JP2006027913A - 高純度の金属水酸化物、その精製方法および製造方法、これらの方法により得た水酸化物および酸化物、ならびに合成樹脂組成物および合成樹脂成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 不純物として少なくとも硫酸イオンを含む精製すべき金属水酸化物に、硫酸塩の水に対する溶解度が小さい金属からなり、高温での溶解度が高い金属塩を加え、水熱処理する。
水熱処理により析出した粗大粒子を分級により細粒分と分離するか、若しくは、析出した固形分を水により洗浄して硫酸イオンを除去する。
これらの行程により得られた水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどは、樹脂に混入させる難燃材として好適に使用できる。
【選択図】 図1
Description
そして、金属塩廃液中から有用金属を回収する方法としてイオン交換膜やイオン交換樹脂による金属の吸着が提唱されているが(特許文献1参照)、これらの方法では、金属イオンを吸着したイオン交換樹脂やイオン交換膜を酸で溶離・再生しなければならず、溶離液中に余剰の酸が多量に混入するため、金属の再利用はほとんどなされていない。また、イオン交換樹脂やイオン交換膜による金属の回収は、回収できる金属の吸着容量に対してイオン交換樹脂やイオン交換膜が価格が高いため、一部の高価な金属のみにしか利用できない。
すなわち、本発明は、(1)水酸化物の0℃〜100℃に於ける水に対する溶解度が0.1g以下でかつ硫酸塩の0℃〜90℃に於ける水に対する溶解度が5.0g以上の金属からなる、不純物として少なくとも硫酸イオンを含む精製すべき金属水酸化物と、硫酸塩の0℃〜100℃に於ける水に対する溶解度が0.1g以下の金属からなり、0℃〜100℃に於ける水に対する溶解度が1.0g以上である第1の金属塩とを選択し、
前記精製すべき金属水酸化物と前記金属塩とを水に懸濁させ、水100質量部に対し金属水酸化物が5〜500質量部、金属塩が1.0質量部以上の濃度の懸濁液にする工程と、
(2)(1)で得た懸濁液を90℃〜250℃の範囲で加熱し、前記精製すべき金属水酸化物の不純物として存在する硫酸イオンを含む2価以上の陰イオンを、0℃〜100℃に於ける水に対する溶解度が0.1g以下の金属硫酸塩およびその他の2価以上の陰イオンの塩として析出させる工程と、(4)(3)で加熱した懸濁液中の前記粗粒分を分級、または懸濁液を乾燥後して得られた前記粗粒分の粉末を分級して、粒子径が44μm以下の細粒分と44μmより大きい粗粒分とを分離する工程と、を有することを特徴とする金属水酸化物の精製方法である(請求項1)。
前記精製すべき金属水酸化物と前記金属塩とを水に懸濁させ、水100質量部に対し金属水酸化物が5〜500質量部、金属塩が1.0質量部以上の濃度の懸濁液にする工程と、
(2)(1)で得た懸濁液を90℃〜250℃の範囲で加熱し、前記精製すべき金属水酸化物の不純物として存在する硫酸イオンを含む2価以上の陰イオンを、100℃に於ける溶解度が5.0g以下の金属硫酸塩およびその他の2価以上の陰イオンの塩として析出させる工程と、
(3)(2)で加熱した懸濁液を濾過後、固形物を50℃以下の水にて洗浄し、不純物として存在する硫酸イオンを含む2価以上の陰イオンを水に溶解させて除去する工程と、を有することを特徴とする(請求項2)。
前記精製すべき金属水酸化物と前記金属塩とを水に懸濁させ、水100質量部に対し金属水酸化物が5〜500質量部、金属塩が1.0質量部以上の濃度の懸濁液にする工程と、
(2)(1)で調整した懸濁液を90℃〜250℃の範囲で加熱し、前記精製すべき金属水酸化物の不純物として存在する硫酸イオンを含む2価以上の陰イオンを、100℃に於ける溶解度が5.0g以下の金属硫酸塩およびその他の2価以上の陰イオンの塩として析出させる工程と、
(3)(2)で加熱した懸濁液中の前記粗粒分を分級、または懸濁液を乾燥後して得られた前記粗粒分の粉末を分級して、粒子径が44μm以下の細粒分と44μmより大きい粗粒分とを分離し、さらに、分級された細粒分を50℃以下の水にて洗浄し、不純物として存在する硫酸イオンを含む2価以上の陰イオンを水に溶解させて除去する工程と、を有することを特徴とする(請求項3)。
若しくは、請求項1または請求項3の方法においては、(4)少なくとも(3)で分級された粗粒分および(3)の懸濁液中の液体分を懸濁させ、90℃〜250℃に加熱して水熱処理し、固形分と液体分とを分離して、工程中で添加した一価の金属塩水溶液として回収する工程を含むことを特徴とする金属水酸化物の精製方法。硫酸塩の0℃〜100℃に於ける水に対する溶解度が0.1g以下である金属からなり、0℃〜100℃に於ける水に対する溶解度が1.0g以上である第2の金属塩を添加後、50℃以下に冷却して、工程中で添加した一価の金属塩水溶液として回収する処理をすることが望ましい(請求項19)。
本発明者等は、前述の課題に鑑みて鋭意検討した結果、下記の知見に基づいて本発明を創作するに至った。
ところが、水に可溶性であるカルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、イッテルビウムと一価の陰イオンとの塩の水溶液中に精製すべきコバルト、銅、亜鉛、ニッケル、アルミニウム、マグネシウム等の金属水酸化物を懸濁後、加熱する事で、金属水酸化物中の不純物である2価以上の陰イオンが、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン類と硫酸イオンとの難溶性単純塩や、硫酸イオンおよび他の2価以上の陰イオンとの難溶性複塩として、かつ風力分級、篩下分級可能な粗粒分として析出する事を見出した。
