に係る解析モデル作成処理により作成される解析モデルについて説明する。
解析モデル作成処理では、ひび割れ解析メイン画面50(図2参照。)の表示部90に表示されように、収縮の発生しない基礎梁92上に外形形状を全高入力領域58に入力された高さ及び全幅入力領域54に入力された幅の矩形状とし、階数入力領域60に入力された階数に各階を均等な高さで分け、スパン数入力領域56に入力された数の鉄筋コンクリート壁94を各階に均等な幅で設け、各階の上部に外形形状と同じ幅で梁せい入力領域66に入力された梁せい及び梁厚入力領域68に入力された梁厚の梁96を設け、各鉄筋コンクリート壁94の間及び構造物の両端に基礎梁92に下端が拘束された外形形状と同じ高さで柱幅入力領域62に入力された柱幅及び柱厚入力領域64に入力された柱厚の柱98を設けて各梁96と各柱98により各鉄筋コンクリート壁94を拘束し、各鉄筋コンクリート壁94の高さ方向に沿って目地本数選択領域78で選択された本数の目地を均等に設けた解析モデルを作成する。
そして、作成した解析モデルの基礎梁92、柱98、梁96、鉄筋コンクリート壁94を高さ方向及び幅方向にマトリクス状に分割し、分割した各領域(以下、「メッシュ」という。)の節点座標や要素番号、各メッシュの剛性、及び各メッシュの収縮量等を求めた解析データを生成する。図2の表示部90には、目地を設けずに各鉄筋コンクリート壁94を6×3(幅方向×高さ方向)のメッシュに分割した解析モデルが示されている。なお、鉄筋コンクリート壁94に目地95を設けた場合は、図8に示すように、目地95をメッシュに分割すると共に目地95を境目として鉄筋コンクリート壁94をそれぞれ分割する。
次に、基礎梁92、柱98、梁96、鉄筋コンクリート壁94の各メッシュの剛性について説明する。
本実施の形態では、強度入力領域70に入力されたコンクリートの強度から「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説-許容応力度設計法-1999」(日本建築学会)に記載の以下の(1)式を用いてコンクリートのヤング率Eを算出する。
ここで、FCはコンクリートの強度を表す。γは鉄筋コンクリートの単位容積重量(KN/m3)を表し、使用されるコンクリート種類(本実施の形態ではコンクリート種類を普通コンクリートとしている)及び強度FCに応じて図3のように定められている。
本実施の形態に係るコンピュータ10では、図3に示される強度FCに応じた単位容積重量γの情報をHDD58に予め記憶しており、当該情報に基づいて強度FCから単位容積重量γを求め、求めた単位容積重量γから1.0を減じた値と強度FCを用いて(1)式からヤング率Eを算出する。
そして、本実施の形態では、算出したコンクリートのヤング率Eからコンクリートのポアソン比νを0.2としてコンクリートのせん断弾性係数Gを求める。
ところで、構造物の基礎梁92や柱98、梁96は鉄筋コンクリート壁94と同様に鉄筋が配筋されている。しかし、一般的に、基礎梁92や柱98、梁96は鉄筋コンクリート壁94と比較して十分に厚みがあるため、鉄筋コンクリート壁94よりも剛性が高い。このため、本実施の形態では、基礎梁92や柱98、梁96の各メッシュに対して、当該メッシュが隣りのメッシュと接する面の面積S、コンクリートのヤング率E、及びせん断弾性係数Gに基づいて各メッシュの剛性を示す歪みεと応力σの関係及びせん断歪みγとせん断応力τの関係を求めている。
一方、鉄筋コンクリート壁94は、図4(A)に示すように、鉄筋が配筋されており、
内部に配筋された鉄筋量によって剛性が異なる。
内部に配筋された鉄筋量によって剛性が異なる。
このため、本実施の形態では、鉄筋量入力領域74に入力された鉄筋量に応じて、図4(B)に示すように、鉄筋コンクリート壁94の各メッシュをコンクリート層94Aと鉄筋層94Bに分けている。また、鉄筋層94Bは、鉄筋の配筋された方向によっても剛性が異なる。そこで、本実施の形態では、図4(A)に示すように、鉄筋コンクリート壁94に鉄筋が幅方向と高さ方向の2方向に配筋されているものと仮定し、鉄筋層94Bを均等に2層(94B1、94B2)に分けている。すわなち、本実施の形態では鉄筋コンクリート壁94の各メッシュを、1層のコンクリート層94Aと2層の鉄筋層94Bの計3層に分けており、各メッシュには3層の応力の合計が外力と釣り合うように歪みが発生するものとしている。
