JP2006026552A - 通水嫌気バイオシステム及びその処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】汚染された土壌を効率的に浄化するための通水嫌気バイオシステム及びその処理方法。
【解決手段】嫌気性微生物による有機塩素化合物の揮発性水溶性物質への分解を促進する嫌気性微生物分解促進剤を貯蔵するための分解促進剤貯槽10と、分解促進剤貯槽10から移送される嫌気性微生物分解促進剤を添加するために、土壌中を流れる地下水の上流側に設けられ、地下水に嫌気性微生物分解促進剤を注入するための注入井戸20と、嫌気性微生物によって生成された揮発性水溶性物質を含有した地下水を回収するために、土壌中を流れる地下水の下流側に設けられ、地下水を取水するための取水井戸30と、取水井戸30にて取水した地下水から揮発性水溶性物質を除去するために、取水した地下水を曝気処理するための曝気装置40と、曝気処理によって気化した揮発性水溶性物質を無害化するための浄化装置60と、を備える。
【選択図】図3




Description

本発明は、有機塩素化合物に汚染された土壌を効率的に浄化するための通水嫌気バイオシステム及びその処理方法に関する。
揮発性有機塩素化合物であるテトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、ジクロロエチレンは、金属類の脱脂・洗浄、ドライクリーニングの洗浄、冷媒等に用いられ、産業上の利用価値は高いが、人体にとっては肝障害や腎障害等を引き起こす有害物質となる。その為、これら有機塩素化合物による土壌や地下水汚染は深刻な社会問題となっている。
これら有機塩素化合物を分解し、汚染された土壌や地下水を浄化するための技術が多数存在し、その一つが揚水曝気処理による浄化方法である。これは、汚染された地下水を揚水し、その地下水に含まれる揮発性有機塩素化合物を曝気処理することにより気化させ、気化した揮発性有機塩素化合物を活性炭などに吸着させて除去することで、汚染された地下水を浄化するという方法である(例えば特許文献1)。その他の技術として、汚染された土壌及び地下水を嫌気性微生物による還元的脱塩素化処理によって浄化する方法が開発された。これは、汚染された土壌及び地下水に存在する嫌気性微生物を用いて有機塩素化合物の塩素を水素に置換することで汚染された土壌及び地下水を浄化する方法である(例えば、特許文献2又は3)。
特開2003−154356号公報 特開平10−216694号公報 特開2000−263032号公報
揚水処理は、地下水を帯水層から揚水するので、揮発性有機塩素化合物による汚染が帯水層まで達していて、かつ揮発性有機塩素化合物が地下水に含まれていないと、効率的な除去効果が見込めない。例えば、テトラクロロエチレン及びトリクロロエチレンは疎水性なので、地下水に溶解しないため、揚水処理による除去では効果が薄く時間がかかるため効率的でない。
また、嫌気性微生物による還元的脱塩素化処理においては、テトラクロロエチレン及びトリクロロエチレンは容易に分解できるものの、それらが分解されて生成するジクロロエチレンを分解できる嫌気性微生物が非常に少ないため、汚染された土壌及び地下水を浄化するには時間がかかり、この処理は効率的でない。
このため、揚水処理と還元的脱塩素化処理を単独で実施した場合、汚染された土壌及び地下水を浄化するには、長期間を要し、10年以上かかることもある。この問題を解決するために、本発明は、有機塩素化合物に汚染された土壌を効率的に浄化するための通水嫌気バイオシステム及びその処理方法を提供することを目的とする。