更に、分離した凝集物または濾過液は、凝集物または濾過液に析出している金属硫酸塩に、硫酸塩として0℃〜100℃に於ける水に対する溶解度が0.1g以下の金属からなり、0℃〜100℃に於ける水に対する溶解度が1.0g以上である金属塩(第3の金属塩)を添加し、必要に応じて水を加えて攪拌後50℃以下に冷却して添加した金属の硫酸塩として析出分離することによっても、工程中で添加した一価の金属塩水溶液として回収しうることを見い出した。
例えば、図1に示すように、本実施形態の難燃材の製造方法は、アルミ表面処理工程11で排出された硫酸バンド廃液(硫酸アルミニウム廃液)を出発物質とし、主として硫酸アルミニウムから難燃材となる水酸化アルミニウムを生成分離する生成分離工程、得られた水酸化アルミニウムを精製する精製工程、および難燃材となる水酸化アルミニウム以外の残存物質を、製造工程用の物質および他の有用物に変える後処理工程とを有している。
生成分離工程では、硫酸アルミニウム廃液に、水酸化ナトリウムを反応させる。
このとき、次の反応式のように、水酸化アルミニウムの粒子が生成する。
Al2(SO4)3 + 6NaOH → 2Al(OH)3↓ + 3Na2SO4
そして、硫酸イオンは、水酸化アルミニウムの結晶中に一部組み込まれ、不純物として残存する。
図1の右側に示すように、精製用の母液として硝酸セリウムの過飽和水溶液を使用し、これと生成分離工程において分離された水酸化アルミニウムとを反応させる。
水酸化アルミニウムは、特許請求の範囲にいう精製すべき対象たる「金属水酸化物」であり、ここでは、水100gに対して5〜500gの濃度で水に懸濁させた懸濁液としておく。
水100gに対し水酸化アルミニウムの質量を5g以上とするのは、処理を効率化するためであり、500g以下とするのは、懸濁の処理を含めた精製作業を適切に行うためである。
硝酸セリウムは、特許請求の範囲にいう「第1の金属塩」であり、ここでは、水100gに対して1.0g以上の濃度の溶液としておく。水100gに対し、1.0g以上の濃度とするのは、金属塩である硝酸セリウムが硫酸イオンを分離するためのセリウムイオンを十分に供給するためである。
なお、第1の金属塩としては、酢酸鉛、塩化鉛、硝酸鉛、過塩素酸鉛、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、過塩素酸バリウム、ギ酸バリウム、乳酸バリウム、硝酸バリウム、チオシアン酸バリウム、酢酸バリウム、シアン化バリウム、塩化ラジウム、臭化ラジウム、ヨウ化ラジウム、過塩素酸ラジウム、ギ酸ラジウム、乳酸ラジウム、硝酸ラジウム、チオシアン酸ラジウム、酢酸ラジウム、シアン化ラジウムなどが挙げられる。また、これらの金属塩を2種類以上重複して用いても良い。
まず、硫酸セリウムは水に対して難溶性の塩であり、かつ高温になると溶解度が低下する。また、硫酸セリウムは、硝酸セリウム溶液に対して溶解度が大きく高濃度の水溶液を作ることができる。
そのため、通常の水に硫酸イオンを不純物として含む水酸化アルミニウムを懸濁させたときは、水に溶解した硫酸イオンと水酸化アルミニウムの結晶中に残存する硫酸イオンとが相平衡となり、水酸化アルミニウムの結晶から水への硫酸イオンの移行は止まってしまう。しかし、水酸化アルミニウムを硝酸セリウム溶液に懸濁させて加熱すると、溶液中の硫酸イオンはカルシウムイオンと結合し難溶性の硫酸カルシウムとなり、水の中の硫酸イオン濃度が低下し、このため相平衡を維持するため水酸化アルミニウム結晶中の硫酸イオンが水の中に移行するものと考えられる。
この結果、粗製水酸化アルミニウム中の硫酸イオンは、水酸化アルミニウム結晶中の格子欠陥内に固定されているため、通常の冷水で洗浄しても溶解して分離出来ないが、硫酸イオンと高温領域で難溶性(この場合、低温領域ではある程度硫酸塩として溶解度を持つ)となる陽イオンを含んだ塩類の水溶液中で加熱する事で、粗粒で難溶性の硫酸塩(この場合、低温領域ではある程度硫酸塩として溶解度を持つ)と微粒で硫酸イオンを格子欠陥に含まない水酸化アルミニウムの粒子が混在したスラリーが生成される。
但し、本説明がこの反応に関する総ての反応プロセスを説明しているとは限らない。
そこで、これを濾過により分級して、44μmより大きい不純物の粗粒分(CeNO3およびCe2(SO4)3)と、44μm以下の微粒子(Al(OH)3)とを分離する。
また、粗粒分として分離した固形分に硝酸バリウム(第3の金属塩)を加えて水に懸濁させ、所定時間経過後、0℃に冷却して、イオン交換水で洗浄することによって硫酸イオンとセリウムイオンを分離することができる。すなわち、セリウム分を再度母液として利用することができる。
この場合の第3の金属塩としては、例えば、硝酸鉛、硝酸ラジウム、塩化バリウム、などを適用することができる。また、これらの金属塩を2種類以上重複して用いても良い。
そして、表面処理工程を経た水酸化アルミニウムを乾燥させることで高純度の水酸化アルミニウムを得ることができる。この水酸化アルミニウムは、後述するように、微粒子で粒径がそろっており、樹脂に混ぜたときの分散性に優れ、難燃材として好適に使用することができる。
一方、生成分離工程で粗粒分として分離された硫酸ナトリウムは、消石灰(Ca(OH)2)と反応させられてセッコウ(CaSO4・2H2O)と水酸化ナトリウム(NaOH)を生成する。セッコウと水酸化ナトリウムは脱水・洗浄により分離され、水酸化ナトリウムは、生成分離工程において再び利用されるとともに、セッコウは、それ自体有効利用される。
