本発明は、車載用電子機器を動作させるための車両用電源装置に関する。
従来、図1(a)(b)及び図2(a)(b)に示す構成の車両用電源装置が知られている。
図1(a)に示す従来の車両用電源装置10は、例えば12ボルトのバッテリ電圧VBを出力する車載電源(車載バッテリ)20と、例えば5ボルトで動作する車載ラジオや車載型オーディオ機器、車載時計などの複数の車載用電子機器(以下「負荷」という)30との間に設けられた、3端子レギュレータ(3-terminal regulator)40によって形成されている。
ここで、車載電源20は、イグニッションキーによってイグニッションスイッチSIGがオン操作されると、エンジンを始動させるためのセルモータM等にも電力供給を行うように配線がなされている。
また、図示していないが、イグニッションキーによってACCスイッチ(アクセサリースイッチ)がオフ操作された場合、複数の負荷30のうち常に動作させておく必要のある車載時計などだけに、3端子レギュレータ40の出力電圧Voが供給され、ACCスイッチがオン操作された場合に、その車載時計などに加えて、車載ラジオや車載型オーディオ機器などの残余の車載用電子機器にも出力電圧Voが供給されるように、各々の負荷30と3端子レギュレータ40の出力間が配線されている。
3端子レギュレータ40は、半導体集積回路装置(IC)によって形成されており、車載電源20と負荷30との間に接続されると共に、負荷30に対してエミッタフォロワ接続されるNPNトランジスタ(以下「制御用トランジスタ」という)Qxと、出力電圧Voを分圧検出する分圧抵抗R1,R2と、定電流回路STCと、定電流回路STCからの定電流Icを受けて基準電圧Vrgを発生する基準電圧発生回路RGと、誤差増幅器OPとを有して構成されている。
そして、誤差増幅器OPが、分圧抵抗R1,R2の接続点に生じる電圧Vpと基準電圧Vrgとの差電圧(Vp−Vrg)を検出し、その差電圧に基づいて制御用トランジスタQxのベース電流を自動調節することにより、負荷30に供給すべき所要電力が変化した場合でも、出力電圧Voを一定(5ボルト)に保持しつつ、負荷30に対する電力供給を確保することとしている。
すなわち、3端子レギュレータ40を用いた従来の車両用電源装置10では、イグニッションスイッチSIG及びACCスイッチがオフ操作されると、常に動作させておく必要のある車載時計などの消費電力の少ない車載用電子機器に対して、一定の出力電圧Voを供給するようにして所要電力の供給を行い、一方、ACCスイッチがオン操作されるのに伴って車載型オーディオ機器などの消費電力の多い車載用電子機器が動作することとなると、誤差増幅器OPが制御用トランジスタQxのベース電流を増加するように動作することで、負荷30が重くなっても出力電圧Voの低下を防止して所要電力の供給を行うこととしている。
次に、図1(b)に示す従来の車両用電源装置10は、いわゆるディスクリート回路で形成されており、車載電源20と複数の車載用電子機器からなる負荷30との間にエミッタフォロワ接続される制御用トランジスタQxと、制御用トランジスタQxのコレクタベース間に接続された抵抗Raと、制御用トランジスタQxのベースとACCスイッチSACとの間に接続された抵抗Rbと、制御用トランジスタQxのベース電位を設定するためのツェナー電圧Vzを発生するツェナーダイオードZDとを有して構成されている。
すなわち、図1(b)に示す従来の車両用電源装置10は、図1(a)に示した3端子レギュレータ40に代えて、制御用トランジスタQxと抵抗R1,R2及びツェナーダイオードZDとを有するディスクリート回路で形成されている。
そして、イグニッションスイッチSIG及びACCスイッチSACがオフ操作されると、制御用トランジスタQxに抵抗Raを介してベース電流Iaが流入することにより、制御用トランジスタQxが、常に動作させておく必要のある車載時計などの消費電力の少ない車載用電子機器に対して、一定の出力電圧Voを供給するようにして所要電力の供給を行う。
一方、ACCスイッチSACがオン操作されるのに伴って車載型オーディオ機器などの消費電力の多い車載用電子機器が動作することとなると、制御用トランジスタQxのベースには、ベース電流Iaに加えてACCスイッチSAC及び抵抗Rbを介してベース電流Ibが流入することとなり、負荷30が重くなっても出力電圧Voの低下を防止して所要電力の供給を行うこととしている。
次に、図2(a)に示す従来の車両用電源装置10は、図1(a)に示した3端子レギュレータ40と車載電源20との間に、ダイオードD及びコンデンサCが接続された構成となっている。
すなわち、ダイオードD及びコンデンサCは充電回路を構成しており、イグニッションスイッチSIG及びACCスイッチがオフ操作されて、常に動作させておく必要のある車載時計などの消費電力の少ない車載用電子機器に対して電力供給を行っている間(以下「バックアップ期間」という)に、車載電源20のバッテリ電圧VBが低下した場合、コンデンサCに充電しておいた充電電圧を3端子レギュレータ40側に供給することで、3端子レギュレータ40が引き続き一定電圧(5ボルト)の出力電圧Voを発生させて所要電力の供給を行うこととしている。
次に、図2(b)に示す従来の車両用電源装置10は、図1(b)に示した制御用トランジスタQxのコレクタと車載電源20との間に、ダイオードD及びコンデンサCからなる充電回路が設けられた構成となっている。
そして、イグニッションスイッチSIG及びACCスイッチSACがオフ操作されて、常に動作させておく必要のある車載時計などの消費電力の少ない車載用電子機器に対して電力供給を行っているバックアップ期間に、車載電源20のバッテリ電圧VBが低下した場合、コンデンサCに充電しておいた充電電圧を制御用トランジスタQxと抵抗Ra側に供給することで、制御用トランジスタQxのベース電流Iaの減少を防止し、制御用トランジスタQxが引き続き一定電圧の出力電圧Voを発生させて所要電力の供給を行うこととしている。