上記問題を解決すべく、本発明に係る通水嫌気バイオシステムは、嫌気性微生物によって揮発性水溶性物質に分解される有機塩素化合物に汚染された土壌を浄化するための通水嫌気バイオシステムであって、前記嫌気性微生物による前記有機塩素化合物の前記揮発性水溶性物質への分解を促進する嫌気性微生物分解促進剤を貯蔵するための分解促進剤貯槽と、前記有機塩素化合物に汚染された土壌に、前記分解促進剤貯槽から移送される前記嫌気性微生物分解促進剤を添加するために、前記土壌中を流れる地下水の上流側に設けられ、前記地下水に前記嫌気性微生物分解促進剤を注入するための注入井戸と、前記有機塩素化合物に汚染された土壌において前記嫌気性微生物によって生成された前記揮発性水溶性物質を含有した地下水を回収するために、前記土壌中を流れる前記地下水の下流側に設けられ、前記地下水を取水するための取水井戸と、前記取水井戸にて取水した地下水から前記揮発性水溶性物質を除去するために、前記取水井戸にて取水した地下水を曝気処理するための曝気装置と、前記曝気処理によって気化した前記揮発性水溶性物質を無害化するための浄化装置と、を備える。なお、上記システムは、前記曝気処理された地下水を前記注入井戸に移送し前記土壌に注入するための地下水移送手段をさらに備えることが好ましい。また、前記有機塩素化合物がテトラクロロエチレン又はトリクロロエチレンからなる群から選ばれる1又は2以上の化合物であることが好ましい。また、前記揮発性水溶性物質はジクロロエチレンであることが好ましい。
さらに、本発明に係る通水嫌気バイオ処理方法は、嫌気性微生物によって揮発性水溶性物質に分解される有機塩素化合物に汚染された土壌を浄化するための通水嫌気バイオ処理方法であって、前記嫌気性微生物による前記有機塩素化合物の前記揮発性水溶性物質への分解を促進する嫌気性微生物分解促進剤を、前記汚染された土壌中を流れる地下水の上流側に注入する工程と、前記汚染された土壌中において前記嫌気性微生物によって前記有機塩素化合物から生成された前記揮発性水溶性物質が溶解した地下水を、前記汚染された土壌中を流れる地下水の下流側で取水する工程と、前記取水した地下水を曝気処理して、前記揮発性水溶性物質を気化させる工程と、前記曝気処理によって気化した前記揮発性水溶性物質を無害化する工程と、を含む。上記通水嫌気バイオ処理方法では、前記曝気処理された地下水を前記汚染された土壌中を流れる地下水の上流側に注入し循環させる工程をさらに含むことが好ましい。また、前記有機塩素化合物はテトラクロロエチレン又はトリクロロエチレンからなる群から選ばれる1又は2以上の化合物であることが好ましい。また、前記揮発性水溶性物質はジクロロエチレンであることが好ましい。
本発明により、揮発性有機塩素化合物に汚染された土壌及び地下水を効率的に浄化するための通水嫌気バイオシステム及びその処理方法を提供する。
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を用いて詳細に説明する。なお、本発明の目的、特徴、利点、及びそのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態及び具体的な実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図並びに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々な改変並びに修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
===通水嫌気バイオシステムとその処理の概要===
嫌気性微生物による有機塩素化合物の分解は、テトラクロロエチレン(以下「PCE」と略す)からトリクロロエチレン(以下「TCE」と略す)、そしてジクロロエチレン(以下「DCE」と略す)、塩化ビニル(以下「VC」と略す)、エチレン(以下「ETY」と略す)、エタン(以下「ETA」と略す)といった順序で反応が進む(図1を参照)。実際の汚染された土壌においては、汚染物質である有機塩素化合物がPCE又はTCEである限り、それらを分解する嫌気性微生物が豊富に存在するので容易に分解されるが、PCE及びTCEが分解され、揮発性水溶性物質であるDCEになると、DCEを分解できる嫌気性微生物が少ないため、DCEが蓄積する傾向にある。