しかし、本発明は前述した実施形態に限られることなく、適宜変更して実施することが可能である。
この場合には、例えば、エチレン−酢酸ビニル重合樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などの各種の樹脂材料に、前記実施形態により精製して得られた水酸化アルミニウムを適量混練させ、熱プレス成形により所望の形態に成形する。このような難燃性樹脂は、電線の被覆用樹脂として好適に利用することができる。
実施例1、比較例1は、不純物の硫酸イオンを粗粒分の硫酸塩として固定し、粒度による分級により分離、除去し、高純度・微粒子の水酸化ニッケルを生成する実施例である。
(1)硫酸ニッケル廃液(Ni 76.3g/l,SO4 127.7g/l)と水酸化ナトリウム溶液(関東化学製水酸化ナトリウム JIS特級を軟水に4.06Nに希釈)を、液温を25℃に保持し、攪拌機(轟製作所TBN3-200型)を用いて反応率98%(Na+/Ni2+)で連続反応させ、水酸化ニッケルを析出させた。
NiSO4 + 2NaOH → Ni(OH)2↓ + Na2SO4
(2)析出した水酸化ニッケルをブフナーロートにて脱水後、水酸化ニッケルに対して5倍のイオン交換水にて洗浄した。
(3)イオン交換水で洗浄した水酸化ニッケルをイオン交換水に懸濁させた後、酢酸カルシウム1水和物(関東化学製 特級)を懸濁液に加えて、イオン交換水100.0gに対して水酸化ニッケル5.9g、酢酸カルシウム無水物5.1gの濃度に調整した。
(4)オートクレーブ(オーエムラボテック社 高圧マイクロリアクター MMJ)にて、110℃ 2時間攪拌しながら水熱処理した。
(5)水熱処理した水酸化ニッケル懸濁液を325メッシュ(44μm)の篩下網(八尾金網製作所製)にて水篩を行い、粗粒分と細粒分を分離した。
(6)粗流分、細粒分を個々にブフナーロートにて脱水し、各脱水物の固形物換算で5倍のイオン交換水にて洗浄した。
105℃ 1時間乾燥した後、粗粒分と細粒分の各質量を測定し比率を算出した。
(硫黄分)
また、粗粒分、細粒分中の各硫黄分を硫黄分析装置(堀場製作所製 EMIA-120形)にて測定した。
(粒度分布)
細粒分の粒度をレーザー回折粒度分布測定装置(日機装製 マイクロトラック SPA7995)により粒度分布を測定した。また、測定された細粒分のうち、20μmを超える分の体積率を計算により求めた。
(比表面積)
0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液100ml中に細粒分を0.5g添加し、ホモジナイザー(ポリトロン製 PT2100)にて1分間懸濁し試料を作成した。自動比表面積/細孔分布測定装置(ベル製 BELSORP-mini)を使用して、細粒分の比表面積をB.E.T.法にて測定した。
実施例1の(3)において、酢酸カルシウム1水和物を使用せず、イオン交換水で洗浄した水酸化ニッケルをイオン交換水に懸濁させ、イオン交換水100.0gに対して水酸化ニッケル 5.9gの濃度に調整した以外は、実施例1と同様の処理と測定を行った。
表1に示すように、実施例1においては、分離された粗粒分が硫酸イオン(硫黄)を多く含み、細粒分では硫酸イオンが減少した。なお、精製前(実施例1の(2)の状態)の水酸化ニッケルにおける硫黄含有率は0.99%であった。
また、実施例1においては、粒子径が20μm以下の範囲で粒子径がそろっていた。
実施例2、比較例2は、不純物の硫酸イオンを粗粒分の硫酸塩として固定し、硫酸イオンの低温域における溶解度の上昇を利用して冷水により溶解、除去し、高純度・微粒子の水酸化アルミニウムを生成する実施例である。
(1)硫酸アルミニウム廃液 (Al 32.8g/l,SO4 171.7g/l)と水酸化ナトリウム溶液(関東化学製水酸化ナトリウム JIS特級を軟水に3.98Nに希釈)を、液温を25℃に保持し、攪拌機(轟製作所TBN3-200型)を用いて反応率100%(Na+/Al3+)で連続反応させ、水酸化アルミニウムを析出させた。
Al2(SO4)3 + 6NaOH → 2Al(OH)3↓ + 3Na2SO4
(2)析出した水酸化アルミニウムをブフナーロートにて脱水後、水酸化アルミニウムに対して5倍のイオン交換水にて洗浄した。
(3)イオン交換水で洗浄した水酸化アルミニウムをイオン交換水に懸濁させた後、塩化ランタン7水和物(関東化学製 1級)を懸濁液に加えて、イオン交換水100.0gに対して水酸化アルミニウム 7.8g、塩化ランタン無水物 7.1gの濃度に調整した。
(4)オートクレーブ(オーエムラボテック社 高圧マイクロリアクター MMJ)にて、130℃ 2時間攪拌しながら水熱処理した。
(5)水熱処理した水酸化アルミニウム懸濁液をブフナーロートにて脱水した。脱水後の固形物を50倍量の5℃のイオン交換水で洗浄した。
(6)洗浄した水酸化アルミニウムをイオン交換水に再懸濁させ、イオン交換水100.0gに対して水酸化アルミニウム10gの濃度に調整した。
(7)再懸濁させた水酸化アルミニウム懸濁液を325メッシュ(44μm)の篩下網(八尾金網製作所製)にて水篩を行い、粗粒分と細粒分を分離した。
実施例2の(3)において、塩化ランタン7水和物を使用せず、イオン交換水で洗浄した水酸化アルミニウムをイオン交換水に懸濁させ、イオン交換水100.0gに対して水酸化アルミニウム 7.8gの濃度に調整した以外は、実施例2と同様の処理と測定を行った。