ところで、図1(a)及び図2(a)に示した従来の車載用電源装置では、IC化された3端子レギュレータを使用する結果、所望の出力電圧Voに対するバッテリ電圧VBの電圧範囲を自由に選択することができず、設計の自由度が低いという問題がある。
また、図1(b)及び図2(b)に示した従来の車載用電源装置では、ACCスイッチSACの切り替わった状態に追従して、制御用トランジスタQxに対するベース電流が電流Iaとなったり、電流IaとIbとの合成電流(Ia+Ib)となったりするだけであることから、ACCスイッチSACの切り替わった状態に応じて制御用トランジスタQxのベース電流が決まるようになっており、負荷30の実際の動作状態に即して制御用トランジスタQxのベース電流が決まるようにはなっていない。
このため、ACCスイッチSACがいわゆる定常的にオン状態又はオフ状態となっているときには、ACCスイッチSACの切り替わった状態に対応して負荷30の動作状態も一致することとなるため、上記従来の車両用電源装置でも問題を生じないが、例えばACCスイッチSACがオンオフ操作される過渡時において、車載型オーディオ機器などの重い負荷30が動作を開始しているにもかかわらず、ACCスイッチSACがオフ状態となった場合には、図1(b)及び図2(b)に示した抵抗Raを介して流入するベース電流Iaだけでは、制御用トランジスタQxが所要電力をその負荷30に供給することができなくなり、出力電圧Voが低下するという問題を招来する。
また、上述のACCスイッチSACがオンオフ操作される過渡時において、制御用トランジスタQxのベース電流が合成電流(Ia+Ib)とはならない場合があることを想定して、予め電流増幅率(hfe)の大きな制御用トランジスタQxを用いた回路構成とすることも考えられるが、この電流増幅率(hfe)は温度変化の影響が大きいため、常温時では高い電流増幅率、低温時では低い電流増幅率となってしまい、結局、低温時の低い電流増幅率を基準としてベース電流Iaを設定することとなる。つまり、抵抗Raを低い抵抗値とすることで、大電流のベース電流Iaが制御用トランジスタQxに流入するように設計することとなる。
しかし、こうした設計を行うと、抵抗Raは本来、バックアップ期間において車載時計などの消費電力の少ない車載用電子機器のみを駆動するために設けられているにもかかわらず、例えば車載型オーディオ機器などの重い負荷をも駆動できるように設計することに他ならず、そのため、過渡時ではない通常のバックアップ期間において、ベース電流Iaを低減することができず、車両用電源装置自体の消費電力が増加してしまうという問題を招来する。
本発明はこうした従来の問題点に鑑みてなされたものであり、バックアップ期間における消費電力を低減することが可能な車両用電源装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、過渡時において負荷が重くなった場合でも出力電圧の低下を未然に防止し得る車両用電源装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、設計の自由度を向上させることが可能な車両用電源装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、車載電源と負荷との間に設けられ、前記車載電源からバッテリ電圧と電流との供給を受けて、前記負荷に対して所定の出力電圧と制御電流に基づいて電力増幅した負荷駆動用電力の供給を行う制御用能動素子を有する車両用電源装置であって、車両のアクセサリスイッチがオフ操作されるバックアップ期間において動作させる必要のある負荷に対して負荷駆動用電力を供給するための第1の制御電流を前記制御用能動素子に供給する電流供給路と、第2の制御電流を発生する電流源手段と、前記制御用能動素子が前記バックアップ期間において動作させる必要のある前記負荷に対して前記第1の制御電流に基づいて電力供給を行うに際して、前記車載電源から前記制御用能動素子に流入することとなる電流の電流値を基準電流値とし、前記車載電源から前記制御用能動素子に流入する電流の電流値が前記基準電流値を超えたか否かを検出する電流値検出手段と、前記電流値検出手段が前記基準電流値を超えたことを検出すると、前記第1の制御電流に加えて、第2の制御電流を前記電流源手段から前記制御用能動素子へ供給させると共に、前記第1,第2の制御電流に対応する負荷駆動用電力の増加分に相当する電流を、前記車載電源側から前記制御用能動素子に増加供給するスイッチ手段とを有することを特徴とする。
本発明の車両用電源装置の実施形態について図3を参照して説明する。図3(a)は第1の実施形態に係る車両用電源装置の構成を表した回路図、図3(b)は第2の実施形態に係る車両用電源装置の構成を表した回路図である。
〈第1の実施形態〉
まず、図3(a)を参照して第1の実施形態の構成を説明する。
この車両用電源装置100は、いわゆるディスクリート回路で形成されており、例えば12ボルトのバッテリ電圧VBを出力する車載電源(車載バッテリ)200と、例えば5ボルトで動作する車載ラジオや車載型オーディオ機器、車載時計などの複数の車載用電子機器(すなわち、負荷)300との間に設けられるようになっている。
また、図示していないが、イグニッションキーによってACCスイッチ(アクセサリスイッチ)がオフ操作された場合、複数の負荷300のうち常に動作させておく必要のある車載時計などだけに、後述の制御用トランジスタQyの出力電圧Voが供給され、ACCスイッチがオン操作された場合に、その車載時計などに加えて、車載ラジオや車載型オーディオ機器などの残余の車載用電子機器にも出力電圧Voが供給されるように、各々の負荷300と制御用トランジスタQyの出力間が配線されるようになっている。