しかし、PCE及びTCEが疎水性であるのに対して、DCEは親水性であり、水への溶解度が高い。その為、汚染された土壌中を流れる地下水にDCEが含有されている可能性が高く、その地下水を回収して、曝気処理することでDCEを効率的に除去することができる。
したがって、汚染された土壌において、DCEの前駆体であるPCE及びTCEを嫌気性微生物によって揮発性水溶性物質であるDCEに分解することで汚染された土壌中を流れる地下水に溶解させ、そのDCEを含む地下水を回収して曝気処理することにより、汚染された土壌から有機塩素化合物を効率的に除去することが可能となる。
===通水嫌気バイオシステムの構成図===
図3は、本発明の一実施例として説明する通水嫌気バイオシステム100の構成図を示す。
図3に示すように、本発明にかかる通水嫌気バイオシステム100は、嫌気性微生物分解促進剤を貯蔵するための分解促進剤貯槽10、有機塩素化合物に汚染された土壌中を流れる地下水に嫌気性微生物分解促進剤を注入するための注入井戸20、嫌気性微生物によって生成された揮発性水溶性物質を含有した地下水を取水するための取水井戸30、取水井戸30によって取水された地下水を曝気処理することで浄化してから注入井戸20に移送するための曝気装置40などを備えている。
分解促進剤貯槽10の近傍に設置されたポンプ12は、分解促進剤貯槽10内の嫌気性微生物分解促進剤を注入井戸20へと移送する役割を担っている。注入井戸20は、汚染された土壌に嫌気性微生物分解促進剤を添加するために、その土壌中を流れる地下水の上流側に設けられ、前述の地下水に嫌気性微生物分解促進剤を注入する。この嫌気性微生物分解促進剤が嫌気性微生物による有機塩素化合物の分解を促進することにより、分解産物である揮発性水溶性物質が生成される。この揮発性水溶性物質が溶解した地下水を取水するための取水井戸30が、前述の土壌中を流れる地下水の下流側に設けられている。取水井戸30で取水された揮発性水溶性物質を含む地下水は、曝気装置40に移送される。
以下、取水井戸30から取水された地下水を浄化するために曝気装置40の周辺に設けられた装置構成を記述する。まず、曝気装置40に対し曝気処理に必要なガスを供給するガスタンク50を設ける。また、曝気装置40で気化した揮発性水溶性物質を無害化するために浄化装置60を設ける。曝気装置40から浄化装置60へ気体を移送する経路の途中に気液分離槽62を設け、曝気装置40からの気体中に混入している液体成分を分離する。分離した液体成分は回収し、曝気装置40に移送してもよい。また、コンプレッサー42は浄化装置60と接続しており、浄化装置60から放出されるガスを、再利用のために曝気装置40に移送する役目を果たす。さらに、曝気装置40は、曝気処理によって浄化された地下水を注水井戸20に放出することができる。これらの装置同士は、気体や液体を移送するための輸送管で接続されてもよいが、直接接続されていてもよく、また曝気装置40の内部にガスタンク50を設けるというように、複数の装置が実際上一つの装置として成り立っていてもよい。なお、本明細書では、「原位置」とは「汚染された土壌の場所」を意味する。
===通水嫌気バイオ処理方法===
嫌気性微生物によって揮発性水溶性物質に分解される有機塩素化合物に汚染された土壌を浄化するための通水嫌気バイオ処理方法において、以下の工程が実施される。
(1)まず、嫌気性微生物による有機塩素化合物の揮発性水溶性物質への分解を促進する嫌気性微生物分解促進剤を、汚染された土壌中を流れる地下水の上流側に注入する。嫌気性微生物分解促進剤については、嫌気性微生物分解促進剤を移送する手段により、分解促進剤貯槽10から注入井戸20に移送する。そして、注入井戸20から、汚染された土壌中を流れる地下水の上流に、嫌気性微生物分解促進剤を注入する。