本実施の形態では、2層の鉄筋層94Bの一方に幅方向に対して鉄筋量に応じて図5に示されるバイリニア型の塑性特性を有する歪みεと応力σの関係を示す情報を求め、2層の鉄筋層94Bの他方に高さ方向に対して同様のバイリニア型の塑性特性を有する歪みεと応力σの関係を示す情報を求めている。
ところで、コンクリートはひび割れが発生すると剛性が変化する。そこで、本実施の形態では、コンクリート層94Aに発生した応力が図5(B)に示すDrucker-Pragerの降伏条件を満たす場合にコンクリート層94Aのσ1と垂直な平面内にひび割れが発生したものとして、コンクリート層94Aの剛性を変化させる。なお、図5(B)のσ1はメッシュに発生する応力が最も大きい最大応力方向の応力を表し、σ2は最大応力方向に対する直行方向の応力を表しており、共にメッシュの内部へ向かう方向の応力がプラスとされている。
図6(A)には、ひび割れ発生後のコンクリート層94Aのひび割れ面と平行方向及び直交方向の歪みεと応力σの関係が示されている。また、図6(B)には、ひび割れ発生後の最大歪み量εmaxとせん断弾性係数Gの変化の関係が示されている。
本実施の形態では、コンクリート層94Aに対して、コンクリート層94Aにひび割れが発生する降伏条件を示す情報(図5(B))を求め、ひび割れ発生前の剛性を示す情報として、コンクリート層94Aを含んだメッシュが隣りのメッシュと接する面の面積S、コンクリートのヤング率E、せん断弾性係数Gより歪みεと応力σの関係及びせん断歪みγとせん断応力τの関係を求め、ひび割れ発生後の剛性を示す情報として、図6(A)(B)に示す歪みεと応力σの関係及び最大歪み量εmaxに応じた断弾性係数Gよりせん断歪みγとせん断応力τの関係を求める。
次に、目地95の各メッシュの剛性について説明する。
本実施の形態では、図7に示すように、目地95を鉄筋コンクリート壁94の目地95以外の部分よりも薄い所定の割合(本実施の形態では3/4倍)の厚さの部分としている。このため、鉄筋コンクリート壁94の目地95は、その他の部分よりもひび割れが発生しやすい。
そこで、本実施の形態では、解析モデルの各鉄筋コンクリート壁94に目地95を設けた場合、図8に示すように、目地95をメッシュ間に設けられたばねと仮定し、目地95にひび割れが発生するまではコンクリートの剛性を適応し、ひび割れ発生後は鉄筋の剛性を適用して目地95の幅の変位量δとばねの反力Pの関係を求める。
コンクリートによるばね係数Kc及目地95の変位量δと発生する反力Pの関係を以下の(2)式、(3)式のように求めることができる。
Kc=E×A/lc ・・・(2)
P=Kc×δ ・・・(3)
ここで、Aは目地95の断面積(鉄筋コンクリート壁の断面積Sの3/4)を表し、lcは外力に応じて伸縮するコンクリート部分の長さを表す(本実施の形態では10[mm])。
Kc=E×A/lc ・・・(2)
P=Kc×δ ・・・(3)
ここで、Aは目地95の断面積(鉄筋コンクリート壁の断面積Sの3/4)を表し、lcは外力に応じて伸縮するコンクリート部分の長さを表す(本実施の形態では10[mm])。
このコンクリートの降伏応力をσt(本実施の形態では2.156[kN/mm2])とすると、コンクリートにひび割れ発生する反力Ptを以下の(4)式から求めることができる。
Pt=σt×A ・・・(4)
よって、図9(A)に示すように、目地95は、外力によってコンクリートの変位量δがδtとなって反力P=Ptとなるとひび割れが発生する。
Pt=σt×A ・・・(4)
よって、図9(A)に示すように、目地95は、外力によってコンクリートの変位量δがδtとなって反力P=Ptとなるとひび割れが発生する。
一方、鉄筋によるばね係数Ke及び鉄筋の変位量δと反力Pの関係を以下の(5)式、(6)式のように求めることができる。
Ke=Ee×As/le ・・・(5)
P=Ke×δ ・・・(6)
ここで、Eeは鉄筋のヤング率を表し(本実施の形態では2.06×105[N/mm2])、Asは鉄筋の断面積を表し、leは外力に応じてコンクリートから抜け出す鉄筋部分の長さを表す(本実施の形態では169[mm])。
Ke=Ee×As/le ・・・(5)
P=Ke×δ ・・・(6)
ここで、Eeは鉄筋のヤング率を表し(本実施の形態では2.06×105[N/mm2])、Asは鉄筋の断面積を表し、leは外力に応じてコンクリートから抜け出す鉄筋部分の長さを表す(本実施の形態では169[mm])。