そして、車両用電源装置100は、負荷300に対してエミッタフォロワ接続される制御用能動素子としてのNPNトランジスタ(制御用トランジスタ)Qyと、車載電源200から制御用トランジスタQyのコレクタ側に流入する電流Idの電流値を検出する電流値検出部400と、制御用トランジスタQyのベースと車載電源200のプラス端子との間に接続された抵抗Raと、制御用トランジスタQyのベースと車載電源200のプラス端子との間に直列接続された電流源500及び第1のスイッチ部600と、電流源500と第1のスイッチ部600との接続点P1と制御用トランジスタQyのコレクタと電流値検出部400との接続点P2の間に接続された第2のスイッチ部700と、制御用トランジスタQyのベース電位を設定するための定電圧(例えば、5.6ボルト)Vzを発生する基準電圧発生部800とを有して構成されている。
ここで、抵抗Raは、制御用トランジスタQyが常に動作させておく必要のある車載時計などの消費電力の少ない車載用電子機器に対して、出力電圧Voを低下させることなく所要電力を供給することができるように、制御用トランジスタQyにベース電流Iaを供給するために設けられている。
つまり、抵抗Raは比較的高抵抗値の抵抗で形成されており、少なくともバックアップ期間において、消費電力の少ない車載用電子機器を駆動することができる程度の比較的少ないベース電流Iaを制御用電流として制御用トランジスタQyのベースに供給するための電流供給路を形成している。
電流値検出部400は、車載電源200から制御用トランジスタQyのコレクタに流入する電流Idの電流値を検出する。そして、ACCスイッチがオフ操作されるバックアップ期間において制御用トランジスタQyのコレクタ側へ流入することとなる電流Idの電流値を基準(以下「基準電流値」という)として決めておき、その基準電流値よりも大電流値の電流Idが流れたことを検出すると、第1のスイッチ部600をオン(導通)、それ以外の場合には第1のスイッチ部600をオフ(非導通)に切り替え制御する。
つまり、バックアップ期間において抵抗Raを介して制御用トランジスタQyにベース電流Iaが流入する際に、制御用トランジスタQyのコレクタ側に流入することとなる電流Idの上限値を基準電流値として、設計段階などにおいて予め決めておき、その予め決めておいた基準電流値を超える電流Idが電流値検出部400を流れると、電流値検出部400は、ACCスイッチがオン操作されて、車載型オーディオ機器などの重い負荷300が接続されたものと判断して、第1のスイッチ部600をオン(導通)にする。
第2のスイッチ部700は、接続点P1,P2間の電圧が所定電圧を超えるとオン(導通)、所定電圧以下のときにはオフ(非導通)となるように切り替わる。
すなわち、第2のスイッチ部700は、第1のスイッチ部600がオフ(非導通)となって、接続点P1,P2間の電圧が所定電圧以下となるときには、オフ(非導通)となり、第1のスイッチ部600がオン(導通)となって、接続点P1に対する接続点P2の電圧が所定電圧より高電圧となると、オン(導通)となる。
これにより、第2のスイッチ部700は、電流値検出部400の制御の下で第1のスイッチ部600がオンとなるのに伴って、オンとなるように動作し、車載電源200から第1のスイッチ部600を介して流入してくる電流Ieを制御用トランジスタQyのコレクタ側へ供給する。
なお、本実施形態では、第2のスイッチ部700は、接続点P1,P2間の電圧に応じてオン又はオフに切り替え動作するようになっているが、電流値検出部400の制御に従って、第1のスイッチ部600と共にオン又はオフに切り替え動作するようにしてもよい。
電流源500は、ACCスイッチがオン操作されて、車載型オーディオ機器などの消費電力の多い車載用電子機器が動作することとなった場合に、ベース電流Iaだけでは不足することとなる制御電流を制御用トランジスタQyのベースに増加供給するために設けられており、その増加供給分のベース電流Ifを定電流として出力するようになっている。
そして、電流源500は、制御用トランジスタQyのベースと第1のスイッチ部600に接続されていることから、第1のスイッチ部600がオフ(非導通)となると、車載電源200からの電流供給が遮断される結果、制御用トランジスタQyへのベース電流Ifの供給を停止することとなり、一方、第1のスイッチ部600がオン(導通)となると、車載電源200からの電流供給がなされる結果、制御用トランジスタQyへのベース電流Ifの供給を行うように動作する。
次に、かかる構成を有する車両用電源装置100の動作について説明する。
まず、ACCスイッチが定常的にオフ操作されているとき、すなわちバックアップ期間では、車載時計などの消費電力の少ない車載用電子機器のみが負荷300となって制御用トランンジスタQyに接続されることとなるため、制御用トランジスタQyは抵抗Raを介して流入する少電流値のベース電流Iaに基づいて、その負荷300に所要電力(すなわち、負荷駆動用電力)を供給し、且つ一定の出力電圧Voに保持する。
更に、制御用トランジスタQyのコレクタに流入する電流Idも基準電流値を超えない値となるため、電流値検出部400は、車載型オーディオ機器などの重い負荷が接続されたとは判断せず、第1,第2のスイッチ部600,700がオフとなると共に、電流源500から制御用トランジスタQyにベース電流Ifが供給されない状態となる。