嫌気性微生物分解促進剤を移送する手段としては、例えば、ポンプ12などが考えられる。嫌気性微生物分解促進剤としては、例えば、有機塩素化合物の塩素と水素を置換する還元的脱塩素化を促進するために必要な水素を提供する水素供与体又は水との化学反応によって水素を提供する鉄粉が用いられる。水素供与体としては、例えば、メタノール若しくはエタノールなどのアルコール、グルコース若しくはスクロースなどの低分子の有機物、酢酸、プロピオン酸、乳酸、若しくは酪酸などの低級脂肪酸、又はポリ乳酸エステルであるHRC(Hydrogen Release Compound:水素供与化合物)などが用いられる。土壌中を流れる地下水の量が少なかったり、ほとんどない場合は、注入を促進するために、嫌気性微生物分解促進剤を水に溶解させたり水で希釈したりして、その水を汚染された土壌に通水してもよい。汚染浄化の対象である有機塩素化合物としては、PCE又はTCEのうち1種類以上を含む化合物が好ましいが、嫌気性微生物によって揮発性水溶性物質に分解されるものであれば何れであっても浄化可能である。さらに、DCEはトランス−ジクロロエチレン(以下「trans−DCE」と略す)又はシス−ジクロロエチレン(以下「cis−DCE」と略す)を含むが、cis−DCEは溶解性(水への溶解性:cis−DCEは、6300 mg/l)が高いのでより好ましい。
注入井戸20から嫌気性微生物分解促進剤を注入することで、嫌気性微生物分解促進剤が汚染された土壌に効率的に浸透するので、嫌気性微生物による有機塩素化合物の還元的脱塩素化が効率的に実施される。その上、嫌気性微生物によるPCE及びTCEのVC又はETYへの分解に比べて、DCEへの分解は短期間なので(図2を参照)、嫌気性微生物分解促進剤を繰り返し注入する必要が無く、その使用量も通常の嫌気性微生物によるVC又はETYへの分解に必要な量に比べて少なく、効率的である。さらに、汚染された土壌の有機塩素化合物の濃度が極端に高い範囲又は酸化剤などの嫌気性微生物の働きを阻害する物質が集中している範囲も、通水することによって希釈されるので、嫌気性微生物によるPCE及びTCEのDCEへの分解が促進される。
次に、汚染された土壌中において嫌気性微生物によって有機塩素化合物から生成された揮発性水溶性物質が溶解した地下水を、汚染された土壌中を流れる地下水の下流側で取水する。通常の汚染された土壌において嫌気性微生物による有機塩素化合物の分解では、ETYに分解するまで時間がかかるので、PCE及びTCEの分解物で揮発性水溶性物質であるDCEがETYに分解される前に拡散したり、嫌気性微生物分解促進剤が拡散したりして、効率的に処理されないという問題があった。しかしながら、本発明では、短期間でDCEまで分解するので嫌気性微生物分解促進剤が有効に使われ、拡散を防ぐ。仮に、地下水に揮発性水溶性物質であるDCEが流出しても、取水井戸30にて取水できるので問題とならない。
(3)そして、取水した地下水を曝気処理して、揮発性水溶性物質を気化させる。曝気処理とは、例えば、取水井戸30にて取水した地下水に含まれているDCEを気化させるために、その地下水にガスを供給することである。このガスの供給によって、揮発性水溶性物質であるDCEが気化する。使用するガスは、曝気処理自体に支障はない酸素でもよいが、取水した地下水に存在する嫌気性微生物の活動を促進してその地下水に残存しているかもしれないPCE及びTCEなどをできるだけDCEに分解するために、酸素以外の不活性な気体、例えば窒素が好ましい。さらに、気化した揮発性水溶性物質を気液分離槽62を経由して浄化装置60に移送する。気液分離槽62は、浄化装置60に気体だけを確実に移送するため、気体と液体を分離する機能を有している、例えば、気液分離膜などを備えている装置が好ましい。
(4)そして、曝気処理によって気化した揮発性水溶性物質を無害化する。浄化装置60では、曝気処理に使用されたガスと気化した揮発性水溶性物質が混合した状態なので、これらを分離する処理を実施する。分離処理の手段としては、活性炭を用いるが、揮発性水溶性物質を単離できる、例えば、セラミック分離膜のようなガス分離膜であってもよい。このようにして揮発性水溶性物質を除去することで無害化されたガスは再利用するため、コンプレッサー42によって曝気装置40に戻る。コンプレッサー42は、再利用するガスを曝気装置40に移送できる装置、例えば、空気圧縮機の類などが好ましい。
