JP2006026453A - セル型フィルタカートリッジ及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

【課題】 フィルタエレメントの外面に張設する網状部材とリングシールを成形前に予め一体に組立てることにより、フィルタセルの成形時の位置合せを容易にして生産性を向上させる。
【解決手段】 外面と内面をもち、かつ該外面から該内面に至る濾過流路をそれぞれ有する第１フィルタエレメント２０ａ及び第２フィルタエレメント２０ｂと、該第１及び第２フィルタエレメント２０ａ，２０ｂの間に形成されたセル２３と、該セル２３内に格納されたセパレータ６とからなるネット付セル組立体２を複数個積層したフィルタカートリッジ１において、前記第１及び第２フィルタエレメント２０ａ，２０ｂの外面に予め成形しリングシール８と一体化した網状部材２１を張設する。
【選択図】 図１

Description

本発明は、セル型フィルタカートリッジ、とくにセル逆圧による破損を防止したセル型フィルタカートリッジ及びその製造方法に関する。

複数のセルを有するフィルタカートリッジでは、濾過流体は、フィルタエレメント（濾体）の外側からフィルタエレメントの層間の空間内にセルの中央部分に向って流れて濾過が行われる。しかしながら、濾過作業中に濾過流路を介してあるいは逆洗作業中にフィルタエレメントに逆圧（ライン背圧）がかかることがあり、この逆圧により、フィルタエレメントの引張応力の低下、マスキング（遮蔽）、ブレーキング剥離、その縁シールのクラキング（割れ）等が生じ、フィルタカートリッジの破損の原因となる。

そこで、従来のセル型フィルタカートリッジでは、個々のセルの外面を網状部材（ネット）で補強して、その破損防止を図っていた（特許文献１及び特許文献２）。

ここで、図１３に示すように、従来のセル型フィルタカートリッジの製造では、まず、市販のネットロールを購入して、収縮防止のための熱処理をし、型抜きダイ等により所定の形状、寸法に型抜き加工をする。そして、型抜加工したネット（網状部材）を金型内に挿入して、他の部材、例えば、フィルタエレメント、セパレータ等と位置合せをした後、射出成形により縁部を成形してシールし、一体化し、セル型フィルタカートリッジを構成するようになっている。

しかしながら、このような従来のセル型フィルタカートリッジの製造方法では、まず、市販のネットロールを購入して使用するが、ネットコストが高く（全材料コストの約１６％を占める）、収縮防止のためのネットロールの熱処理が必要となり、また、所定の形状、寸法にネットロールを型抜きするため、ネット屑廃棄物が発生することになる。さらに、金型内に型抜きしたネットを挿入して、他の部材との位置合せをする必要があるが、この位置合せが難しく、かつ、正確な位置合せを行わないと十分な耐背圧性能が発揮できなくなり、全体としてフィルタカートリッジの生産性が大幅に低下する問題点があった。
特許第３，０２０，５０７号公報 米国特許第５，０５５，１９２号明細書

本発明が解決しようとする問題点は、流体の濾過に用いるセル型フィルタカートリッジにおいて、ネットロールからのネットのカットに要する材料費が高いこと、その製造時におけるネットと他の部材との位置合せの困難性及び不正確な位置合せによる歩留り、耐背圧性能の低下である。

本発明は、外面と内面をもち、かつ該外面から該内面に至る濾過流路をそれぞれ有する第１フィルタエレメント及び第２フィルタエレメントと、該第１及び第２フィルタエレメントの間に形成されたセルと、該セル内に格納されたセパレータとからなるフィルタカートリッジにおいて、前記第１及び第２フィルタエレメントの外面に予め成形した網状部材を張設してフィルタエレメントを補強したことを特徴とするフィルタセルに関する。

本発明のセル型フィルタカートリッジは、フィルタエレメントに取り付けるネットの内径部とリングシールを成形前に予め組み合せることができるので、成形時の金型内での位置合せが容易になり、かつ、生産性が大幅に向上する利点がある。