また、実施例2の(2)で得られる水酸化アルミニウムを(5)の工程で洗浄した比較例についても同様に測定を行った(表2における「精製前品を水洗」参照)。
表2に示すように、実施例2においては、分離された粗流分が硫酸イオン(硫黄)を多く含み、細粒分では硫酸イオンが減少した。なお、精製前(実施例1の(2)の状態)の水酸化アルミニウムにおける硫黄含有率は1.03%であった。
また、実施例1においては、粒子径が20μm以下の範囲で粒子径がそろっていた。
実施例3、比較例3は、多価の陰イオン除去に関する実施例、および高純度・微粒子の水酸化マグネシウムを生成する実施例である。
(1)硫酸マグネシウム廃液(Mg 31.6g/l,SO4 121.1g/l)と水酸化リチウム溶液(関東化学製水酸化リチウム1水和物 JIS特級を軟水に3.98Nに希釈)を、液温を25℃に保持し、攪拌機(轟製作所TBN3-200型)を用いて反応率99%(Li+/Ni2+)で連続反応させ、水酸化マグネシウムを析出させた。
MgSO4 + 2LiOH → Mg(OH)2↓ + Li2SO4
(2)析出した水酸化マグネシウムをブフナーロートにて脱水後、水酸化マグネシウムに対して10倍のイオン交換水にて洗浄した。
(3)イオン交換水で洗浄した水酸化マグネシウムをイオン交換水に懸濁させた後、硝酸ストロンチウム(関東化学製 特級)を懸濁液に加えて、イオン交換水100.0gに対して水酸化マグネシウム6.0g、硝酸ストロンチウム 19.9gの濃度に調整した。
(4)オートクレーブ(オーエムラボテック社 高圧マイクロリアクター MMJ)にて、150℃ 2時間攪拌しながら水熱処理した。
(5)水熱処理した水酸化マグネシウム懸濁液を325メッシュ(44μm)の篩下網(八尾金網製作所製)にて水篩を行い、粗粒分と細粒分を分離した。
(6)粗流分、細粒分を個々にブフナーロートにて脱水し、各脱水物の固形物換算で10倍のイオン交換水にて洗浄した。
105℃ 1時間乾燥した後、粗粒分と細粒分の各質量を測定し比率を算出した。
(硫黄分)
また、粗粒分、細粒分中の各硫黄分を硫黄分析装置(堀場製作所製 EMIA-120形)にて測定した。
(ホウ素含有率)
粗粒分、細粒分中のホウ素を誘導結合高周波プラズマ発光分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー製 卓上型ICP発光分光分析装置SPS7800)にて測定した。
(リン含有率、ケイ素含有率)
JIS K 0050に準じて、試料を塩酸に溶解させて試料を作成し、粗粒分、細粒分中の珪素、燐を蛍光X線分析装置(日本電子製 エレメントアナライザJSX−3201M)にて測定した。
(粒度分布)
細粒分の粒度をレーザー回折粒度分布測定装置(日機装製 マイクロトラック SPA7995)により粒度分布を測定した。また、測定された細粒分のうち、20μmを超える分の体積率を計算により求めた。
(比表面積)
0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液100ml中に細粒分を0.5g添加し、ホモジナイザー(ポリトロン製 PT2100)にて1分間懸濁し試料を作成した。自動比表面積/細孔分布測定装置(ベル製 BELSORP-mini)を使用して、細粒分の比表面積をB.E.T.法にて測定した。
実施例3の(3)において、硝酸ストロンチウムを使用せず、イオン交換水で洗浄した水酸化マグネシウムをイオン交換水に懸濁させた後、イオン交換水100.0gに対して水酸化マグネシウム6.0gの濃度に調整した以外は、実施例3と同様の処理と測定を行った。
表3に示すように、実施例3においては、分離された粗流分が硫酸イオン(硫黄)を多く含み、細粒分では硫酸イオンが減少した。硫酸イオンと同様に、実施例3においては、ホウ酸(ホウ素)、ケイ酸(ケイ素)、リン酸(リン)が、分離された粗粒分に多く含まれ、細粒分においては減少した。
なお、精製前(実施例3の(2)の状態)の水酸化ニッケルにおける硫黄含有率は0.81%であった。
また、実施例1においては、粒子径が20μm以下の範囲で粒子径がそろっていた。
実施例4−1〜4、比較例4は、不純物の硫酸イオンを粗粒分の硫酸塩として固定し、粒度による分級により分離、除去することが実用上可能な、添加する塩類の添加量限界に関する実施例である。
(1)硫酸コバルト廃液(Co 64.8g/l,SO4 103.7g/l)と水酸化ナトリウム溶液(関東化学製水酸化ナトリウム JIS特級を軟水に4.02Nに希釈)を、液温を25℃に保持し、攪拌機(轟製作所TBN3-200型)を用いて反応率99%(Na+/Co2+)で連続反応させ、水酸化コバルトを析出させた。
CoSO4 + 2NaOH → Co(OH)2↓ + Na2SO4
(2)析出した水酸化コバルトをブフナーロートにて脱水後、水酸化コバルトに対して5倍のイオン交換水にて洗浄した。
(3)イオン交換水で洗浄した水酸化コバルトをイオン交換水に懸濁させた後、硝酸ストロンチウム(関東化学製 特級)を懸濁液に加えて、イオン交換水100.0gに対して水酸化コバルト9.0g、硝酸ストロンチウム25.4gの濃度に調整した。
(4)オートクレーブ(オーエムラボテック社 高圧マイクロリアクター MMJ)にて、130℃ 2時間攪拌しながら水熱処理した。
(5)水熱処理した水酸化コバルト懸濁液を325メッシュ(44μm)の篩下網(八尾金網製作所製)にて水篩を行い、粗粒分と細粒分を分離した。