この鉄筋の単位長さ当たりの降伏歪みをεs(本実施の形態では0.001432[mm])とすると、鉄筋の限界伸張量δsを以下の(7)式から求めることができる。
δs=εs×le ・・・(7)
よって、図9(B)に示すように、鉄筋は、外力P=Psとなって鉄筋の変位量δがδsとなると鉄筋の切断が発生する。
δs=εs×le ・・・(7)
よって、図9(B)に示すように、鉄筋は、外力P=Psとなって鉄筋の変位量δがδsとなると鉄筋の切断が発生する。
そこで、本実施の形態では、図9(B)に示すように、P=Ptとなってコンクリートにひび割れが発生した後、(δt,Pt)と(δs,Ps)を結ぶ直線に沿って目地95の幅の変位量δとばねの反力Pの関係を示す情報を求める。
ところで、実際の構造物では、コンクリートの収縮によって鉄筋コンクリート壁に歪みが発生するが、コンクリートに生じるクリープ(Creep)によって収縮に伴う応力が減少する現象が発生する。このため、解析に用いるヤング率にクリープによる影響を考慮する必要がある。
そこで、図10に示すような構造物を実際に免震装置上に作成し、当該構造物の鉄筋コンクリート壁94の歪み量と本発明の解析モデルを用いて解析を行った歪み量との比較を行った。このように免震装置上に構造物を作成したことにより、構造物に対して基礎梁92の拘束による応力への影響が小さくなるため、クリープによる応力の減少をより正確に求めることができる。このような比較を行った結果、解析に用いるヤング率を実際のコンクリートの強度から求まるヤング率Eの所定の割合(本実施の形態では2/3)とすることにより、実際の鉄筋コンクリート壁94の歪み量を解析によって求めることができた。
よって、本実施の形態に係る解析においても、解析に用いるヤング率を実際のコンクリートの強度から求まるヤング率Eの所定の割合として剛性を減少させている。
次に、本実施の形態に係るコンピュータ10を用いて構造物の鉄筋コンクリート壁94のひび割れ発生位置を解析する際の動作の流れを簡単に説明する。
コンピュータ10は、ユーザよってひび割れ発生位置の解析を行う所定操作が行われるとCPU20によってHDD26に記憶されている解析制御プログラムを実行して、ディスプレイ28にひび割れ解析メイン画面50を表示する。
ユーザは、キーボード32及びマウス34を用いて基本入力データ部52の各入力領域に解析対象とする構造物の構造を示す変数を入力し、目地本数選択領域78から目地本数を選択した後、解析データを作成を指示する解析モデル作成指示ボタン80を指定する。
コンピュータ10は、解析モデル作成指示ボタン80が指定されるとCPU20によってHDD26に記憶されている解析モデル作成処理プログラムを実行する。
次に、図11を参照しつつ、CPU20によって解析モデル作成処理プログラムが実行される際のコンピュータ10の作用を説明する。なお、図11は、解析モデル作成処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
同図のステップ100では、ユーザにより基本入力データ部52の入力領域に対して入力された各変数に基づいて、解析モデルを作成し、次のステップ102では、生成した解析モデルをメッシュに分割する。
次のステップ104では、ユーザにより強度入力領域70に対して入力されたコンクリートの強度に基づいて上述した(1)式からコンクリートのヤング率Eを求め、当該ヤング率の所定の割合(本実施の形態では2/3)としたヤング率を用いて基礎梁92、柱98、梁96、鉄筋コンクリート壁94の各メッシュの歪みεと応力σの関係及びせん断歪みγとせん断応力τの関係を示す情報を求める。
また、収縮量入力領域76に入力されたコンクリートの単位長さあたりの収縮量と各メッシュのサイズに基づいて各メッシュの収縮量を求める。
さらに、解析モデルの鉄筋コンクリート壁94に目地95が含まれている場合は、目地95をメッシュ間に設けられたばねと仮定し、図9(B)に示すように、目地95にひび割れが発生するまではコンクリートの剛性を適用し、ひび割れ発生後は鉄筋の剛性を適用した目地95の幅の変位量δと反力Pの関係を示す情報を求める。