その次に、曝気処理された地下水を汚染された土壌中を流れる地下水の上流側に注入し循環させる。浄化された地下水は、無害なのでどこに放出しても構わないが、原位置に移送することで汚染された土壌及び地下水の浄化サイクルが成り立ち、好ましい。さらに、この移送経路と嫌気性微生物分解促進剤を分解促進剤貯槽10から注入井戸20に注入する経路が併合すると、一つの経路で、浄化された地下水を原位置に移送するための経路と嫌気性微生物分解促進剤を注入するための経路の二つの役割を担うことができ、非常に効率的であり好ましい。また、上述の曝気処理で窒素ガスを用いた場合、浄化された地下水は酸素が脱気されて嫌気状態であり、原位置に戻すと原位置がより嫌気状態になり、嫌気性微生物とって好ましい環境となる。さらに、上述の経路が一つに併合していた場合、その嫌気状態の水に嫌気性微生物分解促進剤を注入することができるのでなおよい。
通常、原位置において嫌気性微生物による分解処理を実施する場合、汚染された土壌や地下水に有機塩素化合物を分解できる嫌気性微生物の存在(具体的には、DCEを分解できる嫌気性微生物の存在)を確認するための適用性評価試験(トリータビリティー試験)を実施することが必要とされるが、本発明の通水嫌気バイオ処理方法を実行することにより、この試験を実施する必要が無くなる。これは、PCE及びTCEを分解する嫌気性微生物の種類は多くほぼ全ての土壌及び地下水に生息しているため改めてそれらの存在を確認する必要がないためである。すなわち、本発明は、DCEを分解できる嫌気性微生物が存在しない土壌においても適用することができるので、非常に効率的である。さらに、汚染された土壌を嫌気性微生物によるPCE及びTCEの分解を行っている間、並行して上述の曝気処理を行うので、本発明は通常の嫌気性微生物又は揚水処理による汚染された土壌の浄化より迅速で効率的である。
有機塩素化合物に汚染された土壌について、適用性評価試験を用い、PCE及びTCEのDCEへの分解に係る日数とDCEが分解される日数を比較するため、以下の実験を行った。
100ml容褐色ねじ口瓶に、有機塩素化合物を含む土壌50gと、有機塩素化合物を含む地下水100mlを添加し、水素供与体を50ppm加えた後、ねじ口瓶の上部分の間隙に窒素ガスを注入して酸素を置換することで嫌気状態を作り出した。そして、テフロンコーティングしたシリコンセプタム付きキャップでねじ口瓶を密封し、その中の物質を混合した後、25℃にて静置培養した。その後数日おきにねじ口瓶内の気相部分のガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフ(GC-8610、日本電子データム社)(検出器:DELCD、分離カラム:ステンレスキャピラリーカラム NBW-310SS30)を用いて、有機塩素化合物(PCE、TEC、cis−DCE、VC)の分析を行った。その結果を図2に示す。
PCEは、実験開始直後から減少し5日後には環境基準値(0.01 mg/l)以下になった。PCEが分解されて生成するTCEも5日後には環境基準値(0.03 mg/l)以下になった。しかしながら、TCEが分解されて生成するcis−DCEは30日目位までゆるやかに増大し、30日目からようやく減少し始めた。実験に使用された土壌及び地下水のPCE及びTCE(土壌の有機物に付着していて水に溶解しなかったものも含む)が全てcis−DCEに分解されるには時間がかかるので、cis−DCEが増大するのに時間がかかった。そして65日目に達すると、cis−DCEは0.01mg/l以下にまで減少した。また、VCは15日目過ぎ辺りから徐々に増加し、30日目を過ぎると、cis−DCEと反比例する形で増加し続けた。これは、cis−DCEがVCに分解されたことを示している。このことから、本発明によって、65日位は必要とされる工程を、5日あまりに短縮できることが明らかとなった。