(6)粗流分、細粒分を個々にブフナーロートにて脱水し、各脱水物の固形物換算で5倍のイオン交換水にて洗浄した。
アセトン置換した後、25℃ 1時間乾燥し、粗粒分と細粒分の各質量を測定し比率を算出した。
(硫黄分)
また、粗粒分、細粒分中の各硫黄分を硫黄分析装置(堀場製作所製 EMIA-120形)にて測定した。
(粒度分布)
細粒分の粒度をレーザー回折粒度分布測定装置(日機装製 マイクロトラック SPA7995)により粒度分布を測定した。また、測定された細粒分のうち、20μmを超える分の体積率を計算により求めた。
(比表面積)
0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液100ml中に細粒分を0.5g添加し、ホモジナイザー(ポリトロン製 PT2100)にて1分間懸濁し試料を作成した。自動比表面積/細孔分布測定装置(ベル製 BELSORP-mini)を使用して、細粒分の比表面積をB.E.T.法にて測定した。
実施例4−1の(3)において、硝酸ストロンチウムの濃度をイオン交換水100.0gに対して硝酸ストロンチウム12.7gにした以外は、実施例4−1と同様に処理し、測定を行った。
実施例4−1の(3)において、硝酸ストロンチウムの濃度をイオン交換水100.0gに対して硝酸ストロンチウム6.4gにした以外は、実施例4−1と同様に処理し、測定を行った。
実施例4−1の(3)において、硝酸ストロンチウムの濃度をイオン交換水100.0gに対して硝酸ストロンチウム3.2gにした以外は、実施例4−1と同様に処理し、測定を行った。
実施例4−1の(3)において、硝酸ストロンチウムを使用せず、イオン交換水で洗浄した水酸化コバルトをイオン交換水に懸濁させ、イオン交換水100.0gに対して水酸化コバルト 9.0gの濃度に調整した以外は、実施例4−1と同様の処理と測定を行った。
表4に示すように、実施例4においては、分離された粗粒分が硫酸イオン(硫黄)を多く含み、細粒分では硫酸イオンが少なかった。
なお、精製前における硫黄含有率は、粗粒分において0.71%、細粒分において0.68%であった。
また、実施例4においては、粒子径が20μm以下の範囲で粒子径がそろっていた。
実施例5、比較例5は、高純度・微粒子である水酸化亜鉛を生成した実施例である。
(1)硫酸亜鉛廃液(Zn 58.4g/l,SO4 87.7g/l)と水酸化ナトリウム溶液(関東化学製水酸化ナトリウム JIS特級を軟水に3.98Nに希釈)を、液温を25℃に保持し、攪拌機(轟製作所TBN3-200型)を用いて反応率100%(Na+/Zn2+)で連続反応させ、水酸化亜鉛を析出させた。
ZnSO4 + 2NaOH → Zn(OH)2↓ + Na2SO4
(2)析出した水酸化亜鉛をブフナーロートにて脱水後、水酸化亜鉛に対して5倍のイオン交換水にて洗浄した。
(3)イオン交換水で洗浄した水酸化亜鉛をイオン交換水に懸濁させた後、硝酸セリウム6水和物(関東化学製 特級)を懸濁液に加えて、イオン交換水100.0gに対して水酸化亜鉛4.8g、酢酸カルシウム無水物6.8gの濃度に調整した。
(4)オートクレーブ(オーエムラボテック社 高圧マイクロリアクター MMJ)にて、90℃ 2時間攪拌しながら水熱処理した。
(5)水熱処理した水酸化亜鉛懸濁液を325メッシュ(44μm)の篩下網(八尾金網製作所製)にて水篩を行い、粗粒分と細粒分を分離した。
(6)粗流分、細粒分を個々にブフナーロートにて脱水し、各脱水物の固形物換算で5倍のイオン交換水にて洗浄した。
実施例5の(3)において、イオン交換水で洗浄した水酸化亜鉛をイオン交換水に懸濁させ、イオン交換水100.0gに対して水酸化亜鉛 4.8gの濃度に調整した以外は、実施例5と同様の処理と測定を行った。
表5に示すように、実施例5においては、分離された粗粒分が硫酸イオン(硫黄)を多く含み、細粒分では硫酸イオンが少なかった。
また、実施例5においては、粒子径が20μm以下の範囲で粒子径がそろっていた。
実施例6、比較例6は、不純物の硫酸イオンを粗粒分の硫酸塩として固定し、硫酸塩の低温域における溶解度の上昇を利用して冷水により溶解、除去し、高純度・微粒子の水酸化ニッケルを生成する実施例である(請求項2に相当)。
(1)硫酸ニッケル廃液(Ni 76.3g/l,SO4 127.7g/l)と水酸化ナトリウム溶液(関東化学製水酸化ナトリウム JIS特級を軟水に4.04Nに希釈)を、液温を25℃に保持し、攪拌機(轟製作所TBN3-200型)を用いて反応率98%(Na+/Ni2+)で連続反応させ、水酸化ニッケルを析出させた。
NiSO4 + 2NaOH → Ni(OH)2↓ + Na2SO4
(2)析出した水酸化ニッケルをブフナーロートにて脱水後、水酸化ニッケルに対して5倍のイオン交換水にて洗浄した。
(3)イオン交換水で洗浄した水酸化ニッケルをイオン交換水に懸濁させた後、酢酸セリウム1水和物(関東化学製 特級)を懸濁液に加えて、イオン交換水100.0gに対して水酸化ニッケル5.9g、酢酸セリウム無水物17.8gの濃度に調整した。
(4)オートクレーブ(オーエムラボテック社 高圧マイクロリアクター MMJ)にて、110℃ 2時間攪拌しながら水熱処理した。
(5)水熱処理した水酸化ニッケル懸濁液をブフナーロートにて脱水した。脱水後の固形物を50倍量の5℃のイオン交換水で洗浄した。
(6)洗浄した水酸化ニッケルをイオン交換水に再懸濁させ、イオン交換水100.0gに対して水酸化ニッケル10gの濃度に調整した。