したがって、ACCスイッチが定常的にオフ操作される通常のバックアップ期間では、電流源500からベース電流Ifが供給されないため、消費電力の低減化が可能となっている。
次に、ACCスイッチが定常的にオン状態となっているときの動作について説明する。ACCスイッチが定常的にオン状態となると、車載型オーディオ機器などの重い負荷300が制御用トランジスタQyに接続されることとなるため、制御用トランジスタQy側に流入する電流Idが基準電流値を超えた値となる。
そして、電流値検出部400が基準電流値を超えた電流Idを検出することで、第1のスイッチ部600をオン(導通)に切り替えさせ、ひいては第2のスイッチ部700もオン(導通)に切り替えさせる。そして更に、電流源500も第1のスイッチ部600を介して車載電源200からの電流供給を受けるようになる。
このように、スイッチ手段としての第1,第2のスイッチ部600,700がオンとなり、電流源500も動作可能状態となると、制御用トランジスタQyのベースには、ベース電流Iaと電流源500からのベース電流Ifが供給され、更に制御用トランジスタQyのコレクタには、電流値検出部400を介して流入する電流Idのみならず、第2のスイッチ部700を介して電流Ieが流入する。
このため、制御用トランジスタQyは、負荷300が重くなっても、出力電圧Voを低下させることなく、その負荷300に対して所要電力(すなわち、負荷駆動用電力)を供給することが可能となっている。
次に、ACCスイッチがオンオフ操作される過渡時において、車載型オーディオ機器などの消費電力の多い車載電子機器が動作を開始し、過渡的にACCスイッチがオフ状態となったような場合の動作について説明する。
こうした過渡時では、車載型オーディオ機器などの重い負荷300が制御用トランジスタQyに接続されて動作開始となると、ACCスイッチが過渡的にオフとなった場合でも、制御用トランジスタQyのコレクタ側に流入する電流Idは、いわゆる重い負荷300に引きずられる形で、基準電流値を超える値となる。
このため、電流値検出部400の制御に従って、第1のスイッチ部600がオンとなり、更に第2のスイッチ部700もオンとなると共に、電流源500も動作可能状態となる。
そして、制御用トランジスタQyのベースには、ベース電流Iaと電流源500からのベース電流Ifが供給され、更に制御用トランジスタQyのコレクタには、電流値検出部400を介して流入する電流Idのみならず、第2のスイッチ部700を介して電流Ieが流入する。
このため、制御用トランジスタQyは、負荷300が重いときにACCスイッチが過渡的にオフとなった場合でも、出力電圧Voを低下させることなく、その負荷300に対して所要電力を供給することが可能となっている。
以上説明したように、本実施形態の車両用電源装置100によれば、車載時計などの常に動作させておく必要のある消費電力の少ない車載用電子機器を動作させるバックアップ期間では、電流源500が動作を停止すると共に、抵抗Raからのベース電流Iaに基づいて制御用トランジスタQyが負荷300への電力供給を行うこととなるため、車両用電源装置自体の消費電力を低減することができる。
更に、バックアップ期間における消費電力を低減するためにベース電流Iaの電流値を低減したとしても、ACCスイッチがオン操作されて車載型オーディオ機器などの消費電力の多い車載用電子機器が接続されることとなる場合には、電流源500が動作可能状態となって制御用トランジスタQyのベース電流を増加供給し、更に、第1のスイッチ部700を介して制御用トランジスタQyのコレクタへの電流Ieを増加供給することにより、重い負荷300に対して出力電圧Voを低下させることなく所要電力の供給を行うことができる。
更に、ACCスイッチがオンオフ操作される過渡時において、負荷300側が動作中にACCスイッチがオフとなった場合でも、その動作中の負荷300の実際の動作状況に即して、制御用トランジスタQyへのベース電流Ifとコレクタ電流Ieの供給を行うことから、出力電圧Voを低下させることなく安定化させて、負荷300に対する所要電力の供給を行うことができる。
また、本実施形態の車両用電源装置100は、デスクリート回路で構成されるため、所望の出力電圧Voに対するバッテリ電圧VBの電圧範囲を比較的自由に選ぶことができ、設計の自由度を向上させることが可能である。
〈第2の実施形態〉
次に、図3(b)を参照して第2の実施形態の構成を説明する。なお、図3(b)において、図3(a)と同一又相当する部分を同一符号で示している。
図3(b)において、この車両用電源装置100は、図3(a)に示した車両用電源装置に、ダイオードD及びコンデンサCからなる充電回路を設けた構成となっている。
すなわち、ダイオードDのカソードとアノードが各々の電流値検出部400の入力端と車載電源200のプラス端子に接続され、ダイオードDのカソードと車載電源200のマイナス端子(グランド端子)GNDとの間にコンデンサCが接続されることで、充電回路が構成されている。
次に、かかる構成を有する車両用電源装置100の動作について説明する。
まず、ダイオードDは、ACCスイッチがオン操作されているかオフ操作されているかにかかわらず、順バイアスとなっている間に、車載電源200側から流入する電流をコンデンサC側へ供給することで、コンデンサCに充電電圧を充電させる。一方、車載電源200のバッテリ電圧VBがコンデンサCの充電電圧に較べて低下し、ダイオードDが逆バイアスとなると、コンデンサCが充電電圧を電流値検出部400及び抵抗Ra側へ供給する。
このように、充電回路は、バックアップ期間においてバッテリ電圧VBが低下した場合でも、ダイオードDが逆バイアスとなってコンデンサCの充電電圧を抵抗Ra側へ供給することで、抵抗Raを介して制御用トランジスタQxにベース電流Iaを供給し、出力電圧Voを低下させることなく消費電力の少ない車載時計などを常に動作させることを可能にしている。