有機塩素化合物の還元的脱塩素化反応とその生成物を反応過程とともに示した図である。 本発明の一実施例において、適用性評価試験によって土壌及び地下水に含まれている有機塩素化合物が分解される過程を時間の経過とともに示したグラフである。 本発明の一実施例として説明する通水嫌気バイオシステムの構成を示す図である。
符号の説明
10 分解促進剤貯槽
12 ポンプ
20 注入井戸
30 取水井戸
40 曝気装置
42 コンプレッサー
50 ガスタンク
60 浄化装置
62 気液分離槽
100 通水嫌気バイオシステム

Claims (6)

  1. 嫌気性微生物によって揮発性水溶性物質に分解される有機塩素化合物に汚染された土壌を浄化するための通水嫌気バイオシステムであって、
    前記嫌気性微生物による前記有機塩素化合物の前記揮発性水溶性物質への分解を促進する嫌気性微生物分解促進剤を貯蔵するための分解促進剤貯槽と、
    前記有機塩素化合物に汚染された土壌に、前記分解促進剤貯槽から移送される前記嫌気性微生物分解促進剤を添加するために、前記土壌中を流れる地下水の上流側に設けられ、前記地下水に前記嫌気性微生物分解促進剤を注入するための注入井戸と、
    前記有機塩素化合物に汚染された土壌において前記嫌気性微生物によって生成された前記揮発性水溶性物質を含有した地下水を回収するために、前記土壌中を流れる前記地下水の下流側に設けられ、前記地下水を取水するための取水井戸と、
    前記取水井戸にて取水した地下水から前記揮発性水溶性物質を除去するために、前記取水井戸にて取水した地下水を曝気処理するための曝気装置と、
    前記曝気処理によって気化した前記揮発性水溶性物質を無害化するための浄化装置と、
    を備えることを特徴とする通水嫌気バイオシステム。
  2. 前記曝気処理された地下水を前記注入井戸に移送し前記土壌に注入するための地下水移送手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の通水バイオシステム。
  3. 前記有機塩素化合物がテトラクロロエチレン又はトリクロロエチレンからなる群から選ばれる1又は2以上の化合物であり、前記揮発性水溶性物質はジクロロエチレンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の通水嫌気バイオシステム。
  4. 嫌気性微生物によって揮発性水溶性物質に分解される有機塩素化合物に汚染された土壌を浄化するための通水嫌気バイオ処理方法であって、
    前記嫌気性微生物による前記有機塩素化合物の前記揮発性水溶性物質への分解を促進する嫌気性微生物分解促進剤を、前記汚染された土壌中を流れる地下水の上流側に注入する工程と、
    前記汚染された土壌中において前記嫌気性微生物によって前記有機塩素化合物から生成された前記揮発性水溶性物質が溶解した地下水を、前記汚染された土壌中を流れる地下水の下流側で取水する工程と、
    前記取水した地下水を曝気処理して、前記揮発性水溶性物質を気化させる工程と、
    前記曝気処理によって気化した前記揮発性水溶性物質を無害化する工程と、
    を含むことを特徴とする通水嫌気バイオ処理方法。
  5. 前記曝気処理された地下水を前記汚染された土壌中を流れる地下水の上流側に注入し循環させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の通水バイオ処理方法。
  6. 前記有機塩素化合物はテトラクロロエチレン又はトリクロロエチレンからなる群から選ばれる1又は2以上の化合物であり、前記揮発性水溶性物質はジクロロエチレンであることを特徴とする請求項4又は5に記載の通水嫌気バイオ処理方法。
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