(7)再懸濁させた水酸化ニッケル懸濁液を325メッシュ(44μm)の篩下網(八尾金網製作所製)にて水篩を行い、粗粒分と細粒分を分離した。
実施例6の(3)において、イオン交換水で洗浄した水酸化ニッケルをイオン交換水に懸濁させ、イオン交換水100.0gに対して水酸化ニッケル5.9gの濃度に調整した以外は、実施例6と同様の処理と測定を行った。
表1に示すように、実施例6においては、分離された粗粒分が硫酸イオン(硫黄)を多く含み、細粒分では硫酸イオンが減少した。また、実施例6においては、粗粒分が0.3質量%のみであり、分級せずとも微粒子として揃っていたことが分かる。なお、精製前(実施例6の(2)の状態)の水酸化ニッケルにおける硫黄含有率は0.99%であった。
また、実施例6においては、粒子径が20μm以下の範囲で粒子径がそろっていた。
実施例7は、分離した不純物を母液から分離し、母液を精製して再利用する実施例である。
(1)実施例5の(5)の工程で回収した粗粒分、濾過液、および洗浄液を、ホモジナイザー(ポリトロン製 PT2100)にて5分間懸濁させた。
(2)懸濁液中の硫黄を、蛍光X線分析装置(日本電子製 エレメントアナライザJSX−3201M)により測定した。
(3)測定結果に基づき、懸濁液の総硫黄量に対して8.0倍量の酢酸バリウム(関東化学製 JIS特級)を投入し、洗浄液ホモジナイザー(ポリトロン製 PT2100)により5分間懸濁させた。
(4)懸濁液を0℃に冷却後、ブフナーロートにて酢酸バリウムの固形物換算で10倍のイオン交換水で洗浄、濾過した。
濾過残物を回収し、105℃ 1時間乾燥後、質量を測定した。
(バリウム、硫黄、亜鉛、セリウム分)
乾燥した濾過残物中の硫黄、バリウム、セリウム量を、蛍光X線分析装置(日本電子製 エレメントアナライザJSX−3201M)により測定した。
(硫黄の分離率)
上記した定量分析により測定された濾過残物中の硫黄の総重量と、懸濁液中の硫黄の総重量とにより硫黄の分離率を計算した。
実施例7において、(3)の処理を行わなかった以外は、実施例7と同様の処理・測定を行った。
表7に示したように、濾過残物(固形分)中には、バリウム、硫黄が固定されるとともに、亜鉛、セリウムが減少しており、母液としては、硫黄が除去されるとともに、セリウムが回収された。
実施例8は、分離した不純物を母液から分離し、母液を精製して再利用する実施例である。より詳しくは、硫酸塩の高温域での溶解度の低下を利用して、母液中の硫黄を固形物として濾過し、分離する工程である。
(1)実施例3の(5)の工程で回収した粗粒分、濾過液、および洗浄液を、ホモジナイザー(ポリトロン製 PT2100)にて5分間懸濁させた。
(2)懸濁液中の硫黄を、蛍光X線分析装置(日本電子製 エレメントアナライザJSX−3201M)により測定した。
(3)懸濁液をオートクレープ(オーエムラボテック社 高圧マイクロリアクター MMJ)により 140℃ 10分 水熱処理した。
(4)懸濁液を、液体サイクロン(ハイドロサイクロンNHC−10型 日本化学機械製造)にて、固形分と液分を分離した。
固形分を回収し、105℃ 1時間乾燥後、質量を測定した。
(硫黄、ストロンチウム分)
乾燥した濾過残物中の硫黄、ストロンチウム量を、蛍光X線分析装置(日本電子製 エレメントアナライザJSX−3201M)により測定した。
(硫黄の分離率)
上記した定量分析により測定された濾過残物中の硫黄の総重量と、懸濁液中の硫黄の総重量とにより硫黄の分離率を計算した。
実施例8において、(3)の処理を行わなかった以外は、実施例8と同様の処理・測定を行った。
表8に示したように、濾過残物(固形分)中には、ストロンチウム、硫黄が固定され不純物として除去した硫酸イオンが母液から除去された。
(1)実施例2の(7)(最終工程)で細粒分として得られた水酸化アルミニウムを、軟水10質量部に対して水酸化アルミニウム1質量部の比率でホモジナイザー(エースホモジナイザー 株式会社日本精機製作所)にて懸濁させた。
(2)懸濁液を80℃に加熱し、水酸化アルミニウム1質量部に対してラウリン酸(関東化学製 JIS1級)0.04質量部を添加後、攪拌機(轟製作所TBN3-200型)を用いて5分攪拌した。
(3)ブフナーロートにて脱水後、脱水した水酸化アルミニウムを 105℃ 1時間乾燥させた。
(4)この乾燥した水酸化アルミニウム 150質量部、ステアリン酸カルシウム(堺化学製)3質量部、およびエチレン−酢酸ビニル重合樹脂(エバテート K2010 住友化学製)100質量部を、熱ロールにより130℃ 5分間混練した。
(5)得られたシート状混練物を130℃ 10分間、熱プレス成形して厚さ3mmの成形物を作成した。
JIS K7201−2に基づき酸素指数を測定した。(酸素指数方式燃焼性試験機 スガ試験機株式会社 ON−2N)
(伸び)
熱プレス成形物を JIS K7161、K7162にしたがって引張破壊時伸びを測定した。(ストログラフVE 東洋精機製作所製)
比較例2の最終工程で得られた水酸化アルミニウムを使用した以外は、実施例9と同様にして資料を作成し、酸素指数、引張破壊時伸びの測定を行った。
表9が、酸素指数、引張破壊時伸びの測定結果である。
表9を見て分かるように、実施例9の難燃性樹脂は、酸素指数が低く、難燃性に優れる。また、引張破壊時伸びが大きく、水酸化アルミニウムが分散性に優れていた。
(1)実施例3の(6)(最終工程)で細粒分として得られた水酸化マグネシウムを、軟水10質量部に対して水酸化マグネシウム1質量部の比率でホモジナイザー(エースホモジナイザー 株式会社日本精機製作所)にて懸濁させた。