また、バックアップ期間においてバッテリ電圧VBが低下しない場合には、制御用トランジスタQxのベースとコレクタに少電流値のベース電流Iaと電流Idが夫々ダイオードDを介して流入する。そして、電流Idが基準電流値を超えない値となるため、電流値検出部400が車載型オーディオ機器などの重い負荷が接続されたとは判断せず、第1,第2のスイッチ部600,700がオフとなると共に、電流源500から制御用トランジスタQyにベース電流Ifが供給されない状態となる。
したがって、ACCスイッチが定常的にオフ操作される通常のバックアップ期間では、電流源500からベース電流Ifが供給されないため、消費電力の低減化が可能となっている。
次に、ACCスイッチが定常的にオン状態となっているときには、車載型オーディオ機器などの重い負荷300が制御用トランジスタQyに接続されることとなるため、ダイオードDを介して制御用トランジスタQy側に流入する電流Idが基準電流値を超えた値となる。
そして、電流値検出部400が基準電流値を超えた電流Idを検出することで、第1のスイッチ部600をオンに切り替えさせ、ひいては第2のスイッチ部700もオンに切り替えさせる。更に、電流源500も第1のスイッチ部600を介して車載電源200からの電流供給を受けるようになる。
このように、第1,第2のスイッチ部600,700がオンとなり、電流源500も動作可能状態となると、制御用トランジスタQyのベースには、ベース電流Iaと電流源500からのベース電流Ifが供給され、更に制御用トランジスタQyのコレクタには、電流値検出部400を介して流入する電流Idのみならず、第2のスイッチ部700を介して電流Ieが流入する。
このため、制御用トランジスタQyは、負荷300が重くなっても、出力電圧Voを低下させることなく、その負荷300に対して所要電力を供給することが可能となっている。
次に、ACCスイッチがオンオフ操作される過渡時において、車載型オーディオ機器などの消費電力の多い車載電子機器が動作を開始し、過渡的にACCスイッチがオフ状態となったような場合の動作について説明する。
こうした過渡時では、車載型オーディオ機器などの重い負荷300が制御用トランジスタQyに接続されて動作開始となると、ACCスイッチが過渡的にオフとなった場合でも、ダイオードDを介して制御用トランジスタQyのコレクタ側に流入する電流Idは、基準電流値を超える値となる。このため、電流値検出部400の制御に従って、第1のスイッチ部600がオンとなり、更に第2のスイッチ部700もオンとなると共に、電流源500も動作可能状態となる。
そして、制御用トランジスタQyのベースには、ベース電流Iaと電流源500からのベース電流Ifが供給され、更に制御用トランジスタQyのコレクタには、電流値検出部400を介して流入する電流Idのみならず、第2のスイッチ部700を介して電流Ieが流入する。
このため、制御用トランジスタQyは、負荷300が重いときにACCスイッチが過渡的にオフとなった場合でも、出力電圧Voを低下させることなく、その負荷300に対して所要電力を供給することが可能となっている。
以上説明したように、本実施形態の車両用電源装置100によれば、充電回路が設けられているため、バックアップ期間中にバッテリ電圧VBが低下した場合でも、常に動作させておく必要のある車載時計などを継続して動作させることが可能となっている。
更に、バックアップ期間では、電流源500が動作を停止すると共に、抵抗Raからのベース電流Iaに基づいて制御用トランジスタQyが負荷300への電力供給を行うこととなるため、車両用電源装置自体の消費電力を低減することができる。
更に、バックアップ期間における消費電力を低減するためにベース電流Iaの電流値を低減したとしても、ACCスイッチがオン操作されて車載型オーディオ機器などの消費電力の多い車載用電子機器が接続されることとなる場合には、電流源500が動作可能状態となって制御用トランジスタQyのベース電流を増加供給し、更に、第1のスイッチ部700を介して制御用トランジスタQyのコレクタへの電流Ieを増加供給することにより、重い負荷300に対して出力電圧Voを低下させることなく所要電力の供給を行うことができる。
更に、ACCスイッチがオンオフ操作される過渡時において、負荷300側が動作中にACCスイッチがオフとなった場合でも、その動作中の負荷300の実際の動作状況に即して、制御用トランジスタQyへのベース電流Ifとコレクタ電流Ieの供給を行うことから、出力電圧Voを低下させることなく安定化させて、負荷300に対する所要電力の供給を行うことができる。
また、本実施形態の車両用電源装置100は、デスクリート回路で構成されるため、所望の出力電圧Voに対するバッテリ電圧VBの電圧範囲を比較的自由に選択することができ、設計の自由度を向上させることが可能である。
次に、図3(a)に示した第1の実施形態に関するより具体的な実施例について、図4(a)を参照して説明する。図4(a)は本実施例の車両用電源装置の構成を表した回路図であり、図3(a)に示した車両用電源装置と同一又は相当する部分を同一符号で示している。
図4(a)において、図3(a)の車両用電源装置と対比して説明すると、例えば12ボルトのバッテリ電圧VBを出力する車載電源200と、例えば5ボルトで動作する複数の負荷30との間に設けられる本実施例の車両用電源装置100は、制御用トランジスタQxのコレクタと車載電源200との間に直列接続された所定抵抗値の固定抵抗Rx,Ryによって電流値検出部400が形成され、PNPトランジスタQ600によって第1のスイッチ部600が形成され、接続点P1,P2間に接続されたダイオードD700によって第2のスイッチ部700が形成され、ゲートソース間が短絡接続された電界効果トランジスタ(FET)Q500によって電流源500が形成され、所定のツェナー電圧(例えば、5.6ボルト)Vzを発生するツェナーダイオードZDによって基準電圧発生部800が形成されている。