次のステップ106では、解析プログラムの読み込みフォーマットに合わせて、解析モデルの各メッシュの節点座標や要素番号を示す情報、各メッシュの剛性を示す情報、及び各メッシュの収縮量を示す情報等の解析に必要な情報を含んだ解析データを生成する。
次のステップ108では、生成された解析データをHDD26の所定領域に記憶させて本解析モデル作成処理は終了となる。
図12には、生成された解析データの一例が示されている。
ユーザは、解析データの作成が終了した後に、当該解析データを用いて解析プログラムによる解析を実行する場合、解析実行指示ボタン82を指定する。
コンピュータ10は、解析実行指示ボタン82が指定されるとCPU20によってHDD26に記憶されている解析プログラムを実行する。
次に、図13を参照しつつ、CPU20によって解析プログラムが実行される際のコンピュータ10の作用を説明する。なお、図13は、解析プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
同図のステップ150では、HDD26の所定領域に記憶された解析データを読み込み、次のステップ152では、読み込んだ解析データに基づいてコンクリートに指定された収縮が発生した場合の各メッシュの歪み、内部応力分布を有限要素法により解析する。
次のステップ154では、解析により求まった各メッシュの歪み状態を示す解析結果データをHDD26の所定領域に記憶させて本解析処理は終了となる。
ユーザは、解析処理が終了した後に、ひび割れ図の作成を指示する場合、ひび割れ図作成指示ボタン84を指定する。
コンピュータ10は、ひび割れ図作成指示ボタン84が指定されるとCPU20によってHDD26に記憶されているひび割れ図作成プログラムを実行する。
次に、図14を参照しつつ、CPU20によってひび割れ図作成プログラムが実行される際のコンピュータ10の作用を説明する。なお、図14は、ひび割れ図作成プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
同図のステップ200では、HDD26の所定領域に記憶された解析結果データを読み込み、次のステップ202では、読み込んだ解析結果データに基づき、各メッシュに歪み生じさせると共に、予め定めた歪み量の範囲毎に各メッシュに発生した歪み量に応じて解析モデルの対応するメッシュを色分けして表示部90に表示し、本ひび割れ図作成は終了となる。
鉄筋コンクリート壁94は歪み量が大きい部分ほどひび割れが発生しやすい。よって、ユーザは、表示されたひび割れ図を参照することにより、ひび割れが発生しやすい箇所を予測することができる。
図15(B)〜(E)には、実際に梁96及び柱98に囲まれた1つの鉄筋コンクリート壁94を有する構造物を作成してひび割れの測定を行なった結果と、本実施の形態に係るコンピュータ10を用いて当該構造物を示す解析データを生成してひび割れの解析を行った結果と、が示されている。なお、図15(B)、(D)では、メッシュの色の違いをパターンを変えることにより示している。
図15(A)は、作成した構造物の詳細な構成を示している。
図15(B)は、単位長さあたりの収縮量が800μのコンクリートを用いて構造物を作成し、3ヶ月経過した後の鉄筋コンクリート壁94にひび割れが発生した箇所及びひび割れ幅を示しており、図15(D)は、単位長さあたりのコンクリートの収縮量を800μとして本実施の形態に係るコンピュータ10を用いて、当該構造物のひび割れの発生が予測される箇所を解析した結果を示している。
図15(C)は、単位長さあたりの収縮量が620μのコンクリートを用いて構造物を作成し、3ヶ月経過した後の鉄筋コンクリート壁94にひび割れが発生した箇所及びひび割れ幅を示しており、図15(E)は、単位長さあたりのコンクリートの収縮量を620μとして本実施の形態に係るコンピュータ10を用いて、当該構造物のひび割れの発生が予測される箇所を解析した結果を示している。
このように、解析によって歪み量が大きくひび割れが発生しやすいと判断された箇所に実際にひび割れが発生して箇所が対応しており、ひび割れが発生する箇所を予測することができている。また、歪み量が大きい部分にはより幅が広く大きなひび割れが発生している。