添付した図１と図２に示すように、本発明のセル型フィルタカートリッジ１は、垂直方向に積み重ねられた隔室（セル）からなるネット付きセル組立体２からなる。各ネット付きセル組立体２は、濾体であるフィルタエレメント２０ａ，２０ｂと上下外面に配置して、とくに図２と図３に示すような、ネット２１と、セル２３内に収納されたセパレータ６とからなり、フィルタエレメント２０ａ，２０ｂの外縁は、エッジモールド７により封止され一体化されている。ここでセパレータ６は、図２と図４に示すように、放射状の多数のリブ６ａと、これらのリブ６ａに円周方向に同心に取付けられた多数のリング状のサポート６ａとからなり、フィルタエレメント２０ａ，２０ｂの間に形成されるセル２３内に配置されて、フィルタセル組立体２の潰れを回避し、個々のフィルタセル組立体２に安全性を付与するとともに、セル２３内を流れる濾過流体の抵抗を極力少くする。

さらに、フィルタエレメント２０ａ，２０ｂの中心側には、後述するリングシール８がその係合切欠８１とネット２１に設けた係合ピン２２との係合に結合され、かつ、フィルタエレメント２０ａ，２０ｂは、リングシール８と図４に示すように係合され、コア３に取り付けられるとともに、コア３の上端部はリングリティニングガスケット４と平ガスケット５とにより封止されている。

そして、ネット付セル組立体２を複数個積層したセル型フィルタカートリッジ１は、図１に示すフィルタハウジングＨ内に収納され、濾過すべき流体は、図１に示すように、このフィルタハウジングＨの未濾過流体入口から導入され、図４に矢印で示すように、ネット２１が張設された各フィルタエレメント２０ａ，２０ｂの上下面（両面）のフィルタ領域から各フィルタエレメント２０ａ，２０ｂを通過して濾過され、セル２３内に入りセパレータ６により整流されて、濾過済みの流体は、コア開口３ａからフィルタカートリッジ１の中央開口であるコア３に流入し、図１に示す出口から、所定の個所に排出されるようになっている。

とくに、本発明のセル型フィルタカートリッジ１では、フィルタエレメント２０ａ，２０ｂに対するネット２１の正確な位置合せを容易にするために、図５に示すように、まず、ネット２１をコア３と整合する内径部２５と、この内径部２５から放射状に半径方向に伸びたネットリム２４と、半径方向に同心に配置された異なった径をもつネットスポーク２３とから構成し、かつ、図６と、そのＤ部拡大図である図７に示すように、リングシール８と係合する２個の係合ピン２２をネット２１の内径部２５の近傍に立設する。

そして、このネット２１と係合して一体化されるリングシール８は、図８と図９に示すように、ネット２１の内径部２５より、やや大きい外径を有し、かつ、図１０の部分拡大断面図に示すように、二条の凸状部８２，８３と縁部８０とからなる。この縁部８０にネット２１に突設した２個の係合ピン２２と係合する２個の係合用切欠き８１が係合ピン２２に対向して形成されている。なお、ネット２１とリングシール８の係合前の位置関係については、前述したように図４に図示されている。

このような構成からなる本発明のセル型フィルタカートリッジ１を製造するには、図１２に示すように、まず、別途、ネット２１を射出成形し、その後、射出成形したネット２１の係合ピン２２に、リングシール８の係合用切欠きを係合して、ネット２１とリングシール８とを一体化して組立てる。そして、この一体化したネット２１とリングシール８とを金型に挿入して、フィルタエレメント２０ａ，２０ｂと位置合せを行いセットし、射出成形により両フィルタエレメント２０ａ，２０ｂの外縁部にエッジモールド７を射出成形して封止する。そして、不要部を取り外して、ネット付セル組立体２を構成し、コア３の外周にこのネット付セル組立体２を所定個数垂直方向に積層して、コア３の上端にリングリティニングガスケット４と平ガスケット５を装置して、封止し、耐圧性能試験を行い、セル型フィルタカートリッジ１を得る。なお、使用時には、コア３の上端にシールプレート５ｂを固着する。