ここで、PNPトランジスタQ600は、そのベースが固定抵抗Rx,Ryの接続点P3に接続されると共に、そのエミッタが固定抵抗Rxの車載電源200側の入力端に接続され、そのコレクタが接続点P1に接続されている。
そして、ACCスイッチがオフ操作されるバックアップ期間において、固定抵抗Rxに流れる電流Idが基準電流値となるときには、固定抵抗Rxの両端電圧がPNPトランジスタQ600をオン状態にするベースエミッタ電圧には達せず、ACCスイッチがオン操作されて負荷300が重くなり固定抵抗Rxに流れる電流Idが基準電流値を超えることとなると、固定抵抗Rxの両端電圧が上述のベースエミッタ電圧に達することとなるように、固定抵抗Rxの抵抗値が決められている。
したがって、PNPトランジスタQ600は、ACCスイッチがオフ操作されて、消費電力の少ない車載時計などの車載用電子機器のみを動作させるバックアップ期間ではオフ(非導通)となり、ACCスイッチがオン操作されて、車載型オーディオ機器などの負荷の重い車載用電子機器を動作させるときには、オン(導通)となる。
ダイオードD700は、そのアノードとカソードが接続点P1とP2に各々接続されており、接続点P2に対する接続点P1の電圧差がいわゆる順方向電圧(例えば、0.6ボルト)に達すると、オン(導通)となり、順方向電圧未満のときにはオフ(非導通)となる。
固定抵抗Ryは、PNPトランジスタQyがオンとなったときに、接続点P1,P2の電圧差がダイオードD700をオンにする順方向電圧に達することとなるように、その抵抗値が決められている。
すなわち、バップアップ期間において流入する電流Idが基準電流値となるときには、固定抵抗Ryの両端電圧が上述の順方向電圧に較べて小さくなり、一方、車載型オーディオ機器などの負荷の重い車載用電子機器を動作させる際に電流Idが基準電流値を超える値となってPNPトランジスタQ600がオン(導通)となると、その電流Idに基づく抵抗Ryの電圧降下によって接続点P2に生じる電圧と、PNPトランジスタQyのコレクタの電圧(接続点P1の電圧)との電圧差が、上述の順方向電圧に達することなるように、固定抵抗Ryの抵抗値が決められている。
電界効果トランジスタQ500は、そのドレインが接続点P1、そのソースが制御用トランジスタQyのベースに接続され、更にゲートソース間が短絡接続されることで、ソースから制御用トランジスタQyのベース側へベース電流Ifを出力する定電流源となっている。
そして、ACCスイッチがオフ操作されて、PNPトランジスタQ600がオフとなるバックアップ期間では、電界効果トランジスタQ500は、車載電源200側から電流供給がなされなくなるため動作停止状態となり、制御用トランジスタQyへのベース電流Ifの供給を停止し、一方、ACCスイッチがオン操作されて、車載型オーディオ機器などの負荷の重い車載用電子機器を動作させる際にPNPトランジスタQ600がオンとなると、電界効果トランジスタQ500は、車載電源200側から電流供給がなされるため動作可能状態となり、制御用トランジスタQyへのベース電流Ifの供給を行う。
また、抵抗Raは、制御用トランジスタQyのベースと抵抗Rxの車載電源200側の入力端との間に接続されており、バックアップ期間において、常に動作させておく必要のある車載時計などの消費電力の少ない車載用電子機器を動作させるの必要十分な少電流値のベース電流Iaを制御用トランジスタQyのベースに供給するようになっている。
次に、かかる構成を有する車両用電源装置100の動作について説明する。
まず、ACCスイッチが定常的にオフ操作されているとき、すなわちバックアップ期間では、車載時計などの消費電力の少ない車載用電子機器のみが負荷300となって制御用トランンジスタQyに接続されることとなる。このため、制御用トランジスタQyは抵抗Raを介して流入する少電流値のベース電流Iaに基づいて、その負荷300に所要電力を供給し、且つ一定の出力電圧Voに保持する。
更に、制御用トランジスタQyのコレクタに流入する電流Idも基準電流値を超えない値となるため、抵抗Rxの両端に生じる電圧によってはPNPトランジスタQ600がオフ(非導通)のままとなり、更にダイオードD700もオフ(非導通)、電界効果トランジスタQ500も動作停止状態となる。
このため、制御用トランジスタQyは、抵抗Raを介して供給されるベース電流Iaと、抵抗Rx,Ryを介して供給される基準電圧値の電流Idに基づいて、負荷300に対する電力供給を出力電圧Voの低下を生じさせることなく行う。
したがって、ACCスイッチが定常的にオフ操作される通常のバックアップ期間では、電流源500からベース電流Ifが供給されないため、消費電力の低減化が可能となっている。
次に、ACCスイッチが定常的にオン状態となっているときの動作について説明する。
ACCスイッチが定常的にオン状態となると、車載型オーディオ機器などの重い負荷300が制御用トランジスタQyに接続されることとなるため、抵抗Rx,Ryを介して制御用トランジスタQy側に流入する電流Idが基準電流値を超えた値となる。
そして、抵抗Rxの両端電圧が上昇するのに従ってPNPトランジスタQ600がオン(導通)となり、更に、抵抗Ryの電圧降下が大きくなるのに伴って接続点P1,P2間の電圧差が大きくなることで、ダイオードD700がオン(導通)となり、更に、電界効果トランジスタQ500が動作可能状態となる。
