JP2006025564A - 電動機および密閉型電動圧縮機 - Google Patents

Abstract

【課題】密閉型電動圧縮機用ブラシレス電動機のトルク変動による固定子の振動を抑えて低騒音の密閉型電動圧縮機を提供する。
【解決手段】密閉型電動圧縮機に用いられる集中巻ブラシレス電動機を構成する回転子の極面の曲率半径を基準半径より大きくして極面のエヤーギャップに変化を設けて磁束の急峻な変化を緩和することにより、磁束の変化により発生するトルクの変動幅（以降トルクリップル）が小さくなるので、該トルクリップルによる固定子の振動が低減されて、低騒音な密閉型電動圧縮機が得られる。
【選択図】図３

Description

本発明は空調・冷却機に用いられる電動機とそれを用いた密閉型電動圧縮機に関するものである。

従来の密閉型電動圧縮機に用いられる集中巻ブラシレス電動機の固定子と回転子のエヤーギャップは一定で構成されるが、トルク変動を滑らかにして騒音の発生を抑制する目的で固定子の歯部内径のエアーギャップを不均一にして磁束の急峻な変化を抑える一手段として、歯部先端中央に凹部を設ける方法がとられてきた。（例えば、参考文献１参照）
特開平０７−２９８５９６号公報

しかしながら、上記従来の構成条件に加工上制約があり効果が不充分であった。

本発明はこのような従来の課題を解決するものであり、トルク変動による固定子の振動を抑えて低騒音の密閉型電動圧縮機を提供することを目的とする。

前記課題を解決するため、本発明の密閉型電動圧縮機に用いられる集中巻ブラシレス電動機を構成する回転子の極面の曲率半径を基準半径より大きくして極面のエヤーギャップに変化を設けて磁束の急峻な変化を緩和できる様にした。

本発明の回転子の構成によって、磁束の変化により発生するトルクの変動幅（以降トルクリップル）が小さくなるので、該トルクリップルによる固定子の振動が低減されて、低騒音な密閉型電動圧縮機が得られる。

第１の発明は密閉型電動圧縮機に用いられる集中巻ブラシレス電動機を構成する回転子であって、該回転子の極面の曲率半径を基準半径より大きくすることによって、最も磁束の集中する固定子歯部とのエヤーギャップの変化を緩やかにして、磁束の急峻な変化を抑え、トルクリップルよる固定子の振動を抑制できる様にしたものである。

第２の発明は第１の発明の回転子に内装される逆円弧マグネットの開角が電気角に対して１３０度であるとき、極面の曲率半径を基準径の１．３倍〜１．５倍の範囲することによって発生トルクの減少を抑えながら、騒音が最適となる様なトルクリップルの値に調整できる様にしたものである。

以下本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なおこの実施の形態によって本発明が限定されるものではない。

（実施の形態１）
図１は本発明のブラシレス電動機における回転子を説明する分解組立図である。

図において１２が固転子ヨーク、１３が内装された逆円弧状のマグネット、１４が端板、１５がカシメピンである。図は６極の例で、Ｓ１からＳ６は前記回転子外形の各極面を
示す。

図２は本発明のブラシレス電動機の回転子を用いた密閉型電動圧縮機の断面図を示す。

１は固定子で胴シェル６に絞まりバメ固定され２は回転子で圧縮機のメカ部３の回転軸４に固定されている。５は軸受、７，８は上下シェルで、９はアキューム、１０は吐出管、１１は電源用端子である。

図３は固定子１と回転子２の組立状態を簡略化して示した横断面図である。

図３において、Ｒは前記回転子の極面の曲率半径を表し、ｒは該回転子の基準半径、ｔｇは固定子と回転子のエアーギャップで角度の関数で表され、φは前記マグネット１３の固定子に対する開角である。１６は回転子に対応する固定子の歯部である。

以上の構成による本発明の電動機の、トルクリップルの（Ｒ／ｒ）増加に対する変化を図４に示す。

図４において曲線Ａがトルク，曲線Ｂがトルクリップル、曲線Ｃがトルク波形の歪率を示し、同一トルク発生時にトルクリップルの値が最も低く、歪の小さい方が振動も小さく、従って騒音も低くなる。図において、それぞれの値はエアーギャップ一定の場合を基準にした割合で表示してある。

かかる構成にしたことによって、従来の構成に比べて本発明のトルクリップル低減効果は同一トルクにて１．５倍以上となった。一方、騒音への低減効果はトルクリップルの値が基準に対し５０％以下になるまでが最も大きくそれ以上では効果の増加は少なくなる。

十分な低減効果を得るためには、回転子２の極面の曲率半径Ｒは基準径に対し１．３倍以上有ればよいが、Ｒを大きくし過ぎるとトルクの減少が大きくなるため、１．５倍以下で有ることが望ましい。この範囲であればトルクの低下分が性能に与える影響は少ないので、騒音が最適になる範囲で選択すれば良い。

本発明の例では回転子の逆円弧状のマグネットの開角φを１３０度としているがこれは電動機の性能が最も効率良く発揮できる条件であり、且つＲが基準半径のとき（Ｒ／ｒ＝１）のトルクリップルが最も小さくなる角度でも有る。もちろん１３０度以外の角度でも効果は期待できる。

なお本実施例では６極であるが４極でもこの効果曲線の形態はほぼ同様に成立する。

以上のように、本発明にかかる密閉型電動圧縮機は、磁束の変化により発生するトルクリップルが小さくなるので、該トルクリップルによる固定子の振動が低減されて、低騒音な密閉型電動圧縮機が得られるので、空気調和装置や冷蔵庫等の冷凍機器、およびヒートポンプ式の給湯装置等にも適用できる。

本発明一実施の形態におけるブラシレス電動機回転子の分解組立図 本発明一実施の形態における密閉型電動圧縮機の断面図 本発明一実施の形態におけるブラシレス電動機の断面図 本発明一実施の形態におけるトルクリップルの変化を説明する図

符号の説明

１ 固定子
２ 回転子
３ メカ部
４ 回転軸
５ 軸受
６ 胴シェル
７、８ 上下シェル
９ アキューム
１０ 吐出管
１１ 電源端子
１２ 固定子ヨーク
１３ マグネット
１４ 端板
１５ カシメピン
１６ 歯部

Claims (3)

1. 密閉型電動圧縮機に用いられる集中巻ブラシレス電動機を構成する回転子であって、逆円弧状のマグネットを積層された鉄板に内装した構造からなる該回転子の極面の曲率半径を、基準半径より大きくしてある電動機。
2. 請求項１記載の回転子に内装するマグネットの開角が電気角に対して１３０度であるとき、極面の曲率半径が基準径の１．３倍〜１．５倍の範囲である電動機。
3. 請求項1乃至２記載の電動機を使用した密閉型電動圧縮機。