このように、本発明のセル型フィルタカートリッジを構成することにより、フィルタカートリッジの材料コストの約１６％を占めるネットのコストを約３０％低減できるとともに、ネットの内径部とリングシールをエッジモールドの射出成形前に予め組み合せることにより、成形時の位置合せが容易となり、従来技術におけるようなネットカット作業を省略できるようになる。さらに、本発明によれば、従来のネットの耐圧信頼性が約３０％であったものが、背圧０．１Ｍｐａにおける耐圧信頼性をほぼ１００％とすることができ、加えて、フィルタカートリッジ使用時のセル間接触が防止され、有効濾過面積が維持できるようになる。

セル型フィルタカートリッジにおける、ネットとリングシールの位置合せに限らず、通常のフィルタにおいて、フィルタエレメントとリングシールの取り付けが不可欠な用途にも適用できる。

本発明のセル型フィルタカートリッジの一部破断正面図。 本発明のセル型フィルタカートリッジの一部破断平面図であって、ネットの一部平面と一部破断してセパレータの一部平面を示す。 図１に示したセル型フィルタカートリッジのＡ部拡大部分断面図。 図３のＢ部拡大部分断面図。 本発明のセル型フィルタカートリッジに用いるネットの平面図。 図５に示したネットのＣ−Ｃ矢視断面図。 図６に示したネットのＤ部拡大図。 本発明のセル型フィルタカートリッジに用いるリングシールの平面図。 図８に示したリングシールのＥ−Ｅ矢視断面図。 図９に示したリングシールのＦ部拡大断面図。 本発明のセル型フィルタカートリッジに用いるネットとリングシールを組立てる前の斜視図。 本発明のセル型フィルタカートリッジの製造方法を示す工程図。 従来のセル型フィルタカートリッジの製造方法を示す工程図。

符号の説明

１ セル型フィルタカートリッジ
２ ネット付セル組立体
３ コア
４ リングリティニングガスケット
５ 平ガスケット
６ セパレータ
７ エッジモールド
８ リングシール
２０ａ，２０ｂ フィルタエレメント
２１ ネット（網状部材）
２２ 係合ピン
２３ ネットスポーク
２４ ネットリム
８０ 縁部
８１ 係合用切欠き
８２ 凸状部
８３ 凸状部

Claims (5)

1. 外面と内面をもち、かつ該外面から該内面に至る濾過流路をそれぞれ有する第１フィルタエレメント及び第２フィルタエレメントと、該第１及び第２フィルタエレメントの間に形成されたセルと、該セル内に格納されたセパレータとからなるフィルタセルにおいて、前記第１及び第２フィルタエレメントの外面に予め成形した網状部材を張設して前記フィルタエレメントを補強したことを特徴とするフィルタセル。
2. 前記網状部材に内径部を設け、該内径部にリングシールを係合させて一体化した請求項１に記載のフィルタセル。
3. 前記網状部材に係合ピンを、かつ、前記リングシールに係合切欠を設け、前記係合ピンと前記係合切欠とを係合させて一体化した請求項１に記載のフィルタセル。
4. 網状部材を所定形状に成形し、予め成形したリングシールと係合して一体化した後、金型内にセットして第１フィルタエレメントと第２フィルタエレメントとの位置合せをし、前記フィルタエレメントの外縁にエッジモールドを射出成形して封止する、ことを特徴とする、フィルタセルの製造方法。
5. 外面と内面をもち、かつ該外面から該内面に至る濾過通路をそれぞれ有する第１フィルタエレメント及び第２フィルタエレメントと、該第１及び第２フィルタエレメントの間に形成されたセルと、該セル内に格納されたセパレータとからなるフィルタカートリッジにおいて、
   前記第１及び第２フィルタエレメントの外面に予め成形した網状部材を張設した複数のフィルタセルと、
   前記複数のフィルタセルを垂直方向に積層して保持するコア部材と、
   前記コア部材の上端部を封止する封止部材と、
   からなるセル型フィルタカートリッジ。

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