以上のように第1の実施の形態によれば、入力手段(ここでは、ひび割れ解析メイン画面50)により、鉄筋コンクリート壁を有する構造物の簡略した構造を示す構造変数及び鉄筋コンクリート壁を構成するコンクリートの乾燥による収縮量を解析条件として入力され、生成手段(ここでは、CPU20)により、入力手段よって入力された構造変数に基づいて有限要素法による鉄筋コンクリート壁の歪みの解析に用いる解析データを生成し、解析手段(ここでは、CPU20)により、生成手段によって生成された解析データに基づいて解析条件の収縮が発生した場合の鉄筋コンクリート壁に発生する歪みを有限要素法を用いて解析し、提示手段(ここでは、ディスプレイ28)により、解析手段による解析結果に基づいて鉄筋コンクリート壁の所定量以上の歪みが発生する部分をひび割れの発生が予測される部分として提示しているので、簡易にひび割れの発生箇所を予測することができる。
また、第1の実施の形態によれば、構造変数は、構造物の全高、全幅、階数、構造物に設けられた柱の柱幅、柱厚、構造物に設けられた梁の梁せい、梁厚、構造物に設けられた鉄筋コンクリート壁の壁数、壁厚、鉄筋コンクリート壁を構成するコンクリートの強度、及び鉄筋コンクリート壁に含まれる鉄筋の鉄筋量を含み、生成手段は、収縮の発生しない基礎(ここでは、基礎梁92)上に外形形状を全高及び全幅の矩形状とし、均等な高さで階数に各階を分け、各階に均等な幅で壁数の鉄筋コンクリート壁を設け、各階の上部に全幅、梁せい及び梁厚の梁を設け、基礎に下端が拘束された全高、柱幅及び柱厚の柱を各鉄筋コンクリート壁間及び構造物の両端に設け、各梁と各柱によって各鉄筋コンクリート壁を拘束した解析モデルを作成し、当該解析モデルの各柱、各梁、各鉄筋コンクリート壁を高さ方向及び幅方向にマトリクス状に分割し、コンクリートの強度、柱幅及び柱厚に基づいて柱の分割された各領域の剛性を求めると共に、コンクリートの強度、梁せい及び梁厚に基づいて梁の分割された各領域の剛性を求め、コンクリートの強度、鉄筋量及び壁厚に基づいて鉄筋コンクリート壁の分割された各領域の剛性を求めた解析データを生成しているので、構造物の構造を示す特徴的な構造変数で構造物の鉄筋コンクリート壁に発生するひび割れを予測することができる。
また、第1の実施の形態によれば、入力手段は、構造変数として鉄筋コンクリート壁に設ける目地の本数が更に入力され、生成手段は、各鉄筋コンクリート壁に均等に入力された本数の高さ方向の目地を更に設けた解析モデルを作成し、ひび割れ発生に至るまではコンクリートの剛性を適用し、ひび割れ発生後は鉄筋の剛性を適用して当該目地の剛性を求めた解析データを生成しているので、鉄筋コンクリート壁に目地が設けられた場合のコンクリートの収縮による目地幅の変化を予測することができる。
また、第1の実施の形態によれば、生成手段は、コンクリートに生じるクリープの状態に応じて各領域の剛性を所定の割合だけ減少させているので、精度よくひび割れの発生位置及び幅を予測することができる。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態では、予測されるひび割れ最大幅に応じてメッシュを色分けして表示する形態例について説明する。
第2の実施の形態では、予測されるひび割れ最大幅に応じてメッシュを色分けして表示する形態例について説明する。
鉄筋コンクリート壁のひび割れは、鉄筋による応力の分散効果により、最初に入ったひび割れがある程度の幅となった時点で新たなひび割れが発生し、元のひび割れがある程度閉じる現象が発生し、同じ歪みが発生した場合、鉄筋量が多い鉄筋コンクリート壁には幅の細いひび割れが多く発生することが報告されている(大林組技術研究所報 NO.41 鉄筋コンクリート外壁のひびわれに関する研究(その4))。
すなわち、鉄筋コンクリート壁に生じるひび割れの最大幅は、鉄筋量によって変化する。
そこで、本実施の形態では、鉄筋量毎に鉄筋コンクリート壁に発生するひび割れの最大幅を示す最大ひび割れ幅情報をHDD26に予め記憶しておく。
図16には、HDD26に記憶されている最大ひび割れ幅情報のデータ構造が示されている。
そして、本実施の形態に係るひび割れ図作成プログラムでは、各メッシュの発生した歪み量が所定以上(例えば、400μ)で且つ、鉄筋量入力領域74に入力された鉄筋量に基づいて最大ひび割れ幅情報より求まるひび割れの最大幅が所定幅以上の場合にメッシュを色分けして表示する(図17参照)。なお、本実施の形態では、この所定幅を0.2mmとしている。日本建築学会の「鉄筋コンクリート造のひび割れ対策(設計・施工)指針・同解説」では「構造体表面に生じるひび割れ幅」として許容ひび割れ幅を0.3mmとしている。しかし、実験等から0.3mmでもひび割れから漏水することがあることが判明した。このため、本実施の形態では、ひび割れ幅の許容値として0.2mmとする。これにより、鉄筋コンクリート壁94において漏水が発生すると予測されるひび割れが発生する箇所を予測することができる。