このように、PNPトランジスタQ600とダイオードD700がオンとなり、電界効果トランジスタQ500も動作可能状態となると、制御用トランジスタQyのベースには、ベース電流Iaと電界効果トランジスタQ500からのベース電流Ifが供給され、更に制御用トランジスタQyのコレクタには、抵抗Rx,Ryを介して流入する電流Idのみならず、ダイオードD700を介して電流Ieが流入する。
このため、制御用トランジスタQyは、負荷300が重くなっても、出力電圧Voを低下させることなく、その負荷300に対して所要電力を供給することが可能となっている。
次に、ACCスイッチがオンオフ操作される過渡時において、車載型オーディオ機器などの消費電力の多い車載電子機器が動作を開始し、過渡的にACCスイッチがオフ状態となったような場合の動作について説明する。
こうした過渡時では、車載型オーディオ機器などの重い負荷300が制御用トランジスタQyに接続されて動作開始となると、ACCスイッチが過渡的にオフとなった場合でも、制御用トランジスタQyのコレクタ側に流入する電流Idは、基準電流値を超える値となる。
このため、抵抗Rxの両端電圧が上昇するのに従ってPNPトランジスタQ600がオン(導通)となり、更に、抵抗Ryの電圧降下が大きくなるのに伴って接続点P1,P2間の電圧差が大きくなることで、ダイオードD700がオン(導通)となり、更に、電界効果トランジスタQ500が動作可能状態となる。
そして、制御用トランジスタQyのベースには、ベース電流Iaと電界効果トランジスタQ500からのベース電流Ifが供給され、更に制御用トランジスタQyのコレクタには、抵抗Rx,Ryを介して流入する電流Idのみならず、ダイオードD700を介して電流Ieが流入する。
このため、制御用トランジスタQyは、負荷300が重いときにACCスイッチが過渡的にオフとなった場合でも、出力電圧Voを低下させることなく、その負荷300に対して所要電力を供給することが可能となっている。
以上説明したように、本実施例の車両用電源装置100によれば、車載時計などの常に動作させておく必要のある消費電力の少ない車載用電子機器を動作させるバックアップ期間では、電流源としての電界効果トランジスタQ500が動作停止状態となると共に、抵抗Raからのベース電流Iaに基づいて制御用トランジスタQyが負荷300への電力供給を行うこととなるため、車両用電源装置自体の消費電力を低減することができる。
更に、バックアップ期間における消費電力を低減するためにベース電流Iaの電流値を低減したとしても、ACCスイッチがオン操作されて車載型オーディオ機器などの消費電力の多い車載用電子機器が接続されることとなる場合には、電界効果トランジスタQ500が動作可能状態となって制御用トランジスタQyのベース電流を増加供給し、更に、ダイオードD700を介して制御用トランジスタQyのコレクタへの電流Ieを増加供給することにより、重い負荷300に対して出力電圧Voを低下させることなく所要電力の供給を行うことができる。
更に、ACCスイッチがオンオフ操作される過渡時において、負荷300側が動作中にACCスイッチがオフとなった場合でも、その動作中の負荷300の実際の動作状況に即して、制御用トランジスタQyへのベース電流Ifとコレクタ電流Ieの供給を行うことから、出力電圧Voを低下させることなく安定化させて、負荷300に対する所要電力の供給を行うことができる。
また、本実施形態の車両用電源装置100は、デスクリート回路で構成されるため、所望の出力電圧Voに対するバッテリ電圧VBの電圧範囲を比較的自由に選択することができ、設計の自由度を向上させることが可能である。
なお、本実施例では、電界効果トランジスタQ500によってベース電流Ifを発生する電流源を形成することとしているが、この代わりに、制御用トランジスタQyのベースと接続点P1との間に所定抵抗値の抵抗を接続することで、ベース電流Ifを発生させるようにしてもよい。
次に、図3(b)に示した第2の実施形態に関するより具体的な実施例について、図4(b)を参照して説明する。図4(b)は本実施例の車両用電源装置の構成を表した回路図であり、図3(b)に示した車両用電源装置と同一又は相当する部分を同一符号で示している。
図4(b)において、図3(b)の車両用電源装置と対比して説明すると、例えば12ボルトのバッテリ電圧VBを出力する車載電源200と、例えば5ボルトで動作する複数の負荷30との間に設けられる本実施例の車両用電源装置100は、所定抵抗値の固定抵抗Rx,Ryによって電流値検出部400が形成され、PNPトランジスタQ600によって第1のスイッチ部600が形成され、接続点P1,P2間に接続されたダイオードD700によって第2のスイッチ部700が形成され、ゲートソース間が短絡接続された電界効果トランジスタ(FET)Q500によって電流源500が形成され、所定のツェナー電圧(例えば、5.6ボルト)Vzを発生するツェナーダイオードZDによって基準電圧発生部800が形成されている。
そして、充電回路としてのダイオードD及びコンデンサCが、車載電源200と抵抗Rx及びPNPトランジスタQ600のエミッタとの間に接続されている。
次に、かかる構成を有する車両用電源装置100の動作について説明する。
まず、ダイオードDとコンデンサCで形成された充電回路は、ダイオードDが順バイアスとなっている間に、コンデンサCに充電電圧を充電しておき、バックアップ期間においてバッテリ電圧VBが低下した場合に、ダイオードDが逆バイアスとなってコンデンサCの充電電圧を抵抗Ra側へ供給することで、抵抗Raを介して制御用トランジスタQxにベース電流Iaを供給し、出力電圧Voを低下させることなく消費電力の少ない車載時計などを常に動作させることを可能にしている。