(2)懸濁液を80℃に加熱し、水酸化マグネシウム1質量部に対してラウリン酸(関東化学製 JIS1級)0.04質量部を添加後、攪拌機(轟製作所TBN3-200型)を用いて5分攪拌した。
(3)ブフナーロートにて脱水後、脱水した水酸化マグネシウムを 105℃ 1時間乾燥させた。
(4)この乾燥した水酸化マグネシウム 150質量部、ステアリン酸カルシウム(堺化学製)3質量部、およびポリプロピレン樹脂(E−200GP 出光石油化学製)100質量部を、熱ロールにより180℃ 5分間混練した。
(5)得られたシート状混練物を180℃ 10分間、熱プレス成形して厚さ3mmの成形物を作成した。
JIS K7201−2に基づき酸素指数を測定した。(酸素指数方式燃焼性試験機 スガ試験機株式会社 ON−2N)
(伸び)
熱プレス成形物を JIS K7161、K7162にしたがって引張破壊時伸びを測定した。(ストログラフVE 東洋精機製作所製)
Claims (23)
- (1)水酸化物の0℃〜100℃に於ける水に対する溶解度が0.1g以下でかつ硫酸塩の0℃〜90℃に於ける水に対する溶解度が5.0g以上の金属からなる、不純物として少なくとも硫酸イオンを含む精製すべき金属水酸化物と、硫酸塩の0℃〜100℃に於ける水に対する溶解度が0.1g以下の金属からなり、0℃〜100℃に於ける水に対する溶解度が1.0g以上である第1の金属塩とを選択し、
前記精製すべき金属水酸化物と前記第1の金属塩とを水に懸濁させ、水100質量部に対し金属水酸化物が5〜500質量部、金属塩が1.0質量部以上の濃度の懸濁液にする工程と、
(2)(1)で得た懸濁液を90℃〜250℃の範囲で加熱し、前記精製すべき金属水酸化物の不純物として存在する硫酸イオンを含む2価以上の陰イオンを、0℃〜100℃に於ける水に対する溶解度が0.1g以下の金属硫酸塩およびその他の2価以上の陰イオンの塩として析出させる工程と、
(3)(2)で加熱した懸濁液中の前記粗粒分を分級、または懸濁液を乾燥後して得られた前記粗粒分の粉末を分級して、粒子径が44μm以下の細粒分と44μmより大きい粗粒分とを分離する工程と、を有することを特徴とする金属水酸化物の精製方法。 - (1)水酸化物の0℃〜100℃に於ける水に対する溶解度が0.1g以下でかつ硫酸塩の0℃〜90℃に於ける水に対する溶解度が5.0g以上の金属からなる、不純物として少なくとも硫酸イオンを含む精製すべき金属水酸化物と、硫酸塩の100℃に於ける水に対する溶解度が5.0g以下であり、かつ硫酸塩の0℃〜90℃の温度領域で水に対する溶解度が極大値となるかもしくは温度に対して溶解度が負の相関となるとともに0〜90℃での水に対する溶解度の最大値が0.1g以上である金属からなり、0℃〜100℃に於ける水に対する溶解度が5.0g以上である第2の金属塩とを選択し、
前記精製すべき金属水酸化物と前記第2の金属塩とを水に懸濁させ、水100質量部に対し金属水酸化物が5〜500質量部、金属塩が1.0質量部以上の濃度の懸濁液に調整する工程と、
(2)(1)で得た懸濁液を90℃〜250℃の範囲で加熱し、前記精製すべき金属水酸化物の不純物として存在する硫酸イオンを含む2価以上の陰イオンを、100℃に於ける溶解度が5.0g以下の金属硫酸塩およびその他の2価以上の陰イオンの塩として析出させる工程と、
(3)(2)で加熱した懸濁液を濾過後、固形物を50℃以下の水にて洗浄し、不純物として存在する硫酸イオンを含む2価以上の陰イオンを水に溶解させて除去する工程と、を有することを特徴とする金属水酸化物の精製方法。 - (1)水酸化物の0℃〜100℃に於ける水に対する溶解度が0.1g以下でかつ硫酸塩の0℃〜90℃に於ける水に対する溶解度が5.0g以上の金属からなる、不純物として少なくとも硫酸イオンを含む精製すべき金属水酸化物と、硫酸塩の100℃に於ける水に対する溶解度が5.0g以下であり、かつ硫酸塩の0℃〜90℃の温度領域で水に対する溶解度が極大値となるかもしくは温度に対して溶解度が負の相関となるとともに0〜90℃での水に対する溶解度の最大値が0.1g以上である金属からなり、0℃〜100℃に於ける水に対する溶解度が5.0g以上である第2の金属塩とを選択し、
前記精製すべき金属水酸化物と前記第2の金属塩とを水に懸濁させ、水100質量部に対し金属水酸化物が5〜500質量部、金属塩が1.0質量部以上の濃度の懸濁液にする工程と、
(2)(1)で得た懸濁液を90℃〜250℃の範囲で加熱し、前記精製すべき金属水酸化物の不純物として存在する硫酸イオンを含む2価以上の陰イオンを、100℃に於ける溶解度が5.0g以下の金属硫酸塩およびその他の2価以上の陰イオンの塩として析出させる工程と、
(3)(2)で加熱した懸濁液中の前記粗粒分を分級、または懸濁液を乾燥後して得られた前記粗粒分の粉末を分級して、粒子径が44μm以下の細粒分と44μmより大きい粗粒分とを分離し、さらに、分級された細粒分を50℃以下の水にて洗浄し、不純物として存在する硫酸イオンを含む2価以上の陰イオンを水に溶解させて除去する工程と、を有することを特徴とする金属水酸化物の精製方法。 - めっき工程または金属エッチング処理工程より排出される遷移金属硫酸塩廃液にアルカリ金属またはアンモニアを反応させて生成した遷移金属水酸化物を請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の方法で精製して遷移金属水酸化物として回収することを特徴とする金属水酸化物の製造方法。