以上のように第2の実施の形態によれば、鉄筋量に応じて鉄筋コンクリート壁に発生するひび割れの最大幅を示す最大ひび割れ幅情報が予め記憶された記憶手段(ここでは、HDD26)をさらに備え、提示手段は、鉄筋コンクリート壁のひび割れの発生が予測される部分の鉄筋量に応じて最大ひび割れ幅情報により示されるひび割れの最大幅が所定幅以上の部分を提示しているので、漏水が発生すると予測されるひび割れが発生する箇所を提示することができる。
なお、第1の実施の形態では、解析プログラムとして、構造物3次元非線形地震応答解析プログラムを用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の有限要素法を用いた解析プログラムを用いてよい。
また、第1の実施の形態では、鉄筋コンクリート壁のメッシュを複数層(3層)とする場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、鉄筋量に応じてメッシュ全体での応力と歪みの関係を求めてもよい。
また、第1の実施の形態では、構造変数として、構造物の全高、全幅、階数、当該構造物に設けられた柱の柱幅、柱厚、各階に設けられた梁の梁せい、梁厚、スパン数(鉄筋コンクリート壁の壁数)、壁厚、鉄筋コンクリート壁を構成するコンクリートの強度、及び鉄筋コンクリート壁に含まれる鉄筋の鉄筋量を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の構造物の簡略した構造を示す構造変数を用いたり、新たに追加してもよい。
また、第1の実施の形態では、柱や梁、鉄筋コンクリート壁をそれぞれすべての同じ高さや厚さ、幅とした場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、柱や梁、鉄筋コンクリート壁の高さや厚さ、幅を個別に調整可能としてもよい。構造変数を新たに追加して、例えば、図18(A)に示すように、鉄筋コンクリート壁を有する矩形状の構造部分がを組み合わせた解析モデルを作成して解析を行うものとしてもよい。また、図18(B)に示すように、鉄筋コンクリート壁に設ける開口部の位置を示す変数を追加してもよい。
さらに、各実施の形態で説明したコンピュータ10の構成は、一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
また、各実施の形態で説明した解析モデル作成処理プログラム、解析プログラム、ひび割れ図作成プログラムの各処理の流れ(図11、図13、図14参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。また、実施の形態では、解析モデル作成処理プログラム、解析プログラム、ひび割れ図作成プログラムと3つのプログラムに分けている場合について説明したが、1つのプログラムとして構成してもよい。
10 コンピュータ
20 CPU
26 HDD
28 ディスプレイ
50 ひび割れ解析メイン画面
92 基礎梁
94 鉄筋コンクリート壁
96 梁
98 柱
20 CPU
26 HDD
28 ディスプレイ
50 ひび割れ解析メイン画面
92 基礎梁
94 鉄筋コンクリート壁
96 梁
98 柱
Claims (7)
- 鉄筋コンクリート壁を有する構造物の簡略した構造を示す構造変数及び前記鉄筋コンクリート壁を構成するコンクリートの乾燥による収縮量を解析条件として入力される入力手段と、
前記入力手段より入力された前記構造変数に基づいて有限要素法による前記鉄筋コンクリート壁の歪みの解析に用いる解析データを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された前記解析データに基づいて前記解析条件の収縮が発生した場合の前記鉄筋コンクリート壁に発生する歪みを有限要素法を用いて解析する解析手段と、
前記解析手段による解析結果に基づいて前記鉄筋コンクリート壁の所定量以上の歪みが発生する部分をひび割れの発生が予測される部分として提示する提示手段と、