また、バックアップ期間では、負荷30が軽いことから、充電電圧VBが低下したか否かにかかわらず、抵抗Rx,Ryを流れる電流Idは基準電流値を超えることがなく、そのため、PNPトランジスタQ600とダイオードD700が共にオフとなると共に、電界効果トランジスタQ500も動作停止状態となり、制御用トランジスタQyのベースとコレクタに夫々ベース電流Iaと電流Ibが流入する。このため、本実施例の車両用電源装置100は、消費電力の低減化が可能となっている。
次に、ACCスイッチが定常的にオン状態となっている場合の動作について説明する。ACCスイッチが定常的にオン状態となると、車載型オーディオ機器などの重い負荷300が制御用トランジスタQyに接続されることとなる。このため、ダイオードD及び抵抗Rx,Ryを介して制御用トランジスタQy側に流入する電流Idが基準電流値を超えた値となる。そして、抵抗Rxの両端電圧が上昇するのに従ってPNPトランジスタQ600がオン(導通)となり、更に、抵抗Ryの電圧降下が大きくなるのに伴って接続点P1,P2間の電圧差が大きくなることで、ダイオードD700がオン(導通)となり、更に、電界効果トランジスタQ500が動作可能状態となる。
このように、PNPトランジスタQ600とダイオードD700がオンとなり、電界効果トランジスタQ500も動作可能状態となると、制御用トランジスタQyのベースには、ベース電流Iaと電界効果トランジスタQ500からのベース電流Ifが供給され、更に制御用トランジスタQyのコレクタには、抵抗Rx,Ryを介して流入する電流Idのみならず、ダイオードD700を介して電流Ieが流入する。
このため、制御用トランジスタQyは、負荷300が重くなっても、出力電圧Voを低下させることなく、その負荷300に対して所要電力を供給することが可能となっている。
次に、ACCスイッチがオンオフ操作される過渡時において、車載型オーディオ機器などの消費電力の多い車載電子機器が動作を開始し、過渡的にACCスイッチがオフ状態となったような場合の動作について説明する。
こうした過渡時では、車載型オーディオ機器などの重い負荷300が制御用トランジスタQyに接続されて動作開始となると、ACCスイッチが過渡的にオフとなった場合でも、制御用トランジスタQyのコレクタ側に流入する電流Idは、基準電流値を超える値となる。
このため、抵抗Rxの両端電圧が上昇するのに従ってPNPトランジスタQ600がオン(導通)となり、更に、抵抗Ryの電圧降下が大きくなるのに伴って接続点P1,P2間の電圧差が大きくなることで、ダイオードD700がオン(導通)となり、更に、電界効果トランジスタQ500が動作可能状態となる。
そして、制御用トランジスタQyのベースには、ベース電流Iaと電界効果トランジスタQ500からのベース電流Ifが供給され、更に制御用トランジスタQyのコレクタには、抵抗Rx,Ryを介して流入する電流Idのみならず、ダイオードD700を介して電流Ieが流入する。
このため、制御用トランジスタQyは、負荷300が重いときにACCスイッチが過渡的にオフとなった場合でも、出力電圧Voを低下させることなく、その負荷300に対して所要電力を供給することが可能となっている。
以上説明したように、本実施例の車両用電源装置100によれば、充電回路が設けられているため、バックアップ期間中にバッテリ電圧VBが低下した場合でも、常に動作させておく必要のある車載時計などを継続して動作させることが可能となっている。
更に、バックアップ期間では、電流源としての電界効果トランジスタQ500が動作停止状態となると共に、抵抗Raからのベース電流Iaに基づいて制御用トランジスタQyが負荷300への電力供給を行うこととなるため、車両用電源装置自体の消費電力を低減することができる。
更に、バックアップ期間における消費電力を低減するためにベース電流Iaの電流値を低減したとしても、ACCスイッチがオン操作されて車載型オーディオ機器などの消費電力の多い車載用電子機器が接続されることとなる場合には、電界効果トランジスタQ500が動作可能状態となって制御用トランジスタQyのベース電流を増加供給し、更に、ダイオードD700を介して制御用トランジスタQyのコレクタへの電流Ieを増加供給することにより、重い負荷300に対して出力電圧Voを低下させることなく所要電力の供給を行うことができる。
更に、ACCスイッチがオンオフ操作される過渡時において、負荷300側が動作中にACCスイッチがオフとなった場合でも、その動作中の負荷300の実際の動作状況に即して、制御用トランジスタQyへのベース電流Ifとコレクタ電流Ieの供給を行うことから、出力電圧Voを低下させることなく安定化させて、負荷300に対する所要電力の供給を行うことができる。
また、本実施形態の車両用電源装置100は、デスクリート回路で構成されるため、所望の出力電圧Voに対するバッテリ電圧VBの電圧範囲を比較的授優に選択することができ、設計の自由度を向上させることが可能である。
なお、本実施例では、電界効果トランジスタQ500によってベース電流Ifを発生する電流源を形成することとしているが、この代わりに、制御用トランジスタQyのベースと接続点P1との間に所定抵抗値の抵抗を接続することで、ベース電流Ifを発生させるようにしてもよい。
従来の車両用電源装置の構成を表した回路図である。
更に、従来の車両用電源装置の構成を表した回路図である。
本発明の実施形態に係る2態様の車両用電源装置の構成を表した回路図である。
図3に示した各実施形態に関するより具体的な実施例の車両用電源装置の構成を表した回路図である。
符号の説明
100…車両用電源装置
200…車載電源
300…負荷
400…電流値検出部
500…電流源
600…第1のスイッチ部
700…第2のスイッチ部