- 石炭または重油を燃焼させた後の排煙脱硫工程で排出されるアルカリ土類金属硫酸塩廃液にアルカリ金属またはアンモニアを反応させて生成したアルカリ土類金属水酸化物を請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の方法で精製して高純度アルカリ土類金属水酸化物として回収することを特徴とする金属水酸化物の製造方法。
- 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の金属水酸化物の製造方法により得られた(i)不純物として硫黄分が0.5質量%以下で、(ii)レーザー回折散乱法による体積粒度分布において90vol%以上が20μm以下で、(iii)B.E.T.法による比表面積が20m2/g以下であることを特徴とする水酸化ニッケル。
- 請求項6に記載の水酸化ニッケルを焼成して得たことを特徴とする酸化ニッケル。
- 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の金属水酸化物の精製方法により得られた(i)不純物として硫黄分が0.5質量%以下で、(ii)レーザー回折散乱法による体積粒度分布において90vol%以上が20μm以下で、(iii)B.E.T.法による比表面積が20m2/g以下であることを特徴とする水酸化コバルト。
- 請求項8に記載の水酸化コバルトを焼成して得たことを特徴とする酸化コバルト。
- 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の金属水酸化物の精製方法により得られた(i)不純物として硫黄分が0.5質量%以下で、(ii)レーザー回折散乱法による体積粒度分布において90vol%以上が20μm以下で、(iii)B.E.T.法による比表面積が20m2/g以下であることを特徴とする水酸化銅。
- 請求項10に記載の水酸化銅を焼成して得たことを特徴とする酸化銅。
- 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の金属水酸化物の精製方法により得られた
(i)不純物として硫黄分が0.5質量%以下で、
(ii)レーザー回折散乱法による体積粒度分布において90vol%以上が20μm以下で、
(iii)B.E.T.法による比表面積が20m2/g以下である
ことを特徴とする水酸化マグネシウム。 - 請求項12に記載の水酸化マグネシウムを焼成して得たことを特徴とする酸化マグネシウム。
- 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の金属水酸化物の精製方法により得られた(i)不純物として硫黄分が0.5質量%以下で、(ii)レーザー回折散乱法による体積粒度分布において90vol%以上が20μm以下で、(iii)B.E.T.法による比表面積が20m2/g以下であることを特徴とする水酸化亜鉛。
- 請求項14に記載の水酸化亜鉛を焼成して得たことを特徴とする酸化亜鉛。
- 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の金属水酸化物の精製方法により得られた(i)不純物として硫黄分が0.5質量%以下で、(ii)レーザー回折散乱法による体積粒度分布において90vol%以上が20μm以下で、(iii)B.E.T.法による比表面積が20m2/g以下であることを特徴とする水酸化アルミニウム。
- 請求項16に記載の水酸化アルミニウムを焼成して得たことを特徴とする酸化アルミニウム。
- 請求項1または請求項3に記載の金属水酸化物の精製方法において、さらに、
(4)(3)で分級された粗粒分に、硫酸塩の0℃〜100℃に於ける水に対する溶解度が0.1g以下である金属からなり、0℃〜100℃に於ける水に対する溶解度が1.0g以上である第3の金属塩を添加し、工程中で添加した一価の金属塩水溶液として回収する工程を含むことを特徴とする金属水酸化物の精製方法。 - 請求項1または請求項3に記載の金属水酸化物の精製方法において、さらに、
(4)少なくとも(3)で分級された粗粒分および(3)の懸濁液中の液体分を懸濁させ、90℃〜250℃に加熱して水熱処理し、固形分と液体分とを分離して、工程中で添加した一価の金属塩水溶液として回収する工程を含むことを特徴とする金属水酸化物の精製方法。 - 合成樹脂(a)に対して、請求項12に記載の水酸化マグネシウム(b)を、(a)および(b)の合計質量に対して15〜80質量%配合してなり、
かつ前記水酸化マグネシウム(b)は、(i)レーザー回折散乱法で測定された平均粒子径が2μm以下であり、(ii)鉄化合物およびマンガン化合物の含有量が合計で、金属に換算して0.02質量%以下であることを特徴とする耐熱劣化性および難燃性を有する合成樹脂組成物。 - 請求項20に記載の合成樹脂組成物を成形して得られた耐熱劣化性および難燃性を有する合成樹脂成形品。
- 合成樹脂(a)に対して、請求項12に記載の水酸化アルミニウム(b)を、(a)および(b)の合計質量に対して15〜80質量%配合してなり、
かつ前記水酸化アルミニウム(b)は、(i)レーザー回折散乱法で測定された平均粒子径が2μm以下であり、(ii)鉄化合物およびマンガン化合物の含有量が合計で、金属に換算して0.02質量%以下であることを特徴とする耐熱劣化性および難燃性を有する合成樹脂組成物。 - 請求項22に記載の合成樹脂組成物を成形して得られた耐熱劣化性および難燃性を有する合成樹脂成形品。
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