を備えたひび割れ解析装置。 - 前記構造変数は、前記構造物の全高、全幅、階数、前記構造物に設けられた柱の柱幅、柱厚、前記構造物に設けられた梁の梁せい、梁厚、前記構造物に設けられた前記鉄筋コンクリート壁の壁数、壁厚、前記鉄筋コンクリート壁を構成するコンクリートの強度、及び前記鉄筋コンクリート壁に含まれる鉄筋の鉄筋量を含み、
前記生成手段は、収縮の発生しない基礎上に外形形状を前記全高及び前記全幅の矩形状とし、均等な高さで前記階数に各階を分け、各階に均等な幅で前記壁数の鉄筋コンクリート壁を設け、各階の上部に前記全幅、前記梁せい及び前記梁厚の梁を設け、前記基礎に下端が拘束された前記全高、前記柱幅及び柱厚の柱を各鉄筋コンクリート壁間及び構造物の両端に設け、各梁と各柱によって各鉄筋コンクリート壁を拘束した解析モデルを作成し、当該解析モデルの各柱、各梁、各鉄筋コンクリート壁を高さ方向及び幅方向にマトリクス状に分割し、前記コンクリートの強度、前記柱幅及び前記柱厚に基づいて前記柱の分割された各領域の剛性を求めると共に、前記コンクリートの強度、前記梁せい及び前記梁厚に基づいて前記梁の分割された各領域の剛性を求め、前記コンクリートの強度、前記鉄筋量及び前記壁厚に基づいて前記鉄筋コンクリート壁の分割された各領域の剛性を求めた解析データを生成する
請求項1記載のひび割れ解析装置。 - 前記鉄筋量に応じて前記鉄筋コンクリート壁に発生するひび割れの最大幅を示す最大ひび割れ幅情報が予め記憶された記憶手段をさらに備え、
前記提示手段は、前記鉄筋コンクリート壁のひび割れの発生が予測される部分の鉄筋量に応じて前記最大ひび割れ幅情報により示されるひび割れの最大幅が所定幅以上の部分を提示する
請求項2記載のひび割れ解析装置。 - 前記入力手段は、前記構造変数として前記鉄筋コンクリート壁に設ける目地の本数が更に入力され、
前記生成手段は、各鉄筋コンクリート壁に均等に前記本数の高さ方向の目地を更に設けた前記解析モデルを作成し、ひび割れ発生に至るまでは前記コンクリートの剛性を適用し、ひび割れ発生後は鉄筋の剛性を適用して当該目地の剛性を求めた解析データを生成する
請求項2記載のひび割れ解析装置。 - 前記生成手段は、コンクリートに生じるクリープの状態に応じて各領域の剛性を所定の割合だけ減少させる
請求項2乃至請求項4の何れか1項記載のひび割れ解析装置。 - 入力された鉄筋コンクリート壁を有する構造物の簡略した構造を示す構造変数に基づいて有限要素法による前記鉄筋コンクリート壁の歪みの解析に用いる解析データを生成し、
生成した前記解析データに基づいて前記鉄筋コンクリート壁を構成するコンクリートに乾燥による収縮が発生した場合の前記鉄筋コンクリート壁に発生する歪みを有限要素法を用いて解析し、
解析結果に基づいて前記鉄筋コンクリート壁の所定量以上の歪みが発生する部分をひび割れの発生が予測される部分として提示する
ひび割れ解析方法。 - 鉄筋コンクリート壁を有する構造物の簡略した構造を示す構造変数に基づいて有限要素法による前記鉄筋コンクリート壁の歪みの解析に用いる解析データを生成する生成ステップと、
前記生成ステップにより生成された前記解析データに基づいて前記鉄筋コンクリート壁を構成するコンクリートに乾燥による収縮が発生した場合の前記鉄筋コンクリート壁に発生する歪みを有限要素法を用いて解析する解析ステップと、
解析結果に基づいて前記鉄筋コンクリート壁の所定量以上の歪みが発生する部分をひび割れの発生が予測される部分として提示する提示ステップと、
をコンピュータに実行させるひび割れ解析プログラム。
Priority Applications (1)
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JP2006086608A JP2007264840A (ja) | 2006-03-27 | 2006-03-27 | ひび割れ解析装置、ひび割れ解析方法、及びひび割れ解析プログラム |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2006
- 2006-03-27 JP JP2006086608A patent/JP2007264840A/ja active Pending
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